No.172309

真・恋姫†無双 十√ 26

kazさん

お久しぶりです
 かなり空いたので前回のあらすじとか書いてみました

オリキャラ
韓遂 文約

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2010-09-13 21:27:50 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:31651   閲覧ユーザー数:19508

-前回のあらすじ-

 

三国鼎立後、南征を準備する北郷軍の元に「関中に動きあり」の報告がなされる

馬超、韓遂率いる関中十部軍が魏領へと侵攻してきたのだった

南征を中止し迎撃に移る北郷軍、対峙した馬超から発せられた言葉は「父馬騰の仇!」

何の事かわからないまま戦闘に突入する北郷軍

その後一進一退のこう着状態が続くものの一刀の『氷城の計』、恋達の活躍なので勝利し戦いを有利にしていく

さらに止めを刺すべく北郷軍軍師賈文和が『離間の計』を提案し

一刀は交馬語(両将が自軍の兵を退け、数人を引き連れるだけで馬上で言葉を交わす事)

をすべく書簡を届けるのだった

 

 

 

潼関

 

北郷軍との戦いで連戦連敗の西方諸侯達の軍はこの潼関に立て篭もっていた、

本来騎馬の運用に特化した軍であるにもかかわらず立て篭もるしかない状況に北郷軍の強さが見て取れる

 

そんな中馬岱こと蒲公英が威力偵察で出陣した所を北郷軍に捕らえられたとの報告が届く

その報告を聞いた馬超こと翠はすぐさま出陣の為の準備を整える

翠にとって蒲公英は実の妹のように可愛がっていた存在だったからだ

父馬騰を殺した北郷なら蒲公英もすぐ殺されると思い焦る翠

そしていざ出陣という時、翠の心配をよそに蒲公英は無傷で帰ってくる

 

「あ、えと… 翠姉様ただいま///」

 

「た、たんぽぽーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

蒲公英を優しく迎え入れ抱きつく翠は涙を流しその無事を喜ぶ、そして蒲公英は北郷軍陣内でのいきさつを話す

北郷という人物の話、そして「馬騰を殺していない」という北郷の言葉

その言葉を翠は信じなかったが蒲公英が無事帰って来た事、そして

 

「ねぇ翠姉さん、馬騰叔父さんはどうして殺されたの?何で北郷は馬騰叔父さんを殺さなきゃいけなかったの?

蒲公英、あいつが馬騰叔父さんを殺したって思えないんだ…」

 

そんな問いに翠は答える事ができなかった、”父馬騰は北郷の兵に暗殺された”

その言葉を翠に伝えたのは馬騰と義兄弟の契りをかわした韓遂であった

共に長安へと行き、そこで父馬騰が殺されたと、翠は韓遂の言葉を疑う事はなかった

韓遂はずっと父馬騰と共に戦い家族のような付き合いをしていた

迷う翠の元に一刀から馬超宛ての書簡を持った使者がやってくる、内容は

 

 

 『馬超との交馬語を行いたい』

 

 

その書簡を見た翠は罠も考えたが、北郷という人物と話しをしてみたいという想いの方が強く、それを応諾する

そして翠は蒲公英と数名の兵を引き連れ潼関より進発する、北郷軍からは北郷一刀

そして護衛に張遼こと霞、そして楽進こと凪が従う

ちなみにこの人選はクジで決められたもの、ハズレを引いた面々が皆いじけたのは言うまでもない

(ただし後で一刀さんの種馬フォローで皆が納得した)

 

武器と数人の護衛の兵を置いた北郷一刀と翠が進み出る

霞と凪、蒲公英と兵達はそれぞれ十歩(13メートル程)離れた所で見守る、話を始めたのは一刀

 

「馬超、反董卓連合の事を覚えているか?あの時の俺はまだ全然でさ、ほんといっぱいいっぱいだったんだ」

 

そんな感じに話し始める一刀、そんな一刀の話をじっと聞き入る翠

何か不穏な事を話し始めたら即座にくってかかろうと構えていた、しかし

一刀が話す話はたあいのない話ばかり、そしてその話は自分の国で流行ってるものや食事

服の話などにまで及ぶ、楽しげに話す一刀とは裏腹に段々苛立ってくる翠

ちなみに蒲公英は一刀の話を興味深く聞き入り目をキラキラさせていた

 

そして、時間にして10分ほどした頃、ついに翠がキレる

 

「いい加減にしろーーーっ!お前はそんな話をする為にわざわざ危険を冒してまで交馬語をしにきたのかっ!」

 

「あれ?興味なかった?んー、やっぱ西涼の人達には馬の話しとかの方が良かったのかな

でも俺あんま馬の事知らないしなぁ」

 

「そーゆー事言ってんじゃないー!!!! 」

 

今にも襲い掛からんとする翠に霞や凪は駆け寄ろうとするが一刀が笑顔でそれを静止する

 

「わかったよ馬超、じゃあ真剣な話をさせてもらうよ」

 

「うっ…、さ、最初からそうしろっての!」

 

そんな感じで再び身構える翠、そんな翠を呆れるような感じで見る蒲公英

再び張り詰めた空気…かと思われたが

 

「俺、馬超を初めてみた時から思ってたんだけどさ、馬超って…美人だよな!」

 

 

 

 

「…………   なぁっ!//////」

 

 

 

「髪も綺麗だし、スタイル…体つきもいいし、美少女だなってずっと思ってたんだよなー」

 

「な、なななななななななななな!////何言ってんだよお前っ!!!!!!!////」

 

一刀の言葉に真っ赤になってパニくる翠、しかし一刀はさらに翠を誉める

初めて言われるそんな言葉に訳が分からなくなり翠はとうとうメルトダウン

 

「やぁめろおおお!!!も、もういいっ!お、お前となんか話していられるかっ!//// 行くぞっ蒲公英!」

 

そういって馬首を返し潼関へと帰っていく翠、それを見て溜息をつく蒲公英、翠を追い帰ろうとする、その時

 

「馬岱!」

 

一刀の声に振り向く蒲公英、何事かと身構えてると、一刀から放たれた言葉は意外なもので

 

「ごめんな」

 

その言葉に驚く蒲公英、そして一刀と護衛の霞達は自陣へと帰っていく

そんな一刀の姿をじっと見つめる蒲公英は凄く嫌な予感がしたがそれ以上は考える事ができず翠を追って潼関へと帰っていく

 

 

 

自陣へ帰る途上、追随していた霞が一刀に近づき、悪戯っぽく

 

「まったく、一刀は相変わらずやなぁ、いきなり馬超口説くとは思ってなかったわ

恋とかがいたら拗ねて暴れてるかもしれへんで」

 

「口説いてないって、思ってた事を言っただけだよ」

 

なんか天然なのか何なのか霞は溜息を吐きそれ以上の追求を避ける

 

「しかし、一刀は相変わらず甘いな~、馬岱にごめんなとか、敵やで?」

 

「ははっ、ごめん、仲の良い姉妹みたいなあの二人を見てたらついな

まっすぐで素直そうなあの二人を策に嵌めるってのがな」

 

「ほなやめるか?」

 

「まさか、無理に攻め立てればこちらの被害が酷い事になるからな

精強な西方諸侯軍にただでさえ潼関は守り易く攻めにくい場所だし、あとあまりこっちにかかりっきりだとさすがに雪蓮達がしびれを切らして攻め込んでくるかもしれないし、それと春蘭達とあまり長い事離れるのもな、赤壁の悪夢が蘇ってなにかあったらって心配しちゃうんだよ」

 

「どっちかっていうと惇ちゃんが痺れ切らして勝手に攻めてったりせんかの方が心配やけどなぁ」

 

「その辺は秋蘭と風がなんとかしてくれてると思うよ、桂花もいるけど…多分春蘭とやりあってるだろうなぁ」

 

「ははは、しかし今頃留守番組は機嫌悪いやろうなぁ、こっちで一刀独占してもうてるからなぁ」

「ど、独占だなんて…///」

 

独占という言葉に真っ赤になる凪を霞がさらにからかったり

そんな話をして笑いあう三人、そんな風に話をしていると陣から恋達がやってくる

留守番と言い聞かせられてたのだが、一刀の姿が見えたので飛び出してきたのだった

心配そうに見つめる皆を笑顔で答える一刀

 

そして、陣に帰って来た一刀達は次の準備に移る

 

 

- 詠の天幕 -

 

そこでは詠が馬超へと送るある書簡を書き綴っていた、そこに酒を持った霞が訪れ一刀と馬超の交馬語での話を始める

 

「って感じでな、一刀は馬超と世間話しかせぇへんかってん、危険冒してまで何しにいったんかわからへんわ」

 

「いいのよ、それで」

 

書簡を書きながら詠は霞に答える

 

「ええって、世間話で何か起こるゆーんか?」

 

「交馬語の目的は馬超を引っ張り出す事なのよ、話は何でもいい、というか世間話の方がいいの

逆に真面目に話をして煽ったり降伏を進めたらそれこそこの策の効果は半減、いえ失敗する可能性があるのよ」

 

「うーん、うちにはやっぱようわからへんなぁ」

 

そう言いながらゴロンと寝転がる霞、そんな霞をよそに詠は書簡をしたためていく、そんな詠を見ながら霞が

 

「しかしあんた変わったよな、何か楽しそうや」

 

「はぁ?楽しい?急に何言ってるのよ?」

 

「いや、涼州にいた時のあんたって何かいつもピリピリしてて笑った事なんかなかったやん、月っちもいつも思いつめたような表情しとったし、けど今の皆、恋や華雄、うちも含めてやけど何か楽しそうっちゅうか、明るぅなったなぁって」

 

書簡を書きながら霞の話しを聞いていた詠は、筆をとめ、頬を染めそして感情を込めたように

 

 

「みんな、あいつのおかげなんでしょうね…」

 

 

”あいつ”とはもちろん一刀の事、詠の口からそんな言葉が出るなんてって感じで驚く霞に気付いた詠は真っ赤になり

 

「い、今のは何でもないからっ!////」

 

と照れ隠しをし慌てて書簡をまた書き始める、そんな詠をケラケラと笑い肴にしながら霞は持ってきた酒をぐびーっと飲むのだった、それからしばらくして詠は書簡を書き終える、しかし次の瞬間シューッと書いた書簡の文面を消していく、詠のその行動に

 

「ちょ、何やっとんねん詠!それ馬超に渡すやつやろ?」

 

「いいのよ、これで」

 

そう言うとまたシュッシューっと次々に文面を消していく

詠が何をやってるのか理解できず混乱してる霞をよそに詠はニヤリと微笑み一言

 

 

 

「墨黒裂心」

 

 

 

潼関

 

一刀との交馬語から潼関へ帰って来た翠に韓遂が内容を問う

翠は内容などない世間話だったと正直に答えるが韓遂は信用せず問い詰める

何度も答える翠、蒲公英も必死になって話しその場はようやく収まったものの韓遂は納得してないといった感じで自分の天幕へ戻っていく、そんな姿に蒲公英などは

 

「何よ!翠姉様は嘘なんかついてないのにっ!」

 

「よせ蒲公英、今のこの状況じゃ皆イラついてもしょうがない、それよりこの先どうするか考えないと」

 

「……まだ、戦うの?」

 

蒲公英はこの戦いに疑問を持ち始めていた、しかし蒲公英の問いに翠は答えず、自分の天幕へ戻っていく

 

西方諸侯軍、北郷軍共に動かないまま数日が経ったある夜、北郷軍から使者がやってくる

一刀から馬超宛てに送られた書簡を持って翠に渡す兵士

 

翠は決戦の申し出の書簡かと思い恐る恐る封を開け中を見る、しかしそこから現れたのはあちこち墨で修正された文面だった、それはいくつも修正されており一見しただけでは何が何やらさっぱりといったものだった、翠、そしてそれを覗いていた蒲公英も訳がわからないといった感じ

 

そこに北郷から書簡が届けられたとの報告を耳にした韓遂がやってくる、そして翠に書簡を見せるよう迫る

翠は北郷から持ってこられた書簡を渡す、それを見た韓遂の顔が見る見る険しくなっていき

 

 

「この書簡は何だ孟起っ!、貴様さては見られてはまずいものを消したなっ!」

 

 

「な、何言ってんだよ!あたしはそんな事してないっ!」

「そうだよ!この書簡は持ってこられた時からこんなだったんだっ!翠姉様に変な言いがかりしないでよっ!」

 

 

「黙れっ!貴様交馬語の時に北郷と何の取引をした!」

 

 

必死に事実を話す翠と蒲公英、しかし韓遂はその言葉をまったく信用しない

その声は怒号へとなっていきついには翠の胸倉をつかむ

たまらず蒲公英が翠から韓遂を引っぺがそうとするがそんな蒲公英を韓遂は殴り飛ばす

吹き飛ばされる蒲公英の元に駆け寄る翠、実の妹のように大切な蒲公英にこんな事をされてはさすがに翠も黙ってはいない、韓遂と激しい罵りあいとなっていく、その声は近くにいる兵士達にも聞こえ、馬超軍と韓遂軍の兵士達の間でも小競り合いが始まる

 

そんな混乱する西方諸侯軍とは対照的に整然と闇夜に紛れ潼関へと進軍してくる軍勢

その軍の総大将北郷一刀が命ずる

 

 

「全軍攻撃開始!」

 

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

 

 

鬨の声を上げ潼関へと一気呵成に攻めかかる北郷軍

何千何万という無数の矢が潼関へと降り注ぎ城壁を守る兵達を根こそぎ叩き落としていく

潼関の中での騒乱に気を取られていた守備兵はなす術もなく北郷軍を潼関の城壁に取り付かせてしまう

攻城戦となれば北郷軍に一日の長がありまたたく間に城門をこじ開ける

 

一方北郷軍の急襲を知った馬超、韓遂の両軍ではあったが先ほどからの内輪もめによってまともに戦える状態ではなかった、さらに韓遂軍の中からは「馬超は北郷軍と内通していたんだ!」などの非難の声が浴びせられそれによって身内同士での戦いも始まってしまう

 

 

どおおおおおおおおおおおおおおおおおん どおおおおおおおおおおおおおおおおん!

 

 

さらに降り注ぐ無数の岩、潼関近くまで近づいてきた十数台の霹靂車が一斉に発射したのだ

混乱に混乱を重ねる西方諸侯軍、平原での戦いであったならまだ勝算はあったかもしれない

しかし潼関に篭った時点ですでに大陸最強の北郷軍の敵ではなかった

さらに仲間同士での不協和音による混乱、その隙を突いて次々と蹂躙されていく西方諸侯軍の兵にさすがに危ういと感じた翠と韓遂は反撃に転じるが時すでに遅く潼関の陥落、いや西方諸侯軍の壊滅は時間の問題であった

 

 

 

がああああん!!ぎいいいいいん!

 

「くっ!」

「どないしたんや馬超!あんたはこんなもんやないやろうが!もっと本気出してウチを楽しませんかい!てぇぇぇぇぇぇぇぇいいい!!!」

 

翠は霞と一騎撃ちをしていたが、味方のあまりの惨状に動揺して本来の力が発揮できないでいた、さらに

 

 

「はぁああああああああああ!!!!猛虎蹴撃!!!!」

 

どおおおんん!!!

 

「きゃあああああああっ!」

 

「北郷様に降伏して下さい、これ以上の戦いは無益です」

 

蒲公英は凪と一騎撃ち、しかし蒲公英も凪に圧倒されてしまっていた、そして韓遂はと言えば

 

 

がぎいいいいいいいいいいいいいいん!どかあああん!!

 

天下無双の恋の前になす術がなかった、さらに

 

どしゅっ!!!!

 

「ぐっ!!!!」

 

恋の一撃が韓遂の左腕を切断する

 

「伯父貴!!!」

 

翠の悲痛な叫びが響く

 

 

 

噴出す血を止めようともしない韓遂、その姿はまだ戦う事をやめてはいなかった

 

そこに季衣と流琉に守られた一刀がやってくる、すでに潼関は北郷軍の兵に占拠されつつあり

西方諸侯軍は壊走状態であった為だ

 

「北郷一刀…」

 

鋭い眼光で一刀を睨みつける韓遂、しかしそんな韓遂にもたじろぐ事なく一刀は問う

 

「韓遂、馬超をそそのかし西方諸侯を糾合し東征を促したのはあんただろ?」

 

「ふんっ、ワシの名だけでは関中の奴らは動かんからな」

 

「だから馬超を担ぐしかなかった、だが馬騰が生きていたなら…」

 

「物の詰まったような言い方をしおって、聞きたいのはそんな事ではあるまい!」

 

「そうだな、ならまどろっこしい言いようはやめよう韓遂

馬寿成を殺したのは誰だ?あんたなら知ってるんだろ?」

 

その言葉に翠は韓遂の顔を見る、その顔はまるで憑き物が落ちた様な笑みをし、楽しげに見えた

 

「その様子では大体予想はしておるようではないか」

 

「あくまで憶測だけどな、やりそうな奴の心当たりがあるだけだよ」

 

「ふん、まぁいい、なら教えてやろう、孟起も聞け!寿成を殺したのは長安に巣食う董承の一派よ!」

 

その言葉に翠は絶句する、しかし一刀はほぼ予想していた通りの答えの為動じない

 

「奴らにとって馬騰は数少ない強力な味方であったはずだ、それを何故殺さなければならなかった?」

 

「奴は…、どこまでも漢の忠臣であったという事だ…」

 

韓遂のその言葉にさすがに一刀も意味が理解できなった

 

「韓遂、それは「話はここまでだ、後は自分で確かめろ北郷一刀っ!」」

 

一刀が問い返す前に韓遂は言葉を遮る、そして満身創痍で槍を構える

一刀の前で守るように身構える恋、季衣、流琉、静かな時間が流れる、そして韓遂が翠に

 

 

「孟起よ、騙すような事をして悪かった、だがワシは寿成のように漢に尽くすような真似は出来ぬ、今更な」

 

 

「ま、待てよ、伯父貴…、伯父貴!!!」

 

 

韓遂の鋭い槍が一刀を襲う、しかしそれが届く事はなかった

 

 

どしゅっ!!!!

 

 

韓遂の槍が一刀に届く前に恋の方天我戟が韓遂を斬る、崩れ落ちる韓遂

その姿を見て呆然と立ち尽くす翠、そして次の瞬間

 

 

「う、わああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

武器を構え恋に突っ込んでいく、翠の強い打ち込みを防ぐ恋、数え切れないほどの打ち合い

しかし自力に勝る恋に徐々に押されていく、そこに蒲公英が割って入り翠を必死で説得し撤退していく

一刀は二人の深追いをさせず残敵の掃討と潼関の制圧を指示する

 

「涼州に帰ってまた軍を起こしたら厄介やないんか?」

 

一刀の傍に来ていた霞が尋ねる、それに詠が答える

 

「軍を起こしたとしても馬超だけなら正直もうそんなには脅威にはならないと思うわ、今回の戦いで反北郷の関中有力諸侯の多くを潰したし、それに、涼州はもうこれ以上の抵抗はしてこないでしょうし」

 

「ん?何かやったんか?」

 

「涼州の旧知の豪族や貴族達に魏に降る事での恩恵を説く書簡を送っただけよ、まぁ今の涼州の窮状を鑑みれば魏の協力を仰ぐ方が賢明ってのはわかる人達だと思うし、あとは関中十部軍の生き残りの楊秋を降らせればこの一帯は問題ないでしょ」

 

詠は元々涼州の出身であり、涼州にいた頃に涼州貴族、豪族達と繋がりがあったのだった

すでに戦後の政策を次々と進める詠を頼もしく思う魏の面々、そして一刀も

 

「後は任せていいかな、詠」

 

その言葉に詠は頷く、一刀は戦場から離れ休める場所に腰を下ろす、考えるのは馬超と馬岱の事、

 

 

”やっぱり二人は桃香の下に行くのだろうか”

 

 

こうして、潼関を巡る戦いは北郷軍の圧勝という形で終了する

 

 

 

北郷軍は進軍する、すでに主だった諸将が討たれたりした為大きな抵抗もなく関中を次々と掌握していく

 

さらに長安へと進軍、

 

戦闘もなく悠々と入城する一刀達、実は先行して稟、沙和、真桜率いる三千の兵が長安の制圧をしていたのだった

だが、長安に入った一刀達はその惨状に絶句する

 

すでに街と言えるほどのような状態ではなく、あちこち焼き払われた跡もあった、一刀達を迎えた稟が状況を説明する

 

 

「私達が来る前にどうやら同士討ちがあったようです」

 

 

西方諸侯軍が壊滅的被害を受け敗戦したとの報が知れ渡る事となると北郷軍を恐れた多くの兵達が董承達から離反し戦闘や逃亡が起こったとの事、その際略奪暴行放火といった事が長安中で行われ今の惨状になったらしい、そんな様子を苦々しく見ながら一刀は

 

「董承達は?」

 

「捕まえた兵の話ではすでに誅殺されたとの事、逃げ出した様子も見受けられません」

 

その言葉に霞達は悔しがる、一刀を殺そうとした連中を自分たちの手で討てなかったからだ

そんな皆をよそに一刀はさらに凛に聞く

 

「帝はご無事か?」

 

「実は今だ所在はつかめてはおりません、帝の近くにいた者達の多くは討たれた為その行方を正確に知る者もおらず、現在探させてはいますが…」

 

そう言って顔を曇らせる稟、その後兵を増員して帝の探索に当たらせるもその行方は分からずじまいであった

一方一刀達は長安の城…だったと思われる場所へと向かう、焼き払われ原型を留めないほどになったその場所には

多くの死体が片付けられていないまま放置され生生しい跡が残っていた

そして、その場所では董承一派らしき人物達の死体も見られた

その後北郷軍は帝の捜索と同時に長安復興そして近辺に住まう民の為の炊き出しなどを行う

 

一刀達はわずかに残った長安にある少し大きめの屋敷を拠点とする

大きい部屋には一刀と詠、稟が上がってくる報告を精査していた

 

「潼関から逃げた西方諸侯軍の残兵ですが多くは関中、もしくは涼州へ逃げ帰ったとの事です

ですが馬超、馬岱の両名の所在は今だつかめてはおりません」

 

「涼州以外に行く所があるとも思えないけど」

 

 

「益州がある」

 

 

ふとつぶやいた一刀の言葉に詠と稟が注目する

 

「馬超と馬岱が劉備の元に降ったっていうの?ありえないわ、馬岱はともかく馬超が誰かの下に降るなんて」

 

「劉備をあまり甘く見ない方がいい、あの子には人を惹き付け包み込む仁徳がある、彼女ならきっと馬超を説き伏せられるよ、まぁお互いに力をあわせて同盟でっていう形に落ち着くとは思うけど」

 

「随分劉備を評価されているのですね、ですがまぁ確かに、今この大陸で涼州、魏領以外に行くとすれば益州くらいしか選択肢はないかもしれませんね」

 

 

”五虎将勢ぞろいか…”

 

 

そんな事をふと想う一刀

 

「それにしても馬騰殿殺害の真相は結局わからずじまいですね

董承の一派は一族ごとことごとく殺害の憂き目にあったそうですし」

 

韓遂の言った”馬騰は漢の忠臣”という言葉の意味、それが何なのかわからずじまいだった、しかし数日後その意味を知る事となる、帝探索の兵が馬騰の死を目撃したと言う兵を見つけたのだ、その兵が語ったのは

 

馬騰、韓遂の両名は長安に呼び出され北郷軍討伐の勅を受けたとの事、馬騰はそれを了承する、しかしその前に帝に拝謁を求めるも董承達が必死にそれを阻止する、それを不審に思った馬騰は自ら動き帝を見つける、しかしそこで見た帝は暗い牢に押し込められていたのだった、董承達は帝を奪われるのを恐れ誰にもわからないような暗闇の牢に帝を押し込めていたのだった、それに激怒した馬騰は董承達を討ち帝を救おうとする、しかしそれを察知した董承達により毒矢を射られ絶命したとの事

韓遂はその様子を目撃したものの董承達を討とうという考えはなかった、韓遂は漢の没落を感じていた、馬騰のように漢に従うのではなく、自らで王朝を起こそうという野心が芽生えたのだ、今最も天下に近い北郷を討つ事で天下を我が物とする為馬超に嘘を伝え軍を起こしたのだった

 

 

兵の語る話のどこまでが真実なのかはわからなかったが一刀達はそれが真実に近いものではないかと考えた

 

「漢の呪縛か」

 

話を聞きそんな事をつぶやく一刀だった

 

その後帝が幽閉されてると思われる牢を探し調べると現皇帝劉協を発見し保護する

生存はしていたものの憔悴しきっていた劉協は意識を失い動く事すらできないでいた

 

 

 

-長安 北郷軍本陣の屋敷-

 

一刀は休息の為別室にて就寝していた、その一刀の部屋の前では季衣と流琉の二人がもじもじしていた

 

一刀の部屋の前の警護を任されていた季衣と流琉の二人が何故モジモジしてるかと言うと、西への遠征中は一刀は忙しく、また切迫した状況が続いていた為中々可愛がってもらえなかった二人、戦いもひとまず落ち着き、満を持して”兄ちゃん(兄様)に甘えよう!”作戦を発動させようとしたのだった!

 

-季衣と流琉の一刀に甘えよう大作戦概要-

 

・一刀が寝ていた場合→ そっと布団にもぐりこんで一緒に寝る、起きた後にあんな事やこんな事をしてもらう

 

・一刀が起きていた場合→ あんな事やこんな事をしてもらった後一緒に寝る

 

自分たちで考えておきながら二人は顔を真っ赤にし

 

「じゃ、じゃあ行くよ////」

「う、うん!////」

 

そして二人でこっそり戸を開ける、静かな部屋、一刀はもう寝てるのかなと静かに中に入っていく二人

しかし暗がりの中に動くものを見つける、そして、それが一刀だと気付くと

 

 

「兄ちゃん!!!!」

「兄様!!!!」

 

 

そこには苦しそうにうずくまる一刀がいた、駆けつける季衣と流琉、必死で一刀の容態を確かめる、そんな二人に

 

「季衣、流琉…?、何で?…、あ、だ、大丈夫だよ」

 

「大丈夫って!凄く苦しそうです兄様!」

「どうしたの!?どこか痛いの!!??」

 

「う、うん、ちょっと頭痛が…、けどもう、大丈夫…だから、うん」

 

そう言うと二人の頭を優しく撫でる一刀、季衣と流琉は一刀の顔を心配そうに覗き込む、そんな二人に

 

「本当に大丈夫だって、さっきまではちょっと痛かったけどもう本当に痛くないから」

 

そう言って普段と変わらない様子で話す一刀、それでも心配そうな二人を一刀は優しく

 

「じゃあ、今日は一緒に寝てくれるかい?そうしたらきっと頭痛はもう出なくなると思うから」

 

そんな感じの事を言う、一刀が心配な二人はそれを了承し、一緒に床につくのだった、作戦とかはもう関係なくただ寄り添うだけ、それからしばらくして季衣、流琉は幸せそうに眠りに落ちるのだった、そんな二人が寝るのを見やった一刀は

 

「心配してくれてありがとうな」

 

そう優しく二人の頭を撫でてやる

 

 

 

 

 

 

 

”ズキンッ!”

 

 

 

 

 

「……くそっ、何で今更元の世界の事なんか思い出すんだ…」

 

 

 

 

 

その頃の留守番組

 

 

『美羽様&七乃さん』

 

「むぅ~、七乃ぉ~、退屈なのじゃ~、主様はまだ帰ってこないのかや?」

 

「そうですねぇ~、報告では西方の方々をけちょんけちょんにしたってありましたからもうすぐ帰ってくるんじゃないでしょうか~」

 

「おお、さすが主様じゃのう、はよう一緒に蜂蜜水を飲みたいのう、それでその後は主様と床上手をするのじゃ~♪」

 

「ああん、床上手の意味もわからず使う美羽様可愛い!安心してください!

七乃がもっともっとイイコト教えてあげますからねぇ~♪」

 

そんな感じで美羽様にある事ない事楽しげに教える事を新たに誓う七乃さんであった

 

 

『風さん』

 

「あっ、お兄さんやめてください、いくら長い間風と離れていたからといっていきなりそんな事…」

「おうおう、口ではそう言っておきながらこっちはもうぐちょぐちょじゃねぇか」

「ああん、風は、風はもうお兄さんなしでは…」

 

「………」

 

「早くおにーさんに会いたいです…」

 

宝譿を触りながら寂しげにそんな事をつぶやく風さんだった

 

 

『桂花さん』

 

「もうっ!早く帰ってきなさいよっ!あの変態性欲魔王!まったく詠も稟も何やってるのよ!ああやっぱり私が行けばよかったわ、そうすれば馬超なんかあっという間にやっつけるのにっ!まったく、もうっ!」

 

そんな風にブツブツ文句を言う桂花さんは一生懸命何かの道具の手入れをしていたのだった

 

「こ、これで打たれたらど、どんな感じなのかしら…////

こ、こっちの道具、説明書では痛みは少ないって書いてるけど…////」

 

実はこの道具、いわゆる拷問器具のようなものなのだ、桂花さんは政には影響を与えない程度の細かいミスをいくつかワザとしており、一刀が帰って来たら罰を受ける為に道具を買い揃えていたのだった、色々文句を言いながらもなんだかんだで一刀の帰りを待つ桂花さんはちゃくちゃくとあっち方面に目覚めつつあった

 

 

『春蘭さん&秋蘭さん』

 

「ええい!もう我慢ならん!今から関中に向かうぞ!馬を引けい!」

 

「姉者!今姉者がここを離れたら誰が呉の攻撃から魏を守るんだ!北郷も姉者を信頼してここを任せたのだぞ!我慢してくれっ!」

 

「……うう…、でも、でもしゅうりゃ~ん、北郷全然帰ってこないのにゃぁ~… ひっくひっく」

 

なんか寂しくなりすぎて涙ぐむ春蘭を

 

”ああ、涙ぐむ姉者も可愛いなぁ、まったく、北郷は姉者に色々な顔をさせてくれる”

 

そんな感じで喜んでたり

 

「ほぉんごぉぉ~~…」

 

 

『月さん』

 

「へう~、ようやく出来た」

 

ついに完結した「お月様が見てる」、ちなみにそれが国中で売られていることなどは知らない月さんだった

(書かれたものは風さんが月さんに内緒でこっそり持ち出し写本してそれをとあるルートに流していたのだった)

 

「そういえば昨日風さんから本を頂いたっけ、何でも今大人気の本だとか

題名は「桃園結義」か、どんなのだろう…」

 

そう言って中を見た瞬間

 

 

 月に電流走るっ!

 

 

「へ、へうううううう/////」

 

そこには三人の義兄弟がくんずほぐれつのいわゆる「やおい本」がががっ!

それを熱心に読みふける月さんは「へうっ!」っと新たなスタイルを見つけ出しそうであった!

 

 

ちなみに、その本の作者は…

 

 

「しゅ、朱里ちゃんこここんな感じでどうかなぁ」

「雛里ちゃん、ここもっとこう足を絡ませる感じの方が自然だよ、あとここで手をこういう風に…」

「あっ、しゅ、朱里ちゃん痛いっ…///」

 

 

 

 

あとがきのようなもの

 

一ヶ月以上も書いてないとほんと書き方とか忘れる

あと久々の投稿は何かドキドキするもんですな

 

八月はきつかった…

 

・少しこの26を修正しました、ぶっちゃけると1p削りました

 久々に1から読み直してちょっと変な感じがあったもので…

 正史の曹操を意識しすぎたなと反省、なので今後はこの流れで進ませてもらいます、すみません


 
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