No.182857

軍師†無双 ~策がなかなか決まらない~ その4

登場人物が多いので会話が多くなっちゃう。
しかも少し口調が被っちゃう。
そこは愛の力でなんとかしてください。

2010-11-06 01:17:42 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:10673   閲覧ユーザー数:8152

 

 

 

「おい、この近くの街に商人の群れが来ているらしいぜ」

「まじかよ? 久しぶりの獲物じゃん」

「その情報は正しいのか?」

「ああ。昨日街に行った奴がいたから間違いねえ」

「( ゚∀゚)」

「あの街は県令が逃げ出したって噂だぜ」

「まじかよ!? やりたいほうだいじゃんか!」

 

 

 

とある賊の住処。

 

 

「よっしゃ! 野郎共! 戦闘準備だ!」

『うおおおおおおおおおおおおおおおおお!』

 

 

頭の掛け声で賊たちは準備に取り掛かり始めた。

 

 

 

「………………………………」

 

 

それを見つめる少女がいたことに賊たちは気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一刀様、ただいま戻りました」

「亜莎! よかった無事だったんだね」

 

 

亜莎は賊の住処に偵察に出ていた。

 

 

「それでどうだったんだ?」

「はい。予定通り攻めてくるようです」

「そっか……。なんか嫌な感じだな。賊を呼び込むなんて」

 

 

一刀たちはあえて賊を呼び込むことによって、義勇兵を効率的に集めようという作戦をとることにしたのである。

 

 

 

 

「なに。どの道このままではこの街は襲われていた。それが早いか遅いかだけだ」

「そうですねー。むしろ私たちがいる分、生き残る可能性の方が高いのですよ」

「あんたにとって辛いかもしれないけど本気で大陸を平和にしたいのなら我慢しなさい」

「その上であんたが死ねば完璧よ」

 

 

厳しい現実を突きつけられる一刀。

 

 

「大丈夫ですご主人様! きっとこの街は守ってみせましゅ!」

「朱里ちゃん、良いとこ取りだね」

「雛里ちゃん!?」

 

 

そんな一刀を慰めてくれる者もいた。

 

 

「そうだね。これは街を守るためなんだ。みんな、よろしく頼む!」

『御意』

「なら私に跪きなさい」

 

 

激しく協調性を乱す桂花を放置して作戦に移る一刀たち。

 

 

「では作戦に移るとしよう。穏、ねね、準備は出来ているか?」

「はいです~」

「仕込みは完璧ですぞ」

 

 

穏とねねの後ろには街の人が数名集まっていた。

 

 

「では作戦通りさっきのことを街中に知らせてくださいね~」

「まんべんなく行うのですぞ」

『はい!』

 

 

穏、ねねの指示の下、それぞれが別れて走り始めた。

 

 

 

 

「大変だー! 賊が攻めてくるぞー!」

「みんな広場に集まれー!」

「広場に集まった方がいいよー?」

「広場に救世主がいるらしいぞー!」

「俺は精液ってきいたぞー!」

「賊の規模はあまり大きくないらしいぞー!」

「みんなで戦おうー!」

 

 

あらかじめ金を渡して雇った者たちなのでしっかりと働いていた。

 

 

一人、あきらかに別の指示をされた人物がいたのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

街の広場には街中の民が集まっていた。

 

 

ざわざわと騒ぐ人たち。

なぜここに集められたか分かっていないのだった。

 

 

そして銅鑼の音が響き渡り、辺りは静寂した。

 

 

民たちが音源に視線を集中させると、そこには白く輝く服を着た一刀と、十人の軍師がいた。

 

 

「みんな! 聞いてくれ!」

 

 

なんだなんだと皆一刀に注目する。

 

 

「みんなが聞いた通り、この街に賊が向かってきている」

 

 

あからさまに不安になる民。

 

 

「でも安心してくれ。俺はそんな人たちを救うために来た天の御遣いだ!」

 

 

天の御遣いという言葉に激しく反応する民。

その注目を一身に浴びる一刀。

この場はすでに一刀が支配していた。

 

 

 

 

「情けないけど俺一人ではみんなを救う力はない! だが俺の後ろにいる女性たちはあの有名な水鏡女学院で上位の成績を独占していたこの大陸で最高の軍師たちだ! それにみんなの力を合わせれば賊に勝てない道理があるか!? いやない」

 

 

反語表現を使ってしてやったり顔の一刀。

 

 

「みんなの街はみんなで守ろう! だから、俺についてこい!」

 

 

一瞬の静寂の後。

 

 

『うおおおおおおおおおおおおおおお!』

 

 

民衆は雄叫びをあげた。

自分たちの街は自分たちで守るという意思を込めて。

 

 

「一刀様、とても輝いて見えます!」

「はわわ、すごい歓声です」

「あわわわわわわ」

 

 

亜莎、朱里、雛里などはキラキラした眼差しで一刀を見つめていた。

 

 

「何が、俺についてこいよ。気持ちワル」

「さすがにボクもちょっと引くわね」

「ただのアホです」

 

 

毒舌組は容赦なかった。

 

 

「だがやはり北郷には人を引きつける何かがあるようだな」

「私たちがいるのがその証拠ですね~」

「そうですね。我々が居る時点で一刀殿には王としての資質が備わっているということでしょう」

「大陸最高の軍師と言われて、悪い気はしませんねー」

 

 

北郷一刀の旗揚げの瞬間だった。

 

 

 

 

「賊の規模は亜莎によると千にも満たないといったところだそうだ」

「ボクたちの中で戦える者たちは約千五百」

「これだけの条件が揃っているので勝ちは問題ないですね」

「あとはどれだけ被害を抑えられるかですね~」

「一刀様もなるべく被害を抑えてくれと仰っていました」

 

 

眼鏡軍師たち。

 

 

「そうなると正面からの激突は避けないといけませんね」

「挟撃か包囲になりましゅ」

「男なんて突撃すればいいじゃない」

「山々に囲まれた地形を利用するのがいいのです」

「おお。風に良い考えが浮かんだのです」

 

 

ロリペタ軍師たち。

 

 

軍師たちが話し合いを重ねた結果、風の策を用いることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっちょまえに武装してやがるぜあいつら」

「でも俺たちの半分くらいしかいねえじゃねえか」

「弓矢には気をつけろ」

「一回矢が飛んで来た後に隙が出来る。その時に一斉に突撃だ!」

 

 

賊たちは街の前で構えている義勇兵を捉え、進行速度を落とす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「賊が来たぞ! みんな、弓を構えろ!」

 

 

一刀の掛け声と共に義勇兵たちは弓を構える。

そして、賊たちが射程圏内に入る。

 

 

「放てー!」

 

 

 

 

元々大した腕もない義勇兵の矢は賊たちに向かっていったがあまり効果は無かった。

 

 

死傷者は数十名ほどにとどまる。

 

 

そして賊たちは矢の雨が収まると、再び速度をあげて突っ込んでくる。

 

 

「よし、銅鑼を鳴らせ!」

 

 

一刀の指示により銅鑼が鳴らされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「合図だ。全軍突撃!」

『うおおおおおおおおおおお!』

 

 

左翼第一隊冥琳。

 

 

「皆さん、やっちゃってくださいー」

『うおおおおおおおおおおお!』

 

 

右翼第一隊風。

 

 

「はわわ、皆さんお願いしましゅ!」

『カミカミうおおおおおおおおおおお!』

 

 

左翼第二隊朱里。

 

 

「あわわ、ほ、ほーとうれしゅ!」

『死んでもいい~~~!』

 

 

右翼第二隊雛里。

 

 

「さっさと行ってくるのです!」

『うおおおおおおおおおおお!』

 

 

左翼第三隊ねね。

 

 

「さあ、ボクのために行ってくるのよ!」

『ボクッ子ぉおおおおおおおおおおおおお!』

 

 

右翼第三隊詠。

 

 

「皆さん、行ってください」

『うおおおおおおおおおおお!』

 

 

左翼第四隊亜莎。

 

 

「あとは私の掌で踊るのみ」

『うおおおおおおおおおおお!』

 

 

右翼第四隊稟。

 

 

「は~い。それじゃあお願いします~」

『巨にゅぅううううううううううううううう!』

 

 

左翼第五隊穏。

 

 

「共に死んできなさい」

『うおおおおおおおおおおお!?』

 

 

 

これぞ、あの有名な十面埋伏であった。

 

 

 

 

十面埋伏により、あっという間に包囲されてしまった賊たちに勝ち目はなかった。

 

 

一刀たちは驚くほどの被害の少なさで勝利を収めた。

 

 

「みんな、怪我はないか!?」

 

 

軍師たちを見渡す一刀。

といっても彼女たちが直接戦ったわけではないので当然怪我はない。

 

 

「おう兄ちゃん、戦ったのは街の人なんだから怪我はないぜ」

「そうだったな包茎じゃなくて宝譿」

「おお、お兄さんたら卑猥ですねー」

 

 

そんな軽口をたたく風の頭をなでる一刀。

 

 

「ありがとう風。今回は風のおかげで助かったよ」

 

 

微笑みながら頭を撫でてくる一刀に少し見惚れる風。

 

 

「お兄さんの手は温かいのですよー。でもそんな震える手じゃあまり気持ちよくないのですー」

「えっ、ははは」

「だから風が握っててあげるのです」

 

 

一刀の震えた手を握る風。

 

 

 

初めて目の当たりにする殺し合い。

それに恐怖しないわけがなかった。

平気でいられるわけがなかった。

 

 

「強がりはお兄さんには似合わないのですよー」

 

 

彼女たちも戦っているのに自分だけが弱音を吐くわけにはいかないというちっぽけなプライドはその言葉によって霧散した。

 

 

今度は風が一刀の頭を撫でるのだった。

 

 

 

 

「ふん、情けないわね」

「おや? 桂花が真っ先に駆け付けようとしていたではないか?」

「な、なななに言ってんのよ! そんなわけないじゃない!」

「桂花は天邪鬼ですからね」

「あんたには言われたくないわよ稟!」

「ねえ朱里ちゃん。男の人が泣く姿って……」

「興奮しましゅね!」

「朱里ちゃん……。そんなこと思ってたんだ……」

「雛里ちゃんもじゃないの!?」

「せっかく勝ったっていうのに辛気臭くなったわね」

「その通りです」

「いいじゃないですか~。一刀さんらしくて~」

「そうです。一刀様はお優しい方です」

 

 

 

一刀の周りでは軍師たちが騒ぎたてていた。

そんな彼女たちのおかげで一刀はすぐに立ち直ることが出来たのだった。

 

 

こうして初戦を無事勝利で収めた一刀たちだった。

 

 


 
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