〇この作品(という名の駄文)を読む前の諸注意
・主人公はオリキャラです
・基本、『真・恋姫無双』呉√に準拠してます。
・作者に三国志の知識はほとんど御座いません。(恋姫シリーズをプレイしたのみです)
・ずぶの素人故、解りにくいところが多々あると思いますが、そういう点は遠慮なく質問してく
ださい。出来うる限り答えます。
・遅筆且つやる気にムラがあるので定期的な更新は難しいと思いますが完結させるつもりは満々
なのでそこの所よろしくお願いします。
SIDE『白夜』
(あぁ、やっぱり驚いてますねぇ・・・・)
孫策と黄蓋が息を呑む気配を感じて、白夜は苦笑を浮かべた。
白夜「白内障、といっても通じないでしょうね。要は、私は病で目が見えないんですよ。私の傍に、白い杖はありませんでしたか?」
孫策「・・・・・・・・」
白夜「・・・・孫策さん?」
孫策「え?・・・・あぁ、杖ね。確かに、拾った物の中にあったわ。一応回収してこちらで預かってるけど」
『あれって杖だったのね・・・・』という孫策さんの呟きが聞こえました。何だと思ってたんでしょう?
白夜「あれは私の国で目に障害のある人間が足下の確認をするために使うものなんです。歩きながら常にこうやって地面を叩いて、足下の凹凸や障害物を調べるんですよ」
そう言って私が右腕を左右に振ってみせると、「へぇ・・・・」という感嘆の声が聞こえました。
やはり珍しいのでしょうね、そういう物が。
孫策「事情は解ったわ。そういう事なら仕方ないわね」
白夜「有難う御座います」
孫策「あなたが刺客や妖じゃないことは解ったから、今すぐ処断するのは止めておいてあげる。けど、暫くはこの部屋に軟禁するからそのつもりで居ることね」
白夜「解りました。貴女方からすれば私は完全に不審人物ですからね、指示に従いましょう」
孫策「よろしい。じゃ、夜にでももう一度訊問するから、今の状況しか、あなた自身の事とか、しっかり整理しておいて頂戴」
白夜「はい」
孫策「ふふっ、頑張りなさい。・・・・じゃあ黄蓋は引き続き警備の指揮を。夜、公謹が帰ってきたら訊問の続きをするからね」
黄蓋「承った」
孫策「よろしく」
そう言って、孫策さんは部屋を出て行った。
黄蓋「では北条よ。夜までこの部屋より出ること、罷り成らん。厠に行きたい時は鈴を鳴らせ、腹が減った時も同様じゃ。鈴はここに置いておく」
どうやら枕元に台があるらしく、そこに置いてくれたようですね。
水差しもそこにあるらしく、教えてくれました。
黄蓋「夜の訊問でお主の運命が決まる。・・・・まぁ、悔いの無いようにな」
白夜「ええ、解りました」
黄蓋「それで良い。では儂も行く。・・・・大人しくしておるのだぞ?」
そう言って、黄蓋さんも部屋を出て行った。
白夜「さて、と・・・・」
手探りで水差しを見つけると、容器に注いで喉を潤しました。
対して冷たくもありませんでしたが、気分を落ち着けるには十分でした。
白夜「まずは状況の整理ですかね・・・・」
顎にそっと右手を添え、右肘を左手で支える。
考え事をする時の白夜の癖のようなものだ。
白夜「目覚めてみれば、そこは見知らぬ場所だった。現れたのは『黄蓋』と名乗る、声色からして妙齢の女性。そして、その『黄蓋』が主と呼ぶ『孫策』という女性。そして、現在の王朝は『漢王朝』だと言う。となれば、まず間違いなくタイムトラベルでしょうね」
アニメや漫画、小説などで言わずと知れた現象。
空想の産物だと思っていましたが、まさか自分が経験する日が来るとは思いもしませんでしたね。
思わず苦笑が浮かんだ。
しかし、引っかかる点が一つ。
白夜「孫策に黄蓋、三国志に出てくる武将の名前のはずですが・・・・」
私の記憶違いでなければ、二人とも男性であったはず。
なのに、私の前に現れた二人は『女性』だった。
白夜「パラレルワールド、なんでしょうね。この場合タイムパラレルですか」
突拍子も無い話だなぁ、と思わずまた苦笑が漏れました。
更に突拍子も無いと思うのは、
白夜「光と共に私が現れた、というシチュエーションですね」
怪しく思われるのも当然でしょうね。
『光と共に現れる』なんて幻想的ではありますが、現実味は欠片もありませんし。
白夜「まぁ、そうも言ってられませんね」
今夜、公謹・・・・おそらく周瑜のことでしょうが、その人から訊問を受け、不審なことがあれば処断される、と。
白夜「さて、どうしましょうか・・・・?」
そう言って、自分の所持品を確認してみる。
服装はいつもと同じ、白い半袖のYシャツに青のジーンズ。
ポケットには携帯電話に財布、チェーンでベルトに繋いでいた触読式の懐中時計(文字盤を触って時間を確認できる時計の事です)。
財布の中には数枚のお札に、小銭が少々入っていた。
白夜「携帯電話で大丈夫ですかね?この時代に電波なんてないでしょうし・・・・」
試しに使ってみると、やはり圏外でした。・・・・そう言えば。
白夜「孫策さん、杖は『拾った物の中に』あった、と言っていたような・・・・」
ということは、他に何か別の物もあったのだろうか?
白夜「・・・・いや、あまり期待しない方がいいでしょうね」
取り敢えず立ち上がり、壁を支えにゆっくりと歩き回り、手探りで部屋の中を調べてみた。
途中何度か机や棚のような物にぶつかったりはしたが、部屋の間取りは大体把握でき、頭の中に見取り図を創造してみる。
白夜「それなりに広さはありますし、武器になりそうなものもちらほらありますが・・・・」
それは選択肢から除外した方がいいだろう。
相手は後世に名を残している程の『英雄豪傑』である。
それに、そんなことしてもこちらには何の得もない。
白夜「夜にもう一度訊問するそうですが・・・・そう言えば今何時なんでしょう?」
懐中時計の蓋を開け、文字盤に触れる。まだ正午を回ったばかりだった。
彼女達の夜の基準が何時からなのかは解らないが、まだ5、6時間はあるだろう。
白夜「取り敢えず、食事ですかね」
そう呟いて、私は枕元の鈴に手を伸ばした。
その後出された食事は意外とあっさりしていて、
それなりにお腹も膨れた私は急速に眠くなり、
どうせ時間もあるからと寝台の上に横になりました。
SIDE『孫策』
流石に少し驚いた。
目の病の存在は知ってはいたが、いざ目にすると驚きの度合いが全く違った。
それは恐らく祭も同じだっただろう。
実際に見てはいなかったが、息を呑む気配がしていたから。
孫策(あんな風になってしまうものだったのね・・・・)
光の無い世界。
それがどれほどの物なのか、私には理解できない。
私には、そんな経験は無いから。
孫策「・・・・・・・・」
あの瞳を前にした時、言葉が出なかった。
だが、その理由は驚きだけでは無かった。
孫策(あの男の目・・・・とても綺麗だった)
目を見れば、その人間がどんな人間なのか何となく解った。
真っ直ぐな人間の瞳はやはり綺麗に澄んでいて、
何処か歪んでいる人間の瞳はやはり黒く濁っていた。
だが、あの男の瞳は今まで見たどんな物とも違っていた。
孫策(あの瞳には・・・・汚れなんで欠片も無かった)
どんなに誠実な人間であろうと、その瞳には多少の汚れが存在した。
それは仕方のないことだろう。人間である以上、大小の差はあれど欲望はあるものだ。
だが、あの男の瞳はまるで湧き出たばかりの聖水のように綺麗に澄みきっていた。
孫策(あんな瞳を持った人間がいるなんてね・・・・)
驚きを隠しきれなかった。
思わず言葉を失い、彼の言葉に反応が遅れてしまうほどに。
(あの鉤棍が杖だというのにも十分驚いたが)
孫策(これは、夜が楽しみになってきたわね・・・・♪)
『取り敢えず彼の目の事は冥琳に伝えておかなきゃね』と図らずも軽い足取りで、
孫策(なんだか飲みたくなっちゃった♪)
と酒を漁りに食堂へと向かう呉の王であった。
SIDE『白夜』
??「おい・・・・おい、北条。起きろ」
白夜「んっ、んぅ・・・・」
??「訊問を始めるぞ、とっとと起きんか」
訊問・・・・あぁ、そういえばそうでした。
白夜「・・・・お早う御座います」
黄蓋「何がお早うか。・・・・全く、太い男だな貴様」
どうやら私を起こしてくれたのは黄蓋さんのようです。
呆れているのでしょう、言葉にちょっとした棘がありますね。
白夜「すいませんでした。出された食事が美味しくて、ちょっと食べすぎてしまいまして」
孫策「自分がどうなるかも解らないのに、良く眠っていられるわね」
白夜「なるようにしかならないな、と思ってましたから」
??「ふっ、本当にいい度胸だな」
と、耳に新しい声が聞こえました。どうも寝起きは気配の察知が上手くいきませんね・・・・
含み笑いと共に、こちらに近づく気配が一つ。
周瑜「私は周瑜という。貴様の尋問官の一人と思ってもらえば良い」
白夜「北条白夜と言います。よろしくお願いします」
周瑜「よろしくする必要があるかどうか、それを今から決めさせて貰おう」
白夜「ええ、どうぞ。・・・・ああ、それから私の目は――――」
周瑜「病で見えないのだろう?伯符から聞いている」
白夜「そうですか。ならば構いません。何なりと聞いてください」
周瑜「うむ。・・・・ではまず生地から聞かせて貰おう」
白夜「生地、ですか・・・・日本という国の生まれです」
周瑜「日本・・・・それは何処にある国だ?」
白夜「場所で言えば、この大陸から東へ海を渡った所にある島国ですね」
周瑜「東方、と言うと・・・・蓬莱のことか」
白夜「ええ、そう考えて頂いて結構です」
周瑜「ふむ・・・・で、『場所で言えば』というのはどういう意味だ?」
流石に気付きますか、流石は『美周郎』ですね。
白夜「今その場所に言ったとしても、私の国はまだそこに存在していないからです」
周瑜「というと?」
白夜「私はここから未来の、異世界からやって来た人間だからですよ」
そう言うと、後ろの二人から『どういう事だ?』という気配が伝わってくる。
周瑜さんはあまり動じていないようですね。いや、頭の中を整理している、って所でしょうか。
周瑜「ふむ、それを証明する事は出来るか?」
白夜「そうですね、ではまずこれを」
そう言って、私は財布からお札と小銭を取り出した。
黄蓋「これは見事な彫刻じゃな。しかしこれがなんだと言うんじゃ?」
孫策「この紙、随分丈夫なのね。人とか山とか、色んな絵が描いてあるし・・・・わ!これ透かしからここに描いてあるのと同じ絵が浮き上がってきたわよ!!」
白夜「私の国で使われているお金です。他にも色々種類があるんですが、今はこれしか持ち合わせてなくて」
周瑜「ふむ、確かに見事なものだが、国が違えば使う金も違って当然だ。これで『異国から来た』事は証明できても、『未来から来た』という事はこれでは証明されないぞ?」
ふむ、やはりこれだけでは弱かったですか。
白夜「では、次はこれを」
周瑜「これは?」
白夜「携帯電話というものです。本来は遠く離れた人と会話する為のものなんですが」
周瑜「遠く離れた人間と会話を?・・・・ならばやってみせてもらおう」
白夜「いえ、ここでは不可能なんです。同じものがもう一つ無ければいけませんし、そもそもここには電波が来てませんから」
孫策「でんぱ?何それ?」
白夜「目には見えない波動のようなもの、とでも思っていただければ」
黄蓋「ふむ、気のようなものか?」
白夜「まぁ、感覚としては間違っていませんね」
周瑜「出来ないならば、それは証明にはならんが?」
白夜「いえ、これで出来ることはそれだけではなくてですね」
そう言って携帯電話をいじる。
私のような視覚障害者のためのものなので、フォルダを選択する度に『データBOX』『設定』など電子音の読み上げが鳴り、その度に三人からの警戒心が高まるのを感じたが、
♪~~~~
周瑜「む?」
孫策「あら?」
黄蓋「ぬ?」
♪~~~~~♪♪~~~~~
♪~~~~♪~~~~~~~
♪~~~~~~~~♪~~~
そう、携帯電話に入っていたオーケストラの演奏を流しているのである。
『どんな時代でも、どんな世界でも、音楽が持つ力は共通だろう』
そう思い至った白夜はこの手段を選んだのだ。
案の定、三人からの警戒心は音楽が続くに連れて少しずつ薄れていくのが解りました。
やはり、音楽の力は偉大ですね。
やがて演奏が終わると、刺々しい空気はそこには無く、
孫策「綺麗な曲だったわねぇ・・・・」
黄蓋「うむ、素晴らしいものじゃった」
白夜「いかがでしたか?」
周瑜「うむ・・・・その小さな箱から人の声が聞こえた時は妖術かとも思ったが、中々良いものを聞かせてもらった」
孫策「どれも聞いた事の無い音色ばかりだったわねぇ・・・・思わず聞き入っちゃった」
白夜「管弦楽、という音楽です。管楽器、弦楽器、打楽器の三種類から構成されていて、多ければ百人単位で演奏することもあるんですよ」
黄蓋「ほう、それほどともなれば相当な迫力があるんじゃろうな」
白夜「ええ、それはもう。私も一度しか聞いたことは無いんですが、圧倒されましたね。で、どうですか?これで証明になりましたか?」
周瑜「ふむ、それは妖術の類ではないのか?」
白夜「ええ、科学という学問によるれっきとした技術です。私がいた所ではこの学問が非常に進んでいてですね――――」
それから私は、私が知りうる限りで三人に解りやすいものを選びながら、身振り手振りを交えて話を続けました。
冷蔵庫、自動車、冷暖房、洗濯機、etc。
そして暫く経って。
周瑜「ふむ、話は解った。どれも荒唐無稽過ぎではあるが、その小さな箱から人の声や音楽が聞こえたことを考えれば、貴様の言っているこの全てを否定することは出来んな」
孫策「理屈っぽいわねぇ~」
周瑜「それこそ、軍師の性という奴だな。理と論を思考の中心に据えるのが軍師というものだ」
孫策「じゃあ我らが軍師様。この男、どう判断する?」
周瑜「・・・・・・・・」
こちらに視線が集まっていますね。
姿勢を崩すことなく、次の言葉を待つ。
恐れる事も無ければ、何らやましい事だってないのだから。
やがて、5分程経った頃でしょうか、
周瑜「本当にこやつが天の御遣いかどうかは解らないが、少なくとも我等の知らぬ国からやって来たということは解る。それに確かに胡散臭くはあるが、人柄は悪くない。
何より・・・・言葉に裏表が全く感じられない。こういう人間は多少抜けている所があったとしても、悪人にはなりきれんだろう」
どうやら好評を頂けたようですね。
ホッと胸を撫で下ろした。
黄蓋「お眼鏡に適ったか。儂もこやつの度胸ぶりは中々好もしいと思っておる」
孫策「なら決まりかな?」
周瑜「天の御遣いとして祭り上げる資格はあるだろう。雪蓮の好きにすれば良いわ」
孫策「了解♪」
・・・・はて、さっきからちょくちょく話に出てきて気になっていたのですが、
白夜「あの、その『てんのみつかい』とは?」
その疑問にまず答えてくれたのは、黄蓋さんでした。
黄蓋「貴様がここへやってくる前に、管輅と言う占い師が占いを吹聴しておったのだよ」
周瑜「管輅曰く、『流星と共にやって来る者は、この乱世を鎮める天の御遣いである』とな」
孫策「初めは信じて無かったんだけどね?白い光と共にあなたが現れた。なら、あなたが『天の御遣い』という存在・・・ううん、そういう存在に『なれる』ってこと」
ふむ、なるほど。
白夜「もし私が本物の『天の御遣い』とやらでは無かったとしても、偽称する資格はある、ということですか。一応状況証拠は揃ってるわけですし」
周瑜「そういうことだ」
白夜「で、私はこれからどうなるんです?」
周瑜「それは我等が主の意志による。・・・・どうする?」
孫策「元々考えていた事を実行するわよ。その為に拾ってきたんですもの」
黄蓋「ふむ、まぁお好きにすればよろしい、儂は特に反対はせん。何より、儂はこやつを気に入った」
そう言って黄蓋さんは私の肩をバンっと叩きました。正直かなり痛いです・・・・
白夜「~~~~っ・・・・で、私はどうなるんです?」
孫策「その前に質問。あなたはこれからどうする積もりなの?」
ふむ、これから、ですか・・・・それが問題なんですよねぇ・・・・
白夜「正直、何も無いとしか言い様がありませんね。生きる術も、行く宛もありませんし、何より私の目はこんなですから。生まれ育った街ならばいざ知らず、見知らぬ世界に一人放り出されてもその内野垂れ死ぬだけかと」
言っていて非常に情けないなぁ・・・・でもそれが事実ですし。
と、私がどうしたものかと考えていると、
孫策「じゃあさ、暫く私達と行動しない?」
白夜「・・・・はい?」
思わず訊き返してしまいました。
空耳かとも思いましたが、
孫策「あなたを保護してあげるって言ってるの」
白夜「私を?」
孫策「そ。一人で生きるよりは良いんじゃない?」
どうやら空耳では無かったようです。
白夜「それは大変有難い事なのですが・・・・本当によろしいのですか?」
孫策「ええ、いいわよ。ただし、いくつか条件があるけどね」
白夜「条件ですか?」
・・・・・・・・何でしょう、非常に嫌な予感がしますね。
孫策「ええ。まず一つ。あなたの知恵を呉の統治に役立てる事」
白夜「私の知恵、ですか?」
孫策「そ。あなたの居た世界の知っている事を、私達に教えなさい」
白夜「それは別に構いませんが・・・・」
これでも一応大学は卒業しているから、それなりに知識は持ち合わせている。
科学などの専門知識は流石に無理だろうが、少しは役に立てるだろう。
孫策「簡単でしょ?で、もう一つは私につかえている武将たちと、あなたから率先して交流を持つ事」
・・・・・・・・『交流』?
白夜「それは・・・・一体どういう意味でしょうか?」
孫策「有り体に言えば、口説いてまぐわれって事ね」
白夜「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
流石に驚いた。なんて事を言うのだろう、この人は。
孫策「あなたの胤を呉に入れるの。そうすれば『呉に天の御遣いの血が入った』って事を喧伝出来るでしょ?」
あぁ、なるほど・・・・
白夜「『天』という恩恵が欲しい、という訳ですか」
確かにこの時代ならば、神や天という名の持つ影響力は莫大だろう。
卑弥呼然り、キリスト然り、仏陀然り。
神がかったものに対して畏敬を抱くのは、昔の人ならば当然だろう。
そしてもう一つの畏敬の対象となるのが、血統に対する過剰なまでの信仰だ。
日本でも江戸時代なんかがいい例である。
その二つが同時に手に入るともなれば、その利益は相当なものになる。
孫策「そういう事。・・・・あ、もちろん嫌がる女の子にするのは駄目だからね?あなたが口説いて、その娘が『良い』って言うまでは手を出しちゃ駄目。解った?」
白夜「それも条件・・・・なんですよね・・・・?」
孫策「そ♪」
黄蓋「貴様も男なんだ、公認で女とヤレて嬉しいじゃろう?」
白夜「・・・・・・・・まぁ完全に否定はしませんけどね」
孫策「さっきも言ったけど、強引にじゃ駄目よ♪ちゃんと合意の上でなきゃ駄目♪」
白夜「それは解ってますよ。私だってそんな事したくありませんし」
孫策「なら良いんじゃない?私はいつでもいいよ♪」
・・・・なんとも反応に困る事を言ってくれますね。
黄蓋「儂も構わんぞ」
・・・・貴女もですか、黄蓋さん。
周瑜「・・・・まぁその辺りの話については、追々話し合っていけば良いだろう」
白夜「・・・・・・・・そうして下さると助かります」
流石に頭が状況の変化に追いつきませんね。思わず溜息が出てきます。
孫策「あら?大乗り気になると思ったけど、案外そうでも無いのね?うちの可愛い女の子達と、公認でいちゃつけるんだから、もっと喜びなさいよぉ」
どうやら私の反応が意外だったようですね。
白夜「軟派であれば諸手を挙げて大喜び、なんでしょうが・・・・種馬扱いを素直に喜ぶのは 男としてどうか、と私は思う訳でして」
黄蓋「ほぉ。案外、骨のある事を言いよるの」
孫策「そんなのどうでも良いわ。受けるの?受けないの?」
白夜「・・・・受けますよ。どの道、今の私にはそれしか方法がありませんしね」
言い訳がましく聞こえるかもしれないが、それが事実なのだから仕方ない。
孫策「じゃ、決まり♪冥琳、通達よろしくね」
周瑜「はいはい。・・・・はぁ、何と言って説明をすれば良いんだか」
孫策「それを考えるのが冥琳の役目でしょ♪」
周瑜「簡単に言ってくれるものね」
孫策「信じてるからね♪」
周瑜「答えになって無いわよ、全く。・・・・まぁ、何とかやってみましょう」
孫策「ん♪」
周瑜さん、どうやら苦労人のようですね・・・・そう言えば先ほどから孫策さんは周瑜さんの事を違う名で呼んでいるようですが、何なのでしょうか?
と、そんな事を考えていると孫策さんがこちらを向いたようで、
孫策「じゃ改めて自己紹介するわね。姓は孫、名は策、字は伯符、真名は雪蓮よ♪」
黄蓋「はぁ、真名までお許しになるのか?」
孫策「だって身体を重ねる事になるかも知れない男なんだし、それくらい特別扱いしてあげないとね♪」
・・・・・・・・・・『まな』?
白夜「あの・・・・先ほどから二人が仰られている『まな』とは一体何なのでしょうか?」
私の疑問に答えてくれたのは、周瑜さんでした。
周瑜「『真』なる『名』と書いて『真名』と読む。私達の誇り、生き様が詰まっている神聖な名前の事だ」
黄蓋「自分が認めた相手、心を許した相手・・・・そういった者だけに呼ぶ事を許す、大切な名前じゃよ」
孫策「他者の真名を知っていても、その者が許さなければ読んではいけない。そういう名前」
それは・・・・何とまあ・・・・
白夜「光栄ですね。しかし同時に・・・・重くもある」
孫策「そう思える?」
白夜「そりゃそうでしょう・・・・相手から信頼されたという証です。それを裏切るなんて出来ないでしょう?」
周瑜「ふむ、中々。よくぞそこまで考えが回るものだ」
白夜「そこまで馬鹿じゃあありませんよ」
孫策「それじゃ私の事は今後、雪蓮って呼んでね」
黄蓋「我が名は黄蓋。字は公覆。真名は祭じゃ」
周瑜「姓は周、名は瑜。字は公謹。真名は冥琳。・・・・北条よ、貴様には期待させて貰おう」
白夜「解りました。よろしくお願いしますね雪蓮さん、祭さん、冥琳さん」
頭を下げ、三人と握手をしながら挨拶を交わし終えると、
冥琳「そう言えば北条、お前の荷物を預かったままであったな。返しておこう」
・・・・ああ、そう言えば
白夜「完全に忘れてましてたね」
冥琳「勝手ながら調べさせてもらった。済まないな」
白夜「いえ、別に構いませんよ。で、何があったんですか?」
冥琳「うむ、この白い、杖だったか?それとこれだ。形状からして弦楽器のようだが・・・・これは一体何なのだ?」
弦楽器・・・・まさか・・・・
手渡された重量感、この手触り・・・・・
私が徐にその『ケース』をテーブルに置き、蓋を開いて手触りで確かめると・・・・
白夜「良かった・・・・これも一緒だったんですね・・・・」
指先に伝わる、木製の心地よい手触り。
ピンと張った四本の弦に、嗅ぎ慣れたニスの香り。
私の大切な、数少ない宝物の一つ。
雪蓮「綺麗な楽器ねぇ~♪見た事ないけど、天の国の楽器なの?」
白夜「ええ・・・・バイオリン、と言う楽器です」
祭「『梅尾鈴』・・・・なんとも珍妙な響きじゃの」
雪蓮「ねぇねぇ、どんな音色がするの?弾いて見せてよ?」
祭「儂も是非に聞きたいのう」
冥琳「私も、聞かせてもらいたいものだな」
白夜「構いませんが、大した腕ではありませんよ?先ほど聞かせた管弦楽の方が良いと思うんですけど・・・・」
雪蓮「もう、乗りが悪いわねぇ・・・・私が聞きたいのは白夜の演奏なの!!」
・・・・これはこれは嬉しい事を言ってくれますね。
白夜「・・・・後でそっちの方が良かった、なんて言わないで下さいよ?」
雪蓮「言わない言わない♪早く早く♪」
はぁ・・・・仕方ないですね。
あまり人前で弾いた事は無いのですが・・・・
そう思いつつも、雪蓮の言葉が嬉しかったのだろう。
白夜はゆっくりと立ち上がり、
ケースから弓を取り出すと、
左肩にバイオリンを乗せ、
顎当てに顎を乗せ、
弓の弦を四本の弦の上に乗せると、
ゆっくりと奏で始めた。
SIDE『??』
??「随分遅くなっちゃいましたね~・・・・」
すっかり真っ暗になってしまった夜空を眺めながら、私は自室へと歩いていました。
??「書類仕事は肩が凝って困りますねぇ~・・・・ただでさえ『これ』のせいで凝りやすいというのに~」
そうぼやきつつ、自分の胸に付いている二つの膨らみを下から持ち上げてみます。
・・・・全然足下が見えません。
??「はぁ・・・・こんなに大きく無くてもいいのにぃ~」
気がつけばどんどん大きく重くなり、それに連れて周囲からの視線は増えていった。
男性からは好奇の、女性からは羨望や嫉妬の入り混じった視線が、毎日刺すように飛んでくる。
その事に、彼女は少なからずの不快感を感じていた。
こんなんじゃあ街中もまともに歩けませんよう、と溢しても、そんな願いなど叶う訳も無く、
??「うぅ・・・・せめて私の見た目なんて全く気にしないような方が何処かにいて下さったりしませんかねぇ・・・・?」
・・・・そんな人いないだろうなぁ、と自分で結論付け、余計に落ち込んでしまう。
一端こうなってしまうと最早『負の思考』は止まらかった。
普段ならば。
――――~~♪
??「・・・・・・・・あや?」
ふと、顔を上げる。
空耳だろうか?
よく耳をそばだててみると、
――――~~~~~♪
また聞こえた。
??「・・・・どなたか趣味で楽器でも始めたんですかねぇ?」
不思議と足がそちらへ向かっていた。
まるで花の香りに誘われる蝶のように。
一歩一歩が、自然とそちらへ踏み出される。
そして近づくに連れて、ある事に気づく。
??(こんな音色、初めて聞きましたね)
儚いようでちゃんと芯が通っていて、
柔らかいようで何処か力強い、
このような音色を奏でる楽器は、彼女の知識には無かった。
??(凄く綺麗・・・・)
そして、辿りついたのは一つの扉の前。
??(ここは確か、昨夜孫策様に連れて来られた男性の・・・・)
扉の両脇には見張りの兵士達が数人立っていたが、皆その不思議な音色に安らいだ表情で目を閉じて聴き入っていた。
ふと一人の兵士がこちらに気づき、人差し指を口に当てた後、扉を指し示した。
どうかお静かに。
どうぞ、と。
そして、私はゆっくりと扉を開け、
その光景に、完全に心を奪われた。
(続)
後書きです、ハイ。
長ったらしいかもしれませんが、もうちょっとだけプロローグが続きます。
終わったら拠点でも書こうかと思ってますが、ぶっちゃけノープランですwwww
小説を書いていると、時間ってあっという間に過ぎますね。
実は今回の話、昨夜の『ヘキサ〇ン』見ながら書いていたんですが、
ほぼ完成と同時にうpしております。
はい、ほぼ12時間ぶっ続け。徹夜で書いておりましたwwwww
実は俺、今は大学の春季休業中でして、
時間は掃いて捨てるほどあるんですねwwwww
参加してるサークルの追いコン(追い出しコンパの略)の連絡は来ないしwwwww
まぁ、今月末には一度実家に帰るので暫くネットは出来なくなるんですが。
(実家はネットが使えないのですよ・・・・)
その為、3月頭から暫く更新は止まります。
中旬には再開できるよう頑張りますのでどうか待っていて下さい。
といっても帰省する前にまた更新するかもしれませんけどね。
さて、白夜君はいかがでしたでしょうか?
皆さんのご期待に添えているといいんですが・・・・
次話かその次の話くらいには設定資料を公開しようかな、なんて思ってます。
ちなみにオリキャラも出す予定です。
今、懸命に無い知恵絞り出して考えてる最中なので気長に待ってて下さい。
では、今回はここら辺で。
でわでわノシ
・・・・・・あ~腹減った。
Tweet |
|
|
103
|
13
|
追加するフォルダを選択
投稿3作品目です。
これで見習い卒業になりますね。
色々と意見や感想や質問、
『ここはこうしたらいいんじゃねえの?』的な事がありましたらコメントして頂けると嬉しいです。
では、どうぞ。
続きを表示