No.177063

真・恋姫†無双~江東の白虎~第弐章 2節~一刀旅をする~

タンデムさん

ちわっす。
タンデムです!
今回ですが、残念ながら暫く呉に行きません。
暫く旅が続きます。
ですんで、旅と言えばあの三人組み。

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2010-10-08 10:55:38 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:14637   閲覧ユーザー数:10537

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

その点を踏まえて、お読みください。

~建業・夜~

 

 

「……一刀、雪蓮達は良くやってくれている。

 

美蓮様達から見たら、まだ成長する部分があるらしいがな」

 

一刀が居なくなった日から数日。

 

美蓮は、王を退き雪蓮が引き継いだ。

 

袁術の傘下であることに変わりは無いが、一応は平穏を取り戻していた。

 

春を過ぎ、梅雨の時期となった建業は夜でも、少し暑いくらいだ。

 

幸いにして、今夜は雨が降っていなかったので、凱は外に出て涼んでいた。

 

少し汗ばんだ肌に、夜風が心地よい。

 

何と無しに、空を見ると流れ星が夜空を切り裂いているのが見える。

 

「ふ、そう言えば昔お前が言っていたな。 『星が消えるまでに三度心で願えば叶う』だったか」

 

凱は目をつぶり、『一刀、早く帰って来い。』と三度願った。

 

そして凱が目を開けると、星はまるで凱の願いを聞き届けたかのように、

 

北西の方角に流れていき、やがて見えなくなった。

 

それを見ると、明日も早いので凱は部屋に戻った。

一刀は目を覚ますと、水の中に漂っていた。

 

落ちていなくなったのが水の中だから、続きとしては、確かに良いが、寒いのは聊か頂けない。

 

風邪を引かぬように、陸の方へ行こうとするが、長い事水に浸かっていたせいか、

 

体が少し動かしにくく、傍から見れば溺れているように見えた。

 

だからだろうか、後ろの方からドボンと水に飛び込むような音がして、此方の方に気配が近づいて来る。

 

そして、

 

「大丈夫か?」

 

「ああ、一応平気」

 

と女性の声が、後ろから掛けられた。

 

首だけは動くので、コクンと頷き返すと

 

「うむ、良かった。 動けぬようだし、引っ張っていこうか?」

 

「お願い。 長い事浸かりすぎて、体が冷えて筋肉が動かなくなってるみたいだ」

 

「このあたりの水は夏でも冷たいからな」

 

そう言って一刀を陸の方まで、抱いて泳いだ。

 

泳ぐときに、ポヨンポヨン当たる胸の感触に反応してしまったのは、内緒だ。

陸に上がって、一刀は身体をほぐした。

 

御蔭で、元のように動くことが出来た。

 

服装は、普段着のままで変わっていると言えば右だけ籠手をはめている事位だ。

 

助けてもらった礼を言おうと、茂みの中で服を絞っている彼女に向かって言う。

 

「ありがとう。 御蔭で助かった」

 

「いや、良い。 所で何故あのような場所に居たのだ?」

 

その質問にしばし戸惑ったが、丁度良く目の端に崖があるのが見えたのでそれを使う事にした。

 

「ああ。 あそこの崖から足を滑らせてな。 此処まで流れ着いたのさ」

 

ガサガサ。

 

「なんと、それは助かってよかったな」

 

服を粗方絞り終えたようで、茂みの中から出てきた。

 

自分よりは年下の女の子で容姿は充分美人。

 

蒼い髪に、蝶羽の様な柄の浴衣のような服を着ている。

 

「(ここで、浴衣が見れるとはねぇ。) 風邪ひくといけねえ。こっちに来て暖まんな」

 

一刀は彼女が、服を絞っている間に、槇で火を起こしていた。

 

「そんなにやわで……クシュン!!」

 

その娘のくしゃみに、しばしの沈黙が訪れる。

 

「ふふ……如何する?」

 

「……隣、失礼する」

 

そう彼女に言った後、茂みの方を向いて一刀はこう言った。

 

「茂みの中のお二人も出てきな、別にとって食ったりしねえから」

 

ガサガサ

 

「お見通しでしたか~」

 

「そのようで……」

 

一刀が、そう言った後、眼鏡を掛け凛とした感じの女の子と、頭に人形を乗せ少し眠そうな女の子が出てきた。

 

どちらも、美少女と言えるほどの容姿をしていた。

 

「素人の気配が読めねえ様な、鈍らじゃないんだよ。 本当に気配を消すってのは……こ……んだ……」

 

「っ!?」

 

そう言って、少し驚かせてやろうと氣を周りの草木に同調させてゆく。

 

勿論、行き成り目の前で体がどんどん薄れてゆく人を見れば驚かない者は居ない。

 

蒼い髪の女の子は己の得物だろうか、槍を取って周りを警戒し始め、

 

他の二人もまた回りに警戒しているようである。

 

「そんなに探さなくても、ここに居るよ」

 

「っ!?」

 

三人が一刀の元居た場所に視線を向けると、一刀は最初から其処に座ったままだったのだ。

 

「……今のは、もしや妖術か?」

 

少しの敵意を向けながら、一刀に聞いてくる。

 

「いや、アレはな―――」

 

そう言って『翳虎(かげとら)』(姿を消す技法の名前)の原理を説明すると、三人とも物凄く驚いていた。

 

そして暫く雑談していると、蒼い髪の女の子が急に手合わせを願いたいと言って来た。

 

これに一刀は、快く了承した。

 

武器を持っていることから、彼女も武人である事は明らか。

 

そう言う気性があるのでは無かろうかと思っていたのだ。

そう言って、火のある場所を避けて立った。

 

「感謝する。 我が名、趙子龍と申す。いざ、尋常に!」

 

「(へぇ……趙雲か。) 俺の名は……白虎(パイフー)。 勝負!」

 

本名を言ってしまっては、自分が生きている事が孫呉に伝わってしまうと思い、

 

一刀が勝負といった瞬間、瞬く間に一刀の前まで彼女の槍が迫る。

 

一刀対するは、動きを見せない。

 

「(この人物は強いと思って、手合わせを願っては見たが、私の思い過ごしか。)」

 

ならばさっさと終わらそうと、容赦なく意識を昏倒させようと槍の柄で石突きを与える。

 

パシッ!

 

「なっ!?」

 

「欠伸が出そうだったぞ、本気で来いよ」

 

だが、一刀は羽虫でも払うかのように、いとも簡単にそれを払いのけられた。

 

その事に、驚いてしまい、一瞬固まってしまったのがいけなかった。

 

「ほら、氣を抜くなって」

 

「え?」

 

気がつくと彼の拳が、額の辺りで止まっておりそして―――、

 

 

バチンッ!!!!

 

 

その拳の、人差し指が弾かれた。

 

「ふぁっ!?」

 

その指が、彼女の眉間に当たった瞬間、彼女は意識が混濁し意識を失った。

 

崩れる彼女の、身体をそっと抱き上げ、二人の方に行く。

 

余りの一瞬の出来事に、二人の女の子も固まっていた。

 

「……い、今のは?」

 

「デコピンで眉間を狙い、彼女の頭の中に直接振動を与え、脳震盪を起こさせたのさ。 ちょいと膝借りるよ」

 

「いえいえ、構いませんよ~」

 

そう言って、一刀は人形を乗せた少女の膝に趙雲の頭を置き枕代わりとし、

 

懐に有った布を、川の水で冷やし、趙雲の額に乗っけてやる。

 

その行動をした後、彼女等の向かい側に座って

 

「暫くは起きねえだろうから、其の侭にしてくれ。

 

そういや今更だが名前聞いてなかったな、改めて俺の名は、白虎と言う。 よろしくな」

 

「風の名前は、程立というのですよ」

 

「私は、戯史才と言います」

 

一刀の自己紹介の後、二人ともが自己紹介をした。

 

どちらも、超有名な魏の軍師だったので少し驚いたが、今言っても仕方がないので何も言わぬ事にした。

 

「で、三人は旅でもしてんのか?」

 

「はい、風達は三人で諸侯を旅しようと集まったのですよ~」

 

「とは言っても、集まったのは偶々で偶然が重なった事なのですが」

 

話を聞くと、酒家で偶々出会い意気投合、

 

そして三人とも旅に出ると言う事なので、一緒にどうかと言う内容だった。

 

かなり、突飛では有るが其れも旅の楽しみではなかろうかと思った。

 

「いや、其れは凄いと思うぞ。 偶然が重なると言う事は、其れは何処かで繋がっていたと言う事だ。

 

縁(えにし)と言う物は、自分では分からん。 君達は、会うべくして、会ったと俺は思うよ」

 

「中々な詩人ですね」

 

「でも、佳い言葉ですねぇ」

 

一刀の言葉に、二人は表情を柔らかい物にする。

 

其処に、心地よい空気が現れるのは自然の理。

 

ぐぅ~

 

「あ?」

 

「……」

 

「あらま~」

 

その心地よい空気の中で二人の緊張も解けたせいか、空腹を知らせる腹の虫が鳴った。

 

一刀も其れなりに腹は減っているが、二人は凄く空いていたらしい。

 

其れを聞いてくつくつと笑った後、一刀は立ち上がる。

 

「何か食える木の実でも探してこよう。 趙雲も起きてることだし、大丈夫だろう」

 

そう言って、森の中に歩いていった。

 

「気付いておられたとは、何とも人が悪い」

 

「おおぅ? 本当に起きてたんですねぇ」

 

「彼が脳震盪と言っていましたから、もう暫くそのままのほうが良いでしょう。 其れより、彼ですが―――」

 

一刀の事について、話しながら一刀が還るのを待った。

暫くすると、両手に抱えきれないほどの木の実や、茸など沢山取ってきていた。

 

「ただいまっと」

 

「取りすぎではないですか?」

 

「平気平気、俺は沢山食うからな」

 

そう言って、一刀は茸などは火に掛け程よい焼き色がつくまで待つ。

 

その間は、木の実を口に運ぶ。

 

他の三人も、一刀が食べ始めたので、頂く事にした。

 

「三人は、この後如何するんだ?」

 

「一応、近くの邑で宿を取ろうと思っておりまする」

 

「ふーん。(旅ねぇ……どうせ1年近くは呉に帰れねんだから俺も旅しようかなぁ。)」

 

「白虎殿? どうなされました?」

 

少し、考え事をしている様子の一刀に戯史才は問う。

 

「いや、俺も旅しようかなぁと思ってね」

 

何でも無いと言う風に言う一刀。

 

その言葉を聞いた後、趙雲が何か閃いたと言うような表情をした。

 

「ふむ、では我等と共に行きませぬか?」

 

「は?」

 

「星、行き成り何を言っているのです?」

 

「一瞬で昏倒させられはしたが、是だけは言える。

 

彼は悪人ではない、悪人は汚い事をした事が目と戦い方に現れる。」

 

趙雲のやけに真剣な目に、戯史才も溜息を吐いて、諦めたような感じの表情をする。

 

其れをぼーっと眺めていた、程立がいつの間にか咥えていたペロキャンを口から外し、

 

「では、稟ちゃんも折れた事ですし、一緒に行きましょう。

 

改めまして、名前は程立、真名は風です」

 

「おいおい、会ったばっかりの人間に真名許すか?」

 

「旅の仲間なのに、心許さぬなど可笑しいでしょう? 私の真名は星と言います。」

 

二人が口々に自分の真名を言うものだから、かなり驚いている。

 

その様子を見ていた戯史才は、確かに旅の仲間に他人行儀にするのも何となく憚れるので、

 

彼女も教えても良いと思った。

 

「旅の仲間となる事が決まっているらしいので、私もお教えしましょう。 私の真名は稟と申します白虎殿」

 

「はぁ……わぁったよ。 俺の真名は一刀だ。 よろしくな、星、風、稟」

 

「うむ。」

 

「よろしくお願いしますぅ~。」

 

「此方こそ、よろしくお願いします。」

 

恙無く(つつがなく)真名の交換を終了し、一刀は立ち上がった。

 

「じゃあ、急ごう。 日が暮れちまうからな」

 

こうして一刀は、三人と共に旅をする事となった。


 
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