袁術がまだまだ勢力の弱い劉備たちの国に攻め込み、しばらくたった後
袁将軍が劉備たちの国、徐州の国境を越えた、その情報が軍議を終える直前に入ってきた。
「・・・・・そう、麗羽が、貴方の言った通りね」
「ええ、曹操様もそう思っていらっしゃったでしょう?」
麗羽のあの性格は直っていないだろうな、洛陽で再開したときも昔とちっとも変わっていなかった
「袁術が攻め込んで精一杯の劉備を見て好機と思ったのでしょうか?」
桂花の言うことは一番納得いく答えだが麗羽はそんなのではない、ただ単に惜しくなっただけ
人の物が欲しくなる我儘な子供の行動に過ぎない
「いえ、おそらく袁術に徐州を独り占めされるのが惜しくなったのでしょう」
「さすがだな稟、俺もそう思う。」
稟はやはり神算の者だ、麗羽の性格をこの間の戦で把握してしまっている
「・・・・・子供ね、良くそれで北の四州を取ったものだわ」
「そうね桂花、やはり袁家の力は朝廷が弱くなっていても健在と言うことよ」
まったくだ、この間3万の兵を動かして今度はすぐに劉備に攻め入っているどれだけ財力があるのだ?
兵の量も相当なものだろう、俺たちは下手に動かないほうが良いのかもしれない
袁術との決戦の為に準備を整えたほうが良いはずだ
「皆の意見を聞きたいわ、これからはどうするべきかしら?」
「は、徐州には敵の主力が揃っております。この機に南皮に攻め入り。徹底的に袁紹を叩くか、
昭の評価の通り今後力を持つ劉備を討つべく徐州に攻め込むのどちらかかと」
桂花は二通りの動きを提案した。確かにその二つは間違っていない、だが俺たちの誇りに反する
「風はどうかしら?」
「ぐー・・・・」
ぺちっ
「おおぅ!!お兄さん、寝ている少女の額を弾くとは」
「やっぱり寝ていたのか」
「・・・・・・寝てませんよ?」
指で軽く額を弾くと眼をぱちくりさせている。寝てないだって?寝てるって言ったよな今
「で、劉備さんのをよってたかって袋叩きにするんですか?それとも袁紹さんの所に
火事場泥棒に入るのですか?」
桂花は黙ってしまう、風の言ってることは実に解りやすいそれが世間の風評だ
曹操様の覇道にはそのような風評は必要ない
「華琳様の覇道にはそのような風評はあってはいけません、ここは静観し
力を溜めるべきです。」
「そうね稟、今回は稟の案を採用します。今は力を溜め次の動きで最善の一手を打つ」
これは稟の評価に「王を知る者」と付け加える必要がありそうだ、軍師になったばかりだと言うのに
もう曹操様の気持ちを汲んで次の動きを考えている。
「曹操様、劉備殿より救援要請が入ったときはいかがいたしましょうか?」
「要請が来たのなら助けます。その辺りは貴方が解っているでしょう?」
俺の方を見て微笑む、確かに助けを求めるものに手を差し伸べるのも王の責務
知っていて聞く俺もどうかと思うが、こういうことは一応聞かねばならんしな
この日の会議は会議はこれで終了となった。
「昭、屋敷に戻るのか?」
「秋蘭、いや一馬の所へ行って来る。その後は孤児院だ」
「そうか、では何が食べたい?昼食を作っておく、皆を連れてすぐ戻るのだろう?」
「なんでも良いよ、秋蘭の作る飯は何でもうまいからな」
「なんでもいいが一番困るのだぞ」と困った顔をされて送り出された
まあそうなんだろうが本当に何でもうまいからな、こればかりは仕方が無い
春蘭のことを俺も言えないか?だが春蘭も何でもいいと言うが実際は何でもよくないから俺とは違うか
「兄者、会議は終わったので?」
「ああ、ちょうど良かった。次の戦、一馬にも出てもらうかもしれん」
「やはり袁紹軍は数が多いですからね」
その通りだ、我らは優秀な将でそこを補わなければならないだろう
だから一馬の力は大きい、それに霞の馬術についていける兵は一馬の鍛えた兵くらいだ
「一馬を霞の副官に置くかもしれない、ああ、そうだ飯の時間だ秋蘭が待ってる。家で食おう一馬」
「はい、霞さんの副官ですか、それは楽しみです。」
「途中、孤児院にも寄っていく、詠の力も借りたいんだ」
霞は凪たちと仲が良いようで、時々凪たちの手伝いをしているようだ
その時に一馬の鍛えた兵たちと交流をしたとき凄く喜んでいたな、自分に着いて来られる
兵を育てるとは、と感心してた。それでも兵の半分は潰れていたけど
「あ、昭さん、こんにちは。今日はどうしましたか?」
「ああ月、元気そうだね。今日は詠に用があるんだが」
「そろそろ来ると思ったわよ。袁紹軍との戦いが迫ってきてるんだもの、僕の力を貸してあげるわ」
「流石だ、話が早くて助かるよ。ところでどうだ?食事をしながら話でも、屋敷で秋蘭が用意しているんだ」
詠は俺が来るのを予想していた。流石は軍師といったところだ、曹操様が言うには詠を俺のお抱えの
軍師として置きたいようだが果たして頷いてくれるかね、俺も次の戦は出ざるえない、秋蘭も
そこは納得してくれるだろう、なにせ手が足りないからな
「先に言っとくけどアンタの軍師しかやらないわよ、他の奴らなんかどうせ言う事聞きはしないだろうし」
「え?どうしたんだいきなり?」
「詠ちゃん・・・・・・・・・・」
詠は顔を真っ赤にしてソッポを向いてしまう、ブツブツと「元は敵だったし」とか「凪達だったらまだましだけど」
とか言ってる。どうやら俺の軍師をやりたいと言うことらしい、何と言うか素直でないな
こういうのも可愛いものだそう思うと俺は笑ってしまっていた
「ちょ、何で笑ってるのよっ!月も!一馬アンタまで!」
「すまない、ありがとう嬉しいよ。元よりそのつもりだったんだ、よろしく頼む」
フンッ!と言いながらそっぽを向く詠に手を差し出し握手を交わす。良かった詠も力に
俺の軍師として戦に出てくれることを了承してくれたのだ。
それから数日が過ぎ、寝台に入ろうとしたところで緊急招集の報を受け
俺と秋蘭、春蘭は涼風を月に預けて詠を連れて玉座の間へ集まっていた
「あ、隊長、一体何の騒ぎなん?急に伝令が来て、うち寝るとこやったのに」
「さあな、俺達も寝るところだったから秋蘭の機嫌が悪い」
「そうなのですか?私にはいつもと変わらない様に思えますが」
秋蘭はこういうときに感情を隠すのがうまいからな。俺しか解らん、凪達は秋蘭を見て首をひねっている
しかしなにがあったのだろう、ここに来て方針を変えるなんてことはしないはずだが
「こら、沙和、風、起きろ」
二人の額を指で軽く弾くと「おおっ!」と同じ反応をみせる。面白いなこいつら
「全員揃ったようね、急に集まってもらったのは他でもないわ、桂花」
「は、先ほど早馬で徐州から国境を越える許可を受けに将がきたわ」
「入りなさい」
曹操様の呼びかけで入ってきたのは関羽、その姿に皆驚き声を失う
関羽だと?しかも国境を越える?なんてことを言ってくるんだ、正気か?
「見覚えがあるものもいるようだけど、一応名乗ってもらおうかしら」
「我が名は関雲長。徐州を治める劉玄徳が一の家臣にして、その大業を支えるもの」
「劉備は華琳のところに助けを求めに来たんか?」
霞の言葉に関羽は静かに首を振る。俺は関羽の眼で予想がつきふつふつと怒りがこみ上げる
「・・・・・私は、曹操殿の領地の通行許可を求めに参りました」
「関羽殿、我らが領地を通り益州へ渡るつもりかっ!」
確かに南は袁術が来ている、北は袁紹。だからといって交友関係も無く同盟国でもない国に逃げ込み領地を通せだと?
今の言葉で良くわかった、劉備達は内政にばかり力を注ぎ兵力にあまり力を注がなかったのだ、甘すぎる。
兵力を蓄えておいたなら我らの兵力の薄い領土を一直線に突破して益州へいけたはずだ、
または俺たちに助けを求め共に袁家と戦う道もあった、袁家の盾にしようなどと俺達の兵を不要な争いで苦しめる気か?
「うう、昭、怒らんといて。めっちゃこわい」
「霞の言う通りよ、関羽もこの案には納得していないようだし、そんな相手に返事をする気にはなれなの」
「ふぅ、ほんならなんでこんな決死の使いを買って出たんや?」
関羽も俺の怒りで出る気迫に強張るが使者として来た責任を果たそうと何とか受け流す
秋蘭が隣にそっと近づき、俺の手を握りそれで怒りが少し収まったのを確認すると関羽が答える。
「我が主、桃香様の願いを叶えられるのが私だけだったからだ、それに我々が生き残る
可能性としてはこれが最も高い選択であった」
「・・・・・・・・・・主のためやて気持ち解るやろ、昭」
「ああ、すまんな霞、俺は冷静な指揮官にはなれないようだ。感情が面に出すぎる」
「大丈夫です。そんな隊長だから私達は命を懸けられるんです」
凪たち三人が俺のほうを見て頷く、ありがとう三人とも。劉備たちの生き残る道はこれしかないのは
事実だ、それに事はもう過ぎている。ならば俺たちに出来ることをするまでだな、どちらにしろ
口でなんと言っていても曹操様は覇王だ、助けを求められて断る方ではない
「フフフッ、これからその返答をしに劉備の元へ向かおうと思うのだけれど・・・・・誰か付いてきてくれる子はいるかしら?」
「私は御一緒いたします。屋敷にいる一馬を呼んできますので」
そういい残し足早に部屋から出た
もう一度劉備を見極めよう、毒と評したが毒などではなく猛毒と化しているようならばその場で斬る
いたずらに人を苦しめるような者など生かしておくわけにはいかない、連合で話した事は無駄だったのか?
「待ちなさい、昭」
玉座の間をでて少し歩くと曹操様が走って追いかけてきた、どうしたのだろう?
まさか私を連れて行かないとおっしゃるつもりか!
「貴方、眼が濁ってしまっている。皆の為に怒ることで濁ってしまった眼では何もみえないわ」
「私の眼が濁る?」
「ええ、怒りで濁った貴方の眼は光を失ってしまってる。私の好きな眼ではない」
曹操様は俺に近づき、頬をなでゆっくりと離す。すると俺の心が何か開放されたような感覚を受けた
昔これと同じことがあった気がする。その時も確か曹操様がこうしてくれたはずだ
「そう、それがいつもの眼。ここのところ各地で民が死んでいる、戦いが多くなっているからね。
その報や流民を昭が受け入れてることも聞いているから、知らずに怒りがたまっていたのでしょう」
「ありがとうございます。曹操様のおっしゃる通りのようでした」
「いいわ、秋蘭も心配をしていたわよ。昔私達が襲われたときも眼が同じだったから、洛陽でもそうだったのでしょう?」
そういって優しい笑顔で俺の瞳を覗き込む、俺は感情が爆発しやすいな。
前は秋蘭に押さえてもらった今度は曹操様に心配を
「そんな顔をしないで、私も貴方と気持ちは同じよ。それに私の分を貴方が怒ってくれているのだから」
「はい」
「さあ、いきましょう。一馬を呼んできてちょうだい」
俺達はそこから短時間で準備を整え劉備の元へ行軍した
秋蘭は俺の側に付き添っている。先ほどの曹操様との話を聞いて心配してくれているようだ
「すまない、私がもっと昭を見ていればあそこまで眼が怒りで染まらなかったのに」
「何を言うんだ、洛陽でも止めてくれたろう。十分だよ、俺も成長しないと春蘭に怒られる」
「その通りだ、私の義弟なのだからしっかりしてもらわなければ困る」
「いたたたたっ、悪かったよ。」
後ろで聞いていた春蘭がやれやれといった顔をして俺の頬を引っ張る。
「・・・・・・・感謝します。曹操殿」
「さぁ。その言葉は無事に事が済んでから聞くことにするわ」
「それはどういう・・・・・・・?」
「華琳様、先鋒から連絡が来ました。・・・・・・・前方に劉の牙門旗。劉備本陣のようです」
秋蘭が伝令からの報告を受け曹操様に伝える。国境ぎりぎり、なかなかの見極めをしてくるな
あそこから少しでもこちらに陣を張っていたら確実に俺たちともめていた
「関羽、貴方の主の所へ案内して頂戴。一緒に行く子は・・・・・・・・」
「華琳様危険です!この状況で敵の本陣に向かうなど、罠かもしれません!」
「大丈夫だ桂花、劉備殿にそれはない」
「昭殿・・・・・・」
俺の言葉で何か言おうとしていた春蘭の口がゆっくり閉じる。そうだ、罠や危険性はない
なぜなら劉備はそういう人間だからだ、そして本気で俺たちに助けを求めている洛陽で見た
時と変わっていないだろう、関羽の眼を通してそれが解る。そして曹操様が何をなされるかも
「フフフッ、貴方らしくなってきたわね。昭、貴方が一緒に行く子を決めなさい」
「はい・・・・詠、稟、凪、沙和、真桜、一馬、霞、そして私です。」
「私と秋蘭はいいのか?」
「ああ、一馬がいればこの程度、曹操様を抱え馬で戻ってこられる。それに我らが覇王の度量を見せ付けてやろう」
そういって笑うと春蘭がその通りだと笑い、皆もそろって笑いあう。
そうだ、我らの覇王は臆病な振る舞いを好まない、もしそれが敵の罠だろうと食い破ってやる
「では残りの皆はこの場に待機、異変があったなら秋蘭と桂花の指示に従いなさい」
「昭、一馬。華琳様のことを頼んだぞ」
「ああ、解っている。まかせてくれ秋蘭」
一馬は頷き絶影を連れ曹操様の左隣に並ぶ、俺も右隣に立ち関羽の案内で劉備本陣と招かれていく
本陣に入るなり歓迎をしてくれたのは劉備本人、待ちわびたと言った顔で迎えてくれる
「曹操さん!」
「久しいわね、劉備。連合軍の時以来かしら?」
「はい、あの時はお世話になりました」
「それで今度は私の領地を抜けたいなどと・・・また随分と無茶を言ってきたものね」
曹操様の言葉に顔を曇らせる。俺は劉備を見極めるのと共に周りの様子も伺うと
良く見れば兵士ではないものもいる、それどころか子供までいるのだ、どういうことだ?
「すみません、皆が無事にこの場を生き残るためには、これしか思いつかなかったので・・・」
「まあ、それを堂々という貴方の胆力は大したものだわ。いいでしょう、私の領地を通る許可をしましょう」
もしや劉備は民を引き連れてきたのか?徐州の民を・・・・・・・もし劉備が民を先導してきたのなら
隣にいた詠が俺の手を掴みにこっと笑みを向ける。すまないな詠、秋蘭に頼まれていたか
「通行料は関羽で良いわ」
曹操様の言葉に劉備達は固まる。劉備にいたっては空いた口が塞がらないといったところだ
安いものだ、我らなら全ての将が喜んでその身を捧げよう、それで皆が助かるのだ
「何を不思議そうな顔をしているの?行商でも関所では通行料くらい払うわよ?当たり前でしょう」
「え、でもそれって・・・・!」
「あなたの全軍が無事生き残れるのよ?もちろん、追撃に来る袁紹と袁術もこちらで何とかしましょう」
その提案を劉備はあっさりとことわり頭を下げてきた。関羽は大事な義妹だと、誰一人かけさせたくないと
その言葉を敗走してきた兵士にも言ったのか?誰一人かけさせたくないと、民もそれで連れてきたのではあるまいな
一人の将のために多くの人間を死なせるのか?俺は詠に掴んでもらった手が震える。押さえ切れないかもしれない
「朱里ちゃん、他の経路をもう一度調べてみて。袁術さんか袁紹さんの国境辺りで抜けられそうな道はない?」
「・・・・・・はい、もう一度候補を洗いなおしてみます!」
だめだ、抑えなければ春蘭、秋蘭と約束したのだから。そして劉備を見極めろっ
「甘えるのもいい加減にしなさいっ!」
曹操様の叫びで俺の手足は止まり、震えもとまる。劉備達は覇気と怒りの声に驚きたじろぐ
「たった一人の将の為に全軍を犠牲にするですって?寝ぼけた物言いも大概にすることね!」
曹操様は俺の気持ちを代弁するかのように劉備に怒りをぶつけた
関羽の為に他の将が死んでもよいのか?生き残った兵士が死んでもよいのか?
更には他に経路など無い事、民を連れて来ては民は皆殺しに会うと
劉備は言い返すことが出来ず最後は沈黙してしまう
「まるでだだっ子ね、貴方と話しても拉致があかない。勝手に通っていきなさい」
「え?そ、曹操さん・・・・・!ありがとうございます!」
「ただし、通行料として貴方が南方を統一したとき、私は必ず貴方の国を奪いに行く、
そうされたくなければ私の隙を狙ってこちらに攻めてきなさいそこで私を殺せれば通行料は無かった事にしてあげる」
曹操様の言葉で俺の内の怒りは消えていった。
俺に近づいて先ほどと同じように頬を撫で、俺の怒りはその手で完全に霧散する
「よく見なさい、貴方の目には劉備はどう映る?」
「ふぅ、大徳でしょうな。曹操様に何も渡す事無く領地を通るのですから」
俺と曹操様は笑い会う、大徳という以外になんと言ったら良い?覇王を前にして駄々をこねて
何も渡さずその領土を通るのだ、子供にもそんなことは出来ない
「あ、あの・・・・・。」
「案内は私が任されましょう。向こう側まで私の自慢の警備隊で護衛します。」
「はい、あ、ありがとうございます!」
「劉備殿、一つ聞きたい。民は何ゆえ貴方に着いてきているのだろうか?」
「皆、桃香様の統治を希望し勝手についてきたのだ。わざわざ住み慣れた土地を離れて」
関羽が劉備の代わりに答える。その眼を見れば嘘でない事はよく解った
真直ぐに自分の主を誇っている眼、春蘭の光と同じだ。そうか、劉備はそこまで落ちてはいなかった
曹操様の言う通り色々と俺の中で割り切れない部分が増えてきてしまっている。
「凪、真桜、沙和、俺たちで劉備殿たちを向こう側へと護衛する。稟、安全な経路の策定を頼む」
すぐさま凪達をに兵を呼ばせ劉備たちの移動の準備を整えさせる
「兵より民の移動を急がせろ、袁術と袁紹がくるぞ」
「詠、手伝ってください。地図の作成に取り掛かります」
凪と霞が自分の兵たちに指示を飛ばし、沙和と真桜が劉備の輜重隊や負傷者の移動を支援する
稟と詠は経路の策定をし、それを木管に記していく、そんな中俺は曹操様に呼ばれ自陣
へと曹操様を護衛する
「昭」
「はい、曹操様」
「ごめんなさい、貴方は元々優しすぎる。それなのにいつも辛い事ばかり見せてしまう」
「何を言うのです、曹操様と約束したではないですか。世が乱れたとき私達が必ず大陸に平和をと」
「ええ、私には貴方の力が必要。だから貴方の目が濁るのは私の責よ」
そういって少し暗い顔をなされる。ああ、曹操様を悲しませてしまった
「でもね、その瞳が濁るのは貴方の優しさの証。だから好きではないけど嫌いではないの」
「え?そうなのですか、ですがいつまでも心配をさせるわけにはいきませんので」
曹操様は「期待してるわ」とだけ申された。これほど心配をされているのだ、変わらなければ
己を律することが出来ねば皆に迷惑をかける。これより先戦いは激化するのだから
あとがきのようなもの
今回あとがきのようなものを書かせていただいたのは
前回の主人公の真名の説明を少ししておこうかな、と思いまして
叢雲(ムラクモ)という真名なのですが「雲」という部分については説明が入っていたので
理解していただけたと思うのですが「叢」の部分については私の勝手な解釈が入りますので
この場で説明をさせていただきます。
群がると言う意味の事は風も言っていたのですが他にも私の解釈で字を分解して
「業」と「取」と言う字にします。そこでそのまま読みまして、あらゆる「業」を「取」り除くと言った感じです
そしてそこに取り除く業として三時業があり
順現業 - 現世において受くべき業。
順生業 - 次の生で受くべき業、順次(じゅんじ)ともいう。
順後業 - 三回目以降の生において受くべき業。
そしてそれを雷や雨で取り除くといった感じの真名になります。ここら辺は後々話に混ぜていくのですが
こんなん話全部読んだってわかるかい!といったことになりそうなので先に説明として入れておきました
私の文章能力の低さでございます。申し訳ない
それと儀式についてなのですが本当に妄想で作らせていただきました
もともと儀式の事は考えていて、この小説でどうしても入れたいシーンだったので
皆様が気に入っていただけてとっても満足しております。
いつも応援してくださる方、読んでくださる方、支援してくださる方、皆様本当に感謝
しております。ありがとうございます
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真名襲名も終わり劉備との再開です
次に劉備を案内する話を考えております
前回の真名について少し説明をしようと思いまして
珍しく後書きなんか書きましたので良かったら
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