みんなの出迎えを受けた一刀は皆の顔を見て嬉しさがこみ上げてきた。
「さあ、ご主人様。皆さんの所へ行って話してあげてください。皆さんも楽しみにされてると思います」
璃々の言葉に一刀が頷くと、荷物を焔耶に渡して皆の方に歩いていった。
皆の所まで来ると一刀をよく知る将や兵等は涙を浮かべ、一刀が天に帰ってから入った将や兵は初めて見る一刀の姿に目を輝かしていた。
「皆、改めて言うよ。ただいま。もう俺が天に帰る事は無いから安心してくれ。それにしても俺が帰ってきたことに涙してくれるのは嬉しいけど泣きすぎだよ。桃香と雛里なんか鼻水まで出してしまって」
「そんなのご主人様が帰ってきてくれたんだから当然だよ」
「グズッ、ですっ。お帰りなさい、ご主人様」
「ありがとう、桃香・雛里」
そういった後、一刀は愛紗の方を向いた。
愛紗の方を向くと一瞬顔を曇らすが元に戻し
「愛紗もただいま。・・・愛紗にも色々あったみたいだね。無理には聞かないからさ、愛紗が話そうと思えたら聞かせてくれるかな」
「・・・はい、分かりましたご主人様。よくお戻りになられました、お帰りなさいませ」
「ただいま。あれ?璃々からは星もいるって聞いたけどどうかしたの?」
「ああ、星ちゃんなら今日は非番だから隣町まで買い物に行くって行ってたよ。もう少ししたら帰ってくるんじゃあないかな?」
「そうかそれなら仕方ない・・・いるんだろ?星。多分俺の右後ろにある木の上かな?」
そういうと皆は一刀の右後ろに目線を向ける。
するとそこにある木がガサゴソと動き出すと
「いやはや、まさかお気づきになられるとは相当腕を上げられましたな主。また今度お暇なときに手合わせをお願いしても?」
「ああ、いいよ。俺も自分自身が何処まで辿り着けたか知りたいからね」
「これはこれは。久々に楽しみが出来ましたな。お帰りなさいませ主」
「ただいま、星」
桃香達との再会を済ませると今度は桃香の横に並んでる新たな将の方を向いて
「君達とは初めましてになるのかな?俺が北郷一刀、昔は『天の御使い』なんて言われてた者だよ。これからは迷惑をかけると思うけどよろしく」
その言葉にその者達は臣下の礼を取り、その中の一人が
「此方こそよろしくお願いいたします。我等の名は桃香様の隣にいる者から「劉封」に「姜維」そして私が「張郃」と申します。私と姜維は元々は魏に仕えていましたが姜維は孔明様に弟子入りするために蜀に移籍し、そして私は・・・」
そういうと兵等の中から一人歩み出て
「私と結婚しましたので移籍したという訳ですよ。一刀様」
「へえ、そうか羅乾が結婚したのか。後で二人の馴れ初めを聞かせてくれる?」
「ええ、少し恥ずかしいのですが。後一人いるのですがどうやら先にお会いされたようですね」
「ああ、関平とは例の泥棒が俺達の方に逃げてきてね。俺が退治してから警備隊と一緒にね」
「そうですか。では何時までも外にいるわけにも行きませんので中へ入りましょうか。北郷様のご帰還を祝うための準備が出来てます。後、魏や呉から来られている方々もお待ちになられてます」
「そうか、有難う。なら行こうか。兵の皆も出迎え有難う。今日はもう遅いからまた明日改めてはなそうか」
そういうと兵等は一同に礼をとり、一刀達は城に入っていった。
宴の席に行く前に一刀達は以前一刀が使っていた部屋まで来ていた。
「懐かしいな。そのままで残しておいてくれたんだ」
「さすがに掃除はしてたけどね。皆が掃除役を取り合って大変だったんだよ」
「そうか。皆ありがとう」
「どういたしましてご主人様。もう少ししたら準備が終わると思うからそれまでゆっくり休んでいて」
「ああ、そうさせてもらうよ」
皆が退出する中愛紗だけが残っていた。
「ご主人様、先ほどお聞きになられなかった事をお話したいのですがよろしいでしょうか?」
「・・・ああ、いいよ。聞かせてくれる?」
「はい、ご主人様が天に帰られてからの私は自暴自棄になり仕事に没頭するようになりました。そうしないとご主人様を思い出して悲しすぎて何をするか分からなくなりそうで」
「・・・愛紗」
「そんな私を皆は優しく支えてくれました。そのおかげで私も徐々に自分を取り戻していったのですが。あれはちょうど10年前の事でした。再び五胡が攻めてきました」
「・・・そうか、その時に愛紗は」
「・・・はい、正しくはきっかけがなのですが。私は朱里達の言葉を無視して暴走してしまい敵陣に突っ込んでしまいました。その結果五胡の王達を討ち取りましたが私も重傷をおい、華佗殿の治療を受けたのですが「今回の怪我は治せた。だが関羽殿の体は限界を超えている。今は大丈夫だが
何れ戦うどころか自らの足で立つ事も出来なくなるだろう」と。それからの華佗殿は旅に出る度に私を直す方法を探してくださったのですが遂に半年前に私は立てなくなってしまいました」
「・・・そうだったのか、ゴメンね愛紗。俺のせいで。君は自分のせいだと言うだろうけど君の心を弱くさせてしまったのは間違いなく俺だ。だからゴメン・・・それとそんなになるまで俺に尽くしてくれて有難う」
「ううっ、ご主人様。かずとさ・ま」
すべてを聞き終えた一刀は車椅子に座る愛紗をやさしく抱きしめた。
一刀に抱きしめられた愛紗は一刀の胸の中で静かに泣き出した。
部屋の外でこっそりと見守っていた桃香達も愛紗につられて涙していた。
あとがき
璃々編アフター3話はいかがだったでしょうか?
愛紗については「一刀が消えて一番影響をうけるのは愛紗だろうな」という私のイメージからこうしましたが愛紗ファンの方スミマセンでした(私も愛紗は好きですよ)
次回に宴で蜀に来ている魏や呉の将と顔合わせをしてそれから暫くは日常編を投稿する事になると思います。
それと「外史をかける一刀」の方ですがもうすぐ20話が完成しますので出来次第並行して投稿していこうと思います。
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魏√風END璃々編アフター 3話 「愛紗の15年間」を投稿します。
皆さんの望まれた展開(愛紗妊娠)ではありませんがそれでもいいかたは読んでみてください。