No.146298

恋姫異聞録66 定軍山編 -漢中-

絶影さん

定軍山編はまだまだ続きます

ここまででようやく一区切りです

後書き書きましたのでよろしかったら

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2010-05-29 16:11:01 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:13885   閲覧ユーザー数:10625

 

「劉備達は動いていないそうだ、馬超の単独に馬岱と黄忠が付いてきたというところだろう」

 

「やはりそうか、いくら南蛮を一度で平らげたと言っても益州は広い、そう簡単には平定できない」

 

無事とはいえないが、定軍山から戻った俺たちは直ぐに軍議を開き、再度劉備の動きと孫策の動きを

整理していた。やはり両者とも着実に力を付けて大きくなっているようだ、孫策は呉を手にし長沙と南の南海に

軍を侵攻させている。劉備は益州の平定と交趾方面に、つまり南に勢力を伸ばしているまでは解っていた

 

「今回のことで劉備が新城を手にいれ、漢中にも手を伸ばそうとしていることもわかった」

 

「ああ、それで俺たちはどうするんだ?」

 

相変わらず俺は自宅の寝台で寝かされていて隣に秋蘭が座り、涼風は俺の腕枕で寝息を立てていた

定軍山から戻って包帯に巻かれる俺を見て涼風は大泣きをして、それからずっと俺の側を離れない

娘にまで心配をさせてしまった、今回は本当に反省しなければ

 

「新城を潰し、武都を取る」

 

「魏興はすでに手に入っている、武都は俺達と蜀で半々になっているよな」

 

「そうだ、新城は韓遂か黄忠が居るだろう、定軍山から最も近い。一度我等に牙を剥いた以上は

攻め込まれることを考慮し、そこで兵を固めるだろう」

 

漢中を取られては荊州制覇の足がかりが無くなる。それに良いようにやられて何もしなければ俺達の力を侮られる

とにかく情報を集めてからだろう、今後武都を手に入れ、荊州に手を伸ばすなら劉備と孫策、二国を

相手にすることになるか

 

「軍師達の意見は・・・というか稟の意見だが、武都を治め、荊州を攻めて劉備と孫策が手を結ぶのを待つ」

 

「二国一気にではなく、手を組んで一つになったところをか・・・・・・」

 

そうなれば流れは赤壁だろう、それならば俺達が勝ち進むことが出来る。だがその前に一つだけ試せることがあるな

タイミングの問題だが、今の状況でそれをやっても無理だろう、『侮られている』かもしれない

 

「劉備達が漢中を手に入れようとしているなら」

 

「そうだ・・・借りを返すとしよう」

 

          『定軍山で』

 

俺たち二人の声が重なり、御互いに笑顔になる。向こうも俺達が攻めこむのを黙ってはいないだろうし

漢中攻めの重要な場所は定軍山だ、俺の知る孔明も魏を見張る為ここに墓を作ったくらいだ

 

「そういえば先日、風からこれを預かったぞ」

 

そういって秋蘭は俺に木札を手渡す。書いてある文字は

 

『雲を導くは風

 

     風は海風、流るる雲は海を包む』

 

「なるほどな、さすがは風だ。後から城に行くだろう秋蘭?」

 

「ああ、傷も塞がった。私としては一日中ここでのんびりしていたいのだが」

 

微笑む秋蘭に俺も笑顔を返す。本当にそんな日が来れば良いのにと、御互いに思いながら

俺は筆を取り出し木札の裏に文字を認める

 

『雲は馬と草原の色を望む』

 

俺の書いた文字を見て秋蘭は首を少しかしげた

 

「何だそれは、風からの言葉もよく解らない」

 

「暗号みたいなもんだ、そのうち解る」

 

そういうと秋蘭は木札を裏、表と見比べて少しすねた顔になる。そして寝ている俺の首に腕を回すと

ゆっくりと締め付けてくる

 

「うぐぐぐぐ・・・な、なんだ?」

 

「・・・なんとなくだ」

 

腕を解いて見つめてくるその眼は、信じているが一寸嫌だ。そんな眼をしていたので俺は

仕方が無い、と小さく耳打ちで二つあるうちの一つだけ答えを話した

 

「なっ!」

 

「しーっ、涼風が起きる」

 

「・・・・・・ふぅっ、なんてことを考えるのだ。華琳様には?」

 

「時期が来たら話す」

 

驚き声を上げそうになる秋蘭の口を指で優しく押さえ秋蘭に笑いかけると、呆れたように溜息を吐き

不満そうに俺の頬に額をグリグリと押し付けてくる

 

「また心配をかけるつもりか?」

 

「大丈夫、心配は無い」

 

「まったく、どんなことだろうと心配するに決まっているだろう」

 

「そうだな、悪かった」

 

謝る俺を見てまた溜息を吐き、本当にわかっているのか?と眼から伝わってくる。俺は微笑みで返して

頬を撫でれば、秋蘭は仕方のないヤツだと眼で訴えて寝台から降りる

 

「秋蘭」

 

「何だ?」

 

「今日は寒いから何か上着を着ていったほうが良い」

 

「・・・ならこれを借りていく」

 

秋蘭は俺を見ながら何時も着ている蒼い外套を羽織り、悪戯っぽく微笑む

男装の令嬢と言う言葉がピッタリと当てはまる姿に、しばし呆然としてしまっていたら秋蘭は

満足そうな顔をして、軽く手を振り戸に手をかけた

 

「良い忘れていたが、昼食は流琉に頼んだ。もう直ぐ来るだろうから一馬を呼んでおく」

 

「ありがとう、行ってらっしゃい」

 

「ああ、行ってきます」

 

部屋から出て行く姿を見送った

あの姿で城に行くのか、きっと皆驚くだろうなぁ・・・俺の外套なのに俺より似合ってる。そのうち同じような外套

を作ってもらうのも良い

 

そんなことを考えながら隣に眠る娘の頭を撫でた

さて、考えなければならない事がある、俺の舞についてだ。俺は前線に出る事は無いと言っても必ず

前に出なければならないときが来る。皆を、秋蘭を守る為、戦神を使わなければならない時に大量の剣も無く

準備も出来ず、俺がやられてしまえばその時点で負ける。不臣の礼を取った以上、俺の死は大きすぎる

それだけの責任が出来たと言うことだ

 

この間のような失態はもうしない、秋蘭を守り通せるならば俺は怒りに飲み込まれはしない

やはり俺は秋蘭が居ないと駄目なのだな、人は一人では生きて行けないと強く感じる

だから全てを守れなくとも秋蘭だけは絶対に守り抜いてみせる

 

 

 

 

「さて、どうするか」

 

「ぅにゃ・・・あふっ・・・・・・おとうさん、おはゅぅ」

 

「おはよ、お着替えしようか」

 

「・・・ぅん」

 

・・・チクショウ、流石は俺の娘。この可愛さは反則だ世界一だろう、もしそう見えないやつが居たらきっとそいつの眼は

腐っている。そしてこんなに可愛い娘を泣かすヤツはぶち殺す生かしては置けん、絶対に嫁にはやらん!!

 

そんなことを考えつつ箪笥から取り出した長衣を着させる。小さい手を上に上げて袖を通してあげて

ああ、なんて可愛らしいのだろう。こんなに愛らしいのだ、泣かすヤツなど居るわけが

 

・・・・・・あれ?まてよ、俺は泣かせたなよな・・・俺は・・・俺は・・・あああああああああっ!!!

 

「こんにちは兄様、秋蘭様からのお願いで食事を作りに着ましたよ」

 

「流琉っ!頼む俺を殴ってくれ、いやそれだけでは足らない!流琉の武器で俺をっ」

 

「えっ!な、なんですかいきなりっ!!」

 

「何をトチ狂ってるのよ馬鹿」

 

ゴチンッ

 

流琉に詰め寄る俺の頭に強烈な鉄拳を打ち下ろしたのは華琳だった。あまりの痛さに頭を抑えてうずくまってしまう

手甲でもつけてるのか?痛すぎる、相変わらず容赦が無いぞ。というか俺は怪我人なのに・・・うぅ

 

「殴ってくれと言っていたから私が殴っただけよ。何か文句あるの?」

 

「無いけど、俺は怪我人だぞ」

 

「自業自得でしょう、それとも私にも怒られたいの?たっぷり可愛がってあげるわよ」

 

「・・・・・・ゴメンナサイ」

 

相変わらずこういうときは嬉しそうに笑いやがる、そして怖い笑顔だ。よくこんな笑顔を向けられて

春蘭や桂花は頬を染められるものだ・・・やられることが根本的に違うからだろうけどな

 

「食事にするんでしょう?一馬が待っているわよ」

 

「ああ、涼風は御飯たべるか?」

 

「ん~ん、おきたばかりだからおなかすいてない」

 

「それなら私と遊びましょうか?」

 

「ほんとうですか?やったぁ~!」

 

涼風は華琳に飛びつくと嬉しそうに笑顔になり、抱き上げられて首に小さな手を回し抱きしめている

そんな涼風を抱きしめながら華琳は柔らかく笑っていた

 

「・・・うぐぅ」

 

「フフフッ、将来が楽しみね」

 

「喧嘩を売っているだろう華琳」

 

涼風を抱きしめながら、俺には色々な意味を込めた笑顔と目線を送ってくる。はっきり言って悪人面だ

完全に俺に喧嘩を売っている。上等だ、娘の為なら友人とも一戦交える覚悟くらい俺にあることを証明して

 

「兄様、早く行きましょう。私は華琳様の御話をお聞きしたいので」

 

「うわっ、待て流琉っ!ここで引き下がれば俺の娘は毒牙にかかって」

 

「ウフフフフフッ」

 

引きずられる俺を見ながら最後まで華琳は俺に意味ありげな笑みを送っていた。あの眼は完全に俺を

からかって遊んでいた眼だが、絶対に涼風が成長したらあいつの毒牙にかかるっ!

そんな心配を言おうとしてもがいたが、結局は流琉の有無を言わせぬ力で食卓へと運ばれ座らされた

後で覚えていろよ華琳、娘は俺が守ってみせる!

 

「兄者、体の具合はどうですか?」

 

「・・・うぅ」

 

「兄者?」

 

流琉に担がれ、椅子に座らされうな垂れた俺を見て不思議そうに首をかしげる一馬の腕は

包帯でぐるぐる巻きになっている。傷の具合は良好のようで、華佗の話しだとあと数日で抜糸らしい

 

「大丈夫だ、涼風の未来に付いて少し悩んでいたところだ。腕の具合は良いようだな」

 

「ええ、兄者もその様子なら問題は無さそうですね」

 

「ああ、内臓の方は華佗の鍼と気で無理矢理塞いでくれた。後は骨がくっ付くのと傷が塞がるのを待つだけだ」

 

骨のほうも華佗が針と糸でしっかりと縫合してくれたから、多少の動きでも内臓を傷つける事はない

内臓も気を使って塞いでくれたお陰で飯も食える。華佗からしたら気で無理矢理新陳代謝を早めて

細胞を結合させるのはあまり良くないらしい、気脈に負担がかかりすぎるとか言っていたな

と言うわけで、俺の最優先の仕事は飯を大量に食し、気脈を安定させ傷を速く塞ぎ骨をくっ付けることだ

 

「何が食べたいですか?兄様、一馬君」

 

    「「肉(をお願いします)!!」」

 

流琉の問いに俺と一馬の声が重なる

 

「あの・・・お肉を使った料理は沢山ありますけど、何が良いのか」

 

「何でも良いぞ、流琉の飯は美味いからな」

 

「何でも構いません、流琉さんの料理は何でも美味しいですから」

 

同じような答えに流琉は呆れて笑ってしまう。どうも最近俺と一馬は似てきているようだ

一馬もそう思っているようで、俺のほうを見ると微笑んでいた。血の繋がった兄弟のように

まるで春蘭と秋蘭のようになってきているようだ

 

「解りました。ちょうど季衣が沢山お肉を持ってきてくれたので、適当に作りますね」

 

「おお、季衣も来てるのか?」

 

「来てるよー!にいちゃん傷は大丈夫?」

 

俺の声に反応するように台所からひょっこり顔を出す。どうやら食材を台所に運んでくれたようだ

心配そうな顔をして俺の隣に座ると、腹に巻かれた包帯を見て顔を曇らせる。そんな季衣の頭を

優しく撫でて安心をさせてやった。本当に皆に心配ばかりかけているな俺は

 

「季衣も一緒に食おう、皆で食ったほうがより美味くなる」

 

「うん!にいちゃんは沢山食べて早く良くならないと!」

 

「おう、今日は食うぞ!季衣に負けないくらいにな!!」

 

「よーし!ボクだって負けないよ!!」

 

そんな話をしているうちに次々と食卓には料理が並べられていく、油淋鶏に回鍋肉片、豚肉の甘酢あんかけ

油條入り粥、素什景、流石は流琉だ俺達が少し会話しているうちにこれだけの料理を作ってしまうのだから

 

「流石に作るのが速いな」

 

「ここに来る前に少し作ってきたんだよ。直ぐに食べられるようにって」

 

「そうか、それじゃ頂くとしよう」

 

「「「いただきます」」」

 

一口食べただけであまりの美味さに思わず顔がほころんでしまう。やはり流琉は戦などよりも

こういったことで皆に笑顔を与えて欲しいと何時も思ってしまう、これほど美味いものを作れるのだ

それだけで皆を幸せに出来る。素晴らしい才能だと俺は思う

 

ガツガツと三人は凄い勢いで目の前にある料理を平らげていく、その光景を台所から見た流琉は

驚いていた。無理も無いだろう、怪我をした時の俺は普通より食べるのだ、季衣ほどとまでは行かないが

一馬もこんなところまで似てきたようで、李通が驚いたと前に話していた

 

「美味いな・・・」

 

俺は美味さでつい呟いてしまう、流琉は給仕している時に聞こえたのだろう。顔を赤くして

更に料理を作る早さが上がっていった

 

「もぐむぐ、流琉の顔、真っ赤だったねー・・・もごもご」

 

「こら、口に物を入れながら喋るのは行儀が悪いぞ」

 

「はーい」

 

舌を出して軽く笑いまた料理を次々に平らげていく、俺も出される料理を次々に食べていった。

秋蘭の作る飯も美味いが流琉の飯も素晴らしい、華琳が気に入るわけだ。

 

 

 

 

 

 

「もっと食べられますか?」

 

「おう、まだ入るぞ。美味いからな」

 

「ありがとうございます。ですが食材が無くなったのでもう少し待っていただけますか?」

 

呆れた笑いを俺に向けると流琉は卓の空になった皿を片付けはじめる。どうやら持ってきた量では足らなかったようだ

俺と一馬の食べる量が予想をはるかに超えていたのだろう。しかし片付ける流琉はとても嬉しそうで、ニコニコと

笑いながら台所と食卓を行き来していた

 

「そうか、それじゃ買ってこないと」

 

「ええ、私と季衣で買出しに行ってきます」

 

「私も手伝いますよ。片腕なら使えますから」

 

「大丈夫ですよ、季衣も連れて行きますから・・・・・・」

 

片付ける流琉の手がふと止まり、卓を見つめていた。どうしたのだろう、急に動きが止まって

何か落ちていたのか?

 

「どうした?」

 

「いえ、兄様はあんなに食べるのが速いのに季衣と違って卓が綺麗だったので」

 

そういわれて見てみれば、季衣の座る卓は食べこぼしが落ちていて凄いことになっていた。食べ終わった

皿も無造作に重ねられて倒れそうに、これは少し教えたほうが良さそうだ

 

「俺は涼風がいるからな。子供は親の良いところも、悪い所も真似するだろう?それに俺は一応曹家の出だ

行儀はそれなりに躾けられたからな」

 

「やっぱり兄様はお父さんですね。季衣にも教えてあげてください」

 

季衣に顔を向ければ「えー」と面倒くさそうな顔をして頬を膨らませていた。だがこれから先大人になって

から直すのも大変だろうし、今後親衛隊として働いていくならば華琳に恥をかかせることになるかもしれない

少し教えてやら無いと駄目だな

 

「なに季衣を見ながら真面目な顔をしてるの?気持ち悪いわよ」

 

「詠・・・・・・今日の一言目がそれかよ」

 

「秋蘭に聞いたわよ感謝しなさい、食材を買ってきてあげたんだから」

 

「いやはや、お兄さんがこれほど大量に食事を取られるとは、またまた新たな発見と言った所でしょうか」

 

「本当ですね。季衣さんなら解るんですけど、昭さんと一馬さんまで」

 

詠を先頭に月と風、扁風がそれぞれの手に食材を持って入ってくる。どうやら詠はここに来る途中秋蘭に会ったようだ

外套を着る秋蘭にとても驚いたようで、月にいたっては顔を赤くしていたらしい。

 

「風、秋蘭から札はもらったか?」

 

「ええ、風は雲の望むがままに吹き流れましょう。ですがそれは杞憂に終わることが望ましいのです」

 

「前に話したとおり俺もだよ、鉄を知るものが出たら教えてくれ」

 

ボソボソと風と話していると三人は持ってきた食材を台所に運び、何故か月と詠は腕まくりを始めた

 

「ここからは僕と月が調理と給仕をするわ、ありがたく思いなさい昭」

 

「え、良いんですか?」

 

「来る途中に風から聞いたわよ。後でその話し僕たちにも教えてね」

 

「何だ?その話ってのは」

 

流琉と詠達が交換するのは構わないが話ってのがなんだか気になる。もう一度詠に聞くと「何でも良いじゃない」

と流された。どうやら解らないのは俺と一馬だけのようで、俺たちだけ知らないと言うのも気持ち悪い

 

「詠、それって、ぐはっ!!!」

 

話しを聞こうと口を開いた瞬間、扁風が俺の脇腹に抱きついてきた。何時もなら脚の位置だが座っている為

抱きつかれた場所は怪我をした脇腹・・・はっきり言って痛いってもんじゃない

 

扁風はやってしまったという顔をして、すぐさま背中の木管を取り出しサラサラと書いて行く

 

 

大変申し訳ございません、昭様が元気に食事を取ってらしたのを見て嬉しくなってしまいました

 

 

そう書かれた木管を両手で広げて何度も頭を下げる姿に俺は歯を食いしばり、笑顔を作る

そして優しく頭を撫でてあげた

 

「心配してくれてありがとう、大分良くなったよ。定軍山ではありがとう、地図を描いてくれたんだろう?

とても助かった。お陰で妻を救うことが出来た」

 

俺の言葉を聞いて安心したのか、強張る顔が柔らかい何時もの微笑みに戻り、少し瞳を潤ませていた

本当にフェイには感謝している。この子の力が無ければ春蘭を間に合わせることも、軍をあれほど

速く呼び寄せることも出来なかったはずだ

 

「我慢してるのが見え見えよ、痛いなら痛いって言いなさいよ馬鹿ね」

 

「詠ちゃん、だめだよそんなこと言っちゃ」

 

「良いのよ月、コイツは我慢ばかりしてるんだから。流琉、華琳が待ってるんでしょ?」

 

「はい、後はお願いします。行きましょう」

 

フェイは俺に頭を下げると風に手を引かれ華琳と涼風が遊んでいる客間へと向かった

結局何の話をするのか聞けなかったな・・・もしかして誤魔化されたのか?フェイは相変わらず読めない

風も同じだ、普段から眼を鍛える為に感情を読み取ろうとしているせいか、あの二人が揃うと少し

混乱する。これで涼風が加わったら俺は普通の人以下に成り下がるな

 

「さて、何の料理が良い?」

 

俺の思考を遮るように詠は腕を腰に当てて俺たち三人に聞いてきた。

俺は季衣、一馬と顔を見合わせ声を合わせて答えた。もちろん食べたいものなど決まっている

 

 

          

             『肉っ!!』

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、絶影です。

 

何時も読んでくださってる皆様ありがとうございます><

 

今回後書きを書きましたのは、ようやくこの異聞録も一区切り付いたところまで来ましたので

主人公について少し書こうかと思い、後書きなんぞを書いた次第であります

 

ここまでで自分自身がこの世界に来た理由の一つ、交通事故

秋蘭を救い腕が消えるなどが出てきました

 

彼の自身、自分が何者か解っておらずただ生きる意味をくれた人たちと愛する者の為に生きてきた

 

彼は半球、未完成な主人公でした。なのでイメージ曲もヘミソフィアをイメージとして書いています

 

ここからは意味や理由を少しではありますが理解し、完全な球体、つまりは玉として完成させるつもりで彼を書いていきます

 

ですのでイメージ曲を三つ混ぜて彼を作り上げようと思いますのでもしかしたら

皆様の望む姿にならないかも知れませんが、私の思い描く主人公を、叢雲を

今後とも楽しんでいただければと思っております

 

イメージ曲としましては

 

奇跡の海、坂本真綾様

 

命の別名、中島みゆき様

 

Dragon、Zwei様

 

とこの三曲をインスパイアして書き上げようと思いますので今後の変化にご期待ください

変化と言っても成長と言いますか、読んで感じて下さればと思っております

 

舞に関してもイメージ曲を随時入れて行きますので、よろしかったらそれと合わせて

お楽しみください

 

 

それでは今後とも異聞録と叢雲こと昭をよろしくお願いいたします


 
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