周囲を警戒しながら凪と一刀が歩いている。
「お姉ちゃん・・・・・」
「どうした?」
「お姉ちゃんの名前は?」
「私か、私は楽し・・・・・凪だ」
「凪お姉ちゃん・・・・お腹すいた・・・・」
「そうか、じゃあ、そこで食べよう」
すぐそこにあった飲食店に入り、席に座る。
「それじゃあ、私は麻婆豆腐唐辛子ビタビタで」
「僕は・・・・・」
「彼には麻婆丼を」
さすがにビタビタを食べさせるわけにはいけないので、彼自身が考案した麻婆丼を食べさせることで、記憶が戻ることを期待していた。
「わぁ・・・・・・おいしそう」
「ちゃんと食べるんだぞ」
すぐに蓮華を持つと頬張り始める、それを見つめる凪は何処か嬉しそうである。
しかし、周囲の人は楽進将軍をなぜかお姉ちゃんと呼んでいる天の御使いに不思議な感覚を覚えたところで、扉が吹き飛んだ。
「ナギィィィ!覚悟しいや!」
どうやら扉を吹き飛ばしたのは霞のようである、さすがは神速の張遼と呼ばれるその名にふさわしい速度での発見であった。
「ん?また違うお姉ちゃんだ」
「一刀、こっちにきいや」
「一刀、行っては駄目だ」
2人から手を掴まれ、双方に引かれている様を見て、民は今日も平和を実感する。
「イタイイタイ!」
痛みを訴えたので、凪が手を離す。
「隙アリや!」
その隙を見逃すはずもなく、一瞬にして抱き寄せるとそのまま走り去って行った。
「くっ・・・・店主、ここに金は置いていくぞ」
机に金を置くとすぐに霞を追いかけて外へ出て行った。
「凪!」
「凪ちゃん!」
「真桜、沙和、霞様が一刀様を連れていった」
「それはすぐに追いかけないとなの~」
三人になり、すぐに霞を追いかけて走りだす。
そのころ霞は民家の屋根をつたい、逃げていた。
「お姉ちゃん、どうして逃げてるの?」
「あ・・・・それは・・・・」
さすがに本人を独占して、自分の色に染め上げたいからとは言えるわけもなく、言い淀む。
「あ、わかった!」
「え?」
「鬼ごっこしてるんだね」
「そ、そうや!鬼ごっこをしてるんや、みなにつかまらんようにせんとな」
そんなことを言い、身を隠すと霞は胡坐をかきその中に一刀を乗せる、いつもとは逆である。
「お姉ちゃんは名前なんて言うの?」
「ウチは霞や」
「霞お姉ちゃんだね」
お姉ちゃんをつけられ、満面の笑みを向けられ抗うことができずに一刀に抱きつく。
「へへへ~」
さすがに加減をしてるのか、一刀は照れているようであった。
「おやおや~幸せそうですね~」
「風・・・・」
もう見つかったことが意外だったのか、霞は目を丸くしている。
「一刀君、こっちに来てください~」
「一刀、行っちゃだめや」
いかせまいと、一刀を抱きしめる。
「仕方ないですね~」
「あんたがウチに敵うとでもおもっとんのか?」
「思ってませんよ~ですが、この方ならどうでしょうか?」
「張遼将軍、扉の補修代の方を・・・・」
先ほど、凪から一刀を強奪する前に扉を壊して居たため、それの請求である。
「あ・・・・え・・・・それは・・・・」
「ともかく、こちらへ来てもらいます」
「そないに急がなくても・・・・」
店主にせかされ、一刀を置いて店まで連れて行かれる。
「一刀君、風と一緒に遊びましょうね」
「風お姉ちゃん・・・・何して遊ぶの?」
「そうですねぇ・・・・・お昼寝でもしましょうか」
一刀のそばにより、一刀を自分の膝に頭を置かせ寝せる準備をすると疲れていたのだろう(前日一刀は夜中まで仕事をしていました)すぐに寝息を立て始めた。
「ふふふ・・・・・秋蘭様、出てきたらどうですか?」
「おや、見つかっていたか」
「それで、一刀君を連れていくのですか?」
「さすがに、こんなに気持ち良く寝ているのを邪魔するのは、よくはないだろうからな出直すとしよう」
町の至る所で上がる戦火、しかしこれはまだ序曲に過ぎないこの戦火が何を及ぼすのか神のみぞ知る。
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時間がなく、すごく急ぎ足になってしまった感があります、感想で言われていたアンソロに似たものがあるということですが、アンソロは一冊も持っていないので、酷くかぶっているようでしたら、ご一報お願いします