No.156306

真・恋姫†無双~真・漢ルート~ 第六話:一刀、悩む

大鷲さん

名前がややこしいですが、隠しルートである『漢(かん)ルート』の再構成した『漢(おとこ)ルート』です。

ガチムチな展開は精々ネタ程度にしか出て来ないのでご安心ください。
ただし、漢女成分が多分に含まれるかもしれませんので心臓が弱い方はご注意ください。

2010-07-08 23:28:59 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4092   閲覧ユーザー数:3462

少女「助かったよ、ありがとな」

 

そういって赤い髪をポニーテールにした少女が例を言う。

 

 

一刀「いや、上手くいってよかったよ」

 

華佗「謙遜するな

   薬の順番も包帯を巻く力加減も完璧だったぞ」

 

 

テレる一刀に華佗が言う。

幽州に向かう途中で怪我をした少女を見つけ今までの成果の確認として一刀に治療を任せたのだ。

 

 

白蓮「色々と助かった

   私の真名は白蓮だ

   もしまた会えたらお礼がしたいんだが今は何も渡せるものがないんだ、すまない」

 

一刀「そんなのいいよ

   それじゃあ、気をつけて」

 

華佗「お大事に」

 

白蓮「ありがとう、……もし、何か困ったことがあったら劉備の下を訪ねてみてくれ」

 

 

そういって白馬に乗って白蓮は離れていく。

 

 

第六話:一刀、悩む

 

 

 

手を振りながら彼女を見送る一行だが、彼女が離れてから干吉が口を開く。

 

 

干吉「あまりよろしくないですね、彼女は名を伏せていましたが公孫賛ですよ

   劉備の所に落ち延びるとなると袁紹に敗北したのでしょう」

 

左慈「戦後は治安が悪くなるぞ、幽州に向かうのはやめたほうが良いかもしれませんぞ?」

 

華佗「治療に向かいたいが仕方ない

   近くの邑まで戻ろう、薬の材料も買えば何とかなる」

 

 

華佗の一言に皆でもと来た道を戻る。

 

 

 

 

しかし、邑に戻る途中で20名ほどの人々を発見する。

 

 

華佗「ん?……あれは?」

 

干吉「袁紹によって追い立てられた幽州の難民ではないでしょうか?

   負傷者もいるのでしょう」

 

 

戦争によって邑を焼かれ、幽州から逃れようとする団体のようだ。

一刀たちはその団体に向けて速度を上げる。

 

 

干吉「もし、そこ方々」

 

老人「ひっ、どうか孫達は……」

 

 

追いついた一行は難民の中でもっとも年をとった男に話しかける。

しかし、男は一刀たちを盗賊と勘違いしてしまう。

 

 

一刀「大丈夫、俺達は盗賊とかじゃないですから……

   華佗、怪我をしている人たちがいる、治療を頼む」

 

華佗「ああ、一刀も軽傷者のほうを頼む」

 

老人「お医者様でしたか……しかし、わし等は何もお返しする物が……」

 

 

難民の人たちを安心させようと一刀が前に出て相手を宥めようとする。

怪我人がいるのを確認して一刀は華佗に治療を頼む。

 

しかし、難民の老人はお返しするのもがないと心配をする。

そんな難民達に一刀は笑顔で心配ないという。

 

一刀の顔をじっと見た老人は頭を下げて感謝をする。

一刀はそんな老人の頭を上げさせて、怪我をしている箇所に薬を塗り始める。

 

 

華佗「あっ!おい、一刀!それじゃなくて……これだ!」

 

一刀「あれ?あ、解れた」

 

干吉「…私がやりましょう」

 

 

しかし、塗る薬を間違えそうになる、さらに先程の白蓮の時は上手く負けていた包帯を巻くのを失敗してしまう一刀。

それを見かねて干吉が代わる。

一刀は傷薬をもって他の人の所に向かう、次に向かったのは年の若い女であった。

次は失敗せずに薬を塗り、包帯も強すぎず弱すぎずといった兆度良い巻き加減であった。

 

 

 

 

難民の治療がすみ、団体の長と思われる老人の元に一刀たちは集まる。

 

 

華雄「それで、お前達はこれからどうするんだ?」

 

老人「曹操様が治めておられる魏の都に向かおうと思っております

   親戚の者がおりますので……」

 

左慈「だが、戦えそうな奴が少なそうに見えるが?

   盗賊に遭ったら良いカモだぞ」

 

 

左慈の言葉に顔を伏せる老人。

本人達もそれはわかっているのだろう。

 

当然黙っていられない人間がいる。

 

 

一刀「俺達も行き先に困ってるし、この人たちの護衛でもしながら魏に行かないか?」

 

左慈「言うと思ったよ

   まあ、目的もないんだ、魏とやらに行ってみるか」

 

華佗「ああ、曹操が治める魏は中々大きいらしいからな、薬の材料も手に入るかもしれない」

 

老人「よろしいのですか?

   我々にお返しできるような物は……」

 

華雄「問題ない

   こいつらは弱いものを見捨てることは出来ん性質なのだ」

 

卑弥呼「華雄よ、おぬしもその仲間であろうが」

 

 

卑弥呼の言葉に頬を染めて目を背ける華雄。

彼女もまた弱いものを見捨てることが出来ない性質の人間なのだ。

 

 

華佗「じゃあ、向かうとしよう」

 

左慈「確かこの先に邑がある

   日が落ちる前にそこまで行くぞ」

 

 

そういって一刀たちは難民の一団と共に邑を目指して移動を開始する。

 

 

 

 

 

一団は無事邑の近くまで来ることができた。

流石に邑の中にこの人数を入れるわけには行かないため、邑の周囲で野営をすることになった。

 

少し離れた所で一刀は一人星空を見上げていた。

そんな一刀の後ろから足音が近づいてくる。

 

 

華雄「何をしている」

 

一刀「華雄か」

 

 

後ろを振り向くと華雄が武器を持って立っていた。

何か用でもあるのかと思ったが、彼女はそれ以上一刀に近寄らず、武器を振り始める。

 

 

華雄「何を!悩んでいるか!ふんっ!知らないが!はぁっ!!あまり抱え込むなよ!!」

 

一刀「……そこまで深く考えてないさ、ただ俺っている意味あるのかな……ってさ

   俺、あんまり役に立ってないような気がするんだよ……」

 

 

そうつぶやきながらまた元の方を向く一刀。

 

華佗たちに色々と学び、少しは成長できたと思っていた。

 

しかし、結果は微妙、盗賊相手なら大分戦えるようになったが、未だ左慈たちに一発も有効打を当てることが出来ていない。

読み書きも私生活で困らない程度にはなったが、難しい本は読むことが出来ない。

肝心の医術もところどころでミスをしてしまう。

 

 

華雄「ふんっ!……お前は私が出来なかったことをしたではないか」

 

一刀「え?」

 

 

振っていた武器を止めて地面に突き立てる華雄。

 

慌てて振り向くと華雄が直ぐ後ろまで来ていた。

華雄が出来なかったこと、それは董卓を逃がしたことだ。

 

華雄がもっとも望んでいた君主の安全を当然のようにやってのけたのは一刀に他ならない。

董卓だけではない、天和たちや盗賊に連れさらわれていた女性を救ったのも一刀だ。

 

 

華雄「少なくとも、董卓様の無事を知って……私は救われたぞ?」

 

一刀「…………」

 

華雄「それだけではない、お前のお陰で卑弥呼や貂蝉、左慈と言う強敵にもめぐり合えた

   ……だから、お前は必要だ」

 

 

華雄の顔に侮蔑も哀れみもない。

純粋に感謝しているのだ。

 

 

一刀「……そもそも皆と同格になろうってのが驕り過ぎなんだよな

   俺なりにがんばっていくよ!」

 

華雄「そうだな、それで良い」

 

左慈「だが、修行はさらに厳しくしていくぞ」

 

 

そこに突然左慈の声が響く。

二人が後ろを振り向くと他の皆も立っていた。

 

全員ニヤニヤと口元がゆがんでいる。

 

 

 

 

一刀「イツカラミテオラレタノデスカ?」

 

干吉「いやぁ、華雄殿が『何をしている』と聞いた辺りですかねぇ」

 

華雄「最初からではないか!!」

 

貂蝉「それにしてもご主人様も考えすぎよ」

 

卑弥呼「うむ、我々の観察結果から言えば『年の若い女子ならば治療ミスは0』だ

    その他でも7割はミスがない、決して悪い結果ではないぞ」

 

 

卑弥呼の言葉に華雄に視線が厳しいモノに変わる。

卑弥呼たちは一刀の様子を常に観察しており、先の団体での医療活動では卑弥呼の言う通り、『女性であれば』完璧な処置を施している。

 

華雄の視線に頬を汗が伝う。

 

 

華佗「ああ、それに間違えるのも悪いことじゃない、一度言えば同じミスはしていないからな」

 

左慈「まあ、お前自身が成長に不満があるようだから厳しくすることは覆ることはないがな」

 

 

場の空気の変化に気付かずに一刀を励まそうとする華佗。

それに合わせるように落ちをつけようとする左慈。

 

 

華雄「左慈……私も手伝おう、一刀には少々鍛錬が必要だな」

 

一刀「え!?いや!さっき俺なりにがんばれば良いって言ってくれたよね!!?」

 

 

そんな左慈の言葉に呼応するように武器の素振りを始める華雄、一刀は危機を感じてじりじりと後ずさる。

 

 

華雄「さし当たって実践練習だ

   上手く避けてみろ?」

 

一刀「何故に疑問系!!?」

 

 

華雄はそんな一刀を睨みつけ、問答無用と斬りかかるのであった。

 

 

 

 

それから左慈たちの特訓も強化され、徐々に疲れを蓄積する一刀。

日々は過ぎ、ついに魏まであと僅かの位置まで来ていた。

 

 

一刀「もう、無理歩けない」

 

左慈「……やりすぎたか」

 

干吉「左慈だけに匙加減を誤りましたね」

 

 

しらける空気、ニコニコと反応を待っている干吉に視線が集中し、全員視線を逸らす。

 

 

卑弥呼「………流石に連日の鍛錬は酷であったかもしれん」

 

華雄「今日くらいは休みにしてやろう……」

 

貂蝉「そのほうが良いわよ、ほらご主人様、馬に乗って」

 

 

干吉の親父ギャグを無視して話を進める4人。

貂蝉に持ち上げられて馬の上に乗せられる一刀。

 

普段なら抵抗しそうだが、抵抗する力すらないらしい。

流石にやりすぎたと反省する左慈と華雄。

 

 

一刀「いや、流石にサボるわけには……」

 

左慈「そんな体たらくでほざくな、今日は休め

   今日の夜には許昌に付く、街中で倒れられると困るんだよ」

 

一刀「……でも俺、馬に乗るの初めてで……進んでくれないんだ」

 

左慈「………はぁ~」

 

 

一刀の言葉に反応するように馬が体を揺するだけで歩こうとしない。

長いため息をする左慈。

居心地が悪そうに目を逸らす一刀。

 

仕方ないと言う風に華雄の肩に手を乗せる左慈。

 

 

左慈「一緒に乗ってやれ」

 

華雄「な!?お前がやれば良いだろ!」

 

左慈「……男同士でくっついて何がうれしいんだ?

   気持ち悪い」

 

 

左慈の言葉に二人の漢女の目が光る。

しまったと言う風に口を塞ぐ左慈だが、時すでに遅し。

 

 

貂蝉「あらん、わたしも急に腰が……ご主人様と相乗りしなくっちゃ」

 

卑弥呼「待て、私の枯れ枝のような足も悲鳴を上げておる

    ここは私に譲れ」

 

貂蝉「大木みたいな足の癖に何言ってるのよぉ!」

 

卑弥呼「貴様こそ砦の如くどっしりと構えた腰の癖に異常などあるまい!!」

 

貂蝉「な、なぁんですってぇ!!」

 

卑弥呼「ぬぬぬぬっ!!」

 

 

それぞれの罵倒が合図になったのか取っ組み合いを始める漢女たち、左慈もあきれている。

そんな二人を見かねて華雄が一刀の乗る馬に近づく。

 

 

華雄「少し後ろにずれろ」

 

一刀「ああ」

 

 

華雄に言われ少し後ろにずれる一刀、馬が暴れようとするが華雄が宥め、その背に乗る。

後ろの一刀に捕まっているように言って馬を歩かせ始める。

 

後ろにいる一刀からも見えるほど、華雄は耳まで赤く染めていた。

 

 

 

 

おまけ

 

親父ギャグを言ってから照らし合わせたように無視された干吉は後方で黄昏ていた。

 

そんな干吉の肩を老人が叩く。

 

 

老人「わしは面白いと思ったぞ」

 

干吉「……そうですか」

 

 

それだけ言って干吉から離れる老人。

老人の目は哀れみが100%であった。

 

次は滑らないようにしよう。

固く誓う干吉であった。

 

 

 

 

あとがき

 

皆様、こんばんは。

 

水羊羹が好きな大鷲です。

 

ちょっとだけ白蓮が出てそのままフェードアウトしましたね。

彼女がこの面子に入っても薄い影が『薄い』を通り越して消滅してしまいかねないので仲間入りしませんでした。

非常に残念です、彼女の出番はこれが最初で最後にならないことを祈りましょう。

 

ついに魏に行く事になりましたが、この段階では程昱と郭嘉がいないんですよね……

 

 

 

次回予告

 

華佗のピンチに現れる一刀

       その時、一刀は曹操の裸体を目の当たりをする

                       一刀の命運はいかに!?

 

次回、『一刀、曹操の裸体を拝む』にご期待ください


 
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