No.126352

真・恋姫無双二次創作 ~盲目の御遣い~ 第壱話『邂逅』

投稿2作目です。
前回の内容+アルファになっております。
色々と意見や感想や質問、
『ここはこうしたらいいんじゃねえの?』的な事がありましたらコメントして頂けると嬉しいです。
では、どうぞ。

続きを表示

2010-02-24 00:39:19 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:45956   閲覧ユーザー数:34407

 

 

 

〇この作品(という名の駄文)を読む前の諸注意

 

 

 ・主人公はオリキャラです

 

 

 

 ・基本、『真・恋姫無双』呉√に準拠してます。

 

 

 ・作者に三国志の知識はほとんど御座いません。(恋姫シリーズをプレイしたのみです)

 

 

 ・ずぶの素人故、解りにくいところが多々あると思いますが、そういう点は遠慮なく質問してください。出来うる限り答えます。

 

  

・遅筆且つやる気にムラがあるので定期的な更新は難しいと思いますが完結させるつもりは満々

なのでそこの所よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

季節は春。夜の帳には所狭しと星たちが瞬いている。

 

そんな黒天の下、頭上を仰ぎみる人影が二つ。

 

一つは、弓と矢筒を携えた、雪のような白い髪の女性。

 

もう一つは、黄金色の剣を携えた、桜のような桃色の髪の女性。

 

双方共に、街中を行けば男が十中八九振り返るであろう美貌と肢体の持ち主であった。

 

「ふぅ・・・・もう春も近いというのに、まだ肌寒いのう」

 

「気候が狂ってるんじゃないかしら。・・・・世の中の動きに呼応して」

 

「・・・・確かに、最近の世の中の動きは少々狂い始めておりますからな」

 

「官匪の圧政、盗賊の横行。飢饉の兆候も出始めているようだし。・・・・世も末よ、ホント」

 

「うむ、しかも王朝では宦官が好き勝手やっておる。・・・・盗賊にでもなって好きに生きたいと望む奴が出るのも分からんでもないな」

 

「真面目に生きるのが嫌になる、か。・・・・ま、でも大乱は望むところよ。乱に乗じれば私の野望も達成しやすくなるもの」

 

「全くじゃな」

 

「今は袁術の客将に甘んじてるけど。・・・・乱世の兆しが見え始めた今、早く独立しないとね」

 

「堅殿が死んだ後、うまうまと我等を組み入れたつもりじゃろうが・・・・いい加減、奴等の下で働くのも飽きてきたしの」

 

「そういうこと。 だけど、まだまだ私達の力は脆弱。・・・・何か切っ掛けがあれば良いんだけど」

 

「切っ掛けか。・・・・そういえば策殿、こんな噂があるのを知って居るか?」

 

「どんな噂よ?」

 

「『黒天を切り裂き飛来する一筋の流星。其は天の御遣いを乗せ、この乱世に安寧を齎す。』・・・・管輅という占い師の占いじゃな」

 

「管輅って、あの似非占い師として名高い?胡散臭いわね~」

 

「そういう胡散臭い占いを信じてしまう程に、世の中が乱れとるということだろう」

 

「縋りたいって気持ち、分からなくも無いけどね。でも、あんまりよろしくないんじゃない?そういうのって」

 

「妖言風説の類じゃからな、じゃが仕方無かろうて。明日がどうなるか、明後日がどうなるか、とんと見えぬ時代じゃからな」

 

「ホント、世も末だこと」

 

「うむ。・・・・さて策殿。偵察も終了した。そろそろ帰ろう」

 

「そうね。さっさと帰らないと冥琳に―――――――」

 

そう言って、『策殿』と呼ばれた女性が帰路へ就こうとした、その時。

 

 

――――――――――ィン

 

 

「・・・・何、この音?」

 

突如聞こえた異音に、『策殿』は周囲を見回し、

 

「策殿、儂の後ろに!!」

 

白髪の女性は矢筒から矢を取り出し弓を構え、

 

「大丈夫よ、祭。あなたこそ気を付けて」

 

そう言って『策殿』もまた、剣を手に辺りを探る。

 

そこには先刻までの穏やかな空気など欠片も存在せず、戦場のそれへと豹変していた。

 

「盗賊か、妖か・・・・何にせよ来るなら来なさい。殺してあげるから・・・・」

 

 

 

――――――――ィィィィン

 

 

 

徐々に異音は大きくなり、

 

 

 

―――――ィィィィィィィン!!

 

 

 

「何・・・・これ・・・・・・・・?」

 

 

 

視界は白光で遮られていく。

 

 

 

 

――ィィィィィィィィィィン!!!!!!

 

 

 

「策殿っ!!!!」

 

 

 

そして、その輝きが頂点に達したかと思うと、突如何事も無かったかのように視界は晴れ渡り、

 

 

 

「何だったのよ、今の。・・・・・・ん?」

 

 

 

いや、確かに『何かが』起こっていた。

 

「策殿、大丈・・・・どうなされた?」

 

「あそこに人が倒れてるのよ」

 

「何?」

 

視線でその指先を辿ると、確かに人が倒れていた。

 

「さっきまであそこに人なんていなかったわよね?」

 

「うむ。・・・・あ奴が妖か?」

 

「行ってみましょう」

 

そう言うや否や走り出した彼女の背中を、白髪の女性は呆れながら追いかけるのだった。

 

 

SIDE『孫策』

 

近寄ってみれば、そこにいたのは青年であった。

 

傍らにはこの青年の物であろう荷物も落ちている。

 

形からして、二胡か何かだろうか?

 

兎に角、弦楽器の類なのは間違いない。

 

こっちは、鉤棍(トンファーの事)かしら?

 

白い金属なんて聞いたことも無いけど・・・・

 

見た事の無い品々に首を傾げながら顔を覗き込んでみると、どうやら彼は深く眠っているようだった。

 

年齢はおそらく自分と同年代。

 

無造作に伸びた黒髪を後ろで束ねている。

 

鮮やかな青の履物に、見たことのない拵えの靴。

 

そして最も目を惹いたのが、青年が着ていた純白の上着であった。

 

(こんなに綺麗な白い布なんて初めて見たわね・・・・)

 

そんな感想を抱きながら青年の様子を観察していると、祭がやっと追い付いてきた。

 

『老い耄れをこき使うな』なんてどの口が言うのかしら。

 

いっつも戦場では先陣を切りたがるくせに。

 

それはそうと今はこの男ね。

 

さっきまではこの場にいなかった。

 

だけど気が付いたらいた。

 

あの光と何かしら関係があると考えるのが妥当でしょうね。

 

さっき祭が言っていた『天の御遣い』の占い通りになった、とも言えるけれど・・・・

 

 

「取り敢えず、連れて帰りましょう」

 

 

どっちだって構わない。

 

本物の『天の御遣い』ならば、私達で保護する。

 

妖の類ならば、私の手で始末する。

 

どちらにしたって、損はない。

 

だが、私の中には「この男は『本物』だろう」という確信に近い何かが生まれていた。

 

(何故かしらね?)

 

不思議な感情を抱きながら祭にその考えを伝えて彼の運搬を任せると、

 

彼の荷物であろう弦楽器の容器と白い鉤棍(?)を拾い上げて帰路に就いた

 

 

SIDE『黄蓋』

 

策殿の考えに賛同した儂は、この孺子を背負って城へと帰った。

 

道中、何度か孺子のものであろう荷物を策殿が調べようとしたが流石に止めさせた。

 

もしものことがあったら、儂が冥琳に何をされるか解ったものではない。

 

また『一月の間禁酒』等と言われるのは勘弁じゃからの。

 

それにしてもこの孺子、傍目では解らぬが見かけによらず中々良い身体つきをしておる。

 

一朝一夕の鍛錬で身に着くようなものではない。

 

ふむ、少々興味が湧いてきたのぉ。

 

骨のある奴であれば儂の隊にでも入れてやろうかの。

 

それはさておき、城で出迎えた冥琳は孺子を見て少々戸惑っておったようじゃが、

 

策殿の思惑を理解したのか直ぐに納得した。

 

策殿が『勘だ』といった時は流石に呆れておったがな。

 

まぁ何にせよ、まずは明日の訊問の結果次第じゃな。

 

 

SIDE『周瑜』

 

今まで雪蓮には散々驚かされてきたが、今日の『アレ』は流石に衝撃だった。

 

『拾い物をしてきた』と言って、『人間』を見せるような輩が果たしてこの大陸に何人いるだろう

か?

 

片手の指ほどもいないだろう。そうであって欲しい。

 

全く、あの自由奔放、好奇心旺盛な性格はどうにかならないのだろうか?

 

これ以上面倒事を増やすようなら一度みっちり折檻する必要がありそうね・・・・・・・・ウフフ♪

 

さて、あの青年だが、『何処かの間諜』ということはまずないだろう。

 

間諜にとって重要なのは『自分の存在を悟られずに相手の情報を持ち帰り』、且つ『自身の情報を他国に漏らさない』、この二点に尽きる。

 

どんな妖術を使ったとしても相手の領地で、しかも将の前で無防備な姿を晒すなど、まともな間諜のすることではない。

 

衣服から『どこぞの貴族の御曹司か?』とも考えたが、それもないだろう。

 

この乱世にたった一人で野をうろつくのがどれほど危険か、ということくらい年端もいかぬ子供でも解ることだ。

 

兎に角、あの青年には監視を付け、明日の訊問の結果次第で扱いを取り決める、ということになった。

 

さて、時折自分の役割の必要性を疑うほどに雪蓮の『勘』はよく当たる。

 

お前は我らにとって『吉』となるのか『凶』となるのか・・・・しっかり見極めさせて貰うぞ、青年?

 

 

気が付いたら、目の前は真っ暗だった。

 

比喩でもなんでもなく、正真正銘『闇の世界』だった。

 

上も、

 

下も、

 

右も、

 

左も、

 

前も、

 

後ろも、

 

全て漆黒で塗り潰されていた。

 

闇。影。夜。黒。

 

それだけが、物心ついた時からの、私の『世界』だった。

 

 

SIDE『青年』

 

意識が目覚めつつある。

 

深い海溝から水面にゆっくりと向かってゆく気泡のように、

 

ふわりふわりと上ってゆく。

 

やがて耳朶に鳥のさえずりが優しく届き、

 

身体が徐々に覚醒してゆく。

 

上半身を起こし、眠気を振り払おうと身体をグッと伸ばし、

 

肺腑の隅々まで行き渡るようにすぅっと朝の清々しい空気を吸い込んで、

 

ふと、気付いた。

 

「私の部屋じゃない・・・・?」

 

この空間を満たしている空気の匂いも、

 

覚醒を促してくれた鳥たちの鳴き声も、

 

肌に触れている布団の感触も、

 

何もかもが慣れ親しんだ日常のものとは悉く異なっていた。

 

そして何より、

 

(囲まれている・・・・?)

 

自身を包囲する知らない人間の気配に一瞬「誘拐だろうか?」とも思ったが、直ぐに消し去った。

 

自分に対する敵意が感じられなかったし、何より自分を誘拐しても何の得もない。

 

(ならばこの状況は一体・・・・?)

 

青年が思考に耽ろうとしたその時、

 

「・・・・?」

 

この部屋の外から、こちらへと近づいてくる足音が聞こえることに気がついた。

 

(一体誰でしょうか・・・・?)

 

青年がそちらへ顔を向けると、扉の開く音がして、

 

「おや、目が覚めたようじゃな」

 

そんな声が耳に届いた。

 

 

SIDE『黄蓋』

 

「おや、目が覚めたようじゃな」

 

儂が部屋を訪れると、孺子は布団の上で起き上がりこちらに顔を向けていた。

 

瞼は閉じたままじゃが、まだ寝惚けておるのか?

 

まぁよい。取り敢えず、

 

「気分はどうじゃ?怪我はないか?」

 

「ええ、大丈夫ですが・・・・貴女は?」

 

「儂か?儂の名は黄蓋、字は公覆。以後見知りおけ」

 

「こうがいさん、ここは一体?」

 

「ここは荊州南陽。我が主、孫策殿の館よ」

 

質問に一通り答えると、孺子は僅かに眉間に皺を寄せ、

 

「こうがいさん、貴女の名前は黄色の『黄』に天蓋の『蓋』と書いて『黄蓋』と言うのでしょうか?」

 

「そうじゃ。よく解ったの」

 

「失礼ですが、現在の王朝の名を教えて頂けないでしょうか?」

 

「今は漢王朝じゃが・・・・何じゃ、お主そんなことも知らんのか?」

 

「いえ、そういう訳ではないのですが・・・・」

 

「まぁよいわ。お主、名は何と言う?」

 

「あぁ、すいません。北条白夜(ほうじょうびゃくや)と言います」

 

「ふむ。性が北、名が条、字が白夜か」

 

「いえ、性が北条、名が白夜です。字はありません」

 

「字がないとな?ふむ、珍しいの。では更に質問じゃがお主、昨夜あんな場所で何をしておった?」

 

「あんな場所、といいますと?」

 

「この街の外れ。近頃盗賊が出ると噂が出ておる場所じゃ」

 

「私は、そんな場所にいたんですか?」

 

「む?どういう事じゃ?質問には答えられんのか?」

 

「できませんね。私自身、今の状況を把握しきれていませんし」

 

「ふむ・・・・」

 

言葉は通じておるようじゃし、意志の疎通もそれなりに出来ておるようじゃが、これでは埒が明かんのう。

 

どうしたものかと考えこんでいると、

 

「おっ、起きてる起きてる。おはよう青年。気分はどう?」

 

扉を開け、我が主が姿を見せた。

 

 

SIDE『孫策』

 

「そうですね・・・・いまいち現状を掴めず混乱している、といったところでしょうか」

 

私の質問に、青年は苦笑しながらそう答えた。

 

「へぇ~、その割にははきはき答えるのね」

 

「混乱してはいますが、頭の中はやけにすっきりしてますからね。ところで、貴女は?」

 

「私は孫策。字は伯符。この館の主よ」

 

「なるほど、貴女が」

 

「そうよ。で、あなたの名前は?」

 

「私の名前は北条白夜と言います。性は北条、名は白夜。字は持ち合わせていません」

 

「へぇ?随分珍しい名前ね」

 

「まぁ確かに、貴女方からすればそうかもしれませんね」

 

「まぁいいわ。で、率直に訊くけど・・・・あなた何者なの?」

 

「『何者?』と聞かれましても、何から説明すれば良いのやら・・・・」

 

そう言って、青年は困ったように笑みを浮かべた。

 

(ふむ、嘘は言ってないみたいね。なら・・・・)

 

「ねぇ、白夜。あなたが倒れていた時の事は聞いた?」

 

「いえ、詳しくは」

 

「なら説明してあげる。昨夜偵察に出ていた私達の周囲が突然光に包まれてね、気が付いたらあなたが倒れていたの。解る?」

 

「・・・・まったく解りませんが」

 

「うん、私達も解らない。どうしてあなたがあんな場所にいてのおか、どうして光と共に現れたのか・・・・解らないからこうしてあなたを訊問してるの。そこで問題が一つ。この訊問で――――」

 

「私の素性が解らなければ、私は処断される。さしずめ・・・・妖の類として、ですか?」

 

「そ。今の状況、理解できたようね」

 

「ええ、十分に」

 

「よろしい。・・・・ところで、ずっと気になってたんだけど」

 

そこで一息ついて、私はずっと頭に浮かんでいた最大の疑問を口にする。

 

 

 

 

「あなた、どうしてずっと目を閉じたままなの?」

 

 

 

 

そう、この青年はずっと両目を閉じたままで私と話していたのだ。

 

「そうじゃな。儂も気になって居った。初めは寝惚けておったのかとも思っておったのじゃが、そうでもないようじゃしの」

 

今まで後ろで成り行きを見守っていた祭も同感であったらしく、そう言った。

 

「そうですね、話すより見てもらった方が早いでしょう」

 

 

 

 

 

そう言って青年は姿勢を正し、ゆっくりと瞼を開いて、

 

 

 

 

 

そして、私達は言葉を失った。

 

 

 

 

 

初めて目にした彼の瞳は、

 

 

 

 

 

真っ白に濁りきっていたのだ。

 

 

 

 

 

(続)

 

 

後書きです、ハイ。

 

前回よりは大分纏まりましたが、まだまだプロローグは続きます。

 

早くも前回の閲覧数が700近くにっ!?!?(@_@)

 

感謝感激感無量であります!!!!

 

さて、

 

やっと次回、主人公がまともに動き始めます。

 

(遅いって言わないで・・・・解ってるから)

 

駄文ですが、今後ともよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

・・・・今回まともに冥琳出せなかった orz


 
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