「赤信号、みんなで渡れば怖くない!」
『……?』
舌戦の後に一刀はこんなことを言いだした。
「俺の世界ではね、どんな危険なことがあってもみんなでなら乗り越えられるという意味なんだ」
一刀の言った事を信じる皆。
「それがどういう関係があるのですかー?」
「みんな打って出たら怖くないんじゃないかな?」
一刀が言いたいのは全員で汜水関から打って出ればいんじゃないかということ。
「よし、それで行こう!」
いち早く賛成する華雄。
「しかし守りやすい汜水関にいるのですぞ?」
ねねの言うことも間違ってはいない。
「なるほど。最初に連合を叩いておくことで相手の士気を削ることができますね」
「相手の士気が下がるということはさらに守りやすくなるのですよー」
北郷軍の軍師二人に皆納得する。
「…………一刀くんすごい」
「そ、そうかな?」
恋に頭を撫でられて顔を赤らめる一刀。
『プハッ』
先に戦闘不能になりそうな気配を漂わせていた。
「汜水関で何か動きがあるようです!」
先陣を任された劉備軍はいざ汜水関を攻めようとするところだった。
「一体なにをするというのだ?」
「あっ、門が開いたのだ!」
いきなり開く門に驚く劉備軍。
そして門から敵がなだれ込んできた。
「華、張、呂、趙の四つか……」
「なんか強そうなのだ!」
戦闘に立つ愛紗と張飛――鈴々は並々ならぬ相手の気迫に冷や汗が流れる。
「愛紗しゃん! 鈴々ちゃん! 先程の予定通り敗走するふりをして袁紹さんに敵を押しつけちゃってくだしゃい!」
華雄が挑発に乗ったらするはずの策を今しようすることにした。
「申し上げます! 汜水関よりさらに敵が出てくるようです! 旗印は十文字! 天の御遣いと思われます」
天の御遣いの出撃に動揺する愛紗。
「天使に会える……!」
「はわわ! 愛紗しゃん! 早く撤退する準備を初めてください~!」
遠目で確認した一刀を忘れられない愛紗。
「天の御遣い様が来るの!? それじゃあ迎える準備をしなきゃ!」
「あわわ! ま、まだ敵でしゅよ~!」
上層部はイケナイことになっていた。
「な、なぜ一刀くんが出陣したのですか!?」
「これは予想外過ぎましたねー」
「お、おいていかれたのです!」
汜水関に残る軍師三人はいきなりの一刀の出陣に激しく狼狽する。
そして、
「ここは行くしかないようですね」
稟は軽く鼻を掴む。
「宝譿、準備はいいですかー?」
宝譿と自分にアメを装備する風。
「とうとうねねのちんきゅーきっくが火を噴くのです」
脚を軽く振り回すねね。
「そこの兵士さん」
「は、はい!」
「我々も出陣するので準備を急ぎなさい」
「し、しかしそれでは汜水関ががら空きになってしまいますが」
「そんなことは聞いていないのです! 早くするのです!」
「は、はいーー!」
汜水関に残る約一万人の兵を非常招集させる軍師たち。
「それではー」
「いざ」
「出陣なのです!」
汜水関ががら空きになった瞬間であった。
「それにしても北郷軍の兵士は精強なやつらばっかやなー」
人数の関係上北郷軍一万を率いる霞はそう呟いた。
それは星の弛まぬ努力のおかげだった。
「はーっはっはっは! 大陸一の勢力を誇る袁家の兵など我が武をもって粉砕してくれるわー!」
「…………」
「うむ。調練の成果が良く出ているな」
四人は持ち前の武で袁紹軍を切り裂いていく。
「あれの兵がどうなってもかまわないけど麗羽が捕まるのはまずいわ。春蘭、秋蘭と凪を連れて助けに行きなさい」
麗羽が捕まっては連合が総崩れになってしまうので救援を送り出す華琳。
「秋蘭」
「はっ」
「出来れば張遼か趙雲を生け捕って来なさい。あの二人は相当役に立つわ」
「……仰せのままに」
瞬時で有能な人材を見抜く華琳。
夏候淵――秋蘭は、正直無理っす、と言いたかったが主の手前そんなことは言えなかった。
「私たちは天の御遣いの部隊と当たってください!」
「愛紗ちゃん! 鈴々ちゃん! 絶対に捕まえて来てね!」
「お任せください桃香様!」
「鈴々に任せるのだお姉ちゃん!」
「いいえ。天の御遣いは私たちが手に入れるわ」
「孫策さん!」
こちらはこちらで何か動きがあるようだった。
「馬はええええええ!」
一刀は出陣したはいいが上手く馬に乗ることが出来なかった。
「こんなことならお留守番しとくんだった!」
皆が出るのに自分だけ汜水関に籠もるのは嫌だった一刀。
今ならその時の自分を殴って更生させたかった。
「まあこのままいけば、星お姉ちゃんたちが助けてくれるか」
手綱にしがみつきながら情けない発言をする一刀。
しかしそんなに上手くいかないのが戦というもの。
一刀の目の前では劉備軍が陣を構えていた。
「これってピンチってやつか?」
目の前に立つ三人の美女に焦りはじめる一刀。
「天の御遣い様! 今こそ我らの元へ!」
「鈴々の弟になるのだー!」
「御遣い君こっちよー!」
劉備軍と北郷隊の交戦が始まる。
「とまってーーーー!」
一刀の勢いは止まらない。
「さあこちらへ!」
「くるのだ!」
「こっちの方がいいわよ~!」
周りは交戦中。
自分は暴れ馬に乗りながら前方の三人に焦る。
「お留守番するべきだったー!」
その瞬間、一刀の手が手綱から離れた。
そして大きく馬から投げ出される一刀。
「イヤン♪」
馬から落ちたというのに不思議と痛みはなかった。
むしろ柔らかくて気持ちよかった。
「そんなに私のおっぱいが良かったのかなー?」
「へっ?」
一刀は状況の確認をする。
「馬から投げ出され前方にダイブして、死んだかなーって思ってたら柔らかいところに着地して、見上げると美人のお姉さん」
「美人だなんて照れちゃうわ♪」
頬を赤く染める雪蓮を見て、今の状況を把握した一刀。
「孫策さんだよね?」
「そうよ御遣いくん♪」
北郷一刀捕獲。
「ま、負けた!」
「おっぱいが足りなかったのだ……」
打ちひしがれる二人がいた。
<おまけ>
劉備軍と交戦する軍師たち。
「くらうがいいですー!」
流れるような動きで反対に持ったアメの柄を敵兵の目を刺す風。
「ぎゃあーーーー! 目が、目がぁぁぁぁーーー!」
「あなたたちはもはや私の血で溺れるのみ!」
稟は針の穴を通すコントロールで鼻血を敵の目に入れる。
「ぎゃあーーーー! 目が、目がぁぁぁぁーーー!」
「ちんきゅーーーー目つぶしきっく!」
驚異的な跳躍力で敵兵の目に、キックをくらわすねね。
「ぎゃあーーーー! 目が、目がぁぁぁぁーーー!」
攻撃力のない軍師が生き残るにはこれしかなかった。
完。
おまけはおまけですのでwww
今回は割とシリアスな場面が多かったですね。
次回はもう少しギャグを入れようかな。
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シリアス注意!