No.192553

真・恋姫†無双 十√ 29

kazさん

魏呉激突編 その2 

なんとか生きてます、今年最後の投稿です

いつ以来だろう、もう忘れ去られてるだろうけどひっそり更新

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2010-12-29 21:31:04 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:29632   閲覧ユーザー数:18226

-蜀-

 

南蛮より帰還した桃香達は孫尚香こと小蓮と会い、ここに正式に蜀呉同盟が成立する

それからは魏の情報を集め、同時に一刀へ会談などを申し込むもそれは叶わなかった、そして数ヵ月後魏は南征を開始する

 

蜀は同盟国として呉を助ける為に軍を派兵しようとするもそこに立ちふさがったのが十万の魏軍と呂布こと恋である

 

 

-荊州・武陵城-

 

荊州をまかされている関羽こと愛紗は苦悩していた、魏が呉へ侵攻を開始したにもかかわらず何もできないからだ

呉と同時に荊州へと侵攻してきたのは江陵を拠点にして陣を構える十万の魏軍と飛将軍呂布、しかし彼女らはそれ以上

侵攻をしてくる気配がなかった、あくまで蜀を釘付けにする為の軍、しかし蜀軍が呉へ向かえば荊州を襲ってくるだろう

と誰もが予測していた、それは蜀の誇る伏龍鳳雛さえ、そんな状況を苦々しく感じる愛紗

 

「くっ、このままここにいても埒があかない、やはり呉へ援軍に向かうべきだ!」

 

「何度も言わすな愛紗よ、それを行えば十万の魏軍が手薄になったこの荊州へ一気に攻撃を開始する、

そうなれば荊州全土に戦火が及ぶと、もぐもぐもぐ」

 

「ではこのまま何もせずに魏の侵略を見ていろと言うのかっ!」

 

「そうは言わん、だがここでの戦いは動いた方が負けなのだ、もぐもぐ」

 

焦れる愛紗とは裏腹に増援としてやってきた趙雲こと星が好物のメンマをつまみながら忠告する

 

「あ、あわわわ、星さんの言うとおりです愛紗さん、今こちらが下手に動いて荊州を奪われたら呉を助けるどころか

益州への道を開いてしまう事になりかねません」

 

軍師鳳統こと雛里があわあわとしながら愛紗を説得する、しかしもうかなりの日数をここで待つ事にじれた愛紗は

 

「やはり出陣する!まず呂布を打ち倒しその勢いで魏軍を追いやりその後に呉へ救援に向かうのだっ!」

 

「だから落ち着けというのに、もぐもぐ くぴくぴ ごっくん」

 

「酒を飲むなっ! いいか星今回ばかりは聞かんぞ!私は桃香様の為にも「ていっ!」…ひゃあああ!!!/////」

 

緊迫感ある状態からいきなりすっとんきょうな声を上げる愛紗、理由はイキナリ背後から胸を揉まれたから

愛紗は顔を赤らめつつ「な、何をっ!///」と胸を揉んだ人物に殴りかかろうとするも

 

「と、桃香様っ!?」

 

そこにいたのは蜀の王劉備玄徳こと桃香、なんかさっき揉んだ手の感触と自分の胸とを比べて

 

「む~、愛紗ちゃんちょっと大きくなった?」

 

「な、なななあ!////何を言っておられるのですかっ!というか何故桃香様がここにおられるのですかっ!」

 

「愛紗ちゃんが無茶しないか心配になって来たの!、ほんと来て正解だったなぁ、まぁったく愛紗ちゃんてば

相変わらず無茶ばっかりしようとするんだから!大体愛紗ちゃんはいつもいつも…」

 

「うっ!」

 

桃香の説教に反論できずぐぬぬぬという感じで固まってしまう愛紗、そんな様子を楽しげに見る星

(実は書簡で桃香が来るのを知っていたのだが愛紗には知らせてなかったのだ)そして桃香と共にやってきた

張飛こと鈴々、馬超こと翠、馬岱こと蒲公英、魏延こと焔耶、そして軍師の孔明こと朱里を見つけると

 

 

 [-ターゲット朱里!-]

 

 

「しゅ、朱里!何故桃香様を前線に連れてきたりしたのだっ!もし桃香様に何かあったらどうするつもりだ!!

大体朱里はいつもいつも…」

 

「は、はわわっ、な、なんで私に言うんですかぁ~」

 

桃香に何も言えない愛紗は朱里に説教を始める、しかしその後当然桃香に叱られる

 

 

一段落した面々は改めて今後の方針について議論する、話すのは朱里

 

「援軍に向かうなら最低一万、さらに補給線を考えると荊州が無事である事も必要です、ですがその為には十万の魏軍、

さらに飛将軍呂布をなんとかしないといけません」

 

「何か策はないのか?」

 

「正直難しいと言わざるをえません、呉へ救援に向かえば必ず魏軍は荊州を攻めて来るでしょう、そうなると残った兵で

荊州を守りきるのは難しいでしょうし、呉にむかった軍は退路を断たれ孤立してしまい全滅の恐れがあります」

 

「では私が呂布を押さえてる間に呉へ援軍を、なに、いざとなれば相討ちとなってでも…」

 

 

「絶対ダメ!!」

 

 

愛紗が言い終わる前に桃香が怒った顔でピシャリと言い放つ、そういわれるとさすがの愛紗も何も言えなくなる

 

「愛紗ちゃん約束して、もう無茶な事はしないって!いい!」

 

ずいっと迫る桃香の迫力に愛紗はたじろぎ、そして

 

「は、はい、わ、わかりました…」

 

陥落、その様子をみた桃香はにこやかな顔をして

 

「うん、よろしい!」

 

そんな感じのやりとりに和む蜀の面々だった、そして桃香は何かを考え付いたのか皆に笑顔で

 

「あ、私ちょっと呂布さんとお話してくるね」

 

そう言うと軽やかな足取りで部屋を出ようとする、あまりにも自然かつ買い物にでも行くかのような桃香に皆は一瞬

気付かなかったが、しばらくして

 

 

「「ええええええええええっ!!!!!!!!」」

 

 

とようやくその意味に気付きそして当然止めようとするのだが桃香は「大丈夫だって」とにこやかに言うのみ

 

「さ、先ほど桃香様は私に無茶な事はするなとおっしゃったばかりではありませんかっ!呂布と話をしにいくなどと

そんな危険な事をさせられる訳ないでしょう!!」

 

と、愛紗は当然の如く言う、しかし桃香は愛紗の顔を見つめ真剣な顔をして一言

 

 

「私はいいの」

 

 

その言葉に愛紗や朱里はただただ言葉を無くして真っ白くなり、星や鈴々達は大声で笑いあうのだった

 

 

 

 

-荊州・江陵城-

 

「れ、恋殿~、蜀軍に動きがありましたぞ~」

 

「出るっ!」

 

陳宮こと音々音の言葉に即座に反応し出陣していく飛将軍呂布こと恋さん、ちなみに恋さんは凄く機嫌が悪かった

理由はもちろん一刀と離れ離れになってるから、それでも一刀さんのお願いで蜀方面を任された以上「頑張る!」

と意気巻いていたのだが時間がたつにつれどんどん寂しくなっていく、早く一刀の元に行きたいと思ってはいたが

どうしたらいいのかわからなかったからだ、その時やってきた音々音の報告に恋は

 

(蜀を倒せば御主人様の所に戻れる!)そんな想いで出撃を決める

 

魏軍は荊州の武陵へと軍を進める、すると武陵の城の城門が開き桃香、愛紗、星、朱里が現れる、

その姿を見た恋は一瞬目を瞠ってしまう、先頭の騎馬でやってくる桃香に

 

 

”ごしゅじんさま…”

 

 

と、恋は桃香に一刀と同じような暖かい、そして優しい気のようなものを感じてしまっていた、そしてそんな恋の元に

やってきた桃香は恋に優しく微笑み

 

「初めまして、ですね呂布さん、私劉備玄徳って言います」

 

その言葉に何も答える事ができない恋、そんな様子に異変を感じた音々音が代わりに

 

「き、気安く恋…呂布殿に声をかけるなです!呂布殿に言いたい事があるならまず軍師のこの陳宮に言うのです!」

 

「あ、はいっ!えと陳宮さんだね、初めまして、私劉備玄徳って言います、よろしくね」

 

そう優しく話しかけられ恋と同じく少したじろいてしまう音々音、それでも恋一筋の音々音は頑張って

 

「じ、自己紹介はいいのです!それで何しに来たですかっ!降伏するならまず武器を捨てるのです!」

 

「違うよ陳宮さん、私たちは降伏する為に来たんじゃないよ」

 

その言葉に何か策を考えてるのではと警戒する音々音、一方恋は桃香をじっと見つめていた、そして桃香は

 

 

「呂布さん、陳宮さん、私達はこれから呉の人達を助ける為に呉に向かおうと思っています、それを伝えにきました」

 

 

その言葉にびっくりする音々音、この人物は何を言っているのだと、敵である自分達に行動を示すなどと、

さすがにこの言葉には桃香と共にやってきた愛紗、星、朱里さえも驚きを隠せなかった

 

「ばっ!馬鹿にしてるのですかっ!そんな事させる訳ないのです!それにお前達が荊州から出て行ったらねね達は

すぐにでも荊州を攻めて奪ってやるのです!いいのですかっ!」

 

「陳宮さん、私思うの、一刀さんが二人にそんな事させるとは思えないって」

 

音々音の反論にきっぱり言い放つ桃香、音々音は桃香が何を言わんとしているかがわからなくなってくる

 

「陳宮さん、それに呂布さん、私わかるの、一刀さんが貴方達に言った命令…、ううんお願いかな、

多分一刀さんは呂布さん達にこう言ったんじゃないかな」

 

 

「”戦わなくてもいいよ”…って」

 

 

桃香のその言葉に音々音、そして恋も驚く、桃香の言ったその言葉はまさに一刀の言った言葉だったからだ

一刀が荊州に向かう恋と音々音にした会話

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

-南征前 魏・鄴城-

 

『恋、音々音、君達は蜀を頼む、多分蜀は呉に援軍を出そうとするだろうけど恋達が荊州にいれば簡単に呉へ援軍を出す

事ができないと考えるはずだ、孔明と鳳統が優秀であればあるほどな、ここでの武器は時間だ、恋達が荊州にいてくれる

だけで俺達は蜀に勝てる』

 

『それでも蜀軍が呉に向かったらどうするですか?』

 

『桂花達ならその隙をついて荊州へ攻め込めとか言いそうだけどそれはなしかな、劉備達を甘く見ちゃダメだ、

戦えば被害は多く、得るものは少ない、それに今蜀に侵攻してわざわざ二面作戦をする利点はこちらにはないしね、

だからその時は無理に戦わなくてもいいよ音々音、ただ…』

 

『わかってるのです、こちらに攻め込む気がないのを蜀に気取られないようにしろと言うのですね』

 

『うん、虚々実々を上手く使い分けて戦線を維持してほしい、劉備との決着は俺がちゃんとつけるから、

だから恋達は無理に戦う必要はないから、いい、恋』

 

(コクッ)

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

桃香を見つめ続ける恋と音々音、桃香はさらに続ける

 

「一刀さんはね、無意味な戦いはしないと思うんだ、今呉に攻め入ってるのだって一刀さんなりにこの国の事を、

この国の人達の事を考えての事だと思う、でもね、でもそれじゃきっと……」

 

そこまで言って桃香は言葉を遮る、そして

 

「呂布さん、今は兵を退いてはくれませんか、今戦っても誰も喜ばないし、誰も何も得られないと思う、

ただ悲しみだけが残るだけだと思うんです」

 

桃香の話に音々音、恋、そして一緒に来た愛紗や星、朱里なども言葉を失う、少しの静寂の後、

恋は方天画戟を桃香に向ける、桃香に同道していた愛紗が青龍刀を向けようとするもそれを桃香が制す

 

「……どうして、お前、ごしゅじんさまと戦うの?」

 

恋のご主人様という言葉に桃香は一瞬考えそれが一刀の事だと思いつく、そして恋の顔を見て

 

「そっか、呂布さんは一刀さんの事が大好きなんだね、私もね、一刀さんの事大好きだよ、でも一刀さんは

きっと私の事大嫌いだと思うけどね…、でもね、それでも私は一刀さんの事が大好きなの」

 

恋の問いに桃香は寂しそうな顔をする、そして愛紗達が止めるのを振り切り恋の元に馬を進めると

 

 

「呂布さん、私はね……」

 

 

…………

 

 

「!!」

 

 

 

桃香の言葉に呆然としてしまう恋、そんな恋とは逆に優しく微笑む桃香、恋はしばらく動けず、そして何か辛そうに

馬首を返し帰っていく、それに驚く音々音が慌てて

 

「れ、恋殿!ど、どうされたのですかっ!あ、あいつらは、蜀軍のやつらは」

 

「恋は…、帰る…、ねね達も、帰る…、何も、しちゃだめ…」

 

「れ、恋殿!?」

 

訳の分からない音々音、しかし恋の命令は絶対である、恋と共に魏軍も退きはじめていく、そんな姿を見た桃香は

 

「ありがとう呂布さん」

 

そう言って礼をする桃香、そして自城に戻る蜀の面々、皆無言になり桃香を見つめ続ける、それに気付いた桃香が

 

「ど…、どうしたの皆?」

 

「「「いえ、やはり桃香様は凄いなと思いまして」」」

 

「???」

 

愛紗、星、朱里の三人はハモって言葉を返す、当の桃香は何の事かわからないという感じの天然王者様、

そんな姿に三人は笑いあい、そして改めて桃香への忠誠を誓い合うのだった

 

それ以降魏軍は荊州へ再度進撃する事はなかった、その後星、翠、蒲公英、焔耶、雛里率いる二万の蜀軍が

呉へ出立するもそれが呉軍と合流する事はなかった、魏軍の進撃が速過ぎた為だ、それは孔明や鳳統の予測を

はるかに上回るほどに、この頃魏と呉の戦いはすでに最終局面に入っていた

 

 

 

 

 

-揚州・石頭城-

 

破竹の勢いで進撃する魏軍は建業に近いこの石頭城をほぼ無傷で得た後、ここを集結拠点とする

遅れてやってきた夏候惇こと春蘭、賈駆こと詠、さらに夏侯淵こと秋蘭の軍と合流し魏軍総兵力は二十万にまで達し、

あとは一刀による進撃の合図を待つのみとなる

 

余談ではあるが春蘭達が一刀達と合流した時に詠が涙ながらに春蘭の特攻まがいの戦いぶりを報告し、一刀からきっつーい

お仕置きをされたのを桂花が羨ましそうに「はぁはぁ…///」して見て色々あったりしたがその話はいずれどこかで

 

それからしばらくして呉に動きがあるのを放っていた細作が報告する、建業と石頭とのほぼ中間の地に約十万の兵力

が布陣してるとの事であった、その報告を聞いた魏の面々はすぐさま軍議を行う

 

「雪蓮、城を出て野戦を挑む気か」

 

「建業を見せたくないのだろうな、呉の連中は最後の一兵まで死力を尽くす気だろう」

 

一刀の言葉に答えたのは春蘭、珍しく真面目な事を言った春蘭に皆が驚いてると

 

「連中の立場を我等に置き換えてみただけだ、私とて国が侵略されれば都の城壁を見せたくはないからな」

 

「あんまり相手に感情移入すると死ぬで」

 

「そこまではせんよ、我が身体は北郷の身体、我が意思は北郷の意思だ、それが変わる事など未来永劫あるものか」

 

「ならええけどな」

 

春蘭の言葉に反応したのは霞、いつもは陽気な霞や春蘭が神妙になってる姿に呉とのこれからの決戦が厳しいものに

なるだろうと季衣や凪達は感じる、そして軍師達も

 

「呉軍が野戦を選択したという事は何かしらの策を考えついたとみるべきね」

 

「兵力はこちらが二十万、向こうが十万、半分の兵で勝とうとするならまず地の利、これはあるわね

次に人、呉が魏に勝つ為にはどうしても必要な人材が揃ったか」

 

「おそらく周瑜さんの復帰ですね~」

 

桂花の言葉にに詠そして風が答える、各々が呉の戦略、そして罠の存在を話し合う中稟が一刀に

 

「呉は奇策を考えてるかもしれません、ここは慎重に行動すべきと考えますが一刀殿はどうお考えでしょうか?」

 

 

 

「……別に?」

 

 

 

あっさりと言い切ったその言葉に皆は一瞬あっけにとられるが一刀は

 

「ん?何驚いてるんだよ皆、呉が決死の覚悟で戦ってくるのはずっとわかってた事じゃないか、確かに武においては

雪蓮、黄蓋、甘寧と一騎当千の勇猛な武将がいて苦戦するかもしれない、けどこっちにだって

春蘭、秋蘭、霞、季衣、流琉、凪、真桜、沙和といった歴戦の勇者がいるじゃないか、戦ったとしてもみんなが

負けるとは俺はまったく思っちゃいないぞ」

 

「知においても確かに呉には稀代の大軍師周瑜、そして陸遜がいて様々な事を策謀しているかもしれない、

でも桂花、稟、風、詠の四軍師がそれらに劣るとは思っていない、相手が策を弄しているならそれを看破し、

逆に策に嵌めて打ち破ってくれると俺は信じてる」

 

 

「みんなは大陸最強の将だ、だからどんな事があっても負ける事なんか絶対ない!」

 

 

自信満々にきっぱりと笑顔で話す一刀に皆は満面の笑みを取り戻し

 

「聞かれるまでもない!今度こそ孫策の首級を獲って呉を打ち倒してみせるわ!ははははははは!!!」と春蘭

 

「確かに、今更敵に怯え戦う我らではないな、なにより我らが負けるわけが無い!」と秋蘭

 

「うーーん、一刀ええ事言うやん♪よっしゃ久々に本気出して暴れ回ったろうやないかい!!!」と霞

 

 

「まかせてよ兄ちゃん!ボク絶対兄ちゃん守って見せるから!絶対ぜったーーーーい!!!」と季衣

 

「はい!兄様は安心して全軍を指揮してください!私は常に兄様の盾となってみせます!!」と流琉

 

 

「北郷様の為、今度こそ敵を打ち破ってみせます、二度とふがいない戦いは致しません!!!」と凪

 

「うちもうちもー!ここいらでどかーんってがんばらんとなんか消化不良みたいやしな!」と真桜

 

「さ、沙和だって頑張るのー!」と沙和

 

 

「ふんっ、わ、私は今さ、策を考えついたわ!周瑜が来る事ももう織り込み済みなんだからっ!」と桂花

 

「すぐわかる嘘はいいわよ、まぁボクは揚州に入った時からすでに勝つ為の策を考えてるけどね!」と詠

 

「遅いですね、私は呉侵攻を考えた時からすでに勝つ為の策はできているというのに」と稟

 

「ぐう」

 

「「「寝るなっ!」」」

 

ぐっすり眠る(?)風さんだった

 

一刀なりの士気高揚、一刀自身がそう思っていたのかはわからないが魏の面々の士気は上がった

そして一刀は高らかに宣言する

 

「呉と雌雄を決し勝利するぞ!皆もう少しだから頑張ろう、そして皆で生きて勝利を祝おうな!!」

 

 

「「「「応っ!!!!!」」」

 

 

 

皆がそれぞれの準備をする為部屋から出て行く、そして一刀も自室に戻り再び外に出ようとした時

 

 

”ズキンッ!!!”

 

 

激痛が一刀を襲う、ここ最近度々起こる頭痛、一刀自身その異変が普通のものではないと気付いていた、

長い時は十分近く痛みが続くほど、しかも最近はその頻度、回数、痛みも徐々に増えてきていたのだ、

華佗に診て貰っても頭痛の原因がわからず結局鍼を打ち鎮痛剤のようなものを渡すのが精一杯だった

 

「はぁ、はぁ…、言えば皆は心配してくれるかな…、はぁ、はぁ…、でもまだダメだ、まだ耐えろ…

もうすぐ…、もうすぐで…」

 

床に倒れ苦痛に耐えながら一刀はただひたすら自身を鼓舞し続ける

 

 

 

 

 

-建業と石頭の中間地点-

 

呉は万全の態勢で待ち構えていた、そこに魏軍は整然と進撃し、両軍は対峙する、

呉からは孫策こと雪蓮、周瑜こと冥琳、孫権こと蓮華が、魏からは北郷一刀、そして春蘭、桂花が舌戦の為現れる

魏と呉の王という感じではなく、まるで親友のような感じで一刀と雪蓮は話し始める

 

「いらっしゃい、って言いたくはなかったけど来ちゃった以上は歓迎してあげるわ一刀♪」

 

「悪いけど歓迎は必要ないよ、こっちは招かざる客だろうしね、周瑜さんも久しぶり、元気そうだね」

 

「しらを切らずともよい、どうせ私が病に伏せっていたのは知っていたのだろう?」

 

「いや知らないよ、呉の動きが鈍いからもしかして周瑜さんが病気なんじゃないかなって程度なだけだったし、

けどやっぱり病気だったのか、もし違ってたらこの遠征も失敗してヤバかったかもしれなかったな」

 

そんな風にあっけらかんと話す一刀に冥琳は呆れるを通り越して改めて一刀に恐ろしさを感じていた、

一方雪蓮はというとそんな一刀に「そうでなくっちゃ!」という感じの表情でニコニコしていたり

ふと、雪蓮と冥琳と共に来てずっと一刀を睨み続ける蓮華に気付いた一刀は

 

「(雪蓮に似てるな…)そちらは…、もしかして孫権さんかな?」

 

「あら、さすが一刀♪女の子を知り尽くしてるわねぇ、決戦前に一度一刀を見せておこうと思って連れてきたの」

 

「誤解するような言い方やめてくれよ後が怖いんだからさ!、えっと初めまして、ですね孫権さん、北郷一刀です」

 

そんな風に挨拶する一刀に対してもずっと無言で睨み続ける蓮華、そんな蓮華に呆れたのか雪蓮が

 

「まぁったく魏の覇王がせっかくが挨拶してるんだから何か言ってあげなさいよ、ごめんね一刀この子根が真面目で

あと男に免疫がなくて照れてるのよ♪、ほんとこんなんじゃ男を知らないまま死んじゃうかもしれないわねぇ~」

 

「ね、姉様!!////」

 

雪蓮にからかわれた蓮華は真っ赤になりながら必死で雪蓮に怒っている、そんな様子を見ていた一刀は

呆れるやら微笑ましいやらといった感じ、戦いなど考えられないような楽しい雰囲気、一刀自身そんな雰囲気を楽しみ

そんな世界であったならと思う、しかし

 

「さて、じゃあそろそろ始めましょっか一刀」

 

「そうだな雪蓮」

 

「一刀、約束は覚えてる?」

 

「もちろん」

 

それは荊州で出合った時、お互いにかわした約束

 

「俺は雪蓮を…」

「私は必ず一刀を…」

 

 

 

” 殺す ”

 

 

 

二人はその殺伐とした言葉に何故か笑みがこぼれてしまう、二人だけにしか通じない、覇王同士にしかわからない

そんなものだったのかもしれない、そして二人は魏と呉の王に戻る

 

「大陸を一つに統べ、民に本当の平安を与える為呉を討ち滅ぼさせてもらう!!」

 

「そんな暴論を掲げて大陸全土に戦火を広げる事が本当の大義なのかしら?北方を燃やし、涼州を滅ぼし

そして今まさに我らの故郷を侵略するような輩に孫呉が屈するわけにはいかないわ!!

我らが勇気、我らが智謀、我らが誇りの全てを賭けてあなた達を滅ぼしてみせるわっ!!!」

 

「ならば我が魏も全力をもって孫呉を打ち倒しこの地を制圧してみせる!、江東にその名を轟かせる小覇王と

周公謹の戦いぶり見せてもらうぞっ!!」

 

 

「孫呉の勇者達よ、この戦 呉の運命を決める大決戦となる!ここで元凶北郷一刀と魏を打ち破り、我ら孫呉が

大陸に真の平和をもたらすのだ!!!」

 

「魏の勇士達よ!今こそ赤壁の雪辱を晴らす時!多くの失われた仲間、友人、家族の恨みを今こそ晴らす時!

この戦、我らが覇業の大きな前進のための戦となる!その血と命をもって、大陸の真の平安の礎とせよ!!!」

 

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

「「全軍突撃!!!!」」

 

 

そして魏軍と呉軍は最後の激突をする

 

 

 

 

 

「先鋒騎馬隊前へっ!春蘭は孫策を抑えて!」

 

前衛で指揮をする詠の指示で春蘭率いる魏の先鋒の騎馬隊が呉の陣へ襲い掛かる

 

「今だっ!起こせっ!!!」

 

冥琳の合図と共に地中から現れるのは拒馬槍(丸太に槍を通したもので地中に埋め騎馬隊がきたと同時に縄で引っ張り

地中から出して騎馬隊を阻む罠)、この拒馬槍によって魏軍騎馬隊はその突撃を防がれ最初の突撃は失敗する

逆に反撃の為呉軍陣より突出した雪蓮率いる呉軍先鋒が魏軍を蹂躙、そして雪蓮は春蘭と激突する

 

「そこにいたか孫策!今日こそ貴様の頸貰い受けるぞ!!」

 

「その言葉そっくり返してあげるわ、そろそろ貴方邪魔なのよ夏候惇!!」

 

がぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいんん!

 

一方魏軍左翼では霞率いる騎馬隊が同じく拒馬槍に防がれていたが真桜率いる魏軍工兵隊の決死の活躍で血路を開き

呉軍へ突入、しかし霞に立ちはだかる思春と激突する

 

「我が名は甘興覇!張遼!この先を通りたくば私を倒してから行けぇ!!!」

 

「ええ覚悟やっ!そうやないとおもろうないわぁっ!!!」

 

がぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいんん!

 

さらに魏軍右翼、こちらも騎馬隊は防がれる、しかし秋蘭率いる弓隊が敵陣へ矢を降り注ぐ

 

「黄蓋、今日こそその命貰い受けるぞ!」

 

「やってみせい小娘が!まだまだ貴様如きに討たせるほど耄碌はしてはおらんぞ!」

 

 

-呉side-

 

冥琳は戦場を見つめ的確に指示を与えていく、兵力で差はあるものの地の利を生かし遠征の疲れのある魏軍に対し

防御の為の布陣で先制はできた、序盤は呉軍がよく守り有利な展開、だが冥琳は敵陣にはためく旗を見て簡単には

いかないであろう事を感じる、冥琳が見た旗は

 

『荀』   『程』   『郭』   『賈』

 

魏の誇る四軍師が初めて一戦場に揃いぶむ戦い、冥琳はその四人が全員一国の筆頭軍師に値する軍師だと分析していた、

それだけの人材を配下に置き、使いこなす一刀の人気に改めて脅威を感じる冥琳

 

呉の本陣を守る蓮華が冥琳に敵の陣形や配置将軍、戦況などを聞く

 

「魏軍の陣形は錐行陣、前衛に夏候惇、楽進、そして前衛軍師に賈駆を配し攻勢に力を発揮する形、兵はおよそ七万

さらに右翼に夏候淵、于禁、軍師に程昱を配し、左翼に張遼、李典、軍師に郭嘉を配し左右より攻守を支える形、

兵は双方およそ四万、中軍は前後に分け各二万、将は許緒、典韋、軍師に荀彧を配し、北郷一刀が全軍の指揮を取る

本陣、その後ろに殿軍一万を配置、奇策を排し正攻法に徹した布陣といった所でしょう」

 

「冥琳の意見を聞かせて」

 

「……万全の布陣、と言わざるを得ません、魏の兵は統率が取れており精強、生半可な事では混乱するような事は

ありますまい、さらにそれを率いる将帥はどの人物も歴戦の勇者、苦戦は必死でしょう」

 

「そう、でも私達は負けないわ!この母なる大地を侵略者なんかに二度と渡すものですか!」

 

そんな蓮華の言葉に冥琳は若き日の雪蓮を思い出し、そして

 

(このお方もまた雪蓮のようになってしまうのだろうか)

 

と、少し期待しながらも自由奔放我がまま放題な雪蓮を思い浮かべ心配して嫌な汗が出てしまうのだった、

そんな冥琳を見て気分でも悪くなったのかなと心配した蓮華が冥琳に声をかけると

 

「(コホンッ)も、申し訳ありません///、少し失礼な事を思い浮かべてしまいました、さぁ魏を撃ち滅ぼしましょう!」

 

おちゃめな冥琳さん降臨!

 

 

-魏side-

 

本陣で戦況の報告を桂花と共に逐一聞いていた一刀は傍らにいる桂花に問う

 

「呉は方陣か、前衛に雪蓮の主力、中軍に孫権と周瑜、右翼に甘寧と陸遜、左翼に黄蓋と周泰、呉の主だった将は

皆前線に出てるという事か、桂花、戦況をどう見る?」

 

「今の所は互角といった所ね、こちらがまだ全力を出してないにしても呉はこちらの攻勢をうまく受け流してるわ、

先鋒の春蘭は孫策とぶつかり合ってほぼ互角、ここの戦線はしばらくこう着状態といった所ね、霞達は甘寧と陸遜に上手く

攻撃をかわされてるわね、地形が難しいのもあるでしょうけど攻め切れてないかも、

秋蘭は黄蓋と今の所は互角といったところかしら、いずれにせよどこも呉軍の勇戦といった所ね」

 

「このままじゃ消耗戦だな、それは数の多いこちらにとっては有利かもしれないがあの周瑜さんがただいたずらに

兵力の損耗を見逃してるとは思えない、伏兵や罠の存在は?細作の報告はなかったけど」

 

「戦場に着く前に細作を今まで以上に出して調べたけど特に罠のようなものの存在の報告はなかったわ、伏兵もいまの所

左右後方からの報告はなし、蜀方面からの救援も今の所報告が無い所を見るとないと思っていいでしょうね」

 

「でも何かあるはずだ、でなければ勝算のない決戦なんかを挑んでくるはずがないからな」

 

「そうね、もう少し調べてみるわ、前線は詠達が頑張ってくれるでしょうから心配ないし」

 

「へぇ、桂花が詠達を誉めるなんて珍しいな」

 

「ばっ!////馬鹿!べ、別に誉めてなんかいないでしょっ!」

 

そんな感じで一刀がからかうと桂花は顔を真っ赤にして再び報告にかかりっきりになる、そんな姿に微笑ましく

感じると共に頼もしく感じる一刀、ふと周りを見ると

 

「みんな大丈夫かなぁ」

「ちょっと季衣!変な事言わないでよ!秋蘭様達ならきっと大丈夫なんだから!きっと、大丈夫なんだから…」

 

そんな風に心配する季衣と流琉を見つけた一刀は二人の元に行き頭をわしゃわしゃと撫で

 

「大丈夫、皆無事に帰ってくるさ、季衣達はいつでも援護できるよう準備しておいてくれな、

きっと二人にも出番があると思うからさ」

 

「「はいっ!!」」

 

一刀の言葉に二人は元気よく答える、そして一刀は遠い戦場を見つめ想う

 

(皆頑張ってくれな、それから無事でいてくれよ!)

 

 

 

 

 

 

「だああああああああ!!!!」

「はああああああああ!!!!」

 

がぎいいいいいいん!!!がん!ぎいいいいいんん!

 

「ええい、とっとと私に討たれろ孫策!!」

 

「やぁよ!しっかし相変わらずの馬鹿力なんだから!少しは加減できないと一刀に嫌われるわよっ!」

 

「なっ!なな何を言っている!わ、私はべ、べべ/////……、いや、北郷はこの程度で私を嫌うような奴ではない!」

 

いつもの慌てふためく春蘭とは違った反応に雪蓮はある事を思い浮かべ

 

「夏候惇もしかして貴方…、一刀に抱かれた?」

 

直球で問われた春蘭は顔を真っ赤に染めなにやら煙が出てるような感じ、そんな春蘭を見た雪蓮は

 

「ふぅ~ん……」

 

 

”なんかちょっとムカつく!!”

 

 

それは嫉妬のようなものだったのかもしれない、次の瞬間雪蓮から放たれる今までに見た事もないような強烈な剣撃に

必死に耐える春蘭は少しピンチに陥ったりした

 

 

 

-魏軍前衛-

 

春蘭と雪蓮の激闘は続く、春蘭、凪、詠の率いる魏前衛の兵力は七万、対する雪蓮率いる呉前衛は四万、数で劣るものの

地の利を生かし呉軍は互角以上に戦っていた、詠は攻勢に定評があるものの攻めきれず

 

「これが周瑜って奴の用兵か、まったく嫌な戦い方をするわね、こちらの攻める所を悉く予想して潰しにきてる、

このままじゃ被害も馬鹿にならないけど攻勢を抑えたら一気に逆撃を食らいそうだわ、まったく厄介な相手ね」

 

苦戦する味方に愚痴をこぼす詠、しかしそこは数々の戦いで軍略を発揮してきた神算鬼謀の賈文和

 

「凪!盾を持った兵を百人単位で組んで防壁とし、その後ろから弓兵の一斉射撃で少しずつ敵防御陣を削り、

隙が出来たら騎馬隊を仕掛けて敵を寸断するわよ!」

 

「はっ!」

 

指示を受けた凪はすぐさま忠実に実行する、そんな凪を見て詠は”ああ、凪は本当に役に立つわね…”と先の戦いでの

猪突猛進命令無視な春蘭とを比べ涙を流ししみじみと想うのだった

 

 

 

-魏軍左翼-

 

詠の的確な指示で攻勢を強める魏軍前衛、それを見た稟は

 

「詠殿が攻勢を強めましたね、ではこちらも連動して動きましょうか」

 

クイッと眼鏡を上げると稟は攻勢を強めるように指示をする、そして霞に

 

「霞殿、攻勢を強めます、騎馬の運用がし難い地形ですがなんとか敵の防御網を切り崩してください」

 

「まっかしときぃ!真桜援護は任せたでぇ、またちょい暴れまわるけどちゃんとついてきぃや!」

 

「はいな!うちはどこまでも姐さん付いて行きますよって!あ、でも危険な所はできるだけ避けてほしいなぁ~」

 

「おいおい、ここは戦場やで、ここ以上に危険な所なんかあるかいな!」

 

「あ、それもそうやね~」

 

ははははははははは♪

 

そんな漫才みたいなやりとりに稟は ”…大丈夫でしょうか…”と不安になったり

 

 

 

-魏軍右翼-

 

一方こちらは風さん、風さんもまた詠の攻勢を感じ取り

 

「おやおや詠ちゃんが本気を出し始めたようですねぇ~、ではでは風達も一緒に動きましょうか~」

 

そう言うとぽややんとした感じで指示を与えていく

 

「秋蘭様、少し攻撃を強めます、多少無茶しちゃいますけどよろしいでしょうか~」

 

「ああ、かまわんよ、ここが最初の分岐点と言った所か、沙和!私が黄蓋を押さえてる間に敵の防御陣を潰していけ!」

 

「は、はいなの~、いいかこのクソ虫ども~!今から敵のウジ虫共をやっつけにいくぞ~!もし遅れる奴がいたら

お前たちのその○○○を○○して○○○○してやるからな~、いいかわかったかこのふぁっくムスメ共~!!」

 

「「「さーっいえっさー!!!」」」

 

秋蘭の指示に沙和はいつもの指示を出していく、その様子を改めて見た秋蘭は

”やはりあの海兵隊式訓練法というのだけは理解ができんな…”と想うのだった

 

 

 

-魏軍中軍-

 

詠の攻勢に合わせるように阿吽の呼吸で動く稟、風、さらに報告を聞いた桂花も動く

 

「詠達が攻勢を強めたわ、増援を送りたいけどいいわよね」

 

「もちろん、桂花に任せるよ、ただし無理はせずにな、負傷者は必ず助けるように指示を頼む」

 

「当然よ!、季衣、流琉、増援を準備させて、一万を前衛に!」

 

「「はいっ!!」」

 

そういうとテキパキと動き指示をしていく季衣と流琉

 

 

 

 

魏軍の攻勢、そして増援、呉軍は徐々にではあるが劣勢となっていく、しかし冥琳はそれを見て

 

(ここまでは我らの予想の範疇)

 

冷静に分析する、そして蓮華に

 

「蓮華様ここが踏ん張りどころです、ここで魏軍の攻勢を耐え抜けば我らに勝機が訪れます」

 

「わかっているわ冥琳、私も孫呉の血を引くもの、どんな事をしてでもこの戦局を支えて見せるわ!」

 

 

「孫呉の勇者達よ!いま少し耐えよ!さすれば勝利は我らのものとなろう!!!」

 

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

蓮華の号令に呉の兵達は再び士気を盛り返す、しかし魏軍もまた士気高くさらに数の有利さもあいまって

各地で戦いを有利に進めていく

 

 

-魏軍前衛-

 

「凪!部隊の再編成をお願い!中央、陣を三段に!負傷兵の多い隊は後ろに、増援されてきた隊を前に!」

 

「はっ! …あの詠様、春蘭様の援護は?」

 

 

「必要なし!!!」

 

 

なんか前の戦いから春蘭は好きに戦わせておいた方がいいと判断した詠さんだった

前衛の戦いは春蘭と雪蓮が激しくぶつかり合う状況、双方死力を尽くし激闘を演じていた、数で劣る呉軍の善戦と

いってもいい戦いによってここはほぼこう着状態となっていた

 

 

-魏軍左翼-

 

「おらおらおらーーーー!どかんかーーーーい!!」

 

どがあああああああああああああああああああああん!

 

「くっ!張遼っ!こんな荒地でよくもあそこまで騎馬を操れる!」

 

「烏丸の闘いでは山中での追撃戦をやってのけたといいますしね~、改めて魏軍騎馬隊の優秀さを思い知らされますね~

、それに援護する李典、張遼との息の合った連携が凄いですねぇ、どんな調練をしているか知りたいものです」

 

「真桜!何度言うたらわかるねん!そこのツッコミは『姐さんそこは種馬ですやん』やろがっ!」

 

「いやしかし姐さん大将はもうなんていうか種馬とか超越してるかんじですし~」

 

「貴方方ちゃんと戦ってください!」

 

穏達の分析とは違って実はただ好き勝手やってた霞と真桜さん、それに頭を抱える稟さんだった、しかし、

魏右軍はこの妙な霞と真桜の息の合った連携によって闘いを有利にしていき思春、穏率いる呉軍を苦しませ

徐々にではあるが後退させていっていた

 

 

-魏軍右翼-

 

「はいはいっと、ここは右にどどーんと騎馬を突撃させちゃいましょう~」

 

どどんどんどーーん!

 

「はい皆さんよくできました~、次は左に弓をぱぱーんと撃っちゃいましょう~」

 

ぱぱんぱんぱん!

 

「ぐうっ!何じゃこの用兵はっ!のらりくらりと戦いおって!戦いずらいったらありゃせんわっ!」

 

「お、恐らく敵軍師程昱の仕業でしょう、穏様によれば変幻自在の用兵をする人物との事でしたし」

 

そんな感じに翻弄される祭と明命さん、歴戦のツワモノの祭とはいえ風さんの用兵にはさすがに手を焼き押されていく

 

 

 

戦線は呉軍からみると中央が突出した形となり左右が後ろに押されていく形となる、これは魏にとっては呉を包囲殲滅に

させられる形であり、詠、稟、風の魏軍軍師達もそれを感じ始める

 

「左右が押してるわね、このまま包囲殲滅すれば一気に勝敗は決まりそうだけどあの周瑜がそれをさせるとは思えない、

とはいえ今攻勢を抑えれば呉軍に立ち直る時間を与えてしまうか…」

 

様々な事を考える詠、しかししばらくして魏軍前衛は呉軍を包囲する形、横に広がる鶴翼の陣に近いものに変じていく

 

「包囲を選びますか、ではこちらも攻勢を強めましょう」

「包囲ですね~、ではでは」

 

右翼の稟、左翼の風もその意図を感じ攻勢を強め呉軍を包囲する為攻勢を強める、激闘の後、呉軍は円陣のような形に

徐々に押さえ込まれていく

 

その様子を見た冥琳が

 

「堅守!堅守だっ!」

 

(予想通り前がかりの包囲に入ったか、ここまでは魏軍にはけどられてはいないとは思うがさて…)

 

そう考える冥琳は指示を出し呉軍に堅守を命じる、守りに徹した呉軍は攻勢を強める魏軍と一進一退の攻防を続ける

そんな戦いがしばらく続いた時、冥琳にある報告がなされ、それを読んだ冥琳は蓮華に向かい

 

「蓮華様、刻が来ました!」

 

そう報告する、その言葉に蓮華は自軍後方を見やる、近づいてくる砂塵に蓮華も

 

「あれが…」

 

その砂塵から見える旗

 

 

 

『呂』

 

 

 

 

 

 

-時間は呉が出陣する前に遡る-

 

建業の玉座の間にて、復帰した冥琳を喜ぶ雪蓮達の前に冥琳に呼ばれた少女が自己紹介をする

 

 

「は、初めまして、わ、私は呂蒙子明と申します!」

 

 

「呂蒙?誰?」

 

自己紹介した少女を睨む雪蓮に呂蒙と名乗った少女はただただ怯える、そこに冥琳が一言

 

「今だ無名、なれどその才はいずれ私を追い抜くほどの逸材だ」

 

その言葉に皆は驚く、言われた呂蒙という少女も「っめめめめめっそうもありません!!!」と慌てて否定する

しかし冥琳はその少女の所に歩みより

 

「魏との戦い、この呂蒙が我らが孫呉の勝利への切り札となる」

 

その言葉に再び驚く呉の面々、当の本人は腰を抜かして目を回してる様な状態、そんな呂蒙に代わって冥琳が

 

「皆が驚くのもわかる、今まで名も知らぬような者に戦局を任せてよいものかと、

しかし私はあえてそれに賭けようと思う」

 

「なら聞かせて、冥琳が何故その子を切り札と考えたのか、もし納得いかない答えなら私は反対するわよ、

次の戦いは恐らくこの大陸の王となるものが決まる戦い、そんな戦いを汚されたくないの」

 

冷徹に、しかしきっぱりと雪蓮は問う、それに対し冥琳も

 

「わかった、では話そう我が策を、いや、この呂蒙の示した策を」

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

そして語る冥琳、まずはこの呂蒙との出会いから話し出す、それは冥琳が病に倒れた時の事、呂蒙は一兵士ながら実直で

その武は並外れていた為冥琳の警護を任されていた、ある日の事、冥琳が目を覚ますと呂蒙が何やら呟く声が聞こえてくる

それは孫氏の兵法で呂蒙が警護の合間に必死で覚えようとしていたのだった、そんな姿が微笑ましくなった冥琳が

 

「呂蒙、こちらに来い」

 

冥琳に呼ばれた呂蒙はびっくりし怒られるものと思ってやってくる、しかし冥琳は優しく呂蒙に色々教えてやる事に、

それからは師弟の関係に近く冥琳は呂蒙に様々な事を教えていく、そして冥琳は呂蒙のその非凡な才に気付く

教えられた事を素早く吸収していく速さ、さらに大局を見る見識は同じ軍師の穏以上かもしれないと冥琳は分析する、

そして魏が南征を準備し始めた報告を聞いた冥琳は呂蒙に尋ねる

 

「呂蒙、魏を打ち破る策、お前ならどうする?」と

 

急な問いに慌てふためく呂蒙ではあったがしばらくして

 

「わ、私ならば……」

 

そこから繰り出される策に冥琳は改めて呂蒙の才に驚く、呂蒙の語った策は冥琳のそれとまったく同じだったからだ、

しかも未熟ながら独自の理論で語る呂蒙、そして四つまでの策を言い終わった後

 

「最後に、五つ目の策ですが…」

 

その五つ目の策に冥琳は驚愕する、冥琳も対魏の策を考えてはいたが呂蒙の語った五つ目の策は考えてはいなかったのだ

そして語られるその策に冥琳は確信する

 

”この呂蒙こそ孫呉を救う者だ”と

 

そして冥琳は密かにその策を行う為の準備を行う、そしてそれを呂蒙に指揮をさせるのだった

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

そこまでの話をした冥琳に呉の面々は一斉に呂蒙を見つめる、相変わらず目を回し腰を抜かしている呂蒙に

”ほんとに大丈夫なんだろうか”と疑問に思うものの冥琳の自信に満ち溢れた顔を見た雪蓮は

 

「わかったわ、冥琳がそこまで言うのなら間違いないんでしょう、私もこの子に賭けてみるわ」

 

雪蓮の言葉に冥琳は微笑み、そして他の面々もそれに従う、目を回していた呂蒙を思春が声をかけて起すと

 

「呂蒙子明!孫呉の為その命を預かる、いいわね!」

 

雪蓮の言葉に呂蒙は我に戻り姿勢を正し

 

「は、はいっ!この呂蒙子明、若輩ながらこの命孫呉の為に尽くさせていただきます!」

 

「私の真名は亞莎、皆様にお預けいたします!」

 

そして語られる亞莎の策に冥琳が補足をし、対魏の切り札として採用される

 

そしてその策が今まさに行われようとしていた

 

 

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

 

 

 

戦場に響き渡る音、その音は呉本陣のさらにその向こうから聞こえていた

 

「何?騎馬隊?」

 

その異変にいち早く気付いたのは前衛で指揮を取っていた詠であった、その砂塵は少しずつ戦線へ近づいてくる、

音から騎馬隊である事に気付いた詠であったがその姿が分かってくるにつれ一筋の汗が流れ、目を疑う

 

 

「あれは…、まさかっ!」

 

 

砂塵から見えた騎馬隊に詠は言葉を失う、呉軍後方から現れたおよそ六千の騎馬隊、その姿は全て”白”

 

 

 

「 白馬陣!? 」

 

 

 

「前衛左右へ展開っ!中央、騎馬隊の道を開けろっ!!」

 

冥琳の指示に従い左右に道を開け動く呉軍、その中を白い騎馬隊が一気に速度を増して呉軍を突っ切り魏軍へと

向かっていく、突然現れた白い騎馬隊に魏軍は混乱する、白馬の騎馬隊、それは知る人ぞ知る

 

”白馬陣”

 

公孫賛自らが白馬に乗りその配下も全て白馬だった事から名づけられた、その勇名は異民族にまで響き渡り大陸でも

知らぬものはないほどのもの、しかし袁紹との闘いでその多くを討ち取られ実質壊滅状態のはずであった

それを知っている魏兵はそれが突如、しかも呉軍から現れたのだから混乱ぶりは大変なものであった

 

「皆落ち着きなさい!中央波頭の陣を二段に敷いて騎兵に対応!凪、兵に指示をしてっ!」

 

必死で指示をする詠ではあったが中々その指示は届かない、そうこうしてるうちにその白い騎馬隊は魏軍中央に突入

していく、混乱しながらも呉騎兵に矢を射掛ける魏軍、幾頭かが倒され詠はその白い騎馬の実態を知る

 

「白い布!?、やられた! 皆落ち着きなさい!こいつらは白馬陣じゃない、白い布を着せたただの騎馬隊よっ!」

 

詠は必死で兵を沈静化させようとする、しかし時すでに遅く、その騎馬隊は魏軍前衛中央を寸断していく、さらにそれを

合図のように呉軍は一気に攻勢に転じる

 

「今だっ!全軍反撃!魏軍を押し返せぇっ!!!」

 

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

魏軍の一瞬の混乱を見逃さない冥琳、右翼の祭と明命、左翼の穏と思春もそれに連動して魏軍を押し返していく

その様子を見た冥琳、そして蓮華は笑顔を見せる、これこそが亞莎が提案した策、

 

『野戦において魏軍を攻勢に転じさせ、左右を後退、中央を堅持し、その陣形を鶴翼のように包囲殲滅の形にさせる、

それにより魏軍中央部の陣を薄くさせ、そこを騎馬による突破、騎馬隊はその勢いで中軍の北郷本陣へと急襲』

 

『呉の騎馬隊は魏軍精鋭には遠く及ばない、なのでその姿を異質なものとし、魏軍の混乱を誘う

その姿、騎馬に白い布を被せ白馬のように見せかける事で公孫賛の作り上げた白馬陣の如く見せかける

それに呼応し混乱した魏軍を呉全軍が逆撃しこれを打ち破る』

 

亜莎の五つ目の策を聞いた時の事を思い浮かべる冥琳、呉にも騎馬隊はいたが魏ほど精強なものではなかった

元々南船北馬と呼ばれるように呉は水上戦には優れてはいたが良馬は少なく騎馬隊が有効に使われる事は少なく、

従ってただ騎馬隊を使ったとしても魏に防がれる可能性高かった為冥琳は対魏の必殺の策としての選択肢として

それを入れる事はしなかったのだ

 

次にこの策のもう一つの重要点はそれを率いる将

 

『第一に魏軍の細作にけどられないよう分散させ、決戦のある一定の刻限に正確に間に合うように集結させ進撃をさせる、

それは細心の注意を払い精密に計算された行動をさせられる事ができる有能な将である事』

 

『第二に戦場には呉の主だった将が全て布陣し、魏軍に対し伏兵及び強力な戦力が残っていない総力戦だと思わせる事

魏軍に呉軍伏兵の存在を匂わせつつもそれをあまり脅威として感じさせない無名の将である事』

 

この二つに適合しこの策を最も効果的に使える人材、それが呂蒙こと亞莎の存在であった

 

 

”有能なる無名の将”

 

 

「亞莎、今お前の策が結実しようとしているぞ」

 

冥琳は戦場を見つめる

 

 

 

 

呉軍騎馬隊を率いる亜莎、彼女はそれまで騎馬隊はもちろん軍を率いた事もなかった、しかし

元々武においては秀でた才を持っており、さらに彼女には特異な才能があった、それは他人の数倍もの集中力、

のみ込みの速さ、理解力、彼女は教え込まれたものを全て吸収していくのだ

 

そして騎馬の運用を必死で覚えていく、それは血のにじむほどの努力で

 

魏が呉へ侵攻しこの決戦までのわずか数ヶ月、その短期間で彼女は騎馬隊を率いる将へと変貌する

 

 

「敵を斬り倒す必要はありません!今はただ敵陣を突破する事だけを考えてください!!」

 

 

声が枯れんほどに叫び命令をし続ける亜莎に騎馬隊の兵は忠実にその命令に従う、数ヶ月の間に亞莎は呉騎馬隊の

将兵の心も掌握していたのだ、そして続く策、亜莎はその人物を見つけ叫ぶ

 

 

「孫策様ぁっ!!!」

 

 

がぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいん!!!!

 

雪蓮は春蘭といまだ激闘を演じていた、ほぼ互角、隙を見せれば一撃で勝敗が決するような闘い、集中力を切らさない

ような闘いの中雪蓮は亜莎の叫びを聞く、それは次の策への合図、雪蓮はニヤリと微笑むと

 

「夏候惇、悪いけど貴方との勝負はここまでよ」

 

「ああん?何を言っておる?まだまだ私は戦えるぞ?それとももう降参するとでも言うつもりか孫策?」

 

「まさか、ただちょっと大切な用事ができただけよ」

 

「大切な用事?」

 

「そう、一刀との…  決着よ!!!!」

 

そう言うと雪蓮は渾身の一撃を春蘭へと叩きつける、いきなりの一撃、普通の将なら武器ごと叩き折られるかもしれない

ほどの威力、しかしさすがは魏武の大剣夏候惇、その武器七星餓狼でその斬撃を受けきる、しかしその威力に大きく

吹き飛ばされる、その瞬間なだれ込む呉騎馬隊、雪蓮は亜莎を見つけると

 

「亞莎ここよっ!」

 

「孫策様っ!」

 

亜莎の合図と同時に騎馬隊の兵が引き連れてきた雪蓮の愛馬”五花馬”を雪蓮に渡すと雪蓮はそれに騎乗する、そして

 

「じゃあね、夏候惇」

 

「なぁっ!ま、待て孫策!そんさくうううううううう!!!」

 

呼び止める春蘭を振り切り雪蓮は五花馬を走らせる、五花馬は優れた駿馬であっという間に呉騎馬隊の先頭に辿り着く、

先頭で指揮をしていた亞莎と馬首を並べると亜莎はかしこまりつつ

 

「そ、孫策様、あ、あとの指揮はよ、よろしくお願いします…はぁはぁ…」

 

息を切らせ疲れきった亞莎、初陣がこんな大戦でさらに闘いの切り札としての存在にギリギリの状態だったのだ、

本来なら亞莎はここまでの役目、この後の騎馬隊の指揮は雪蓮が行い魏本陣へと迫る予定だった、しかし雪蓮は

 

「何言ってるのよ!まだまだ貴方にはこの騎馬隊を指揮してもらわないとダメなんだからしっかりなさい!」

 

「えっ!?、で、でも孫策様…」

 

「私はこれから一刀と決着をつけなくちゃいけないから騎馬隊を指揮してる暇なんかないのよ、だから亞莎、

貴方は引き続きこの騎馬隊を指揮しなさい、いいわね!」

 

身体はもう悲鳴を上げいつ倒れても不思議ではないほどの亞莎、雪蓮からの命令は絶対である、だが身体がついて

いかない、意識を失いかけたその時

 

「雪蓮よ!、亞莎、貴方に私の真名を預けるわ!孫呉の未来の為、貴方の力を貸して頂戴!」

 

その言葉に”はっ!”とする亞莎、呉の王に真名を預けられるというのがどれほどの意味を持つのかがわかっているからだ、呉の未来をその王と共に歩める、それに心躍る亞莎

 

「できるわね、亞莎」

 

雪蓮の優しく強い問いに亞莎は力を振り絞り力いっぱい元気よく

 

 

「はいっ!!!おまかせをっ!!!」

 

 

その返事に満面の笑みを浮かべる雪蓮、また一人呉に頼れる将、いや”家族”が増えた事が嬉しいのだ

雪蓮、亞莎と共に敵陣を切り崩す呉軍騎馬隊、そしてついに魏の前衛を突破する、眼前には一刀のいる中軍の本陣

 

 

「さぁ今行くわよ一刀!決着をつけましょう!!!」

 

 

雪蓮は沸き起こる感情を抑えきれないほど高揚し、そして一気に愛馬五花馬を駆ける

 

 

 

”母様、皆!孫呉の悲願はもうすぐそこよっ!!”

 

 

 

 

 

 

 

 ” ゾクッ! ”

 

 

 

 

その瞬間、雪蓮は悪寒を感じる

 

 

(何っ!?)

 

 

それは雪蓮の本能、それが呟いてるようにも感じられた、いわゆる雪蓮の勘、それが呟く

 

 

”危険 ”

 

 

何が、何を?そう自問する雪蓮、全ては亞莎の策通り、魏軍を引きつけ、そして騎馬による中央突破で敵陣を食い破る、

さらにその勢いで敵本陣を急襲、北郷軍本陣で一刀を守る将は許緒と典韋、確かに将としては並外れたものを持っている

かもしれない、しかし雪蓮が本気を出せば二人相手でも打ち負けるような事はないと確信していた

 

 

(なのに、何故嫌な予感がするの?)

 

 

雪蓮はただ五花馬を駆ける、魏の中軍、北郷一刀の本陣が目の前に現れる、待ち受ける兵はおよそ三万

少なくは無い、だが雪蓮は今までもこんな不利な闘いを幾度も経験しそして勝ち続けてきた、いつもの事、そう

 

 

「いつもの事!!!」

 

 

雪蓮はそう自分に言い聞かせるとさらに速度を上げる、それに続くかのように亞紗と呉騎馬隊も置いていかれないようにと

速度を上げる

 

 

「!」

 

 

砂塵、そして雲霞の如き魏軍のその奥、おそらく常人には見えないほどの距離、だが雪蓮はその五感を研ぎ澄ませ

かすかに見えるその人物を捉える

 

 

(一刀!)

 

 

自分が倒すべき、いや殺すべき相手北郷一刀、その人物の動きを凝視する、表情は見えない、しかし、少なくとも

うろたえる様な無様な様子は無い、そして威風堂々、ここにまで伝わってきそうな覇気

一刀はこの状況にまったく動じていない、何故!?

 

 

 

疑問、そして雪蓮はさらに大きくなる砂塵で一刀が見えなくなるその刹那、確かにそれを見る

 

 

 

 

 

 

 

一刀はその右手を大きく振り上げ、そして何か言葉を発し

 

 

 

 

 

手を振り下ろす

 

 

 

 

 

 

あとがきのようなもの

 

恋姫では戦いであまり軍師が活躍しないなぁとか思ったもので軍師達をちょっと活躍させてみたり

相変わらず戦闘シーンは苦手…

 

ここんところノロっぽいのにかかったり、インフルみたいなのにやられたり

下戸なのに二日連続の忘年会とかでもうグダグダ

 

とにかく来年には頑張って完結させたいと思ってますが過度な期待なしで生暖かく見守ってやってください

 

 

ではでは皆様良いお年を

              

               kaz


 
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