No.149983

真・恋姫†無双 あなたと共に 9

highstaさん

帰還編終了です・・・

やっと・・

今回は魏の娘たちとは絡みは少なめです。蜀と呉の娘たちも一部しか登場してませんけど・・・

続きを表示

2010-06-12 14:36:21 投稿 / 全18ページ    総閲覧数:25100   閲覧ユーザー数:15448

 

 

今日という日に・・・・・・

 

 

 

 

どれ程泣いただろう・・・・・・

 

 

 

 

今日という日まで・・・・・・

 

 

 

 

どれ程の人を泣かせただろう・・・・・・

 

 

 

 

 

 

今日という日に・・・・・・

 

 

 

 

どれ程笑っただろう・・・・・・

 

 

 

 

今日という日に・・・・・・

 

 

 

 

どれ程の笑顔を向けてもらっただろう・・・・・・

 

 

 

 

今日という日に・・・・・・

 

 

 

 

------限りない感謝を・・・・・・------

~一刀~

 

「・・・・・・」

 

天和たちが泣き終え、らいぶ衣装を着替えるために事務所に戻ると言って別れた後、俺たちは城に入った・・・

 

「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」

 

そして・・・・・・

 

そこで見た・・・・・・

 

中庭に続く通路脇に兵たちが立ち並んでいる姿を・・・・・・

 

おそらくは城にいた兵のほとんどであろう数・・・

 

 

そして・・・・・・言ってくれた・・・

 

 

------「「「「「「「おかえりなさいませ!北郷様!」」」」」」」------

 

 

今日だけで何度だろうか・・・

 

 

この言葉を言われたのは・・・

 

 

言われる度に思う・・・

 

 

“俺はここにいても良いんだ”って・・・

 

 

 

 

兵たちの中には見知った兵がほとんどだ・・・

 

涙を流してくれている兵もちらほら見える・・・

 

「(あっ・・・あいつらは・・・)」

 

涙を流していた兵たち・・・

 

それは・・・3年前の自分の部下たち・・・

 

「(ははっ・・・ひどい顔だなぁ)」

 

涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらも・・・しっかりと自分のことを見据えてくる・・・

 

だから・・・笑う・・・

 

ひどい顔だから・・・

 

そんな顔で見つめてくるから・・・

 

何よりも・・・

 

------そのことが嬉しいから・・・------

 

 

 

今度は笑顔で言おう・・・

 

みんなの元に・・・

 

帰ってこれたことを・・・

 

 

「ただいま!みんな!!!!」

 

 

涙を堪え・・・高らかに言った・・・

 

 

 

その直後・・・

 

 

 

「「「「「「「わああぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」」

 

 

 

兵たちは民たちにも負けない大歓声をあげた

 

「さすがね・・・一刀」

 

華琳が口の端をあげて笑みを浮かべ呟く・・・

 

 

 

 

 

 

 

兵たちに帰ってきたことを喜んでもらいながら中庭に入る

 

「あれっ?華琳?」

 

「何かしら?」

 

「これってさ・・・まさか・・・」

 

中庭の異常に気づく・・・

 

しかし、それは決して悪いことではなく・・・

 

自分のよく知っているもので・・・

 

それはこの世界にはない文化だったから・・・

 

「えぇ。前にあなたが言っていたでしょ?大人数で話しながら食事をするときは”立食ぱーてぃー”がいいって」

 

「・・・そっか」

 

心が温まるのを感じる・・・

 

自分が何気なく発した言葉を・・・覚えててくれたのが・・・

 

嬉しくて・・・

 

「ありがとうな・・・華琳」

 

「なっ!?べ、別にあなたのためじゃないわよ!た、ただこっちの方が都合がいいってだけなんだから//////」

 

華琳に礼を言うと、真っ赤になって否定された

 

「・・ははっ」

 

「な、何がおかしいのよ!」

 

「えっ?い、いや何でもないって」

 

「嘘おっしゃい!いいから何を考えたのか言いなさい!」

 

「だ~か~ら~何でもないって・・・・・・ぷぷっ」

 

「ッ!?また笑ったわね!?」

 

 

 

 

「もう~華琳ってば~私お腹空いちゃったんだから早く始めましょう~」

 

華琳をからかっていると1人の女性が近づいてくる

 

見ると・・・陽気な呉の王”孫伯符”がいじけた子供のような表情でそこにいた

 

「えっ?あ、あぁ・・ごめんなさい・・・少し待っててくれるかしら?」

 

そう言って華琳は給仕の人たちのところに何かを言いに行ってしまった・・・

 

「初めまして・・・でいいのかしら?御遣い君」

 

2人になった途端に孫策さんが話しかけてきた

 

「そうですね。ちゃんと挨拶したことはなかったので・・・」

 

孫策さんの顔を見て笑顔で答える・・・

 

「知ってるとは思うけど、私は姓は孫、名は策、字は伯符よ♪一応、呉の王ってことになってるわ。

よろしくね、御遣い君♪」

 

孫策さんもさっきまでの表情を引っ込めて、機嫌の良さそうな顔で返してくる

 

「(一応って・・・)」

 

とは思いながらも、こっちも自己紹介することにした

 

「初めまして。俺は姓は北郷、名は一刀、字と真名はありません。・・・できれば”御遣い君”じゃなくて、北郷か一刀って呼んでください。あんまり”御遣い”って呼ばれるのは好きじゃないんで・・・」

 

「あら、そう?じゃ~あ・・・一刀って呼ばせてもらうわね♪」

 

「はい、よろしくお願いします、孫策さん」

 

そこまで言って、とりあえず握手でもと思って手を差し出したが、何やら孫策さんが微妙な表情を浮かべていることに気がついた

 

「?・・・どうかしましたか、孫策さん?」

 

「ん~何か堅いわね~・・・・・・そうだ!私のことは雪蓮って呼んでいいわ。それと敬語も無しね♪」

 

「えっ!?で、でもそれって孫策さんの真名ですよね!?いいんですか?」

 

「別にいいわよ。一刀以外の魏の娘たちには預けてるし。・・・それに・・・ね♪」

 

孫策さんが意味深に言葉を区切る

 

「それに・・・何ですか?」

 

「・・・華琳や春蘭たち・・・洛陽の民・・・兵士・・・。みんなが一刀に向ける顔・・・それが何よりの理由。あなたが信じられる人間かどうかのね♪」

 

そこまで言って、孫策さんはにっこり笑った・・・

「・・・分かりまs・・・分かったよ・・・雪蓮」

 

みんなからの想い・・・今日・・・改めて知ったこと・・・

 

自分が思っている以上に想われていたこと・・・

 

それを持ち出されたら頷くことしかできない

 

「うん♪それでいいわよ。改めてよろしくね、一刀♪」

 

俺の答えに雪蓮は満足そうに頷き、手を差し出してきた

 

「うん・・・よろしく、雪蓮」

 

差し出された手を握り返す・・・

 

・・・思ったよりちっちゃいなぁ

 

 

「あぁ~!雪蓮さんずる~い!!」

 

・・・・・・はい?

 

こちらを見て、抗議の声をあげる女の子が1人

 

「えぇ~と、確かあなたは・・・」

 

「えへへ~初めまして、御遣い様!私は姓は劉、名は備、字は玄徳、真名は桃香っていいます!桃香って呼んでくださいね♪」

 

「えっ!?また真名で!?」

 

「・・・また?・・・」

 

「いや、雪蓮もそんな感じだったから・・・」

 

「えー!じゃあ尚更ですよ~。ほら、桃香って呼んでくださいよ~」

 

目をキラキラさせ、劉備さんが見つめてくる

 

「うっ・・・わ、分かりました、桃香さん」

 

とは答えたものの・・・何やら不服そうに頬を膨らませている桃香さんが視界に入る

 

・・・可愛いなぁ~

 

「ぶぅ~『さん』はいりませんってばぁ。敬語も必要ないです!」

 

「わ、分かったよ、桃香・・・・・・これでいい?」

 

えへへ~、と顔を緩ませ桃香が手を握ってくる

 

「もう~一刀!こっちも忘れないでよ~」

 

隣にいた雪蓮からも再度、抗議の声があがる

 

「べ、別に忘れてないってば・・・ってか、近いよ二人とも!これ以上はやばい、やばい!!」

 

色々な意味で!!

 

「・・・・・・ナニヲシテイルノカズト」

 

!?

 

背中から声が掛かる・・・・・・そして同時に・・・・・・

 

チャキ

 

!?

 

首筋に冷たい感触・・・

 

 

・・・懐かしいなぁ・・・

 

 

・・・懐かしいけど・・・

 

 

「チ、チガウヨ?ナンデモナイヨ?」

 

やましいことはないはずなのに勝手に言葉が出てくる

 

くそっ!こんな時まで昔の習慣が!!

 

「・・・へぇ~、じゃあ・・・あなたの腕に抱きついているのはいったい何かしら?」

 

「いや、これはほら・・・ね?」

 

プチンッ!

 

あっ・・・何かキレた音が・・・

意を決して後ろを振り向く・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・鬼がいらっしゃった

 

「あなたわぁ!!帰ってきて早々に女を口説くなんて!」

 

「ち、違うってば!いやホントに!信じろって!」

 

「女のことであなたを信じられるわけないでしょ!!」

 

ひ、ひどい・・・・・・

 

「歯をくいしばりなさい、一刀!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

スパーーーーン!!!!

 

 

 

 

 

 

再会の嬉しさの余韻もむなしく・・・

 

 

 

 

 

 

華琳の腰の入ったビンタの炸裂音と一刀の悲鳴が響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いててててっ」

 

一刀は華琳のビンタで吹き飛ばされた後、とりあえず華琳にさっきあった出来事の説明をした

 

「そ、それならそうと早くいいなさいよ・・・」

 

「聴く耳もたなかったじゃん!?」

 

「うううるさいわよ!ほら、杯持って!」

 

「・・・・・・ごまかした」

 

華琳は一刀に酒の入った杯を持たせてから、自分の杯を持って少し高い壇上に上がって行った

 

 

それぞれの将たちが見つめる中、華琳は”王の顔”で話し始める・・・

 

「皆の者!待たせてしまって申し訳ない!」

 

先程とは違う堂々とした姿に一刀は身震いしてしまう

 

「さて・・・早速だが改めて伝えることがある!・・・一刀、ここに」

 

「・・・おう」

 

華琳に呼ばれ、壇上にあがる

 

華琳は一刀が隣に立つのを確認すると続きを話し出した

 

「知っての通り、我らが魏の盟友であり、天の御遣いである北郷一刀が先程天の国より帰還した!平和の象徴たる天の御遣いの帰還である!この事実を皆で祝おうではないか!」

 

杯を天へと掲げる・・・

 

「・・・戦乱の終結と北郷一刀の帰還を祝して・・・乾杯!」

 

「「「「「「「「「「かんぱ~い!!!!」」」」」」」」」」

 

3国の将たちの声が重なる

 

「・・・一刀」

 

「んっ?」

 

華琳が微笑みながら杯を一刀の方に傾ける

 

 

「(・・・あぁ・・・そういうことか・・・)」

 

「あぁ」

 

一刀も杯を傾け・・・華琳の杯に当て、チン、と音を立てさせる

 

「改めて・・・・・・帰ってきてくれてありがとう、一刀・・・・・・」

 

「・・・うん・・・こっちこそ・・・待っていてくれてありがとう、華琳・・・」

 

そう言って、お互いにふっと微笑みあい、壇上から降りる

 

 

と・・・・・・

 

 

「か~ずとぉ~!!」

 

「んっ?・・・って霞ッ!?」

 

ガバッ!!

 

 

「っととと・・・霞、どうかしたか?」

 

いきなり抱きついてきた霞を受け止め、何とか言葉を返す

 

「あほ!!”どうかしたか?”やないやろ!」

 

「・・・・・・へっ?」

 

「華琳はまだええわ・・・でもな・・・雪蓮や桃香とは話して、ウチらのところには来んってのは違うんとちゃうかぁ?」

 

霞は少し皮肉を込めた言い方をする

 

「あぁ~いや、そんなつもりはなかったんだけど・・・ごめんな」

 

そう言って、霞の頭を撫でる

 

「・・・えへへ~まぁ別にええんやけどなぁ」

 

頭を撫でられた霞はすぐに機嫌を良くして甘えるように一刀の胸に擦り寄ってくる

 

「・・・・・・カズト?」

 

「ひぃっ!」

 

横にいた華琳が機嫌の悪さをあらわにする

「(さっきまで笑ってたのに!!)」

 

「・・・はぁー・・・まぁ、いいわ」

 

と、華琳は意外にもすぐに怒りの表情を緩ませる

 

「・・・・・・いいの?」

 

「・・・さっきも言ったでしょ?・・・この娘たちも待ってたって・・・」

 

華琳も本当は霞のように抱きつきたかった・・・

 

しかし・・・さっきのように・・・

 

王が3国の将の前で”女”になることはもう許されない・・・

 

ただでさえ”アノ”雪蓮に見られたのだ・・・

 

「くっ!」

 

今思い返しても顔が赤くなるのを感じる

 

「(落ち着きなさい、華琳・・・王としての立場を忘れるんじゃないわよ)」

 

自分で自分に言い聞かす・・・

 

 

 

「兄ちゃ~ん!!」

「兄様ぁ~!!」

 

ガバッ

 

「っとと、季衣?・・流琉も」

 

霞が胸から離れ話していると、一刀の腰元に妹たちが抱きついてくる

 

「おやおや~季衣ちゃんも流琉ちゃんも元気ですね~」

 

「・・・・・・風は良いのですか?」

 

「おうおう姉ちゃんよ~野暮なことは聞くもんじゃないぜ」

 

「・・・・・・ふん!デレデレして・・・・・・気持ち悪い!」

 

後ろからは魏の軍師たちが一刀の元に、ゆっくりとした歩みで向かってくる

 

「風、稟、桂花も」

 

 

一刀は片方の手で季衣と流琉の頭を交互に撫でながら、空いた手を軍師たちに向けて振る

 

「あか~ん、出遅れてもうたぁ」

 

「いいなぁ~季衣ちゃん・・流琉ちゃんも・・・」

 

「うぅっ////(もじもじ)」

 

更にその軍師の後ろからは、一刀の部下である真桜、沙和、凪が・・・

 

「おっ!真桜、沙和、凪!よっ」

 

3羽烏に気づいた一刀は凪がもじもじと恥ずかしがっているのを気にしながらも挨拶をする

 

と・・・さらに離れたところから駆けてくる姿が3つ・・・

 

「待ってよ~人和ちゃ~ん、はぁ・・はぁ・・」

 

「何で・・はぁ・・そんなに・・はぁ・・速いのよ!」

 

「姉さんたち・・・遅い」

 

らいぶ衣装からいつもの服に着替えた天和たちだった・・・

 

「人和・・・速いなぁ」

 

末っ子のおとなしいイメージのある人和が一番速いことに驚きつつも、一刀は3人が気づくようにさらに大きく手を振る

 

「って・・・なんだか全員そろっちゃったなぁ~」

 

「うむ・・・そのようだな」

 

天和たちまで集まってきて、一刀は魏の女の子に囲まれる形になった

 

・・・・・・・・・

 

「・・・って!秋蘭!?」

 

「うむ・・・秋蘭だが・・・どうかしたか?」

 

いつのまに来たのか、秋蘭はちゃっかり一刀の隣をキープしていた

 

「えっ?えっ?いつ来たの?」

 

「霞と一緒に来たのだが・・・そうか・・・一刀にとって私は・・・」

 

明らかに演技掛かっているが、それでも焦るのが北郷一刀

「うわぁ・・・ごめん!ホントにごめん!」

 

ひたすら頭を下げる

 

「・・・ふふ、別に気にしてないさ。気がつかれないように近づいたのだから」

 

「・・・・・・へっ?」

 

顔を上げると、意地悪そうな笑みを浮かべた秋蘭の顔が目に入る

 

「ちょっ!?・・・はぁ~勘弁してよぉ~」

 

一刀は力が抜けたのか、大きく息を吐いた

 

「ふふ、一刀・・・この程度ならまだマシだと思うぞ」

 

「えっ?どういうk・・・」

 

秋蘭が立っていた場を空けると、大きな猫が一匹、舞台の土台部分で爪を研いでいる姿が見えた・・・

 

「・・・って、あれ春蘭じゃん!何であんな風になってんの!?」

 

「姉者も私といっしょに来たのだがな・・・一刀に気づいてもらえなくて”ああ”なった」

 

「えっ!?で、でもさっきまで猫化してなかったじゃん!」

 

「・・・一刀を迎えに行くまではずっとあの状態だったからな・・・。大方、宴の雰囲気にまた酔わされたのだろう・・・」

 

「・・・んなアホな・・・」

 

いくらなんでもおかしいだろう、とは思っても、とりあえずは春蘭をどうにかしなければならないので一刀は春蘭の元に向かった・・・

 

「・・・あ、あのぉ~、春蘭・・さん?」

 

「キシャーーー!!!」

 

「ひぃっ!?」

 

一刀はかつて自分が見たときよりもひどい状態にあることに気づき、おもわず一瞬怯んでしまう

 

「・・・えっと・・・ごめんね・・・春蘭・・・」

 

「フーッ、フーッ」

 

「・・・その・・・言い訳に聞こえるかもしれないけど・・・霞もいきなりだったから周りに気を配る余裕がなかったんだ・・・」

 

「・・・・・・」

 

春蘭もだんだんと落ち着きを取り戻してくる・・・

 

「・・・本当に・・・ごめんね」

 

一刀は最後にそう言って、春蘭の頭を撫でた

 

「・・・かじゅとぉぉ」

 

春蘭は泣き顔で一刀の方を見る

 

「わ、わたし・・・いらにゃいこじゃ・・・にゃい?・・・」

 

一刀は春蘭の泣き顔に一瞬驚いたが、すぐに笑顔で答える

 

「・・・当たり前だろ?・・・俺は春蘭に・・・みんなに会いに帰って来たんだよ?春蘭がいらないだなんて・・・今まで考えたこともないし、これから先も絶対に考えることはないよ」

 

一刀は春蘭の震える体をギュッ、と抱きしめる

 

「うぅ・・・かじゅとぉ~~」

 

春蘭も子供のように泣きつく

 

 

秋蘭含め、魏の将たちは春蘭が泣き止むまで、2人のことを優しく見守っていた

 

 

 

 

 

若干1名・・・おもしろいものを見た、というような邪悪な笑みを浮かべるネコ耳フードがいたが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「北郷殿」

 

一刀は泣き止んだ春蘭が寝てしまったので、侍女の娘たちに預けに行った帰りにポニーテールの女の子から声を掛けられた

 

「えっと・・・確か・・・関羽さん、でしたっけ?」

 

その娘は一刀も見覚えのある女の子で蜀の武神である関雲長であった

 

「覚えていて下さったとは・・・。この関雲長・・・感激の至りであります」

 

「あははっ、大げさだよ。関羽さんこそ、俺の名前覚えてくれたんだ?ありがとう」

 

そう言って、一刀は”いつもの”笑顔を向けた・・・

 

「うっ////」

 

「んっ?どうかしました、関羽さん?顔・・赤いですよ」

 

そう言って、さらに顔を近づける

 

「い、いえいえいえいえ!だだだ大丈夫ですから!」

 

一刀は関羽の態度に首を傾げながらも、とりあえず目的を聞く事にした

 

「えっと~それならいいんですけど・・・。・・・俺に何か用ですか?」

 

「あっ!?あぁそうでした!その・・・ですね・・・天の御遣いであらせられる北郷殿と少し話しでも・・・と思いまして・・・」

 

かなり慌てた様子で関羽は喋りきる

 

「あぁ~そういうことですか。別にいいですよ。俺も蜀や呉の人たちと話したいって思ってたし」

 

「そ、そうですか。で、ではこちらです」

 

顔を赤くしたままの関羽について行くと蜀と呉の将のが何人かいるのが分かった

 

「朱里、雛里、星・・・他の者はどうした?」

 

関羽が蜀の面々に尋ねた

 

「おぉ、愛紗どこに行っておったのだ?鈴々と翠は腹が減ったと言って、先程料理を取りに行ったぞ」

 

「はわわ~!紫苑さんと桔梗さんは璃々ちゃんを寝かしつけに行きました」

 

「あわわ~!愛紗さん、蒲公英ちゃんと焔耶さんは武器を持ってどっかに行っちゃいましたぁ~」

 

はぁ~と関羽はため息を吐く

 

「・・・白蓮殿と麗羽たちは・・・いや、考えまい・・・。恋たちと・・・!?そ、そういえば桃香さまはどうした!?」

 

「慌てるな、愛紗・・・恋ならば先程、南蛮の者たちを引き連れて、どこかへ行ったぞ。桃香殿は雪蓮といっしょに御遣い殿のところに行くと言っていたが・・・・・・すぐに戻ってくるだろう・・・」

 

蜀の将たちと一緒にいた眼鏡をかけた長い黒髪の女性が一刀の方を見ながら答えた

 

「そ、そうか・・・ならば良いのだが・・・」

 

「・・・ねぇ、関羽さん」

 

やり取りが一段落したところで一刀は声を掛けた

 

「あ、あぁ!?も、申し訳ありません、北郷殿!」

 

「いや、別にいいんだけど・・・紹介してもらえるかな?」

 

「は、はい!では・・・」

 

そう言って関羽は一人づつ、一刀に紹介を始めた

 

 

最初の人は一刀も見たことのある、着物を着た女性・・・

 

「北郷殿、こちらは趙雲。蜀では私と共に軍部を担当しております」

 

一刀を見て、一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに笑みを浮かべ一刀に話し掛けてきた

 

「これはこれは御遣い殿・・・お久しぶり・・・ですな」

 

「うん・・・久しぶり、趙雲さん。・・・あの時はありがとうね」

 

「はっはっはっ、いやいや構いませぬ。・・・それにしてもあの時の御仁が天の御遣いだったとは・・・」

 

「まぁ、あの時はまさかこんな風になるとは思わなかったしね。それより、名前で呼んでくれないかな?北郷でも一刀でもいいからさ。天の御遣いって言われるの・・・未だに慣れなくて・・・」

 

「ふむ・・・では、北郷殿とお呼びしよう。それと・・・私のことは星でよろしい」

 

「えっ!?いいの?」

 

「構いませぬ。稟や風が認める御仁なればこそ・・・ですよ。・・・それに・・・なかなか噂の絶えぬ面白いお方の様ですからな?」

 

そう言う、星の顔は妖しく笑っていた

「・・・噂・・・ねぇ・・・。まぁ、とりあえずよろしく、星」

 

一刀は星から差し出された手を握り、しっかりと握手を交わした

 

「・・・北郷殿、星とはどこかで会ったことが?」

 

関羽が不思議に思ったことを尋ねる

 

「えぇ、まだ俺が華琳に拾われる前に野盗に襲われていたところを助けてもらったんですよ」

 

「そうだったのですか・・・なるほど、納得がいきました」

 

一刀の答えに満足したのか、星の横にいた小柄な2人に視線を向ける

 

「次に・・・この2人は、諸葛亮と鳳統・・・我らが蜀の頭脳といっても過言ではないでしょう」

 

「はわっ!」

「あわっ!」

 

関羽に急に話を振られたことにびっくりしたのか、2人とも驚いてしまって、顔を俯かせてしまった

 

「(か、可愛い・・・)」

 

「?・・・北郷殿?」

 

「・・・えっ?あ、あぁ~すみません。えっと、俺は姓は北郷、名は一刀です。俺が前にいた頃もお2人の噂はよく耳にしていました。よろしくお願いします。」

 

「はわわ!」

 

「あわわ!」

 

一刀に握手を求められ、少しの間戸惑っていたが、恐る恐るといった感じで2人も手を差し出してくる

 

「はわっ!わ、わたしは姓は諸葛、名は亮、字は孔明でしゅ・・・はぅ・・」

 

「あわわ!わ・・・わたしは・・・姓は鳳、名は統、字は士元でしゅ・・・あわ・・」

 

「はい、よろしくお願いします(そこで噛むかぁ~)」

 

“いつもの”笑顔で、キュっ、と一人づつ手を握るのだが・・・握った瞬間に2人とも顔を真っ赤に染めてしまう

 

「はわぁ~」

「あわぁ~」

 

「えっと・・・関羽さん・・・この2人大丈夫かな?」

 

「・・・え、えぇ・・おそらくは・・・」

 

関羽も2人の気持ちが分かってしまうだけに何とも言うことができなかった・・・

 

「・・・まぁ、関羽さんがそう言うなら・・・大丈夫だと信じm・・「一刀ぉ♪」・・・へっ?」

 

ガバッ!!

 

名前を呼ばれたと思った瞬間・・・一刀の背中を強い衝撃が襲った

 

「っててて・・・へっ?雪蓮?」

 

「やっと見つけた~。もう~華琳に邪魔されて全然話せなかったから探してたんだから♪」

 

「あぁ~!雪蓮さん、また抜け駆けして!ずるいですよ~」

 

そのまた後ろには頬をプンプンさせながら向かってくる桃香

 

「ちょっ!?雪蓮、離れて!?さすがにこれは言い訳できない!」

 

「もう照れなくてもいいじゃない♪私と一刀の仲d・・「・・・何をしているんだ、雪蓮」・・って、あら?冥琳いたの?」

 

蜀の3人以外にいた女性が一刀と雪蓮に近づいてくる

 

「すまないな、北郷殿・・・雪蓮が迷惑を掛けてしまって・・・」

 

そう言って、その女性は雪蓮の首根っこを掴んで、一刀から引き剥がした

 

「離してってば、めーりーん。これから一刀とたくさん話すんだからぁ」

 

「別に抱きつかなくても話など、いくらでもできるだろう?」

 

「ぶーぶー、めーりんの意地悪ぅ~」

 

「何とでも言いなさい」

 

目の前のあまりの出来事に一刀も少しの間、圧倒されてしまっていた

 

「・・・・・・はっ!?え、えっと・・・あ、ありがとうございます!・・・あの~失礼ですけど・・・」

 

そう一刀が言い切る前に、その女性は一刀の考えていたことへの答えを出す

 

「申し遅れた。私は姓は周、名は瑜、字は公瑾だ。雪蓮も真名を預けているようなので私も預けよう。真名は冥琳だ。・・・ちなみに敬語なども不要だ」

 

「えっと・・・はい、じゃなかった・・・うん・・分かった。俺は姓は北郷、名は一刀。字と真名はないから、好きなほうで呼んでよ、冥琳」

 

冥琳の堂々とした態度に圧倒されながらも、一刀も軽く自己紹介をすませる

「ふむ・・では、北郷と呼ばせてもらうとしよう」

 

「うん、よろしく、冥琳」

 

そう言って、一刀は冥琳とも握手を交わした

 

「早速だが、北郷・・・お前に会わせたい人がいるのだが・・・」

 

きょろきょろと辺りを見まわす冥琳

 

「会わせたい人?」

 

誰だろうと思っていると、冥琳が目的の人物を見つけたのか、声を少し大きくして呼びかけていた

 

「祭殿っ!少しこっちに来てください!」

 

「まったく・・・なんじゃ冥琳・・・人が楽しく呑んでおる時に・・・」

 

その人物は気だるげにこちらに向かってくる・・・酒瓶を手に持ったまま・・・

 

「って、えええぇぇぇ!!!!」

 

「な、なんじゃ!いったい・・・って、お主は」

 

一刀はその人物の顔を見て、今日イチバンの驚きを表す

 

なぜなら・・・

 

目の前の人物はもう存在しているはずのない人・・・

 

死んだはずの人物・・・

 

「こ、こここここ黄蓋さんっ!?」

 

そう・・・

 

3年前の赤壁で・・・

 

命を賭して決死の特攻を行った・・・

 

黄公覆がそこにいた・・・

 

 

 

 

 

 

「北郷ではないか・・・久しいのぉ!」

 

しかし、当の本人は何もなかったかのように再会の挨拶をしてくる

 

「いやいやいやいや!その前に聞きたいことがあるんですけど!?」

 

一刀の慌てように雪蓮は腹を抱えて、冥琳は口元を少し隠しながら笑っている

 

 

ちなみに桃香は・・・・・・

 

一刀に抱きつこうとするのを関羽から必死に止められている

 

 

「まぁまぁ、祭殿・・・まずは説明してあげてはどうですかな?北郷殿は何も知らないようですので」

 

慌てている一刀を尻目に、星が祭に話しかける

 

「面倒くさいのぉ~。ん~まぁ、しょうがない!おい、北郷!一度しか説明せんからよく聞いておくのだぞ?」

 

「(コクコクッ!!)」

 

凄い速さで首を縦に振る一刀・・・

 

「まぁ、そんなに難しい話じゃないんだがの?赤壁で秋蘭からの矢を受け、わしも覚悟を決めていたんじゃが・・・長江の下流付近で華蛇という医者に拾われ、どうにか一命をとりとめたんじゃ。それでもさすがに傷がひどかったせいで、療養のために1年は呉に帰れなかったんだがの・・・」

 

そこまで言って、黄蓋は”はっはっはっはっはっ”と豪快に笑い、酒を煽った

 

「・・・・・・」

 

一刀は俯いたまま何も言わない

 

「ぷはーー・・・ん?・・・どうかしたか、北郷?」

 

黄蓋が一刀の様子に気づいて声を掛けた瞬間・・・

 

「はぁーーーーー、良かったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

思いっきり息を吐き、笑顔を向けた

 

「な、なんじゃ!いきなり!」

 

「いやだって・・・・・・黄蓋さんが・・・・・・生きててくれたから・・・・・・」

 

「!?な、なんじゃと?」

一刀の言葉に、今度は黄蓋が驚いてしまう

 

それはそうだろう・・・

 

確かに黄蓋は一時的に魏に身を置いたことはある・・・

 

だが一刀と親しくしていたわけではない・・・

 

ましてや・・・生きてて良かった、などと言われるなど・・・

 

「・・・・・・」

 

困惑する黄蓋に一刀は答える・・・

 

「戦争はさ・・・・・・3年前に終わったんだよ・・・。魏の俺が言うのも何だけどさ・・・・・・どこの国が勝ったとか・・・どこの国が偉いとか・・・そんなの関係ない3国同盟ってカタチで・・・」

 

「・・・・・・」

 

黄蓋も一刀の真剣な瞳を見て、黙って耳を傾ける

 

気がつけば、周りにいた雪蓮、冥琳、星、桃香、関羽、諸葛亮、鳳統も一刀の言葉に耳を傾けている

 

「俺はわがままだからさ・・・自分が知り合った人には戦争なんかで死んでほしくないって思ってた・・・。それは町の人や兵も変わらないよ・・・。だけど・・・戦争中、俺の目の前で死んで行く人たちをたくさん見てきた・・・。もちろんその中で、仲の良かった人たちもいたんだ・・・。あの戦争で・・・・・・どれだけの人が悲しい思いをしたか・・・」

 

一刀の目にうっすらと涙が浮かぶ・・・

 

「戦争が終わって・・・・・・死んだと思ってた人が生きててくれて・・・・・・こんなに嬉しいことはないだろう?」

 

涙を浮かべながらも一刀は黄蓋に問いかける

 

「ねぇ、黄蓋さん・・・黄蓋さんが1年経って呉に帰ったとき・・・疎ましく思う人がいたかな?今更って追い返すような人がいたかな?・・・きっといないよ・・・。呉を愛して・・・呉のために命かけた人の帰還を・・・喜ばない人なんていないんじゃないかな?」

 

「・・・・・・」

 

 

黄蓋は目を閉じて思い出す・・・

 

1年ぶりに呉に帰ったあの時を・・・

 

 

 

子供のように泣いて帰還を喜んでくれた主君と大都督や将たちの姿を・・・

 

男のくせにピーピーと泣く部下たちの姿を・・・

 

 

今思い出しても笑える・・・・・・

 

 

「ふふ・・・」

 

一刀は黄蓋の小さな笑いを聞き、話を続ける・・・

 

「俺は・・・黄蓋さんっていう人が生きててくれたこと・・・本当に嬉しく思うよ・・・。・・・何よりも・・・」

 

 

 

------「黄蓋さんが生きてるってことで・・・・・・笑顔になれる人がたくさんいると思うんだ」------

 

 

 

一刀はそこまで言って笑顔を見せる

 

 

「!?」

 

一刀の笑顔を見て黄蓋は気づく・・・

 

------この男が何故あれだけ慕われるか・・・

 

------この男の魅力とは何なのか・・・

 

その答えに・・・

 

 

 

 

 

 

「(ふふ、年甲斐もなく胸がざわついておるわ・・・)」

 

黄蓋は胸の高鳴りを感じていた

 

「(じゃが・・・・・・)」

 

それは自分が”女”であることの何よりもの証・・・

 

「(悪くない・・・悪くないぞ・・・北郷よ・・・)」

 

「・・・北郷!」

 

「えっ!?どうかした?」

 

黄蓋の強い口調に、一刀は自分が言ったことで何か気に障ったことがあっただろうかと思い返していた・・・

 

「お主に我が真名を許す!祭じゃ!これからはそう呼べっ、良いな!」

 

「あ、は、ははい!分かりm・・「敬語なぞいらん!」・・分かった!!」

 

何がなんだか分からない内に、一刀は祭と呼ぶことを許されていた・・・

 

 

 

「・・・祭・・・まさか・・・本気?」

 

雪蓮は小声で祭に話しかける

 

「さぁ?どうでしょうな?・・・少なくともこの黄公覆、久しぶりに女を揺さぶられましたわ」

 

「・・・まぁ、確かにさっきのはねぇ~反則よね~」

 

「おや?雪蓮・・・お前は本気なのか?」

 

今度は冥琳が雪蓮に話しかける

 

「あれだけの男はそうはいないと思うわよ♪・・・そう言う冥琳はどうなのよぉ?」

 

「さぁな」

 

「もう~冥琳つまんな~い」

 

わいわいキャーキャーと呉軍は騒がしくなる・・・

 

 

 

一方、蜀軍は・・・

 

「「「//////」」」

 

3名程、これ以上立ってられない者が出てきた

 

「はぁ~かっこいいなぁ、御遣い様・・・そう思わない、星ちゃん?」

 

「・・・確かにこれ程とは・・・。・・・真名を預けたこと・・・間違いではなかったようですな・・・」

 

1人は女の子らしく、もう1人は冷静に北郷一刀という人物を判断していた

 

 

 

「?いったい、どうなってんだ?」

 

周りの状況を飲み込めない一刀はひとりポツンと佇んでいた・・・

 

 

 

 

と・・・・・・

 

 

 

 

「・・・一刀」

 

背中から声がかかる・・・

 

振り向くと・・・

 

「か・・・り・・ん・・?」

 

華琳らしき容姿をした・・・夜叉がいた・・・

 

「・・・いつまで待っても帰ってこないと思ったら・・・」

 

ツインドリルも逆立たんばかりの勢いである・・・

 

「こんなところで他国の女を口説いていたなんて・・・ね・・・」

 

やばい!!

 

本能がそう告げてくる

 

「だ、だから違うんだって!これは普通に話してただけで・・・」

 

「・・・普通に話して”ああ”なるのかしら?」

 

華琳が指差す方・・・

 

蜀の3人が顔を真っ赤にして固まっていた

 

「あ、あああの娘たちは握手した時からあんな感じだったってば!・・・って、何で関羽さんまで!?さっきまで平気だったじゃん!?」

 

「さぁ・・・一刀・・・遺言は何がいい?・・・」

 

「いや、ね?だから本当にさ、俺何も・・って、なんで”絶”振りかぶってんだよ!?」

 

「もうーーー許さない!一刀っ!あなたの”アレ”、斬らせなさい!」

 

「!?絶対にいやだぁぁぁぁーーー!!!!・・「「華琳さま~」」・・ぁぁって、季衣に流琉ッ!?」

 

------助かった!!------

 

季衣と流琉が天使に見えた瞬間だった

 

「・・・何かしら・・季衣、流琉・・。私、今からこの男にやることがあるのだけど・・・」

 

さりげなく、恐ろしいことを言う華琳・・・

 

「それが大変なんですよ~」

 

季衣の後に流琉が続ける

 

「兄様の帰還祝いにって・・・町の人たちがお祝いの品を持って、城門に詰め掛けてるんです・・・」

 

「えっ!?ホントに?」

 

一番早く驚いたのは、祝ってもらう張本人である一刀・・・

 

「・・・そう、それで・・・それだけではないのでしょ?」

 

華琳の言葉に季衣と流琉の2人は同時に頷く・・・

 

「・・・それが・・・兄ちゃんの顔をはっきり見るまでは帰りたくないって人がいっぱい出てきて・・・」

 

「・・・はぁ~」

 

華琳はため息を吐いた

 

「・・・あは・・はは・・はははは」

 

一刀も渇いた笑いしか出てこない・・・

 

季衣と流琉も困惑した表情で指示を待つ

 

「・・・どう・・・しましょう?・・・」

 

流琉の問いかけに答えたのは・・・

 

「俺に会いに来てくれたんだろ?じゃあ、俺が行くよ」

 

一刀だった・・・

 

 

 

「えっ、でも、兄ty・・「季衣」・・華琳様・・」

 

季衣の言葉を最後まで聞かないうちに華琳が微笑みながら口を挟む

 

「いいのよ・・・季衣・・・一刀がこういう男だってことは・・・あなたたちも分かってるでしょ?」

 

2人は顔を見合わせて

 

「「はい!!」」

 

と、華琳の言葉に元気良く頷いた・・・

 

 

 

 

 

「そういうことだから、華琳・・・おしおきはまた後でな」

 

「・・・早く行って来なさい」

 

「あぁ」

 

と、一刀は城門に向かおうとした・・・

 

 

 

が・・・

 

 

 

体を反転させ・・・

 

 

 

「なっ!?・・・んっ・・・」

 

「・・・んっ・・・」

 

華琳の唇を奪った

 

時間にして、5秒にも満たない時間・・・

 

 

それでも2人は・・・

 

 

伝え合う・・・

 

 

 

 

------互いのぬくもりを・・・

 

 

 

------互いの想いを・・・

 

 

 

「んっ・・・はぁ」

 

口を離し、そろって息を吐く・・・

 

 

まず口を開いたのは・・・一刀・・・

 

 

「・・・どうだった・・・華琳?」

 

顔を真っ赤にさせ、華琳も答える

 

「・・・・・・ばか」

 

先程までの怒りが嘘のような弱弱しい声・・・

 

そんな華琳の様子に少し苦笑してしまったが、すぐに顔を引き締め、華琳を見つめる

 

「・・・・・・華琳」

 

「・・・何よ・・・」

 

------本当は一番最初に伝えようと思っていたこと・・・

 

「・・・俺に・・・誓わせてくれないか?・・・」

 

「・・・・・・何をよ・・・」

 

------一度、約束を破ってしまったから・・・

 

「・・・これから先・・・何があろうと・・・」

 

------不安に襲われている寂しがりやのこの娘を・・・

 

「・・・俺は・・・華琳と・・・華琳たちと共に歩んでいくことを・・・」

 

------もう・・・大丈夫だよ、って安心させてあげたいから・・・

 

「・・・絶対に!・・・」

 

 

------誓いを立てよう・・・

 

「あきらめない!!」

 

 

 

 

「・・・そう」

 

華琳は短く言って・・・抱きつく・・・

 

いつのまにか周りには将たちが集まっていたが、もうそんなことなど気にならない程、良い気分だった・・・

 

だから・・・

 

一刀に答えを返す・・・

 

魏王“曹孟徳”としてではなく・・・ただの女”華琳”として・・・

 

 

 

------「あなたの誓い・・・忘れないから・・・」------

 

 

 

 

と・・・・・・

~華琳~

 

「・・・・・・」

 

一刀と季衣と流琉を見送り、空を見上げる

 

(ふふ、やっぱり今日の満月は今までとは違うわね・・・)

 

一刀の言葉を思い出し、柄にもなく顔がにやけてしまう・・・

 

「華琳~、何よそれ~余裕の笑みってヤツ?」

 

雪蓮が頬を膨らませて抗議してくる

 

「いいえ、そんなつもりはないわよ・・・ふふ」

 

「むぅ~」

 

今なら何を言われても許せそうな気がする・・・・・・それ程気分がいい・・・・・・

 

 

再び空を見上げ、耳をすませる・・・・・・

 

雪蓮が何か文句を言っているのが聞こえる・・・・・・

 

桃香が羨ましいと言っているのが聞こえる・・・・・・

 

愛する魏の将たちが楽しそうに笑う声が聞こえる・・・・・・

 

城の中の兵が騒いでいる声が聞こえる・・・・・・

 

 

そして・・・

 

 

城門からあがる歓喜の声が・・・聞こえる・・・

 

 

「・・・ふぅ~」

 

 

ゆっくりと息を吐き・・・

 

 

思う・・・

 

 

 

 

 

今日という日に・・・・・・

 

 

 

 

どれ程涙を流しただろう・・・・・・

 

 

 

 

今日という日まで・・・・・・

 

 

 

 

どれ程の人の涙を見ただろう・・・・・・

 

 

 

 

 

 

今日という日に・・・・・・

 

 

 

 

どれ程笑っただろう・・・・・・

 

 

 

 

今日という日に・・・・・・

 

 

 

 

どれ程の笑顔を見ただろう・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天よ・・・・・・

 

 

 

 

 

この曹孟徳・・・・・・

 

 

 

 

 

今日という日を与えてくれたことへ・・・・・・

 

 

 

 

 

限りない感謝を・・・・・・

 


 
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