No.188694

孤高の御遣い Brave Fencer北郷伝14

Seigouさん






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2010-12-09 00:50:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:59294   閲覧ユーザー数:49166

翌朝

 

 

 

 

劉備、孫策、公孫賛、馬騰連合は汜水関へ向けて進軍した

 

桃香「朱里ちゃん、本当に北郷さんを汜水関から引っ張り出せないの?」

 

朱里「はい・・・・・あるいはまた打って出てくれるということもあるでしょうが・・・・・こればっかりは相手の出方次第ですね」

 

桃香「そっか・・・・・」

 

白蓮「なあ桃香、北郷というやつはお前の言うように、悪いやつではないのか?」

 

桃香「うん、そのはずなんだけど・・・・・」

 

星「伯珪殿、わたくしも一刀殿とは一日しか一緒にいませんでしたが、あの方はどう考えても悪逆非道の董卓に組する方とは到底思えないのです」

 

葵「俺も華陀から聞いた話では、北郷一刀はそんな人物ではないようにしか思えん」

 

星「なんと!馬騰殿は華陀殿を知っているのですか!?」

 

葵「知っているも何も、俺の病気を治してくれた張本人だからな」

 

星「では、知っているのですね、一刀殿が華陀殿の五斗米道(ゴトベイドウ)を使えるということを」

 

葵「ああ、でも華陀の奴は五斗米道(ゴトベイドウ)じゃなく、ゴッ・・・ト・・ベイ・・ドーとか発音について口やかましく言っていたぞ」

 

星「・・・・・それについてはこの際どうでもいいです、つまり一刀殿がそれを使える以上」

 

葵「そうだな、あっちは怪我人が出ても北郷一刀がいればすぐに治せる、しかしこっちは・・・・・」

 

純夏「ええ、こちらの怪我人や死者は増える一方でしょうね」

 

そこへ孫の旗から純夏がやってきていきなり話に加わった

 

星「ん?お主は確か・・・・・」

 

純夏「孫策軍の将、太史慈よ」

 

葵「お前も北郷一刀のことを知っているのか?」

 

純夏「ええ、黄巾党の討伐で一刀の助力を得たことがあるのよ、その時かなりの数の部下が怪我を負ってしまったんだけど、一刀が部下の怪我を全て治してくれたわ」

 

星「わたくしも華陀殿と一刀殿の治療を見ましたが、どんなに深い傷でもたちどころに治していましたからな」

 

葵「・・・・・やっかいだな」

 

白蓮「う~~~~ん、ということは北郷という男はやはり善なるものということになるか・・・・・ますますわけが分からなくなってきたな」

 

純夏「それと、今回の戦いはあたし達は後方に下がらせて貰うわね」

 

葵「ん?どうしてだ?」

 

純夏「実は元黄巾党の兵士達が一刀にびびってしまってまともに動けない状態なのよ、いくらなんでもこんな状態での戦闘は危険すぎるからね」

 

葵「・・・・・分かった、今回は俺らに任せておけ」

 

星「あい分かった、一刀殿にはよろしく言っておこう」

 

純夏「すまないわね」

 

そう言って純夏は自分の旗の下に去っていった

 

星「・・・・・そういえば、何故あの者は一刀殿のことをああも自分の身内のように話すのだ?」

 

葵「そういえば最初の軍議で孫策のところの軍師が、以前の黄巾党の乱で自分のところの将が山賊狩りに助けられたとか言っていたな、それがあいつなのかもな」

 

星「なるほど、合点がいきました、それではますます一刀殿に事の成り行きを聞かねばなりませんな」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

愛紗「・・・・・・・・・・」

 

桃香と愛紗は話の半分も聞こえていなかった

 

自分達を助けてくれた人が、自分達に向かって刃を向けるということはそれ相当の理由があるはず

 

なんとしても一刀に事の真相を聞く、これしか考えていなかったのだ

 

桃香と愛紗がどうやって一刀から真相を聞き出そうか考えている時

 

雛里「(朱里ちゃん、朱里ちゃん)」

 

朱里「(何?雛里ちゃん)」

 

雛里「(北郷さんがあっちにいるということは、董卓さんは・・・・・)」

 

朱里「(駄目だよ!雛里ちゃん!そんな事言っちゃ駄目!)」

 

雛里「(でも、もしあの檄文が間違いだったら・・・・・)」

 

朱里「(わたし達は、もう戦争を始めちゃったんだよ!一度始めてしまった戦争は、そう簡単には終わらせられないよ!)」

 

雛里「(・・・・・そうだよね・・・・・どうしようもないよね・・・・・)」

 

朱里「(・・・・・・・・・・)」

 

二人は少しだけ後悔していたのかもしれない

 

自分達がもっと上手く立ち回っていれば、檄文を断わる事も出来たのではないかと

 

しかし、賽は投げられてしまった、もう引き返すことは出来ない

 

ならば、いかにして最小の犠牲でこの場を乗り切るか

 

この小さき軍師二人は、そのことにだけに頭を傾けていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

汜水関

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・また来たか」

 

嵐「懲りもせずか」

 

霞「今度は・・・・・劉に公孫に馬・・・・・その後ろに孫の旗が立っとるな」

 

雫「劉備さんに公孫賛さんに馬騰さんに孫策さんですか」

 

一刀「夜襲に備えて交代で見張りを立てておいたけど、無駄に終わったようだな」

 

徐栄「今度はいかがいたしますか?」

 

霞「ウチは、また打って出たいな♪」

 

嵐「それは賛成だな♪」 

 

雫「ば、馬鹿な事言わないで下さい!一刀様も昨日行っていたでしょう、本格的に篭城「いいかもしれないな!」・・・・・一刀様!?」

 

一刀「よ~く考えてくれ雫、なぜ孫の旗が後ろに下がっていると思う」

 

雫「それは・・・・・諸侯の兵士の大半は元黄巾党です、きっと山賊狩りの一刀様に元黄巾党達は怖気づいているのでしょう」

 

一刀「そうだろうな、なら別の諸侯の元黄巾党も同じ状態にしてやれば、今後の展開が楽になってくるんじゃないか?」

 

雫「それはそうでしょうけど・・・・・何も毎回打って出なくてもいいのではありませんか?」

 

一刀「汜水関で戦えるのはどんなに粘ってもせいぜい三日だ、ならば今のうちに種をまいとけばいいと思うんだけど」

 

霞「・・・・・////////////」

 

嵐「・・・・・////////////」

 

雫「・・・・・////////////」

 

徐栄「・・・・・・・・・・」

 

一刀「?・・・・・どうしたんだ?皆」

 

霞「一刀のスケベ//////////」

 

嵐「その、あの/////////」

 

雫「一刀様、わたしならいつでも///////////」

 

徐栄「天然の女たらしですな」

 

一刀「????」

 

一刀は、何かおかしなことを言ったかな?と首を傾げていた

 

その時

 

ヒュン!

 

一刀「うおっ!?」

 

一刀の頭すれすれで矢が飛んできた

 

雫「一刀様!!?」

 

一刀「大丈夫だ・・・・・いつのまにか矢の射程に入っていたか・・・・・徐栄!戦闘体制だ!」

 

徐栄「はっ!隊長!」

 

一斉に董卓新鋭防衛隊は盾を構える

 

シュキン!

 

そして一刀は忠久を抜き氣を込める

 

一刀「はぁ~~~~~~~~~っ・・・・・・しっ!!はっ!!はぁっ!!ふっ!!だっ!!はっ!!」

 

ズバーーーーーン!!!ドバーーーーーン!!!ザーーーーーン!!!

 

ドカーーーーーーン!!!バーーーーーーン!!!ドカーーーーーーン!!!

 

「「「「「うわーーーーーー!!??どわーーーーー!!ぎゃーーーーー!!!」」」」」

 

一刀の放つ氣の斬撃により劉、公孫、馬の兵士達は次々と吹き飛んでいく

 

自分達の持っている盾は一刀の前ではまるで役に立っていなかった

 

霞「うひゃ~~~~♪面白いように吹き飛んでいくなぁ~~~~♪一刀だけでこの100万の大群相手にできるんとちゃうか♪」

 

嵐「恐ろしいことに、わたしも同じことを考えてしまったぞ」

 

雫「わたしもです」

 

徐栄「以下同文」

 

一刀「皆何言ってんだっ!俺一人に出来ることなんてっ!たかが知れているんだっ!この汜水関だって昨日は雫と皆が守っていたんだぞっ!~~~~~~っ、しっ!はっ!」

 

ドバーーーーーン!!ズギャーーーーーン!!ドカーーーーン!!

 

バカーーーーーーーン!!ズバーーーーーーン!!!ドカーーーーーン!!!

 

「「「「「どわーーーーー!!うぎゃーーーー!!!わーーーー!!」」」」」

 

霞「でもこのままいけばあいつらを全滅させられるかもしれへんで!」

 

一刀「言っとくがっ!俺の氣は無限にあるわけじゃないってのっ!連続で使えるのはせいぜい1~2刻程度だっ!~~~~~っ、だっ!ぜあっ!!」

 

ドカーーーーーン!!バシーーーーーン!!ズバーーーーーーン!!

 

ズガーーーーーーン!!ドバーーーーーーーーン!!

 

「「「「「ぐわーーーーー!!!だーーーーーー!!!!」」」」」

 

嵐「そうか!だから一刀はよくは氣の斬撃を使わないんだな!」

 

一刀「そうだよっ!氣はなるべく温存しないとっ!後々困ることになるっ!それにあまり氣に頼りすぎるとっ!後で痛い目にあうしなっ!~~~~~~っ、しっ!くぁっ!!」

 

ドバーーーーーン!!ズギャーーーーン!!ドカーーーン!!ズバーーーーーン!!!

 

ドカーーーーーン!!!ズガーーーーン!!ドバーーーーーーーーン!!

 

「「「「「ぎゃーーーーーー!!うぎゃーーーーーー!!」」」」」

 

雫「背中の金剛刀はどうなのですか?」

 

一刀「この金剛刀はっ!鬼が龍を斬り倒すためにっ!鍛えたといわれるっ!いわく付の妖刀だからなっ!だから氣を込めることが出来ないんだっ!~~~~~~~っ、はぁっ!どりゃっ!」

 

ズバーーーーーン!!ドバーーーーーン!!ザーーーーーーン!!ドカーーーーーーン!!

 

バーーーーーーン!!ドカーーーーーーーーン!!!ズドーーーーーーーーン!!!

 

「「「「「どぎゃーーーーーー!!!がはーーーーーーーー!!」」」」」

 

徐栄「隊長!敵が退いていきます!」

 

一刀「・・・・・まあこれだけやれば、いくらなんでも退くだろうな」

 

汜水関の前には死屍累々の風景が広がっていた

 

一刀「よし、霞、嵐、もう一度行くぞ!!」

 

雫「はぁ・・・・・結局またこうなるのですね・・・・・わかりました、それと一刀様」

 

一刀「なんだ?雫」

 

雫「もしあちら側に、諸葛亮と鳳統と言う人物がいましたら徐庶がよろしくと言っていたと伝えてくださいませんか?」

 

一刀「!?・・・・・わかった、伝えておこう」

 

一瞬驚いたが、一刀はそういって再び汜水関から飛び降りて走って行ってしまった

 

霞「よっしゃ!うちは馬の旗のところに行くで!・・・・・葵・・・・・寿成のばっちゃんに用があるからな」

 

嵐「ならばわたしも霞に同行しよう」

 

雫「昨日のようにしばらくしたら銅鑼を鳴らしますので、ちゃんと帰ってきてくださいね」

 

霞「おう!」

 

嵐「承知した!」

 

徐栄「では、我々は昨日と同じく防御に専念ですね」

 

雫「お願いします、徐栄さん」

 

徐栄「いえいえ、我々北郷隊の武器は我慢強さと忍耐力ですからね、たった一週間やそこらの防衛ではへこたれませんよ」

 

そして戦いは昨日と同じく一騎打ちへとなだれ込んでゆく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバーーーーン!!ドバーーーーン!!ザーーーーーン!!ドカーーーーーーン!!

 

バーーーーーン!!ドカーーーーーーーン!!!ズドーーーーーーーーン!!!

 

「「「「「どぎゃーーーーーーー!!!がはーーーーーーーー!!」」」」」

 

桃香「うわわわわわわわ・・・・・」

 

星「くっ!拙いぞ!」

 

葵「一方的だな、おい!」

 

白蓮「本当に北郷一刀は善なる者なのか!!?まったく容赦ないように思えるぞ!!?」

 

一刀一人に一方的に蹴散らされる味方の兵達

 

各将達は流石に焦りまくっていた

 

翠「母さん、兵達を下がらせないと拙いって!」

 

葵「そうだな、皆!いったん下がるぞ!」

 

朱里「はわわ、桃香様!わたし達も下がらないと危険です!」

 

雛里「あわわわわわわわわ・・・・・」

 

桃香「うんわかったよ!愛紗ちゃんお願い!」

 

愛紗「はっ!桃香様!全軍一旦退け!」

 

そして、桃香達の兵士は次々と後退していった

 

その時

 

兵士「報告です!」

 

愛紗「どうした!!?」

 

兵士「北郷一刀が、また汜水関から打って出ました!」

 

愛紗「なんだと!?」

 

「!!!???」

 

一同は驚いた

 

このまま篭城すれば、少なくとも数日は耐えられるはず、わざわざ危険を冒してまで打って出る必要は無いはず

 

一同は一刀の常識はずれな行動にただただ驚いていた

 

しかし程なくしてその理由がわかってくる

 

兵士達「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」(ガタガタガタガタ、ブルブルブルブル)

 

元黄巾党の兵士達は一刀の姿を見て震え上がっている

 

一刀はこちらの兵士達を心理的に使い物にならなくしようとしているのだと

 

星「こうなったら、我らが一刀殿を止めるしかあるまい、愛紗!鈴々!付き合え!」

 

愛紗「わ、わかった!」

 

鈴々「合点なのだ!」

 

桃香「星ちゃん!・・・・・あの、できれば・・・・・」

 

星「ええ、わかっていますとも、必ずや一刀殿から事の成り行きを聞きだしますゆえ」

 

桃香「お願いね、愛紗ちゃんも鈴々ちゃんも怪我をしたらだめだからね!」

 

愛紗「わかっています!桃香様!」

 

鈴々「心配しなくても鈴々は無敵なのだ!」

 

そういって三人は一刀に向かっていった

 

白蓮「ちょっと待て!わたしを置いていくなーーーーーー!!」

 

ズダダダだダダダだダダダだダダダだ!!!

 

白蓮も何とか自分の存在を忘れさせまいと気合を入れて後を追っていった

 

葵「翠!俺らも行くぞ!」

 

翠「ああ!!」

 

葵「お前は張遼の相手をしろ!俺は華雄だ!」

 

翠「そ、そんな!?ずるいぞ母さん、あたしだって華雄と戦いたいぞ!」

 

連合軍の情報交換で華雄が情報通りの愚者ではなく、紛れもない一騎当千の良将だということは分かっていた

 

翠も連合に参加した理由をそっちのけでそんな強いやつと戦いたいと思うのが本音であった

 

しかし葵は

 

葵「だめだ!今のお前が華雄とやれば、最悪お前は死ぬ!」

 

翠「か、母さん!?何を!?」

 

翠は、葵の言うことが信じられなかった

 

自分だって涼州にその人有りと言われた涼州連盟の長、馬寿成に散々に鍛えられかなりの自信を持っていたのにだ

 

葵「情報によれば、華雄は劉備のとこの関羽を一方的に押していたようだからな、今のお前の実力はどう頑張っても関羽のそれと大差ない、だからお前に華雄はまだ早い!」

 

翠「・・・・・わかったよ、母さんの言うことは外れたことは無いからな」

 

葵「悪いな翠、でも悔しかったらもっと努力するんだな」

 

翠「あったりまえさ!」

 

翠は、自分に気合を入れなおした

 

葵「分かっていると思うが、張遼のやつは俺の知り合いだ、今回のことについて聞く好機かもしれん、そのことだけは頭に入れとけ!」

 

翠「分かっているよ!」

 

そして二人は戦場へ赴いていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星「一刀殿!」

 

一刀「星か!」

 

星「久しいですな、一刀殿」

 

一刀「ああ、星も元気そうで何よりだ」

 

星「・・・・・・・・・・」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

しばらく沈黙が続く

 

何時か二人がした約束、『いつか試合をしよう』

 

この約束がこんな形で果たされることになるとは、二人とも思っていなかったのだから

 

星「・・・・・一刀殿」

 

一刀「分かっている、星が聞きたいことは・・・・・何故俺が董卓の陣営にいるのか?・・・・・だろう」

 

星「その通りです、一刀殿、答えてください!」

 

愛紗「わたしも聞きたいです!」

 

鈴々「鈴々も聞きたいのだ!」

 

一刀に助けられたことがある二人は、一刀の今回の行動の理由をどうしても知りたかった

 

すると一刀は

 

一刀「自分達の行動を一から順に整理してみてくれ、そうすれば答えは出てくる」

 

星「・・・・・・・・・・」

 

愛紗「・・・・・・・・・・」

 

鈴々「・・・・・・・・・・」

 

三人はしばらく考えるが、答えは出てこなかった

 

一刀「分からないならそれでいい、最終的には星達自身に悪いようには転ばないさ」

 

星「それは、どういう意味ですかな?」

 

一刀「この戦いが終わった後で分かるさ・・・・・それよりも星、いつかした約束を覚えているか?」

 

星「忘れるわけがありますまい、わたしが始めに切り出した約束ですからな」

 

一刀「こんな形になってしまって残念だけどな・・・・・」

 

星「仕方ありますまい・・・・・」

 

二人は互いの武器を構えようとする

 

その時

 

愛紗「ちょっと待ってくれ、星!」

 

星「!?どうした、愛紗?」

 

愛紗「北郷殿、わたしは姓は関、名は羽、字は雲長です」

 

一刀「!?・・・・・君が幽州の青龍刀、関羽雲長か」

 

関羽、三国志演義における軍神、義王

 

その存在は後に関帝聖君と呼ばれ、商売の神様として崇められている

 

一刀「俺は、北郷一刀だ」

 

愛紗「以前、我らの危機を助けていただいたこと、遅ればせながらここでお礼を申し上げさせていただきます」

 

鈴々「鈴々は張飛なのだ、あの時はありがとうなのだ、お兄ちゃん!」

 

一刀「君が燕人張飛か・・・・・あの時は俺も挨拶もせずに立ち去ってしまったからな、気にしなくていいよ」

 

愛紗「そう言って頂けると幸いです」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

愛紗「・・・・・・・・・・」

 

一刀と愛紗はしばらく見詰め合っていた

 

一刀の愛紗を見た感想は

 

一刀「(何て綺麗な人なんだろう、とても後の世の関帝聖君には見えないな)」

 

愛紗の綺麗な黒髪とその立ち姿に思わず見惚れてしまった

 

愛紗の一刀を見た感想は

 

愛紗「(何て凛々しい御方だろう、もし桃香様よりも先にこの人に会っていれば、わたしは・・・・・)」

 

長く伸びた髪を後ろで縛り、鏡のように洗練された細い剣を持っている

 

そして何よりも目に付くのは、彼が背中に背負っている大剣

 

それがより一層、彼の雰囲気を引き立てている

 

愛紗「・・・・・あなたは、一体何者なのですか?」

 

一刀「?・・・・・質問の意味が分からないが」

 

愛紗「あなたは、今都で噂されている天の御遣いと言われています」

 

一刀「たぶん人違いだと思うな、俺はそんな大層なものじゃない」

 

愛紗「自分でも不思議でしょうがないのですが、わたしは天の御遣いという虚名になぜか引かれてしまうのです」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

愛紗「そして、北郷一刀、この名を口にするたびに胸の中が暖かくなります、この感情を自分でも理解できないのです」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

愛紗「教えてください!あなたは一体誰なのですか!?」

 

一刀「・・・・・すまない、その質問の答えを俺は持っていない」

 

愛紗「・・・・・そうですか」

 

ようやく北郷一刀に会えたのにがっくりきてしまう、自分の中のもやもやの原因が分かると思っていたのに、結局何一つ分からないままに終わってしまったのだから

 

一刀「君の質問には答えられないけど、答え探しの手伝いくらいは出来ると思うよ」

 

そして、一刀はいきなり龍滅金剛刀を抜いた

 

星「っ!・・・・・いきなり本気ですかな?一刀殿」

 

一刀「星達三人を相手に手を抜くことは出来ないからね」

 

星「ふっ・・・・・愛紗、鈴々、行くぞ!!」

 

星は、一刀に向かって駆け出す

 

鈴々「行くのだ!・・・・・って、なにしているのだ愛紗!?」

 

愛紗「・・・・・・・・・・」

 

愛紗は自問自答していた

 

愛紗「(どうしてしまったのだわたしは、何故だかこの人には刃を向けてはならぬような気がしてならない)」

 

自分の中の感情をいまだに制御できないでいた

 

愛紗「(・・・・・だが、今のわたしは桃香様一の家臣を自負している、桃香様の敵は薙ぎ払うのみ)」

 

自分の中の感情を無理やり押さえこむ

 

愛紗「行くぞ!鈴々!」

 

鈴々「合点なのだ!」

 

こうして一刀VS愛紗&鈴々&星の戦いが始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白蓮「わたしの名は公孫賛!わたしの相手h(ドカッッッ!!)ぎゃっ!!」

 

名乗り終える前に白蓮は霞に吹っ飛ばされた

 

霞「ん?・・・・・なんか言ったか、嵐?」

 

嵐「?・・・・・いや」

 

霞「そっか、気のせいか・・・・・」

 

霞と嵐はそのまま馬の旗へと走っていった

 

白蓮「・・・・・な・・・・・なんで・・・・・わたしだけ・・・・・こんな扱いなんだ・・・・・」

 

哀れハム、僕達は君の事を決して忘れないよ

 

白蓮「まだ死んでないっての!!それとハムとか言うな!!・・・・・(ガクッ)」

 

ポクポクポクポクチーーーーーーーーーーーーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翠「母さん、あいつらは!」

 

葵「張遼に華雄か・・・・・皆は手を出すな、俺と娘だけで行く!!!」

 

「「「「「はっ!!!」」」」」

 

そして、両者は向かい合う

 

霞「久しぶりやな、葵のばっちゃん」

 

葵「俺はまだ十分に若いぞ、ばっちゃん呼ばわりするな!!・・・・・それより霞、聞きたいことがある」

 

霞「分かっとるで、どうして月に味方しとるか、やろ」

 

葵「同じ涼州人が洛陽で暴政をしているなんて信じられないからな、特に月はそんな子では無いはずだからな」

 

嵐「貴公らは、真相を確かめに来た、というところか?」

 

翠「そうだ、同じ涼州人として、いや天主に弓引くものは誰であろうと敵だからな!!」

 

霞「・・・・・月は、暴政なんぞしとりゃせん」

 

葵「それを証明することは?」

 

霞「・・・・・できんわ」

 

葵「・・・・・本来ならお前達の言うことを信用しているところだろう・・・・だが!」

 

愛槍、戦皇刀姫を構える

 

葵「証明できない以上、もしもというものがある、俺は漢王朝に忠誠を誓った身だ、証明したければ自らの武で語って見せよ!!」

 

霞「くっ・・・・・やっぱり説得は無理か、あわよくばと思ったんやがな・・・・・」

 

嵐「霞!!」

 

霞「分かっとる、ばっちゃんの相手はうちはできへん、うちは馬超の相手する、任せたで!!」

 

嵐「うむ!・・・・・馬騰殿、この華雄がお相手仕る!!」

 

葵「こっちもそのつもりだったからな、華雄!!」

 

嵐「涼州にその人在りといわれた馬騰殿に指名されるとは光栄だ、いざ尋常に・・・・・」

 

葵「勝負!!!」

 

翠「来い、張遼!!」

 

霞「言われんでも行ったるわ、馬超!!」

 

こうして嵐VS葵、霞VS翠の戦いが切って落とされた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチーーーーーン!!ガアーーーーーン!!カアーーーーーーン!!ギュイン!!カアーーーーン!!

 

ギャアーーーーン!!ギイーーーーン!!バチーーーーーーン!!ガキーーーーーーーン!!

 

一刀「ふっ!!はぁっ!!せいっ!!」

 

星「はいはいはいはいはいーーーーーーー!!!」

 

鈴々「うりゃりゃりゃりゃーーーーーーーーー!!!」

 

愛紗「せーーーーーーーーい!!!」

 

劉備軍の一騎当千の将が三人がかりで一刀に挑んでゆく

 

キイーーーーーーーーン!!カアーーーーーーーン!!ガアーーーーーーーーン!!

 

ギイーーーーーーン!!バチーーーーーーーーン!!ガキーーーーーーーーーン!!

 

剣道三倍段、剣を持つ者に素手の者が勝つには相手の三倍の力量が必要といわれる言葉である

 

一刀「はあああああ!!せいあ!!だっ!!」

 

カアーーーーーン!!ガキーーーーーン!!キイーーーーーン!!ガアーーーーーン!!

 

ガキーーーーーーン!!ギイーーーーーン!!バチーーーーーーン!!ギャアーーーーーン!!

 

剣を持つものと槍を持つものでも同じことが言えるのかもしれない

 

愛紗、鈴々、星の武器は形は違えど、間違いなく槍の部類に入るだろう

 

しかし一刀は、そんなものは関係ないといわんばかりに忠久と金剛刀で三人の攻撃をいなしていく

 

ガキーーーーーーーーーン!!!

 

星「くっ!!やはりわたしの見込んだ通りだ一刀殿!あなたの武はすばらしいぞ!」

 

ガアーーーーーーーーン!!!

 

鈴々「わわっ!!・・・・・凄いのだ!」

 

愛紗「・・・・・せいやーーーーーーーー!!!」

 

一刀「!・・・・・はあああああああ!!」

 

ガキーーーーーン!!キイーーーーーーーーン!!カアーーーーーーーン!!ガアーーーーーーーーン!!

 

愛紗はいきなり、これでもかと言わんばかりに一刀に切りかかっていった

 

鈴々「にゃ!?愛紗!?」

 

星「愛紗!?」

 

いきなり吹っ切れたような愛紗の変わりように二人は驚いた

 

愛紗「(北郷殿!どうです!?これがわたしです!)」

 

一刀に自分の思いを届けといわんばかりに攻める愛紗

 

一刀「(凄いな!怖くて逃げ出したいくらいだ!)」

 

一刀も愛紗の思いの篭もった攻撃を受けきっていく

 

星「・・・・・面白くないな」

 

鈴々「・・・・・鈴々も同じことを考えたのだ」

 

自分達を無視し互いの武器を交える二人になんとも言えない感情が湧いてきた

 

そして

 

キイーーーーーーーーーン!!!

 

愛紗「うわっ!!!」

 

一刀が愛紗の斬撃を金剛刀で弾き返した

 

一刀「恋・・・・・呂布には届かないけど、いつか同じ所へ到達しそうだな」

 

愛紗「!?あの天下無双といわれた呂布にですか!」

 

一刀「ああ、俺が保証するよ」

 

爽やかな笑顔で、愛紗の武に賛辞を贈った

 

愛紗「あ・・・・・ありがとうございます!///////」

 

一刀「??・・・・・どういたしまして」

 

そういってまた愛紗は一刀に挑んでいった

 

まるで心を通じ合わせるように

 

星「・・・・・わたし達も負けてられないな、鈴々」

 

鈴々「行くのだ!」

 

二人も仲間はずれにするなと言わんばかりに一刀に挑んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「どりゃーーーーーーー!!」

 

ガキーーーーーーーーーーーン!!

 

翠「くっ!!でりゃーーーーーーーーー!!」

 

キーーーーーーーーーーーーン!!

 

霞と翠の戦いは一進一退をずっと維持していた

 

しかし翠の表情には少し変化が現れていた

 

翠「(このまっすぐな攻撃、こいつは嘘をついていない!?)」

 

霞の思いを込めた飛龍堰月刀の攻撃は確実に翠の心に届いていた

 

翠は必死に自身の愛槍、銀閃で応戦する

 

霞「どないした、こんなもんやないやろ、錦馬超の実力は!!!」

 

ギャイーーーーーーーーーーン!!!

 

翠「くぁっ!!・・・・・まだまだーーーーー!!!」

 

ガキーーーーーン!!キイーーーーン!!カアーーーーン!!ガアーーーーーン!!

 

どちらもまったく引かず、戦いは降着状態へと落ちていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチーーーーン!!ガアーーーーン!!カアーーーーーン!!ギュイン!!カアーーーーーーン!!

 

ギャアーーーン!!ギイーーーーン!!バチーーーーーーーン!!ガキーーーーーーーン!!

 

葵「ぬっ!!なかなかやるじゃないか♪」

 

嵐「はぁ、はぁ・・・・・まだまだ!!」

 

嵐と葵の戦いは序盤は葵が押していたが、少しづつ嵐が盛り返してきていた

 

カアーーーーーン!!ガキーーーーーン!!キイーーーーーーーン!!ガアーーーーーーーン!!

 

葵「くおっ!?・・・・・へ~~~、どうやらお前は戦いの申し子のようだな、相手が強ければ強いほど、戦えば戦うほど強くなっていく人間のようだ♪」

 

嵐「はぁ、はぁ・・・・・確かにそうなのかもしれない、だが他にも理由がある」

 

葵「なんだ?」

 

嵐「わたしは、一刀がこちらの陣営についてからずっとあいつに稽古をつけてもらっていた、それに・・・・・」

 

葵「それに?」

 

嵐「わたしにはもともと真名は無かった、それを一刀から貰ったときからわたしは変わることが出来たんだと思う」

 

葵「・・・・・ふっ、俺もその北郷一刀という者に会いたくなってきたぞ♪」

 

嵐「それはわたしに勝ってから言うのだな!・・・・・それに一言言わせて貰うが、あなたの実力は一刀のそれには及ばない」

 

葵「!?・・・・・ほう、言うじゃないか、ますます会いたくなってきたぞ!おらあああああ!!!」

 

嵐「はああああああああああああ!!!」

 

ガキーーーーーン!!キイーーーーーーン!!バチーーーーーーン!!

 

最終的に両者の攻防は互角に近いものとなっていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャーーーーーーン!!ジャーーーーーーーン!!ジャーーーーーーーーン!!

 

一刀「!・・・・・そろそろ時間か」

 

一刀は金剛刀を鞘にしまい汜水関へと戻ろうと駆け出す

 

星「逃がしませぬぞ、一刀殿!」

 

愛紗「まだ付き合ってもらいますぞ!」

 

鈴々「逃がさないのだ~~~~!!」

 

三人は汜水関へ帰ろうとする一刀を追う

 

しかし

 

一刀「~~~~~っ・・・・・はっ!」

 

ズバーーーーーーーーーーン!!

 

星「くっ!!」

 

愛紗「うわっ!」

 

鈴々「にゃにゃーーーーーー!」

 

氣の斬撃を地面に放ち、一刀は三人の前進を止め汜水関へと去っていく、が

 

一刀「あそうだ、忘れるところだった・・・・・星!」

 

氣の斬撃により舞い上がった土煙ごしに一刀は星に問いかける

 

星「なんでしょうか、一刀殿!」

 

一刀「こっちには、徐庶という軍師がいるんだが、彼女が諸葛亮と鳳統によろしく言っていたと伝えてくれないか!?」

 

星「!?・・・・・あい分かった!伝えておきましょう!」

 

一刀「ありがとう!星!」

 

一刀はそのまま汜水関へと去っていった

 

星「・・・・・想像以上の強さだったな」

 

鈴々「にゃ~~~~~、鈴々今度は一人で戦いたいのだ」

 

星「それは止めといたほうがいいな、今の鈴々では百歩譲っても返り討ちが関の山だ」

 

鈴々「にゃ~~~~、やっぱりそうか」

 

愛紗「・・・・・・・・・・」

 

愛紗は、土煙が晴れてきて見えるようになった一刀の後姿をずっと見つめていた

 

愛紗「・・・・・北郷様/////」

 

もはや天の御遣いとかそんなものは二の次になっていたのかもしれない

 

彼の姿を見るたびに、声を聞くたびに胸の鼓動が早くなる

 

星「・・・・・なるほど♪」

 

愛紗「な、なんだ?」

 

星「いや、どうやら愛紗は一刀殿に惚れてしまったようだな♪」

 

愛紗「なななななな何を言っておるのだ星!!わわわわわわ私はそんな!!//////////////」

 

鈴々「愛紗が耳まで真っ赤なのだ♪」

 

愛紗「鈴々!余計なことを言うな!///////////」

 

鈴々「にゃはははははははははは♪♪」

 

星「さて、このままここにいても仕方がない、桃香様に、そして朱里と雛里にも報告しないとな」

 

そして三人は自陣へと戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャーーーーーーン!!ジャーーーーーーーン!!ジャーーーーーーーーン!!

 

霞「おっと、戻らんとな!それじゃな!錦馬超!!」

 

ガキーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

 

翠「うわわっ!!・・・・・ちょっと待ってくれ!」

 

霞「・・・・・なんや?」

 

翠「本当に董卓は、暴政をしていないのか?」

 

霞「・・・・・自分で考えてみ」

 

翠「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギイーーーーーーン!!バチーーーーーーーーン!!ガキーーーーーーーーーン!!

 

葵「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

嵐「はあああああああああああああああ!!!」

 

カアーーーーーーーーン!!ギャアーーーーーーーン!!ギイーーーーーーン!!

 

葵と嵐の戦いは完全に互角の勝負となっていた

 

葵「はぁ、はぁ、おまえの成長の早さには感服だな」

 

嵐「はぁ、はぁ、はぁ、最高の褒め言葉ですよ」

 

笑いあう二人、そして

 

ジャーーーーーン!!ジャーーーーーーーン!!ジャーーーーーーーーン!!

 

嵐「おっと、時間のようだ!」

 

葵「おいおい、堅い事言うなって、もうちょっと付き合えよ!」

 

嵐「・・・・・個人的な戦いならそうもしたいが、わたしは一軍の将だ、規律を遵守させて貰う」

 

そう言い残して嵐は汜水関へ立ち去っていった

 

葵「・・・・・あれだけの良将が要るということは、月は・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香「皆おかえり!それでどうだった!?北郷さんから何か聞き出せた!?」

 

星「そのことなのですが、一刀殿は妙なことを言っておりました」

 

桃香「どんなこと?」

 

星「・・・・・『自分達の行動を一から順に整理してみてくれ、そうすれば答えは出てくる』・・・・・と、言っておりましたな」

 

桃香「・・・・・どういう意味なんだろう」

 

愛紗「・・・・・そういえば星、伝言を頼まれていたのではないか?」

 

鈴々「そういえばそうだったのだ!」

 

星「ああ、そうだったな・・・・・朱里、雛里、一刀殿からの伝言だ」

 

朱里「はわわ!?わたし達にでしゅか!?」

 

雛里「あわわ!?ど、どのような御用件でしょう!?」

 

星「なんでも、徐庶という軍師が汜水関にいるらしく・・・・・」

 

朱里「はわわ!?雫ちゃんが!?」

 

雛里「あわわ!?どういうことなのでしょうか!?」

 

愛紗「やはり知り合いなのか、どのような関係なのだ?」

 

朱里「はい、元直ちゃん、雫ちゃんはわたし達と同じく水鏡女学院に通っていたお友達です」

 

雛里「成績優秀で水鏡先生から将来を有望されていた子です」

 

桃香「ますます分かんないな、どうしてそんな人達が董卓さんに味方しているんだろう・・・・・」

 

朱里「・・・・・・・・・・」

 

雛里「・・・・・・・・・・」

 

朱里と雛里は衝撃を受けていた

 

まさか自分達の親友が敵側にいるとは露とも思っていなかったのだから

 

このまま続ければ、確実にこちらの被害もただではすまない、それくらい二人は雫のことを認めていたのである

 

しかし、今となっては手遅れである

 

この反董卓連合は、洛陽で暴政をしている董卓を討つという大義名分を掲げて戦端を開いてしまった

 

ここで止めたり、最悪負けてしまえば自分達の主を窮地に立たせてしまう

 

一国の軍師としてそれだけは避けねばならないのだ

 

朱里「・・・・・・・・・・」

 

雛里「・・・・・・・・・・」

 

二人が自己嫌悪に陥っていると

 

白蓮「うぉ~~~~~~~い・・・・・」

 

桃香「え?・・・・・うわっ!?白蓮ちゃん!?どうしたのそんなにボロボロになって!」

 

星「どうしたのですか?伯珪殿?」

 

白蓮「どういたもこうしたもない、もとはといえばお前達がわたしを置いてとっとと前に行ってしまうからこんなことになったんだろうが」

 

星「それはすまないことをしましたな、しかしそもそも伯珪殿は存在感があまりにも薄いのです、それではすぐそばにいても気付いてあげられませぬ」

 

愛紗「それはもっともだ、わたしも一緒に会議をしていてもいたことを忘れてしまうことが多々あります」

 

鈴々「鈴々は数え切れないほどあるのだ!」

 

桃香「皆言いすぎだよ!白蓮ちゃんは存在感がないのが取柄みたいなものなんだから!」

 

白蓮「うっ!!??(グサッ!!)」

 

桃香からとどめの一撃を貰う

 

朱里「桃香様、助け舟になっていないかと・・・・・」

 

桃香「え?・・・・・あ!ご、ごめんね白蓮ちゃん!今のは言葉のあやで!」

 

白蓮「いいんだ、今に始まったことじゃないからな・・・・・(グスン)」

 

哀れハム

 

白蓮「だからハムって言うな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翠「・・・・・母さん、董卓は本当に暴政をしているのかな、あたしには袁紹の手紙が嘘っぽく思えてきたよ」

 

葵「正直俺もだ・・・・・こうなったら本来の目的通りに動こう」

 

翠「どういう意味だ?」

 

葵「あくまで、この戦いを傍観するということさ、これからの戦い、馬騰軍は後方へ下がる」

 

翠「いいのか?今更そんなことしだしたら袁紹に何言われるか分からないぜ」

 

葵「俺の病気がぶり返したということにしよう、そうすればあいつも納得するだろう」

 

翠「うわっ、仮病かよ!きったね~~」

 

葵「そう言うな、今回の戦いでこっちの兵もだいぶやられているからな、これ以上は百害あって一利無しと判断しよう」

 

翠「わかったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから汜水関の戦いは、二日の間休みなく行われた

 

馬寿成引きいる涼州の軍は、馬騰の突然の病気のぶり返し(仮病)によって戦線離脱

 

その穴を埋めるように孫策軍が前線へと復帰する

 

しかし

 

一刀「でぇやあああああああああああああああああ!!!」

 

ズバーーーーーン!!ドバーーーーーーン!!ザーーーーーーン!!ドカーーーーーーーン!!

 

バーーーーーーン!!ドカーーーーーーーン!!!ズドーーーーーーーーーーーン!!!

 

「「「「「「「ぎゃーーーーーーー!!!うわーーーーーーーー!!!!」」」」」」」

 

例え城壁に到達しても一刀の氣の斬撃により跳ね返されてしまう

 

もちろん一刀の氣は無限ではないため、一刀が前線に出ないときはこれでもかといわんばかりに攻め立てる

 

しかし

 

雫「一刀様を休ませて差し上げるためにも、ここが踏ん張りどころです!皆さん!頑張って下さい!」

 

徐栄「はっ!お前ら!日頃隊長のお世話になっているんだ!ここで普段の恩を返さなくてどうする!北郷隊の力を今こそ発揮するぞ!!」

 

「「「「「「おう!!!我らが誇りは、この盾にあり!!!」」」」」」

 

汜水関へと浴びせられる矢の雨を董卓新鋭防衛隊は耐えて耐えて耐えまくる

 

しかし、これだけの攻撃に晒されては、流石に被害ゼロというわけにはいかない

 

董卓軍の被害は確実に増えていく

 

しかし忘れてはならないのが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「げ・ん・き・に・なれええええええええええっ!!!」

 

ぴしゃーーーーーーーーーーーーん!!!!

 

そう、一刀にはこの五斗米道(ゴットヴェイドー)がある

 

怪我をした兵士達は次々と癒され、奇跡的にここまで一人の死者も出していなかったのである

 

一刀率いる董卓新鋭防衛隊の防衛能力は大陸最強といっても過言ではなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朱里「はわわ、やっぱり雫ちゃんが指揮を取っているんだ」

 

雛里「あわわ、やっぱり雫ちゃんはすごいね朱里ちゃん」

 

朱里「うん、でも雫ちゃんが指揮してることもあるんだろうけど・・・・・」

 

雛里「うん、あの兵士さん達の練度、防御に関してだけ言えば、わたし達の兵士さん達の数倍、もしかしたら数十倍かもしれないね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥琳「・・・・・すさまじい防御力だな、だれがあの兵士達を鍛えたんだ?」

 

穏「おそらくは、北郷一刀さんでしょうね」

 

冥琳「やはり穏もそう思うか」

 

穏「それ以外に説明が付かないですからね~」

 

冥琳「情報では、あれだけの能力を持ちながら北郷一刀は董卓軍の客将らしいが・・・・・」

 

穏「どういうことなんでしょうかね~?」

 

冥琳「・・・・・わからん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして汜水関の戦い三日目

 

 

 

 

 

 

 

 

どんなに防衛能力が高くても、もともと三日分の糧食しかもって来ていなかったため、董卓軍の主な将は流石にここら辺が限界だろうと思っていた

 

一刀「雫!そろそろ虎牢関へ退く準備をしてもいいんじゃないか!?」

 

雫「そうですね、あまり長居し過ぎると逃げ時を失ってしまうことがありますから、徐栄さん!撤退の準備をお願いします!」

 

徐栄「はっ!」

 

徐栄は汜水関の裏へと走っていった

 

一刀「霞と嵐も撤退の準備をしてくれ!」

 

霞「一刀だけで大丈夫か?」

 

一刀「しばらく防御するだけでいいんだ、俺の隊の能力は知っているだろう?」

 

霞「分かった!」

 

嵐「また後でな!一刀!」

 

一刀「ああ!・・・・・皆!もう少しの辛抱だ!もう少ししたら虎牢関へ撤退する!しかし油断はするな!最後まで気を抜くんじゃないぞ!」

 

「「「「「「はっ!!北郷隊長!!」」」」」」

 

一刀「俺も、もう一仕事するか」

 

シュキン!

 

一刀は忠久を抜き、そして

 

一刀「はぁ~~~~~~~~・・・・・はあああああああああああああ!!せいっ!!はぁっ!!」

 

ズバーーーーーン!!ドバーーーーーン!!ザーーーーーーン!!ドカーーーーーーーン!!

 

バーーーーーン!!ドカーーーーーーーーーン!!!ズドーーーーーーーーーーーン!!!

 

「「「「「「うわーーーーーーー!!!どわーーーーーーーーー!!!」」」」」」」

 

城壁の下目掛けて氣の斬撃を放つ

 

汜水関への攻撃が一瞬止む

 

一刀「よし!今のうちに撤退の準備だ!各員退け!」

 

「「「「「「おう!!!」」」」」」

 

兵士達は、盾を担ぎながら悠々と撤退していく

 

そんな中

 

一刀「何してるんだ雫!?お前も行け!」

 

雫「いやです、一刀様を置いていけません!!」

 

一刀「別に殿をするってわけじゃないんだ、大丈夫、俺も後から行くから」

 

雫「・・・・・分かりました、すぐに来てくださいね!」

 

一刀「ああ、分かってる!」

 

雫はそのまま階段を下りて汜水関の裏へと走っていった

 

一刀「さてと、残るは俺一人か、そろそろ・・・・・うおっ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「・・・・・ん?冥琳、ちょっと見てくれない」

 

冥琳「どうした雪蓮?」

 

雪蓮「汜水関の兵士達が次々と見えなくなっていくわ」

 

冥琳「・・・・・そうか分かったぞ!!雪蓮、今こそ総攻撃だ!!」

 

雪蓮「そう来るだろうと思ったわ♪」

 

蓮華「え?どうしたのお姉様?」

 

雪蓮「よく見なさい蓮華、汜水関から兵士達が見えなくなってきているでしょう?」

 

蓮華「・・・・・そういえば!?」

 

穏「おそらく董卓軍は三日分の食料しか持ってこなかったんでしょうね、だからここで撤退を選択したんだと思いますよ~♪」

 

雪蓮「そういうことよ・・・・・孫呉の勇者達よ!敵はこの三日の防衛で物資が底を尽いたぞ!今こそ総攻撃だ!」

 

「「「「「「「「おおーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

 

雪蓮「興覇!明命!祭!行きなさい!!」

 

思春「御意!!」

 

明命「はっ!!」

 

祭「おう!!行くぞひよっこども、ワシに続け!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「くっ、拙いな!!・・・・・はぁ~~~~~・・・・・どぉりゃーーーーーーーー!!!!」

 

バーーーーーーン!!ドカーーーーーーン!!!ズドーーーーーーーーーン!!!

 

ドバーーーーーーーン!!ザーーーーーーーン!!

 

一刀「ちっ!!怖気ないか!!」

 

敵に向かって氣の斬撃を放ちまくるが敵兵達はごり押しで汜水関へ突っ込んでくる

 

一刀「っ!!人海戦術そのものだな、そろそろ俺も行くか・・・・・しっ!!はっ!!」

 

ズバーーーーーーーーーン!!ドバーーーーーーーーーーン!!

 

敵兵に向かって最後の氣の斬撃を放つ

 

一刀「狛煉!!」

 

狛煉「ヒヒーーーーーーーーン!!」

 

一刀「はっ!!よっと!」

 

汜水関の裏へ飛び、着地してそのまま狛煉に飛び乗った

 

一刀「みんな!撤退するぞ!!」

 

霞「よっしゃ!」

 

嵐「よし!行くぞ!」

 

雫「はい!一刀様!」

 

徐栄「はっ!隊長!」

 

こうして董卓軍は、虎牢関へと退いていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドーーーーーーン!!!ドーーーーーン!!!ドーーーーーーーン!!!メキメキ!!バキャア!!!!

 

孫呉の兵士達は破城槌で汜水関の城門をこじ開けた

 

思春「ようやく開いたか」

 

祭「むっ!?・・・・・そうか、通りで開かないわけだ」

 

関の中には一本の丸太が転がり、大きな穴が開いていた

 

どのような原理で防衛していたのか一目瞭然である

 

明命「はうあ!!?敵兵が一人もいません!!」

 

思春「それはそうだろう、我々が暢気に城門をこじ開けている間に撤退されたのだ」

 

祭「敵ながら天晴れじゃな・・・・・それよりも汜水関の占拠を済ますぞ!」

 

思春「はっ!」

 

明命「はい!」

 

こうして汜水関一番乗りは雪蓮ひきいる孫呉のものになった

 

これに対して麗羽と美羽は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麗羽「きーーーーーー!!!なんてことでしょう!!今回わたくし達が攻めていれば汜水関の功績はわたくしの物でしたのに!!」

 

美羽「七乃!彩!孫策のやつがわらわより目立っておるのじゃ!許せないのじゃ!」

 

七乃「そうですね~~、それじゃ次の虎牢関では私達が前に出ちゃいましょうか♪」

 

彩「美羽様のためならば!この紀霊!虎牢関の一つや二つ、軽く落としでみましょう!!」

 

美羽「おお~~~~~♪頼もしいのじゃ♪次からはわらわの破竹の快進撃を見せてやるのじゃ♪」

 

そんな死にに行くよな事を大声でのたまっていると

 

麗羽「なんですって!?美羽さんだけずるいですわ!!斗詩さん!猪々子!悠さん!次の虎牢関はわたくし達も前に行きますわよ!」

 

斗詩「ちょっと待ってくださいよ!麗羽様!総大将が戦の序盤から前線に出るなんて非常識にも程がありますよ!」

 

猪々子「いいんじゃねえの斗詩?そろそろあたいも暴れたいし!」

 

悠「あたしもそろそろ本格的に体を動かしたいぞ、じっとしているのは飽き飽きだ!」

 

斗詩「も~~~~~、どうしてこんなことに・・・・・」

 

哀れ斗詩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして汜水関の功績は孫呉、その次に劉備その次に公孫賛といった順になっていったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちはseigouです

 

実はこの物語のタイトルですが、はじめは孤高の御遣いだけだったんですよ

 

後になっていざ投稿しようと思った時、一刀の風体を想像したら『あれ?もしかして』と思い後ろにくっつけたのです

 

自分としては気に入っていますが、皆さんはどうでしょう?

 

次回はとうとう虎牢関偏に突入です

 

なんか一ヶ月でよくここまで来たよなって感じなんですが、皆さんにとってはどうですかね

 

ペースは遅いですか?早いですか?それとも普通ですか?

 

では次回!!お楽しみに!!


 
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