No.160767

真恋姫無双 萌将伝 『真夏の夜の悪夢』

Thyleさん

外伝の続きを後回しにして恋姫†夏祭りに僭越ながら、参加させて頂きました。第1弾は呉の国編です。
字数制限や独特の書き方をしておりますので読みづらいかもしれません。
本編は、恋姫†夏祭り用ですので限定作品ではありません。多くの方が楽しんで頂けたら何よりです。

2010,7,26 若干エロ度UP

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2010-07-26 00:01:15 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:9270   閲覧ユーザー数:7397

<真夏の夜の悪夢>

 

 

                       「暑い」

 

 

北郷一刀は、三国同盟締結後、同盟の平和の象徴 天の御遣い として君臨していた。

 

「暑いけど、ご主人様 今はお客様の前ですよ」

一刀の日常の生活を維持してくれるメイド姿の月にたしなめられた。

「イヤもういい。では北郷、蓮華様の伝言 確かに伝えたぞ」

そう言って呉の孫権付き護衛である思春は主の伝言を伝えるとそそくさと部屋を後にした。

 

「ご主人様は今宵の夕飯は無しでよろしいのでしょうか」

月の質問に一刀は蓮華から送られた招待状を読んだ。

「ああ、『猛暑の昨今、避暑かてら呉の家臣一同を集めささやかながら宴を設けます。』

とあるから食事ぐらいでるだろう。その為には今ある仕事を早くかたずけてしまいますか」

 

そう言って、久しぶりに会う蓮華の顔が見たいのか

率先して仕事に取り組もうとする一刀に月は微笑えんだ。

「ハイ、がんばります」

 

 

                    城下  呉屋敷  釣台

 

 

比較的早く仕事を終えた一刀は呉から送迎された轀輬車(おんりょうしゃ)に乗り呉屋敷に到着した。

待中に案内された一刀は宴会が設けられている大広間に案内され、

そこでは何やらこまごまとした指示を出している呂蒙が一人奮闘していた。

「亜莎、御呼ばれされてきたよ。何やら大変そうだね」

「ようこそ。一刀様」

そう言って一刀の元に駆け寄ってきた。

亜莎を良く見ると目にはクマが出来ており疲労困憊の様子であった。

一刀はその様子を心配して亜莎に大丈夫か尋ねたが亜莎は生真面目にも一刀に疲れを隠すように応えた。

 

大広間は四方の扉が開かれ、日中の猛暑とは裏腹に夜間は河岸から吹く風により冷風が漂っていた。

会場にちらほらと人が来たことから、各場所に設けられた席の中でも

一刀は末席に座ろうとした瞬間、亜莎から悲痛な声が上がった。

「一刀様、そこは呉郡四姓や北来の名士の方々が座る席です。一刀様の席ではありません」

「呉郡四姓?北来の名士?では俺の席は?」

 

「はい、呉郡の地方豪族で穏様や顧氏・陸氏・朱氏・張氏の方々が座る場所です。

そちらは江北出身者の家臣の方々が座られる席です」

亜莎の指差す方をみると土着勢力と対立する新興勢力が顔を合わせない

ように入念に席が配置されていた。

亜莎が気苦労していた理由はどうやら席の割り振りにあったようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、俺の席はどこなの」

すると亜莎は上座の孫家一同が座る席を指差し、国主であり主催者である

蓮華の隣に一刀の席が設けられていた。

「俺、あまり目立つような席は……」

「一刀様は……、一刀様は蓮華様のお隣はイヤなのですか」

目をウルウルとさせて大任を果たそうと一生懸命の亜莎に

一刀は何も言えずため息をつき席に座った。

 

 

それから暫くして、この宴に招待された人たちが席に着席していき、

雪蓮・蓮華・小蓮といった孫家の面々も着飾った衣服で各々の席に座った。

「(一刀きてくれたんだ~♪シャオ感激!)」

「(コホン、家臣一同かいる前でシャオはしたないぞ)」

 

                     「それでは乾杯」

 

冥琳の乾杯の音頭で一同は席に設けられていた爵(コップ)を高くかざし飲み干した。

美酒を飲み干したあと、各人がおのおの雑談にふけていった。

頃合を見計らって雪蓮と小蓮は酒の入っている小甕を持つと一刀に言った。

 

「それじゃ一刀、私たちは孫家の仕事をしてくるから、蓮華のお相手をお願いネ」

そう言って雪蓮たちはそそくさと行ってしまった。

「孫家のお仕事?蓮華なにそれ」

蓮華はこの宴会の席に座る人たちを見て一刀に言った。

 

「孫呉と言っても一枚岩ではなく、内心不満がある呉郡の地方豪族や河北から仕官したものもいるの。

 その為、このような場を設けて慰撫しなければ何時謀反を起こす可能性があるから

 こうして定期的に宴会をしている訳なの」

「雪蓮や小蓮か酒を配りにいったのは……」

 

「冥琳の案で国主である私は家臣に酒を振る舞うというのは家臣に舐められるから

 隠居した雪蓮お姉様や孫呉の姫である小蓮が振る舞うことにより人心の掌握を図るそうなの。

 …………私は砂の玉座にすわる王なんだ……」

 

「そんなことはないぞ。蓮華には俺がいるじゃないか。さあ飲もう」

そう言って一刀は蓮華の爵に酒を注いだ。

「一刀……」

一刀の言葉に感激した蓮華は杯を一気にあおった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 そこからが、地獄の始まりであった……

 

 

突然豹変した蓮華に、家臣一同は驚愕した。

「チョット一刀、蓮華に何をしたの」

雪蓮のつるし上げに一刀は今までの話をした。

「そう、蓮華が……

 家臣に酒を振る舞うのに当主が出たとなれば家臣に舐められるけど……

 蓮華には致命的な欠点があるからさせなかったのよ」

それはと一刀が言うと雪蓮はため息をつきながら言った。

 

「蓮華、下戸のうえ大トラなのよ……

 お酒を配ると必ず返杯があるからお酒に弱いあの子にはできないから

 私や小蓮がしていたのだけれども……」

 

 

 

             「今日は酔っ払って転げ落ちるまで飲むぞ!! ニャハハハ」

 

 

 

と言って蓮華は酔っ払って寝ている家臣に冷水をぶっ掛けていた。

 

 

 

「国主としての威厳が……」

「日頃から自分に節制していた子だったから、タガが外れれば……

 もうああなったおしまいね。一刀あとは任せたわ」

そう言って雪蓮は冥琳を呼び、そそくさとどっかに退散してしまった。

 

小蓮に援軍を頼もうにも、先程のお酒配りの返杯で 今では自分の席で酔い倒れていた。

 

そうこうしている内に、蓮華の暴走は周囲にどんどん侵食していた。

最初の餌食は、朱里のおねーちゃんである北来の士 諸葛謹であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「呉では露出した服でなければ孫呉の者ではなーい。

 ほら貴女も脱ぎなさい」

 と言って腰帯を引っ張り人間コマにして諸葛謹を半裸にしてしまった。

 胸元ははだけ、腰帯と下着を蓮華に持っていかれた諸葛謹はその場に座り込んだ。

 

 

                       うぇ~~ん、主上 

                   後生ですから腰帯と下着を返して下さい。

                 きゃあ、 チョット貴方達、ドコ見てるんですか。

 

 

朱里のおねーちゃんの悲痛な声が鳴り響き文武百官のド助平共は何事かと殺到していた。

 

 

そのあとの蓮華は、呉の重要人物達にカラミ酒でせまったり、

祭と一緒に酒に弱い文武官達を訓練と称して飲酒を強要したりと

他の家臣は皆、日和見となりもはや宴会場は蓮華の傍若無人であった……

 

 

酒の入った蓮華はまごうことなく雪蓮の『妹』であると誰もが思った。

 

 

               しかし、このとき文官筆頭 呉の良心 張昭が立った!

 

 

「孫当主、そのようなご無体は聖人君主に反しますぞ」

 

「うるさいわね。張昭も飲みなさいよ。ほらほら」

と近くになった杯を握り張昭にせまった

 

 

 

 

          張昭はそのようなことに動じることなく蓮華に優しく心温まる諌言をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             「無理強いは老人をいたわる礼に背くわ。ボケ!!」

 

 

 

 

 

 

それを聞いた蓮華は一瞬キョトンとした顔になったが、すぐに妖艶な顔つきで張昭に言った。

 

「張昭のぉ……チョット、イイトコみてみたい……♡」

 蓮華は張昭に寄りかかり、弱々しくその胸に の の字を書いた。

「うっ……うむ」

 

蓮華のほんのりの赤く染まった顔を見た張昭は思わず曖昧な返事をしてしまった!

それを見た蓮華はすかさず

 

「思春! 一斗樽をもってこい!! これから張昭の鯨飲芸が見れるぞ!!!」

 

 

                       おおおっ!

 

 

                        ナ ヌ!

 

 

そのあとも、この地獄の酒宴は延々と蓮華のペースで続いていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     翌日  一刀の部屋

 

 

 

 

 

「うっうう、頭イタイ、頭がガンガンする」

一刀は主賓としてその場を抜け出すことが出来ず蓮華の暴走に最後まで付き合わされた。

後半には酔いが回り何が何だかわからないうちに一刀の部屋に叩き込まれ、気がついたら

月に起こされていたのであった。

 

「ご主人様、大丈夫ですか。今日の執務はお休みになさいますか?」

一刀は青い顔をしながらも執務が滞るからと月に衣服を着せてもらい、

胃に優しい食べ物をもらって執務室に向かった。

 

 

 

執務室にはメイド姿の詠と魏の使者として来た霞が一刀をまっていた。

霞は一刀をみるとニンマリとした笑い顔で言った。

 

 

「話は詠から聞いたで!なんぎやなー

 今度、魏でも宴会をおこなうちゅーけど、一刀は『モチろん』来るやろ」

「よしてくれ~」

 

 

 

 

 

その夜、一刀は『探さないでください』と置き手紙をして逃亡したのであった……

 

 


 
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