No.179318

真・恋姫†無双 記憶の旅 7

たくろうさん

真・恋姫†無双 記憶の旅 7

今回のコメント返しは話の最後に入れておきました。
また気になることがあれば気軽にコメしてみてください。私の活動パワーとなるのでw

2010-10-20 02:00:46 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:9973   閲覧ユーザー数:7589

・・・・・・・おかしい。

 

織田信長という旅人の捜索を開始してから数日ほど経ったが情報がまったくと言っていい程皆無とはどういうことなのかしら。

三国を旅しているなら情報の一つくらい入ってもいい筈だ。もしかしたらもう旅を終えて、もと居た場所に帰ってしまったのかもしれない。

そうだったら非常に困る。

 

そんなことをを考えていると扉からのっくの音がした。

 

「失礼します、華琳様」

 

「どうかしたの、秋蘭?」

 

「はい、華佗が華琳様に渡したいものがあると言っているのですが」

 

「華佗が? いいわ、ここまで呼んできて頂戴」

 

[はっ」

 

 

 

 

 

 

しばらくすると華佗が部屋にやって来た。

 

「いきなり訪ねてきてすまないな、曹操殿」

 

「構わないわ。それで、いきなり訪ねてきて何の用なの?」

 

「話を聞くと普段から体に無理をさせて仕事をしてるそうじゃないか。体内の気も大分弱っているぞ」

 

「戦乱の世が終わってもまだやることは山積みだもの。いちいち弱音なんて吐いてられないわ」

 

それにこの疲労は単に仕事の多さから来るものではない。

仕事量なら戦乱の世だった時とそこまで変わらない。

やはり、心が羽を休める場所がないのが一番の原因だろう。一刀がいなくなってからは仕事のことしか頭にない。それに一刀と約束した。

 

この国を良い国にしてみせると・・・・・。

 

「まあ曹操殿のことだからそう言うと思ってたよ。それに俺がどうこう言っても無駄だしな。だから今日は薬を持ってきた。・・・本当はしっかり休息をとるのが一番なんだがな」

 

そう言って掌程の大きさの袋が渡された。

 

「あら、気が利くのね」

 

「曹操殿が倒れでもしたら大変だからな。今の世には曹操殿の存在が不可欠だ」

 

「それは別に問題ないわ。私がいなくても雪蓮と桃香がいるし他の娘達もしっかりやってくれる筈よ。 まあ私は居なくなる気なんて無いけど」

 

「では用が済んだし俺はもう行くよ」

 

「あら、もう少しゆっくりしていけばいいのに。もうすぐで三国総出の祭りが魏で行われるんだから」

 

本来は三国が平定してから年に数回、各国の者たちが集まって自国の報告、これからのことを話し合う場である。だが実際は三日間の間、都中に屋台が開かれ飲み食いをしたりとお祭りとやってることが変わらない為、既にお祭りとして定着してしまっている。

まあ、平和である証拠だから構わないけどね。

 

「まあその頃にはまた此処に戻わせて貰うとするよ。では」

 

「ああ、ちょっと待ちなさい。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 

「・・・・・・? 何だ?」

 

「今、織田信長という男を探しているんだけど何か知ってることはない?」

 

各地を旅してる華佗なら何か情報を持っているかもしれない。

 

「織田信長というと旅人の信長か?」

 

「知ってるの?」

 

「知ってるもなにもつい最近一緒に南蛮まで旅をしていたからな。曹操殿に渡した薬も彼が手伝ってくれたから手に入ったんだ」

 

まったく情報が入ってこないわけだ。南蛮はこの辺に住む者が入れば環境の変化で倒れたり、病を患ってしまう。だから南蛮の情報はあまり入ってこない。

今までの情報の無さも納得がいく。

 

「それで、織田信長は今は魏に居たりするの?」

 

「いや、俺も魏に来るよう誘ったが断られてな。信長は呉に行くと行っていたから今頃は・・・もう呉に着いた頃かな?」

 

「そう、それは残念ね・・・・・・」

 

ここまでくると意図して会わないようにしてるとさえ感じてしまう。

 

だが呉にはとっくに伝令を出してあるから呉に行ってるとしたら、こちらの要求も耳に入るだろう。だが蜀で武官と文官、どちらにも首を縦に振らなかったような男だ。出来るなら直接話をして魏に迎え入れたい。

 

「まあ、三国を旅してるみたいだしいずれは魏に来るわよね・・・・」

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呉までの道程は遠かったが護衛として商人の人に旅を同行させてもらい無事に辿り着くことが出来た。

今は呉の建業にいる。

 

「これがあの長江かぁ。デカイな、ここからじゃ海と区別がつかないや」

 

もう夕暮れ時で長江が夕焼け色に染まって広大でとても幻想的な光景を作っている。

日本の河とは比べ物にならないスケールだ。

 

「さて、まずは寝床の確保だな」

 

蜀を逃げるように飛び出してしまったからあそこで働いた時の報酬は無い。あるのは蜀にいた時、食事代にと渡されたお金と商人の人から護衛のお礼にと渡された僅かな報酬だけだ。

ハッキリ言って宿なんかに泊まったら一瞬でお金が無くなってしまう。

 

「まあ、人目のない適当な路地裏で外套にくるまって寝れば問題ないな」

 

旅で野宿してた時と違い野生の動物を警戒する必要が無いから今までよりずっと楽だ。

 

 

 

 

この後俺は肉まんを数個買って人の気配がない路地裏へと向かった。

もう日も完全に落ちて空にはもう星が輝いている。

表通りは夜なのにまだ賑わっている。国が栄えている証拠だ。

 

肉まんを頬張りながら街の声に耳を傾けていると一匹の猫が近寄ってきた。

 

「・・・・・・・肉まん食うか?」

 

そう言って肉まんを差し出すと嬉しそうに鳴いて肉まんを食べ始めた。

とても人馴れしてる猫だな。街の人達に可愛がられているのかな?

試しに撫でたりしても嫌がるそぶりを見せない。

 

しばらくするとまた猫がやって来た。また一匹、また一匹と。

 

「・・・・肉まん足りるかな」

 

結局自分は一個しか食べず残りは全部猫たちにあげてしまった。

肉まんを食べ終わった猫達は自分の周囲を囲んで寝てしまっている。

 

「まあ、一人寂しく寝ることがなくなったから肉まんのことはいいか・・・・・」

 

寝ている猫を一匹胸に抱いてからそのまま俺は寝ることにした。

・・・・・・・・・んん、もう朝か。猫達はまだぐっすりと寝ている。

朝にもかかわらずもう街は市で活気に満ち溢れている。

しかしまだ起きるには少々早いな。もう少しだけ寝るとしよう・・・・・・・・。

 

「・・・・・・・さっきからどうも視線を感じる」

 

視線の先を追うと・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「はぅわー・・・・」

 

・・・・・・おかしな娘がいた。

 

こちらを見てとても緩んだ顔をしている。いや、俺じゃなく猫を見てか?

 

「あの、何か用かな?」

 

「はぅわ!? すいません、起こしてしまいましたか!?」

 

「いや、別にそれは構わないけど。それで、何か用かな?」

 

「いえ、私はその、お猫様に会いここまで来て。すると沢山のお猫様に囲まれてあなたが安らかに寝ていたので・・・・・」

 

「ああ、そういうこと」

 

目の前の娘が猫を見るとまた緩んだ顔になる。はぅわー、と声を漏らして・・・・どんだけ猫が好きなんだ。

 

とても微笑ましい光景なのでしばらく見ていると、こちらの視線の気付いてすぐに表情を引き締める。コロコロ表情を変えて忙しい娘だな。

 

「そ、その身なりからして旅の方ですか?」

 

恥ずかしさを紛らわす為か、こちらに質問を投げかけてきた。

 

「ああ、そうだよ」

 

「旅の方でしたらひとつ聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」

 

「何だい?」

 

「織田信長、という旅人のことを何かご存知ないですか?」

 

「・・・・・・・織田信長は俺のことだけど?」

 

ここらへんで織田信長を名乗るのは本物の織田信長がタイムスリップしないかぎり俺しかいないだろう。それに旅人とくればまず間違いない。

 

「はぅわ!? あなたが織田信長だったんですか!?」

 

「うん、そうだけど。 なんで俺の名前知ってるの?」

 

「えっと、とりあえず私に付いて来てください!」

 

「・・・? まあいいけど・・・」

 

言われるまま俺は走りだす猫好きの娘に付いて行った。一体なんなんだろうな?

この光景に俺は既視感を感じざるえない・・・・・・・。

 

場所は違えど俺は何故かまた玉座の間の中で座っている。

そして俺のことを興味深そうに見てくる呉の王、孫策。

ただの旅人として通っている俺を城に呼び出すなんて一体何の用が? 今回は蜀の時のようなことは一切していない筈だ。

 

「えっと、俺に何か用が? というより何で俺のこと知ってるんだ?」

 

「ねえ、呉で働かない?」

 

ニコニコとしながら唐突し言ってきた。しかもこちらの質問は無視ですか・・・・。

 

「いや、だから何で俺のこと知って・・・「そんなことどうでもいいじゃない♪」

 

・・・・・話を最後まで聞いてください。

 

「雪蓮、お前はもう黙っていろ・・・・・。私が説明する」

 

孫策の横で見ていた眼鏡を掛けた美人が状況に見兼ねたようだ。

 

「ぶーぶー、せっかく華琳を出し抜くいい機会なのに」

 

何だよ出し抜くって・・・・・・。

 

「ああ、自己紹介がまだだったな。私は周瑜だ」

 

「知ってるだろうけど織田信長です」

 

よかった、どうやら周瑜は常識人そうだな。

 

「それで、俺に何の用が?」

 

「貴殿は蜀で学校の改善案を作ったそうじゃないか。私も目を通させて貰ったが見事だった」

 

「はぁ・・・・そうですか」

 

今でも少々出しゃばり過ぎたかと思ったいる。だがあれは自分が言い出したことみたいだ。あんな中途半端なものを以前の自分が作ったかと思うと止めることが出来なかった。

 

「それで、そのことが曹操の目に留まってな。曹操がお前のことをずっと探していたんだ」

 

・・・・・やっぱり出しゃばり過ぎたな。よりにもよって曹操の目に留まってしまうなんて。

 

「それで、どうするんだ? 曹操はお前のこと自分の下で働かせたがっているが、聞く話によるとなんでも貴殿は蜀では官職に就くのを断ったらしいじゃないか」

 

どうすると言われてもそんなこと最初から答えは決まっている。

 

「曹操に伝えてくれ。俺はやるべきことがあるから曹操の下では働けないって」

 

「まあそう言うとは思った。だが曹操が優秀な人材をみすみす逃すようなことはしないぞ?」

 

「それでも、だ」

 

「まあそう言うのであれば仕方ない。曹操にもそう伝えておく」

 

「助かるよ」

 

「で、呉に来てこれからどうするの?」

 

話に区切りがついたので孫策が話に入ってきた。

 

「いや、全然決めてないよ」

 

「明命の話だと路地裏で猫と一緒になって寝てたらしいじゃない」

 

「まあ、宿に泊まる余裕なんて無いですし」

 

「あら、そうなの♪」

 

あれ? 何か嫌な予感が・・・・・・・・

なんやかんやで孫策に言いくるめられて俺は蜀の時と同じくまた政務をやっている。

だが今回は俺の目の前にいる呂蒙の仕事のアシスタント的なポジションである。あと気になったことがあれば指摘をしてほしいとかなんとか。

 

しかしさっきから思うんだが・・・・・・・・俺、呂蒙にメッチャ睨まれてね?

て言うか呂蒙さっきから筆どころか体が固まってないか?

 

「あの、呂蒙。俺なんか悪いことした・・・かな?」

 

「は、はひ!?」

 

「いや、なんか睨まれてるっぽいからさ」

 

「い、いえ私はその、生まれつき目付きと目が悪くて・・・・・」

 

「あ、ああゴメン、そうだったんだ。あとここの計算間違ってるよ」

 

「え? ひぁう!? すいません、直ぐに直します!!」

 

いや、そんな頭を何回も下げられても。

そんなリアクションされると何か申し訳ない気持ちが・・・・・・・。

 

「・・・・・やっぱり織田さんは凄いです。それに比べて私は・・・・」

 

「・・・・俺は全然凄くなんかないよ。君等に比べたら凡人もいいとこだ」

 

「そんなことないです。だってこんなに仕事が出来てますし」

 

この娘はどうも自分を過小評価するなぁ。まあ、今回の仕事は気になったことの指摘だし背中を押してあげよう。

 

「俺はさ、少し前までは凄く弱くて、盗賊一人でさえ勝つかどうかわからないような人間だった。それに今のような仕事だって昔だったら書類一つ片付けられなかったと思うよ?」

 

呂蒙は信じられないものを見たような顔をしている。まあそうだろうな。自意識過剰みたいでこんなこと思いたくはないけど俺は客観的に見ればそこら辺の奴より凄いのはちゃんと自覚がある。

 

「そんな俺が今やあの関羽を倒し、書類処理だってちゃんと出来てる。ただの凡人の俺が何でここまでなれたと思う?」

 

「・・・・・わかりません」

 

俺は一息吸って、ハッキリと言った。

 

「自分の中にある確かな何かを信じ続けたからだよ」

 

凡人の俺を今の俺にたらしめた何かはまだ分からない。だけど俺はそれでも信じて必死にしがみついてきた。時には自身を脅迫と錯覚させるまで追い込み、時には明日また頑張ろうと励ましを送ってくれた。「信じる」とはそれだけに強く、大切なことだ。

 

「呂蒙も自分を信じろ。人は自分を信じて成長出来る生き物だ。それに呂蒙には俺なんかが到底手に入れることは叶わない才能がある」

 

「そんな、私なんて・・・・・」

 

むぅ、人にここまで言わせてまだ言うか。

 

「少なくとも俺は呂蒙の中にある才能を信じてるよ。それに呉の皆もきっと信じている。それなのに呂蒙自身が信じなくてどうするんだ」

 

少しずつ呂蒙の顔が和らいでいく。

 

「ま、俺から言えるのはこれだけだな。呂蒙ならもう大丈夫だと思っておくよ。なんせ俺は呂蒙のことを信じているからね」

 

「・・・・・・・はい!」

 

おっ、いい表情になった。やれば出来る子じゃないか。

俺も自然と笑みがこぼれてしまう。

 

「・・・・・・はぅぅ」

 

おっと、笑いすぎたかな?呂蒙が袖で顔を隠してしまった。

 

こんなやりとりをして今日は終わっていった。

 

今日は未来の大物に応援のエールを送ったことだし我ながらいい仕事をしたと思う。

 

~続く~

ここからは本編じゃありません。

 

今回のコメ返しは少々話が長くなるのでこの場でさせて頂きます。っていうか自分が頭の中を整理させたかっただけです。

 

ちらほらと一刀(信長)の強さに関してのコメが見られたので説明させて頂きます。始めに言っとくとこれは悪魔で私の中でのイメージですのであまり深くは考えないでください。

 

まず一刀はチートではありません。

ハッキリ言うと体力、腕力などの純粋な力勝負では試合に勝てた愛紗には一歩及ばずで敵いません。と言うより将クラスの人達相手には勝てる相手は数える程度しかいないと思ってください。

 

今の一刀をここまで強くたらしめているのは習得した沢山の武術、体術の組み合わせによる圧倒的な数を誇る戦闘パターンとその経験の副産物による冷静に相手の弱点を見極める判断力にあります。

 

まあ分かりやすく言うと愛紗が頑張って力だけで何かを持ち上げる時、一刀はテコを使うことが出来る、そんな感じです。

 

これでも分かりづらいと思った方、すいません。私にはこれが限界です。

 

では

 


 
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