魏国、許昌の城
その玉座の間に、部外者の侵入を拒む張り詰めた空気が漂う
春蘭「いくぞ霞」
霞 「いつでもええよ、惇ちゃん」
周りを魏の主要メンバーに囲まれ二人は睨み合っていた
辺りは静寂に包まれ、瞬間、時間が止まったような感覚が全員を包む。
それを再び動かす切欠。誰かが息を呑んだその時…
(ゴクリ)
春蘭「さあぁぁ~~~いしょはぁぁぁ、ぐうぅぅぅぅぅ!!」
霞 「じゃぁぁぁぁぁぁん~~~~~~~~けんんんん………」
二人『「ぽっ「ぽんっ!!!』
魏 『…………』
霞 「やっ………、やったーーーーーーーーーっ!!!うちの勝ちや!!
悪いな~~~惇ちゃん♪まぁ言伝ぐらい預かったるさかい気ぃ落さんといてや」
春蘭「ぐうううぅうぅ…」
力強く握った拳をそのまま振りかざした春蘭の一手は、
それを一瞬見抜いた霞、彼女の掌を大きく広げかざした手により敗北を喫した。
つまりはじゃんけんの、グーとパーである
華琳「これで天へ赴く人選会議は終了ね」
霞 「やな♪」
流琉「はい♪」
風 「ですね~♪」
秋蘭「問題はないかと……♪」
残り『……………(ズ~ン)』
天に行く者を決める会議が行われてから3時間、互いに譲らず平行線をひたすら駆け抜けた話し合いの末、ならばと最終的に提案されたのが以前、一刀が教えたこの「じゃんけん」であった。
勝者である5人 先程決まった霞を始め、流琉、風、秋蘭は、見ているのが煩わしいくらい機嫌よくはしゃぐ。
霞 「一刀~、今からうちが行って抱きしめたるからなーーーー☆」
流琉「兄様、……ついに会えるんですね、 あぁ、兄様…///」
風 「ん~~~~~~、ふふふふ。これはなんだか飛びはねたい気分ですよ~(ぴょん、ぴょん)」
秋蘭「ふっ、久しぶりに会うのだから香でも焚いていくか」
もはや一刀の所業を忘れ去り、会えるという事実で周りに幸せ空間を形成した者達。
しかし、彼女達のすぐそばにはその空間を対消滅させる反物質的な面々が存在している。
季衣「うぅ、また兄ちゃんの膝に座りたいよぉ、兄ちゃんの……兄ちゃん……ぼく会いたいよぉ~~」
凪 「隊長、…隊長…隊長、隊長………隊長、……会いたいです…」
沙和「くやしいの~~!かなしいの~~!天の服がみたいの~~~、ついでに隊長にあいたいの~~」
真楼「あぁ~~~~っ、天の国のからくりを目の当たりに出来るこんな好機!!……それを逃してまうなんて……死んでも死に切れん、おまけで隊長にも会えんし」
桂花「…あぁ、心配だわ異界の地に華琳様が乗り込むだなんて、しかもあの男の元に…あぁぁ、危険だわ危険だわ、…私がおそばで守らなくては、私があの性の妖怪から……私が…」
稟 「……一刀殿、私は未だ墳血病が治ってないのですよ………また協力…して…ほ、ほほほし、ほし ぶあっはぁぁぁーーーーーーーー!! (鼻血)」
天和「一刀~~~~、やだ、やだ~~~~会いたいよ~~~」
地和「あ~~~~~~っ もう、ちいが行かないとかありえなーーーーい!!」
人和「一刀さん、…とても…すごく……残念です」
不満剥き出しである彼女達、あきらかに事が終着しているとは思えない
華琳「あきらめなさいあなた達、じゃんけんという物はその時々の運により勝敗が決まるわ。公平にして公正、これも天命と素直に受け入れることね」
敗者『う~~~~~~~~~……』
華琳「それに…、会えるのは一日と短いの。出会ってそしてまた…別れてしまえばより辛い思いをする事になるわ」
かといって、彼の人物に会うという事以外に大きな目的があるものも3名ほどいるのだが、正を捕らえた王たる者の言に、不服を身に纏うも口から発する事はできない。
そんな中、自らの手をみたまま暗に黙していた彼女が動いた。
春蘭「……運ではありません」
秋蘭「姉者?」
華琳「…春蘭、今、の私の言葉に何か意見でも?」
「今」が強調されたのは反論は許されないという暗示なのだが、それは彼女には汲み取れない。
勇猛とはすなわち馬鹿である、故に彼女は勇者だ。
そんな勇者がそれぞれを指差し告げる
春蘭「霞、お前は遅だしをしていただろう!!神速の名のとおりの速さで周りは誤魔化せたかもしれんが、この夏侯元譲の隻眼はごまかせんぞ!!!」
霞 「なっ!?」
春蘭「風!お前もだ!!勝負に出る前に グーをだそうかだの パーにしようだの チョキで勝てそうだの 言葉で相手を惑わしおって!!!」
風 「風は軍師ですからね~~」
春蘭「そして流琉!!」
流琉「は、はい!? 私は何も…」
春蘭「お前はじゃんけんする前に勝利を祈っていただろう?お前の様な娘が祈れば届かないほうがおかしいではないかっ!!」
流琉「え、 え~~~!?」
春蘭「そして秋蘭!!」
秋蘭「なんだ姉者、私は本当になにもしてないぞ」
春蘭「お前はじゃんけんが強い!!!」
秋蘭「………は?」
春蘭「私はお前にじゃんけんで勝った事がない!!それに以前、あの呂布にすら勝った事があるだろう!!だからお前は反則なのだ!!」
秋蘭「はぁ………姉者…」
春蘭「というわけで華琳様、この勝負はコウヘイでもコウセイでもありません!!もっと別の……例えばそう!正々堂々と武で決めてみてはいかがでしょうか?」
敗者『おぉーーーーーーーーーーーー(パチパチ)』
勇者に続くべく敗者達から感嘆の声があがる。
内容と言動はどうあれ彼女は再起の切欠を作ったのだ。
華琳「まったく、…春蘭 あなたそんなに一刀に会いたいの?」
春蘭「 ほへっ!? いいいい、いや、かりんしゃまっ わ 私はっ あ、あやつの頸をわわ、私がう、討ち取りたいのでしゅ。
べ、別に頭うぉなでえてほしいとか、ギュッてして欲しいとかは…かっ、考えておりません!!!」
全員『…………』
馬鹿正直という言葉がある。
これは馬鹿は周りに本心を隠す事が出来ないという意味で、故に彼女は正直者である。
華琳「……まぁ、秋蘭と流琉はともかく後の二人には春蘭の言うことも一理あるわね。
いいわ、後一刻時間をあげるから、今度こそ貴女達が納得する方法で決めなさい」
その言葉に敗者達は歓声を、勝者は嘆きをそれぞれ発するのであった。
及川「男、及川行かせてもらいます。曲名は 兄弟船 」
~~~♪
『きゃ~~っ、及川君しぶ~~い☆』
居酒屋の宴席からカラオケに
ここでは今、男と女による仁義なき恋の戦いが繰り広げられている最中だ。
男女5人ずつのこの会だが、俺と及川の活躍により只今女性陣は非常に盛り上がってくれている。
女 「ねぇ、一刀君って彼女いるの」
輪から外れ部屋の端で休んでいた俺の隣に女性の一人が声をかけ座る
嬉しい事に俺が5人の内一番可愛いと思っていた娘だ。
一刀「う、う~~~~ん…いない」
素直に「いない」言えないのは、遠くの大鎌を持った誰かに聞こえる気がして怖いからである。
女 「なに?その言い方。 あっ、もしかして片思い中とか?」
一刀「ん、ちがうよ。ちょっと昔好きだった娘が忘れられないだけ…かな?」
女 「へぇ~~、……一途なんだ」
一刀「いや、むしろ気が多い……ほ…う」
ムニュッ
女 「でも、そうやって思い続けてもいいことなんてないと思うなぁ、一刀君かっこいいし 」
一刀「………」
近いな、というか胸が当てられているぞ、というより誘われている!!
一刀「えっと、東園寺さん」
世界「世界って呼んで、呼び捨てで」
一刀「……んじゃ、世界は彼氏とかいないの?」
世界「気になる?」
一刀「まぁ、君可愛いからね」
世界「ふふ、ありがと。 彼氏はいないよ ……好きになりそうな人は今、居るけど」
ムニュ、ムニュ
このムード……この勢い……これはもう今夜でも全然かまわないって感じゃないか?
そういうやつじゃないか!? いや、そうだろコレ!!
世界「ねぇ明日って休みだよね?」
一刀「…うん」
世界「なら、私もっと一刀君の事知りたいな……」
いったん止めた言葉の続きを、世界が耳元により囁く
世界「二人きりで」
北郷一刀、今宵は暴走モードに突入します。
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前作の続き。
最近漫画の方のプロットも書きたいなと思っております。
マフィアの方を楽しみにしてる方。もうしばしお待ち下さい