No.141463

真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん 番外編2

あの伝説の戦いをご覧あれ!

2010-05-07 11:51:52 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:14995   閲覧ユーザー数:11069

 

赤壁の戦い。

 

 

それは呉蜀連合が魏と戦った歴史上で有名な戦い。

 

 

その戦いで明らかに場違いなメイドが居たことを皆は知らない。

 

 

そのメイドと勇敢に戦った居眠り軍師が居たことを皆は知らない。

 

 

これはその戦いの一部始終を描いたものである。

 

 

刮目して見よ!

 

 

 

 

 

「へぅ~~~~~~~~!」

 

 

戦場を駆けるメイド。

 

 

彼女の名は董卓。字は仲穎。真名は月と言う。

 

 

歴史で言う董卓とは暴政を働き、洛陽を火の海に沈めたと言われている暴君である。

 

 

しかしこの世界での董卓は虫も殺さぬような心優しい儚い少女である。

 

 

その心優しい少女が何故戦場を駆け回っているかと言うと一人の少年のためであった。

 

 

天の御遣いと言われている北郷一刀を救出するためであった。

 

 

反董卓連合の際に死を覚悟した月を仲間と共に救った一刀。

 

 

その時から月の心は一刀色に染まっていた。

 

 

今、その一刀が危機にさらされている。

 

 

そして気付いたら丸腰で駆けだしていたのである。

 

 

「へぅ、へぅ、へぅ」

 

 

乱れる息遣い。

 

 

だが決して足は止まらない。

 

 

そんな月に突然火に怯えた暴れ馬が襲いかかって来た。

 

 

「へぅ!」

 

「ヒヒーン!」

 

 

月は暴れ馬に手刀を叩きこみ気絶させたのである。

 

 

「もう私には一刀くんしか見えません!」

 

 

今の月は歴史通りの力を得ていた。

 

 

 

 

「………………おお! 何やら凄いものが近づいて来ている気がします」

 

 

頭に太陽の塔の人形を乗せている少女、名は程昱。字は仲徳。真名は風という。

 

 

半ば味方の敗北を悟った風だが、自分が一度決めた主を見捨てるような真似はしない。

 

 

そして指示を出していく風の前に一人のメイドが現れた。

 

 

「へぅっ!」

 

「おおっ!」

 

 

月VS風

 

 

後にこの戦いを見ていた兵は語った。

 

 

『半端ねぇ』

 

 

と。

 

 

 

 

 

「何やら可愛らしい格好をしていますね~。風は程昱と言うのですよ」

 

「一刀くんが作った物です! 私は董卓です」

 

 

自分が董卓であることを簡単に暴露してしまった月。

 

 

果たしてその瞳に風は映っているのか。

 

 

「おお! まさかあなたが暴政を働いたと言われていた董卓さんなのですか。死んだとされていたのですが劉備軍に保護されていたのですね~」

 

 

風は目の前の少女を見て、暴政が嘘だと理解した。

 

 

「そんなことはどうでもいいです。……程昱さん。邪魔するのなら排除します!」

 

 

月から燃え上がる闘志を感じた風は一筋の汗を流す。

 

 

そして思った。

 

 

『手加減は必要ありませんねー』

 

 

と。

 

 

 

 

「残念ですが、風もここを通すわけにはいかないのですよー。なので――」

 

 

風は手をクイクイとして、

 

 

「かかってこいなのですよー!」

 

 

戦闘の意志を示した。

 

 

「へぅ。出来ますね……」

 

 

瞬時に風の力量を理解する月。

 

 

「風はあまり戦うのが得意ではないのですよ。なので行くのですよー、春蘭! 稟! 霞!」

 

 

風は袖の中から三匹の猫を繰り出した。

 

 

「霞さん! そんな姿になってしまって……」

 

「ニャー」

 

 

霞と言われた猫を見て大きなショックを受ける月。かつての仲間がこんな姿に変えられてしまうとは思わなかったからである。

 

 

「上手くいったのですよー」

 

 

風は策士であった。

 

 

「霞さんごめんなさい。私は一刀くんを助けなければなりません。なので――」

 

 

月は霞(猫)と対峙する。

 

 

「邪魔をするならいくら霞さんでも倒します!」

 

「ニャー!」

 

 

風は月を見誤っていたのである。

 

 

「むぅー。行くのですよー!」

 

「ニャー」

 

「ニャッ」

 

「にゃ~ん」

 

 

三匹の猫は月に爪を立て飛びかかった。

 

 

「へぅっ!」

 

 

 

次の瞬間、三匹の猫は地面に平伏していた。

 

 

「……風の負けなのですー」

 

「それでは先を急ぎますので」

 

 

月の瞳はすでに風を映していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完。

 

 

良い出来だ|ω・`)


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
141
6

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択