第九章「三羽烏」
「北郷様ここは我々がしますので、無効で休んでてください」
「ダメだ。これは俺が出した案なんだ。最後までするよ」
「しかしですね、将軍様が畑仕事をしていたら他の兵達も気を使います」
「いいんだよ。それより早くこの土地を耕そう。民達が餓死しないように」
「わかりました。野郎ども気合入れるぞ」
「「「オオ~~~~~~」」」
兵達は気合を入れなおして荒れた土地を耕せていった。一刀が華琳に屯田制を取り入れてもらったのだ。兵達の筋力増加と荒れた土地の開拓を理由に。
「一刀。頑張っているわね」
「華琳か、何しに来たんだ」
「実は、風を借りに来たの」
「風を」
「そう。実は今しがた都から軍令が届いて黄巾党を倒しなさいって。そしてある街に黄巾党が集まりつつあるから、秋蘭と流琉を行かすのだけど軍師が居なくて」
「わかった。風に言っておく」
「出発は一刻後よ。それまでに呼んでおきなさい」
「へいへい」
「頼むわよ」
華琳は城に戻っていった。
「北郷様ここはいいので、程昱様を探しに行ってください」
「・・・わかった。ここは頼んだよ」
「御意」
一刀は風を探しに待ちに戻っていった。この時間帯風が何所にいるか一刀は見当が付いていた。
「風いるか?」
「なんですかお兄さん」
「実は、秋蘭と流琉が出陣するんだけど軍師が居ないから、風も一緒に行ってくれないか」
「いいですよ。その代わりに、帰ってきたら風と閨を過ごしてください」
「えっ!」
「嫌でしたら風は行かないのです」
「・・わかった。約束するよ。そのかわり、ちゃんと帰ってこいよ」
「お兄さんが約束守るなら風も守りますよ」
「それじゃ、城のほうへ戻ってくれ」
「了解です~」
風は持っていた猫を置いて城のほうへ向かった。一刀は畑へと戻っていった。
「報告があります」
「なんだ、言うてみろ」
「はっ、街に集まりつつ黄巾党が攻撃を仕掛けてきて、増援を要求して欲しいとの事です」
「なですって」
玉座に居る将達が驚いた。
「それで数は?」
「およそ、三万です」
「春蘭。今すぐ兵達を集めなさい。桂花は兵糧の準備。本体は私が率いるわ」
「「御意」」
二人は慌ただしく部屋を出て行った。
「華琳。俺は何するんだ」
「一刀には先陣部隊を率いてもらうわ」
「つまり俺は、速さが勝負ってわけね」
「そうよ。いち早く秋蘭と合流して頂戴」
「わかった」
「じゃ、行くわよ」
華琳と一刀達は即座に玉座を後にした。
「夏候淵様。東門の防壁が一つ突破されたのー」
「西門の第一防壁も、もう限界ですね」
「秋蘭様どうしましょう?」
「まずは、西門の第一部隊は交代させろ。もうすぐ、華琳様が増援を送ってくれるはずだ」
「わかりました」
「わかったなの」
「三人ともすまないな。我々だけならもうすでに遣られていた」
「いえ。我々も夏候淵様が来て下さらなかったら。こっちが、やられてました」
「せや、うちら義勇軍だけだったら、こんなにもたんかった」
「そうなのー」
「報告があります」
「どうした」
兵士が傷だらけになって報告しに来た。
「東門第二防壁が破られました」
「なんやて、東の最後の防壁は材料がたりんくて、あやふやに作ったのに」
「どれくらい持ちそうなんだ」
「よくて、一刻が限度やな」
「それまでに、増援が来ればいいのですが」
「そうだな。いや、絶対にくるな」
「その、根拠を教えてください」
「女の勘かな」
「勘ですか」
「ああ、あいつは絶対に来る」
秋蘭は空を見上げてそういった。
「急げ。なんとしても、秋蘭達と合流するぞ」
「一刀様。少し早すぎます。これじゃ、兵達が疲れきってしまいます」
「しかし」
「一刀様。今は稟さんの言うほうが正しいのです。今兵達を疲れさせてしまえば、秋蘭さん達の足手まといになるだけです」
「・・・わかった」
一刀は稟と万里に説得させられ馬の速さを落とした。
「それで後どれくらいだ」
「あと、十里ぐらいでしょうか、先に偵察部隊を送りましょう」
「わかった。人選は稟に任せる」
「御意」
「万里。兵達の疲れは」
「大分回復したみたいです。これなら、のこりは駆け足でも大丈夫でしょう」
「よし、偵察隊が帰ってきたらすぐさま移動開始だ」
「御意」
稟は偵察部隊を出し、帰ってきた。
「報告します」
「街の様子はどうでした」
「はっ。街の周りは黄巾党に完全に包囲されています。街の中では、夏候淵将軍が戦っている模様です」
「わかりました。あなた達は本隊が来るまで休んでてください」
「御意」
「それでは、一刀様」
「ああ。聞け、魏の兵達よ。今我々の仲間が十里先で戦っている。仲間を助け黄巾党を殲滅するぞ」
「「「オオ~~~~~~^」」」
「全員駆け足」
一刀の号令で魏の兵達は駆け出した。
「夏候淵様。西の方から砂煙が見えるの」
「なに、敵の増援か」
「いえ。あれは白い十文字です」
「一刀か」
「お兄さんですね~」
「味方ですか」
「ああ。皆のもの増援が来たぞ」
「おお。天の御遣い様だ」
「御遣い様が来たら怖いものない」
一刀が来たとわかって、兵達の士気が戻っていった。
「稟・万里。ちゃんと付いて来いよ」
「もちろんです」
「おおせのままに」
「突撃~」
一刀達は西門に向かっていった。黄巾党は何事かと混乱して、一刀達が通った後には死体のみが転がっていた。
「秋蘭・風・流琉。助けに来たぞ」
「助かったぞ。一刀」
「少し遅いですよ~お兄さん」
「兄様。ありがとうございます」
「凪ちゃん。真桜ちゃん。見てみて、天の見遣い様なの。かっこいいの」
「そうやな~。・・凪?」
「・・・・」
「凪ちゃんどうしたの?」
「・・・」
「凪?」
「はっ!」
「凪ちゃんも乙女なのー」
「沙和。戦闘中だぞ」
「見とれてた。凪ちゃんに言われたく無いのー」
「そやで~凪。こんかいわ凪が悪いで」
「秋蘭。あと、半刻で華琳達の本隊もやってくる。それまで、持ちこたえるぞ」
「わかった。しかし、それまで黄巾党が残っていたらいいが」
「そうだな。それじゃ、俺は東門の方に行くから西門は頼んだよ」
「わかった」
「稟と万里はここで風の補佐してあげて」
「「御意」」
「行ってくる」
「一刀。気をつけてな」
一刀は親指を立てて、走り出していった。
「さて、我々も仕事をしよい」
「「「御意」」」
半刻後
華琳達本隊が着いた時、黄巾党の姿が無かった。一刀達が西門に突撃したせいで黄巾党は大混乱をして、そのまま逃げていったのである。
「しゅうら~ん。無事でよかった」
「姉者。わかったから、もう放してくれ」
秋蘭が無事だとわかったとたんに春蘭は秋蘭に抱き付いていったのであったが、華琳の目の前とあって、すぐさま春蘭を引き離したのであった。
「お疲れ様。大変だったわね」
「いえ、彼女らと一刀のおかげで助かりました」
「そう。それで、その子達はどうしたの?」
「はっ。この者達は右から楽進・李典・于禁と言いまして、我々が来る前に義勇軍を作って立て篭もっていました」
「そう。楽進・李典・于禁。あなた達私の元で働かないかしら」
「「「なっ!」」」
「大事な秋蘭達を助けてもらったもの、それになかなかの猛者とみたわ。どうかしら」
「どうすると言われましても」
「私は賛成なのー」
「そうやな。わいらだけなら無理があるけど。曹操様となら出来るとおもうで」
「そうだな。曹操様。我々はあなた様の元で働きます」
「それじゃ、私の事は華琳と呼びなさい」
「真名を預けてくれるとは、私の名は楽進。真名を凪と申します。華琳様にこの命預けます」
「李典や。真名の真桜で呼んでくれてええよ。これからよろしゅう」
「于禁なのー。真名は沙和って言うの。よろしくなのー」
「凪・真桜・沙和ね。これから、私の覇業のために頑張りなさい」
「はっ」「はいなのー」「了解や」
「それであなた達の配慮だけど、一刀。あなた警備隊の人数が足りないって言ってたわよね」
「ああ。確かに。とくに指揮できる人が少なすぎて困っているけど」
「なら、この三人を警備隊の隊長にするわ」
「「「なっ!」」」
「ちょっと待ってください。いきなり私達を隊長にしても大丈夫なのですか、それに、警備隊の隊長は北郷様では」
「一刀は警備隊の隊長でわないわ。ただ、街に行くのが好きで、気が付いたら隊長みたいになってただけよ」
「でしたら、私達も北郷様の下で働かせてください」
「一刀には、優秀な部下が四人も付いてるのよ。これ以上増やせないわ」
「でしたら」
「な~華琳」
「なに」
「俺が何日か彼女達の隊長をして、その後彼女達に任せるのってダメかな」
「仕事に慣れるまであなたが補佐するってことね」
「そう。いきなり隊長をしろと言われて、はい。できました。なんて無理だろ」
「わかったわ。なら、あなた達を十日間一刀の下で警備隊員として働いてもらうわ。十日後、一刀から正式に隊長副隊長を決めてもらいなさい。それと、戦になったらあなた達は将として働いてもらうから」
「「「御意」」」
「なら、陳留に帰るわよ。桂花」
「はっ、ここに」
「義勇兵達も連れて帰るから、彼らにも食料を配分しなさい」
「御意」
こうして、華琳の下に新たな武将が加わった。
トントン
「お兄さん。いますか~」
「開いてるから、勝手に入って」
「でわでわ~失礼します」
「それで、何のようだい」
「お兄さんとの約束を果たしに来ました」
「約束・・・ああ、あの約束ね」
「はい~。でわ・・・んちゅ」
「ん・・・」
風は小さい体を一刀に預けた。一刀は口付けをしながら、風を寝台に倒した。
「やっはり。お兄さんは種馬なのですよ」
「それは、言わない約束だよ」
「お兄さん・・・」
一刀と風は夜が明けるまで愛し合った。
第九章 完
「第9章終了」
「新しい仲間も増えて仕事も楽になってきて」
「あら一刀。今日までの街の考案まだだけど」
「か・華琳」
「それと。なに風としてるのかしら」
「いや~。ちょっとね」
「一刀さん。なんで俺の後ろに隠れるんですか」
「頼む。助けてくれ」
「一応言っときますけど。ここでは、思った事でも相手には伝わるのであまり悪い事を思わないほうがいいですよ」
「えっ!」
「か~ず~と~」
「ごめんなさ~~い」
「こら~~~。待ちなさ~~~~~~~い」
「はぁ~~。仲のよろしゅうことで。でわでわまたのご来店を待っております。by」
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華琳のもとに街が襲われている報告を受け秋蘭達がが向かった。しかし、あまりにも敵が多く増援を要望する。一刀達は秋蘭達を救えるのだろうか