No.132531

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第20話

第20話です。

地元の高校が負けてしまった…

2010-03-27 00:25:21 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:8577   閲覧ユーザー数:7789

はじめに

 

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどき名作品です

 

原作重視、歴史改変反対の方

 

ご注意下さい

 

 

洛陽への道を唯只管に進み、山を越え、渓谷を抜け、山林道の視界が開けたそこに

 

それはあった

 

「あれが…虎牢関」

「すごい…」

「でっか…」

 

帝都洛陽の喉元にあり戦略上最大の要地でもある虎牢関、古来より幾多の戦場となったこの関は戦の度に改修を重ね、もはや関と呼べるものではなくなっていた

左右両側を渓谷という自然の城壁で挟み、門を構える正面はどの城の城壁よりも高く聳え立っている

 

「関というより要塞だな」

 

比呂の言葉に二枚看板も頷く

 

「あれを無視して洛陽には入れませんからね…向こうも目の前を黙って通してはくれませんでしょうし」

 

目の前の巨大な関に口が開いたままの三人の後ろで腕を組みながら状況を冷静に分析し始める悠

 

「奴らは出てくる…と?」

 

比呂の問いに悠が頷く

 

「此処に来るまでの二度の奇襲がそれを物語っています、此方を誘き寄せたかったのでしょう」

 

虎牢関に辿り着くまで連合は二度の奇襲を受けていた、いずれも汜水関から洛陽への道中を狙った物で、陣を一突きしては退却するという不可解なものであったが

それも他の道を避けさせ、此処に誘き寄せる算段だとしたら納得がいく

 

「どうやら此処に我々を集結させたかったようですね」

「とはいえ数では連合が有利ですよね?篭城が向こうにとっては上策なのでは?」

「だよな~」

 

斗詩の問いに猪々子も頷く

 

「実際のところはそうでしょう、最初のうちは迎撃に出て…その後おそらくは持久戦に持ち込むのではないかと」

「その時間稼ぎの本当の理由は?」

 

今度は比呂の問いに二人が顔を見やる

 

「持久戦の後に此方の兵糧が尽き、連合を瓦解させるのが目的だろうが…」

「それだけじゃないのかアニキ?」

 

悠の言葉から比呂だけは目的は別にあると見ている、比呂の発言に悠は一拍の間の後

 

「…洛陽を捨てて逃げる気なのではないかと」

「その為にも連合をここで足止めする必要がある…か」

 

正直な処、比呂にとってはその方が望ましい

時間稼ぎの後に連合が有耶無耶になり解散するにしても、虎牢関を突破し洛陽に攻め入るにしても

月と詠がその間に洛陽から逃げ出してしまえば、少なくとも彼女達は安全を得ることになる

 

「どちらにしても」

 

悠の言葉に比呂は思考を中断する

 

「明日になれば連中の目論見がはっきりします」

 

彼らの背後で組み上がっていく陣営に悠は目を細める

 

日が沈み

 

連合軍の本陣営に各諸侯の代表が集まり、明日の虎牢関攻略の軍議が執り行なわれていた

 

「というわけで明日の先陣は華琳さん?貴女にお任せしますわ」

 

麗羽の指名に華琳が頷く

 

「明日も雄雄しく!華麗に!気高く!全速前進ですわ!」

 

彼女の一言で軍議は解散となった

 

 

 

軍議が終わり曹操陣営の天幕に魏の将達が集まっていた

 

「まあ、麗羽の言葉ですっ飛んじゃったけど明日は我が軍が先陣を切るわよ」

 

華琳の言葉に皆が頷く

 

「虎牢関を俺達だけで攻めるのか?」

「まさか」

 

そんな中、一刀の問いに華琳は笑い

 

「中央を我ら、左翼に麗羽、右翼に孫策率いる袁術軍がそれぞれ入るわ。汜水関の時のように数で攻めきる心算なのでしょう」

「そう巧く行くもんかな~?」

 

虎牢関の戦いといえば三国志序盤でも屈指の盛り上がり処だ、これまた三国志屈指の猛将『呂布』が大暴れする舞台でもある

 

「先の汜水関で逃げ延びた張遼、華雄がこの関にいる軍の柱、この二部隊は騎馬隊が中心だけに打って出る可能性もあるかと」

「そうね、手負いの獣には注意が必要だわ。でも袁紹の懐刀が取り逃がしたせっかくの獲物…私達で頂きましょう」

 

桂花の分析に華琳も頷く

一刀はそのやり取りに違和感を感じ始めていた

 

「あの張郃が取り逃がしたとなれば…大物ですね」

 

凪の言葉に将達が顔を見合わせ頷きあう

 

「そうか?あの女男と先の黄巾の戦いで対峙したがそれほどでもなかったぞ」

「姉者…味方同士でやり合う必要があったのか?」

「ましてそんな場で本気で戦うのは何処かの脳筋女だけよ、馬鹿に付き合うなんて善い所もあるじゃない…『張郃』も」

「なんだと~!?」

 

桂花と春蘭のやり取りで場に漂う緩い空気を他所に一刀は一つの考えに至る

 

皆は呂布を知らない?

もしかするとまだ呂布はこのときそこまで有名じゃないのか?

 

うーんと呻る一刀に華琳だけが気づいていた

 

「一刀、どうかしたの?」

 

華琳の問いにもどう答えるべきか解らず

 

「いや…何でもない」

 

後になって話すべきだったと

このときの一刀には思いもよらなかった

 

 

夜が明け

 

朝靄の中、両軍は対峙していた

 

「旗がない…どう見る?冥琳よ」

 

虎牢関を後ろに構える布陣に祭が軍師に問う

 

「先の傷が癒えていない…か、どこからか強襲をかける気なのか」

 

あからさま過ぎる布陣に孫呉の名軍師も眉を顰める

 

「とりあえず突っ込めば解るんじゃない♪」

 

戦の様相を前に既に雪蓮は出来あがっていた

 

「確かに…この数の差は強襲だけでどうにかなるものではない…か」

 

冥琳に失態があったとすれば

 

雪蓮の言葉を

 

いつもの彼女の勘と受け取ってしまったことだ

 

彼女は何かあると言ってのけたことを張遼、華雄による強襲と決め付けてしまった

 

そしてその数の差が

 

連合軍十五万、董卓軍四万という差が…軍師の思考を鈍らせていた

 

 

 

「全軍!雄雄しく!華麗に!気高く!全速前進ですわ!」

 

 

その言葉に連合軍は突き進み始める

 

天下無双が待つ地獄へと

 

 

迫り来る連合を目の前にしても董卓軍は動かない

 

「「「「おおおおおおおおおおおおお」」」」

 

迫り来る連合の雄叫びを耳にしても董卓軍は動かない

 

 

駆け抜ける連合の先頭集団が、壁のように動かずにいた董卓軍とぶつかり合おうとした当にその時

 

 

一つの影が

 

 

彼らの頭上に覆い被さり

 

 

 

『爆発』が起きた

 

 

 

 

 

 

~左翼~

 

「爆発っ!?」

 

濛濛と立ち込める土煙に猪々子が驚愕の声をあげる

 

「火薬でも仕込んでいたの!?」

 

その光景に同じくして斗詩も叫ぶ

 

「いや…火種を持っていた様子はなかった、何より火薬特有の匂いがない」

 

比呂の目をもってしても何が起きたのかを瞬時には理解出来ずにいた

 

 

やがてうっすらと舞い上がった土煙が収まるに連れて

 

浮かび上がる影に息を呑む

 

 

 

赤毛の毛色に真紅の瞳…そう名づけておりました

 

 

 

「せき…と」

 

 

~右翼~

 

「おかしいとは思っていた…」

 

冥琳の額から汗が浮かび…顎に滴る

 

「先の黄巾の戦においても董卓軍には将がいなかった」

 

それは董卓軍が脆弱であることを示していた

それは董卓陣営にとっては紛れもない事実

だがそれは洛陽に入るまでの董卓軍の実情

何進の軍を取り込むまでの

 

 

「汜水関においても将は張遼と華雄の二人のみ…二人が撤退したことからもそう思っていた」

 

否、そう思わされていた

董卓軍にはこの先を守る将がいないと

 

「董卓め…只隠しにしていたな『奴』の存在を」

 

 

 

 

 

~中央後方~

 

「成程、あれが董卓の切り札というわけね」

「あれが呂布…」

 

華琳の舌打ちに一刀が呟く

 

先頭から離れた此処からでも解る

 

圧倒的な存在感

 

先頭から離れた此処までも伝わる

 

圧倒的な威圧感

 

「そしてあれが…彼女の覚悟というわけね」

 

華琳の言葉にさらにその後ろを見やる

 

 

 

自分はつくづく甘い

 

今当にそう思い直す

 

彼女達を救う?

 

この戦の最中で?

 

彼女達が洛陽から逃げ出す?

 

馬鹿な

 

先の黄巾の戦で

 

目の前に迫る二百万の黄巾党を前にしても

 

 

 

彼女は震えながら

 

しかしはっきりと

 

告げたのだ

 

 

 

自分は此処に残ると

 

 

 

自分を信じて着いてきた者を見捨てないと

 

 

 

自分は逃げないと

 

 

 

 

「大師董卓の名において命ずる!呂布よ!天子様に逆らい洛陽に攻め入らんとするこの愚か者共」

 

 

 

 

 

 

「その喉笛を」

 

 

 

 

 

 

「食いちぎり!喰らい尽くせ!!!」

 

 

 

 

 

 

虎牢関の城壁に立ち

 

 

その身に真紅の鎧を纏い

 

 

白く輝く剣を高く翳し

 

 

彼女は

 

 

董卓は

 

 

月が

 

 

眼下に群がる連合の兵達に

 

 

死刑宣告を言い渡す

 

 

 

 

おおおおおおおおおお!!!!!!

という董卓軍の雄叫びに

 

 

 

 

ゆっくりと

 

 

呂布は方天画戟を

 

 

連合に向けて翳した

 

 

 

 

「…殺す」

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

てゆうかね

 

 

あとがきどころじゃないのよ

 

期末の忙しい時期に終わりが見えて来たと思ったら

 

異動て…

 

転勤て…

 

 

…牛タンか

 

 

悪くない

 

 

 

じゃ、そういうことで

 

 

 

 


 
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