No.155203

飛天の御使い~第弐拾八幕~

eni_meelさん

徐州へとやって来た愛紗の目に飛び込んできたのは
壊滅した砦と多くの北郷兵の躯だった。
怒りに我を忘れる愛紗のもとを訪れる影が・・・。

恋姫†無双の二次創作です。

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2010-07-04 13:46:48 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:3369   閲覧ユーザー数:3045

はじめに

 

この作品の主人公はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

 

 

冀州・鄴

 

詠と朱里がいないため仕方なく政務に励んでいた一刀のもとに急の知らせが入る。

 

「北郷様、徐州国境の砦が何者かによって壊滅させられました。」

 

その報告に一刀は筆を止めて顔を上げる。

 

「徐州には北郷軍2万が常駐していたはずだ。それがこうも容易く壊滅させられたというのか?」

「はっ、なんでも徐州の部隊の間で流行り病が蔓延していたそうで、ろくに対処も出来なかったと。」

 

兵のその報告に一刀の表情は曇る。

 

「流行り病?まさかな・・・・。敵は何処だ?」

「情報によると南方からの攻撃との事。恐らく『孫呉』かと。」

 

そういうと兵は一本の折れた旗を一刀に渡す。そこには赤地に『孫』と書かれていた。

 

(あの時と状況が酷似している。となると前と同じく周瑜の仕業か?)

 

そう考えていると兵がさらに報告を続ける。

 

「それと、この事を聞いた関羽将軍が手勢を引き連れて徐州へ向かわれました。」

「なんだと!・・・・・・あの馬鹿が・・・・。」

 

兵の報告に一刀は立ち上がってぼやく。だが、すぐに切り替えて兵に指示を飛ばす。

 

「一刃と鈴々、それに孫尚香殿を連れてきてくれ。大至急だ。」

 

一刀の指示に「御意」と短く答えると兵は部屋を飛び出して行った。

 

暫くして、兵に連れられた小蓮と一刃、鈴々それに舞華が一刀の部屋に集まった。

 

「先程、国境警備のものから伝令が届き徐州の砦が何者かに壊滅させられた。」

 

一刀のその言葉に一刃と鈴々は表情を変えた。

 

「何者の仕業ですか?」

「はっきりと断定することは出来んが、兵はこれを持ち戻ってな。」

 

そういうと一刀は折れた孫旗を皆に見せる。それを見た瞬間、小蓮の顔色が変わった。

 

「・・・そんな・・・・、孫呉が、お姉ちゃんがそんなことするわけないわ!」

「でも実際問題、こうして砦が壊滅させられてるのだ。孫呉以外には考えられないのだ!」

 

小蓮の言葉に鈴々は真っ向から対立する。それを一刃が諌めるのを見て一刀が話を続ける。

 

「それでだ。愛紗がこの報告を聞いて徐州に向かってしまった。あいつは物事を端的にしか見ることが出来ん。このままでは真相を調べる前に孫呉に攻めていきかねん。そこで一刃、お前たちも徐州へ向かい愛紗を止めてくるのだ。まずは使者を立てて物事を正確に把握せねばならん。これは何者かの計略である可能性が高い。それ故に、より慎重に動かなければ同盟破棄にもなりかねん。頼んだぞ。」

 

そういうと一刀は視線を小蓮に移した。

 

「尚香殿。出来ればそなたにも北郷と孫呉の橋渡しとしての役割をお願いしたいのだが、どうだろうか?」

 

一刀の要請に小蓮は二つ返事で承諾し

 

「わかったわ。シャオも真相が知りたいからそれは任せて。」

 

そういうと一刃たちとともに部屋を後にする。一刃たちはその後すぐに北郷軍2万を連れて徐州国境へと赴いていった。

 

 

揚州・建業

 

「孫権様、北郷軍が国境を越えて進軍してきた模様です。」

 

国境に配備している兵からの報告に孫権は一切顔色を変えていないが、周瑜や陸遜の表情は明らかに曇っている。それもそのはず、好戦的ではないと信じていた北郷が宣戦布告もなしに国境を越えてきたといわれて驚かないほうがどうかしている。

 

「冥琳、穏、どうやら北郷は同盟をなしにするつもりのようだな・・・・。」

 

孫権の冷たい言葉に周瑜も陸遜も何も言えず俯いたまま黙っている。そんな2人の姿を見て明らかに笑みを浮かべているのは甘寧と松原の2人のみ。

 

「やはり北郷にも野心があったという事でしょう。我が領内に無断で入ってきたということは同盟はもはや決裂したも同じ。ならばすぐにでも軍を編成して北郷と戦端を開くべきです。」

 

そう囃し立てる甘寧に孫権も同調したのか

 

「それでは冥琳、穏、2人は軍を率いて国境を越えてきた北郷軍を蹴散らして来い。同盟を破った愚か者に孫呉の恐ろしさを教えてやれ。」

 

2人にそう指示を飛ばす。周瑜、陸遜ともに納得はいってなかったが実際問題、北郷が国境を越えて進軍してきていることには変わりないので渋々承諾すると、軍を編成して国境へと向かっていった。

 

「興覇、これでよいのか?」

「はい。ここからが我ら孫呉が歩むべく『覇道』です。そのための準備を始めることにしましょう。」

 

そういうと甘寧と松原はグッタリと横たわる人影を引き摺りながらその場を後にする。長き黒髪の人影をまるでゴミのように無造作に引き摺りながら・・・・・。

 

 

徐州・国境

 

いち早く国境の砦に着いた愛紗は、その惨状を目の当たりにして怒りに震えていた。焼け落ちた砦、2万もの数の躯、散らばり落ちる『孫』の旗。それをただ見つめる愛紗。その表情に静かな怒りが見え隠れする。そんな愛紗のもとへ伝令の兵が走る。

 

「関羽将軍、孫呉の軍勢が我が国境付近に迫ってきております。その数およそ4万。」

 

その報告に愛紗は得物を持って顔を上げると兵たちに指示を飛ばす。

 

「再び侵攻してきたか・・・・。ここで亡くなった者たちのためにも孫呉の奴らをまとめて叩き潰すぞ!」

「応!!」

 

 

 

 

「冥琳様、北郷軍を発見しました。・・・・・・・けど・・・。」

 

報告に戻ってきた陸遜だが、歯切れの悪い言葉に周瑜は問いただす。

 

「どうしたんだ、穏?」

「いえ、北郷軍いるにはいるんですけどまだ我が国境を越えてないんですよね・・。それに数も5千しかいないし・・・。これはどう見ても侵攻とは考えにくいんですが・・・・。」

 

陸遜の報告に周瑜は難しい顔をしながら何かを考えている。

 

「確かに妙だな。とりあえず北郷軍の者と話す必要があるだろう。穏、北郷軍に使者を立てろ。『どういった了見で我が国の国境を越えての進軍なのか?』と。」

「わかりましたぁ~。」

 

そういうと陸遜は使者を送るためにその場から離れる。

 

(どうも嫌な予感がする・・・・・。)

 

周瑜の頭には言い知れぬ不安が渦巻いていた。

 

 

「一刃将軍、徐州国境に孫呉の軍を発見。数は4万。旗印は『周』と『陸』です。関羽将軍の部隊が迎撃に向かったみたいですが・・・・。」

 

伝令のその報告に一刃たちは驚く。愛紗が少ない手勢で迎撃に向かったというのもそうだが、孫呉の軍が報告の通りに侵攻してきたことにだ。特に小蓮は首を振って

 

「そんな筈ないわ。同盟の間柄を壊すようなこんなこと、お姉ちゃんがするわけないもん。」

 

そういう小蓮に鈴々は睨みながら

 

「するわけないって言っても現にこうして攻めてきてるのだ。鈴々たちは徐州のみんなを守らなきゃいけないのだ。それに向こうから同盟を破棄したんだから容赦はしないのだ。」

 

そういきり立つ。そんな鈴々を舞華が諌める。

 

「鈴々ちゃん、北郷様がおっしゃっていたでしょ?『どこかの計略の可能性がある』と。ここで私たちが孫権さんたちと戦って得をするのは『蜀』しかいないの。分かるでしょう?だからまずはこちらから使者を立てて状況の把握をすることが先決なのよ。」

「そうだぞ、鈴々。それに呉には周瑜さんと陸遜さんといった凄い軍師さんもいるんだ。もし本気で侵攻してくるなら4万といわずもっと大軍でくるはずだ。たった4万の軍勢で来てるってことは目的は侵攻じゃないのかもしれない。話し合って解決できるならそれに越したことはないだろ。・・・・でも迎撃に向かってるのが愛紗だと、本当にこちらから攻めて行きかねないな。俺は先行して愛紗のもとに向かう。」

 

そういうと一刃は単身で愛紗たちのもとへと馬を駆ける。

 

 

「関羽将軍、孫呉の使者と名乗るものが面会を希望しておりますが、どうしますか?」

 

伝令の兵の言葉に愛紗は少し驚いた風な表情をしたが、すぐに元に戻り

 

「よし、通せ。」

 

そう指示を飛ばす。暫くすると一人の兵がやって来た。

 

「私は孫呉の周瑜様の遣いでございます。関羽将軍、我が主周瑜からの言伝です。『どういった了見で我が国の国境を越えての進軍なのか?』と。」

 

その言葉を聞いた愛紗は激高してその兵に掴みかかる。

 

「どういった了見だと!ふざけるな!貴様らのほうから我が方へ侵攻しておいて何を言う!貴様らが我が国境の砦を壊滅させたことは兵から報告を受けているのだぞ。それを『どういった了見で』だ?我等を馬鹿にしているのか?」

 

使者の兵を締め上げて今にも斬りかかろうとしている愛紗を必死で部下の兵が止める。しかし、愛紗の怒りはますますヒートアップしていく。

 

「貴様らが犯した過ちを私が償わさせてやる!全軍!戦闘準備!ふざけたことをぬかす孫呉の軍勢を一網打尽に殲滅するぞ!」

「応!!!」

 

使者は大慌てで自陣へと駆け出していく。そんな姿を見ながら愛紗たちは戦闘準備に取り掛かるのだった。

 

 

揚州・建業

 

「孫権様、周瑜様の軍と北郷軍が戦闘を開始した模様です。」

「そうか・・・・・。」

 

その報告を受けた孫権は玉座の間を後にする。広場まで出てきた孫権の目の前には、揚州・荊州南部に駐在していた孫呉の軍・総勢40万の兵たちが並んでいる。

 

「聞けぃ、孫呉の勇敢な兵たちよ!北郷は愚かにも我らとの同盟を破棄し我が領内へと侵攻してきた。そのような下賤の輩に我が孫呉の正義の鉄槌をくだしてやろうではないか!これから歩むは孫呉3代の夢である『天下統一』への覇道だ。諸君らの働きはこの大陸を優れた王のもと一つにまとめる為の名誉ある行動となろう。我が剣に続け!我らの怒りを剣に乗せて、奴らに正義の鉄槌を下すのだ。!」

 

孫権の号令に40万の兵たちは一様に「おぉぉぉぉぉ!!!」と雄叫びを上げる。それは大地を揺るがすほどの咆哮。その号令のもと孫権軍は北郷との戦が行われている徐州国境へと歩み始める。

 

 

 

 

 

「どうやら戦いを決意されたみたいですね。」

 

孫権の後方から声を掛けてきたのは天蓬だった。

 

「ふん、貴様に言われたからではない。我が方でもそれなりに策を練っていたということだ。」

「フフフ、それはそれは。」

 

含み笑いをしながらも孫権を冷たい視線で見つめる天蓬は言葉を続ける。

 

「孫権殿、これから『覇道』を歩む貴方様に素敵な贈り物があるのですよ。物と言っては失礼ですね。送り者があるのですよ。北郷との決戦を迎えるあなたにとって必要な『者』だと思うのですが・・・・。」

 

そういうと一人の女性を連れてきた。その女性の姿を見て孫権は言葉を失う。

 

 

 

 

「ふふふ、久しぶりね。蓮華。」

 

 

 

 

「っ!!、・・・・・・・姉さま・・・・・・。」

 

 

 

あとがき

 

飛天の御使い~第弐拾八幕~を読んでくださってありがとうございます。

 

今回は北郷VS孫呉の導入部分でした。

 

次回はいよいよ孫呉との決戦です。

 

次回の前にもしかすると幕間をアップするかもしれません。

 

というのも、オリキャラ多すぎて真名覚えられねぇ、といったご意見を

 

いただいてますので

 

オリキャラの設定資料集的なものをアップしたいと考えています。

 

本編に絡まない資料集なので限定公開になる予定です。

 

そこで細かくお伝えできたらと考えております。

 

でも、あくまで『予定』ですので・・・・・。

 

拙い作品ではありますが

 

少しでも楽しんでいただければ幸いです。

 

コメント、感想もお待ちしております。

 


 
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