No.180050

真恋姫無双~愚者を守る忠義の者~ 第3話 彼女らは彼の名を知る

ちいたさん

投稿です。生暖かく見守ってください。

2010-10-24 02:10:48 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:12394   閲覧ユーザー数:9832

この作品は原作のキャラの性格が変化したり時代背景が変わったりします。またオリジナルな展開などもいれようと思っています。

なので原作好きの方また特定のキャラが好きな方はスルーしてください

 

益州・巴軍の居城。破竹の勢いで劉備軍は益州でも勇将と名高い厳顔と魏延を破り己の配下に加えた。現在、劉備軍はここで休みを取っていた。現在は桃香を中心に将達が集まり軍議を開いていた。

愛紗「ここまでは順調に来ましたね……」

桃香「うん……でもここからが大変だよ」

桃香が力強く言うと全員が頷いた。そこで朱里が口を開いた。

朱里「一つだけ懸念事項があります。成都周辺で動きがありました……」

星 「動き?」

雛里「はい……報告によれば成都周辺の兵が全て成都に集まっています。今まで成都では全く動きがなかったから余計に気になります。」

朱里と雛里の言葉を聞いて紫苑、桔梗、焔耶の顔が変化する。

焔耶「桔梗様……これはどういうことでしょうか?」

桔梗「まさかあの劉璋が動いたというのか…」

紫苑「あの劉璋が……?」

劉璋のことを知っている三人は戸惑いの表情を浮かべる。

翠 「おいおい……いくら何でもその言いようはないんじゃないか。劉璋だって自分の軍ぐらい動かしてもおかしくないだろ?」

至極当然のことを言う翠に紫苑達はそろって首を振る。

紫苑「いえ……劉璋は基本自ら動くことはしません……大体は他人任せです」

桔梗「それゆえに奴は無能と言われている」

兵士「失礼します!!」

愛紗「どうした!!」

困惑する桃香達の所に兵士が報告にやってきた。

兵士「はっ!!法正と名のる女が劉備様に会わせろと言っています」

愛紗「法正…?聞かん名前だな」

兵士「いかがなさいますか?」

愛紗「そんな怪しい奴、追い「待ってください」……紫苑?」

愛紗の言葉を紫苑がさえぎり兵士に言った。

紫苑「法正をここに連れて来てください…」

愛紗「紫苑!!…何を言って…」

紫苑「大丈夫です………彼女は信用できます」

そう言って紫苑はにっこりと笑う。そして、桃香を見る。

紫苑「よろしいでしょうか?桃香様」

桃香「はい……紫苑さんがそこまで言う人なら私も是非会ってみたいです」

 

しばらくして桃香達の前に法正が連れられてきた。法正はそのまま桃香に頭を下げる。

法正「いきなりの無礼申し訳ございませんでした…劉備様…」

桃香「いいえ……私は気にしていませんよ。法正さん」

謝罪をする法正に桃香は笑顔で応えた。

愛紗「…それで…劉璋の所にいた法正殿はどうしてここに?」

愛紗が疑いの目で法正を見る。そんな愛紗を桃香がたしなめる。

桃香「駄目だよ…愛紗ちゃん…折角来てくれたのにそんな目をしちゃ」

法正「いいえ…関羽将軍の行動はもっともです。」

そう言って苦笑する法正。そこで法正の顔が真剣になり言葉を続ける。

法正「私がここにやって来たのは……私を劉備様の配下に加えていただきたくやってまいりました」

桃香「えっ…!!」

驚く桃香に法正はその場で片膝をつき手を合わせて臣下の礼を取る。

法正「もはや民の心は劉璋に在らず……民は新しい王を……劉備様を待っています。この混乱した益州を治められるのは劉備様しかいません…ゆえに私は微力ながら大徳を支えたくここにいます」

そう言って桃香を真っ直ぐに見る法正。桃香もまた法正をじっと見ていたがそこで笑顔になる。

桃香「ありがとうございます……法正さん…」

そう言って桃香は法正の手を握る。

桃香「法正さんの力…是非私に貸してください。」

法正(何と暖かい手なのでしょう……それにこの全てを包み込む感じは……この方はまさしく王たる器です……)

法正「ありがとうございます……劉備様。私の真名は紅(くれない)と言います。」

法正こと紅はついに自分が仕えるべき主を見つけたのであった。

 

法正が加わった劉備陣営はさっそく朱里達を中心に軍議を再開した。

朱里「早速なのですが紅さん…成都の状況を教えてくれませんか」

紅 「はい……劉璋は桃香様を侵略者とみなし徹底抗戦をするようです」

桃香「……そうなんだ」

紅の話を聞いて桃香は悲しそうな顔をする。

愛紗「だが、民は我らを支持しているし各地の軍も味方している。この勢いで進行していけば劉璋もきっと戦うことはしないはずでは?」

紅 「いえ……それは無理でしょう」

朱里「それはどうしてですか?」

紅 「成都に北郷将軍がいるからです」

紅が一刀の名前を言うと紫苑、桔梗、焔耶が驚愕の顔になる。

桔梗「何と…!!北郷が成都にいるのか!!」

焔耶「……戻ってきたのか」

桃香「えっ…?えっ…?誰ですか北郷さんって人は?」

紫苑達の様子が変化したことに桃香達が困惑する。

紫苑「はい…北郷将軍は先代劉焉様から非常に重宝された若き将です。才だけでなく人格にも優れ義にも厚い将であり成都やその周辺では劉璋よりも人望があります。」

桔梗「それに奴の武もかなりのものだ」

翠 「へぇ~…そんなに強いのか?」

焔耶「ああ……私は過去に一度戦ったが全く手も足も出なかった」

そう言ってその時を思い出したのか悔しそうに下唇を噛む焔耶。

紫苑「彼は軍略や政事にも精通しています。まさに智勇を兼ね備えた士と言っても過言ではありません」

 

紫苑達からでる賞賛の言葉を聞き驚く桃香達。そこで、とある疑問が浮かんだ。

鈴々「はぁ~凄いのだ~。だけど…どうして今まで北郷っていう人の名前を聞かなかったのだ?」

星 「ああ……それだけの人物なら名前ぐらいはあがるであろう」

紫苑「それは…北郷さんはある事がきっかけで僻地に左遷されていたからです…」

愛紗「ある事……?」

そこで紫苑や桔梗の顔が暗くなる。

紫苑「はい……それは彼が劉璋の殺害を計画しているという噂が流れたのです……」

愛紗「なっ……!!自分の主をか……!!」

紫苑の言葉を聞いて桃香達一同に衝撃が走った。だが紫苑は首を横に振る。

紫苑「真実はわかりません……ただ劉璋はその話を聞くとすぐに彼を左遷させたのです」

桔梗「ただ……普通なら死罪ものだが北郷の人望とこれまでの忠義により死罪は免れたのだ」

一刀は左遷されていても益州に莫大な影響力を持っている。そんな一刀が成都周辺の兵や城に呼びかけ劉備に対抗しようとしている。

紅 「そういうわけで成都に近づけばより強い抵抗を受けると思われます……」

朱里「そうですか……こちらにも多少の被害が出ることを覚悟しないといけませんね…」

雛里「……そうだね……」

紅の言葉を聞いて、予期せぬ自体が起こり考え込む朱里と雛里。

星 「まあ……ここまでが上手く行き過ぎていた感があったからな……」

愛紗「ああ……理想を言えばこのまま被害が出ないことが一番ではあるがな…だが桃香様の理想の為にも私達は負けられないのだ…」

愛紗がそう言うと全員が一斉に頷いた。その後も軍議は続いていった。

 

紅は軍議が終わってからある人物を待っていた。やがて紅の前に紫苑と桔梗が現れた。

紅 「紫苑様…桔梗様、お待ちしておりました」

紫苑「……すみません遅くなりました」

桔梗「して……紅よ…話とは何なのじゃ?」

紅 「はい…北郷様についてです」

紅から口からでた人物の名前に紫苑と桔梗は互いの顔を見る。

紫苑「北郷さんのことですか?」

紅 「はい……あれだけの才覚を持ち人格にも優れた人が何故、未だに劉璋につくのですか?」

紅は一刀ならこの益州を変えることができると思い、一刀を成都に呼び寄せるように進言したのであった。

紫苑「それは…私達もわかりません」

桔梗「確かにな…普通あれだけ冷遇されれば見切りをつけるものじゃがな」

紅の言葉を聞いて考え込む二人。

紫苑「昔の二人は本当の兄弟みたいに仲が良かったのですけどね」

桔梗「ああ…いつからあのような関係になったのだろうな」

紅 「……本当に理解ができません…そこまで尽くして何があるのでしょうか…本当に愚かですよ…北郷様は…」

 

成都

  「成都周辺は大体固まりましたね」

張任「へい…これも大将の人望のおかげですね」

成都周辺の状況確認を終えて一刀は息をつく。成都やその周辺は一刀を支持する者達が集まってきていた。これで劉備軍に対抗することができるメドがたった。

  「欲を言えばもっと兵は欲しかったのですけどね…もう少し速く成都に来ることができたら…」

張任「それは、大将のせいではありやせん!!」

やはり紫苑や桔梗、焔耶が劉備に降ったことはかなりの影響があった。そのことで劉璋に見切りをつけて劉備に降る将や貴族なども多かった。

  「兵力はこちらが上……しかし、あちらには将では関羽に張飛に趙雲、馬超に呂布…それに黄忠さん達…軍師では諸葛亮に鳳統がいます…」

張任「どうしたのですか大将…そんなに弱気になって…大将らしくもありやせん」

一刀の言葉を聞いて張任の顔が厳しくなる。そんな張任を見て一刀が口を開いた。

  「…ただの現状の確認ですよ。あちらにはこちらよりも遥かに優秀な将と軍師がいる…それだは変わらない事実です。さらに黄忠さん達がいることで私達のことも知られているかもしれません。これだけを見るとこちらの不利は否めません。」

張任「何を言っているのですか…大将!!」

淡々と述べる一刀を見てついに張任が大声をあげた。そんな張任を無視して一刀が席を立ち扉に向かう。

  「しかし、それでも…私達は劉備軍を凌駕します。張任…すぐに北郷隊を集めなさい。こちらから仕掛けますよ」

張任「っ…!!了解でさ…大将!!」

一刀と張任はそのまま部屋を出て行く。

 

後書き

今回は法正こと紅が劉備軍に降り、一刀の存在が劉備軍に知られてしまうお話です。あんまり話としては進みませんでした。キャラがこんなのだったかなと四苦八苦しながら執筆しました。

さて前回のコメントでこの一刀がうたわれのキャラに似ているというコメントを頂きましたがぶっちゃけかなり意識してますwその中で一刀にオリジナル性がでてくればと思っています。これからもベナ一刀をよろしくお願いします。あと何か死んでしまいそうというコメントも頂きましたがこちらは未定です。確かに性格的には死んでもおかしくない感じが出ていますね…どうなるかは私もまだわからないのでそこら辺も楽しみにしてくれたらと思います。

ではみなさんまた

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
65
4

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択