だいぶ時間がたち、一刀が目を覚ますと風も寝ていた。
「風お姉ちゃん?」
「・・・・・おぉ!ついつい寝てしまいました、、お姉さんはちょっと用があるので、そこに居る秋蘭お姉さんに付いていってください」
「は~い」
「素直でいい子ですね~」
まだ風の膝に頭を載せているのを撫でる、気持ちがいいのか目を細める。
「それでは、秋蘭様お願いします」
「任せろ、それでは行くとしようか?」
手を差し出すと、それをすぐに握る。
名残惜しそうに風の方を見み、手を振ることで早く行くことを促す。
「またね」
「はい、それじゃあお願いしますね」
仲良く手をつないで歩く2人はどう見ても恋人同士にしか見えず、見送りながらも見えない手は手が白くなるほど握りしめられていた。
「秋蘭お姉ちゃん、どこに行くの?」
「城に行こうか、城にはほかのお姉ちゃんもいるからな」
「うん!」
その笑顔に今すぐこの場で押し倒し、幼い精神の一刀をいただいてしまいたい衝動に駆られたが、さすがの秋蘭と言うべきか鉄の精神で踏みとどまった。
「楽しみか?」
「うん!どんなお城か気になる」
「そっちなのか・・・・・」
さすがに小声であったが、落胆を隠せなかった。
「でも・・・・どんなお姉ちゃんが居るのかも楽しみだよ」
幼いながらにこの空気を読む能力、驚愕者である。
急に秋蘭の腕に抱きついた。
「どうした?」
「あの人たち、怖い・・・・」
指差した先に居たのは門の兵士であり、なおかつ屈強な兵で威圧感だしまくりであった。
「大丈夫、私が付いているから」
「ホント?」
「あぁ、大丈夫だ」
さらに強く抱きしめられ、一人幸福感につつまれている秋蘭と恐怖を覚えている一刀という不思議な組み合わせで門を通過した。
「秋蘭」
「華琳様、連れまいりました」
「そう・・・・・一刀」
「お姉ちゃん誰?」
「・・・・・華琳よ」
「華琳お姉ちゃんはどうして僕の名前を知ってるの?」
「それは、あなたがここにいたからよ」
首をかしげて考えている、その光景を見て華琳は萌えていた。
「ここではなんだし、中へ行きましょう」
自然な動作で手を差し出す。
「うん!」
その手をすぐに握り返す、ただし、秋蘭の手と繋いだままでだが。
「早く行こうよ」
一瞬、秋蘭を睨みつけるようにして見たが、考えてみれば手を先に繋いでいたのは秋蘭である、それに後から手を出したのは自分で仕方がない事だと自らに言い聞かせ、その場は納得した。
「ねえ、華琳お姉ちゃん」
「何かしら?」
「あの柱からこっちを見てる人だれ?」
少し先の方で桂花が隠れきっているつもりなのか、柱からこちらをうかがっている。
「・・・・・・気にしなくていいわ、彼女、恥ずかしがり屋なの」
少しでも敵を減らすために、王佐の才を持つといわれる荀彧は切られた。
「そうだ、甘味などどうだ?」
「あら、それはいい考えね、琉・・・・いえ、私が作りましょう」
「華琳お姉ちゃん、お料理作れるの!」
尊敬の視線を向ける、中々このような視線を一刀から向けられることはないので驚いたが、なぜか非常に満たされた気がした。
それに流琉が作った場合、流琉に一刀を奪われかねないという判断が一番念頭に置かれていた。
「それじゃあ、こっちね」
無情にも桂花が隠れていた柱の大分前で曲がってしまい、桂花の苦労は徒労に終わってしまった。
厨房に行きながら秋蘭は桂花に心で謝っていた。
「さて、それじゃ、そこで待っていて」
「はーい」
すぐに席に着くと、華琳だけが調理場へ向かい、調理を始める。
「華琳様の料理は非常においしいぞ」
「楽しみ~」
「はい、どうぞ」
やけに早いと思って顔をあげるとその場に居たのは流琉であり、差し出したのは一刀から教えられたクッキーと言っていた菓子であった。
「わー!クッキーだ!」
喜び勇み、すぐにクッキーを食べ始める。
ちょうど、そのタイミングで調理を終えた華琳が来た。
一瞬にして張りつめた空気、その空気を全く気にせずに一刀は食べ続けている。
ここに戦火はさらに拡大する、その拡大率は止まることを知らず爆発的に増え続ける、戦火を止める事が出来る男はいまだに目覚めない。
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ほかの作品を読ませていただくと、自分の力不足を感じますね・・・・まぁ、今後も自分なりに頑張らせていただきます