No.167871

こいがたり ―Ⅰ 恋、突然に― 

天乃紫稀さん

この作品は二つ目ですかね?

新しくラブコメ書いてみようと思ったんですけど難しくてorz

よかったら見てくれると嬉しいです

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2010-08-24 14:31:55 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:483   閲覧ユーザー数:465

 

Ⅰ ―恋、突然に―

 

 

 

―――それは、唐突にやってきた。

 

俺、布留川翔一は初めて一目惚れというのを経験した。

 

        ◇

 

今年の春から高校生になった俺だが、ただいま高校生になって初日から遅刻していた。

 

「クソッ!!なんで起こしてくれなかったんだ!!」

 

と愚痴をこぼしながら俺は急いで自転車をこぐ。

 

自転車で登校できるのは不幸中の幸いだったな。

 

急いで坂道を自転車でこいでいると目の前に同じ校章が付いている制服姿の女の子が歩いていた。

 

なんとなく制服のネクタイの色を見てみると俺と同じ学年だった。

 

ということはあいつも入学式にでるんだな……

 

ん?俺は必至で自転車をこいで遅刻しないように走っているのになんであんなにゆっくり歩いているんだ?

 

ちょっと初対面だけど遅刻したら可哀想だしな……

 

「おーい!!急がないと遅刻しますよ?」

 

すると彼女は不思議そうにこっちに顔を振り向けた。

 

「はい?」

 

―――ドクン……。

 

ん?なんだ?今なんか胸のほうから変な鼓動が……

 

「あのー……、どうしました?」

 

どうやら彼女も俺のネクタイの色に気付いたようだ。

 

「あッ…、時間結構やばいですよ、遅刻しますよ?」

 

すると彼女は自分の腕時計を確認するがまた不思議そうに顔を向ける。

 

「入学式まであと1時間あるんですが……」

 

え……!?あれ?俺の目覚まし時計はすでに9時を回ろうとしていたが……

 

俺はあわてて自分のケータイを確認した。

 

まだ8時じゃんか……、だから起こしてくれなかったのか、教えてくれてもいいじゃんか…

 

「あ、あれ?もしかして私の時計1時間遅れてる!?そんなぁ……」

 

彼女はなぜか慌ててる。

 

「いや、俺の勘違いだったごめん。でもなんでこんなに早く学校に行くんですか?まだ1時間もあるのに…」

 

「もし道に迷っても遅刻しないように早めに来てるんです、私方向音痴ですから、この学校の道覚えるのに1日かかりましたし……ッ!!」

 

あ、なんもない道の上で転んだ。

 

結構ドジなんだな、それにしても何もない道の上で転ぶのはもう神の御業としか言いようがない。

 

「大丈夫?」

 

「えーと、大丈夫です、毎日数十回は転ぶんで受け身の取り方はもうマスターしてます!!」

 

自慢げに言われても素直にすごいと思えない……

 

「むぅ・・・、変なのって思ったでしょッ!!でも、早く来て見るものですよ?だってあなたみたいなやさしい人と早速知り合いになれたんだし。」

 

そう言って彼女はやさしく微笑んだ。

 

―――ドクン……。

 

まただ、鼓動が鳴るたびに彼女の顔が見れない。

 

これは…、まさか噂に聞く一目惚れというやつかッ!!いや、噂にはなってないけどね。

 

「そ、そういえば名前なんて言うんですか!?これから一緒の学校に行くんですから、それにお友達は多いほうがいいですからね!!」

 

そういいながら、何故か彼女は顔をうつ伏せにしながら、もどかしそうに聞いてきた。

 

そういや俺、彼女の名前知らないや。

 

「えーと、まず俺の名前は布留川翔一って言うんだ、えーと、君の名前は?」

 

女性から名前聞くのがこんなにも照れることなんて思わなかったよ。

 

「私の名前は雨野由海って言います、これからよろしくねッ!!……キャッ!!」

 

あ、またこけた、同じパターンで。

 

ドジなところは置いといて、やばい、可愛すぎる。

 

こんな会話をつづけてるとすでに校門前まで来ていた。

 

「んー、あと40分ぐらいあるね、…あはは……ハァ~。」

 

と彼女は照れながら笑った。

 

「あ、でも一人のときは道に迷うからあと30分はかかってたよッ!!ホントだよッ!!」

 

いや、そんなに大きな声で言える話じゃないです。

 

そんな他愛もない話をしているとなぜだが和む、やっぱり俺はこの子に惚れたんだろうか?

 

しかし可愛い……どうやらホントに惚れてるようだ。

 

「そういえば雨野さんは何か部活でも入るの?」

 

会話が何もないと緊張して心が持たないと思い話題を探してみた。

 

「部活ですか~、今のところ決まってないんですよね、それに私は帰宅部になっちゃうかもしれないですし、中学の頃も帰宅部でしたし。あ、あとお友達には下の名前で呼んでほしいです。」

 

「じゃあ……、由海さん…でいいですか……?」

 

「さん付けも好きじゃないですぅ!!」

 

彼女……由海は微笑みながら俺にそう要求した

 

「翔一君は…そ、その……何か部活入るんですか?」

 

「あ~、俺も入ろうかどうか迷ってる、ほかにやりたいこととかあるし」

 

そう、こんな話題振っといてなんだが俺はやりたいことがあるから部活とかには入りたくないんだ。

 

「え?やりたいことって何ですか?」

 

「教えるのはちょっと恥ずかしいけど、あ…、やっぱり恥ずかしい……。」

 

そう、中学の頃に『これ』をやっていたせいで恥ずかしい思いしたからな。

 

「え~、気になるよ~、ねぇ…私たちだけの秘密にするから教えてッ!!」

 

ぐッ……!!そんな顔でお願いされちゃったら断れない…。

 

「実は俺、中学の頃から自分で小説書いてるんだ……、だから多分部活には入らないよ」

 

あ~、言っちまったよ、とうとう言っちゃったよ。

 

何言ってるんだろうな、絶対バカにされたよ……。

 

「へ~、それってすごいじゃないですかッ!!翔一君の小説読んでみたいです!!」

 

「え!?全然面白くないよッ!?かなりの駄作だよッ!?それにちょっと恥ずかしいし……。」

 

「私は別にどんな作品でも読むよ、どんだけ失敗しても、駄作だったとしても…、読んでくれる人がいなかったらそれこそ翔一君が書いた小説が可哀想だよ。」

 

確かに、せっかく書いたのに誰にも読まれない小説というのは……。

 

読んでもらうために書いてるのに、こんなんじゃ駄目だな…。

 

「それに私これでも結構いろんな本読むから、評価してあげるよ!!やっぱり他人の意見とかなかったら自分では気づかない間違いや、もっといい話ができたりすると思うし!!」

 

確かに由海の言ってることは一理あるし、しょうがない。

 

「わかったよ、でもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいから、また今度に。それに人に見せるのは初めてだからちょっと修正とかしたいし。」

 

「へ~、私が翔一君の読者第一号なんだ!!」

 

やっぱり可愛い、こんな子が俺の作品を初めて読んでくれるのならこれはこれで悪くはないな。

 

「おっと、もう後15分ぐらいで始まるから体育館に行こっか。」

 

話しこんでたらいつの間にかこんなに時間がたってたのか。

 

「よしそれじゃあ行こうか。」

 

「うん!!なんだかドキドキしてき……キャッ!!」

 

またこけた、そして華麗に受け身をとった。

 

やっぱり一目ぼれしたのかな?と思いながら、俺は彼女――由海に顔を見せないように前に立って歩いた。

 

 

 
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