時はほんの少しだけ過ぎ、
ようやく町にたどり着いた4人組は早々と宿をとって休んでいた。
「はぁ~俺って口軽いな・・・」
その中で唯一の男、北郷一刀はひとり黄昏ていた。
理由はもちろん程昱、趙雲、郭嘉達との先ほどの会話である。
「風がまだ改名してないのは知ってたし、稟が偽名使ってるのも知ってたのに・・・
星の字は天の知識でごまかせると思うけど、あの二つは無理があるよな」
と、いまさらながら自分の浅はかさを後悔している。
しかし彼を何よりも悩ませていたのは彼女らの反応である。
「あの驚いた顔、やっぱり俺のこと覚えていないんだろうなぁ~
というか知らないんだろうな。また彼女たちに会えるなんて世の中そんなに甘くないか・・・」
いくら同じ顔でも思いでが記憶がない彼女たちといるのは辛かった。
いや同じ顔、同じしゃべり方なだけ持った堪える。
今更、一からやり直すのはあの彼女たちを裏切ったことになってしまう気がする
それだけは何としても避けたかった。
「おぅおぅ兄ちゃんなに一人で黄昏てるんだよ。」
「こら、宝譿。ひとにはひとりになりたいときもあるのですよ~」
この世界でも宝譿は健在だな。
「それで、程立さんは俺に何のようかな?」
「おー、なんで分かったのですかー」
「ボケはいいから。話なら聞くよ」
「ぐー・・・」
「寝るな」ビシッ
「お~お兄さんの対応が冷たいので眠ってしまいましたー」
あっ、微妙に怒っていらっしゃる。
「あー、ごめんね。ちょっとむしゃくしゃしててね」
「そんなことよりですねー」
おい、そんなことって
「あの時は黙っていましたが~。風はですねー、実は程昱と名を改めようと考えていたのですよー。このことはまだ稟ちゃんにも話していないのですよー。
それをなぜお兄さんはしっていたのか、きになりましてね~」
そして、ジーっと俺の目を見てくる。
「ジー」
いやいや、わざわざ口で言わなくても分かってますからね風さん
やっぱり、この娘には嘘は通じないよな・・・でも。
「それは、「天の知識ですかー」っな!」
「お兄さんはいつでもそれですからねー」
「風、風なのか?」
「はい~、風はいつでも風なのですよー」
それ以上は我慢できなくて、
また、出会えたことが嬉しくて、
もう二度と手放したくないと思って・・・
俺は風に抱きついていた。
どれくらい経っただろうか
風はいつの間にかいつものように俺の膝に座り、
俺はそんな風を後ろから抱きしめていて。
「いつから分かってた?」
つい、口から出てくる疑問。
俺はそのために今まで悩んでいたのだから。
「さいしょからですよー」
と風は楽しそうに言う。
「ひどいな、じゃあ、あの驚いたのも全部演技か・・・」
あの顔にどれほど戸惑いどれほど悩んだことか
「いままで風をほったらかしにしたのと、風をおいていったお返しですよー」
「ごめんな風。もう二度とあんなことはしないから許してくれよ」
「あたりまえですよ~、しかし言葉だけでは風は満足できないのですよ~」
するりと腕の中でこちらを向き、顔を近づけてくる。
「ごめんなさいのキスをおねがいしますー」
とか言いながら顔を近づけてくる。
それを我慢できるほどの男なら種馬などとは呼ばれなかっただろう。
とても長い間、二人は口づけをしたままのじょうたいでいた。
二人には長くなど感じなかったが。
「おやおや、風まで主の毒牙にかかっていたとは」
突然、掛けられる声
「星もおばえているのか?」
声の方を向くと[泰山の昇り竜]趙子龍その人がいた。
「私が主を忘れるわけないでしょう」
「そっか」
「それよりも主と風がそれほど仲が良かったとは知りませんでしたな」
「星ちゃんこそお兄さんを〈主〉とはどういうことですかー」
あれ?何か変だ。
たしかに、魏にいたときはそれほど星とは親しくなかったし、
蜀のときは風とそれほど会っていない。
「「どういうことですかな(-)主(お兄さん)」」
「いや、それはなんていうか」ダラダラ(汗)
「んふー、やっと見つけたわよご主人様。って、いつも通りの様子ね」
「「貂蝉!!」」「ぐー・・・」
「「起きろ」」
「おー、あまりの恐ろしさに現実逃避してしまったのですよー」
「どぅあれがこの世に存在してはいけないほどの化け物ですってーー」
「そこまで言ってないだろ」「言ってるのですよー」
「風!」
「まぁ、程昱ちゃんとは会うの初めてだったはね」「風でいいですよー」
「あら、ありがと。それよりご主人様なにか問題でもあったの?」
「ああ、風も星も記憶が完璧に戻ってないみたいなんだ」
「それは違うわよご主人様、彼女たちの記憶はご主人様と最も親しかった外史の記憶のみ
なのよ。」
「なるほど、だから二人の記憶が一致しないのか」「そういうこと」
「ほほー、主はわれら蜀の女だけでは満足できず他国の女にまで手を出していたのですか」
いや、違うよね突っ込むところ。ほら、外史ってなに?とか。
ていうか星さんなんか愛紗に似てきてない。
「それは主にはずいぶん待たされましたからな、嫉妬の一つも覚えますよ」
っは、心が読まれた。
「今度、ゆっくり閨で話していただきますからね」(ゴゴゴゴッ)
般若が見える、般若が・・・
「まあ、あっちはほっといてもへいきそうですねー、それより外史とはなんですかー」
「外史とは正史から幾つにも別れた世界、正史を基にして構成された世界。
しかし、少しずつの違いが各外史で出てきてしまう。もともと、あなたたちの生きた外史はご主人様を起点としていたわ。そのずれの一つがご主人様の降り立った場所よ。」
「例えば、星ちゃんー、あなたの記憶ではご主人様はどの国に仕えていた?」
「ん、主か。それはもちろん蜀だが」
「んふー、分かったかしら風ちゃん」
「どういうことだ?貂蝉」
「星ちゃん、驚かないで聞いて下さい風の世界ではお兄さんは魏に仕えていたのですよー」
「なるほど、私と風のいた世界は違うのか・・・」
「それより貂蝉、今回はなぜ俺に記憶がある?俺の記憶だと一度もこんなことはなかったぞ今まで、一度たりとも」
「ええ、その通りよ。それはね、この外史を新たな場所へ連れて行くため、ご主人様のためであるのよ」
「俺のため?」
「そう、ご主人様のため、あなたの愛した彼女たちのため、
この外史を正史にする。」
この前の続きです
自分でもちょっとややこしく感じる設定なので少し心配ですが
喜んでいただければ幸いです
さて、今回は風が中心のお話でした
ただでさえ
登場人物がおおいのでひとりひとりとの対応を忘れず頑張っていきたいと思います
まだまだ分からないことだらけなのでアドバイスお願いします
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全ての外史の記憶をもった北郷一刀と
彼を待ち続けた恋姫たちの物語