真・恋姫無双 二次創作小説 明命√
『 舞い踊る季節の中で 』董卓編
第41話 ~ 疑惑の海に舞う想い -後編- ~
(はじめに)
キャラ崩壊や、セリフ間違いや、設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助
かります。
この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。
北郷一刀:
姓 :北郷 名 :一刀 字 :なし 真名:なし(敢えて言うなら"一刀")
武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇
:鋼線(特殊繊維製)と対刃手袋
得意:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(本人は無自覚)
気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)
神の手のマッサージ(若い女性には危険です)
最近の悩み:人を殺すのは辛い、でも人を殺させるのはもっと辛い。 でも、俺は其処から目を逸ら
すわけにはいかない。 そして、その罪を背負うのは良い。それに苦しむのも構わない。
もし神というものが居るとしたら、俺はそれでも問いたい。 この苦しみが罰だとした
ら、それは少し違いませんか? と、俺はそう心の中で呟きながら、思わず布の衝立の
向こうに意識をやってしまう。 否、例え意識を向けなくても、左手に伝わる温もりは、
強制的に彼女を、明命を意識せざる得ない。 この布の向こうで無防備に眠る明命の存
在を・・・・・・・・・・本当、こういう罰は勘弁してください。
此処最近、翡翠もそうだけど、明命は前に比べて艶を感じる事が多くなった。 なのに、
そんな状態で、これでは、俺の方が溜まったものではない。 ただでさえ明命の香りが
漂うというのに、こうして手を繋いで寝ていたら、明命の温もりを、優しさを、別の意
味で受け取ってしまいかねない。 明命は俺を心配して、こうしてくれてるだけなんだ。
明命は俺を義兄のように慕ってくれているだけなんだ。だから勘違いするなよ北郷一刀、
彼女は守らなければ存在なんだっ!
うぅぅぅっ、それでも、幾ら自分に言い聞かせても、感じてしまう。 手から伝わる明
命の鼓動を、息遣いを そして彼女寝息が、静かな寝息が、彼女が立派な女性だと言う
事を、俺に感じさせてしまう。・・・・・・・・本当勘弁してください。
(今後順序公開)
★オリキャラ紹介:
諸葛瑾:
姓 :諸葛 名 :瑾 字 :子瑜 真名:翡翠
武器:"双天" 対の双剣
武力:52(平均的な将を60とした場合)
智力:81
政治:89
家事:92
魅力:想像にお任せします(w
焦った時の口癖:『 あうあう 』又は 『 ぁぅぁぅ 』等の類語です
性格:基本的に温厚で、外見に反して大人の女性
だが、焦ると地が出てしまう。(朱里と違って、自分を律しています)
警戒心が強い性格だが、一度心を許されると、親身になってくれる。
妹がいるため、基本的には面倒見が良く、放っておくと、食事を取るのを忘れる明命を心配して
よく食事を差し入れていた。
やはり、妹がいるためなのか、時折人をからかって、その反応を楽しんだり、とんでもない悪戯
を仕掛ける悪癖もある、だが性質の悪い事に普段が完璧なだけに、周りは怒るに怒れないでいる。
家事全般は人並み以上に出来、そこらのお店以上と自負していたが、丹陽で知り合った男性の腕
を見て自信を喪失。 以降こっそり腕を磨いているが、全然敵わないと嘆く毎日を送っている。
武術は好きではないが、妹達を変態共から守るため、必要最低限身に付けたもの。
姉妹揃っての発育の悪さをコンプレックスに思いつつも、それを武器にする強かさを持っている。
自分を子供扱いしない男性が好みだが、言い寄ってくるのは変な趣味の持ち主ばかりで、17の時、
現実の男(変態の多さ)に愛想が付いた時に『八百一』と出会う。 以降のめり込み、妹達を洗
脳するも、基本的には周りには秘密にしている。そのうち執筆も行うようになり、掲載されるよ
うになる。
数年たった現在では、定期的な愛読者もつき『八百一』の主要作家の一人となっており、黄巾の
乱後、作品が益々洗練され、世に愛読者を急増させる要因となった。
華琳(曹操)視点:
孫策の策に乗ったおかげで、新兵ばかりとは言え、袁紹の兵をかなり減らす事に成功したばかりか、虎牢関を落とす事が出来た。
馬超と公孫賛の働きが、想像以上に良かったためとも言える。
もっとも、それくらい出来なければ、孫策の策に乗った意味も無い。
予想外と思ったのは、一日で落とせたと言う事。
そして、鮮卑や匈奴を相手に戦い続けて来た馬超はともかく、公孫賛の活躍は正直以外だった。
特別見張るべき所は無いけど、弱点らしき所も無い無駄の無い兵の運用と、戦局のを見抜く目と勘の良さは、広大な幽州を治めるべき太守の実力は、あると見ていいかもしれないわね。
ふふふっ、楽しみが増えたわね。
でも、全てが良い事ばかりではなかった。
一つは、あの猛攻を受けながら、麗羽の所の将、文醜と顔良が無事だった事。
あの呂布と張遼の猛攻を受けながら、無事だったと言うのは、麗羽の運の良さには、舌を巻くわね。
それに張遼の動き、てっきり此方の意図に気づきながらも、罠を食い破る気で来ると思ったら、
途中で方向を変え、此方の陣形に割り込んだ分、分厚くなってしまった包囲を突き破って行った事。
春蘭じゃあるまいし、態々包囲網の一番分厚い所を突き破りたくなった、と言うわけじゃなさそうだけど、
一体あれはなんだったのかしら?
おかげで、張遼を捕獲することも叶わず無駄に兵を失う羽目になってしまったわ。
後、心残りなのは、北郷の舞をもう一度観れなかった事ね。
さすがに、洛陽を目の前にして、舞のために行軍を遅らせるわけには行かないし、
孫策も兵の半数を、埋葬のために残して、行軍している。
まぁ、あんな無茶を引き起こした以上、あまり我が儘は言えない所もあるのだろうけど。
虎牢関を落とした後、軍議では、案の定孫策は麗羽を始めとすると諸侯に攻められたが、
それが兵の暴走が起因で虎牢関が落とせた事と、
暴走を引き起こした将、賀斉自らその責を取って将の座を引く事と、その証をあの場で示した事で収まった。
あれだけの将を、失うのは孫策にとって痛い事だし、惜しいとは思うけど、
それ以上の事を孫策は手に入れる事が出来た。
あの一戦で孫策は千に満たない兵と優秀な将を一人失ったが、袁術は二万近くの兵を失った。
その戦果はあまりにも大きい、・・・・・・いや、大きすぎると言っても良いわね。
袁家の老人達が、黙っているかしらね。
洛陽の街の城壁が目に映り、近づいて来た頃、私の目に異変が映る。
街から、煙が立ち上がっているのが分かる。
先鋒の公孫賛と馬超が、董卓軍に火を放った?
いいえ無いわね。
あの二人は、勇敢であっても、虐殺などを嫌う英傑。
街に被害が出る策を弄するとは考えられない。
暴徒か賊が略奪を起こしたにしては、煙が上がっているのは一箇所だけ、次に煙が上がる様子は見られない。
なら、後は本当の火事か、それとも・・・・・・・・、そうね、それが一番考えられるわね。
洛陽から、馬超と公孫賛さんからの伝令で、董卓の軍は居らず。
街は安全という事から、諸侯の代表者が、急遽城壁の外の天幕に集められた。
「ほ~~~っほっほっほっほっほっほっ、
白蓮さん、こうして、虎牢関を落とした貴女の功績の褒美として、貴女の言うとおり、入城もせずに皆さん
を集めて差し上げましたわ」
「いや、集めたのは、それなりの理由があるからで、これを褒美と言われても困るんだけどな」
「そんなどうでも良い事はいいですから、とっとと、用件を話してくださいませんこと」
はぁ~、麗羽は相変わらず人の話を聞かないわね。
公孫賛を哀れと思いつつ、眺めていると、彼女もそんな麗羽の態度に慣れているのか、溜息を吐きながら、後ろにいた兵士に声をかけると、その兵士は外に出て暫らくすると、他の兵士と共に、一人の女性を連れて来た。
その女性は、縄で縛られながら、諸侯の並ぶ輪の中心に立たされる。
女性の名は、張遼・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう、そう言う事。
「確か、張遼さんでしたね。 白蓮さん、この者が一体なんだって言うのですか?」
「火事の犯人なんだよ。 それも董卓のいた屋敷のね」
公孫賛の言葉に、私は『やっぱりね』と頷く。
虎牢関から、洛陽とは反対方向に撤退した彼女が、どうやって戻ったかは知らないけど、隊を率いて戻れるような道ではないはず。 なら単騎で戻ったとなれば、その目的は限られてくる。
「そうや、ウチが董卓のために火を放った」
「何故そのような事を? 漢の正規軍の将である貴女にとって、董卓は仮初の主でしかないはずです」
「そんなもん決まってる。 董卓が善政を引いていたからや、都に巣食っていた悪官共を追い出して、民に
笑顔を取り戻してくれたからや、董卓を悪党に仕立て上げたあんた等に捕まって、辱めを晒させられるく
らいなら、ウチの手であの世に送ってやるのが忠義って言うもんや」
張遼は周りの諸侯を睨みつけるように、断罪の声を叩きつけるように、まっすぐと言い放つ。
ふふふっ、まさに漢の忠臣、気高き武人の魂を持つ人物だわ。
「悪党に仕立て上げる等と、人聞きの悪い事は言わないで下さるかしら、幾ら善政を引いていようが、董卓さ
んのような田舎太守が、私達諸侯に断りも無く、都を占拠している事こそ、悪そのものなのです」
「ちょっと待って下さいっ! では、悪政で民が苦しんでいるという噂は、嘘だったんですかっ!?」
麗羽の言葉に、劉備ただ一人が、顔を青くして声を荒たげる。
相変わらず甘ちゃんだこと、おそらく、諸葛亮と鳳統が黙っていたのでしょうね。
あんな甘ちゃんでも、周りが秀でていれば、大きくなるし、そして劉備の甘さぶりに、人が集まるのも事実。
そして、あの甘さを脱した時、あの娘は化ける可能性がある。
ふふっ、どう化けるか、楽しみだわ。
さて、他の諸侯はと言えば、公孫賛は苦々しい顔している所を見ると、薄々気がついていたみたいね。
でも確信を持っていない所をみると、人材に恵まれていない故なのかも知れないわね。
でも秀でた人材を引き寄せるのも、王に必要な才よ。
広大な幽州の地を、軍師も無しに治める手腕は、大した物だけど、
人を惹き付ける才が無い貴女は、真の英傑には成れないわ。
そして馬超、その悔しげな表情から、どうやら連合に参加して真意を確かめるつもりだったのでしょうけど、
真意を確かめる暇も無く、連合は董卓軍を破った形になってしまった。
兵の運用と武は見事だけど、戦略的な目を持っていないようでは、貴女も真の英傑には成れないわ。
やはり馬騰には遠く及ばないわね。
どうやら、その三人だけのようね。
この茶番劇の真相に気づかずに参戦していたのは、
あぁ、劉備の所はおチビちゃん達が気づいていた訳でしょうから、そうとも言い切れないわね。
「劉備さん、何を下らない事を言っているのですか、
そんな事も分からないようでは、成り上がり者と、ますます馬鹿にされるだけですわよ」
「そ、そんな・・・・」
麗羽の言葉に、劉備は青くなった顔を、さらに蒼白にさせ、そのまま椅子に座り込んでしまう。
(馬鹿っ、もう少し周りを考えて言いなさいっ)
本来此処では、此方の正当性を劉備に、そして諸侯に言うべきよ。
麗羽は麗羽の考えがあって、劉備に教えてあげたのでしょうけど、この場で、そのような発言は諸侯の反感を買うわ。
『 我等を悪党に貶めるような事を言うなっ 』
ってね。
まぁいいわ、私が反感を買うわけじゃないし、麗羽もそれくらいで、何か思うような神経はしていない。
なら、ちょうど良かったかもしれないわ。
いい劉備、麗羽はこう言ったのよ
『それくらいの事も分からないようでは、この先、生き残れないわよ』
てね。
劉備、貴女の理想は分からない訳じゃないわ。
でも世の中甘さだけでは生きていけないの。
力も、非道さも必要よ。
今回の麗羽の言い分も、ある意味正論なの、
清濁飲み込んで、それでも理想に向かって進む事が出来る者、
そして、その中で本物の力を手にする事が出きた者が、真なる英傑になりえるわ。
劉備、乗り越えて見せなさい。
でなければ、真っ先に私が潰してあげるわ。
「で、白蓮さん、董卓さんの亡骸は確認できましたか?」
「いや、油でも撒いたらしく、あの火の勢いじゃね。 火が完全に鎮火してから確かめてみるけど、おそらく
骨も残らないと思う」
「まったく役に立ちませんわね。 火の中に飛び込んで確認するくらい出来ないのですか」
「無茶を言うなっ」
「はぁ、これだから白蓮さんは・・・・・・・・、 まあいいですわ。
なら張遼さんの証言もありますし、董卓さんは死んだって事ですわね」
本当に張遼の証言どおり、董卓が死んだがどうかは、どうでも良い事、
この連合の目的である、都を占拠していた董卓を倒したと言う事実があれば、それで終わる。
もし張遼の証言が嘘だとしても、部下を犠牲にして、大勢の人間の住む都で火を放ち、死んだ振りをして逃げた事になる。
そうなれば、天水には戻れないだろうし、そのような人物に人が集まる事はない。
なら、政治家董卓が死んだ事に違いは無い。
少なくとも表舞台には二度と立てる事とは無い。
なら、後は天子様の保護と都の復興、そして張遼の処分ね。
もし、誰も引き取り手がいなければ、敵軍の将として処分される。
張遼は、この戦で勇猛さと忠臣である事を示したが、それ以上に主人殺しの汚名を着る事になった。
だけど、そんなものは、張遼の高潔な魂の前に何の意味は無い。
少なくとも、それが分からないような奴に、張遼を仕えさせる資格は無い。
なら、予定とは違ったけど、私が張遼を召抱えるだけ。
「張遼と言ったな、その者、妾が貰い受けよう」
私が言う前に、予想外の所から声が上がる。
「あら、美羽さん、こんな者が欲しいんですの?」
「ええ、そうなんですよ~、袁紹様の所も、そうなのですが、うちもかなりの損害が出てしまいまして、
ただでさえ数の少ない将も、サク~っ、と殺られてしまいました。
そんな訳で、その責任を取って貰おうと思いまして、他の諸侯の皆さんは、一般兵に損失はあっても、
主要な将が討たれた方はいませんから、構いませんよね~」
(や、やられたっ)
張勲の言葉に、私は歯噛みする。
能天気な口調とは裏腹に、その実、同情と牽制を絶妙に織り交ぜ、諸侯に有無言わせない内容だ。
袁術の軍が被害甚大だったのは事実だし、諸侯の中で、有力な将が討たれた所は無い。
馬超と公孫賛は、敵を分断し、砦に押し込む事で、結果的に呂布と張遼の部隊の猛攻から逃れ、私と孫策の所は、最初から相手にしていない。
劉備の所は義勇兵交じりの軍では相手にならないと判断し、三人の掛かりで呂布を押さえようと相手をしただけ、被害は無い。
他の諸侯は、一般兵を盾にして逃げ出した腰抜けだ。
そんな輩を召抱える連中が、主人殺しの張遼を欲しがる訳がない。
現に劉備と私が声を挙げようとしただけで、
他は誰も興味を示さなかったし、中には張遼に侮蔑を向ける者さえいる。
劉備は、負い目から引き取ろうとしたのだろうが、ああ言われては引き下がるしかないし、
そして、それは別の理由で私も同じ事が言える。
張勲、お飾り君主の世話役でしかないと思っていたけど、意外に喰えない人物のようね。
それにしても、二度も機会に恵まれながらも、悉くこの手から零れ落ちる。
ふふふふっ、天は神速の張遼を手に入れるのは、まだ早いと言っているのね。
分かったわ。 今回は諦めてあげる。
でも、あれ程の者、袁には勿体無いわ。
必ず手に入れて見せる。
朱里(諸葛亮)視点:
軍議を終えてからの桃香様は、とても気落ちされていた。
無理も無いです。
黙っていた事とはいえ、あのような形で、事実を知らされるとは、私も予想していなかった。
諸侯の集まる中で、『暗黙の了解』を態々言葉にして言うなんて事は、諸侯に反感を買うだけで、何の利も無い。・・・・・・袁紹さんの奔放振りを甘く見ていました。
本来であれば、噂に踊らされたと言って、今後の反省として、細作に力を入れるようにする、と言って誤魔化すつもりだったけど、桃香様の落ち込み振りから、それだけでは足りそうも無い。
どうしたら良いのかと勘案していたところに、孫策さんの所の使いの者から、桃香様へ書状が送られてきた。
『 真実を知り、それでも理想を失わずに、前を進む勇気があるのなら、気高き魂の家まで来られたし
北郷 一刀 』
桃香様から見せられた手紙には、そう一言だけが書かれていた。
だけど、その短い一文に、桃香様は目に光を取り戻された。
いいえ、前より力強い光が、その瞳に灯されていた。
優しく、慈悲深い瞳はそのまま、
でも確かに以前の桃香様とは違う。
前より気概を感じられる。
これは、王気!?
まだ弱々しいけど、間違いない。
「朱里ちゃん、北郷さんの所へ行こう。
私達は間違いを犯したけど、間違いだったなら、それを償わなければいけない。
それに、私を信じてくれる人達の為にも、此処で立ち止まってはいけないと思う。
だから、前に進むためにも、北郷さんの所に行こう」
桃香様の言葉が、
桃香様の眼差しが、
とても嬉しかった。
やはり、桃香様は私が見込んだとおりの人です。
優しく、慈悲深く、皆を幸せに導いてくれる人です。
今、桃香様は、王として本当の一歩を踏まれたのだと思います。
その背に、背負う物の苦しみを知った上で、理想に向かって踏み出されたのです。
「でも、朱里ちゃん、この気高き魂の家って、どこかな?」
桃香様の呑気な声の質問に、力が抜けるのを感じながら、
「・・・・・・おそらく、張遼さんの家の事だと思います」
・・・・・・・・本当にこの御方は、力の入りすぎた私達を、程よく解してくれます。
私達は、虎牢関の功績で入城一番乗りの権利を手に入れていた公孫賛さんに、無理を言って極少数と言う条件で、極秘に洛陽の町に入れさせてもらった。
顔見知りと言う事と、桃香様が、噂の真偽を確かめたいと言ったため、薄々気がついていた公孫賛さんは、負い目から、その事を許してくれたのでしょう。
洛陽の街は、軍が押し寄せて来た事で、不安の一色で染められていましたが、董卓さんが善政を引いて、復興している様子を伺うには十分でした。
そして、そんな街の様子に桃香様は、改めて現実を突きつけられ、青い顔をされていましたが、それでも、罪の意識に耐え、前を向いて歩いてくれます。
この先にあの人がいる。
正直、それを考えると、怖い。
桃香様を力づけた手紙は、私と雛里ちゃんにとっては、北郷さんの恐ろしさを再確認させるだけのもの、いいえ、それ以上のものでした。
虎牢関で孫策さんの所の兵が、妙な動きをしだしてから、その動きから、今孫策さん達が立たされている立場から、その目的、そして其処からやろうとしている事を、見抜く事が出来ました。
正直、その策を何度も否定しましたが、何度頭の中で、展開をしても其処に行き着きました。
あの人の策は、普通じゃない。
連合の主力たる袁家二つの軍を含む連合軍全体を餌にして、董卓軍に喰わせてしまうなど、普通の人間では、ありえない考えです。
私はもちろん、戦術の天才雛里ちゃんも、その事に顔を蒼白にして震えてしまいました。
私達は、その悪鬼のような思考が怖いと思いつつ、その策に乗る事にしました。
ただ桃香様や愛紗さん達には、詳細は言えず、ただ、『敵軍に動きがあるから、気をつけて欲しい』としか、
そして、孫策さん達の狙い通り、董卓軍は袁術に多大の被害を与える事に成功し、公孫賛さんには、それとなく助言しておいたおかげで、結果的に虎牢関を予想より早く落とす事ができました。
更に張遼さんの事です。
細策の報告では、北郷さんと決闘をし、破れた北郷さんを人質にして、包囲を破ったとの事ですが・・・・・・その張遼さんが、ああして洛陽に居り、そして張遼さんの家にあの人が待っていると言う。・・・・一体どうやって?
やがて、人に尋ねながら、張遼さんのお屋敷に辿り着き、その門を潜ります。
(・・・・・・なんで、こんな立派なお屋敷の門に、あんな可愛らしい絵が張られているんでしょう?)
いえ、今はそんな事を気にしている場合ではありません。
桃香様と私と雛里ちゃん、そして護衛に星さんに付いて来てもらった。
まだ面会した事のない星さんを、あの人に会わすのは、此方の手札を見せる事になるため問題も多いですが、桃香様が同盟を決意された以上、顔を合わせる事も出てくるはず。
なら人物評価に秀でている星さんが、逸早く、あの人を見定めるのは悪い手では無いはずです。
そうして庭を進んでいくと、屋敷の玄関の戸が開き、
「劉備さん、わざわざ御呼び立てして、申し訳ありません。 何もありませんが、どうぞ中へ」
そう、私達を迎えた。
その北郷さんの姿に、雛里ちゃんは私の陰に隠れ、北郷さんを見詰める。
私も、恐怖に負けず、今度こそ北郷さんを見抜こうと、心を奮い立たせ、あの人を見詰める。
カチャ
「まずはお茶で喉を潤しください。 粗末ながら茶菓子も用意いたしました」
そう言って北郷さんは、大きな部屋に通した私達に、自らお茶を淹れ、
二人の侍女が、茶菓子を私達の前に置く。
招いた本人が自ら、茶を振舞う。
この事は敵意がない事を示し、相手に敬意を払う意味では最高の持て成しと言えます。
少なくとも表向きはそう表してきている。
こうなると、此方から失礼な事は言えなくなる。
それは敬意を払って迎えた相手に対して、此方から敬意を失する事になるからです。
やはり、この人は抜け目の無い方です。
あの手紙、そして茶と茶菓子、これだけで、私達は話し合いに応じなければいけなくなった。
それにしても、この場に侍女までがいるとは思いませんでした。
急遽用意した者なのか、侍女は慣れない様子で給仕を終え、後ろの小さな机に座する。
侍女が座って待つのも変ですけど、その服装も変わっています。
とても可愛らしくて似合っていますが、侍女にしてはやや華美に思えます。
それでも侍女に見えるのは、その意匠が微妙の均衡を保っているからでしょう。
その意匠の見事さは、さすが都と言った所でしょうか。
北郷さんは、毒など入っていないとばかりに、まず自ら一口啜ってみせます。
さすがに、其処までやられては、一口も手をつけないのは失礼に値すると思い、桃香様より先に口にします。
「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ)お・美味しい」
口から全身に広がるような、柔らかく包み込むような茶の香りに、
体に染み渡るような、鮮烈で、滑らかな茶の味と、キレの良い爽やかな後味、
ただ一口の茶が与えた衝撃に、私はしばし呆然とした後、私は素直に呟いてしまいました。
私の言葉に、桃香様達も口にし、同じような反応をされています。
御茶酔い
知識としては知っていましたが、経験したのは初めてです。
最高のお茶と水、そして最高の腕が合って初めて成す事が出来るという話ですが、
これ程とは思いませんでした。
そして、そんな私達を、嬉しそうな顔で見守る北郷さんの存在に気がつき、
私は意識を強引に現実に引き戻します。
此処は、一瞬たりとも気を抜いて良い場所ではない。
だと言うのに、気を逸らされてしまった。
私は、気を引き締めなおして、北郷さんを見詰め直す。
もうなにがあっても、気は抜きません。
そんな私の気魄に、雛里ちゃんも我を戻し、
星さんは『無粋な』とばかりに息を吐き出し、本来の目的に戻ってくれた。
「北郷さん、美味しいお茶をありがとうございます。 それで、今日私をお招きした理由とは?」
茶と茶菓子を一口づつ・・・・・・・・・・・・いえ、半分以上頂き、桃香様が、話を切り出されます。
「そうだね、まず確認させてもらいたいんだけど、劉備さん、君が此処に来たと言う事は、この街の真実を知
ったわけだけど、これからどうするつもりなんだい?」
桃香様は北郷さんの言葉に、少し辛く悲しげな顔をするも、直ぐに真っ直ぐと北郷さんを見詰め、
「知らなかった事とは言え、私がした事はこの街の人達にとって、そして董卓さん達にとって許されない事で
す。 この街の人には出来る事はしたいと思いますが、それ以上にこんな事を起こさせない世の中を作りた
いと思います」
「知らなかったか・・・・」
「え?」
桃香様の言葉に、北郷さんは、一瞬此方に視線をやります。
やはり、この人は気がついていた。
そして桃香様事も、今述べた事も、予想していた事。
でなければ、あんな内容の手紙は書けるわけがありません。
この人は何処まで・・・・・・
「いや、此方の事、
この街の事で言えば、はっきり言って君達に出来る事は無いと言うか、止めて置いた方が良い」
「何故ですか?」
「やるべき事がないからだよ。 この街が戦地になった訳でも無いし、悪官達の悪政による荒廃も、董卓の善
政のおかげで復興しつつある。 これ以上は長期的な物になるし、そうなれば此処を占拠する形にならない
までも、諸侯が良い顔しないだろう。 最悪董卓の二の舞に成りかねない。 精々、次の統治者が決まるま
で、警邏を進んでやるぐらいしか、許されないだろうね」
「で・でもっ」
「償いなんて物は一朝一夕に出来るものじゃない。 善政を引いていた董卓に償いたいと言うなら、君が出来
る事で、君の守るべき民を守る事で、償っていくべきじゃないかな?」
北郷さんの言葉に、桃香様は項垂れるしかありませんでした。
やはり、この人は桃香様の思考を見抜いています。
そして、それを踏まえたうえで、桃香様を巧く誘導しています。
今までは、桃香様にとっても良い内容でしたが、何時までもそういうわけには行かないはずです。
早くこの人の目的を見つけなければ・・・・・・、
「それでも、君が董卓に負い目を感じるなら、償いたいと本気で思うなら、提案がある。
と言うかお願いかな」
「私に出来る事なら、それが納得できる事なら、何でもします」
桃香様の言葉に、北郷さんは、何時かの見せたあの目で、深い合わせ鏡のような瞳で、桃香様を、そして私達の心を覗き込みます。
そして、桃香様の言葉に嘘がない事も、その覚悟を見抜き終えたのか、
「なら、後ろの二人を、君の所で匿って上げて欲しい」
北郷さんのその言葉に、北郷さんの目的も、二人の正体も理解できました。
そして、それ故に、私はこの人を恐れた。
一体この人は、何時から此処まで読んでいたのだろうか・・・・・・、
今の状況からして、おそらく汜水関の時から、このために動いていたはず。
二人の侍女の正体は、おそらく董卓さんと賈駆さん。
張遼さんが殺し、天に送ったと証言した二人に間違い無い。
そして、桃香様は負い目から、この提案を拒まないと言うか、桃香様自ら願い出るはず。
だけど、それを許しては、私達は孫呉に対して裏切れなくなってしまう。
いいえ、桃香様の事ですから、此方から裏切る事はありませんが、それでも孫呉に弱みを握られる事になってしまう。
むろん孫呉側にとっても、こうして二人を匿う事を手引きした以上、表立てにする訳にはいかないでしょうが、それでもいざとなれば、白を切る事ができます。
かと言って、私が反対した所で、桃香様は聞かれないでしょうし、
無理を言えば、それこそ桃香様にとって、この事は一生の傷になりかねない。
この席についた時点で、もう決まっていたのです。
そして、少なくとも二人の事が、たとえ世間に公になっても、問題が無いくらい力を手にするまでは、私達は孫呉と運命を共にしなければいけなくなってしまった。
私はその事に、手遅れになるまで読めなかった、自分の力の無さを悔やみます。
今までに、それなりの情報はあったはずです。
張遼さんの存在と遺体の残らない火葬。
張遼さんの家に居る北郷さん。
そして、給仕に慣れていない二人の侍女。
なのに、北郷さんに注意するあまり、見逃してしまった。
ぎゅっ
私は悔しさのあまり、無意識に手を握り締めてしまいます。
「御想像の通り、二人の名は董卓と賈駆、本人だ」
「えっ、えーーーーーーっ、でも亡くなられたって、えっ? えっ? もしかして、ゆ・幽霊?」
北郷さんの言葉に、桃香様ただ一人が、驚きの声を挙げます。
・・・・・・桃香様もう少し状況を読まれる目を養われた方が・・・・・・、あっ、北郷さんもさすがに、桃香様の反応は予想外だったのか、困った顔で頬を掛かれています。
以外に可愛い反応をする方です。 って、そうじゃありません。
「桃香様、あの・・・・・・・・」
桃香様に、状況を説明すると、桃香様は少しだけ胸の重みが取れたように微笑み、
「董卓さんと賈駆さんだね。 はじめまして、 こういう事になっちゃったけど、二人の事は私達が責任もっ
て匿わせていただくから、安心して欲しいかな」
予想通りの桃香様の言葉に、董卓さんは少し困ったような顔で微笑み、 賈駆さんは苦笑を浮かべながら、
「よろしくお願いいたします」
「不安が色々残るけど、よろしくお願いするわ」
そうして、名を呼ぶわけにはいかないため、真名を交換し合う事になり、落ち着いた頃合を見計らって、私は、北郷さんに聞きだします。
「なぜ、私達の所なのですか?」
そんな分かりきった質問。
でもその事で、桃香様には、星さんには、この人を警戒してもらわなければいけない。
そして、この人の思考を少しでも知らなければいけない。
だけど、北郷さんから語られた言葉は、私の想像から大きく外れるものでした。
「俺の所と言うか孫呉は、知っての通り色々複雑な立場でね。 監視の目も多い。
その点、劉備さんの所なら、安心して二人を預けられると思ったからだよ」
同盟をちらつかせる事も、桃香様の優しさを逆手に取るような事を一言も述べずに、そう言ってきた。
そればかりか
「今回事は、俺の独断でね。 まぁ、ばれているとは思うけど、一応内緒にしてくれると助かる。
それと、此方から無理をお願いするのだから、書き掛で申し訳ないけど、これを受け取って欲しい」
等と、孫呉の同盟とは関係がないと言い切った。 そして、そう言った以上、二人の事で孫呉は、私達を脅す事は出来なくなると言うのに、・・・・・・何故?
桃香様は渡された本を、私に内容を確認するように促す。
「たいした内容じゃないけどね。 それでもそれが在ると、それなりに助かるんじゃないかな」
北郷さんの言葉を聞きながら、本の頁めくりながら、簡単に目を通していく・・・・・・・・・・、
たいした内容じゃない、なんてとんでもありません。
中は、旅をする上での病気を防ぐための様々な手段と、掛かった時の対策、
そして、怪我をした時の処置や注意が、素人でも行える様に細かく書いてあります。
ただ旅をするにしても、暑さや寒さを防ぐ方法だけではなく、様々な知識が書かれています。
そして何より驚くべき事は、その大半が私の知らない知識で、そして考え方で書かれている事です。
そのあまりの内容の高さに、私は眩暈を覚えるも、この本が如何に有効で、価値があるものか理解する。
これがあれば、軍事行動において、病に倒れる者や死ぬ者が確実に減る。
それは、余所から見れば、私達の軍が精強で、生き残れる軍と映るに違いない。
そうすれば、人も金も集まりやすくなるし、早く力をつける事が出来る。
軍を増強するもう一つの手段として、兵を減らさない事で、増やす以上の効果を示してくれます。
この人は、根本的に、私達と考え方が違う。
そして、その知識は未知・・・・・・・・、
怖い
私は、この人の事を知ろうとして、
覗いた先が、何も見えない暗闇でしかない事を知ってしまった。
水鏡学園では主席で、学園始まって以来の才だと言われた。
大陸でも、並ぶ者は少ないとさえ言われた。
でも、それはとんでもない勘違いです・・・・・・・・世の中には、こんなとんでもない人が、名を知られずに居る。
もしかすると、他にもたくさん居るかもしれない。
そうしたら私は・・・・・・・・、私達は・・・・・・、
雛里(鳳統)視点:
北郷さんの本に目を通してから、朱里ちゃんが酷く怯えるようになった。
その目にはハッキリと、恐怖が映し出されている。
私も、北郷さんの本には簡単にだけど目を通した。
確かに、その内容には驚愕するし、その知識を持つ北郷さんに恐怖する気持は分かる。
今、朱里ちゃんは、自分より上の存在に遭遇し、その影に怯えているのだと分かる。
朱里ちゃんの感じている恐怖は、私が昔、朱里ちゃんに感じたもの。
その恐怖から逃れるために、殆どの人は、憎悪するか屈服する事を選ぶ。
だけど、私は朱里ちゃんとお友達になれた事で、別の道がある事を知った。
そして、そのおかげで、私は少しだけ強くなれた。
だから今度は朱里ちゃんの番。
私は朱里ちゃんが、間違った方向に行かないように、優しく手を握る。
私は朱里ちゃんとは違う。
朱里ちゃんに、勝てるものなんて、何も無い。
ただあるとしたら、私が、自分より優秀な人を何人か見てきた事、
時には才能の差に絶望した事もあった。
でも私はそれを乗り越えて来た。
だから、この人の才能に恐怖するあまり、思考を閉じ込めてしまう事もない。
相手が自分より上ならば、それを踏まえた上のやり方を探せばいいだけ。
汜水関で孫策さんと面会した後は、北郷さんの才能に怯えたけど、おかげで、少しだけ耐性も出来た。
その本当の理由は、あの人の暖かな笑顔と、真っ直ぐな瞳を見たおかげだった。
そして、この本を観た事で、私は朱里ちゃんとは違い、この人に対する恐怖が、ほぼ無くなった。
この人が今まで行った策も、こうして会っている事も、月さんと詠さんの事も、その本の事でさえ、朱里ちゃんは、まだ勘違いしている。
確かに、この人は恐ろしい程先を見通せるし、頭の回転も速い上に、私達の知らない知識を所有している。
こうして、自分の思うとおり事を進める手腕からして、朱里ちゃんが恐怖する気持は分かる。
でも、この人は、恐怖すべき人じゃない。
最初に私が思ったとおり、優しい人なんだよ。
桃香様と同じように、 いいえ、もしかするとそれ以上に、ただ優しい人なんだよ。
気がついて朱里ちゃん。
朱里(諸葛亮)視点:
・・・・・・暗いよ、
・・・・・・・・・・苦しいよ、
どうしたら、この人に、勝てるのだろう。
幾ら、想定し展開しても、答えが見つからない。
あの、全てを見透かすような目から、逃れられない。
目を見られないようにすれば、・・・・・・だめだ、もう私の思考は知られている。
桃香様も、愛紗さんも、雛里ちゃんも、鈴々ちゃんも、知られている。
星さんも、言葉は交わしていないけど、知られてしまったと考えた方が良い。
・・・・・・・・手札が無い、
どうしたら、・・・・・・・・・・この人に、
・・・・・・・・そうだ、同じ舞台だから駄目なんだ。
軍師として戦おうとするから、駄目なんだ。
なら、武力でなら、
言い訳なんてどうとでもなる。
それなら、あの人に勝てる。
きゅっ
ふと、暖かい何かが私に触れる。
暖かい何かが私の手を握り、冷え切った私の心を暖めてくれる。
手から伝わるのは、温もりだけじゃない。
これは・・・・・・・・優しさ。
私を心配してくれる、暖かいもの、
雛里ちゃん?
雛里ちゃんの優しい心が、温もりが、私を闇から引き上げようとしてくれる。
そして、その優しさが、私にある事を気がつかせてくれる。
雛里ちゃんの手に、温もりに導かれるように、
私は思考が鮮明になっていくのが分かる。
恐怖で、狭くなっていた視界が広くなっていくのが分かる。
そうやって、最初に目に映ったのが、
私を心配そうに見守っている、暖かい眼差しをしたあの人だった。
私の苦しんでいるのを見抜き、自分の事のように心配している優しい目だった。
(この人は本気で私の事を心配している。)
そして、その思いが、私の心を軽くしてくれた。
私、この人の事を、勘違いしていた。
この人は桃香様と同じ、・・・・・・とても優しく、仁徳ある人。
その突出した能力に目が行ってしまい、気がつく事が出来なかった。
雛里ちゃんが気がつかせてくれた。
やはり、雛里ちゃんは強い娘です。
その才は私に及ばなくても、その強さで、それ以上のものを導き出してくれる娘。
そして、最高の親友です。
雛里ちゃんの導きで、この人の本質に気がついた私は、今までの北郷さんの行動を見直してみた。
そう考えれば、色々納得が出来る事も多い。 裏を返せば、さっきのように考える事できるけど、それもこの人の立場から考えれば、そう見せねばいけない事だと理解できる。
それよりも、素直に、優しさがこの人の行動原理と考えた方が、納得がいく。
なにより、あんな優しく、真っ直ぐな目は、私が恐れていたような人には出来ない。
恐怖は、あんなにも目を曇らせるのだと、
そして、その恐怖に捕らわれ、考えていた事に、私は自分が恥ずかしくなった。
この人は、本当に無実の罪の月さん達を助けたいから助け、
その事に負い目を感じるであろう桃香様に、救いとして、二人を預けたんだ。
そして、二人を助ける手助けとして、私達が力を得やすいように、この本を預けたのでしょう。
無論、其処には同盟国としての計算も入っているでしょうが、
それでも、その根本にあるのは、優しい人だからなのだと、今なら分かります。
だってその証拠に、私が元気を取り戻すと、安堵の息を吐いているからです。
大事な会談の場だと言うのに、この人は、・・・・・・・・ふふっ
あまりの、のんびりさに、思わず笑みが零れてしまいます。
たしかに北郷さんの能力は、恐ろしいものです。
ですが、その根幹にあるのが、こういった優しさなら、そう問題はありません。
敵対した時は恐ろしいですが、同盟を組んでいる以上それはありませんし、
孫策さんにしても、この人にしても自分から、裏切るような真似はしない人です。
なら、心強く思っても、今すぐ不安に思う事は在りません。
その間に、力をため、この人に負けないようになれば良いだけですし、
相手が上なら、それなりのやり方と言うものがあるはずです。
それに同じ舞台で戦う必要は無いはずです。
でも、今はそんな事より、素直に喜ぶ事にしましょう。
桃香様の成長を、
月さん達が生きて私達の仲間になった事を、
そしてこの人が、優しい人だった事を、
私は桃香様に、この本の内容がどれだけ価値あるものかを簡略説明すると、
「そんな凄い物なの!?」
桃香様が驚かれるのは分かりますが、おそらく桃香様が思っている以上の価値が、この本にはあります。
この本の内容に比べたら、私達の持つ知識はとても未熟。
そして、それ故に、この本に書かれた知識は、金山に匹敵する価値があります。
そうなれば当然、桃香様は、
「北郷さん、お気持は嬉しいですが、月ちゃん達の事は私にも責任ある事。
なら、ただでこんな物を貰うわけにはいけません。 何か私達に出来ることがあれば、言って下さい。
それが代価になるとは思えませんが、それを代価にして返して行きたいと思います」
桃香様の言葉に、北郷さんは小さく息を吐き、此方を一瞬見た後(すいません桃香様が分かってなくて)、
「月達を守りきるには、力が要る。 それはそのためのもの、・・・・・・と言っても、納得してくれないかな、
じゃあ一つ、これからする無礼を許してくれ、それを代価とさせてもらう」
「へ?」
北郷さんはそう言うなり、腰を挙げて此方に近づいてくると
パンッ
自分が何をされたのか、理解できなかった。
だけど、部屋に響いた甲高い音が
痛みに痺れた頬が、
いつの間にか横を向かされた顔が、
私が叩かれた事を、理解させた。
・・・・・・何・・・・故?
痺れた頬に手を当てながら、
私は、呆然と、私の頬を叩いた人を見上げます。
その人は、苦しそうに、そして悲しそうに、私を見下ろしていた。
その表情から、その瞳から、叩かれた私以上に、心を痛めているのが分かります。
「済まない。 俺がやるべき事ではない事も分かっている。
だけど諸葛亮、君は叩かれる覚えがあるはずだ。
君の使える主に、そして、その主を信じて付いて来てくれる人達に、君はしてはいけない事をした」
ビクッ
北郷さんが、何の事を言っているのか、何に怒っているのか、私は理解できた。
「何故、自分で信じた主を信じない。
確かに劉備さんは現実が見えていない所があるけど、それを教え導いていくのが君の役目だろう。
理想を持って進む主を暗愚にするも、聡明な仁徳者にするも、君達しだいじゃないのか」
北郷さんの言葉が、私の目の背けていた事実を、無理やり目の前に突きつけます。
「そして、最悪なのは、無自覚に罪を犯させた事だ。
少なくても君のお姉さん、翡翠は罪は罪として、覚悟して背負う事を教えたはずだよ」
いつかの姉様の言葉が、
北郷さんの言葉が、
私の隠していた罪を暴き、
二人の悲痛な想いが、
私の心を剥き出しにします。
そして、剥き出しにされた心は、脆く、弱い。
次第に視界が滲み、やがて、川が決壊するように、
我慢していた罪の意識と共に、苦しい想いと共に涙が溢れ出し、
私はその場で泣き出してしまった。
ぽんっ
頭の上に優しく暖かい手が置かれ、
僅かな重みから伝わる、温もりと優しさが、呼び水となって、
私は目の前の人に、泣き叫んでしまった。
桃香様を説得する時間がなかった事。
皆を騙しているようで苦しかった事。
何時ばれて糾弾されるかと怖かった事。
今力をつけるために動かなければ、桃香様や私の夢が断たれてしまう事。
そして何より、桃香様達に、悪人と信じ込ませて、戦に巻き込まなければいけなかった事。
苦しかった事全て、泣きながら叫んでしまった。
だけど、この人は、その間も、ただ優しく、頭を撫でてくれた。
『今だけは、もう我慢しなくてもいいんだと、頑張ったんだと』
そう言っているかのように、私が泣き止むまで、優しく私を包み込んでくれました。
私は、胸に、いえお腹に抱きつくようにしていた手と顔を離し、
涙を拭いながら、桃香様の方を向きます。
ぽんっ
今度は、そんな音と共に私の背中を、あの人の暖かい手が押してくれます。
その手から伝わる温もりに、優しさに、さっきの事も有って顔が熱くなるのが分かります。
でも、今はやるべき事をしなければいけません。
「桃香様」
「えっ、あっ、朱里ちゃんもう大丈夫なの?」
「はい、ご心配をおかけしました。
桃香様お聞きください。
もうご存知でしょうが、此度の連合の結成前より、月さん達の噂が出鱈目である事は分かっていました。
ですが今回の事で桃香様には、どうしても力を付けて貰わねばならなかった為、
私は主である桃香様に、その事を隠す事を決めました。
雛里ちゃんも知っていましたが、私の指示で黙っておくようにお願いしました。
桃香様や皆さんに、騙して罪を犯させた責は、全て私にあります。
如何様にも罰しください。
ただ望むならば、どのような形であれ、桃香様のお力になりたいと思います」
私は、桃香様に全てを告げた。
悔いはあるけど、後悔はありません。
清々しい気持で、今の自分を見詰める事ができます。
私の勝手な想いが、桃香様を歪める所だった。
それは桃香様を信じ切れていない、自分が招き寄せた私の弱さ。
ふふふふっ、そうですね、自分の弱さに目を背けていたら、何も見えなくなって当然です。
そういう点では、私は天才なんかじゃない。
雛里ちゃんの方がよっぽど天才だ。
自分の弱さを認め、それを補う手段を、次々と考える。
でもあんな性格だから、色々な物に怯えてしまうけど、
それでも雛里ちゃんは、頑張っている。
生来の才能に胡坐を掻いていた私と違い。
自らを磨き続ける事の出来る本当の才能。
今回は、それを思い知らされた。
そして、それを知る事が出来ただけでも良かったと思える。
だから、後は桃香様達の裁断に身を委ねるだけです。
「朱里ちゃん御免なさい」
ガバッ
桃香様は、私の言葉に、私を抱きしめます。
「私が、我が儘ばかり言っているから、朱里ちゃんを苦しめていたなんて、全然気がつかなかった。
朱里ちゃんが悪いんじゃない、全部私が悪いの。
私が情けない君主だから、朱里ちゃんがあんなに苦しむ事に・・・・・・、
御免なさい。 朱里ちゃん御免なさい・・・・・・・・・御免なさい、・・・・・・・」
本当は私が悪いのに、桃香様は、自分の責任だと、心を痛まれます。
あぁ、やっぱりこの人を選んでよかったです。
心優しき、仁徳深き我が王、・・・・・・・・・・何処までも、付いていきます。
「御免なさい・・・・・・めんなさい・・・・・・・さい・・・・・・・・」
安心したのか、なんか、意識が・・・・・・・・・、
・・・・・・・・
ガバッ!
「・・・・・・・はっ」
突然体が浮くような感じと共に、私は意識が鮮明に戻っていくのが分かります。
「劉備さん、感動している所悪いけど、その、なんというか、その胸で酸欠で気絶しかけていたから・・・・・」
桃香様は、上から聞こえてくる北郷さんの声に、
「あはははっ、朱里ちゃん御免ねぇ~」
と胸を両手で隠しながら謝ってくる。
ああ、あれはそういう事だったんですか、桃香様の心が嬉しくて気がつきませんでした。
そう言えば、桃香様の顔がいつもより低い所に・・・・・・
「はわわっ、はわわわわわっ・・・・大丈夫でしゅから、お・降ろしてくだしゃい」
私の体が、北郷さん抱きかかえられている事に気がつき、私は慌てふためいてしまいます。
北郷さんは私の体をそっと降ろすと、
「大丈夫?」
「ひゃ、ひゃい、だ・大丈夫ですから、お気に召されず・うぐっ」
男の人に抱きかかえられていた事に、私は耳まで赤くしながら、慌てふためき舌を噛んでしまいます。
そしてそんな私に、北郷さんは更に心配そうに、優しい笑みを浮かべながら、
「口の中切っていない? 見せてみて」
「えっ、あの・」
ドゴッ
「ぐっ」
「あんたはこっち来なさい。 其処に居たら話が進まないでしょっ!」
「詠、なんでいきなり蹴ってくるんだよ。 俺はただ心配を・」
「その心配が今は余分だって言っているのよっ!
いいからあんたはこっちで、大人しく座ってなさいっ!」
北郷さんの優しさに、おたおたしてしまっている私を、詠さんが助けてくれました。
詠さんは北郷さんを引き摺る様に、元の椅子に座らせると、面白くないような顔で、元の席に戻られます。
私は、跳ね上がる胸の鼓動を抑えながら、落ち着けようと大きく息を吸います。
北郷さんのお気持は嬉しいですが、やはりその順番と言うものが・って、はわわわっ、違います。 そんな事考えていません。
私は、またもや無意味に慌てふためく心を、何とか抑えた頃、
「朱里ちゃん、これからも力を貸して欲しいの。
私は、何も力を持たないけど、それでも、強くなっていきたいと思う。
だからって、私が何か出来るとは思えないけど、お友達と相談していけば、きっとやれる事が増えるはず。
それに、情けない所や間違った所があったら、どんどん言って欲しいの。
もちろん、今回みたいな、事も言ってほしい。 きっと何かいい方法が見つけれたかもしれないから、
時間が無いなら無いで、きっと何かやれる事があったはず。 北郷さんがそれを証明してくれた。
だから、改めてお願いするね。 朱里ちゃん、多くの人を助けるために、皆が笑って過ごせる世の中にする
ために、これからもお友達として力を貸してください」
桃香様は、そう頭を下げる。
罪を犯した私に、『赦す』と、『そして力を貸して欲しい』と、
『夢を叶える為に、一緒に歩こう』と
そう言ってくれた。
この人は、私が考えるより、強い人です。
私が全部間違えていました。
この御方と一緒に歩いて行きたい。
だから、
「ありがとうございましゅ・・・・・・・」
私の視界は、
桃香様の顔を涙で滲ませながら、
わたしは、桃香様に、
そして、北郷さんに、
心より、感謝しました。
私が、再び泣き止んだ頃、
北郷さんは、もう一度、今度は月さん達の分も含めて、お茶を淹れ直します。
そして、美味しいお茶を頂き、落ち着いた所に、
「劉備さん、君の所の家臣に手を上げてしまった事、心よりお詫びします」
北郷さんは、席を立ち、頭を深く下げてきます。
「そ・そんな、頭を上げてください。 元はと言えば私が悪かったんですから」
「いや、例え理由があったにしろ、一方的に女性に手を上げたのは事実だし、ましてや他国の重臣に手を上げ
たからには、きちんと謝罪をしなければ・」
二人は、お互いが己に非があると譲り合いません。
そこへ
「北郷殿、どうか桃香様の御心を、御酌みくだされ」
今までずっと黙って、様子を伺っていた星さんが、二人を止めに入ります。
「我らは貴方に感謝こそすれ、恨む事など何一つありませぬ。
朱里が叩かれたのは、最初こそ驚きましたが、事情を知れば、むしろ当然の事。
そもそも、今回の事は、私ももしかしてはと、疑念に思っておりました故、責は私にもある。
つまり私も裁かれねばならない身、そんな私が言うのも恥ずかしい事ですが、
北郷殿は、そんな我等を正し、導いてくれた御方、言わば恩人。
そんな恩人に、頭まで下げられては、我等はどうしたら良いか分からなくなってしまう。
どうか、そんな我等を想うて、この通り引いてはくれませぬか」
そう、星さんは、北郷さんに、頭を下げます。
北郷さんは、星さんの誠意に、済まなさそうな顔をして、引いて下さいました。
「もう少し貴女達の事を考えるべきだったな。 ところで貴女は、もしかして趙雲さんかい?」
「おぉ、名乗りもせず失礼した。
御慧眼どおり、姓を趙、名を雲、字を子龍、真名を星と申す」
「いいのか、真名まで?」
「構わぬよ。 むしろ受け取って貰いたい位ですぞ」
「あー、じゃあ私も・・・・・・・・・」
と、星さんが真名を預けた事で、桃香様も乗り気になり、
結局、その場にいた全員が、真名を北郷さんに預ける事になりました。
北郷さんに、字と真名が無い事には驚きましたが、そういう部族も少しですがあるので、北郷さんもその出身なのかも知れません。
「じゃあ俺はこれで、月、詠、元気でな」
「はい、この御恩は忘れません」
「ふん、一応感謝はしておいてあげるわ」
そう、言い残して部屋を出ようとした所に、
「そう言う訳だから、明命一緒に帰ろうか」
「はあぅっ」
北郷さんの言葉に、天井裏から、驚声が聞こえてきました。
「じゃあまたね」
そう言って最後に、いつか雛里ちゃんが言ってた様な、
暖かい日差しのような笑顔を、
今までに見た事も無い素敵な笑顔を、
私達に向けてくれました。
北郷さん達がこの屋敷を出ていき、
動悸を鎮めてから、私達は、改めて今後について軽く話し合いをします。
「お二人には、北郷さんの提案通り、桃香様付きの侍女と言う事になって貰います」
「それは構わないけど、いいの? もしかしたら、桃香の寝首を掻くかもしれないわよ?」
「その辺りは、お二人の事を信用しているので、大丈夫です」
「はぁー、よく見ているわね。 来た時の怯えようが嘘の様だわ」
「はわわわっ、そっ、それはその」
「詠ちゃん駄目だよ。 お世話になるんだから、そんな意地悪を言っちゃ」
詠さんの言葉に、恥ずかしさに身を縮み込ませる私を、月さんが助けてくれました。
ですが其処へ
「はっはっはっ、たしかに、最初の朱里と雛里の怯えようから、どのような人物かと興味を持ちましたが、
蓋を開けてみたら、中々気持ちの良い御仁で、何故このような人物に怯えるのかと、逆に驚きましたぞ」
「はわわわっ」「あわわわっ」
星さんが、その事で再び私と雛里ちゃんを虐めてきます。
「星、そう言うものじゃないわよ。 あいつの怖さが分かるって事は、それだけ優秀だって事よ」
「ほう、それ程ですか」
「悪いけど、これ以上は話せないわ。
桃香達には感謝しているけど、同じようにあいつにも感謝している。
だから、あいつを売るような真似は出来ない。 知りたいなら自分で調べて頂戴」
「ふむ、たしかに、今のは詠達の立場を考えない失言でしたな。 どうか許されよ」
星さんは、詠さんの言葉に引きましたけど、正直私は聞きたかったです。
あの人がどんな人なのかを、
少なくてもこの二人は、私達よりあの人の事を知っています。
でも、無理にこの二人に聞くのは、憚れます。
そして、そういう事をすべきでは無い、と言う事は分かります。
今は味方ですか、いつか敵に回る事もありえます。
そのためには、やはり情報収集は欠かせませんね。
予定通り、帰ったら、あの人の事を調べるよう細作を放つ事にしましょう。
そう言えば、あの人は姉様の事を知っていました。
同じ孫呉の軍師ですから、知っていて当然でしょうけど、
姉様が男の方に、真名を許しているとは、正直意外です。
・・・・・・・・そう言えば私も、父様以外の男の人に、真名を授けたのは今回が初めてでした。
男の人か・・・・・・・・・・、
暖かくて、優しく大きな手でした。
真っ直ぐで、とても優しい目
そして、それ以上に優しくて、力強い人。
何処か悲しそうだけど、とても暖かい笑顔をお持ちでした。
姉様は、あんな素敵な笑顔を、いつも見ているのでしょうか?
「はわわっ」
とても恥ずかしい事を考えていた事に気づき、私は頭を横に振って、今考えていた事を追い出します。
今考えるべき事は、この二人を守り、そして桃香様に王として成長してもらいながら、力をつける事です。
そうでなければ、夢を叶える事も、あの人が託してくれた想いも、守る事が出来なくなります。
そうですね、私一人でやる必要は無いです。
雛里ちゃんも、愛紗さんも、星ちゃんも、鈴々ちゃんもいる。
皆で力を合わせて、其処に住む人達が、笑って過ごせる様な国を作るんです。
それが私の願いですから
つづく
あとがき みたいなもの
こんにちは、うたまるです。
第41話 ~ 疑惑の海に舞う想い -後編- ~を此処にお送りしました。
まずはお詫びを、予定していた明命視点ですが、朱里視点が、予想より大幅に増えてしまったため、
次回に回す事にいたしました。 明命視点を楽しみにしていた皆様申し訳ございません。
今回の文章量は、いつもの倍近くあったりします(汗
さて、月達を助ける手段は、読めてた方も居ると思います。 これは、董卓が都から逃げ出す際に、都に火を放ったエピソードから来ていますが、今作品では、董卓の家だけを焼く話にしました。(まぁこの事を袁紹や各諸侯は正当性を持たせるため、董卓が道連れにするために都に火を放ったと噂を放つ事になるのですが)
霞は月達守るため、自ら主人殺しの二つ名を被る事になりましたが、彼女の物語はこれで終わるわけではありません。 袁術の所に引き取られる事になりましたが、彼女がそこで繰り広げる物語はどうなっていくのでしょうか・・・・・・・・、まぁそれはさておき、霞が袁術の所に行くとは、どれだけの人が予想していたか、密かに楽しみにしていたりもしていました。
そして、今回のお話のヒロインは、間違いなく、恋姫無双における呂莉伽羅代表、朱里です。
彼女の闇に落ちようとする姿、そして、親友の力で、その闇を振り払い、一刀の優しさに気づく事の出来た彼女の物語でしたが、如何でしたでしょうか? 朱里の頬を叩いた場面なんかは、賛否両論在ると思いますが、この世界の一刀は、人を殺す事を真面目に考えている故に、そして翡翠の妹故に、彼女の過ちを正したかったのだと思っています。
そして書き終えてまず思ったのが、俺そのうち、あの二人に殺されるんじゃないかな?
と本気で思ってしまいました(汗
さて、次回こそは、前回から含めた裏舞台を、明命の目を通して描く予定です。
では、頑張って書きますので、どうか最期までお付き合いの程、お願いいたします。
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『真・恋姫無双』の二次創作のSSです。
明命√の作品となります。
ついに、一刀の董卓を救う策が明かされる。
霞はどうなるのか?
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