その日もステーションで首脳達の会議が開かれていた。
「本日はお集まり頂きありがとうございます。私、主催を務めさせていただきます・・・」
「それはもういいって。早く始めようぜ」
「そうじゃの。早くしてしまわないと寝てしまうぞ」
「・・・・仕方ないですね。じゃあ早速本題に」
シシカゲは大きなスクリーンをリモコン操作で天井から出すとプロジェクターの電源を入れた。そして画面には大きな文字で「文化的に優雅に過ごす」と書いてあった。
「最近読書をしない若者が増えているらしい。そこで、私達がもっと文化的に過ごせば若者達も沢山を本を読むのではないかと考えた」
「結局は読書をしましょうってか?小学生じゃねぇんだからさぁ」
「何を言うか、デヌルタ!本を読むことの大切さを分からんとは・・・・」
「メルクリウス様は流石ですね。こんなチャランポランなアホウドリとは根本から違いますよ」
「んだとコラ!?」
デヌルタが殴りかかろうとした瞬間、メルクリウスが二人の前にある本を見せる。哲学書にしては小さいし古文書にしては何だか薄いような気がする。
「メルクリウス様・・・これは?」
「涼呂ハルヒコの冒険じゃ。おっもしろいぞぅ!がっはっは」
「ラノベじゃねぇか!じいさん!お前ホントは現代っ子だろ!?そうなんだろ!?」
「何を言うかお前は。こんな立派な書物をライトノベル扱いとは他にも素晴らしいものが一杯」
「もういい・・・シシカゲ。お前は何か参考にする本はあるのか?」
デヌルタの問いにシシカゲは待ってましたとばかりに分厚い本を勢いよくデヌルタの前に置く。表紙には『私のように優雅に大胆にかつ素晴らしく日常を生き抜く美しい技』と書かれていた。シシカゲはいつもより一層キラキラしていた。
「この本は私のように優雅な生活を送っている高貴な獣人がお前のようなガサツな獣人に対して生活のアドバイスをするという素敵な本だ。これを書くのに一ヶ月もかかってしまった。ハッハッハ」
「えいっ」
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!」
デヌルタが投げ捨てた素晴らしい本は宇宙空間の中でバラバラに砕け散っていった。シシカゲは膝をがくりと落とした後、ものすごい勢いでデヌルタの襟を掴みにらみつけた。デヌルタは薄ら笑いを浮かべてシシカゲをおちょくる。
「お前あの本どれだけ頑張って書いたのか分かってるのか!?あれの為に俺は毎日のお昼ねタイムを5分も減らしたと言うのに!すっごい寝不足だったんだぞ分かってんのか!?」
「知ったことか!市民がお前みたいになったら俺もうやっていけねぇよ!」
「謝れ!私の苦労とあの砕け散った本に謝れ!さぁ!謝れ!」
「わーごめん。ちょーごめん。何か手が滑った。生理的に拒絶した」
「この野郎!この野郎っ・・・・!」
「・・・悪かったよ」
シシカゲは大粒の涙を流しながら床に崩れ落ちた。流石にかわいそうになったのかデヌルタは気まずそうにシシカゲの頭を撫でる。シシカゲは鼻水と涙をこぼしながらフラフラと自分の席へと戻った。
「・・・・そういえばじいさん静かだな」
「・・・よしこれでこの巻読み終わったぞぉ。次は何を読もうかのう」
メルクリウスは鞄一杯のラノベを机の上に広げるとじっくりと吟味を始める。シシカゲは魂が抜けたように宙を見つめ目には薄らと涙を浮かべている。
「シシカゲ、飯でも食いにいくか?」
「・・・・うん」
「じいさんは?」
「ワシはこれ読んどるからパス」
「そうか」
シシカゲがデヌルタに抱きつきながら会議室を出て行くとメリクリウスは再びラノベを読み始める。
「はて・・・今日の議題ってなんじゃったかのう。君、お茶と和菓子を」
「はい。いつものふ菓子でいいですか~?」
「うむ。よろしく頼むよ~」
こうして今日の首脳会議は終結した。数日後、市民の間にはライトノベルが流行ったそうだ。
あとがき
こんな感じでいいのかな・・・。とりあえず書きたいように書かせていただきました(´ω`*)
書いてる間ずっと楽しかったです。設定貸して頂いてありがとうございました!
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他の方の物語の設定をお借りして書かせていただきました。