この世界、この国には「銃刀法」というものがある。
あるはず、だ。
っていうか一般には定着している。
が
それを忘れそうな、っていうか忘れている光景が今目の前では展開されていた。
一般的な中学校くらいの校庭のイメージでいいと思う。
土ぼこりが時々立つ広い空間に、対峙するのは二人の男女。
まだ双方とも幼さを遺しながら、その目に宿る鋭さは幾多の修羅場をくぐってきた証明そのもの。
二人とも、無手ではない。
男、まだ少年と言っていい、この世界では異質な鉄の手甲を纏う左手以外は普通のTシャツにジーンズという軽装の彼の手には随分ゴツイ印象の銃が一丁。
女、少女から大人のそれの過渡期である彼女もまた動きやすさを配慮したか白に赤いラインのジャージにはアンバランスなどこか玩具めいた王錫とも感じさせる赤い玉が印象的な杖。
それらは決して冗談で持っているのではないこと、彼らの目が物語っていた。
「それでは、高町なのは、いっきまーっす!」
果たして。
その対峙の始まりを告げるように、どこか幼い仕草で彼女が手を上げた。
途端、彼女の周囲に仄かに赤みを帯びた光球がいくつも出現する。
そして彼女はそれらの主である証明として、上げた手を対する少年へとまっすぐに卸し、指し示す。
途端光は珠からラインを描き、風を切る。
「はやいっ」
少年が呟いたのはそれだけだった。
彼らの距離は大体20m程。
そのスピードでは「そう」と判断することも本来なら出来ないだろうに、彼はそう呟きながらもすでにモーションに入っていた。
自分を狙う凶悪な美しさに、躊躇いも、恐怖もなく冷静な目で立ち向かう。
その左手にした銃で、構え、狙い、引き金を引いて。
数は5。
全ては一瞬に0に。
「さっすがですロディさん!次いきますねっ」
「ちょっ、なのはっ、まっ」
「次、20!」
いきなり4倍ですか。
いやそれでも宣言があっただけまだ良心的というべきか。
自分の話を聞かない彼女に舌打ち一つせず、少年は駆けて距離をとる。
勿論、常人ならば役をしない程度の範囲でしかなかったが、彼には充分だった。
腕の中にある相棒に意識を向ける。
小さく吸い込んだ息が、かすかに口笛のように啼いた。
「ARM FULL CONTACT!」
宣言と共に「反射的に変えた」カートリッジに内包するその力を引き金で解放する。
「ハウンドマイン!!」
光球に、光球がぶつかり合う。
それぞれがまるで惹かれあうように、まるで踊るように。まるでやっと一つになれたと歓喜するように。
ぶつかり、
ぶつかり、
小さな爆発を繰り返す。
それらは相乗して空気を揺るがし、音楽を奏でる。
「・・・・・ッ」
「すごっ、私直接操ってるのにっ」
「あれだけスピードが上がっていればどうしてもコントロールは、鈍るから・・・、なんとか」
「じゃぁ今度は精度を上げますっ!」
そういう、すっかり少女の笑顔で彼女は自分の傍らに光球を再び出現させる。
1つだけだ。
宣言どおり、その分精度を意識するつもりなのだろうが・・・・・
(ぎりぎりまでひきつけて、しかないな)
ひとつ、に集中すれば彼女のことだ、とんでもなく細密な精度を誇ることだろうと予想はつく。
対応策としてはターゲットが自分であること。
だがこれはあくまでも訓練だから大人しく突っ立っているというにもいけない。
牽制と威嚇、回避。
全てを同時に。
口元が無意識に笑みを創るのに、彼は気付かなかった。
ついでにその様子に、見物していた自分の仲間がものすごく嫌な顔をして「毒された」と嘆いているのも。
・・・・・・・・・
ハウンドマイン(Fの方のカートリッジ)
多分あれはグループカテゴリになるんで、グループ対応の技にしました(笑
しかしこの世界にはARM屋ないのに大丈夫なんだろうか?
あぁ個人的な話、ザック出すなら1仕様になるよ!
だってFのいらない子っぷりったらねぇんだもんよ!あのヘタレ剣士!!
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結構なんでもみなさん楽しめるんですねー、とまったり思いつつ。
支援とかホントありがとうございます。
ごめんなさい、いつも完結させる真面目さがないチラシの裏仕様で。
シュチュ②のアパートシリーズから。フェイトちゃんいないよ。
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