龍玄が蒼介を連れて行った(引っ張っていった)日の夕方、一人の女性は大混乱に陥っていた。
「ご主人様ぁぁぁーーーーーーっ!!どこにいるのですかーーーーーーっ!!」
愛紗は城の外に届きそうなくらいの大声で叫んでいた。そこに、
「あ、愛紗さん、一体どうしたのですかっ!?」
愛紗の大声に、慌てて駆けつけてきた朱里が、息を切らしながら愛紗に事情を聞く。
「朱里か!ご主人様を見なかったか!?城の中にも外にも見当たらないんだ!」
「はわわーーーー!?それって本当ですかっ!?」
「ああ!今鈴々達も呼んで探そうと思っている。・・・ご主人様に何かあったりしたら、私は・・・」
愛紗は心底心配そうな顔で、光輝く月を見つめる。
「・・・・・。あ!そういえば龍玄なら何か知っているかもしれませんよ。お昼ごろにご主人様と一緒にいるのを見ましたから。」
「あの朱里達を助けてくれた御仁か。確かに知っているかもしれないな。探してみよう。」
それから鈴々と雛里と桃香も加わり、龍玄と蒼介を探し続けてかれこれ三時間がたとうとしていた。空はもう日を沈み、月が淡く照らし始めてきた。
「いましたか!?」
「いや、こっちには・・・」
「・・・いませんでした。」
「鈴々の方にもいなかったのだ・・・」
「私の方も全然だったよぉ~・・・」
「「「「「はぁ~~~・・・」」」」」
五人は同時に肩を落とし、長いため息を吐き出す。その時、二人の兵士が勤務を終え、帰ろうとしていた姿を四人は捉えた。
「おい、お前ら。でかい身長をした男とご主人様を見なかったか?」
二人の兵士にも聞いてみたが、また同じ結果だろうと予測していた五人に、驚きの答えが返ってきた。
「え、えっと・・・確か、そのお二人でしたら、お昼過ぎにもの凄い勢いで城を出て行ったのを見かけましたが・・・」
「「「「「・・・・・」」」」」
しばらく沈黙が続く。そして、
「「「「「ええぇーーーーーーーーーーっ!?」」」」」
淡く光る月に少女達の声が響き渡る。
「それは本当かっ!?」
「は、はい!そういえば何やら山篭りとかどうとか・・・」
「・・・全斥候部隊に伝えろ!ご主人様の身が危険だ!明日の朝までに居場所を突き止めろっ!」
「は、はいぃ!」
鬼の形相で愛紗は二人に命令を出す。二人は慌てて走っていった。
「あ、愛紗ちゃん・・・いくら何でも兵隊さんを出すのは・・・」
桃香がちょっと近寄り難そうに愛紗に話しかけるが、
「何を言っておられるのですかっ!!」
「は、はいぃ!」
愛紗の怒号に、桃香もさっきと兵士達と同じように怖がりだす。
「もしご主人様の身に何かあったらどうするのです!今は一刻も早くご主人様を見つけ出すのが先決です!さぁ、私達も情報を集めますよ!」
「「「「はい・・・」」」」
愛紗の鬼の形相に四人は小さく返事をする。そんな風にこの慌ただしい夜は更けていった。
翌日、一通の手紙が一刀から届いた。相手は蒼介からだった。
「今頃かよ・・・」
前の手紙から返信に一週間くらい経ってるぞ・・・。そんな風に呟きながら手紙を見てみると・・・。
「ええっと・・・『お元気ですか?俺も元気です。すぐに五台山の麓にある森に来てください。っていうか来い。剣の修行で、師をやってくれる凄い人を見つけたから、今すぐ来い。』・・・」
「・・・なんか事情が分からん・・・」
まず、もっとましな手紙を書けないのかよ・・・・。けど、話には興味あるなぁ。最近は春蘭にも剣の稽古を手伝ってもらってるけど、すぐにやられるから稽古にならない。だから、その師っていう人に会えば、強くなれるかもしれない。よしっ!
「一度会ってみるか・・・。久しぶりに蒼介の顔も見たいし。」
一応、華琳達にも話してみるか・・・。俺は椅子から立ち、華琳達のところに向かった。
「・・・それ本当に言ってるの?」
事情を説明をすると、半ば呆れ気味に華琳は聞いた。
「そうだ。だからこうして、何回も頼んでいるんじゃないか。」
「いや、いくらなんでも・・・」
「それは無理ではないか・・・?」
春蘭も秋蘭もそれはちょっと・・・みたいな感じだ。それもそうだ。いきなり、修行しますので山に行ってきますなんて、誰が聞いたって無理って言うだろう。けど、
「こんな機会、もうないかもしれないだろ?春蘭達にも手伝ったりしてもらってるけど、あまり悠長なことはしてられないんだ。頼む!」
俺は必死に華琳に懇願した。
「・・・ふぅ、しょうがないわね。一体どんな師なのか会ってから、判断して決めさせてもらうわ。いいわね?」
「ああ、ありがとう華琳。」
「貸し一つよ、一刀♪・・・それじゃさっそく会いにいってみましょうか。春蘭、ついてきなさい。」
「はっ!」
こうして、俺と華琳と春蘭で五台山に向かうことになった。その同時刻、愛紗達の方でも・・・。
「関羽将軍、近隣の村からの情報です!長身の男が、太守様らしき人物と共に五台山まで向かった模様です!」
「そうか、これで居場所が分かった・・・!今すぐ行くぞ!」
「あの、一応私もついていってよろしいですか?」
そう言って手を挙げたのは朱里だった。
「私なら龍玄さんと多少面識がありますし、事情も聞けると思います。」
「よし、分かった。じゃ、鈴々達は留守を頼むぞ。」
「わかったのだ!」
鈴々達に留守番を任せ、愛紗と朱里は五台山へと馬を走らせていった。
※どうもお米です。最近はスランプで全く内容が思い浮かばいない・・・orz言い訳ですね。すいません。さて、次回も読んでくだされば幸いです。
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第二十一話となります。少しでも喜んでいただけたら幸いです。
※追記、次の更新は金曜か土曜になるかもしれません。本当にごめんなさい・・・orz