No.143444

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第十二話

アボリアさん

董卓IF√第十二話です
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2010-05-16 08:27:25 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:19606   閲覧ユーザー数:14290

「来たな…」

 

俺は虎牢関の上から敵の軍が来るのを見ていた

汜水関とは違い、先陣を右左に分けそれぞれをを袁紹、袁術が務めており、後曲右翼に劉備、中盤に曹操、左翼に孫策という陣容だったが劉備たちが先陣にいないのは好都合だった

 

「袁家の馬鹿二人が先陣なのは幸運なのです!華雄、霞!手はずどうりに頼むのですぞ!!特に華雄は絶対に深追いしないように!」

 

ねねが華雄に釘を刺す

 

「お前に言われずともわかっているさ。一刀に本当の誇りというものを教わったしな…それにもうあんなに怒られるのは御免だ」

 

華雄が苦笑しながら言う…その顔は何か吹っ切れたように明るく、信じるに足る笑顔だった

 

「信じているよ、華雄…それに霞も。さっき言った通り絶対に劉備、曹操、孫策の所の武将クラスとは本気で戦わずに危なくなったら逃げる事。こちらは時間稼ぎが本命なんだから…それと霞」

 

「なんや?…戦いに熱中しすぎんなって話ならもう耳にたこができるぐらい聞いたで?」

 

「いや、霞は袁紹の軍と当たるだろう?もし、袁紹の救援に曹操の軍が出てきたらこれを渡して欲しいんだ」

 

といって俺は霞にある手紙を渡す

 

「…手紙?なんや一刀、曹操と知り合いなん?」

 

「そういうわけじゃないけどね。まあ、無駄になるかも知れないけど色々手は打っておきたいと思ってね…それじゃあ頼んだよ、二人とも」

 

出陣していく二人を見送ると、俺と恋とねねは虎牢関の城壁に立ち、敵を見下ろしながら言うのだった…

袁紹と袁術が城攻めの準備をしていると、関の上に白い服を着た男たちが上がってくるのが見えた

 

「連合軍の諸侯よ!!俺は占い師管路が予言せし、天の御使いである!!」

 

いきなりの出現に動揺する袁紹と袁術、しかしその男は更に続けた…

 

 

 

 

 

「貴様等は董卓が天子を殺し、洛陽を牛耳っているというがそんな話は事実無根である!!お前たちの盟主袁紹が一人騒いでいるだけで、そんな話に乗せられる諸侯も気の毒としか言いようがないな!!この話の正当性はこの人も証明してくれる!!」

 

「おい!袁紹!!こいつ等に聞いたが暴政の話は嘘っぱちらしいじゃないか!!」

 

一緒に出てきた伯珪さんにも弁明を手伝ってもらう…だが

 

「…白蓮さん?いつのまにそんなところにいたんですの?」

 

…袁紹の表情を見る限り完璧に忘れられていたな……

 

「ともかく!!そんな連中のいうことなど信じるなんてどうかしてますわ、白蓮さん!!」

 

そういって息巻く袁紹

劉備さんのところには動揺が見られたが、そのほかの諸侯は俺達の言葉を聞いても全く反応しなかった

 

「…悪い、伯珪さん。やっぱり説得は無理みたいだ…」

 

伯珪さんに謝りつつ、続ける俺

 

「ならば仕方ない!!降りかかる火の粉は払わねばならぬ!!お前たちには自分の過ちを命を持って償ってもらおう!!…恋、やってくれ」

 

「ん、解った」

 

隣に立つ恋が明らかに常人では引けないような大きさの弓を引き絞る…瞬間、袁紹の牙門旗に大穴が開いていた

 

「…は?」

 

袁紹はこんどこそ、呆気にとられてしまった

 

「袁紹!!貴様だけは許さない!天の鉄槌を受けよ!!

俺が言うと虎牢関より華の旗と張の旗が雄叫びを上げつつ連合軍に向かっていく

敵が打って出てくるはずがない、と悠々と城攻めの準備をしていた上にいきなりの展開に呆然としていた袁紹、袁術軍はその猛威に太刀打ちできず大打撃をうけるのだった…

「な、七乃~!!華雄が、華雄がくるのぢゃ~!!」

 

「お、お嬢様!今、孫策さんを呼びましたから落ち着いてください!!」

 

いきなりの奇襲で華雄率いる歩兵隊に散々に打ち破られた袁術軍は半壊状態であり、大将である袁術に将軍の張勲がかかりきりである為に指令系統も機能せず軍は散り散りになっていた

 

「む!貴様が袁術か!」

 

華雄が袁術を捕捉する

 

「た、たすけてたも~!!」

 

「うるさい!!覚悟…〈キイン!!〉っぐ!!一足遅かったか…」

 

金剛瀑斧を振り上げ、袁術に襲い掛かる華雄だったが間一髪の所で割って入ってきた女性に防がれてしまった

 

「やはり、こちらには貴様が来たか…孫策!!」

 

「本当なら助けに入りたくなんてないんだけどね…」

 

嫌そうな顔をして女性…孫策は本音を漏らす

 

「まあせっかく出てきたんだし、私に付き合ってよ華雄…あんたも私に因縁があるわけだし、ちょうどいいでしょ?」

 

そういって剣を構える孫策…確かに華雄は彼女の母親に昔、散々やられたという深い因縁があった

だが、…と華雄は頭を振って答えた

 

「そうしたいのは山々なのだがな…私は貴様の相手をするわけにはいかない。ここは退かせて貰おう」

 

この言葉に驚いたのは孫策だった

華雄はこう挑発すれば怒って向かってくると思っていたのだが彼女にはそんな気配は微塵もなかった

 

「ふぅん…汜水関ではあんなに簡単に引っ掛ってたのにね。…でも、だからといってこの私から逃げられるとでも!?」

 

そういって華雄に向かっていく孫策…だがその時、今までないほどに嫌な予感がした孫策は後方に思い切り跳んだ

 

ズドォォーーン!!

 

先ほどまで孫策がいた場所に物凄い勢いで矢が飛んできていた

飛んできた方向を見ると…虎牢関の上、先ほど袁紹の旗を打ち抜いた少女がこちらを睨んでいた

 

(この距離を、あの威力で、こんなに正確に射るなんて…化物じゃない!!)

 

「生憎と私たちには武神がついているのでな…華雄隊!これだけやればもう十分だろう、張遼隊と合流して引くぞ!!」

 

孫策が動けずにいるうちに、華雄は張遼隊と合流するためその場を離れるのだった…

「オラ、オラァ!かかってこんかい!!」

 

張遼は袁紹の軍に当たっていた

最初の一当てで敵を圧倒、途中で出てきた文醜という将にも快勝し、袁紹軍相手に大立ち回りを繰り広げていた

 

「お前等!もう終いかい!!」

 

「まてい!張遼!!」

 

袁紹軍の兵を切り伏せていると曹の文字の旗を持つ武将が立ちふさがる

 

「私は曹操様が大剣、夏候元譲!!張遼!!貴様をわが主、曹操様が欲しておられる!!私と戦え!!」

 

そういって剣を構える夏候惇…だが霞は申し訳なさそうに答える

 

「あ~、悪いなあ。ウチ、曹操んとこの将とは戦うないわれとんねん…退かせてもらうで?」

 

「おっと簡単に退かせると思わないでくれ…わが名は夏候妙才、我が姉と戦うなら手出しはせんが逃げるというなら二人で全力でかからせてもらうぞ?」

 

そういって弓を番える夏候淵

 

(う~ん、しもたなぁ。恋がこっちに気付いてくれるまで凌ぐしか…)

 

そう考える霞だったが、いきなり夏候淵の後方から味方の隊が現れ、夏候淵の注意が逸れた

 

「張遼!そろそろ頃合だ!退くぞ!」

 

そういって夏候淵を退きつけつつ叫ぶ華雄

 

「…まあ、そういうことやから、退かせて貰うで惇ちゃん」

 

「誰が惇ちゃんだ…っく!!」

 

ズドォォーーン!!

 

そんな事をいっているうちに虎牢関から恋が援護をくれる

 

「はっはっは!悪いなあ…そや、悪いついでにこれを曹操に渡しといてくれや…ほな頼んだで!!」

 

華雄と共にさっさと退いていく霞

夏候姉妹は弓矢に邪魔され、その背を悔しげに見送るしかできなかった…

 

 

 

 

こうして緒戦は董卓軍が連合軍を圧倒という結果で幕を閉じたのだった…

「お疲れ様、二人とも。無事で何よりだった」

 

俺達は華雄と霞を出迎えていた

 

「いやぁ、最初の恋の弓で奴等、度肝をぬいとったからな。楽なもんやったで」

 

「ああ、私も呂布があのような弓の名人だったとは思わなかったぞ」

 

そういって恋をほめる二人

三国志の呂布は劉備を救うため、離れた場所から戟の小支…つまりとんでもなく小さい的を一発で打ち抜く弓の名手でもあったので恋と陳宮に相談してみた所、普通の弓では恋のパワーに耐え切れなかったが大きな弓では物凄い威力で尚且つ正確に射抜く恋を見てこの作戦をとったのだ

 

「とにかくこれで敵は軍の建て直しに時間を食うだろう…それまでに彼女たちが間に合えば俺達の勝ちだ」

 

 

そういって俺達は休息を取るためその場を後にしたのだった…

 

 

 

 

 

連合軍、曹操軍天幕

 

「失態ね…」

 

そういって夏候姉妹を睨む曹操

騎馬隊を率いる将がいない自軍に張遼を参入させようと目の前にいる姉妹に捕縛をさせようと画策したのだが、結果は捕まえられないどころか、連合軍に大打撃を与えられるだけ与えられて悠々と退却されてしまったのだ

 

「面目次第もございません…」

 

夏候淵が頭を垂れる

 

「私の力が足りず…そうだ、華琳さま。張遼から文を預かっております!」

 

「文?…見せてみなさい」

 

夏候惇から文を受け取り、中身を読む曹操…その顔が不機嫌に歪んだと思ったら次は喜悦の笑みを浮かべる曹操

 

「天の御使いと言ったかしらあの男…この状況で私にこんな文を寄越すなんていい度胸をしているわ…桂花!!」

 

「はっ!」

 

荀彧が曹操の許へと近寄る

 

「凪達の指揮権を貴女に与えるわ、これより麗羽の城に赴き奴を捕縛、ここに連れて来なさい。…あなたたちも、この件は文を持ってきた功で帳消しにしてあげるわ。下がっていいわよ」

 

「「「は、ははぁ!!」」」

 

そういって皆が退出した後、一人手紙の内容について考える曹操

 

(天の御使いとやらがなぜ敵である私のところにこの文を持ってこさせたのかしら…私と奴が因縁関係である事を知っていた?…もしかしたらお爺様との宦官つながりからあてずっぽうに送ったのかもしれない…。ともかく…)

 

「董卓がどうなろうと董卓自身の責任、知った事ではないと思ったけど手紙の内容が本当だとしたら、あいつの思惑どうりに事が運ぶのは癪ね…」

 

と言って猛禽類のような笑みを浮かべる曹操

 

「真偽のほどが分かるまではこの連合で踊ってあげましょう。しかし、麗羽は騙し遂せても私を欺けると思わない事ね、張譲…!!」


 
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