No.157014

本・恋姫無双第七話

nakatakさん

アンケート、ありがとうございました。周泰については次あたりで出そうと思っています。それとひとつごめんなさい。
自分で掛けたチート制限を自分で解く結果になりました。
詳しくは本文+あとがきにて…
それでは、どうぞ。

2010-07-11 20:38:50 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:5401   閲覧ユーザー数:4385

---華陀、回りだす歯車---

 

 

【水あめ】事業は孫呉にとって【製紙】事業よりも、高収益を上げていた。

 

 

それもそのはずである。この時代、紙を使う人はごく一部(大半は識字の出来る人)に限られていたことと、初期の規模だと、あまり遠くに運ぶと、今までの紙より安いとはいえ、洛陽以北では、あまり手が出されなかった。

 

 

ただ、【水あめ】は【民】全てが消費者になる。当然、飛ぶように売れる。遠くに運んでも利益率が良い。良いことずくめである。

 

 

そして、【水あめ】の利益を【製紙】事業に再投資し、こちらも軌道に乗った。

 

 

孫呉の中では、この莫大な資金(今までの長沙の年間税収の3倍超を3カ月で稼ぎました)をどう使おうか?。こんな議論が始まった頃…

 

 

この日、北郷家では小さな事件が起きていた。

 

 

---長沙・会議室---

 

一刀「医者に心当たりはないか!?」

 

 

冥琳「何ですか?いきなり…そういえば、睡蓮殿はご欠席のようだが…」

 

 

一刀「今、小雪の看病をしている。今朝から、熱にうなされてるんだ。」

 

 

一刀の顔色は素人眼にも悪いと分かる。

 

 

蓮華「医者と言えば『華陀』の名を聞きますが…」

 

 

冥琳「居たり居なかったりですね。腕は良いと評判ですし。」

 

 

一刀「すまん、探してくる。」そう言ってそそくさと出て行った。

 

 

冥琳「居るとすれば…ああ、行ってしまったか…」

 

 

雪蓮「親ばか…と言いたいところだけどね…」

 

 

雨蓮「気をつけなければならん時期ではあるし…しかたないのぅ」

 

 

雪蓮「これを機に『医者を増やしたい』…何ていいそうね♪」

 

 

冥琳「こちらとしては、軍備を充実させたいところです…まあ『軍医』も不足はしていますが…」

 

 

蓮華「優先すべきことが他にもある。農業政策などはこれからだ。今、凶作になったら『医者』どころではない。」

 

 

穏「最悪、お金はありますから、食料を買って備蓄する手もありますね~。あくまで、『最後』の手段ですが~」

 

 

会議は踊る…

 

 

一方その頃、一刀はすんなり華陀を見つけていた。日頃の行いが良いんでしょうか…

 

 

---北郷家---

 

 

小雪「ぅー、ぅー」

 

 

華陀「風邪か。でも良かった、早く診ることができて。今、治療してやるからな。」

 

 

と言って、治療を始めて、五分…

 

 

華陀「元気になあぁぁぁぁぁれぇぇ!!」

 

 

---

 

 

小雪「すぅー、すぅー」

 

 

治療成功である。

 

 

一刀「先生、ありがとうございます。」

 

 

華陀「『先生』なんてやめてくれ、こそばゆい…俺には『華陀』という名前があるんだ。」

 

 

一刀「これは、失礼しました。華陀【先生】」

 

 

華陀「むぅぅ…」悪い気はしないんです。居心地が悪いだけなんです…

 

 

一刀「ぜひ、お礼をしたいので…明日、城の方に来ていただけないでしょうか?」

 

 

華陀「なんだ…宮仕えだったのか…だったら治療費を…」

 

 

一刀「もちろんお支払いします。で、城の方には…」

 

 

華陀「何があるんだ?」

 

 

一刀「華陀先生にとって、有益となるものが…」

 

 

睡蓮「あなた、図書館を見せる気ですか?」

 

 

華陀「図書館とはなんだ?」

 

 

一刀「大きい書庫だと思っていただければ…医療関連の書も有りますし」

 

 

華陀「俺が見ても良いのか?奥方は眉をひそめているぞ?」

 

一刀「ええ、構いません。先生のことは、孫堅様にも紹介したいですし…、よろしいでしょうか?」

 

 

--翌日--

 

 

---長沙・謁見の間---

 

 

一刀はこれまでの経緯を説明した

 

 

一刀「…とゆうわけです」

 

 

華陀「お初にお目にかかります。華陀と申します。」

 

 

雨蓮「で、図書館が見たいと?」

 

 

華陀「はい。」

 

 

雨蓮「見て回る分にはかまわんぞ。」

 

 

一刀「ありがとうございます。華陀先生、こちらです。」

 

 

雨蓮「一介の医者に【先生】とは、大層なことで…」

 

 

雪蓮「『守息』の名は伊達じゃない♪ってね。」

 

 

一刀「こらこら、聞こえてるぞ…俺達んところの医者は、【一人前になるのに最低二十年掛かる】んだからな…ゆえに【先生】なんだよ。それに、これは俺なりの【先行投資】なんだよ。」

 

 

雨・雪「惚れこんどるのう♪(でるわね♪)」

 

 

とか言いながら皆ついてきてるし…

 

 

---図書館---

 

 

そこには、睡蓮がいた。そばには小雪も…

 

 

一刀「睡蓮…今日は、小雪を連れてきちゃ駄目じゃないか。」

 

 

睡蓮「ごめんなさい。でもね、今日に限って、駄々をこねたもんだからつい…」

 

 

一刀「…まあ、良いや。それでは先生……?、どうなさいました?」

 

 

そう言って華陀は一人スタスタと歩いてゆき、皆も付いていく。向かった先は…

 

 

睡蓮「資料室?」デジャビュ?

 

 

一刀「でも、こっちに来てからは、開かずの間だったんだが…」

 

 

華陀「??、【太平妖術の書】と似た波動を感じる。ここに入った時もそうだが、ここはさらに強い【力】を感じる」

 

 

氣の使い手でもある華陀、だからこそ感じ取れたのかもしれない。

 

 

華陀が扉に手をかけた瞬間…

 

 

??「汝、【鍵】をもつものか?」

 

 

一刀、華陀「「なんだなんだ?」」睡蓮「なんなのいったい?」雨蓮「なんじゃなんじゃ?」…

 

一様に混乱している。

 

 

??「汝、【鍵】をもつものか?【鍵】を持つもの、【鍵】を示せ」

 

 

この言葉の後、以外なところから声がする…

 

 

小雪?「『道具に善悪は存在しない。善悪を決めるのは、その使い手なり。』」

 

 

??「…【鍵】は示された。さあ、入るがよい。」

 

 

いきなり小雪がしゃべりだしたのも驚いたが、それで、扉が開いたから余計驚きである。

 

 

一刀「天の御遣いって、小雪のことだったりして…」

 

 

睡蓮「ま、まさか…ね…」

 

 

---資料室---

 

中には、一刀の世界では一般公開していなかった、貴重な書籍などが置いてあるが、その一角で弱弱しく光る本を見つけた。

 

 

一刀「なになに?…【太平清領道】?」

 

 

タイトルを言ったとたん、一時、強く光り、そこから人影が現れた。

 

 

??「我が名は【太平清領道】、この世を太平に導く書であり、【太平妖術の書】と対をなす書である」

 

 

華陀「【太平妖術の書】と対の書だと!?、そんなの【五斗米道】では聞いたことが無いぞ!」

 

 

一刀「な、なに?ごとべいどー?」

 

 

華陀「ちがーう!!『ゴッドヴェイドゥ』だ」細かいこだわりがあるようで…

 

 

一刀達がやいのやいの言っている間に、【太平清領道】に声をかける者がいた。

 

 

小雪「清ちゃんひさしぶり~」

 

 

太平清領道(以後、清)「…久しぶりね…一年ぶりかしら?」

 

 

小雪ちゃん、生後11カ月のはずですが?睡蓮は目をパチクリさせている。

 

そらそうだ。太平清領道の言うことが正しければ、睡蓮のお腹の中にいたことになる。

 

ただ、妙に納得ができる。太平清領道の外見は睡蓮に似ていて、違いは髪が銀色であることぐらいである。

 

 

睡蓮「…でも、私…本を産んだ覚えはないわよ?」

 

 

一刀「いやいやいや…無くて当たり前だから。普通産まないし…それに俺、出産に立ち会ってるんだから…」

 

 

小雪「ととさまかかさまおちついて~」

 

 

一・睡「「!?、もう一回いって!」」

 

 

小雪「?、ととさまかかさま、うぎゅ~」父母して小雪にはぐはぐした。

 

 

雨蓮を除く呉の面々「親ばか…」

 

 

雨蓮「あのな、お前らがしゃべりだしたの、三歳ごろ(数え年)からだぞ…」

 

 

そういった意味では、小雪は良い意味で異常であるし、はぐはぐするきもちも雨蓮は理解できた。

 

 

清「まあ、睡蓮のお腹の中にいたのは事実よ。といっても思念体だけね。それにしても、よく【鍵】を覚えていたわね?」

 

 

小雪「ううん、わすれていたの。清ちゃんのこえきいておもいだしたの~。」

 

 

一・睡「「何を思い出したの?小雪」」

 

 

小雪「うんと…、おはなしとかいろいろ~」

 

 

華陀「…そろそろ話を戻すが、【太平妖術の書】の対の本とはいったいどうゆうことだ?」

 

 

皆、真剣な顔に戻る。親ばか夫婦は除いて…

 

 

清「もともと、【太平妖術の書】と【太平清領道】はひとつで【太平要術】と呼ばれていました」

 

 

文字を示しながら答えた。

 

 

冥琳「太平の要(かなめ)となる術…」

 

 

清「技術書と思ってもらって結構です。ただ、書かれたのが、神仙の時代まで遡りますが…」

 

 

蓮華「では、なぜ二つに分かれたのですか?」

 

 

清「まあ、普通の本と違って、意思を持っています。そして、邪な心が入ってきて中で喧嘩して、二つに分かれた、といったところでしょうか。ただ、持って行かれた技の全ては【人に仇なす術】ばかりなのです。」

 

 

雨蓮「では、なぜここにいる?」

 

 

清「【太平妖術の書】の浄化、もしくは封印が目的です。もっとも…一度失敗していますが…」

 

 

一刀「!!睡蓮のいた世界!?」

 

 

ここに来て、親ばか夫婦の顔も真剣になる。

 

 

清「ご名答。そして、負けた私の思念体は、憑代(よりしろ)として、睡蓮さんのお腹の中に入らせてもらいました。」

 

 

皆してシーンとなる…

 

 

小雪「清ちゃん、おなかのなかで、いろいろおはなししてくれたの~」

 

 

清「…皆さまには、【太平妖術の書】の浄化、封印に協力していただきたい。少ないですが、対価をお支払いします。」

 

 

雨蓮「ものによるな…」

 

 

皆も一様にうなずく。

 

 

清「『【図書館】の【術】の緩和等』でどうでしょう…」

 

 

雪蓮「ちょっと待って!?…てことは、ここに掛かってあった【呪】は清ちゃんが掛けたの?」

 

 

清「【呪】とはなんですか!?私のは【術】です!それに清ちゃんってなんですか!?」

 

 

雪蓮「だって、小雪ちゃんがそう呼んでたしね♪」

 

 

清「せめて、清と呼んでください。」細かいこだわりがあるようで…

 

 

『【図書館】の【術】の緩和等』について要点をまとめると…

①蔵書の出し入れができるようになる(期限付き)

②今まで持ち込めなかった灯りを『一個』持って入れる

③図書館内での閲覧に限り文章が中国語に翻訳されて覧られる

 

清「ただし、一個、規制をかけますが…」

 

【術】による規制→俗物や邪な心を持つ者の排除。

 

 

冥琳「ものすごくありがたい話です!!人の見極めがすごく楽になります!!ぜひ受けましょう!!」

 

 

珍しく興奮している冥琳…見えないところで苦労してるんだね…

 

 

雨蓮「まあ、乱世は歓迎するところではないからな。【太平清領道】よ、この話受けよう。ただ、こちらも、行動に制限があるからすぐに見つけて封印…というわけにはいかないが良いか?」

 

 

清「それは構いません。というか、【太平妖術の書】もどこかの勢力に組み込まれてる可能性もありますので…」

 

 

一刀「ところで、華陀先生、しばらく孫呉に身を寄せませんか?【太平妖術の書】のことについても分かりますし…」

 

 

華陀「俺は構わん。目的も一致するし。ここにある医療書が読めるのも有りがたい話だ。こちらからもお願いする。」

 

 

雨蓮「では、客将として迎えよう。できれば、後進の育成もお願いしたい。」

 

 

華陀「承った」

 

 

 

ただ、【術】の変更が上手くいかなかったのか、『一回だけ』、冥琳が門の所で弾き飛ばされてしまい、

 

 

『邪琳』だの『黒冥琳』だの言われたのは、また別の話…

 

 

 

あとがき

いやぁ、長かった。nakatakです。チート制限を解除したのは、【太平清領道】のアイデアが

出てきたからなんです。いわば、後付けですが、弐話余談が話の流れの良い布石なったと思います。

 

【呪】と【術】の違いですが、人に仇なすものを【呪】、それ以外を【術】と

【太平清領道】の中では分けているようです。基本、変わらないんですけどね…

 

次回ですが、周泰を出そうと思っています。賊として…

 

それではまた。

 


 
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