No.159616

雲の向こう、君に会いに-魏伝- 二十章

月千一夜さん

二十章ですよwwついにww
ここまできたら、もうあと少しでしょう・・・
一刀編は、いよいよ佳境に入ってきましたww

2010-07-21 21:23:33 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:32180   閲覧ユーザー数:26023

「ウチ・・・なにしとったんやろうなぁ」

 

 

ポタリと、床に何かが落ちる

それが霞の涙だということに気づくのに、それほど時間はかからなかった

 

 

「あんな近くにおったのに・・・ウチ、気づけんかった」

 

「霞・・・」

 

「おかしいって思ったんよ?

なんや前より痩せた気がするなぁとか、あんな馬に弱かったっけとか

せやけどウチ・・・気のせいやって、勝手に決め付けてもうてん

ウチ・・・ホンマ、アホやん」

 

 

震える声

霞は日記を抱きしめ、静かに・・・泣いた

 

『後悔』

 

もっと早く、気づけたんじゃないか

そうしたら、何か・・・変わっていたんじゃないか

 

そんな想いが今、彼女の中で渦巻いているのだろう

いや、彼女だけじゃない

私も・・・私達だって同じだ

 

 

だけどね・・・

 

 

「霞・・・私は、貴女が羨ましいわ」

 

「え・・・?」

 

 

私の言葉、霞は涙を流したまま視線を私にむける

私はそんな彼女にむけ、微笑んだ

 

 

「だって貴女は、知らずのうちにだとしても・・・一刀のことを、一刀の心を癒していたのよ?」

 

 

そう、私は・・・彼女が少し羨ましかった

彼女は気づかないままだったけれど

それでも彼女は、一刀の心を・・・救ったのだ

 

 

それに対し、私はどう?

 

彼の為に・・・何をしたというの?

 

私は・・・

 

 

 

「華琳様・・・」

 

「っ!」

 

 

ふいにかけられた声

視線を向ければそこには、なにやら今にも泣きそうな顔をした・・・季衣と流琉の二人が立っていた

 

 

「どうしたの?」

 

 

私がたずねると、二人は顔を見合わせたのち・・・大きく頷きあう

次の瞬間には、さきほどまでの泣きそうな表情は消えていた

 

あるのは、何か・・・大きな『決意』を秘めた、真剣な表情

 

 

 

「華琳様・・・あの日記、次はボクたちが読みたいんです」

 

「兄様のために、私達のためにも・・・お願いします!」

 

 

そう言って、二人は揃って頭を下げてきた

 

なんてことだ

季衣も流琉も、まだ幼い

それでも、二人は・・・知ろうとしている

 

背負おうとしている

 

その先に、酷い『後悔』が待ち受けているということも・・・理解したうえで

 

 

 

 

「わかったわ

この先は・・・二人に任せましょう」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

ふふ・・・お礼を言うのは、こっちのほうだわ

 

私には、足りなかったのね

 

 

この二人のような、『覚悟』が・・・足りなかった

 

 

ならば、もう一度誓おう

 

 

 

 

 

 

 

「たとえこの先にどんな酷い結末が待っていようとも、私は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~絶対に、目を背けたりはしないと・・・~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《雲の向こう、君に会いに-魏伝-》

二十章 繋いだ手、想いを込めて-KAZUTO-

 

 

 

~霞と二人で出かけてから、数日が経ったころ

 

相変わらず眠れない日々が続いたが、あの日にぐっすりと眠れたおかげだろう

 

そこまで酷くはない

 

まぁ・・・眠いものは眠いんだけどね

 

 

そんなある日、俺の部屋に季衣がやってきたんだ

 

ソワソワと、なんかいつもと違う様子の季衣に・・・俺は思わず首を傾げてしまった

 

 

いったい何があったんだ?

 

 

まぁ、そんな疑問も・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『兄ちゃん、ボクを・・・ボクを食べてください!!!!』

 

 

『ぶっ!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の彼女の一言で、吹き飛んでしまったわけなんだが

 

部屋の近くに、誰もいなくてよかったって・・・この時ほど、思ったことはなかったよ

 

はぁ・・・~

 

 

 

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「季衣の・・・手料理かぁ」

 

 

言いながら、俺は椅子に深くもたれ掛かった

見上げた天井が、やけに色褪せて見える

 

 

先ほどの、彼女の言葉

本人は『ボクの作った料理を食べてください』と言いたかったらしい

それが、どうなったらあんな風になるんだ?

 

 

いやまぁ、そんなところも可愛いんだけどね

 

 

 

そう思い季衣を抱きしめた瞬間、運悪く・・・珍しく俺に用があったらしい桂花に見られ、部屋の前で『変態!全身下半身!!』と罵られたのも良い思い出だ

 

なんだよ、全身下半身って・・・?

 

おかげで、侍女さん達からの視線も冷たくなったっけ

あ、そこはいつも通りなのかn・・・やめよう、言ってて悲しくなってきた

 

 

まぁ季衣が帰った後、仕返しに桂花が落とし穴を掘っている最中・・・後ろから、思い切り叫んでやったけどね

 

 

 

『きゃあぁぁぁぁぁ!?』

 

 

 

予想以上に大きな声をあげたから、急いで退散したよ・・・ふと、廊下に目をやれば走る季衣と流琉の姿が見えた

流琉は一瞬だけこっちを見たが、どうやら俺には気づかなかったようだ

 

そのまま、季衣と一緒に走っていってしまう

 

 

あの様子だと、流琉に手伝ってもらうのかな

などと思いながら、俺は早々と部屋へと戻っていった

 

 

 

ちなみに、桂花のことは近くにいた兵に助けるよう頼んでおいた

 

 

勿論、男の人だ

 

 

はは、なんか華琳の性格がうつってきたのかもしれないなんて・・・思ったりして

なんだ、俺ってまだ結構余裕あるじゃんとか思ったりもした

 

 

 

んであれから時間もたち、現在は自室の中

椅子に座り、一枚の紙切れと睨めっこの最中だ

 

 

「まいったな・・・これは」

 

 

紙切れを見つめながら、俺は苦笑する

 

 

俺はまた・・・失ってしまったのだ

 

 

またひとつ、終わりへと近づいたのだ

 

 

よりによって、今日・・・この日に

 

 

 

「くっそ・・・ほんと、ついてないよ」

 

言いながら、俺はその紙切れに向かい筆を動かす

サラサラと、書き綴られていく文字

それを見るたびに、胸の中・・・不快感が広がっていく

 

そんな中・・・『ソレ』はきた

 

 

 

 

 

「ごほっ・・・ごほ」

 

 

 

 

あ、やべ・・・そう思ったときには、もう遅い

 

口元をおさえた手

そこにつく、僅かな『赤』

 

 

『拒絶』・・・か

 

 

「やっぱ痛みがないと、気づくのに時間がかかるなぁ・・・これ、ごまかせんのかな?」

 

運悪く皆の前で、拒絶がやってきてしまったら

そう思うと、ゾッとする

 

 

さて、どうしたもんかな

 

 

「ん・・・?」

 

 

ふと・・・考える俺の耳に、聴こえるのはノックの音

 

あぁそっか、そろそろ季衣たちが来る時間だっけ

 

って、マズイ!

 

俺は慌てて口の周りを布で拭い、それをポッケへと突っ込む

それから、深呼吸をして・・・と

 

うん、オッケーだ

 

 

 

「あ、もしかして季衣か?

入っていいよ」

 

 

俺のこの一言のあと、すぐに部屋の扉が開かれる

そこにいたのは、季衣と流琉の二人だった

 

 

「こんばんわ、流琉も来たんだね」

 

「はい、お疲れ様です兄様」

 

「兄ちゃん見て見て!! ほらこれ、ボクが作ったんだよ!!」

 

 

元気良く言いながら、季衣が差し出してきたのは・・・恐らく出来立てであろう炒飯だった

きっと今、俺の部屋は美味しそうな匂いで一杯になっているに違いない

間違いなくそう言えるほどに、それはよく出来ていた

 

 

「ははっ、凄いな季衣

凄く美味しそうだよ」

 

「え、えへへ♪」

 

「季衣ったら兄様のためにって、すごく頑張ったんですよ?」

 

 

 

 

 

その一言に、不覚にも・・・涙が出そうになったんだ

 

 

 

 

 

「あ・・・あはは、なんかすごく嬉しいよ」

 

 

 

言って、俺は笑う

 

 

本当に嬉しくて

 

 

それでいて・・・本当に、申し訳なくて

 

 

すっげぇ悔しくて、悲しくて

 

 

 

 

俺にはもう・・・わからないから

 

せっかく季衣が一生懸命になって作ったこの料理の味が、匂いが

 

もう、わからないんだ

 

 

 

 

 

 

 

「美味しそうな匂いだな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめんな・・・季衣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『味× 嗅× 触× 視○ 聴△』

 

 

 

 

~運が良かったのか・・・食べている途中は、一度も『拒絶』がこなかった

 

これは、本当に珍しいことだ

 

最近では、水を飲むだけでも・・・あれはやってくるというのに

 

 

そういえば、料理は『愛情』が隠し味なんてこと聞いたことあったっけ

 

 

はは、案外・・・その愛情ってやつのおかげなのかもな

だとしたら、季衣には本当に感謝しなくちゃ

 

季衣だけじゃない

流琉にも・・・二人に、感謝しなくちゃいけない

 

 

だって、この日・・・俺はまた、助けられたんだから

 

 

 

 

『ふぁ・・・』

 

 

それは、季衣の作った料理を食べ終わったあとのこと

 

ふいに、こぼれ出た欠伸

やばい、なんか急に・・・すごい眠気が

 

 

『眠いんですか?』

 

 

『ん・・・ちょっとね、大丈夫だよ』

 

 

その様子に、流琉がそう聞いてきたが・・・俺は大丈夫だとこたえる

 

我慢できないほどではない

 

そう思ったからだ

 

 

『あ、だったらボクが膝枕してあげるよ』

 

 

そんな中、出た言葉がこの季衣の一言だった

それを聞いた瞬間、眠気が・・・さらに強くなる

 

だけど、せっかく二人が来てくれたんだぞ?

 

 

 

『せっかく二人が来てくれたのに、そんなの悪いよ』

 

 

『いえ、気にしないでください兄様

私はその間に、このお皿片付けてきますから』

 

 

『ほらほら兄ちゃん、遠慮しないでよ♪』

 

 

そう思い言った言葉は、二人には優しく返されてしまう

 

 

むぅ・・・

 

 

 

『なら、お言葉に甘えて』

 

 

そこで、俺は折れた

断ったら、なんだか悪い気がしたからだ

 

まぁ結果的に言えば、これでよかったんだと・・・今ならわかる

 

 

だって、季衣の膝に頭をのせた瞬間

俺の心をまた、温かな何かが・・・包み込んでくれたような、そんな感じがしたんだ

 

 

これは・・・霞のときと、同じだ

 

 

 

温かい・・・優しい感じがする

 

 

そんな感覚に包まれながら、俺はまた・・・温かな眠りにつくことができたんだ~

 

 

 

 

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「ん・・・」

 

 

目を覚ましたとき、外は少しだけ明るかった

恐らく、まだ日が昇ったばかりなのだろう

 

そう思いながら、俺はゆっくりと体を起こす

 

ふと見やれば、俺の隣には・・・季衣と流琉の二人が、仲良く寝息をたてながら眠っていた

 

「むにゃ・・・兄ちゃん」

 

「兄様~・・・また、知らない女の人を連れて~・・・す~」

 

 

おまけに、仲良く寝言まで

まぁ、流琉のはちょっとアレだったけど

 

 

 

 

「二人とも・・・ありがとな」

 

 

言って、俺は二人の頭を優しく撫でた

 

眠気は、もうない

 

これも、二人のおかげだろう

だからこそ、お礼を言った

 

それから、俺は寝台から出て・・・窓の外へと視線を向ける

 

 

「よし・・・」

 

 

小さく呟き、制服を羽織る

 

しっかりと眠れたおかげだろう・・・俺の頭の中は、驚くほどにスッキリとしていた

 

それにともない、思いついたことがあった

 

 

それは昨日、俺が悩んでいたこと

 

 

その答えだった

 

 

 

「さて、早速行動だ!」

 

 

緩む頬を抑えきれず、俺はそのまま部屋を飛び出した

 

向かうは、街にある・・・一軒の宿屋

 

 

 

そこにいるであろう、一人の女性を訪ねに・・・俺は向かったんだ

 

 

 

 

 

★あとがき★

 

二十章・・・ついにって感じですね

一刀編も、残すところあと僅か・・・これが終わればあとは、EDに向かって一直線ですww

 

 

「あら、そろそろアタシの出番かしらん?」

 

 

うはww忘れてたwwww

 

というのは冗談です、はい

さて、配信限定【試作版・華伝、呉伝】についてですが・・・次章公開までの間で締め切ります

 

頼んだけど、まだ来てないって方は連絡ください(できれば、ショートメールにて)

すいませんね、なんか仕事が鬼すぎて・・・確認したはずなのに、すぐに忘れてしまうんですよ

誤字も増えたしwwちっくしょうwwwww

 

 

ちなみに、試作版はショートメールにて配信しますので

 

 

それでは、またお会いしましょうww


 
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