No.175896

きみの空

これは奥華子さんの「きみの空」を聞いて

これって恋姫の短編で書けないかなっていう

暴挙にて書いてみました。

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2010-10-02 03:28:58 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1754   閲覧ユーザー数:1484

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             きみの空

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北郷一刀がこの外史を統一して早10年経っていた。

 

国家は大きく繁栄を極め天下泰平も継続されまさに理想国家となったのだ。

 

その間いくつもの別れを経験してもきた。

 

 

そんな暑いある日のこと・・・・

 

 

この国の重臣である甘寧こと思春は突然不治の病に冒されていた。

 

原因は分かっていない。

 

しかも名医である華佗でも原因が分からず日夜調べているのだ。

 

ベットに横たわる思春はあの頃の覇気はなく

 

剣に付いた鈴だけが風に吹かれ時折響く程度だ。

 

「無様だ・・・。こんな姿を見たら蓮華様に笑われてしまうな・・・。」

 

今では警備の任すらまともに出来ず床に伏せていた。

 

「そんなことは無いよ、思春。」

 

そこに言葉を聞いた一刀がやってくる。

 

「そんな弱気なんて思春らしくないじゃないか。」

 

一刀は極めて明るく勤めるが

 

「貴様にそんなことを言われるとは思わなかったな。不覚だ。」

 

自嘲気味に笑う思春に苦笑いする一刀

 

「思春・・・・んっ・・・・」

 

名前を呼び優しくキスをする一刀に俯いて恥ずかしそうにする思春

 

彼が彼女を愛するように彼女もまた彼を愛していた。

 

「・・・・ぷはっ・・・こんな私にキスなどしても・・・・。」

 

思春が一瞬照れるがすぐに自嘲する。

 

「そんなことないよ、思春。君も俺の妻なんだから。」

 

その言葉に思春は枕に顔を埋め肩を振るわせる。

 

「私は・・・・私は恐い・・・死ぬことが・・・・いなくなることが・・・

 

何よりお前の・・・・北郷一刀の傍に居れなくなるのが!!」

 

心からの叫びだった。

 

いつもは冷ややかな印象の彼女だがこの間際で思いを叫ぶ。

 

すると一刀はゆっくり思春の傍に座り優しく頭を撫でた。

 

「好きなのに何もしてやれなくてごめんな・・・。」

 

これでもかと言うくらいに強く唇をかみ締める一刀

 

気が付くと外は夜も暮れていた。

 

「思春・・・今日は一緒に寝てもいいかい?」

 

突然の申し出に戸惑う思春だったがコクンっとうなずいた。

 

そうして一刀は思春の後ろから布団に入るとゆっくり抱きしめる。

 

思春も一刀の方を向くと同時に子供のように泣きついた。

 

「か、かずと・・・ごわいよ・・・し、死にたくなんか・・・ヒック・・・死にたく・・・ヒック・・・なんかないよ・・・・。」

 

一刀も泣きながら強く思春を抱いた。

 

「助けられなくてごめん・・・。大好きだよ、思春・・・・。」

 

お互いの気持ちを確認しながら抱きしめあった。

 

寝る間際思春が一刀にこう言った。

 

「なぁ・・・一刀・・・死んでもまた愛してくれるか?」

 

一刀はクスッと笑うとこう答える。

 

「もちろんだよ。思春。」

 

そう言うと二人は眠りに落ちた。

 

これが最後の別れだとも知らずに・・・。

 

 

空に日が昇りゆっくりと窓に光が差し込む。

 

一刀はゆっくり目を開けると隣には思春が横に居た。

 

しかし、一刀は気づいてしまった。

 

隣にいる思春が息をしていないことに・・・。

 

「・・・・・・・・。」

 

触れた手が酷く冷たかった。

 

表情はものすごく穏やかでどこか笑っているようで・・・。

 

「・・・起きろよ、思春・・・・。起きて叱ってくれよ・・・。起きろよ・・・・。」

 

一刀は涙を流し思春を抱きしめ呟く。

 

それでも返事は無く穏やかに眠るような思春

 

彼女はとても幸せだった・・・。

 

それを証明するように穏やかな顔で一刀の腕に抱かれ

 

長かった生涯を終えるのだった。

 

それから一年後・・・・孫権こと蓮華も天に召された。

 

これも何かの運命だったのだろうか。

 

それは誰も知らない。

 

そんな外史の物語・・・・・。

 

あとがき

 

いかがだったでしょうか。

 

この曲を知ってる方からすれば別物じゃん・・・と言われそうですが

 

自分の想像力を頑張って駆使しました。

 

少しでも心に響けば幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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