No.164315

真・恋姫無双~ラヴひなコイバナ伝~ 01:集結の園へ

makimuraさん

槇村です。御機嫌如何。


現在、槇村が書いております、『真・恋姫無双~愛雛恋華伝~』という二次創作小説。
アルカディアの掲示板にて、タイトルを「ラブひなコイバナ伝」と誤読された方がいらっしゃいまして。

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2010-08-08 20:37:07 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:7648   閲覧ユーザー数:6641

◆真・恋姫無双~ラヴひなコイバナ伝~

 

01:集結の園へ

 

 

 

 

 

俺の名前は北郷一刀。浪人生だ。

 

といっても、普通とはいえない事情から受験することが出来なかったので、浪人生という実感が今ひとつない。

ことの始まりは、今から二年ほど前。俺は突然意識を失って、懇々と寝続けていたらしい。

らしい、っていうのは、二年も寝ていた自覚がないから。

でも、二年って案外長いよね。

学園生活真っ只中だった自分が、もう卒業して後輩もいなくなったよ、っていうくらい長い。

うん、目を覚まして学校に復帰したらさ、同級生やらなにやら全員、知っている人がいないの。これには驚いたね。

 

受験日を寝て過ごしたっていうなら、まだ笑い話にもなるよ。

でもさ、受験シーズンそのものを寝て過ごしたって有り得ないよね。

自分でも、言葉にしてみたら「なにいってんのオマエ」って感じするもの。

 

でも俺は、もっと普通じゃない事情を隠している。

口にだしたら、それこそ「なにいってんのオマエ」と即入院を勧められかねない、荒唐無稽な事情。

 

意識を失っていた二年間、俺は、1800年前の中国、三国志の世界にいたんだ。

 

そんな向こうの世界で、いつもの通り寝て。

起きたら元の世界に戻ってたんだ。なんの前触れもなく。

おいコラ責任者出て来いよ。いったい俺になにをさせたかったんだよ。

 

 

 

別に信じなくていい。俺ももし他のヤツにそんなこといわれたら、やっぱり信じられないし。

夢だったのかもしれないけど、俺の中ではこれ以上ないってくらいリアルなことだったし。

そこで過ごした毎日は、命がけだったけど充実していて、愛しの女の子なんかも出来たりもした。

そんな彼女たちと過ごしたことを、「なにいってんのオマエ」とかいわれたらどうなるか。

うん、すぐさまブチ切れる自信がある。

だから、俺はなにもいわなかった。寝ていた間のことは覚えてない、で突き通した。

 

 

 

 

まぁ、そこらへんの葛藤とかなんとかは一応、心の処理はついてるから。一先ず置いておいて。

 

独り卒業から置いてきぼりを食らった俺は、先生方の好意やスパルタのおかげで、なんとか卒業することが出来た。

でも受験しようとなると、まだまだ学力も足りなかったし、なにより気持ちを落ち着かせたかったから、一年、浪人することにしたわけ。

次の受験シーズンまでの一年を集中するために、爺ちゃんの実家の近くにある某旅館にお世話になることにした。

管理人みたいな簡単な仕事をすれば、ひと部屋あてがってくれるとのこと。爺ちゃんがツテを頼ってくれたらしい。

ありがとう爺ちゃん。

 

 

そんなわけで。

俺は今、これからお世話になる旅館の前に立っている。

 

……結構大きいな。

 

建物の名前は"日陰荘"。

……その名前はどうなの? と正直思ったけど、なにかいろいろと経緯のある名前らしいので多くは語らない。

爺ちゃんにもらったメモ書きには「絵師的な意味で」とか書いてあったけど、これも良く分からない。

まぁ気にしないでおこう。

 

この日陰荘。さっきは旅館といっていたけど、少し前からは寮として使われているらしい。

ちなみにどんな寮なのかはなにも聞いていない。(我ながら「ちゃんと聞いておけよ」と思わずにはいられないな)

まぁ旅館じゃなく寮なんだから、俺みたいな若造でも、管理人みたいなこともこなせるだろうということなのか。

……それも我ながらどうかと思うけど、それをいったら行く場所がなくなってしまうので黙っておくことにする。

 

さて、あれこれ考えていても仕方がない。

いざゆかん、新たな俺の新天地へ。

 

「ごめんくださーい」

 

いかにも旅館、といった入り口のガラス戸を抜け、中の方へと声をかける。

……何度か声をかけてみるも、返事はない。

 

「誰もいないのか?」

 

さて、どうするか。

今日俺が来ることは、日陰荘の人に話はいっているはず。

なら、中で待たせてもらおうか。

 

「今日からお世話になる北郷一刀でーす。おじゃましまーす」

 

一応声をかけ、中へと上がりこんだ。

 

 

上がりこんですぐのところに、管理人室、と書かれた扉。

ノックをして、声をかけるもやはり返事はなし。

中をのぞいてみたら、やはり誰もいなかった。

 

ひとまず管理人室に荷物を置かせて貰うことにして、日陰荘の中を歩いてみることにする。

誰かがいるなら、歩いているうちに出くわすだろう。中の作りを把握したいし。

そんな軽い考えで、俺は散策に出ることにした。

 

 

ぶらぶらと歩いているうちに、一階部分の奥に位置する扉が目に入る。

「露天風呂」と書かれた暖簾がかかっている。

旅館だと考えれば、露天風呂があっても不思議じゃない。でも寮だと考えると、これは贅沢だな。

俺はもともと風呂好きだ。

少し前まで古代の中国にいたせいもあって、風呂好きに拍車が掛かったといっていい。

あの頃は風呂に入るのも贅沢、かつ、ひと苦労だったからなぁ。

 

そんなことを考えていると、身体がうずうずしてくる。

風呂に入りたい。

いやまて、挨拶もまだしていないうちから風呂をもらうなんていくらなんでも。

でもどんな風呂なのかは見ておきたいな。

 

これまたその程度の軽い考えで、俺は露天風呂に通じる扉を開けた。

 

……へぇ。これはすごい。

 

そこそこの広さの脱衣場。その窓から見える露天風呂は、物凄く広い。蜀の面々全員が入っても余裕があるかもしれない。

岩風呂になっているその水面からは、もうもうとした湯気が上っている。

気持ちよさそうだな。気持ちいいに違いない。

 

そんな風景を見て、俺は我慢が出来なくなった。

あの風呂に入りたい。

一瞬だけ働いた理性は、その欲求を前にしてあっという間に蹴散らされた。

 

そうと決まれば善は急げ。いそいそと、着ている物に手を掛ける。

思っていた以上に気が急いていたのか。ズボンを脱ごうとした状態のまま、たたらを踏む。

 

「うおっ」

 

中途半端な中腰姿勢。そのままケンケンと、バランスを取るべく身体が流れる。

とりゃ、と、身を支えようとして、ガラス戸に手をかけようとしたところで。

 

 

ガラッ

 

 

そのガラス戸が開いた。

 

俺の手に感じたのは、柔らかい感触。

自分の中にある経験からリサーチするに、その感触に一番近いものは、女性の乳房。しかもかなり大きな胸。

俺の中のデータベースは更なる詳細な情報を引き出すべく動く。

その結果、この感触に近い胸の持ち主は。

 

「……愛紗?」

 

つぶやくと同時に、俺は目線を上へと上げる。

俺の中に収められたデータベースは完璧だった。

声を聞かなくても、その顔を見なくても、僅かに触れ合うだけで分かる。

俺の視線の先には、かつて求めて止まなかった、愛しい女性のひとり。

 

愛紗は俺の顔を見下ろしている。服は半脱ぎ、中腰の状態で、自分の胸を鷲掴みにしている自分の主を。

 

「き……」

 

あ、来る。来ると分かっていても、今の俺の状態では耳を塞ぐことなんて出来はしない。

ゆえに。

 

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

まさに耳元で、その悲鳴の洗礼を受ける。

 

「なんですか、いきなりなんですか、いつもいつも突然こんなことを少しは私にも心の準備というものをさせていただきたいじゃなくてご主人様ご主人様なんですかどうしてここにこんなところにあぁお風呂なんですねお風呂好きなのは承知していますがはっまさか私が入っているところを狙ってそれはそれで嬉しいというか違うなにをいっているんだ私は!!」

 

「いやごめんマジごめんこれは不可抗力というか先に誰か入ってるとは思いもしなくてついつい出来心でっていうか胸を掴んだのが出来心っていう意味じゃなくてむしろしっかり揉んでいたいとか正直嬉しくて堪らないんだけど無理やりはいけないよねうんいけないこういうのはやっぱりムードとかも必要じゃないとか違う落ち着けオレ!!」

 

大混乱。

 

 

 

そんな声高な騒動を聞きつけて、

 

「どうされたんですか愛紗さんっ!」

 

露天風呂のガラス戸をスパーンと開け放ったのは、

 

「……と、ご主人様?」

 

雛里だった。

 

かつては見慣れていた、紺を基調とした服装、魔法使いのような大きな帽子。

俺と愛紗の姿を見て、彼女の小さな身体は動きをフリーズさせる。そして、

 

「あわ、愛紗さんとご主人様が、裸と裸で手を取り合って、そしたらその後はもちろん一緒にお風呂なんてうらやましいううん違うのわたしだったら恥ずかしくてでもちょっぴり勇気を出せばきっとご主人様もあわわわわわわわわ」

 

目を回しながら、これまた混乱してなにかをつぶやく。さらにくるくると回り出した、身体ごと。

そんなあまりにあんまりな雛里の姿に、俺と愛紗が少しだけクールダウンする。本当に少しだけ。

 

 

 

だが。

 

「ご主人様……」

 

冷静になろうとする俺に、そうはさせじと襲い掛かる新たな影。

 

「恋! 恋まで」

 

恋が、自分の気持ちすべてを込めているかのように、強くなおかつ優しく、俺を抱きしめてくる。

 

「……お風呂?」

 

半裸な俺、そして全裸な愛紗を順番に見て、俺に問いかける。

 

「いや恋これはだな俺の不可抗力というかなんというか」

 

「いやいや恋これは私が脱衣場に戻る際の事故というかなんというか」

 

「恋も入る」

 

「「なんですとーーーーーーーーーー!」」

 

もともと布地の少ない服装、肩を出しヘソを出ししかもミニスカートな恋が、勢いよくポイポイと服を脱ぎ出す。

 

「あわわわわわわわわわ」

 

それを見て更に混乱し回転し出す雛里。

 

「恋ちょっと待ってお願いだから、雛里も危ないから止まって戻ってきてーーーーー!」

 

大混乱。

 

再びみたび混乱する俺の、視界の隅に映った銀髪のお姉さんの姿。

 

「きさまなにをやとるかああああああああああああああああっ!」

 

「ちょ、華雄待って」

 

聞き覚えのある勇猛な声。そしてそれを止めようとする愛紗の声。

それらを聞き終わる間もなく、頭に衝撃。俺の意識はあっという間にブラックアウトした。

 

彼女たちがなぜ"この世界"にいるのか。その疑問を置いてきぼりにして。

 

 

・あとがき

掲示板のたったひと言が、とんだオオゴトに。

槇村です。御機嫌如何。

 

 

 

※この小説は、槇村が書いています、

『萌将伝』絡みの四人をフューチャーした『愛雛恋華伝』という二次小説を基にして、

以下のような思考から作られました。

 

 

"ラブひなコイバナ伝"っていう読み方は、もうね、素晴らしいよ。天才じゃなかろうか。

思わずネタにして書こうかと思っちゃったよ。

 

でも、コイバナを語らせるには、四人が今の一刀とそれなりに仲良くならないと書けないよな。

どうしよう。

 

じゃあ逆に考えよう。コイバナな話をするんじゃない。ラブひなな話にしちゃえばいいんだ。

となると、一刀は景太郎でしょ。

じゃあ愛紗は、なる、か。

となると。雛里はしのぶで、恋が素子、華雄ははるか役?

 

あれ?

 

 

オレって天才じゃね?

 

 

想像以上に合うな。

じゃあ他のキャラは?

むつみ役は桃香、スゥ役は鈴々、キツネ役は星にしてみる。

 

 

カンペキダ。

 

 

朱里はどうしよう。絵馬?

三国志本編でも登場は遅いよね。いいんじゃなかろうか。ぴったりじゃね? 出番ないけど。

桃香とかも出番ないからまぁいいよね。

 

じゃあどうして一刀のところに来れたのか。

管輅をひなたおばあちゃん役にして、四人をこっちの世界に引き込んだとかどうだろう。

 

 

 

 

 

ここまで想像したら、止まらなくなってしまいました。

えぇ、こうなったら書きますよ。ラヴでコメコメなやつを。ドタバタしたやつを。

 

よろしければお付き合いください。


 
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