No.135314

真。逆行†無双 一章その4

テスタさん

一章その4です。
やっとこさ新しい恋姫キャラの登場です。

2010-04-09 18:14:41 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:7801   閲覧ユーザー数:6333

 

「……最低」

 

「そう怒るなよ荀イク」

 

青空の下、俺達はまだまだ続く荒野を進んでいた。

あれから三日たつが今だに町(この時代では邑って言うらしい)一つ見えてこない。

 

そんな中、荀イクはかなり不機嫌だった。

 

「怒るなですって?

私にあんなことしたあんたが言うの!?」

 

「いやぁ〜」

 

「誉めてないわよっ!」

 

で、俺が何をしたかというと。

 

 

 

 

女の子の荀イクと何があっても大丈夫な程、腕も経験もない男の俺。

 

普通なら夜は寝ずの番をしなければならないのだが、

六花(馬の名前。六花はまだ名前をつけてなかったので、俺がつけさせて貰えた。ちなみに額にt六つの花びらみたいな模様があるから)が自身満々な瞳で番は任せろと見つめてきたので夜は眠らせて貰っている。

 

それでも、現代でいうところの二時、三時くらいまでは俺もおきているし、

寝る場所も目立たない所にしている。

 

もちろん荀イクは熟睡だ。

 

初日なんて寝てる間に変なことされたら自殺もんだと言って騒いでいたが、

その数時間後には熟睡、今ではさっさと番を俺と六花に任せて眠りこけている。

 

内心、少しだけ腹が立っているのは秘密だ。

言った所で返ってくるのは嫌味ぐらいなもんだろう。

 

しかしこの三日で俺も大分とこいつの嫌味になれたもんだ。

いや、嫌味なんてレベルを超えた毒。

 

自分ではそんなに心が広くも狭くもないって思ってたけど、

ここまで一度も本気で怒らずにいられていることに驚いている。

 

と、話がそれたか。

 

そんなこんなで今朝、俺が目を覚ますと荀イクの姿がなかった。

六花が落ち着いているからトイレでも行ったかな?と思っていると――

 

「きゃあーーーーー!!」

 

「荀イク!?」

 

筍?の叫び声が響く。

まさかまた盗賊が現れたのか!?

そう思った俺は急いで声の聞こえた方へ駆け出す。

 

「大丈夫か!荀………い……く?」

 

俺が駆けつけるとそこには盗賊はいなかった。

いなかった……が。

 

「……何してんだ?」

 

「へ、蛇………へびぃぃぃぃ!!?」

 

そこには女の子の大事な部分を丸出しにしながら蛇に怯える荀イクの姿だった。

 

俺は初めてみる女の子の部分より荀イクの姿がおかしかったので、

からかいながら蛇を追っ払ったのだが、

からかいすぎて荀イクに罵声を浴びせられ痛くはないがポカポカと殴られた。

 

それから一向に機嫌は直らずに今に至る。

 

 

 

 

 

「まったく、あんたみたいな変態といるせいで夜もちゃんと眠れないわよ」

 

「嘘をつくな嘘を」

 

しかし改めて考えると俺って荀イクの大事な部分を見ちゃったんだよな。

……綺麗な縦線だったな。

 

ムクっ。

 

あ……しまった。

 

「………ねぇ北郷」

 

「なんだ」

 

「気のせいか私のお尻にまた硬いのが当たってるんだけど」

 

「いやぁ〜」

 

「だから誉めてないわよっ!って離れてよ!

妊娠しちゃうじゃない!!」

 

「いやいや、だからこんくらいで妊娠なんてしないって」

 

「相手があんただとしちゃうのよっ!

この全身精液孕ませ男!!」

 

「……お前の中での俺の評価が速攻で分かる名称だな」

 

とまぁ、こんな感じで言い合いをしながらも

あれ以降、盗賊なんかに襲われることも無く旅は続いている。

 

問題があるとすれば冒頭で語ったように三日もたつのに

未だに邑の一つも見えてこないことだ。

 

幸い盗賊に襲われて無事だった荷物の中に地図が傷の無いまま残っていて、

荀イクが言うには今日には小さな邑に着くらしい。

 

食料も残り少ないし、出来れば昼過ぎには着きたいんだけど。

 

「流石に六花は二人も乗せてるしスピードは出せないよな」

 

「ヒーン……」

 

俺の言葉に済まなそうに鳴く六花の頭を撫でる。

こいつに無理はさせたくない。

 

「スピード?どういう意味なの?」

 

「ああ『速さ』のことだよ。

速度の速いに当てはまる」

 

何かあれば……いや、なくても四六時中俺に毒を吐く荀イクだが、

天の言葉……主に英語とかの外国語に興味を示したのかよく意味を聞いてくる。

 

流石、軍師だけあって理解も早く覚えるのもすぐだ。

こういう話をしてる時だけ刺々しさが薄れるんだよなこいつ。

 

知的好奇心が勝ってるんだろうな。

 

「なるほどね。……でも、遅いのが嫌なら

アンタが降りればいいじゃない」

 

……だからと言って完全に嫌味を言われない訳ではないんだけでな。

 

 

 

 

 

 

それから数時間、特に何もなく順調に荒野を進んでいる。

 

そんな時だった。

 

「ん?なぁ荀イク」

 

「何よ?妊娠するからあまり話しかけないでって言ったじゃない」

 

「話したぐらいで妊娠するか!!」

 

「うつるのよ、色々と」

 

こ、この野郎……!

って、我慢我慢。

 

「……とりあえずだ。あれって人じゃないか?」

 

「え?」

 

その言葉にようやく荀イクは顔をこっちに向け、

その後に指差した方へと向いた。

 

俺達の視線の先には、小さいながらも馬と数人の人が見えていた。

 

「あれ?ねぇ北郷。

なんかこっちに向かって来ていない?」

 

「ほんとだ」

 

若干また盗賊か!?

なんて警戒したものの近づいてきたのは……。

 

 

 

「おや、これは珍しい。

こんな道中で人に会うとは」

 

「そうですね、この道は人があまり通らないですから」

 

「ぐぅ〜」

 

何だか立派な槍を持った空色の髪の女の子、

眼鏡をかけた知的な女の子、

頭の上に変な物をのせている金髪の女の子の三人だった。

 

「あの、あなた達は?」

 

荀イクが聞いてくれそうにもないので聞いてみる。

 

「ああ、すみません。今は戯志才と名乗っています。

で、こちらが……こらっ起きなさい風!」

 

「おおっ!馬の上があまりに気持ちよくてつい寝てしまいまいた。

それで風のことは程立と呼んでください〜」

 

程立ちゃんはともかく、戯志才さんはすげぇわかりやすい偽名の名乗りかたをされたな。

 

……ちょっと待て。

程立と戯志才?

 

確かこの名前も三国志の時代に聞いたことのある名前だ。

もしかしてこの子達が本物の?

 

「ふむ、では私も。

私のことは趙雲と呼んでくれればいい」

 

「趙雲!?」

 

その名前に俺は思わず叫んでいた。

 

荀イクや目の前の三人が変な目で俺を見るが、驚きが大きすぎて気にする余裕はなかった。

 

「私の名前が何か?」

 

空色の髪の女の子……趙雲が聞いてくる。

確かに趙雲さんが凄く強いのは立ち方だけではっきり感じる。

 

ここは素直に聞いてみるか。

 

 

「あの……もしかして趙雲さんの字って子龍って言いませんか?」

 

「「「!?」」」

 

三人は一斉に驚き、警戒の色を見せた。

 

「どうして私の名を?貴殿に名乗った覚えはないのですが?」

 

どうするかな?荀イクの時のように素直に話すか……。

いや、荀イクみたいに毎回本当に信じてくれるなんて分からないし、ここは誤魔化すか。

 

「そりゃ有名だからですよ。俺のいた所じゃ昇り龍と謳われる程の人物ですからね」

 

「……嬉しいことではあるが、私の名が知れ渡っているとは思えませんが?」

 

そうだろうさ。この時期、趙雲の名はさほど有名でもなにもない。

 

「星ちゃんはお兄さんのいた所ではそんなに有名なのですか〜?」

 

金髪の子が聞いてくる。

星?趙雲さんのことか?

 

「ああ、俺のいた所じゃね」

 

「なるほど〜」

 

そう言って女の子はまた目を閉じる。

なんだか掴めない子だな。でも、不思議と嫌とも苦手とは思わない。

 

戯志才さんも黙って何か考えてるみたいだ。

 

「ねぇ」

 

と、荀イクが顔をこっちに向けて声をかけてくる。

こいつは気づいてないみたいだけど、興味が大きいと他のことが見えなくなる癖がある。

男嫌いの荀イクがただでさえ我慢して俺にくっつくように六花に乗っているのに、

その状態で顔をこっちに向けると、キスが出来そうな程唇が近づくのだ。

 

そんな状態に気づかずに荀イクは続ける。

 

「もしかしてこの三人もあんたが知っている有名な武将なの?」

 

「……まだこの時点じゃ有名じゃないけどね。

でもこの中じゃ趙雲……彼女は一番有名かな」

 

「……なるほどね」

 

「話ている所悪いですが、そちらは名乗ってくれないのですか?」

 

ととっ、そうだった。こっちも名前教えなきゃ失礼だな。

 

「俺の名前は北郷一刀。馬の名前が六花」

 

「ヒン!」

 

「私は荀イクよ」

 

「北郷一刀?北が性で郷が名、一刀が字でいいですか?

随分と珍しい名前ですね」

 

と、戯志才さん。

 

「いや、北郷が性で一刀が名。字はないんだ」

 

「それはまた珍しいですね」

 

「存在自体が変態だからね、こいつは」

 

「誤解されるようなこというなよっ!」

 

意地悪そうに笑う筍?。

こいつだけは油断出来ないな……。

 

「フフ、仲のいい夫婦ですな」

 

「ええ」

 

「本当ですね〜」

 

と、三人の言葉にさっきまでの笑みを消し、荀イクが固まった。

 

「ちょっ!誰がこんな全身が精液で出来てそうな男と夫婦ですってぇ!?」

 

「全身が精液で出来てたら怖いな……」

 

「あんたは黙ってなさい!」

 

「え?夫婦ではないのですか?馬にも一緒に乗っていますしてっきり……」

 

「違うわよっ!これはこの男に脅されて無理やり乗せられているだけよ!」

 

「だから誤解される言い方はやめろって!」

 

「とても仲がよさそうだが?」

 

「とても仲がよさそうですね〜」

 

「だから違うのよ!キーーーーーーーーーーーー!!」

 

荀イクの叫び声が当たりに虚しく響いた。

 

 

 

 

 

 

それから数分。筍?も落ち着き、俺は気になっていたことを聞くことにした。

 

「なぁちょっと聞きたいんだけど」

 

「何か?」

 

趙雲さんが応えてくれる。

 

さっきの荀イクとのやりとりを見てから警戒は解かれてはいないけど、

少しだけ物腰が柔らかくなったな。

 

「えと、趙雲さんたちって本名だよな?」

 

「?」

 

「ああ、もちろんそうですが?」

 

やっぱりそうだよな。じゃあどうして?

 

「じゃあなんで戯志才さんと程立さんは趙雲さんのことせ――」

 

「ちょっと北郷!何言おうとしてるのよ!?」

 

疑問を口にしようとして荀イクに遮られる。

しかもなんだか怒ってる?

 

三人も顔が険しくなっている。

 

「え?俺、何かした?」

 

「何かした?じゃないでしょ!人の真名を勝手に呼ぼうとするなんてどういうつもり?」

 

「真名?」

 

「真名ぐらい知ってるでしょ!…………もしかして知らないの?」

 

素直に頷く。

 

「真名って何?」

 

「ちょっと待って下さい。北郷殿、貴方は真名を知らないのですか?」

 

戯志才さんが目を丸くしながら聞いてくる。

程立さんも同じように驚いている。

 

「格好からして貴族の方と見ていましたが、まさか真名を知らないなど……ありえるのか?」

 

この三人や荀イクが驚く程、真名は当たり前な存在なのか?

言葉からして真の名って意味かな?

 

「この男はここから大分遠い国から来たのよ。

私もまさか真名を知らないなんて思わなかったけど……」

 

「えと、結局真名って何なんだ?」

 

「……例え知っていたとしても本人の了承がなければ言ってはいけない真の名のことよ。

真名は私たちにとって尊くて神聖なもの。それをあんたは言いそうになっていたのよ」

 

……つもり俺は勝手に趙雲さんの大事な真名を言ってしまう所だったってことか。

待て、それって凄い失礼なことじゃ……。

そりゃ険しい顔にもなる!

 

俺は慌てて六花から下りて趙雲さんに頭を下げる。

 

「ごめん!知らなかったとはいえ、趙雲さんの大事な真名を呼ぶところだった!

本当にごめん!」

 

「……北郷殿、貴殿はさっき字はないと言ってましたがもしや真名もないのですか?」

 

「うん、でもそんなの関係ないよな。……ごめん」

 

「……顔を上げてくだされ北郷殿」

 

少しして趙雲さんがそう言う。

俺はきっと怒った顔をしていると思いながら顔を上げる。

そして趙雲さんの顔を見て驚く、彼女の顔は笑顔だった。

 

「え〜と、趙雲さん?怒ってないの?」

 

「何を言うのです北郷殿。貴殿は知らなかったことを言い訳にせず真摯に私に謝罪をしてくれ、頭まで下げてくれた。

ここまでされて許さない程、私の器量は小さくありませんぞ?」

 

「じゃあ……」

 

「ええ、此度の件。許しましょう」

 

「あ、ありがとう!」

 

俺が笑顔でお礼を言うと、照れたように頬をかく趙雲さん。

可愛いなと思ったのは内緒だ。

 

 

 

 

 

 

その後は他の二人もある程度柔らかく接してくれるようになり、

ちょうど向かう方向は一緒ということで一緒に進むことになった。

 

その間、俺は趙雲さんにこれまでの旅の話を聞いたり、

荀イクは荀イクで戯志才さんに程立さんと三人で色々と話していた。

多分同じ軍師(まだ二人からは聞いてないけど)として話が合ったんだろう。

 

そんなこんなで数時間。

やっと今日の目的地である邑が見えた。

 

夕方に近い時間だが日はまだあり、ゆっくり近づいていく。

だが、夕に近づくにつれ次第に俺達の表情は硬くなっていった。

 

「……北郷。あれって」

 

「ああ……邑から煙があがっている」

 

 

 

 

 

 

 

俺達の眼前に広がる光景。

小さな邑が燃えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき。

 

今回は此処までです。

やっぱり魏ルートの始めといえばこの三人ではないでしょうか?

というかこの三人が好きなので出しただけなんですがね。

あと馬の名前は六花(りっか)といいます。これから活躍してくれることでしょう。

愛する一刀のためにw

 

ではコメント返していきます。

 

aoirann さん>そうですねwもう六花は一刀にメロメロですよ。

 

BookWarm さん>きっと六花はヒロイン扱いされていくと思います。

僕が気に入っているのでw

 

村主さん>さすがに擬人化は考えてないです。でもなったとしても面白いことになりそうですね。

そうです、出費がいたいんですよ……まぁ僕は魏だけ買うつもりですがねwそれでも高い……。

 

ねんどさん>おお、前のサイトから読んでもらいありがとうございます。これからはこっちのサイトで頑張っていくのでまた見て下さいね。

 

MiTi さん>種馬ですからね一刀はwこれからも六花にはアタックされていくでしょうねw

 

 

それではまた次回に。

たくさんの開覧と支持、さらにはコメントをもらえてとても嬉しく力になってます。

また次も見てくれると嬉しいです。

 

 

 


 
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