No.141689

真・恋姫†無双 あなたと共に 4

highstaさん

やっとここまできましたよ~。

今回は予告通り、張3姉妹 and 霞 です

次回は一刀くん編です

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2010-05-08 08:44:21 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:19730   閲覧ユーザー数:13764

天和・地和・人和

 

 

洛陽から離れ、場所は蜀都”成都”

 

 

町中に歓声が響き渡る

 

 

 

「「「「「「「「「ほわあああぁぁああぁぁぁぁああああ!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

「み~んなぁ~今日は本当にありがとぉぉ~!!!!」

 

「ちぃたち、みんなのことだ~~い好きだよぉ~!!!!」

 

「きっと、また会いに来ますからねぇ~~!!!!」

 

 

町の郊外に特設された舞台の上で、その場の誰よりも輝く3人の姉妹が”らいぶ”の締めの挨拶をしていた。

 

「「「「「「「「「「ほわぁ、ほわわぁ、ほわああぁあぁあああぁあああ!!!!」」」」」」」」」」

 

 

何万人ともいえるような観客の一番大きい歓声で舞台は幕を閉じた

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~お疲れ様ぁ~ちぃちゃん、人和ちゃん」

 

長い桃色の髪をもつ少女が2人にのんびりとした口調で話しかけた

 

彼女の名は張元頴、真名は天和であり、彼女はこの姉妹の長女である

 

「お疲れ~、ってか本当に疲れたぁ~」

 

だらけきった口調で答えたのは青い髪を後ろでまとめた少女

 

名を張宝(字不明らしい・・)、真名を地和という。彼女は次女である

 

「お疲れ様、姉さんたち」

 

落ち着いた表情で答えるの淡い紫の髪に眼鏡をかけた少女

名を張梁(字たぶん不明・・)、真名を人和という。彼女こそ、3姉妹の頭脳にして末妹にあたる少女である。

 

「みんなお姉ちゃんにくぎ付けだったね~」

 

「何言ってるのよ姉さん!みんなはちぃの魅力にメロメロになってたんだから!」

 

「どっちでもいいから早く着替えて宿に帰りましょ?」

 

「ん~そうだね。お姉ちゃん早く寝たいかも、ふわぁ~」

 

「ちぃが一番なんだから!!」

 

「もう分かったから。ちぃ姉さんも着替えて」

 

妹が姉2人の世話をするという何とも珍妙な風景

 

 

彼女たちに世話役は”いない”・・・いや、正確に言うと”いた”のだ

 

 

 

 

 

宿への帰り道

 

「あ~あ~、最近面白いこと何にもないなぁ」

 

「ちぃもなんか物足りな~い」

 

「・・・・・・」

 

騒がしい姉2人を連れ、妹は黙々と歩く

 

 

 

「・・・・・・一刀」

 

「「!?」」

 

姉がつぶやいた言葉に騒がしかった地和も黙っていた人和もどうしても反応してしまう

 

「一刀・・・帰ってこないのかな?」

 

「「・・・・・・」」

 

2人は何も言えない

成都決戦を終え、洛陽に帰還した魏軍は町をあげての盛大な戦勝祭に参加した

 

 

天和たちもすぐに愛しい人であり、”まねーじゃー”でもある”北郷一刀”に会いたかったが、彼女たちは”らいぶ”をすることになっていたのですぐには会えなかった

 

 

-------らいぶが終わってから会いに行けばいい-------

 

 

3人ともそう思っていた。

 

 

 

・・・・・が

 

 

 

らいぶが終わった3人に非情な現実が突きつけられた

 

 

-------北郷一刀は天へ帰った-------

 

 

「「「!?」」」

 

 

3人とも信じられないといった表情

 

 

 

天和はまだ困惑している

 

地和は華琳にくってかかっている

 

 

・・・そんな中、人和は・・・突然・・・声をあげて泣いた・・・

 

 

 

周りも何が起こったのかよく分からないといった表情をみせる

 

 

それはそうだろう。彼女はいつも冷静沈着で、感情をあまり表に出さない娘なのだ

 

だからこそ、普段の彼女からは考えられない行動

 

 

しかし、姉2人には分かってしまう

------どれだけいつも冷静沈着であろうと

 

------どれだけしっかりしていようと

 

 

-------彼女は自分たちの”妹”なのだから-------

 

 

天和は困惑した表情を引っ込め末妹を支える

 

地和も口を閉ざし人和を支える

 

 

3人は支えあい、一礼してからその場を後にした

 

 

 

「「「・・・・・・」」」

 

 

 

華琳たちのもとから離れてからも3人は口を開こうとはしなかった

 

 

・・・沈黙を破ったのは

 

「・・・これからどうしようか?」

 

地和だった

 

いつもの自信たっぷりの声はなりをひそめ、静かな口調だった

 

「・・・・・・お姉ちゃんは」

 

天和は答える・・・姉として・・・妹たちを支えるために

 

「お姉ちゃんは歌い続けたいと思う」

 

「「!?」」

 

2人は驚いた。どう考えてもこれから歌い続けるには心がキツ過ぎる

 

一刀を失った・・・・・・心の支えを失ったのだ

 

そんな2人をよそに、姉は続ける

 

「だって・・だって私たちの歌は一刀が好きだって言ってくれたものだもん!私たちの歌でみんなが笑ってくれるのが好きだって言ってくれたもん!!」

「「!?」」

 

2人は姉のいつにない強い口調に驚きながらも思い出していた

 

 

自分たちが歌っている時に嬉しそうに笑う一刀の顔を・・・

 

 

らいぶで笑っている民を見て、優しそうな笑いを浮かべる一刀の顔を・・・

 

 

らいぶが終わった後に「お疲れさま」って声を掛けてくれるときの一刀の顔を・・・

 

 

・・・そして・・何よりも・・・

 

 

 

-------そんな表情をみることが自分たちの"幸せ"だったと-------

 

 

 

「そう・・・だよね」

 

「・・・・・・」

 

地和は決意をこめて頷く

 

人和も黙ってはいるものの、先ほどまでの悲しみはなく、その顔はやる気で満ち溢れている

 

 

2人の顔を見て姉は満足そうに言う

 

 

「それに大陸制覇もまだだもん!あれはお姉ちゃんたち”4人”の夢なんだよ!」

 

 

姉の笑顔に力強く頷く2人

 

 

-------“4人”の夢を叶えんとするがために-------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから3年経つが彼はまだ帰らない

 

 

「一刀に会いたいなぁ~」

 

「まったく、あいつちぃたちの”まねーじゃー”のくせにいつまで天に引きこもってんのよ!!」

 

天和と地和はそれぞれの想いを口にする

 

「・・・だったら」

 

人和は答える

 

あの時の悲しみは顔にはなく、いつもの無表情・・・しかし、どこかしっかりとした決意を秘め・・

 

「まだまだ歌い続けよう?私たちの歌が一刀さんに届くまで」

 

妹の言葉に驚いたものの、しっかりとした表情で頷く

 

 

------いつか一刀(さん)が帰ってきますように------

 

 

これからも想いを、願いを込めて歌う

 

 

 

 

天まで届く、その日まで・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星は笑顔のような美しい煌きを放つ

 

 

洛陽郊外の川辺でいくつかの蝋燭に灯りを灯し、一人の少女が酒盛りをしている

 

「んっ、んっ、んっ・・・・ぷはぁ~」

 

さらしに袴というもの珍しい格好をしたこの少女の名は張文遠、真名は霞である

 

その馬術や槍捌きなどから「神速の張遼」と恐れられている

 

「・・・ええ月やなぁ」

 

空を見てニヤリと笑う

 

「・・・一刀、あんたいったい何してるん?」

 

そして月へ向かって語りかける

 

「はよ帰ってこんかいボケ・・・うちを”女”にした責任とりぃや」

 

いつも強い口調ではなく、つぶやく様に霞は愚痴をこばす

 

 

 

彼女は元々、生粋の武人であった

 

--------武に生き、武に死ぬ-------

 

その想いは今でも変わることはない

 

 

しかし・・・・・・

 

 

あの男・・・北郷一刀は他のことを教えてくれた

 

 

 

-------霞が武人である前に”女”であるといこと-------

 

 

 

一刀は霞を武人としてだけではなく、”女”として見ていた。実際にそう接してきた。

 

 

・・・一人の女として扱われたときに

 

・・・一人の女として雰囲気を楽しませてくれたくれた時に

・・・一人の女として抱かれたときに

 

霞は心の底から”女”であることを感謝した

 

 

そして、戦乱の世が終われば、2人で羅馬まで旅行をしようとまで話していた

 

 

 

 

 

 

だから

 

 

 

・・・・一刀が天へ帰ったと聞いたときに裏切られたと思った

 

 

しかし、理由を聞かされたときに自分を呪った

 

 

・・・・一刀が苦しんでいたのに自分は羅馬のことで浮かれて気づけなかった

 

 

 

それは今でも彼女が彼女自身に掛けた"呪い"として心に残っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せやからなぁ、一刀・・帰ってきてくれや」

 

目じりに涙をため、想いを口に出す

 

「帰ってきて・・殴らせてくれ・・なんで何にも言わんと帰ったんやって、そして・・・」

 

------何よりもの想い

 

「謝らせてくれ・・・気づいてやれんでごめんなって・・・一人で苦しませてごめんなって・・・」

 

想いを言い切り、俯いてしまったがすぐに顔をあげてはっきりと言う

 

「それまでは待ったる!!何があろうと一刀が帰ってくるって信じて待っとるからな!!」

 

 

--------それは自分自身に対しての決意--------

 

--------一刀にこの想いを伝えるまでは--------

 

 

 

一刀を信じて待つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星は動く

おまけ

 

 

 

星は動いた

 

 

 

彼女たちの”想い”を光に込めて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“彼”に届けるために・・・・・・


 
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