反董卓連合の活躍及び玉璽を手に入れたことにより雪蓮たちの所に人や物が集まるようになった。
しかし、それを疎ましく思う者もいた。雪蓮の主、袁術である。
袁術の政は暴政に近いものがあった。それとは対照的に雪蓮の政は民の生活を第一に考えたものであった。
今まではそれでも袁家の名で民たちは耐えてきたが、反董卓連合の活躍により雪蓮の人気が増したのだ。
その為、袁術の収める地では暴動が起こっていた。
「美羽様~」
「なんじゃ七乃?」
「又、暴動が起こってるんです~」
「そんなの七乃何とかせい!」
「無理!」
「はや!・・・ジューシーポーリーで何とかならぬのか?」
「いや・・・無理ですって!」
「何でじゃ!」
「今回の暴動10万人規模らしいですし~それに私って城攻め専門ですも~ん」
「どうすればいいんじゃの?七乃~」
「こんな時こそ美羽様の盾であり矛である英雄孫策さんを使えばいいんですよ~」
「なるほど~それでやられたら目の上のたんこぶがなくなるの~。七乃すぐ呼んでまいれ!」
「わかったでコロン」
「??」
「気にしないでくださ~い。ではいってきま~す!」
その頃思春はレイを街に連れ出していた。
反董卓連合の時にレイを怒らせたお詫びとして何か買ってあげようと考えたのである。
レイは怒った日から全然機嫌を直さなかったのである。
それだけでなく、冥琳に言って思春を護衛から外したのである。
「レイ…あの武器はどうだ」
(………扱いやすそだしな)
「…いらない」
(……ふん)
「そうか…じゃああの服なんかはどうだ」
(まだ怒ってる…………あの服レイに似合いそうだな)
「興味ない…」
(……物で釣られないから)
「………そうだ、どこか食べに行かないか」
(どうしよ~)
「…行かないです。一人で行けばいいですよ」
(…食べ物でも釣られないですよ)
「………」
(レイ…ごめん……だから許して……)
レイの態度に心が折れそうになってる思春の前に袁術と逢った雪蓮が立っていた。
「あ…レイに思春ちょうど良かった~」
レイは今まで思春に取っていた態度が雪蓮にはまるで嘘のような普通の態度を取っていた。
逆を言うとレイは思春に対してのみ冷たい態度を取っていた。
「雪蓮さんどうしたんですか?」
「ちょっと今から暴動鎮静の準備をしたいんだけど…でも確か今日は二人とも非番だったわよね…」
「いいですよ私はそれで甘寧さんはどうします?」
「……ああ………私も行く」
「ごめんね二人とも…レイ先に城に行っといてくれる?」
「わかりました…それでは雪蓮さん……甘寧さん」
そう言うとレイは城に向かって走って行った。
レイがいなくなったのを確認して雪蓮は思春に訊ねた。
「大丈夫?…思春」
レイの思春に対する態度で大分参っているのではと雪蓮は思ったのだ。
事実、思春の雰囲気も暗くみな心配していた。
「…大丈夫です…」
(すこし我慢すればまた機嫌を戻してくれる…だからもう言わないで)
「でも…怒らせてからずいぶん経ってるじゃない?」
「…いいんです……あれは…私に対する…罰なんです」
(レイを怒らせちゃったから…もう言わないで)
「だからと言って……真名で呼ばないって…」
「いいんです!」
(もう言わないで!)
「!!」
突如思春は大きな声を出した。雪蓮もこれ以上言ったら駄目だと思い聞くのを止めた。
「わかった…。準備の件、駄目ならいいわよ」
「いえ…行きます」
(そうすれば少しは気が紛れるかもしれないし)
そう言うと二人も城へ向かった。
三人が城に戻ると冥琳たちが暴動鎮静の為の準備をしていた。
レイは準備を手伝おうと思い冥琳に声をかけた。
「冥琳さん暴動鎮静の準備の手伝いに来ました」
「ああ、レイか…いやいい。もうほとんど出来ているからな」
「どういう事ですか?」
「まあじきにわかる」
そう言うと冥琳は雪蓮のもとへ報告に行った。
「雪蓮…どうしてレイと思春を連れてきた」
「だって…あまりにも思春が可哀想に思って」
「思春の様子は…」
「だいぶひどいわ…」
「そうか……それはそうと準備は出来ているわ」
「わかった…」
報告を聞いた雪蓮はすぐさま暴動鎮静の号令をかけた。
暴動制圧に向かう途中レイは違和感を感じた。
「冥琳さん…暴動が起こっているのは確か逆方向だったはずですよね」
「そうだ…それがどうした」
「暴動をほっておくのですか?」
「ああ…あれは嘘だからな」
「嘘?……!!」
冥琳の言葉にレイはある事に気付いた。
聞いていた暴動の規模を鎮静するには余りにも兵が少なかったのだ。
「もしかして独立の為に…」
「そうだ。とりあえず蓮華様たちと合流してそのまま袁術の城に行くのだ」
「…なるほど……もしかして前方に見えているのは…」
「…あれだな…………あとレイよ、孫家にはあと一人、娘がいるんだが…まあがんばれ!」
「?」
レイと冥琳の会話を黙って見ていた思春の表情はとても寂しそうだった。
合流地点には先に蓮華たちが着いていた。
「お姉様…良くご無事で…レイも久しぶりね」
「あんなんで私は死なないわよ」
「蓮華さん…元気そうですね」
「思春も…?」
「!!ちょっと蓮華こっち来なさい!」
思春が近くにいない事に気付いた蓮華はレイに聞こうとしたがそれに気付いた雪蓮が蓮華を呼び事情を説明した。
「お・ねえ・さま~」
「ってシャオ!!元気だった?」
「はにゃ~元気だよ~」
説明の途中で小さな女の子が雪蓮に抱きついた。
「シャオ!元気もいいけど勉強もしなさい!」
「お姉ちゃん~今は勉強より体を動かす方が大事なんだよ!」
「は~」
「それより天の御遣いって誰?」
「そうね…ところで蓮華、今回の作戦を考えたのって」
「はい。ちょっと待って下さい。…亞莎!」
蓮華に呼ばれ、来たのは片眼鏡をかけたキョンシーっ娘だった。
「はひ!なんれしょうか!」
「今回の作戦を考えた呂蒙です」
「へ~…彼女にも」
「はい、天の御遣いの事は言っています」
「わかった…レイちょっと来て」
例の如くレイは二人に紹介された。
「……呂蒙です………亞莎の真名を預けます」
「へ~貴方が天の御遣い…気に入った!私の真名は小蓮…シャオって呼んでね」
亞莎は照れながら真名を預けた。
シャオはレイに抱きついた。
いつもなら殺気が放たれる場面だがそれをするだけの気持ちになれなかった。
逆に思春は罪だからという気持ちに押しつぶされそうになった。
それに気付いた冥琳は
「大丈夫だ…すぐ仲直り出来るさ…」
と励ました。
一通り顔合わせが済んだところで孫呉独立の為、袁術の城を目指した。
その頃の袁術は呑気に蜂蜜水を飲んでいた。
「七乃~蜂蜜水作ってくれたも」
「だめですよ~そんなに飲んだらお腹が痛くなりますよ~」
「じゃあ…」
呑気に話している時に伝令は焦りながらやってきた。
「袁術様!大変です!」
「なんじゃ!妾も大変なんじゃ!蜂蜜水が欲しいのじゃ!」
「それより大変なんです!孫策様が」
「孫策様が何ですか?」
「孫策様が…」
「早く言う!3・2・1・ハイ!」
「我が城を攻めてきました!」
「なんじゃと~」
「暴動の住民を併合しながらこちらに向かっています!」
「七乃!すぐに何とかせい!」
「アラホラサッサ~」
「?」
そう言うと張勳は追撃体制を取るべく指示を出した。
孫策軍は袁術軍が展開するのを待った。
「袁術ってバカ?」
「馬鹿だな!」
「馬鹿じゃの」
孫策軍は先鋒に雪蓮,冥琳、右翼に思春,明命、左翼にレイ,祭、中軍に小蓮,穏、後曲に蓮華,亞莎と配置していた。
「この一戦で袁術より孫呉独立を勝ち取る!全軍突撃!!!」
雪蓮の号令で開戦となった。
結果としては、孫呉の圧勝で終わり袁術の手より孫呉の領地を取り返した。
袁術たちは城内を見たときにはもう逃げ出しており捉える事が出来なかった。
やっと取り返す事の出来た領地、ゆっくり内政をする予定がある報告で一転してしまう。
つづく
おまけ
思春の気持ち
私は初め軽い気持ちでいた。
「今日から一週間俺に勝ってもご褒美なしです!」
と聞いた時は仕方がないと思っていた。
でも一週間たっても一騎打ちをしてくれない。
それどころか護衛を外されて、一緒に寝ることも出来なくなった。
私に対する態度も変わってしまった…。
そんなに私といるのが嫌なのだろうか…?
最後には私の事を真名で呼ばなくなった。
きっともう嫌いになってしまったのだろうか…。
そんなに私の事が嫌なの…。
悲しいな…。
冥琳様に頼んで久々に休暇を貰った。
レイと一緒に街に行きたかったから…。
レイを誘ったら行くと言ってくれた。
きっとこれで仲直り出来ると思った。
だけど態度はいつもと同じだった。
きっとこれは…私に対する罰なんだ…。
レイを怒らせた…。
そう思った瞬間泣きたくなった。
こんな気持ちになるなら誘わなければ良かった…。
雪蓮様にも心配させてしまったし…。
自分がこんなに弱い人間だと思わなかった。
立ち直るまでそっとして欲しい……。
レイの事見たくないのに目で追ってしまう。
冥琳様と楽しそうに話している。
小蓮様がじゃれている。
それを見ると泣きたくなる。
本当なら私がしたい事なのに…。
でも私には資格がないから…。
嫉妬する権利もじゃれる権利もないから…。
これはレイを怒らせた罰なんだから…。
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やっと領地奪還です。
戦闘は少なめです。
文才欲し~い。
とりあえず謝っときますごめんなさい!