真・恋姫無双 二次創作小説 明命√
『 舞い踊る季節の中で 』 -寿春城編-
第45話 ~ 暗くなる灯火は、祭りの舞に、再び明るさを取り戻さん ~
(はじめに)
キャラ崩壊や、セリフ間違いや、設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助
かります。
この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。
北郷一刀:
姓 :北郷 名 :一刀 字 :なし 真名:なし(敢えて言うなら"一刀")
武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇
:鋼線(特殊繊維製)と対刃手袋
得意:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(本人は無自覚)
気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)
神の手のマッサージ(若い女性には危険です)
最近の悩み:某日、某天幕、深夜にて、
洛陽を発ち、あの街に帰るための道中、それなりの戦果を挙げた事で、周りの空気は、
それなりに明るかった。 そんな中一人落ち込む俺を、皆はそれなりに気を使ってくれ
た。 それは嬉と思うし、感謝も出来る。 特に、明命には感謝しても感謝しきれない。
俺を心配して、手を握ってくれている。 その手の感触に、伝わってくる暖かさに、俺
は、どれだけ救われた事だろうか、 そして、俺が魘されない為に、嫁入り前の若い娘
が、こうして、簡易的な衝立越しに、俺と添い寝をしてくれる。 その無償の優しさは、
とても嬉しく思う。 だけど、この寝相は何とかしてくれ、色々危険すぎる。
ぐぉぉぉぉぉ、なんで、いつの間にか抱きついてきているのっ! 衝立の意味が無いよ
っ! 駄目、そんなに胸を腕に押し付けちゃ! 『ぴとっ』 ちょっ、駄目、嫁入り前
の娘が、そんな所に手をやっちゃいけません。 其処は色々危険です。 時に俺の青少
年の部分が暴走してしまいます。 『ふにっ』 だぁぁぁぁぁっ、握っちゃ駄目、そん
な小さくて、すべすべで、柔らかい手で握ったら、本当に・『ニギッ!』
「・・・・・・・・ッ!」
あまりの激痛に、真っ白になった、視界と思考が、やがてゆっくりと戻って来る。
良かった、潰れていない・よな・・・・・・・ガクッ
(今後順序公開)
明命視点:
「なぁ~~~」
そんな、甘えたような声が、城壁の上に座る、私の横から聞こえます。
何時かのお猫様が、円らな瞳を、私の顔に向けてくれます。
「・・・・・・はぁ~・・・・・・・・」
何時もなら、嬉しい出来事のはずなのですが、
出るのは溜息だけです。
お猫様は、一向に反応の無い私を、見詰めていましたが、
今度は、その体を私に摺り寄せてきます。
お日様の光をたっぷり浴びた、お猫様の もふもふ の毛と体が、心地良いです。
「慰めてくださるのですか?・・・・・・・・優しいのですね」
「なぁ~~~」
私の言葉に、頷くように、お鳴きになられます。
でも・・・・・・、
「真に申し訳ありませんが、今日はお猫様に、お渡しできるものは何もありません」
「・・・・・・・・んなぁ~・・・・・・」
私の言葉が分かったのでしょうか、お猫様は悲しそうに一鳴きされると、私の元から立ち去っていかれます。
それを見守っていると、別のお猫様が、最初のお猫様を迎えに来た様に、寄り添って歩いていかれます。
・・・・・・恋人なのかもしれません。
「・・・・・・はぁ~・・・・・・・・」
そんな中睦まじいお猫様達から目を戻し、赤く染まりかけた街を見下ろします。
別に見張りをしている訳ではありません。
ただ、眺めているだけです。
「どうしたのじゃ明命、このような所で、一人で黄昏ておってからにぃ」
「祭様ですか、・・・・・・別に黄昏ている訳ではありません」
背中から掛かった声に、私は顔も挙げずに答えてしまいます。
祭様が近づいてきている事は、分かっていました。
だから別段驚く事は、なにもありません。
ただ、今はなんとなく、このまま居たかっただけです。
でも祭様は、そんな私の事等お構い無しに、横に座るないなや酒壺と杯を取り出し、酒盛りを始められます。
「こうして、夕日に染まる街を眺めながら、一献やるのも、中々風情があって良いのぉ」
そう言って、再び杯を傾けられます。
そんな声ともに、優しいお酒の匂いが、辺りに漂っていきます。
「どうじゃ、おぬしも飲まぬか? おぬし達の凱旋祝いに、酒家の親父が道すがら馳走してくれてのぉ」
そう言って、私の返事など待たずに、懐からもう一つ杯を取り出し、酒を注いでいきます。
祭様は、道すがらに貰ったと言っていますが、間違いなく、態と酒家の前を通って来たのだと思います。
ですが、祭様にそう言われ、注がれたのであれば、断る訳には行かず。
私は黙ってその杯を傾けます。
「余り美味そうには、見えぬな」
「・・・・・い・いえ、美味しいお酒だと思います」
私の様子に祭様が、街を見下ろしたまま呟きます。
実際、反射的に答えた様に、良いお酒だと言うのは分かります。
酒家の方も、頑張ったのだと言う事も・・・・・・・、
でも、今の私には、何の味もしない水とさして変わりません。
酒飲みであられる祭様には、そんな事等全てお見抜きなのだと思います。
「酒は正直だぞぉ、嬉しい時は美味く、悲しい時には苦く、
そして、遣る瀬無い時等は味など感じないもの、・・・・・・さて、おぬしは、どれかのぉ」
「・・・・・・・・・・」
酒飲みは、酒の飲み方で、語ると言いますが、祭様はその域に居られるのでしょう。
だから、
「家に居辛い訳でもあるのか?」
「・・・・・・・・・・」
そんな祭様の言葉に、私は黙って首を横に振ります。
あの家は、居心地が良いです。
時折厳しいですが、優しい翡翠様が居られ、食事も美味しいです。
そして、何より、一刀さんが居ます。
でも、今だけは、帰りたくありません。
「・・・・・・ぁ・・・・・・あ゛・・・・・・・・っ・・・・」
玄関の所まで、僅かに聞こえてくる一刀さんの泣き声、
私は、その事を確認すると、踵を返し、そっと家を後にします。
一刀さんは、私にこれを知られたくない、と思っているはずです。
それに、これは翡翠様の役目です。
今、此処に、私が居ては邪魔になってしまいます。
最初に感じたのは、安堵感です。
洛陽からの帰りの行軍中、一刀さんはずっと耐えてられていました。
今回の戦では、前回と違い、自らの意志で戦に出ました。
一刀さんの策は、孫呉にとって、予想以上の大戦果を挙げる事が出来た、と言っても良いでしょう。
でも、それは、より多くの人を死に追いやったと言う事。
一刀さんは、その事実に、覚悟をしていた事とは言え、深く傷つきました。
傍で見ているのが辛い程、一刀さんは、心の痛みに、苦痛に耐えていました。
誰もが背負う事などしない罪すらも、自ら進んで、罪をその背に背負いました。
『なんでも無いよ』
そう言って、私に少しでも心配をかけまいと、無理に笑顔を浮かべていました。
夜も、私と居る時は魘される事もありません。
熟睡出来ているかと言えば、否と答えざる得ませんが、それでも、体が休まる事に違いはありません。
何時かの晩、私が用足しから戻った時、一刀さんは悪夢に、そして自らの罪に、魘されていました。
私が手を握ると、やがて魘されるのも収まり、浅いながらも、安らかに眠りにつき始めました。
私では、一刀さんを苦しみから救えない。
・・・・・・そんなどうしようもない無力さを、感じてしまいします。
それでも、その出来事は、一刀さんが私を必要としてくれている事実を、強く感じさせてくれました。
そして、不謹慎にも、強がりを言いながらも、私の手で安眠する一刀さんを、可愛いとも思ってしまいます。
そんな自分を、情けなくも感じながら、その思いを胸にしまって、なるべく一刀さんの傍に居るようにしていました。
その一刀さんが、やっと、苦しみを解放できた事に、
一刀さんが壊れてしまう前に、帰ってこられた事に、
子供のように泣き叫ぶ一刀さんに、私は、
(これで、一刀さんが救われる)
そう、安堵の息を吐きました。
でも、その後に来たのは、自分の不甲斐無さでした。
私には、一刀さんの傍に居る事でしか出来ない。
行軍中、何度そう思ったか、分かりません。
それでも、少しでも一刀さんの力になれるならと、一刀さんとなるべく一緒に居ようとするのですが、
私には私の役割がありますし、一刀さんは一刀さんの役割があります。
戦になれば、それは尚更です。
帰りの行軍では、雪蓮様達が、それなりに便宜を図ってくれましたが、
それでも四六時中一緒に居るわけ居は行きません。
それに・・・・・・・・・・・、
「私では、一刀さんを救う事が出来ないのでしょうか?」
「ん~、 なんで、おぬしは、そう思うのじゃ?」
私の、なんとは無い言葉に、祭様は酒を傾けながら尋ね帰して来ます。
「一刀さんは、私の前では、涙を見せてくれません。
翡翠様にするように、心の奥の悲しみをぶつけてくれません」
「・・・・・・なんじゃ、そんな事か」
祭様は、溜息を吐かれながら、詰まらない事の様に言われます。
その態度に、私は祭様の方を振り向くと、そこには、優しげに私を見詰める顔がありました。
その慈しむ様な顔に、私は何も言えなくなり、
そして、替わりに祭様が、
「大雑把な事情は、権殿から聞いておる。
おぬしは、あやつが一戦が終わる度に、心の病に取り付かれていて、生き残れると思うのか?」
「・・・・・・・・」
「それに、おぬしが居らなんだら、あやつは、帰ってくるまで保たなかったのではないのか?」
「・・・・・・・・」
「きっと、翡翠とてあやつの傍に居たいと思うておったろうな。
だが、それは、あやつの為には良くは無いと分かっておるから、おぬしに託したのだろうて」
「・・・・・・・・」
「全てが、出来るとは思わぬ事じゃ、 出来る事を一生懸命やれば良い。
おぬしが傍に居るから、どれだけ辛かろうとも、頑張って居れたと言うのじゃ、
おぬしの存在が、心の支えとなって、あやつを苦難を乗り越えさせたと言うのじゃ、
おぬしの前では、情けない所を、涙を見せまいと、頑張って居ったと言うではないか、
これ程、女冥利に尽きる事なぞ、早々在りはせぬぞぉ、
むしろ、それ以上望むのは、罰が当たると言うもの」
祭様の言葉に、私の重かった心は、少しずつ軽くなっていきます。
そうです。 祭様の言う通りです。
人には役割と言うものがあります。
一刀さんは、私に涙を見せたく無いと、あそこまで頑張っておられるのに、
それを見たい等と思うのは、間違っていました。
私は、私が出来る事をやるだけです。
今日は、翡翠様に譲りますが、決して翡翠様に劣る訳ではありません。
明日からは、一刀さんが笑顔を取り戻す為に、頑張るだけです。
私に出来る事を一生懸命やるだけです。
「どうやら、元気が出たようじゃのぉ」
「はい、ありがとうございます」
「あやつにとって、灯火であるおぬしが、ああも暗くては、あやつが道に迷うだけじゃ
おぬしは、おぬしらしく、一生懸命であれば良い」
そう言って、杯を空けると、私に酒壺を向けてきます。
私はそれを受け、杯に満たされたお酒を飲みます。
「・・・・・・美味しいです」
本当に、美味しい・・・・・・・・祭様には敵いません。
そんな私を、祭様は嬉しそうに眺めておられましたが、ふと悪戯じみた光をその目に宿され、
あっ、何か嫌な予感がします。
「そう言えば、おぬしと北郷の仲を進展させる約束事は、どのようになったかのぉ?」
「・・・・・・えーと、それは・・・・・・」
「どうせ、あやつの心が落ち着きが取り戻すまで、戻る気は無いのであろう、時間はまだある。
話してもらおうかのぉ」
こ・困りました。
此処で逃げれば、祭様は約束どおり(おそらく面白半分に)一刀さんを誘惑するに違いありません。
かと言って、一刀さんと、何かがあった訳でもありません。
そ・そうです。 とにかく、一生懸命頑張った事を話していけば、祭様も鬼ではありません・・・・・・たぶん。
だから、私は祭様に、頑張るだけは頑張ったと言う事を、祭様に分かって頂く為に、一生懸命詳しく話していきます。
翡翠視点:
一刀君の寝台に寝転んだまま、私は一刀君の髪を、そっと、優しく梳いていきます。
一刀君は、泣き疲れたのか、緊張が解け、行軍中の疲れが一気に出たのもあって、深い眠りについています。
泣き叫ぶ一刀君は、
私にしがみ付いて泣き付く一刀君は、
その胸の苦しみを吐き出していくうちに、
私を押し倒す形になってしまいますが、
そのまま、私に悲しみを吐露してくれました。
別に何かが、あったわけではありません。
泣き付く場所が、私の膝の上から、私の胸の上になっただけです。
正確にはお腹と胸の間ですが、少しだけ気恥ずかしいです。
服も、少し乱れてしまいましたが、誰かに見られるわけでもありませんし、一刀君相手なら構いません。
私としては、そのまま求められても、全然構わないのですが、
一刀君は、絶対そういう事はしないでしょう・・・・・・少し複雑です。
断片的にですが、一刀君は語った言葉は、色々驚かされるものでした。
でもそんな事は、今の私にとっては些細な事です。
重要なのは、一刀君が、此処まで苦しんだと言う事。
私達の為に、それでも頑張ってくれたと言う事です。
「一刀君、頑張ったのですね」
そう小さな声で、眠る一刀君に、沢山の思いを籠めてお礼を告げます。
でも、こうして、泣き疲れて寝る一刀君の寝顔は、とても可愛いです。
とても、あれだけの能力を持っているだなんて、思えないくらいです。
私には、ただの優しい男の子、そして愛しい人にしか見えません。
こうして、圧し掛かられていなければ、悪戯をしたくなるくらい、無防備にその可愛い寝顔を晒しています。
ちょっとやそっとの事では、起きそうもありませんが、さすがに、其処までしては可哀相ですね。
でも、黙って唇を奪うくらいは、罰は当たりませんよね?
「はぅあっ!」
タタタタッ
この状態で、どうやって悪戯を慣行しようかと考えていた所に、
奇声と、らしくもなく、遠ざかる足音が聞こえてきました。
・・・・・・・・・・もしかして、勘違いされてしまったかもしれませんね。
この姿勢ですから、無理もありません。
でも、密偵として我が国で一番優秀な明命ちゃんです。
前回の時とは、比べ物にならないくらい、心が成長している明命ちゃんです。
動揺はしたとしても、直ぐに気が付くはずです。
だから、
「覗いていないで、入って来たらどうですか?」
「はあぅっ!」
きっと、確認に戻って来ると思ったので、頃合を見て声をかけてみたら、案の定でした。
私には、雪蓮様や一刀君と違って、穏行を見破る力はありません。
ただ、明命ちゃんなら、こうするだろうと思っただけです。
言い当てられた明命ちゃんは、音も立てずに扉を開け、
「あ・あの、お邪魔では、ないのでしょうか?」
等と、未だ見当違いな事を聞いてきます。
まぁ、出来れば、四半刻くらい後であれば、私も事を済ませる事ができたのですが、
こうなっては仕方ありません。
「こういった姿勢でなんですけど、そう言う事とはありませんでしたよ」
私の言葉と、状況の再確認に、明命ちゃんは安堵の息を漏らします。
まぁ、それはそれで色々複雑なのですが、
「一刀君も疲れたのか、深く眠っています。
今日は、このまま三人で一緒に寝ましょう」
私の提案に、明命ちゃんは、顔を赤く染めながらも、
静かに、装備を外して、一刀君の横に来ます。
そして、ちゃっかり、一刀君の手を握りながら、目を瞑ります。
私は、そんな明命ちゃんの髪を、優しく撫でながら、
私も目を瞑ります。
「明命ちゃん、お疲れさまです。
明命ちゃんのおかげで、一刀君が無事に戻って来る事が出来ました。
辛い役目を押し付けて、本当に申し訳ありませんでしたね」
私の言葉に、
髪を撫でる手に、
小さく震える明命ちゃんを、感じます。
声を殺して、泣く明命ちゃんを感じます。
本当に、辛い思いをさせてしまいましたね
でも、明命ちゃんしか頼れないんです。
私では、一刀君を受け止めれても、支える事は出来なのですから・・・・・、
だから、辛くても、二人で、こうして、一刀君を支えていきましょう。
私も、明命ちゃんも、一刀君を想う気持ちに、何の差も無いのですから、
そう言えば、一刀君、目を覚ましたら、この状況にどういう顔をするか楽しみですね。
このまま起きていて、見て見たい気もしますが、それは運に任せる事にしましょう。
今は、こうして一刀君の温もりに甘えて居たいですから、
大好きな人の温もりを感じながら、眠りにつきたいですから・・・・・・・・・・、
稟視点:
「風、砦の兵の周囲の偵察案と、兵糧、兵站の確認を終えました」
「おぉぉ~~、もう終わったのですか、思ったより早かったですねぇ」
「いえ、前任者が、しっかりしていたようで、最後の二つに関しては、帳簿とのズレは殆ど無かったため、
早く終える事が出来ました」
私は、お互い決めた仕事の役割を終えた事を、風に報告しただけなのですが、風は、
「あぁ、あの稟ちゃんと、話の合ったお方ですね。
御結婚を期に、旦那様の家の手伝いをされる為、稟ちゃんに、その後を譲った奇特な方ですよね~」
「風、まだ怒っているのですか? もう二月にもなると言うのに」
親友の態度に引っかかるも、余りその事には強く出れない。
「いえいえいえ、怒ってなんていませんよ~。
ただ、鼻血の飛距離以外の稟ちゃんの伝説として、風の胸に深く刻まれただけですよ~」
「どっちも、忘れてくださいっ!」
「いやー、姉さん、アレを忘れろと言うのは無理だろ」
「ぐっ」
私の思わず荒げる声に、風が宝譿を通して突っ込んできます。
あの事を言われると、さすがの私でも耳が痛い。
此処は早期に、話を余所に変えるのが得策ですね。
「連合解散から、はや一月以上が経ちました。
大きな動きは、春を待ってからでしょうが、そろそろ彼方此方で、きな臭い動きが・」
「まさか、面接試験の時に、試験官とあのような会話で盛り上がるとは、風も想定外でした」
「おう、アレは凄かったよな、皆ドン引きだぜ」
「なっ」
風は、私の言葉を無視して、風と宝譿は、話を続けます。
「そうですよね~、模擬弁論とは言え、まさかああ言う弁論されるとは、誰も思わなかったでしょうね~」
「あ・あれは、彼女が、あんな物を持ち込み、挙句に弁論中に床に落とすのが悪いんです」
「確かに、あのような場に、稟ちゃんの愛読書を持ち込む彼女も、問題があったかもしれませんが、
だからと言って、同好の士を見つけたとばかりに、その場でその内容について、熱く弁論しなくても良いで
はありませんか。 風はとても恥ずかしかったのです」
確かに、今思えば、恥ずべき行いです。
幾ら例の作者が気になっていたとは言え、
運悪く、落ちて開かれた項が、例の作者の場所だったとは言え、
私がまだ手に入れていない新に発行された本とは言え、
(無論本屋には、試験が終わるまでの間、取り置きしてもらってはありますが)
人前で熱く語るべき内容でもないのは、事実かもしれません。
ですが、
「別に弁論内容に関しては、決められては居りませんでした。
であれば、一書物に関して討議するのも、特に問題はありません」
「それは、幅広い知識と目を持っているかを見る為のものであって、本当に自由と言う訳ではありません。
それに書物について語るにしても、孫子や司馬法等、他に幾らでも題材はあります」
「弁論とは、己が理を訴え、相手を切り崩すし、己が望む方向に持って行くためのもの。
題材がどうであれ、他に異論を挟める者も無く、私と彼女の独断の場になりました。
その結果、彼女に私の理を認めさせ、感涙させたのです。
私の実力を認めさせるには、十分の事だと判断します」
「いやアレに、口を挟める奴は普通は居ねぇって」
私の言い訳に、宝譿を通して突っ込んできますが、やはり違和感を覚えます。
この不思議人形の事ではありません(無論、これはこれで色々突っ込みたいのですが)
風は、こうやって、無意味に何時までも、人を虐める様な性格ではありません。
なら・・・・・・、
「何か、あったのですか?」
「何もありませんよ~、ただ、その噂が広まって、風も稟ちゃんの同類と見られた挙句に、風の容姿が容姿
だから、そういう趣味に走ったのだと、兵の皆さんに、陰口を言われたくらいですよ~」
あぁ、そう言う事ですか、
風自身は、自分の容姿にさして気にしてはいませんが、
さすがに、そう言う風に言われるのは、風の自尊心が許さないのでしょう。
私への物言いも、ただの報告、そして警告なのでしょう。
そう言えば、風は、先程から、一生懸命何を書いているのでしょうか?
私に、話しかけるも、机から目を話す事はありませんでした。
時々筆を止めながら、思案するように間をおいて、筆を進める辺りが、風の本気さを表しています。
横の方を見ると、処理済の竹簡が高く積み上げられています。
割り当てられた仕事は、すでに終えているようですし、風の能力からして、当然の事でしょう。
なら、今、書き認めているのは、何かの提案書なのでしょう。
「風、何を其処まで悩みながら。書いておられるのですか?」
「いえいえ、唯の兵の調練計画案です。
此処の兵士さん達は、余裕があるようですので、その余裕を曹操様のために、より精強になって貰おうと
思いまして。
大丈夫ですよ~、錬度を考えて、ちゃんと疲れを残さないように、ギリギリに考えていますから」
「・・・・・・・・・・そうですか、では私からも此処の隊長に、風の案に乗るように言っておきましょう」
風の案なら、間違いなく、此処の兵は力をつけるでしょう。
それを見て、此処の隊長も、我等に信を寄せる事になってくれます。
中央に早く行ける様になる為には、力を付けるにこした事はありません。
何より、これで表立って、風に逆らったり、影口を叩くような兵士は一人もいなくなるでしょう。
私も、風に迷惑をかけた手前もありますし、協力する事にしましょう。
つづく
あとがき みたいなもの
こんにちは、うたまるです。
第45話 ~ 暗くなる灯火は、祭りの舞に、再び明るさを取り戻さん ~ を此処にお送りしました。
前回は祭と翡翠でしたが、今回は祭と明命で送ってみました。
一刀の翡翠へと泣き縋る声を聞いて、自分の力の無さに落ち込む明命でしたが、我等の姐さん、祭さんが、またもや明命に、明るさを取り戻させてくれました。
まぁ、その代償は大きかったでしょうが、当の明命が、その事に気が付いていない分には問題はないか(w
さぁ、だんだんと大胆になってくる二人に、一刀は理性を保つ事が出来るのか(w
乞うご期待ください。
翡翠の伽羅イメージに、金髪のグゥレイトゥ!様の翡翠をインスパイア元にさせていただきました。
設定外見年齢は、もう少し下なのですが、金髪のグゥレイトゥ!様の翡翠の雰囲気がもう最高です。
以前からインスパイア元として許可をいただけていたので、寿春城編から、掲載させていただきました。
金髪のグゥレイトゥ!様この場を借りまして、厚くお礼を申し上げます。
では、頑張って書きますので、どうか最期までお付き合いの程、お願いいたします。
PS:後半やってしまいました・・・・・でも、反省はしてないもんっ
Tweet |
|
|
167
|
19
|
追加するフォルダを選択
『真・恋姫無双』の二次創作のSSです。
明命√の作品となります。
街に戻ってきた一刀達、多くの命と想いを、その背に背負い潰れかけていた一刀だが、明命と翡翠のおかげで、その危機を乗り越えようとしている。 そんな中、明命は・・・・・・・・、
続きを表示