この作品はキャラ設定が崩壊しております。原作重視の方はご注意下さい。
時代背景がめちゃくちゃです。
一刀くんがチートです。
それでもいいかたはどうぞ。
ここ赤壁には二つの大軍が河を挟んで対峙していた
一つは曹操率いる魏。総兵数約百万
対するは呉蜀同盟、総兵数約七十万
たが、魏、呉蜀共にいつもと一つだけ大きく違う事があった。それは……
一刀と雅が魏に寝返っているということ
一刀と雅は、この赤壁にたどりつくまでに何度か呉の将兵と戦ってきた。その度に呉の将から『何故だ』と問われたが、二人ともただ黙って戦っていた
そんな二人は赤壁において最前線に立たされていた。これは曹操が二人が本当に味方になったのかを見極めるための方法であると同時に、曹操の安全も考えてのことである
しかし、二人にとって曹操のほうから距離を取ってくれたのはありがたいことであった
もし曹操が近くにいたとしたら、警備が厳重になり、動きにくくなっていただろう
そう思いながら二人は策の準備を進めていく
呉蜀必勝の策を――
呉・本陣
呉の将兵たちの調子は、元に戻っていた
しかし、それは表面上でのこと。呉の主要たる将たちは未だに一刀と雅が魏に寝返ったのが信じられずにもいた
孫権「北郷と雅は本当に……」
軍議の最中に一刀と雅の話題になった際に、孫権が漏らしたそんな一言
その一言にその場に居る者達は一斉に顔を俯かせた。たった一人を除いては
冥琳「今更何を仰っているのですか蓮華様!! 今や北郷と程普は、呉を裏切り、魏に降ったのです。いつまでもそのようなことを仰るようでは、兵士たちの士気に関わります!!」
冥琳が少し声を荒げながらそう孫権に言う。その一言に孫権は表情を歪めながらもしっかりと頷く
そして軍議は再開される
その日の夜、一人の女性が月を見上げ、自分にしか聞こえないような小さな声で呟く
冥琳「あと少し……あと少しだぞ、一刀、雅殿。そちらのことは任せましたよ」
その目は、二人を信じ、同時に二人の無事を願うものでもあった
~雅side・始~
とある日の月夜、私と一刀は船の上で肩を並べていた
といっても、その船は乗りなれた呉の船ではなく、呉のものよりも造りの荒い魏の船であった
さらにその船は、船と船を鎖で繋いでいるために殆ど揺れることは無く、まるで陸の上に居るようだった
「今夜……ようやく風が吹きます。準備は出来ているのですか一刀?」
私はそう言いながら隣にいる一刀を見る。すると一刀は空に浮かぶ月を見上げたまま
一刀「あと少しで出来上がるよ」
そう答えた。私は一刀と同じように月を見上げる。見上げた月はいつもより綺麗に見えた
しかし、一刀から初めてこの策を聞いたときは驚いた。それと同時に一刀は本当に凄い人物なのだと再認識させられた
この策は成功する。もしこの策が見破られたのなら、その人物はきっと神かなにかだろう。そう思えるほどのものであった
でも……、何か嫌な予感がする……。雪蓮ほどではないが、私の勘も当たるほうだ。この策が完成に近づけば近づくほどに、胸のざわめきは大きくなっていた
「ねぇ、一刀……」
私が胸のざわめきを一刀に伝えようとして、一刀の名を呼ぶと同時に一人の兵士が近づいてくる
一刀は一瞬こちらを向いてくれるが、すぐに兵士のほうに向き直ってしまう
兵士「北郷様、準備が完了いたしました」
その兵は一刀直属の部下であり、今回私たちについてきた兵士達は、呉の内部でも精鋭と呼ぶに相応しい者達であった
その兵士に一刀は『了解』とだけ返す。するとその兵士はすぐに下がっていった
「あとは風が吹くのを待つだけですけど……。私たちの一世一代の大役ですね」
そう言いながら私は一刀のほうを向く。すると一刀も私のほうを向き
一刀「そうだね。【俺の】大役だ」
私が一刀の言葉の意味を理解した時には、すでに一刀の拳が私の腹部に叩き込まれ、私の意識は薄れていました
「一刀……なん……で……」
薄れ行く意識の中で私はそう一刀に問いかけたが、一刀はただその顔に悲しそうな表情を浮かべるだけだった
そこで私の意識は闇の中へと沈んでいった
~雅side・終~
~一刀seide・始~
雅「一刀……なん……で……」
そう苦しそうな声で問いかける雅を俺はただ黙って見つめる。そして、意識を失い俺に倒れこんできた雅を優しく受け止める
そして、駆け寄ってきた兵士に雅と『鉄脊蛇矛』を預ける
「頼んだよ」
俺が兵士にそう言うとその兵士は強く頷きかえしてくれた。そして、その兵は幾人かの兵士と共に小船に乗ると呉蜀同盟の陣へと向かった
それを見送った俺が振り返るとそこには五十人ばかりの兵が整列していた
「なにもこんな人数残らなくても平気なんだけどなぁ」
そう俺が小さく呟いて苦笑いを浮かべると、兵士達の顔には笑顔が浮かび
兵士「何言ってるんですか北郷様。妻子のいる者はすでに帰らせましたし、あなたこそ帰ってもよかったんですよ?」
そう言ってきた。それに対して俺が
「俺が居ないと何も出来ないくせに……よく言うよな」
そう言うと、兵士達から大きな笑いが起こった
「見張りは?」
皆の笑いが収まったのを確認した俺は、そう問いかける
兵士「すでに全員始末を終えています。あとは風が吹き次第火を放つだけです」
そう報告した兵士に俺は『わかった』と言うと、大河を挟んだ向こう側にある呉蜀同盟の船団を見つめる
無事に雅はたどり着いただろうか? 雪蓮はちゃんと俺のメッセージを受け取ってくれているのだろうか?
様々なことが脳裏を過ぎった。しかし、深く考える間は無い
兵士「風だ……」
兵士の呟きと共に、今まで東北に吹いていた風が、東南への風と変わる
「さぁ、始めよう。呉の未来を築く戦を!!」
俺がそう叫びながら手を大きく振りかぶり、下げると同時に、船の各所から火の手が上がる
「皆の者!! 策は成った!! あとは各自、この大舞台にて思うがままに、自身の誇れる最大の武を振るうがいい!!」
俺がそう叫ぶと同時に、兵士達も叫ぶ。少し遅れて、魏の兵たちの混乱する声が聞こえてくる
見れば呉蜀同盟の陣からも大船団がこちらに向かってきていた
~一刀side・終~
雅「うっ……うぅ……」
一刀に気絶させられた雅が次に目を覚ましたのは、呉蜀同盟の冥琳の天幕の中であった
雅「ここは……。そうだ!! 一刀!!」
そう叫びながら慌てて起き上がり、雅は天幕の外に出る。すると、外の兵士達は慌しく動き回り、身体に当たる風の向きは東南の風であった
冥琳「雅殿!! 起きて早々悪いですが、出陣の準備を!! あなたの忘れ物を取りに行きます!!」
そう叫びながら冥琳は雅の腕を強く引く。雅の手を引く冥琳の顔には笑みが浮かんでおり、雅もそれにつられて笑みを浮かべていた
雅「そうですね。忘れ物はしっかり取り戻さないと…」
そう呟くと、冥琳と雅は急いで船に乗り込んだ
孫権「雅!! よくぞ無事に!! 話は冥琳から聞いた、本当に感謝する。一瞬でも二人を疑っていた自分が恥ずかしい」
そう言いながら頭を下げてくる孫権に雅は
雅「謝っている暇があるなら、さっさと船を出しますよ。その言葉を伝えるべき人がもう一人いるんですから」
雅がそう言うと、孫権は強く頷きを返すと、出航の合図を出す。それと同時に船は岸から離れ、物凄い速さで魏の陣―― 一刀のもとに向かった
一刀と、その部下達は魏の戦場にてその武を存分に振るっていた。魏の兵は一刀の『髑髏』から発せられる『カタカタ』という音を聞くだけで動きが鈍っていた
一刀「はぁ!!」
そして動きが鈍っている魏の兵に対して、一刀は容赦なくその命を刈り取っていく
一刀の『髑髏』の『カタカタ』という音は徐々にその音を大きくしていく。まるでさらに血を、命を求め、一刀に催促するかのように
そして一刀も休むことなく魏の兵を殺していく
いつの間にか一刀に立ち向かう者は居なくなり、魏の兵はただ逃げ惑うだけであった
しかし、一刀から逃げてもその先には一刀の隊の者達が居り、ただその命を奪われていくだけであった
そんな中……
夏侯惇「はぁぁぁぁぁぁ!!」
一人の魏の将が一刀に斬りかかる。一刀はその一撃を避けたものの、その後ろに居た呉の兵は身体を真っ二つにされた
夏侯惇「見つけたぞ北郷!! 今度こそ貴様の首を貰い受ける!!」
夏侯惇はそう叫ぶと同時に再度一刀に斬りかかる。一刀はその一撃を真正面から受け止めると、二人は互いの武器を弾きあい、距離をとる
『カタカタカタカタカタカタ』
すると、一刀の『髑髏』がまるで喜んでいるかのように、発する音を激しくする
その音を聞いた一刀の顔には不気味な笑顔が浮かび。小さな声で
一刀「イクゾ……」
と言った。この時夏侯惇は依然とは比べ物にならないほどの殺気を一刀から感じたが、それに怯むことなく
夏侯惇「来い!!」
そう叫んだ。それはある意味、自分を奮い立たせるためのものでもあったのかもしれない。そして、二人の武器は火花を散らせながら激しくぶつかり合った
~一刀side・始~
「もう終わりか? 魏の大剣もたいしたことないな」
俺は目の前で片膝をつき、肩で呼吸している夏侯惇をそう挑発する
夏侯惇「黙れ!! この卑怯者が!!」
俺が挑発するたびに夏侯惇の攻撃は単調になっていく。これを何とかしない限りは夏侯惇の武は、次の段階に進むことはないだろうな
だが、こいつも平和になった大陸には必要な存在。命を奪わないように、体力と気力を上手く削り取らないとな
「せいやっ!!」
夏侯惇「ぐはっ!!」
掛け声と共に夏侯惇に蹴りを放つ。その蹴りは見事に夏侯惇の腹に当たり、夏侯惇の身体は簡単に吹き飛んだ
これで何回吹き飛ばしただろうか? 十回ほどか? それでもまだ立ち上がってくる夏侯惇の気力には頭が下がるな
でも……
「そろそろ次に行かないとな……」
俺はそう呟きながら腰を深く落として、『髑髏』に氣を流し込む。すると『髑髏』から『カタカタ』という音が先ほどよりも強く聞こえてくる
そして、俺は一歩踏み出そうとしたが
夏侯淵「はぁっ!!」
二歩目を踏み出そうとしたところで、俺に向かって矢が放たれた。それを俺は身体をさらに屈めることで避ける
曹操「やってくれたわね北郷。でもあなたは、少し詰めが甘かった。すでに貴方の部隊の者は貴方以外残っていない。どう? 今ならまだ私の家臣に本当になるのなら、許してあげるけど」
そう言ってくる曹操の顔には余裕の色が見える。まったく、……この間の戦いで誰が魏を壊滅状態にしたか知らないのか?
「断る。俺はどうにも魏の百合百合しい空気は苦手でね」
そう言うと同時に俺は曹操との距離を詰め、『髑髏』を振るう
しかし、その一撃は夏侯惇に止められてしまう。やっぱり楽にはいかないよな……どうしたもんか
そう思いながら俺は後ろに跳んで三人との距離をとる。すると
雅「一刀ーーー!! 無事ですかーー??」
とても聞きなれた声が耳に入ってくる。雅以外にも居るみたいだけど……まぁ元気みたいだから良いか
「これで形成逆転か……」
そこまで言って俺の視界に最悪な光景が映る。曹操の背後に立っている、船の帆の根元が燃え尽き、曹操側へ倒れこもうとしていた
しかし、肝心の三人はそれに気がついていないようだった。
今、曹操に死なれるのは困る
そう思うと同時に俺は自然と駆け出していた。しかし、向こうの三人にその意図が伝わるはずもなく
夏侯惇&夏侯淵「「死ね!!」」
俺は夏侯惇の渾身の一撃を弾き飛ばすと、そのまま一回転して、曹操の背後に迫る燃える巨木と化した帆を真っ二つにする
しかし、その後に迫っている夏侯淵の矢には対応できずに、その矢が俺の胸に突き刺さる
雅「一刀!!!」
そんな雅の叫び声も聞こえた
~一刀side・終~
~雅side・始~
「一刀!!!」
私の目には信じられない光景が映っていた。一刀の胸に深く矢が突き刺さり、服に血が滲み、口からは血が流れていた
私は急いで一刀に駆け寄ろうとしたが、炎が邪魔で一刀に近づく事が出来ない
一刀に助けられた曹操は自分を挟んで両脇に落ちてきた巨木を見た後一刀に視線を戻していた。その目は一刀に何故かと問いかけていた
一刀「曹操さんは……この大陸が平和になった後も必要な存在だからね……劉備は王としては優しすぎるし、現実を見ていない。孫権はまだまだ未熟。そんな二人だけにこの大陸は任せられないだろう?」
そう言いながら一刀は曹操に笑顔を向ける。矢を放った夏侯淵は弓を落とし、呆然としていた
一刀はよろよろと船の端に近づいていく。もう立つことすらやっとなのだろう
一刀「雅……さっきは殴ってゴメン。痛かったか?」
なのにもかかわらず一刀は、私にいつもと変わらない笑顔を向けてくる。それだけで私は一刀が傍に居てくれるような気がした
「痛かったに決まってるじゃないですか。許しませんよ」
そう言いながら私は一刀に笑顔を向ける。ちゃんと笑顔になっていたかは分からないが……
一刀は私の答えに『そっか……』と小さく呟くと、その視線を私の後ろに居る蓮華様に向ける
一刀「孫権!! お前はまだまだ未熟だ!! それ故にこれからも人々を苦しめ、自分の心も苦しめることになるだろう!! それでも王として頂に立ち続ける自信はあるか!!」
一刀はそう叫ぶと同時に血を吐き出す。私の身体が自然と駆け出そうとするが、一刀がそれを手で制す
孫権「ある!!」
蓮華様は一刀の問いにただ一言、でも力強く答える。その答えに満足したのか、一刀はもう一度その顔に笑顔を浮かべると
一刀「ちゃんと見てるからな……」
そう消え入りそうな声で呟くと、その身体は倒れ、船から落ちていった
~雅side・終~
どうもkarasuです
いかがだったでしょうか? 楽しんでいただけたでしょうか?
今回で終わりじゃないですよ。次回まで続きますよ。
今回の終わり方は私としては好きじゃないですね。こういい所でCM入ってED流して次回に続く!!みたいな流れwww あれって本当に見てる側としては悶々しますよね、悶々!!
というか、悶々ってなんか良い響きですよね………話が盛大に逸れましたね。
一応次回でこの呉√も完結ですが、次回はきっと短い。
いつも通り過度な期待はせずにいてください。
明命√が……文にしてみたはいいけど、一刀くんがめちゃめちゃこわくなっちゃった……。
まぁ今までも私の作品では一刀くんこわい感じあったし……okですよね?
ここまで読んでいただきまことにありがとうございました。
これからもほそぼそと続けさせていただきたいと思います。
Tweet |
|
|
151
|
18
|
追加するフォルダを選択
投稿です
過度な期待はせずに生暖かい目で見ましょう
<●><●>