はじめに
この作品の主人公はチート性能です。
キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも
あるとは思いますが、ご了承ください。
揚州・建業
建業の玉座の間には、呉の武将たちが揃っていた。話されているのは、荊州の劉表軍の敗北による曹操軍の荊州制圧。そして、徐州での北郷軍の敗戦のことだった。
「あの北郷軍が敗れたというのは、連合の戦いを見てきた身としてはにわかに信じがたいな。」
周瑜が険しい表情でそういうと、陸遜が事の詳細を報告する。
「荊州の劉表の軍が洛陽方面から進軍、反対に曹操軍は徐州へ進軍することで北郷軍の戦力が分散させられたことが敗因といえばそうなのかもしれませんが、幼平ちゃんの調べでは北郷軍の一刃将軍が徐州で何者かに襲撃され、重傷を負ったとか。まぁ、夏侯惇達が主だった将を相手にしている間に伏兵としての許緒隊が本陣を強襲した成果が大きいのでしょうけれど・・・・。」
「しかし、これによって西に劉璋の『蜀』に続いて、曹操の『魏』という大国が生まれたわけだ。これは我々にとっては死活問題だ。ようやく揚州を纏め、これから荊州へと考えていたところに曹操だ。我々単独で戦って勝てる相手ではないぞ。」
陸遜の報告に、周瑜が現状の確認をする。その話を聞いていた孫権は、
「ならば、曹操のしたことをこちらが真似てやれば良いのではないか?」
そういう孫権の言葉に周瑜は孫権が何を言いたいのかを理解する。
「蓮華様、それはつまり北郷と『同盟を組む』ということですか?」
「そうだ。北郷が北方より、我等が南方から魏に対して攻撃を仕掛ける。それによって曹操は戦力を分散させざるをえないだろうし、大国になったとはいえ後ろには劉璋の『蜀』がある。そちらへの警戒も持っていないといけないのだから、やつらとて戦力を分けざるを得まい。それに北郷となら仮に『魏』を倒した後で戦になったとしても、我等『呉』の方が戦力的には大きいからな。」
孫権の提案を思案する周瑜と陸遜。しかし、現状考えられる策では一番効果的なのは一目瞭然だった。
「それでは、北郷へ同盟の使者を送りましょう。こちらの誠意を示すためにも相応の者を送らないといけませんね。」
「それなら小蓮様が良いのではないでしょうか?小さいといっても孫呉の姫ですし・・・・。」
陸遜の提案に孫権の表情が曇る。実の妹を他国に遣いに出すというのは姉としては心配なのだろうが、こちらの誠意を示すためには王として決断しなければならない。
「穏、小蓮を呼んできてくれる?」
孫権の要請に「は~い」と返事をして陸遜が出て行った。暫くした後、陸遜が小蓮を連れて戻ってきた。
「小蓮、よく聞いて頂戴。あなたには北郷へ同盟の使者として赴いて欲しい。今後の我等の命運がかかる大切な役目よ。出来る?」
孫権の言葉を聞いた小蓮は笑顔で胸をトンと叩き
「ふっふ~ん、シャオに任せておけば大丈夫!孫呉の末姫としてきちんと任務をこなしてくるわ。」
その言葉に孫権は頷いて、小蓮たちは北郷へと赴いていった。
青州・北海
北郷軍敗戦からしばらくして、一刀は詠たちのいる青州の北海の居城へやってきた。そこには暗い表情の霞や翠、そして舞華がいた。
「みんな大丈夫か?」
一刀の言葉に一同は俯く。その様子が気になった一刀は詠に尋ねる。
「詠、状況を説明してくれ。」
「・・・・はい。敵軍の侵攻に対して、敵軍の将・夏侯惇を抑えるために霞と翠たちを向かわせましたが、霞は夏侯惇と、翠たちは夏侯惇の部下らしき兵との交戦で膠着状態になったところを、敵軍の許緒による本陣強襲にあい、白蓮と関靖が防ぎに行ったのですが、許緒にやられてしまって・・・・・。その影響で戦線が崩れてしまったので、大事を考えこのような決断にいたりました。全ては私の力の無さゆえ・・・・。罰ならば私にお与えください。」
一刀は、俯き今にも泣きそうな表情をしている詠を抱きしめる。
「責任を感じることはない。責任があるとするならば、それはこの展開を予想できず楽観視していた俺の方だ。詠たちは精一杯出来ることをしてくれたし、そのお陰で被害も広がらずに済んだ。ありがとう。」
一刀に抱きしめられ頭を撫でられる詠は、溢れ出る感情を抑えられずに一刀にしがみついて泣いた。そんな詠の様子を見ていた霞たちも一刀の元へ近付く。
「ご主人様、申し訳ない。ウチが夏侯惇に気をとられていたばっかりにこんなことになってしもうて・・・・。」
「北郷様、すまない。相手の武はあたしたち3人がかりでも手に負えなかった。」
落ち込む2人にも労いの声をかける。その後の報告で、白蓮、関靖、碧、楓は軍医の治療を受けていることがわかった。そして、襲撃された一刃は未だ意識が戻らない状態だという。北郷軍を包む空気がどんよりと重くなったような気がした。しかし、そうも言っていられない。これからの行動を決めていかないといけない。報告では、曹操軍はこちらへ進軍するのと同時に荊州へも侵攻。こちらから撤退した劉表軍を破って荊州を制圧した。徐州までも曹操軍に制圧され、軍事力では恐らく劉璋軍と同等、それ以上拡大している。恐らく再び侵攻してくることは間違いないだろう。今の状態ではまともに決戦などは出来ない。どうするべきかと考えていると、伝令が入る。
「孫権殿の使者と名乗る方が、北郷様との面会を希望しておりますが、いかがいたしましょうか?」
ふっ、そうか。考えることは同じかな・・・・。内心でそう思った一刀は孫権の使者と会うことにした。
(さて、果たして誰を使者としてよこしたのかな・・・・。)
しばらくすると護衛の者を連れ立ってやってきたのは一刀も知っている人物だった。
(成る程、シャオを遣いによこしたか・・・・・)
「初めまして、北郷殿。孫呉の王・孫権の遣いとして参りました、孫尚香と申します。」
丁寧な口調で喋る小蓮をみて、一刀は微笑む。
「いやいや、江東よりはるばるおいでいただき恐悦至極。して、今回の訪問はいかが用ですかな?」
挨拶もそこそこに本題にうつる。
「はい、我が王・孫権は北郷殿と同盟を結びたいと申しております。今現在、大陸には強国となった『蜀』、『魏』、そして我等が『呉』と『北郷』。この4国になっております。そんな中で、曹操、劉璋と事を交えるとなれば、単独での攻略は至難の業。したがってここは、脅威となる『魏』に対して協力して対応していくべきだと思うのですが、いかがでしょうか?」
孫呉の提案に一刀は考える。だが、今の現状では北郷は4国の中で最も力の無い弱小勢力。それに加えて将となる人間も負傷者だらけで人手も足りない。そんな状況で再び曹操軍が侵攻してきたら、と考えると悠長なことは言ってられない。一刀は決断する。
「分かった。同盟の申し出、受けることにしよう。信用してもよいのだな?」
「はい、信用の証は私のこの身で・・・・・。孫権が裏切るようなことがあればいかようにも・・・・・・。」
小蓮のその言葉に、一刀は笑みで返した。
「分かった。孫尚香殿、貴殿を歓迎しよう。我が軍も今は人手が足りない。曹操とことを構えるのに少し時間をいただきたい。その旨の連絡はこちらから建業へ使者を送っておくとしよう。尚香殿、長旅でお疲れだろう。ゆっくりと休まれるといい。」
そういうと、侍女を呼び客間へと案内するよう命じる。その後、みんなを集めてこれからの方針を話す。
「ということで、孫呉と同盟を組んで曹操と当たることになった。前回、うちがやられたことをそのまま曹操たちにも味わってもらうことにする。我等はまず奪われた徐州の再奪還を。孫呉が荊州・江夏より侵軍する。徐州攻略次第、そのまま兗州へと侵攻する。今回の戦いの目的は敵の戦力の削減だ。今、治療を受けているものに関しては、別働隊があることを睨んで本拠地・鄴の方の守りにいってもらう。徐州侵攻は、俺と愛紗、鈴々、恋、霞、翠、朱里、詠で向かう。恐らく徐州には先の戦同様、夏侯惇、許緒などとの戦闘が予測される。他にも武将が配置される可能性もあるが、ここで時間をかけると孫呉の方の負担が増えることになるかもしれないから、迅速さが要求される。ここが正念場だ、頼むぞ。」
一刀の言葉に「「「「「「「御意」」」」」」」と答えるのであった。
徐州・下邳
「はぁぁぁぁぁぁーー!!」
ガキン
「おりゃぁぁぁぁぁぁーーー!!」
ガキン ガキン
「ふんっ!」
バキッ
「くっ!」
春蘭の剛撃を防いでいたものの、隙をつかれ拳がめりこむ。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
「よし、今日はこの辺にしておこう。」
春蘭の言葉に苦笑いを浮かべるのは
「いやいや、さすが夏侯惇将軍ですな。私では全く歯が立たない・・・・。」
肩で息をする永倉だった。そんな永倉の言葉を聞いた春蘭は
「永倉、謙遜するな。私とここまで打ち合えるのはお前くらいだ。秋蘭や季衣でさえここまでではないぞ。」
「いえいえ、私なんて大したことありませんよ。」
そういうが、長倉は終始こんな感じだ。そこへ季衣がやってくる。
「春蘭様。雛里の予想したとおり北郷軍の本隊がこちらへ向かってきているみたいです。」
その言葉に春蘭はニヤリと笑みを零す。
「そうか、では手筈どおりに・・・・・。永倉、私とお前で北郷軍の主力を抑えるぞ。」
「仰せのままに・・・。」
春蘭たちは北郷軍迎撃の準備に入るのだった。
許昌
「華琳様、北郷軍が徐州へ進軍を開始した模様です。」
桂花の報告に曹操はある人物に話しかける。
「葵(あおい)、茜(あかね)、手筈どおり動くわよ。兵3万とともに出撃なさい。春蘭、秋蘭、季衣と主だった武将がいない今、この作戦を任せられるのは貴方たちしかいないわ。頼むわね。」
「おっまかせ~。この葵ちゃんに任せておけば大丈夫!茜ちゃんとみんなぶっ飛ばしてきちゃうんだから。」
「葵ちゃん、あまり張り切りすぎるとケガすることになるよ。慎重にね・・・・。」
元気いっぱいに振舞っているのは、最近曹操軍で地位を上げてきた徐晃こと葵と、趙儼こと茜だ。そんな二人に雛里が指示を出す。それを聞いた二人は、手勢を率いて出撃するのだった。
そんな姿を見送って、曹操は桂花、雛里に問う。
「ところで孫権の方はどうなっているかしら。」
「はい、揚州を掌握することも終わり今はこちらの動きを見計らっている頃でしょう。ただ、最近江夏周辺で孫呉の不穏な動きを察知しております。秋蘭と流琉をむかわせておりますので何かあっても大丈夫だとは思いますが・・・・。」
桂花が報告を終えると雛里が続ける。
「劉璋陣営は未だ何も動きが掴めていましぇん。優秀な細作を送ってはいるのですが、無事に戻ってきたものはいないので・・・・。向こうが何を考えているか分からない以上、警戒を緩めるわけにはいきましぇんから、曹仁様、曹洪様、それにこの間加わった王粲殿を国境まで向かわせましたので、向こうも迂闊には手は出してこないと思いましゅ・・・・。」
相変わらず噛み噛みな雛里がそう報告する。その報告を聞いて曹操は笑みをこぼす。
「それじゃあ皆、気を引き締めていくわよ。」
曹操の檄に皆「「御意」」と答えて己の持ち場へと戻っていった。
??side
「黄忠、お前に指令だ。」
無機質な声に黄忠はビクッと身震いをしたかと思えば、声の先の男を睨む。
「そのような事出来るはずがありません。私はそんな事に手を貸すつもりはありません。」
はっきりと拒絶の姿勢を示す黄忠だが、その態度を見た男は不敵な笑みを見せ
「そなたの娘、璃々とかいったか・・・・・。純潔な身体が穢されてしまうのは不憫だよなぁ・・・。」
黄忠はその男の言葉を聞いて表情を青くする。その男は娘を陵辱するかのような言い方だったからだ。
「全てはお前の態度次第だよ・・・・。娘の『純潔』を守るも『穢す』もな。フハハハハハハハ・・・・・。」
男の無機質な高笑いだけがその場に響くのであった。
あとがき
群雄割拠編です。
連日連夜のW杯観戦で寝不足気味です。
しかし、スイスはよく守ったなぁ・・・。
スペインにあれだけ攻められても崩れなかった守備陣に脱帽です。
さて、今回は真より流琉が登場。そしてオリキャラとして
徐晃(真名:葵)、趙儼(真名;茜)、曹仁(真名:次回までに考えます)、曹洪(真名:次回までに)
王粲(真名:次回まで)と大量に登場しました。
どう絡ませるかは、構想中です。
拙い未熟な作品ではありますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
感想、コメントも大歓迎です。よろしくお願いします。
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恋姫†無双の二次創作です。
敗北した北郷軍を訪れた訪問者。
その目的とは?そして曹操軍はどう動くのか?
拙い未熟な文章ですが、少しでも楽しんでいただければ
幸いです。
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