<前書き…ですか?>
この物語は、雛里ちゃんを中心として物語を進んでいます。
「雛里ちゃんって朱里のミラーだろ」とか
「朱里ちゃんだけでいいや」とか
「雛里?誰うま」というお方は、
「ひ、ひっく…」
…雛里ちゃんを泣かすやつは誰だ出て来い
水鏡side
朱里と雛里を寝かせて、私はちょっとやるべきことが残っていて遅くまで部屋に灯りをつけていました。
ドンドンドンドンドン
突然、塾の扉をたたく音がしました。
こんな夜遅くに来る人がありませんのに…
ドンドンドンドンドン
他の子たちが寝るのに邪魔ならないよう、私は早く外に出て扉を開けました。
キィィ
「誰ですか?こんなに夜遅くに…まぁ、雛里!?」
小さい男の子が、背中には雛里を背負って、体には葉っぱや色々とつけて、疲れたように息をしながら立っていました。
「すみません…、遅い時間に…このお姉ちゃん、ここに住む人ですか」
「ええ、私の生徒です。ありがとう」
「そう…それはよかったですね…」
「どうして外に出たのかしら…そういえば、先流星が……」
「…うっ」
バタン
「!!ね、ちょっと、あなた?大丈夫なの?しっかりしなさい」
「…うぅ……」
「良かった…見つけて……ううん…」
どこかが悪いわけではなさそうですね。
緊張が解けて意識が飛んでしまっただけでしょう。
「……ふぅ、仕方ないですわね」
雛里side
「…うぅん…」
私…はっ!
「あら、起きたみたいね」
「せんせー!ふえぇぇ!!」
起きたとたん昨日のことを思い出してしまって、私は隣に座っていた先生のところに飛び込みました。
「はい、怖かったんですね。もう大丈夫ですよ」
「ふえぇぇ……」
私は暫く先生の胸を抱いて泣いてました。
・・・
・・
・
「落ち着いたかしら」
「はい…」
「それじゃあ、聞きますけど、何故昨日夜遅くに外に出ていたの?」
「そ、それは…」
なんとなく…
流星が見えたのに、
何故か、行かなくちゃいけないように気分になって…
「流星が……」
「…そう」
「ごめんなさい、勝手に出ちゃったりして」
「無事だからいいのですよ。けど、あなたを助けてくれた子には礼を言わないとね」
「へ?」
先生が見つけてくれたんじゃなかったの?
「流星…そうね、もしかすると…」
「??」
「…むにゃむにゃ…」
「この子が私をここまで連れて来てくれたんですか?」
「ええ、そうですよ。夜遅くにあの子があなたを背負って来た時はびっくりしましたよ」
目の前にいるのは、私と同じ年ぐらいに見える男の子。
水鏡先生の部屋の寝台で、まだ寝ています。
「あなたを渡して、この子もそのまま倒れちゃって、今までずっと寝ているのですよ」
「はぁ……」
「……んん」
がらり
「あ、雛里ちゃん!」
その時朱里ちゃんが部屋に入ってきました。
私を見た瞬間、そのまま私に走ってきました。
「大丈夫なの?」
「うん、大丈夫」
「もう…心配したんだよ」
「ごめん……」
「……無事でよかったよ」
朱里ちゃんは私のことをぎゅっと抱きしめながらそういいました。
朱里ちゃんは先生と一緒に外に出ることが多いですけど、私はそうじゃありません。
外に出るということだけでも私にはすごい冒険なのに、あんな夜遅く、それも男の子の背中に負んぶされてきたんですから、朱里ちゃんが心配したのも当然です。
「ごめんなさい」
私も朱里ちゃんのことを抱きしめながら言いました。
「どうしました、朱里?」
「あ、部屋に行ったら雛里ちゃんがいなくて、水鏡先生のところにいるかなって思って」
「そうだったんですか…雛里ちゃんはもう大丈夫ですか?」
「は、はい」
「それじゃあ、二人とも日常に戻ってもらいましょう。どこか具合が悪くなったら休んでもいいですから」
「「はい」」
少年side
がらり
パタン
「……んん」
ドアを閉じる音に、私は目が覚めた。
「…あら、起きちゃったの」
「あぁ……う?…お母さん、もうちょっと寝る…」
「寝るのはいいけど、私はあなたのお母さんじゃありませんわよ」
「……!!」
昨日!
お姉ちゃんを連れて!
「うわっ!」
バタン!
「あら、大丈夫?」
寝台から飛び上がった私は、後ろに倒れてベッドから落ちた。
「いたたた……」
「元気な子ね。大丈夫なの?」
「は、はい…これぐらい、耐えないと男の子じゃないってお父さんがいつも言ってましたから」
「そう、いいお父さんね」
「はい」
私は寝台の上に戻って正座した。
「そう…ところで、昨日は急に倒れちゃって聞けなかったけど、あなたはどこから来たのかしら」
どこから?
「えっと……浅草の……番地なんだっけ…鞄に書いておいたのに亡くしちゃったから……とにかく、桃の木がいる家です」
「浅草?」
「…はい、浅草」
「聞いたことがない地名ね。どの州にいるの?」
「州?」
「……?」
「……???」
このおばさんと、何かうまく対話ができていない気がする。
「…あの、ここって、どこですか?」
「ここは荊州の水鏡塾という私塾ですよ」
「塾?って何ですか?」
「塾は人たちが集まって学問をする場所です。私はこの私塾で、たくさんの子たちを教えています」
「教える?じゃあ、先生さんですか?」
「そうですよ。私がこの塾の先生の、司馬徽です」
「司馬、徽?」
「そうです。号は水鏡、この塾の名前でもありますね」
水鏡…司馬、
どこかで聞いたような…
「臥竜鳳雛の!?」
「!?」
「あ…ああ…」
嘘
水鏡先生と言ったら、三国志で、劉備に諸葛亮と鳳統のことを教えてくれるすごい重要人物、
「ちょ、ちょっといいかしら」
「はい?」
慌てている私に、おばs…水鏡先生は話をかけた。
「あなた、今確かに臥竜鳳雛と言いましたね?」
「は、はい」
「それをどこから聞きました?」
「どこって…本で読みました」
「本?」
「あ」
言っちゃだめだったかな。
もしかして、ここが本当に三国志の世界だったら…
あれ?
そういえば、司馬徽って確かに男の人だったはずなのに…」
「臥竜鳳雛は、私が私が育てた弟子の中で一番優れた子たちに号としてあげようと思っていたもの、それが一体、どんな本に入っていたと?」
「あ、ええと、あの、その、うん…と…」
どうしよう、どうしよう」
ああ、私はいつも混乱すると言葉が出なくなるんだから…
「あああうあううあああうあああ」
「ええと、とりあえず、落ち着きましょうか…」
「あうあうあああ」
「ごめんなさいね、私が責め立てすぎましたね」
「あ」
水鏡先生は慌てている私の頭をなでてくれました。
「あの件についてはもうやめましょう。それより、あなたのお名前は?」
「名前、ですか?私の名前は…」
雛里side
「そう、大変だったのね。朱里も心配してたわよ」
「ごめんなさい、百合お姉さん」
朱里ちゃんのお姉さんの、百合こと諸葛謹お姉さんは水鏡先生の私塾の中でも一番賢い人です。
水鏡先生が忙しかったり、塾を空かす時は、いつも百合お姉さんが代わりに皆のお勉強を手伝ってくれたりします。
本人はいつも否定しますけど、それはきっとご謙遜です。
「あなたがいないと朱里は何もできないからね。いつも側にいてくれないと」
「もう、お姉さま、そんな風に言うと、私が甘えん坊みたいじゃないですか」
「違うのかしら」
朱里ちゃんの抗弁を、百合姉さんは微笑みながら返しました。
「うぅ…そ、そういわれると…否定するのも難しい話ですけど」
「えへへ」
いつもこんな感じです。
「ああ、雛里ちゃん、ひどいよ」
「へっ、ち、違うの。嘲笑いじゃないよ。ただ、うれしいだけ。朱里ちゃんも私と一緒だなって」
「へっ?……あ」
朱里ちゃんは私が言った意味が解ったのか顔を赤くしました。
「あ、当たり前でしょ?親友だもん」
「へへっ、そうね」
「あらあら、仲良しだね…」
・・・
「雛里、朱里、ちょっといいかしら」
「先生?どうなさいました?」
勉強に励んでいたら先生が私たちが勉強しているところに来ました。
「あ、百合、あなたもちょっと一緒に来なさい。紹介してあげる人がいるわ」
「はい?…あ、はい。二人とも行きましょう」
「「はい」」
「……今、何と仰ったのですか?」
「この子が天の御使いみたい、と言っているのです」
「はわーっ!?」
「あわわ」
「………」
男の子は水鏡先生の隣に座って、もじもじしながら私たちの方を見ていました。
「昨日雛里が見かけたと言った流星、そして、この子の服や言動を見ると、この子が決してこの大陸の者ではないということが解ります」
「先生…だからと言ってもまた子供じゃないですか?こんな子が、乱世を静める御使いだなんて」
「もちろん、今はまだこの子にそれを名乗ってもらう時ではありません。ですから、ここで私がこの子を教えながらこの子が本当に天の御使いになれる者なのか、見守って見るつもりです」
「……」
「あ、あの、」
「?」
私は勇気を出して、先寝ていていえなかった言葉をしようと思いました。
「あ、昨日のお姉ちゃんなんだ。大丈夫なの?」
「へっ、あ、はい、大丈夫です」
先を越されてしまいました。
「えっと、昨日は、本当にありがとうございます」
「い、いいえ、元をいうと、私がお姉ちゃんのこと脅かしてそんな風になっちゃったんだから」
「へっ?」
「目が覚めたら、見知らぬ森一人で置いていて、周りに誰かいないかなと歩き回っていたらお姉ちゃんが見えたの。だから追いついてここがどこか聞いて見ようと思ったのに、逃げちゃって…探したら足を挫けて気絶しちゃってるし…」
「ああ…」
昨夜のあれはこの子だったんですね。
はずかしいです。
「そうですか…でも、正直私は納得できません。世は乱れて、民たちは今すぐ自分たちを助けてあげる人を望んでいます。なのに、また何年も待つことにさせてしまっては…」
「天の意思というものですわよ、百合。私たちが何とつべこべ言ったって変わるものではありません。私たちは、私たちにできることをすればいいのです」
「…はい」
そして、百合お姉さんと水鏡先生がそんな話をしている間、朱里ちゃんはあの天の御使いかも知れないという男の子に声をかけました。
「あの、私は、諸葛亮で、こっちは鳳統といいます。あなたは…」
「わあ、お姉ちゃんたちが諸葛孔明と、鳳士元なんだ!」
「はわわ?」
「どうして私たちの字を…」
「あ」
「あら、駄目でしょ?私と約束したわよね?」
「は、はい…すみません…」
水鏡先生に言われて、自分も失言をしたのように、男の子はしゅんとなりました。
「どういうことですか?」
「あの子は、この世界の大体のことを知っているみたいですよ。私たちがどんな風にこの乱世を歩んでいくかも、そしてこの大陸がどんな風になってゆくかもね」
「!!それじゃあ、この子が本当に…」
「おそらくは……」
「…本当に…そうなんですね。この子が…天の御使い」
「この子を雛里に任せたいのだけど、いいかしら」
「へっ?!わ、私がですか?」
「ええ、過程がどうであれ、あなたが探してきたのだし、何よりも本人の要望があってね」
「本人…」
「宜しくね、鳳統お姉ちゃん」
御使いの子が私の両手をつかんでそう言ってくれましたけど、
「わ、私はまだやるとは…」
「え?駄目なの?(うるうる)」
「うっ…」
そ、そんな目で見られたら…
「先生、雛里ちゃん一人じゃ無理があると思いますが」
「そ、そうです。こういうのは百合お姉さ『朱里が一緒に手伝ってあげたらいいと思います』はい?!」
「お姉さま??」
突然自分の名前が出たことに驚いたのか、朱里も百合お姉さんに何か言おうとしたが
「いいでしょうよ?どうせいつも一緒にいるんだし」
「ええ、私からもお願いしますわ。朱里ちゃんと雛里ちゃん二人で当分間あの子の勉強とかを見て頂戴」
「お勉強、ですか?」
「私ね、漢文とか全然駄目なの」
男の子が顔を掻きながら言った。
「最初は文字を教えるだけでも大変なことになりそうだから、その辺と、後あなたたちが今までやったことみたいにこの子にも同じく教えるつもりよ。後でこの子が自分で天の御使いを名乗れるようになるまで、あなたたちがその子を育てるのよ」
天の御使いになる子を育てる…
「……うん、ああ、ねぇ、私、自己紹介した?」
「あわ?」
「あら、そういえばまだだったわね」
「何かすごいことになってからすっかり忘れてた」
やっちゃったなって顔になって男の子は私と朱里ちゃんの前に立った。
「私の名前は北郷一成、これからよろしくね、孔明お姉ちゃん、鳳統お姉ちゃん、へへっ」
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まだ物語は始まらず、
諸葛謹の設定は 金髪のグゥレイトゥ!さんの設定を使っています。
この物語は、雛里ちゃんを中心とした「軍師」たちの物語を「目指して」います。
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