No.175296

リリカルなのは 過去と今と未来と 2話

タナトスさん

相変わらず、錆が落ちない……

頑固な汚れになってる……

2010-09-28 23:38:21 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:2866   閲覧ユーザー数:2628

 

 

ユーノ君はフェレットになって地面に倒れた。

 

 

私は慌てて駆け寄り、首元に手を優しく添える。

 

(よかった!! 生きてる!!)

 

私は慌てて、ユーノ君の傍に落ちてる赤い宝石、レイジングハートを拾い上げる。

 

『な!? 何ですか!? 彼方はいったい!?』

 

レイジングハートは慌てた様に語りかけてきた。

 

『落ち着け、レイジングハート。時間が無い。御身は高町 なのは殿ですか?』

 

今度は懐中時計が語りかけてきた。

 

「え、あ、ハイ……あの……彼方は……」

 

懐中時計は私の言葉を遮る。

 

『今は悠長な説明をしている場合では無い!! 早くレイジングハートと契約を!!』

 

懐中時計はそう言い、レイジングハートにも言う。

 

『レイジングハート、マスターの命がかかっている!! 彼女と急いで契約を!!』

 

レイジングハートは慌てて契約の準備を始めた。

 

「大丈夫だよ……レイジングハート……“解る”から……」

 

なのはは静かにレイジングハートに語りかけ瞳を瞑りながら、両手を胸元で組み、祈るように、契約の呪文を唱えた。

 

その姿は神に祈る様な美しい姿だった。

 

「我、使命を受けし者なり

 

契約の下、その力を解き放て

 

風は空に、星は天に

 

そして、不屈の心はこの胸に

 

この手に魔法を

 

レイジングハート、セット・アップ!」

 

『stand by ready. set up.』

 

 

 

 

彼女達の契約はココに……

 

不屈の魂と輝ける星は再び主従となった。

 

 

 

 

『な!? マスターとレイジングハートとの契約の上から強引に上書きした!? しかも何だ!? この魔力量!? 人の身でこの魔力量!? ええい!! 高町 なのははバケモノか!?』

 

懐中時計が何か失礼極まりない事言ってる……

 

私、バケモノじゃないもん!!

 

『コレがマスターから聞き及んだ管理局のしろ……』

 

「それ以上言うと命はないの。断じて私は魔砲少女でも白い悪魔でも冥王でも無いの……

ワカッタ……」

 

私は懐中時計にレイジングハートを突きつけながら笑顔で語りかけた。

 

『……理解した……理解したから杖を逸らして欲しいのだが……』

 

懐中時計が認識を改めてくれた様だ。

 

(やはり、マスターの記憶は本物だったか……何て恐ろしさだ……杖から殺気が全力全開だった……本当に9歳児か!?)

 

「……今、失礼な事考えなかった?」

 

『いや何も……』

 

何か懐中時計が失礼な事考えて様な気がしたからきいてみたの。

 

『兎に角!! マスターを助けてくれ!! 今から回復の呪文を教えるから!!』

 

そうだった!! ユーノ君が危ない!!

 

私は懐中時計から教わった回復の術式を構成していく。

 

(ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君!)

 

私はユーノ君の想いを全力全開で込めた。

 

私とユーノ君のロマンティックがとまらないなの!!

 

 

 

 

 

スターゲイザーサイド

 

な……何だこの術式!?

 

全てがマスターで埋め尽くされている!?

 

しかも出鱈目な術式のはずなのにマスターの怪我が見る見るうちに消えていくだと!?

 

最早、回復の域を超越して蘇生だと!?

 

本当に高町 なのははバケモノか!?

 

魔力量も既に可笑しい。

 

明らかに本人の魔力量を超越している!!

 

なのは……恐ろしい子!!

 

『これは……何と……』

 

私はとりあえずそう呟く事にした。

 

 

 

 

ユーノサイド

 

あるれ~~~~?

 

何で僕、怪我も魔力も回復してるの?

 

「ユ~~~~~~~~~~~~~~~~ノく~~~~~~~~~~~~~~~ん!!」

 

なのはが全力全開で抱きついてきた。

 

は? 今、なのは何て言った?

 

ユーノ君といった?

 

フェレットな僕に?

 

はあああああああああああああああああああああ!?

 

何で!?

 

って!! 苦しい!! なのは!! 苦しい!! フェレットのままだから抱きしめる圧力が半端無いよ!! なのは!!

 

そして僕は泡を吹いて気絶した。

 

 

 

 

「と、言うのがなのはとの最初の出会いかな~」

 

ユーノはアルフと無限書庫でお茶を楽しみながらなのはとの出会いを語った。

 

勿論、自分達が過去から未来から転生した事は伏せ、虚実織り交ぜながらの会話ではあるが……

 

「相変わらずおもしれ~な、2人の馴れ初めは」

 

アルフはゲラゲラ笑いながら言う。

 

僕はスターゲイザーを取り出し、時間を見る。

 

「アルフ、そろそろ仕事の時間だ。クロノの依頼は片付けたけど他の依頼はまだなんだから」

 

アルフはソファーから飛び降り、ユーノの後をついていく。

 

「ハ~イ」

 

(なのは、元気にしてるかな?)

 

ユーノ・T・スクライアはそう思いながら仕事に入った。

 

 

 

 

 

なのはサイド

 

アレから結構、時間が過ぎました。

 

今は、はやてちゃんが立ち上げた六課でフォアードの子達を訓練しています。

 

「皆~! 休憩に入ろうか!!」

 

4人共バテバテになりながら答える。

 

「「「「ハイ!!」」」」

 

空元気でもコレぐらい大きな声が出れば十分!

 

私、ナノハ・T・スクライアは微笑みながらフォアードの子達を見つめた。

 

 

 

 

ユーノが無限書庫司書長室でアルフと仕事をしていると通信が入る。

 

その通信を見た時、辺りから警報が鳴り響く。

 

『クロノ注意報発令!! クロノ注意報発令!! 警報に発展する恐れあり!! 繰り返す!!……』

 

“ヤツ”は最早、無限書庫では災害扱いである。

 

耳を済ませると……

 

『ぎやああああああああああああああああああああああああああ!! 俺の休みが!!』

 

とか……

 

『今日は彼女とのデートなのに~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!』

 

とか……

 

『もう、徹夜いや~~~~~~~~~~~~!! まともな食事と睡眠がしたい!!』

 

やら……

 

『あへへへへへへへへへへへへ……………………』

 

とか……

 

最早、地獄絵図である……

 

 

 

 

ユーノは溜息を吐きながら警報を解除する様、命じクロノの通信に出る。

 

『よう、フェレットモドキ、元気か?』

 

相変わらずのふてぶてしさにユーノは溜息を吐きながら答える。

 

「またかいクロノ……前みたいに無限書庫を1ヶ月使用不能に追い込む気かい? 今度は査問会と減俸処分じゃ済まないよ?」

 

『グッ……アレは仕方が無かった……あの資料が無ければ次元世界への影響が凄まじい事に……』

 

そう、クロノは一時期無限書庫のキャパシティーを超える過剰な資料請求をした事があった。

 

クロノの言葉も事実でユーノ達、無限書庫の活躍が無ければあの事件は最悪の結末になっていただろう。

 

しかし、その後の弊害が酷かった。

 

その資料請求でユーノとアルフ以外はぶっ倒れ、無限書庫は機能不全に陥り、管理局の機能は50%の低下、つまり以前、ユーノが司書長をする前に戻ってしまい、管理局全体に影響を及ぼした。

海、陸問わずその機能低下は深刻だった。

コレに慌てた管理局は慌ててユーノが進言した人事案を全面的に支持する方向に傾いた。

更にユーノを驚かせたのは、無限書庫司書長の地位を一部署の長から元帥相当の地位に当たる『大臣』の地位を作り、其れをユーノに与えた。

 

ある意味75年間、情報を軽視していた管理局が情報の重要性を認識した事件となった。

 

そのある意味で立役者たるクロノは形だけの査問会と減俸5ヶ月が言い渡されただけに留まった。

何故なら、上層部も情報の重要性をこの事件で認識させられた為、クロノだけを責められなかった。

 

兎に角、ユーノはクロノの用件を聞くことにした。

 

「で、今度はなに?」

 

『ああ、今回は今から送る書類を六課に届けて欲しい。勿論、それ以外は自由にしていい』

 

ユーノはクロノの遠まわしの優しさを察したが困った様に呟く。

 

「でもね……僕がココを抜けたら……」

 

「いいじゃん、ユーノ。たまには休んできなよ。最近働き尽くめだろ? ガス抜きは必要さ。それに、なのはに会いたい頃だろ? それにいい加減、他の司書も鍛えたいしさ」

 

アルフの言葉に押される形でユーノは依頼を受理した。

 

 

 

 

 

 


 
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