No.176030

暮れゆく空に、手を伸ばして-呉伝-一章

月千一夜さん

皆さん、こんばんわ
早速『一章』投稿しますw
今回のお話は、ものっそい皆さんの予想を裏切ることになりそうですが・・・ま、仕方ないよねww(おい

それでは、お楽しみくださいww

2010-10-02 22:33:24 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:12357   閲覧ユーザー数:9512

『届かないかなって・・・そう思ってさ』

 

 

伸ばした手が、虚しく空を切る

 

 

『ふふ、一刀ったら

届くわけないじゃない』

 

 

彼女の言葉

俺は・・・苦笑する

 

 

『だよね』

 

 

言った言葉

 

わかっている

理解している

 

そんなこと、俺だってわかってる

 

 

けれども・・・俺はまた、手を伸ばしていた

 

 

暮れゆく空

紅く染まる空に向って・・・手を伸ばしていた

 

 

届かない

 

だけど、届けたい

 

この想いを

 

そして・・・この叶わない願いを

 

 

だから・・・俺は、手を伸ばすんだ

 

 

いつか届くって、そう自分に言い聞かせながら

 

 

 

 

 

 

 

《暮れゆく空に、手を伸ばして-呉伝-》

一章 【君】じゃない【君】と

 

 

「しぇ・・・雪蓮?」

 

 

夢じゃない、よな?

俺の・・・夢なんかじゃないよな?

 

 

「むにゃ・・・一刀ぉ~・・・」

 

 

何度も・・・何度も願った、叶わないと思った願い

会いたかった、大切な人

 

雪蓮

 

彼女が今、俺の目の前にいる

 

手を伸ばしても届かなかった、大切な存在が

今・・・俺の目の前に、確かに存在してるんだ

 

 

「雪蓮っ!」

 

 

叫び、俺は眠る彼女の体を強く抱きしめる

 

途端、腕の中に広がる・・・確かな温もり

その温もりが、彼女が確かに存在していることを教えてくれている

 

 

「ん・・・かず、と?」

 

 

ふと、聞こえてきた声

懐かしい声

 

見ると、雪蓮がうっすらと目を開けていた

 

 

「ああ、そうだよ・・・俺だよ、一刀だ」

 

「ふふ・・・おはよう、一刀」

 

「ああ、おはよう・・・雪蓮」

 

 

言ってから、また抱きしめる

 

彼女の声をこうして聞けたことが、たまらなく嬉しくて

ずっと求めていたものが、今確かにここに存在してるんだって感じて

 

俺は・・・雪蓮のことを、ただ強く抱きしめたんだ

 

 

「一刀ったら、どうしたのよ

いつもより、甘えん坊ね♪」

 

「・・・駄目、かな?」

 

「ううん・・・駄目じゃないわ

もっと、こうしていましょ」

 

 

クスリと笑い、雪蓮は俺の背中へと手を回す

それから、スリスリと俺の胸元へと擦り寄ってくる

 

 

「ふふふ、温かいわ」

 

「うん、俺も・・・温かいよ」

 

 

雪蓮の言葉に、クッと笑いがこぼれる

俺は彼女の頭を優しく撫でながら、彼女の言葉に応える

 

すると・・・彼女は顔をあげ、何やら驚いたような表情をしていた

 

 

「・・・どうしたのさ?」

 

「い、いや・・・どうしたのって、それはこっちの台詞よ」

 

 

・・・はい?

 

 

「何でさ?」

 

 

そりゃ、俺ってそんなキャラじゃないかもしれないけどさ

けど、甘えたくもなるだろ?

だってさ、また・・・また会えたんだぞ?

もう会えないと、そう思ってたのに

 

蓮華や他の皆には悪いけど、抱きしめて甘えたくなるのは仕方ない事じゃないか!

 

あわよくば、しっぽりむふふと・・・って、いかんいかん!

何を考えてるんだ俺は!!

 

 

 

「っていうか、むしろ雪蓮はリアクションが薄すぎないか?

あ、リアクションってのは・・・えっと、『反応』って意味かな」

 

「いや、それくらい知ってるわよ」

 

「ああ、知ってるのか

まぁいいか、とにかく雪蓮のその反応はちょっと薄すぎるよ

どうしてかわからないけど、こうしてまた会えたっていうのに

そもそも、俺や蓮華がどれだけ頑張ってきたか一回・・・て、は?」

 

 

・・・知ってる?

 

 

「ちょっと待って、なんか今・・・」

 

「もう、一刀まで冥琳と一緒で私のことすぐ馬鹿にするのね

そりゃ、いつも授業はサボってるけど・・・でも、一応成績は良いんだけど?

それは、一刀だって知ってるでしょ?

昨日だって、数学の宿題見せてあげたじゃない」

 

「え・・・」

 

 

待て

雪連は今・・・何て言った?

 

 

「しぇ、雪蓮・・・?」

 

「っていうか、一刀・・・貴方、また私たちが見ていない間に誰かに告白されたみたいね

貴方は目を離すと、すぐそれなんだから」

 

 

胸が、ズキリと痛んだ

 

嫌な・・・予感がする

 

 

「全く・・・私という彼女がいながら、いっつも他の女の子に優しくして

まぁ、そこが貴方の良いところなんだけど

困ってる子は、ほおっておけないのよね」

 

 

頭が、痛い

駄目だ・・・

 

 

「まぁ、今はとりあえず・・・」

 

 

痛い・・・頭が、胸が全部痛い

 

これは、きっと【警告】

 

コレより先は、聞いてはいけないと

 

そう・・・言っている気がした

 

 

「くっ・・・」

 

 

そして、俺は気づいてしまう

ここは・・・違う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その、【蓮華】って子?

初めて聞く名前だけど・・・いったい、いつ知り合ったのかしら?」

 

 

ここは・・・俺が思ったような、そんな場所なんかじゃないと

 

 

俺は、ようやく気づいたんだ

 

 

 

 

「雪蓮・・・」

 

「どうかしたの?」

 

 

俺は、言葉を発する事ができないでいた

彼女の口から出た言葉が、信じられなくて

 

彼女のその言葉を、信じたくなくて

 

 

「ちょっと、本当にどうしちゃったのよ?」

 

「悪い雪蓮、少し・・・少しだけでいいんだ

俺を、一人にしてくれないか?」

 

 

そう言って、俺は彼女を自分の体から引き離す

なるべく、顔を合わせないように・・・だ

 

その行動に一瞬彼女は何かを言いかけたが、すぐに言葉を止める

それから、その場から静かに立ち上がった

 

 

「わかったわ・・・少しだけよ?

貴方が学校に遅刻したってなると、怒られるのは私なんだから」

 

「すまない」

 

 

俺が謝ると、彼女は『気にしないで』と笑った

そして、ゆっくりと出口に向かい歩き出す

 

俺はその背中を、複雑な気持ちで見つめることしかできなかった

 

 

「一刀」

 

 

そんな中、彼女はピタリと足を止める

何事かと思った矢先、俺の唇に広がる・・・温かな感触

 

懐かしい、忘れようもない感触

 

 

「ん・・・よし♪ 一刀分補充、なんてね♪」

 

「な、雪蓮っ!?」

 

 

突然の行動に慌てる俺をよそに、彼女は軽やかな足取りで離れていく

それからこちらに一度振り返り、ニッと晴れやかな笑みを見せたのだ

 

 

「何があったのかしらないけどさ、私はいつだって一刀の味方よ

だから、その気になったら教えてね

絶対に、力になってあげるから♪」

 

「ぁ・・・」

 

 

そう言葉を残して、部屋から出て行った雪蓮

俺は・・・また言葉が出なくなった

 

そのまま、ベッドに体を倒す

見上げた天井に、懐かしさと寂しさを感じながら

 

 

「どうなってんだよ・・・くそっ」

 

 

わけがわからなかった

この今の状況が、全くといっていいほど理解できていなかった

 

俺がいた、フランチェスカの寮

そこにいた、死んだはずの彼女・・・雪蓮

 

だけど彼女は、言っていた

 

 

 

『その、【蓮華】って子?

初めて聞く名前だけど・・・いったい、いつ知り合ったのかしら?』

 

 

 

知らないはずがない

忘れるはずもない

 

だって蓮華は、雪蓮にとって大切な妹なはずだろ?

 

だったら、あれは・・・雪蓮じゃない?

いや、きっと違う

 

だって・・・

 

 

 

『何があったのかしらないけどさ、私はいつだって一刀の味方よ

だから、その気になったら教えてね

絶対に、力になってあげるから♪』

 

 

 

あの笑顔は、間違いなく彼女のものだ

俺の愛した、雪蓮の笑顔だった

 

 

なら、いったい・・・何が起こってるんだ?

 

 

「あ~~~~~~、どうなってんだよ!」

 

 

ガシガシと髪を掻き、俺は体を起こした

それから、窓の外を見る

 

良い天気だな~・・・はぁ

 

 

「とりあえず、学校行くか」

 

 

呟き、俺は立ち上がる

先ほどの雪蓮の話を聞く限り、雪連はフランチェスカに通っているらしい

そういや、制服を着ていたような気がするし

 

とにかく、学校に行けば・・・もっとほかに、何かわかるかもしれない

 

そうと決まれば・・・

 

 

 

『ちょ、待ちなさいよ!』

 

 

 

「・・・なんだ?」

 

 

ピタリと、俺は鞄を持とうとした手を止める

 

今、何か聞こえなかったか?

 

 

『待て、だと?

お前が北郷を起こしに行ってから、いったい何十分待ったと思ってるんだ!?

どうせまた、一緒になって眠っていたのだろう!?』

 

『うぐっ、け、けど一刀に言われたのよ!

しばらく一人にしてくれって!!』

 

『はっ! そう何度も、この私を騙せると思うなよ!』

 

『ちょ、こら待ちなさいっ!』

 

 

 

な、何だ!?

外で、ってか廊下で何が起こってるんだ!?

 

・・・って、ちょっと待てよ

 

 

「あの声、どっかで聞いたことあるような・・・」

 

 

ふと、頭を掠めるのは・・・懐かしき声

浮かび上がる、懐かしい姿

雪蓮と同じ・・・大切な女性の姿

 

 

 

「っ・・・あぁ」

 

 

そして思い出す

雪蓮との、先ほどの会話を

 

ああ、そうだ

 

ここには・・・彼女もいるのか

 

 

 

「北郷っ!」

 

声が聞こえたのと同時に、勢い良く開かれるドア

 

そこから姿を現したのは・・・俺が今、思い浮かべていた女性

 

 

 

 

「冥琳・・・」

 

「なんだ、起きているではないか」

 

 

俺を見つめ、ふっと微笑む彼女

雪蓮と同じ

もう二度と、会えないと思っていた存在

 

俺は、込み上げるものを抑えることが・・・できなかった

 

 

「冥琳っ!!」

 

「な、ほっ、北郷!?」

 

 

力強く・・・もう離すまいと、彼女の体を抱きしめる

 

温かい・・・彼女が今、ちゃんといるんだって実感する

 

 

「ちょ、冥琳!?

何、抜け駆けしてるのよ!!」

 

「ちがっ、これは北郷がだな・・・」

 

「むー、だったら私も混ざるーーー!」

 

「こ、こら待て!!?」

 

 

聞こえてきた、彼女達の声

胸に響いていくそんな声を聞きながら、俺は涙を流し続けた

 

 

ここがどこか、なんてわからない

 

どうなっているのかさえ・・・何もわからない

 

 

けど・・・今くらいはいいだろ?

 

 

 

「雪蓮・・・冥琳」

 

 

 

 

 

 

 

 

今くらい・・・この温もりの中にいたって、かまわないだろ?

 

 

 

★あとがき★

皆さん、お久し振りです

作者の月千一夜ですw

 

短くてごめんなさいw

今回は、一章という名の序章その二みたいな感じになっちゃいました

よし、次は頑張ろうww

 

 

新しい物語ともなると、やっぱり何だか気持ちとかも大分変わりますね

牛乳も、いつもより美味しく感じます(?

 

さて、ついに始まった新たなる物語

初っ端から、皆様の予想を裏切った感が・・・ま、まぁ仕方ないよね(ぁ

公開前から皆様がものっそい期待しててくれたから、なんかこう、嬉しい反面凄まじいプレッシャーを感じてしまって

いえ、本当に嬉しいんですよwww

 

全体的な雰囲気としては、【魏伝】に近いものがあるかもしれません

戦闘描写もないですし

そういうのよりも、【純愛】的な感じでしょうか

ただ、魏伝は『恋姫たちが頑張る』とすると

こっちではむしろ、『一刀くんが頑張る』って感じでしょうか

今作でも一刀くんは様々な悩み、問題、試練に直面します

 

 

そういうのが苦手なお方は、今から回れ右をした方がいいかもしれませんwwww

 

 

まぁ魏伝よりは、大分短いお話ですがw

全体で、長くて20話くらいですかね

しかも呉のお話は、現在素晴らしい作品がたくさんありますから・・・魏伝と比べると、この作品は大分影が薄くなりそうなww

ま、いいか(wwww

 

あ、あと魏伝との違いをあげるとしたら・・・疾走感、でしょうか

意味は、きっとそのうち明らかになりますw

 

 

さて、この新たなる外史・・・最後までお付き合いいただければ、嬉しいですw

 

それでは、またお会いしましょう♪

 

 

 

ps、戦闘描写の一切ない恋姫は、アリなんでしょうか?

 

 

ps2、ボクって、そんな近寄りがたい雰囲気が出てますかね?(w

中身は背の低い女顔な一般人なんですがw(悲しいがマジな話し


 
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