No.147294

D.C.Ⅱss「芳乃家の朝」

ネオさん

D.C.Ⅱのアイシアルートの後日談としてF.L.発売以前に書いてあまりの出来の悪さに封印していた作品です。

F.L.発売前に書いたので、かなり内容はF.L.と食い違っていますし、前のに増してひどい出来ですが、それでもいいよという方はご覧ください

2010-06-02 21:25:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1722   閲覧ユーザー数:1650

“ピリリリリ、ピリリリリ”

 

 目覚ましの音が響く。

 

「わぁ、よく寝た」

 

 ボクは目覚ましを止めると欠伸をひとつして起き上がり義之くんの部屋に向かった。

コンコンと部屋のドアを叩くが返事がない。

 

「義之くん、まだ寝てるの?」

 

 ドアを開けると今はもう見慣れた光景が目に入った。

 

「はぁー、またアイシアは義之くんと同じベッドで寝てるよ」

 

(ボクだって義之くんと一緒に寝たいのに)

 

 と言いつつアイシアをまず起こしにかかる。

これはアイシアが芳乃家で暮らし始めて少し経ってから始まり最早日課のようになってしまったことだ。

 

「アイシア、ほら起きて。朝だよ」

「ふわぁー、もう朝?はやいなぁ。あ、さくら、おはよう」

 

 アイシアは起きるとのんきに挨拶してきた。

 

「おはようじゃないよ、まったく。何度も自分の部屋で寝なって言ってるよね。だいたい、このベッドは義之くんがひとりで寝てたってほとんどスペースがないのにどうして無理やり入ってるの?」

「いいじゃない、別に。あたしたち恋人同士なんだし。変なことをしてるわけでもないしぃ」

「良くないよ。ボクが言いたいのはこんな狭いベッドに寝たら迷惑でしょってこと」

「全然平気だよ、義之くんは迷惑だなんて言ってないもの」

 

 これが日常。

 

「義之くんは優しいから困ってても言わないだけだよ。ほんとはボクが一緒に寝たいのに……」

 

 最後のほうはアイシアに聞こえないように言ったのにしっかり聞いていたようで

 

「何よ、ほんとはさくらが義之くんと寝たいだけじゃない。それに義之くんはあたしのなんだから、いくらさくらとはいえゆずらないよ」

 

 こんな決まったやりとりをしていると、

 

「うーん」

 

 どうやら義之くんが起きたようだ。

 

「「義之くん、おはよう」」

 

 ボクとアイシアの声がかぶった。

すると義之くんは軽く笑いながら、

 

「ふたりともおはよう。さくらさんとアイシアはやっぱり仲が良いですね」

 

 なんて言ってきた。

 

「義之くん、起きたら朝ごはん作るの手伝って。今日はボクと義之くんの当番なんだから」

「そうでしたね。すみません、すぐに行きますから先に行っててください」

 

 ボクはわかったと言って台所に向かうふりをしてドアの外からのぞいていると義之くんとアイシアがキスしていた。

まったくこのふたりは。

でも、アイシアがいなければ今頃義之くんはこの世界から消えてしまっていたかもしれない。

ボクは枯れない桜を頑張って制御してきたが暴走を止められず、義之くんが桜を枯らした後彼を救う方法をずっと探していたが見つけられなかったのだ。

桜が枯れてからは義之くんと親しかった人は個人差はあれど次々に彼のことを忘れていった。

しかし、アイシアだけは忘れなかった。アイシアは義之くんを救ってくれた。

アイシアはボクに出来なかったことをやってくれたのだ。

そう思うと悔しくなるがそれ以上に感謝の気持ちでいっぱいだった。

だからこのようなことは別に良いかなと思いつつ台所に向かうのだった。

 

 

 

 台所で料理を作っていると義之くんがやって来た。

 

「すみません、おまたせしました」

「大丈夫だよ。義之くんはお味噌汁の鍋をみてくれるかな?」

 

 なんてやりとりをしながら続きを作っていく。

ちなみに今日は焼き魚とベーコンエッグとみそ汁だ。

これくらいは別にひとりで作れるのだが、芳乃家ではアイシアがきてしばらくは一人一人交代でごはんを作っていたのだが、ある日アイシアが

 

「あたしは義之くんと一緒に作る。恋人同士の愛の共同作業」

 

 なんて言いだしたのでボクも義之くんと一緒に作ることにし、ボクとアイシアが順番で義之くんと作ることになったのだ。

ボクは義之くんの後ろに回り込み抱きしめた。義之くんは最初は驚いていたが、すぐに大人しくしてくれた。

こうしていると義之くんの温かさが伝わってきて義之君がちゃんとこの世界に存在しているのがわかる。

 

 

 

 あの後、アイシアが台所に来て抱きついているのがばれてしまいむりやり離され今はごはんを食べながらさっきのことを聞かれていた。

 

「さくらは何であんなことしてたの?」

「別に親が子を抱きしめるのはおかしいことじゃないでしょ」

「そうかもしれないけど、でも彼女であるあたしの許可なしに」

「何でアイシアの許可が必要なのさ。それに不安だったんだ。この世界が夢なんじゃないかって、義之くんが消えてしまうんじゃないかって」

「さくら……」

「さくらさん、平気ですよ。俺はここにいます。夢でも幻でもありませんよ」

 

義之くんはそう言いながら抱きしめてくれた。ボクは義之くんの腕の中で、今ここにある義之くんとアイシアとボクの三人で暮らしていく幸せをかみしめていた。

 

   end

 

 

 

お読みくださりありがとうございます。

さくらさん視点に挑戦してみて、見事に玉砕しましたorz

下手なのに慣れないことをするんじゃないということを痛感しました。


 
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