No.176709

真・恋姫呉√アナザー~戦場に響く二つの鈴の音~第十六話

秋華さん

急に肌寒くなって風邪等ひいていませんか?

ども秋華です。

今回は結構長くなりました。

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2010-10-06 08:51:52 投稿 / 全15ページ    総閲覧数:8876   閲覧ユーザー数:7055

~拠点明命・【お猫様と私と初恋と…】~

 

一刀様から衝撃の事実を聞かされてから数日が経ってしまいました。

皆様それぞれ一刀様にいろいろ話しかけたりして、前よりもずっと親密になっているような気がします。わ…私も出来ることなら一刀様と一緒にお話したり、悩みを聞いてあげたり、一緒に鍛錬をしてあげたいのですが…どうしても二人っきりになると会話が出来なくなってしまいます。

 

ナァ~

 

明命「はぁ…お猫様、お猫様?私はいったいどうしたらいいんでしょうか?」

 

そう聞いてみても顔を少しこちらに向けた後、またうずくまってしまいました。

 

私も分かってはいるのです。

あの時皆の勢いでこ…告白みたいなことをしてしまいましたが、あれは本心です。

初めて会った時に見せてもらったあの笑顔…あの笑顔で胸が今まで感じたこと無いくらい早くなりました。

これが……一目ぼれっていうものなのでしょうか?

とにかくそれから一刀様を見るたびに顔が赤くなって冷静ではいられなくなってしまいました。

 

でも…一刀様が雪蓮様に言われて秘密を話された時、天の御使い様だと言う事に驚きはしましたが、他には何も感じませんでした。

それは当然です。

私は一刀様に一目ぼれをしただけであって、一刀様のこと何にも知りません。

だから皆様みたいにその話を聞いても泣いたり、笑ったり…黙っていた事に怒ったり出来ませんでした…。

まだ出会ってまもない私がそんな出来ないのは分かっています。

分かっているのですが……それでも私はその事実に愕然としました。

だからこそもっと一刀様と話して、一刀様を…そして私のことを知ってもらわなくてはいけないと分かってはいるのです。

もうあんな悔しさを味わいたくないのであれば行動するしかないのです。

 

でも…それでも…私は一刀様の所へは行けませんでした。

 

明命「はぁ…」

 

今日何度目か分からないため息をつきます。

私は皆様がうらやしましいです。

私より一刀様の事を知っている事が…

一刀様の傍にいける事が…

 

そんなことを思っていると、急に膝に抱えたお猫様がムクっと起き上がり耳を立てて辺りを見回すと私の膝から逃げていってしまいました。

 

明命「お猫様にまで逃げられてしまいました…。こんな私とは一緒にいられないですよね…」

お猫様もいなくなりここにいても仕方が無いのでその場から立ち去ろうとすると、私はある事に気がつきます。

 

明命「あれ?……はぅあ~大事なお守りがないです~!!」

 

そう叫ぶと辺りを見渡して探します。

あのお守りは以前村の護衛をしていた時に、そこの村の人から貰った大事なものでした。

 

私が蓮華様に推挙され、そこから出て行く当日…皆さんが私の見送りに来てくれました。

その時に貰ったのが小さな袋でした。

その中には綺麗な石が入っていていました。

 

そこの長老さん曰く”この石はこの村の近くの洞窟で取れるものです。昔はこれを加工して旅のお守りとして売っていました。今ではどこに賊がいるか分からないので取りに行くことも困難となり数も少なくなりましたが…周泰様には持って行ってもらいたい。私達をこれまで守ってくれたせめてのお礼です”だそうです。

 

それ以来私はそれを形見離さず持っていたのですが……

 

明命「あぅあ~いったいどこに落としてしまったのでしょうか…部屋を出るときには持って出たはずです…とにかく探しましょう!!」

 

私はそう言って今日通った道を戻るのでした。

 

 

 

 

明命「あう…あう…一体どこにあるのでしょう…」

 

今日通った道を私は泣きそうになりながら戻ります。

 

あれは私にとってとても大切なもの…。

あれには村の皆の気持ちがいっぱい入っている。

そんな大切なものを落すなんて私はなんていけない子なんでしょうか…

そんなことを思っていると、私はある事を思い出しました。

 

明命「そういえば…今日見つけたお猫様がいっぱいいる場所…。たしかあそこで私一回あのお守りを外に出した気がします。たぶん…いえきっとあそこです!!」

 

私はそう言ってその場所へと向かいます。

するとそこには思った通りお守りがありました……………お猫様が咥えてですが。

 

明命「う~~。お…お猫様、お猫様?それは私の大切なものなのです。返してはいただけませんか?」

 

なるべく警戒させないように私はお願いしながらソロリソロリと近づくと、お猫様は”にゃ~”と鳴いて逃げてしまいました。

明命「お…お猫様!!そ…それはダメなのですよ~」

 

私は急いでお猫様を追い駆けます。でもお猫様は足が速くて全然追いつけません。

 

明命(さ…さすがお猫様!!私より速いなんて…じゃないです!!あぅあ~。どうしましょう。これがお猫様じゃなかったらこの小刀でも投げて足を止めるのですが~私にはお猫様に投げるなんて出来ません!!)

 

そんなことを考えながらとにかく私はお猫様を追い駆けました。

 

明命「まってください~。お猫様~。お願いですからそれを返してください~」

 

そんなことを言いながら私はお猫様を追い駆けます。

そして気付くと私は近くの森へと入っていました。

急にお猫様が立ち止まると、辺りをキョロキョロしだして茂みに入って行きます。

もちろん私も同じように茂みに入っていくと……そこは小さな小川がありました。

そして………そこには近くの木の陰で寝そべっている一刀様もいました。

 

ナァ~

 

一刀様に気を取られていると、いつの間にか私の大切なお守りを加えたお猫様は一刀様の近くによって行き、一刀様と同じようにそこで寝そべっていました。

よく見ると一刀様の周りには他のお猫様もいて同じように寝そべっています。

 

明命(はぅあ~こ…ここはお猫様の楽園ですか!?て…いけない。とにかくお守りを回収しなくてわ…)

 

私はお猫様が寝転がっている間に近くにおいてあったお守りを回収します。

 

明命(一刀様はどうやら眠っておられるようですね…。はぁ~、良かったです。これからはさらに落さないようにしなくてわ…)

 

近くにいた一刀様が寝ているのを確認すると静かに私はその場に座り込んでしまいました。

お守りを両手で抱え、絶対にもうこの身から離さないように誓います。

そうしてしばらく経った後…私は気付いてしまいました。

 

……いつの間にか私は一刀様のすぐそばに座っている事を…。

 

明命(あ…ううう…/////。ど…どうしましょう。い…いつの間にかこんなに一刀様の近くに座ってしまいました。……今すぐこの場から立ち去らないと!!)

 

そう思って私はなるべく静かに…一刀様を起こさないようにその場から立ち去ろうとしました。

でも……どうしても私はその場から動く事が出来ませんでした。

 

明命(一刀様の寝顔かわいいです~//////)

 

いつの間にか私は手を伸ばして一刀様の髪の毛を撫ぜていました。

 

明命(にへへへ~/////気持ちいい。まるでお猫様を撫ぜてるみたいなのですよ~)

 

私が髪の毛を撫ぜていると一刀様は少しくすぐったかったのか寝返りをしました。

その姿を見て私はクスクスと笑いました。

その姿があまりにもかわいくて…改めて思います。

私は一刀様のことが好きなんだな~って。

そう考えていたらいつの間にか私は寝ている一刀様に話しかけていました。

明命「…一刀様。あの時…一刀様が私達に秘密を話してくださった時、私は言えなかった事があるんです。それは…”ごめんなさい”です。」

 

一刀様の体がピクッって動いたような気がしましたが、私は話を続けます。

 

明命「なんで?って一刀様は言うかもしれませんが、それでも私は言いたいのです。だって一刀様の事をなんでもっと早く気付いてあげられなかったのだろうって思ってしまったからです。おかしいですよね?逢って間もないのに…一刀様のことまだ良く知らないのに。でも私はそう思ってしまいました。そして悔しかったんです。雪蓮様と思春様が誰よりも早く一刀様が悩んでいる事に気付いたのが…。これって…嫉妬っていうんですよね?私言葉は知っていましたが、まさかこんなに苦しいものだなんて初めて知りました。だからこそ、私はその後部屋で思ったんです。もっと一刀様のことを知りたい…そして私のことももっと知って欲しいって…」

 

それはきっと私が心に秘めた本心。

本当なら起きている時に言ったほうがいいと思っていても私にはそれが出来ない。

一刀様が寝ている時にしか言う事が出来ない、勇気が無い私の心からの言葉。

 

明命「でも…私意気地なしなんです。一刀様のこと知りたいって思っているのに…私のこともっと知って欲しいって思っているのに一刀様の近くに行けないんです。そんな私ですが、一刀様のことを好きなのはほんとなんです。初めてなのですよこんなにも他の人のことを考えるの…。だからもう少し待っていて欲しいのです。きっと…ちゃんと勇気をもつことが出来たなら…その時は私といっぱいお話してください。どうかそれまで…それまで………私の事を嫌いにならないでください。お願いします」

 

そう言い切った後私はその場から静かに立ち去りました。

最初歩いていたのですが、いつの間にかそこから逃げるように走っていました。

そしてさっき寝ている一刀様に言ったことを思い出して顔が熱くなります。

 

明命「あぅあ~/////わ…私はなんて大胆な事を言ってしまったのでしょう…。今考えただけでも恥かしいです。でも…にへへへ~/////一刀様は寝ていらっしゃたのですがお話をする事が出来ました。さすがお猫様です!私の事を考えてくれて一刀様の元へつれてきてくださいました。やっぱお猫様は凄いのです!!」

 

私は改めてお猫様に感謝と今まで以上の愛情を注ぐ事を誓います。

そしてもう一つ…私は誓いました。

 

明命「今は寝ている時にしかお話をする事は出来ませんが、まっててください一刀様!必ず私は一刀様と話せるようになってみせます!頑張れ私!!」

 

拳を空に突き上げて気合を入れます。

陽だまりのように気持ちよく、暖かいそよ風のようにやさしい一刀様の傍にいられるように…

私の初めて好きになった人…その隣にいられるように私は前に進むのみです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「………ぶはぁ!!ったく明命なんて恥かしいこと言ってくれるんだよ/////」

 

ナァ~

 

一刀「お前もそう思うよな?…でもありがとう明命。そして待ってるよ明命と楽しく話が出来るのを…」

 

猫(コイツも恥かしい事言ってるにゃ…。さすが最近噂の呉の種馬にゃ。)

~拠点・穏【本が語る思い出】~

 

穏「ん~~やっぱりこの本にも何も書かれていないですね~」

 

私は一刀さんの話を聞いた次の日から冥琳様の許可をもらい、侍女さんから倉の本を持ってきてもらっては読み漁っています。

理由は簡単…一刀さんに起こっている事を少しでも理解したいと思ったからです。

一刀さんに起こっている事は正直私達が聞いた事も無いような体験で、良いものなのかどうかさえ判断できません。

祭様や冥琳様が言ったようにその夢はきっと一刀さんの力になってくれるのだと思います。

だけど…人が得る力にしてはあまりにも大きすぎます。

 

過ぎたる力と言うのは必ずその身に返る。

 

この言葉の意味は”未熟なものが強力な力を手にした時必ず失敗する”ということです。

 

冥琳様を同じ考えにいたったのでしょう…なるべく多くの話を聞きだしうまくその力を使えるように導いています。

祭様も同様に武の面でそれを行っています。

 

なら私は?

 

そう考えた時私が思い浮かんだのは、最悪の事態に備える事でした。

 

軍師として…なにより一刀さんが好きな一人の女として最悪の事態など想像したくありません。

しかし、たとえ信じていたとしても”それ”は起こってしまうかもしれないのです。

ならそんな時に少しでも解決策を見つける事が私の使命だと思いました。

そのために占いや妖術、伝承や絵本まで…様々な本を読み漁り何か手がかりが無いか探しています。

 

でも結果はあまりよろしくありません

 

穏「…思わずあきらめたくなってしまうのですが…あらめるわけにはいきませんね~」

 

そう呟いてさらに本を読み漁るのでした。

 

穏「あや?いつの間にか辺りが暗くなってしまいましたね~。今日はこの辺で終わりにしますか~」

 

そう言って座っていた席から立ち上がろうとすると近くに詰まれていた本に服が引っかかり一斉に本が散らばりました。

 

穏「あや~………痛いです~。本を読んでいる時は気付きませんでしたがずいぶんと散らかしてしまいましたね~。これは整理をしないと冥琳さまに起こられますね…仕方がありません。やりますか~。」

 

そう独り言を言いい本を整理し始めるとある本に目がとまりました。

その本は普通の人達からしたら別に貴重な本ではありません。

でも私にとってはこれは特別な思い出がある本です。

 

これは初めて私が一刀さんと一緒に勉強をした本

 

私が初めて一刀さんのことが好きだと気付いた時に勉強していた本

 

私と一刀さんを繋ぎ、今も私と一刀さんの力となっている知識をくれた本

 

つまりこれは私と一刀さんの始まりの本なのです。

 

私はその本を手に取るとその思い出を思い出しながら思わず顔がにやけてしまいました。

 

穏「そうですか~どこにいってしまったんだろうって思ってましたがここにあったのですね~」

 

手に取った本を胸に抱くとギュっと力を込めてその本を大事に…大事に抱きしめます。

この本のことはすべて暗記しています。

本を開けばその風景がすぐにでも浮かび私の顔がさらににやけてしまいます。

 

穏「…一刀さんはこの本のこと覚えているのでしょうか~?ふふっ…もしかしたら覚えていないのかもしれませんね~。知識は今も一刀さんの力となっているでしょうが、本自体はそこまでたいしたものじゃないのでしかたがありません。でも私にとってはこれはとても大切な本です。だってこの本には一刀さんとの思い出がいっぱい詰まっているんですから~。」

 

軍師や文官にとって本というのは教科書であり、師であり、私が生まれる前の先人達が残した日記だと思います。

でも私には…そのほかにももう一つ付け加える事があります。

それは………友達です。

 

あまり友達がいなかった私は本が友達の代わりでした。

人と違って声を掛けてくれるわけではありません。

でも読むとまるで本が私に話しかけてくれるようで、私は全然寂しくはありませんでした。

でも…冥琳さまに弟子としてお世話になり、祭さまや雪蓮さまたちと話す様になりました。

本を読んでいるおかげで私は素晴らしい人達と出会えたのです。

 

それに私はある事に気付きました。

 

私はきっと人と関わるのを恐れていたのでしょう。

人より鈍く、場合によっては相手を怒らせてしまうかもしれないそんな性格

私はこの性格が好きではありませんでしたから…。

 

でも今は違います。

こんな鈍く、変な性癖を持つ私でもそれを全部受け止めてくれる人に逢いました。

そして私はその人を好きになります。

生まれて初めて好きになった人。

そしてたぶんこれからも好きでいるであろう人

 

この本は私と一刀さんを繋いでくれた最初の本でした。

穏「なんてちょっと恥かしいこと考えてしまいましたね~。でも私は貴方にお礼を言いたいです。私と一刀さんを支えてくれてありがとう。私にとても楽しい思い出をくれてありがとう…。大切にしますのでこれからも困った時助けてくださいね。」

 

本に向かって私は言いました。

もちろん答えが返ってくれる訳がありません。

でも私にはたしかに聞こえました。

 

”どういたしまして…。これからも頑張ってね”

 

その事に嬉しくなって私は大切にその本を自分の部屋にある本棚にしまいました。

大切な友達が静かに眠れる場所へと…

 

 

穏「さて…本さんから激励の言葉をもらった事ですし、明日もまた頑張りますかね~」

 

そう呟いて何とか足の踏み場をつくるとそのまま布団に体を預けました。

 

穏「一刀さん…待っててくださいね~。きっと手がかりを見つけて一刀さんの不安を少しでもなくせるようにしますから~……………ぐぅ。」

 

その日見た夢は一刀さんと楽しく本を読んでいる夢。

そして私達の間には多分私の子供なんでしょう…小さな子がかわいい笑顔を私達に向けていました。

 

いっぱいの絵本の中に一つだけ古ぼけた本。

 

それは私と一刀さんとの絆の本

 

いつかそれも教えるのかな…そんなことを考えながら夢の続きを見たのでした。

 

幸せな夢を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「ねぇ冥琳?穏にあんなに本を読ませて大丈夫なの?」

 

冥琳「…心配はいらん。あそこらへんはたしかに貴重な本ばかりだが、話があまりにも現実離れしているものが多くて穏も興奮しないのだ。」

 

雪蓮「なんでそんなこと知ってるの?」

 

冥琳「…………だてに穏の師ではないよ。…………穏を教えるためにはこれくらい知っていないとな………」

 

雪蓮「ごめん……お酒飲む?」

 

冥琳「………ふっ。………すまんな。」

~拠点・蓮華【今よりも一歩前へ…】~

 

 

蓮華「お姉様!!お願いがあります!!」

 

そう言って私はお姉様がいる部屋の扉を開ける。

もしかしたらいないかもしれないと思っていたが、今日はちゃんと政務をやっていたらしく中央の席に座っていた。

そしていきなり私が乗り込んできたからなのだろう…驚いた顔してこちらを見てきた。

 

雪蓮「わぁ!!…もーいったい何よ蓮華。びっくりするじゃない」

 

蓮華「す…すみません」

 

雪蓮「はぁ…まぁ別にいいんだけど…それで?いきなり私の所に来てお願いって言うのは?」

 

蓮華「はい!私を鍛えて欲しいんです!」

 

雪蓮「鍛える?…どうしたの急にそんなこと言い出すなんて?」

 

蓮華「急にと言うわけじゃないんですけど…前々からそうは思っていても行動に移せなかっただけです。」

 

雪蓮「ふ~ん。…もしかして一刀のことが原因だったりする?」

 

蓮華「っ/////////」

 

お姉様の言葉に自分で顔が赤くなっていくのを感じた。

最初に言ったように、前々からお姉様に鍛えて欲しいとは思っていた。でも行動に移そうと心に決めたのはやっぱり一刀が隠し事をしていてそれを私達に教えてくれたことが切欠だった。

あの時私は涙を流して一刀や思春を責める事しか出来なかったが、あの後一人になって考えて、もっと一刀に頼ってもらいたいと考えるようになった。

だからこそこうしてお姉様に鍛えてもらいたいと思ったのだが…

正直そこは気にしないでいて欲しかった。

 

雪蓮「……なるほどね。一刀の話を聞いて何とかしたいと思ったわけだ…。そんなに好きなのね~」

 

蓮華「ふ…ふざけないでください!!//////そ…それはたしかに一刀のことが無いとは言いませんが…」

 

雪蓮「別にいまさら恥かしがらなくたっていいじゃない♪むしろ私は嬉しいわ。こうやって蓮華が気持ちを表に出してくるのなかなかないから…」

 

蓮華「……どうせ素直じゃありませんよ。」

 

そう言ってプイと顔をそむける。

自分が素直じゃないと言う事は、誰よりも私自身が良く分かっている。

それでも最近は素直になれるように行動してきたのだが、こう…正面から言われるとやっぱりまだ素直になりきれなかった。

 

雪蓮「あーんもう!かわいい♪」

 

そう言ってお姉様は私に抱きついてくる。

こういうことはたびたびあって慣れているといえば慣れているのだが…正直恥かしい。

でもけして嫌な気分ではない、これが無ければだが…

蓮華「ちょ…!!/////ね…お姉様抱きつかないでください。いや…そこは…触ったら…////」

 

そうお姉様は抱きつくといつも私の体を触りまくるのだ。

特にお尻は”こ…これはいいものだー”とか言ってよく触ってくる。

私がお尻大きい事気にしているのを知っているくせに…

 

雪蓮「だって~。愛する妹に頼られているのよ?うれしくて…」

 

蓮華「それは…っていい加減にしてください!!あとなんで私のお尻をそんなに触るんですか!!」

 

雪蓮「だってこんな形のいいお尻他に無いわよ?孫呉の宝よ?国宝よ?それだったら触るしかないじゃない~ん~」

 

蓮華「お・ね・え・さ・ま~~!!」

 

雪蓮「あ…あはは…。ごめん調子に乗りすぎたわ。」

 

さすがの私も我慢の限界に来てにらみつける。

すると、お姉様は私と視線を外して謝ってくる。

でもけして本当に怒ったことはない。

だってこんなお姉様でも私にとって愛すべき人なのだから…

 

蓮華「もう…しっかりして下さい。」

 

雪蓮「こほん…それで?鍛えて欲しいって言ってるわけだけど、一体何を鍛えて欲しいの?武なら私より祭の方が丁寧に分かりやすく教えてくれるわよ?智は多分無いでしょうけど…冥琳とかだろうし…」

 

蓮華「武についても智についてもたしかに教えて欲しいんですが…私が教えて欲しいのは王についてです。」

 

雪蓮「へ~…王についてね」

 

私がそう言うと、先ほどまで緩んでいた顔が急に引き締まりじっとこちらを見つめてくる。

あまりのかわりように少しおどろいたけど、私はかまわず話を続ける。

 

蓮華「はい。私は今までお姉様こそ王に相応しく、私はそれを一生支えていくつもりでした。」

 

雪蓮「今は違うの?」

 

蓮華「いえ…今もそれは変わってはいません。でもいずれお姉様から王座を譲り受けるかもしれませんし…それに…」

 

雪蓮「…それに?」

 

蓮華「…お姉様は私の理想なんです。政務とかサボるのはどうかと思いますが、それでもお姉様の周りにいる民達はいつも笑顔です。…私にはそれができない。」

 

雪蓮「…微妙にほめられている気がしないのだけど…まぁいいわ。でも貴方の周りでも民達の笑顔があるでしょ?」

 

蓮華「たしかに…私の周りでも笑っていてくれてはいます。でも…私には心からの笑顔をむけられたことがありません。皆どこか緊張しているというか…こちらの様子を伺っている感じがするのです。」

 

雪蓮「…………」

蓮華「でもお姉様にむける笑顔は皆心から笑って向けているような気がするのです。すごく楽しそうに…私はそれがうらやましくて仕方がありません。」

 

雪蓮「…だから私に鍛えて欲しいと?」

 

蓮華「はい。もう今のままの私でいたくないんです。もっと…私にできる事を増やしたいんです。」

 

そこまで言い切ると、お姉様はあごに手を持ってきて考えていた。

周りの空気もいつの間にか重みを持っているように感じ、正直この場に居ることがつらくなってきた。

 

しばらくそんな空気の中沈黙が流れると、先ほどまで目を瞑って考えていたお姉様がゆっくり目を開いて話掛けてきた。

 

雪蓮「そう…。ねぇ…一つ聞かせて貴方はこの国をどうしたいの?」

 

蓮華「どうしたい…ですか?」

 

雪蓮「ええ…。それがまず王としての最初の一歩よ。私は前言ったわよね、この国を”皆が笑顔でいる国にしたい”って。貴方はどんな国にしたいの?」

 

蓮華「わ…私もお姉様と同じ…」

 

雪蓮「それじゃダメよ。もしかしたら貴方の思いも私と同じかもしれない。でも全部同じってわけじゃないんでしょ?ちゃんと蓮華自身の言葉で話して御覧なさい。」

 

私はお姉様の言葉を聞いて改めてどうしたいのかを考えた。

今まで私はお姉様の語る思いに共感し、私もそうしたいと思ってきた。でもお姉様が言うにはそれだけじゃだめだと言う事だった。

なので私は考えた。

 

自分はどんな国にしたいのか?

 

その質問に対する私の答えを…

 

蓮華「……私は皆が手を取り合って国をつくっていくような国にしたいです。そこにはいつも笑顔があふれていて、たとえつらい事があっても皆で乗り越えて行く…そんな国がいいです。」

 

雪蓮「そう…でもその思い。私個人としてはとても素晴らしいものだと思うけど、王としての私としては賛同できないわ。」

 

蓮華「どうしてですか?」

 

雪蓮「あのね?貴方が言った事簡単に言うなら、王と民の垣根も越えて平等にするって事なのよ?そんなのできるわけ無いじゃない。人は平等じゃない…それに、もしそんな国になったら間違いなくまとまらないわ。だっていくら私達がまとめようとしても平等と謳っている以上私達の言う事聞く必要なんて無いでしょ?なら私達が治めている必要は無いし、それこそ笑顔なんて夢のまた夢よ。」

 

お姉様の指摘に私は反論する事が出来なかった。

多分お姉様が言っている事は間違いじゃないんだろう…私より先に生まれ、王としてこの国を治めてきたお姉様。時々頭が痛くなるほどに自由奔放だが、その目でいつも現実を見て民を見てきているのだ。

そんなお姉様の言葉には重みが感じられた。

だけど…私は納得できなかった……いや納得したくなかった。

だからこそ聞きたい。

お姉様が考えている事を…

 

蓮華「じゃあ…お姉様はどうなんですか?」

 

雪蓮「私は孫家を中心とした国をつくるわ。もし私達に害をなすのであれば容赦はしない。しかるべき処置をするわ。」

 

蓮華「なっ…!!力で国を治めるということですか?」

 

雪蓮「そう取られてもいいわ。でもそうでもしないと平和が訪れないのも事実よ。そのためにはどんな罵声や汚名を着せられてもかまわない。」

 

蓮華「………」

 

あまりのことに私は声を出す事が出来なかった。

でも次の言葉で私はさらに愕然とする事になった。

 

雪蓮「そしてそれは私が心を許しているものたちでも同じ。特に一刀とかはね…。」

 

蓮華「え!!」

 

雪蓮「今一刀が夢を見ているでしょ?その知識が国のためになるなら良し。でもそれが危険と分かったら……言わなくても分かるわよね?」

 

蓮華「そ…そんな…。」

 

雪蓮「蓮華?それが王というものなの。王というものは常に皆のことを考えなくてはいけない。そのためにはたとえ苦渋の決断を迫られてもそれから逃げてはいけないわ。」

 

蓮華「で…でも…」

 

雪蓮「……夢や希望を捨てるなとはいわない。でも現実はそんなに甘くはないわ。」

 

蓮華「………」

 

雪蓮「わかったかしら?」

 

蓮華「………せん。」

 

雪蓮「え?」

 

蓮華「わかりません!!私にはそんなことできません。」

 

気がついたら私は大声を出して泣きそうになりながらそう叫んでいた。

私は一刀が好き

これは誰にも負けない。

そう…たとえお姉様でも思春でも負けたくない。

なのに王になるならば一刀を殺す覚悟も必要になるとお姉様は言った。

でも私はそれを認めない…認めたくない。

たとえ誰がなんと言うとも絶対に私は一刀を殺したりはしない。

ただその一心で私は叫んだ。

 

そんな光景を見てもお姉様は淡々と…冷ややかな目で私を見ていた。

雪蓮「そう……ならどうするというの?」

 

蓮華「……今の私には思いつきません。もしかしたら…いえ多分お姉様が言っている事が正しいのかもしれません…。でも私はそんな未来は欲しくない!!私は……私は……」

 

雪蓮「私は?」

 

蓮華「私は私の理想を叶えて見せます!!具体的なことはなにもいえないし、そんなこと現実に実現できるかもわからない。でもあきらめない!!たとえ無理だと言われようとも絶対に叶えてみせる!!」

 

雪蓮「そう…」

 

蓮華「……お姉様?」

 

自分の心のうちをすべてお姉様に打ち明けると、先ほどまであれほど冷ややかな目だったのに、いつの間にかその目には暖かさが宿り、私はお姉様に抱きしめられていた。

それはまるで昔…そう遠い昔お母様に抱きしめられた感じがした。

そして私の悲しみを癒すかのごとくやさしく…やさしく私の頭を撫ぜた。

 

雪蓮「なら好きにしなさい。王としての私はあなたの事を応援できないけど、姉としての私は全力で応援するわ。……私もそんな未来が見てみたいもの。」

 

蓮華「!!……まさかさっきのは…」

 

その言葉に先ほどまで熱くなっていた頭は冷え、お姉様の真意が見えるようなきがした。

きっとお姉様は私を試したのだ。そのためにあんな心にも無い事を言ったのだ。

そう考えると、さらに涙が出てきた。

私はなんて愛されているのだろう…

なんて幸せなんだろう…

私はこのお姉様がいる事に感謝した。

でもお姉様はそんな私の心を読み取ったかのように話を続けた。

 

雪蓮「それは違うわよ。さっきのは私の本心よ、王としてのね…。貴方は私に王について教えて欲しいといったけど、それは難しいの…。と言うよりも無理なのかしらね。だって私が私で目指すものがあるように、蓮華は蓮華で目指すものがあるのよ?すこしは参考になるのかもしれないけど、たぶんそんなのはほんの少しだけよ。だからいい?貴方は貴方が目指す王を目指しなさい。それは私の真似ではなく、蓮華自身で考えて進んでいくの。」

 

蓮華「………はい。」

 

雪蓮「よろしい。…じゃぁ今王をやっている私からの助言を少しだけ言うわね?この言葉が貴方の力になってくれると嬉しいわ。」

 

蓮華「心して聞きます。」

雪蓮「いい?たとえどんな事があっても現実を見る事を忘れないで…。どんなに理想を語っても現実はかわらない。現実を見てこそかえる事が出来るのよ。次に…王としての責任を忘れないで。これは王だけではなく人の上に立つ者として当然なんだけど、王はさらにこの責任が重いわ。そこから逃げないこと。そして…民を自分の目で見る事。いくら報告されても自分で見ないとその状況をきちんと把握できるわけが無いの。だからいつも民を見て、時には話しかけたり仲良くなったりして報告されるよりも先に自分が気付くようになれれば一番いいわ。」

 

蓮華「ありがとうございます。今の言葉しっかり胸に刻みました。」

 

私はけしてお姉様の今の言葉を忘れないだろう。

それは王として、次期王となる私への助言であり。

私を愛してくれる姉としての助言であり。

幼い頃無くなってしまったお母様の言葉のように感じた。

 

だからこそ私は心に今の言葉を刻む。

忘れないと分かっていても、深く…深く今の言葉が私の力になるように…

 

雪蓮「よろしい…。あーあと公私を使い分けなさい。」

 

蓮華「は?」

 

私は思わず聞き返してしまった。

なんでだろう…さっきまであんなに感動していたのに、一気にその感動が消えていき別の意味で泣きそうになった。

 

しかもさっきまであんなにやさしい顔をして私を慰めてくれたお姉様の顔は、まるでいたずらを仕掛けようとする子供のような顔をして私を見てきた。

それを見て私はため息しか出なかった。

 

雪蓮「つ・ま・り~いつも王としてとか考えないで、甘える場所…好きな時間をつくれって言っているの。私みたいに…ね♪」

 

蓮華「はぁ…最後のが無かったら尊敬できたのに…」

 

雪蓮「ちょっとー!!私は尊敬できないとでも言うの!?」

 

蓮華「政務を抜け出したり、ことあるごとにお酒を飲んだり…尊敬できるところがどこにあると言うんですか!?」

 

雪蓮「はぅ!!」

 

変な声をだして胸を押さえるお姉様を見て正直さっきまでのは夢だったのではないかと思ってしまう。

ためしに頬をつねってみるとやっぱり痛いので夢じゃないらしく、なんでいつも最後までしまらないんだろうと思ってしまった。

 

蓮華「少しは王としての自覚を持ってください!!せめて政務中ぐらいは逃げ出さないできちんとやってください」

 

雪蓮「……堅物」

 

蓮華「何か言いましたか?」

 

雪蓮「べつに~♪」

 

蓮華「むっ…まぁいいです。とにかくちゃんと政務はしてくださいね。」

 

そう言って私は執務室から出て行った。

少し歩いた後、私は執務室の方へ振り返り礼をする。

 

蓮華「もう…お姉様たら…でもありがとうございます。お姉様のおかげで自分の目指す道が見えたような気がします。」

 

最後あんなふうにふざけたのもきっとお姉様が私のことを考えてくれたのだろう。

私はいろいろと考えすぎてしまう節があるらしく、自分では分からないがため息や難しい顔をよくしてしまうらしい。

そんな私にお姉様は”気楽にやりなさい”と教えてくれたのだ。

そのやさしさに感謝して、私は思う。

 

やっぱりお姉様がお姉様でよかった…

 

たぶん言うことはないだろう。

どうやら私は堅物で素直じゃないらしいから…

だから誰もいないところで口に出す。

それが私の性分なのだから…

 

蓮華「面と向かってはなかなかいえませんが………尊敬しています。心から…」

 

どうか私の思いが風に乗ってお姉様に伝わりますように…

 

だって私は…………

 

 

 

一刀の次にお姉様のことが大好きなんですから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮華「……いや。伝わらないほうがいいのかしら?調子に乗ってまた抱きつかれたりお尻を撫ぜられたりするのは嫌だし……すみません。さっきのは訂正します。どうか真面目なお姉様になりますように…」

 

はい!と言うわけで今回のお話しいかがだったでしょうか?秋華です。

 

思春「出番が無かったが、ここだけは誰にも譲らない思春だ。」

 

さて今回拠点第二弾ということで、あらたに三人登場させてみましたがどうでしょうか?

 

思春「私としては明命拠点がかなり力を入れているような感じがしたし、あと…蓮華様拠点は…なんかこうお前を殴りたくなってくる。」

 

は?いやいや…たしかに少し前から明命の扱いがひどいみたいな事を言われたので、かなり気合をいれて明命のこと書きましたが、蓮華様拠点も頑張ったんですよ?なのに殴られるんですか?

 

思春「いや…だってあれは無いだろ?たしかに雪蓮様なら言いそうだが、それでもあの場面であれは無い。あと穏様拠点も最後はひどかったしな」

 

いやーそこは仕方が無いです。だって秋華だよ?

ぶっとんだり、空気を壊す事に定評がある秋華なんですよ?

仕方が無いじゃないですか!!

 

思春「お前いつか他のやつらに刺されるぞ?」

 

………すみません。自重します。

 

さて次回ですが、残りの人達を書いていきます。

 

そしてその次にはとうとう反董卓連合編へ突入します。

 

思春「次回にも期待したいが、それよりも連合編が心配だ。今どんな感じなんだ?」

 

そうですね…大筋が出来ているのは呂布登場まででしょうか。

ここで少し言っとくのであれば、原作とはかなり違った感じになると言う事だけでしょうか?

 

思春「なんだと!!お前……できるのか?」

 

んーやるしかないって感じですね。

この作品を妄想……もとい考えていた時からこんな感じにしようと決めていたので…最近では夢にまで出てくる始末ですよ。

 

思春「お前が一刀の代わりになるとでも言うのか?」

 

いえ…そこら辺で頑張っている兵士Bって感じですが何か?

 

思春「………すまなかった。」

 

謝るのは余計寂しくなるので言わないで欲しいです…

 

とまぁこんな感じなので、次回そしてその次も楽しみにしていてください。

 

さて、今日の思春ちゃんのお時間がとうとうやってまいりました。

 

思春「なぁ…もうこr」

 

そんな弱音吐く思春じゃないでしょ?

今回は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋+紅葉+温泉=思春と混浴!!

 

と言う事で思春と一緒にお風呂(旅の一コマ)になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思春「もうすべてにおいて突っ込む所がある!!というか…突っ込む所しかないぞ?」

 

そんなの知りません。

では次回でまたお会いしましょう。あでゅー♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思春「え!!!!!/////なんでここにいるんだ?…ここって混浴なのか!?まったくなんで言ってくれないんだ…////ばっ……違う!!別にお前と一緒に入るのが嫌なわけじゃなくてだな…そ…その。//////お…お前は私の裸他のやつに見せても平気なのか!?……だろ?だったら罰として私の傍からけして離れないように!!……絶対だからな////」

 

思春の裸は私のものだーーー!!!

 

思春「////ち…ちがうだろ!?私の裸は私のものだ!!」

 

やれやれ…素直じゃないね♪

 

思春「///////////」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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