No.120756

恋姫無双~正義の柱 第七話

後ろの人さん

投稿が遅くなり数少ない読者も忘れた頃でしょうか?
どうも後ろの人の作った第七話です。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。

2010-01-26 22:27:01 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:2338   閲覧ユーザー数:2049

 

 

昔、ある所に一人の少年がいた

 

その少年は一見普通に見えたが全てにおいて人間離れしていた

 

彼が本格的に化物と呼ばれるようになったのはある時、自分の家で知らない人間を見つけた時だ

 

その人間は彼をみとめるとナイフを持って襲い掛かってきた

 

少年はその人間の持っていたナイフを奪いその首を切って殺した

 

それからしばらくして周りの人間が皆、彼のことを化物と呼ぶようになった

 

そのうち彼が『母』と呼んでいた人間も自分のことを化物と呼ぶようになった

 

彼は人間の輪から外れていた

 

彼は人間とはまるで違っていた

 

彼は思う 

 

『どうしてみんなこんなによわいのかな?』

 

『もし、自分と同じような存在が自分しかいなかったらどうすればいいんだろう?』

 

『一人はいやだ 仲間に入りたい 仲間に入れて欲しい みんなと同じになりたい』

 

『でも…………どうすればそうなれるのかな?』

 

『みんなが好きなものになれば…………みんな自分を仲間に入れてくれるだろうか?』

 

神崎が〝怪物〟と対峙して少しした頃、別の場所では…………

 

「待て! 貴様が張遼かっ!」

 

「あちゃぁ…このクソ忙しいときに。一騎打ちの申し込みなら、もう締め切っとるぞ!」

 

「ふんっ! そんなことは知らん! 私との勝負に応じるまで追いかけるまでだ!」

 

「その目……ダメッちゅうても仕掛けてくる目やな。恋や華雄っちとおんなじ目ぇや」

 

「そう言う貴様も同じ目をしているぞ?」

 

「「……………………」」

 

二人の間に会話はいらなかった、やる事は決まっているからだ。

 

「いくで!」

 

「おう!」

 

「でりゃああああああっ!」

 

「だあああああああっ!」

 

神速と大剣が必殺の一撃を放ち、刃が交わる。

一瞬でも力を抜けば即座に切り伏せられる限界状況

しかし二人の顔にはいかにも楽しそうな笑みが浮かんでいた

 

だから………気がつかなかったのだろう。

 

神崎の向かった方角に………闇色の巨大な柱が立っていたことに………

 

 

 

場所は変わり蜀軍にて

 

「にゃ―――ッ!」

 

「く……っ、この程度で!」

 

華雄と張飛は戦っていた。

しかし華雄は張飛の猛攻に反撃に転じる隙を見出せず防戦一方となっていた。

そして張飛の攻撃を受け続けたことによって華雄の腕は既に動かなくなっていた。

 

「トドメなのだ!」

 

「しまっ―――――――!!?」

 

ヒュウウウゥゥ――――――――!!

 

「にゃ?」

 

張飛のトドメの一撃が華雄に叩き込まれようとしたそのとき、

突如二人の間を一陣の黒い風が通り過ぎ、一瞬視界が遮られたかと思えばそこに華雄の姿は無くなっていた。

 

 

 

再び場所は変わりちょうど神埼が〝怪物〟と対峙した頃………

 

「はあああああああああ!」

 

ドーン!

 

「凪ちゃん、大丈夫なのー?」

 

「このぐらい大したことない」

 

凪、真桜、沙和は拠点にて華琳さんの守り、及び拠点付近の敵の露払いを命じられ、

忠実に命令を守る凪だったが戦場へ向かう神崎の姿が妙に頭の片隅に引っかかっていた。

 

「!!?」

 

咄嗟に凪は神崎の向かった方向を振り向いた。

いわゆる虫の知らせや直感ではない、氣の扱いに長けた凪だからこそ気づいたといっていいだろう。

神崎はもともと戦場では異常な量の氣を放出しているが今回はそのすぐそばに人のものとは思えない四つの氣の出現を感じた。

 

「――――――ッ隊長!!」

 

一瞬の躊躇を感じたが神崎の氣が著しく乱れたことで凪は即座に神崎のもとに向かった。

 

 

 

再度場面は変わり凪が向かったのとほぼ同時刻、呉の拠点でも………

 

「………なんじゃこの異様な氣は?」

 

呉の宿将、黄蓋もまた氣を扱う者であるがゆえに四人の〝化物〟の氣を感じていた。

 

正直、汜水関を孫策軍がおとしたので今回は連合の後ろに配置され暇をもてあましていた。

汜水関でもろくに闘うことも無く不完全燃焼、そんな時に出現した人外の氣の波動。

彼女を動かす理由はそれで十分だった。

 

「幼平、ここは任せた。儂は前へ出てくる!」

 

「はい!?祭さま、待ってくださいよ!」

 

明命の制止も聞かず黄蓋は馬に跨り氣の出ている場へと向かっていった。

 

こうして、今回の戦争の舞台に上がる役者が出揃った。

 

そして舞台は戻り神崎は四人の〝怪物〟と対峙する。

 

「おや、どうしました?まるで死人を見たような顔をしていますよ?」

 

金髪に長身の胡散臭い笑顔を貼り付けた男が神埼に語りかける。

 

「死人か………確かにそうだな。

 別にお前らなら黄泉返っても不思議じゃないが………何故生きてる?」

 

「何故もなにもないじゃない、今ここに僕らがいる。

 それが結果じゃないか。それ以外になにか必要なことでもあるの?」

 

白髪の中学生ぐらいの眼帯をつけた少年が哂いながら答える。

 

「それもそうだな………なら一つだけ教えてもらいたい。何故こんな所にいる?」

 

聞くならばなにより先に聞きたい最優先事項だからな?

 

「それはもちろん――――「先輩の心臓を――「お前をブチコロス為だ!」する為です♪」ですよ」

 

三人の声が重なって全く聞こえなかったが………てか、殺すって言ってるし心臓って何?

 

「皆さん、少し静かにしていただきたいですね。

 彼とはこの後すぐに遊ばせてさしあげますから……今は私が話させてもらいますよ」

 

他の三人はいかにも不満そうだが一応承諾したようだ。

 

「お待たせしました、柱殿。

 単刀直入に言えば我々の目的は………あなたを我々の仲間に引き入れることです」

 

「――――――――は?」

 

言ってる意味が全く理解できない。

 

「それは冗談とすれば非常にセンスが無く、本気だとすればあまりに馬鹿げている」

 

「そうですか?かつての『仲間』を再び迎え入れるのがそんなにおかしいですか?」

 

ハッ、仲間?立場上そういうことになってたが………解ってんのか?

 

「『〝ペンタゴン〟に仲間意識などなく、全員他の隊員の邪魔さえしなければ何をしてもいい』

 と、いう話じゃなかったのかね?大体俺がお前等に何をしたか忘れたのか?上からの命令でその『仲間』を裏切って抹殺したんだぞ」

 

一度裏切った仲間を再び仲間に迎えるなど正気じゃないよな?

 

「もちろん、あなたを迎え入れるのには相応の理由があるのですよ。

 我々にはある目的があるのですが………我々だけでは少々実現が難しいのですよ」

 

「それこそおかしな話じゃないか?一人で国家級の戦力を持ってる〝ペンタゴン〟の隊員が四人も揃っててできない事などないじゃないか」

 

実際、この四人が本気になればいますぐこの場の兵士数十万を容易く抹殺できる。

 

「いえいえ、我々にもさすがにできない事があるのですよ。

 正直に言わせてもらいますが我々の目的はですね………………………」

 

 

「世界征服ですよ」

 

 

「………………………………………w」

 

呆れてものも言えん。こいつ頭が良いはずなのに時々馬鹿だな。

 

「…………世界征服…………お前本物のアホか?だいたい今時世界征服って………ショッカーかお前は?」

 

「いえいえ、私は至って本気ですよ?その為にあなたの協力が必要なんですよ」

 

「なんで俺の協力が必要だ?

 俺をわざわざ迎え入れるより適当に一般人を騙して軍でも作ったほうがいいんじゃないのか?」

 

「…………ここだけの話ですがあなたはこの『外史』という世界で特殊な立場にいるらしいのですよ。

 ある人物からの情報なのですが、あなたがこちらで歴史を変えるともとの世界……『正史』にも影響を与えるらしいのですよ」

 

「俺を使って歴史を変えて『正史』を思い通りにしようとでも?」

 

「まあ………細部は違いますが大体そんな所ですね。それで………そろそろ答えを聞きたいのですが」

 

………ここで断ったら確実に後ろの三人が俺を半殺し、あるいは全殺しにするだろうな。

ここは形だけでも仲間になることにしておけば………………っとその前に

 

「答えを出す前に一つだけ聞きたいことがあるんだが?」

 

「いいですよ、何が聞きたいんですか?」

 

「董卓は都で暴政を行っているのかどうか………その真偽が知りたい」

 

「………結論から言えば董卓は暴政を行っていません。体のいい人柱にされただけですね」

 

「そうか……なら――――」

 

答えは決まっている。俺が返答しようとしたその時、

 

「しかし十常侍を上手く扇動した甲斐がありましたね。

 反董卓連合はあなたとの再会の舞台の最高の演出になりましたw」

 

―――――――なに?

 

「どういうことだ?」

 

「ああ、実はですね、以前からあなたがどこにいるかは把握していたんですがね?

 せっかくの再会なのだから相応の舞台と演出が必要だと思いましてね?

 この反董卓連合のことを思い出して洛陽に行ったんですよ」

 

なにをいっている?

 

「そうしたら意外にも董卓が暴政などしそうにもない甘い少女でしてね?

 しょうがないので十常侍やら袁紹やらを扇動してこの反董卓連合を起こさせたのですよ」

 

ならばこの連合は―――――――

 

「お前が……この連合をつくり……無関係な董卓を討たせようとしたのか?」

 

「結果的にはそうなりましたが………別に構わないでしょう?

 大体、私がなにもしなくとも反董卓連合はできていたでしょうから……遅いか早いかの差でしょう?」

 

お前の勝手な都合で無関係な人間を巻き込んだというのか?

 

「さて、質問も終わったことですし……そろそろ答えを聞かせてもらえませんか?」

 

「………断れば後ろの三人が即座に俺を討つこの状況………今の俺の立場は客将………断る理由はない……………答えは………………」

 

「NOだ!!」

 

俺が答えると同時にギロチンから氣の斬撃を放った。しかしそれは目の前の男に当たる前にかき消された。

俺が答えると同時……いや、むしろそれより速く俺へと三人が攻撃を仕掛けてきた。

 

「アハハハハハハハァ―――――ッ!!」

 

白髪の少年が喉が張り裂けるのではないかと思うほどに哄笑し、

片手で対戦車ライフルを軽々と扱い、狙いも定めずに白色の氣の弾丸を込めて乱射する。

 

「キャハハハハハハハ♪」

 

桃色の髪の女は狂ったように哂う。

愛する男をこの手で切り刻むことができることに歓喜しながら

女は日本刀をその手に持ち、紫色の氣を纏い神崎に弾丸のように飛来する。

 

「ハッハァ――――――ッ!!」

 

ボサボサの金髪の男が殺意をまとって神崎の前へ躍り出る。

両腕の特殊合金製の腕から刃のギミック、爪を出して神埼の血を啜ろうと紅の氣を纏い襲い掛かる。

 

「殺―――――――ッ!!」

 

はっきり言って勝ち目の全く見えない戦いだがとにかく目前に迫る凶刃と光弾をギロチンの斬撃で迎撃する。

しかしどうにか一撃目をしのいでもすぐさま次の攻撃がこの身に襲い来る。

 

光弾を避け、紅の爪牙を防げば紫のカマイタチが肩を切り裂いて後方へ抜けていく。

 

カマイタチを避け、光弾を目前で迎撃すれば紅の爪牙が腹を裂く。

 

紅の爪牙から逃げ延び、カマイタチを防ぎきれば光弾が身体を打ち据える。

 

「―――――――づ、ぉッ!」

 

普段ならばこうまで醜態を晒すことも無かっただろう。

言い訳をするわけではないが呂布との戦闘ですでにこの身は致命傷を負い、限界をむかえている。

 

さすがにこの三人を同時に相手にすれば万全の状態でも苦しかっただろう。

しかし万全であったなら後手に回るのみでなく反撃もできただろうが…………

 

そして既に限界を超えていながら尚も酷使して結果、一瞬の致命的な隙を作ってしまった。

 

「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!」

 

「キャハッ♪もーらった♪」

 

ギインッ!

 

桃色の髪の女がいかにも嬉しそうに俺の心臓目掛けて日本刀を突き出してくる。

状況的に自力ではまず防御も回避も不可能、光弾に吹き飛ばされ、紅の爪牙をギロチンでどうにか防ぎきった所。

どう考えてもこの一撃で死ぬと覚悟を決めた。しかし凶刃は奇しくも軍神の一撃に阻まれた。

 

「――――――!?」

 

「………………なんで………おまえが?」

 

「………………………約束………」

 

桃色の髪の女の凶刃を阻んだのは先程俺が倒した呂布であった。

しかしこいつが俺を助ける理由がなく、意味の解らない言葉を発す。

 

「…………約束?」

 

「……………さっき……約束した………負けたら話、聞く……」

 

………アレは約束と言えるんですか?

一方的に無理やり聞き出そうとしたような?そんな約束守る事ないのに。

っていうかよく覚えてましたね!?聞いてないと思ってましたよ。

 

「……あんた何? 邪魔よッ!!」

 

女はトドメの一撃を邪魔されえらく機嫌が悪くなり呂布の方天画戟を弾き後方へ跳ぶ。

 

呂布は無言で方天画戟を構える。 味方と見ていいんだろうか?

そんな呂布との会話に気をとられている隙に残りの二人は御構い無しに攻撃を仕掛けてくる。

 

「ダメだよ、余所見しちゃッ―――!!」

 

「俺を見ろよォッ、神崎ィィィ――――――!!」

 

白髪の光弾と金髪の爪牙が俺を捉える。

 

 

しかしそれも――――――

 

「「!?―――――チィッ!!」」

 

光弾はどからか飛来した氣弾に軌道を逸らされ

金髪には同じく飛来した氣の込められた矢が金髪の攻撃を妨げる。

 

「ご無事ですか!隊長!」

 

「これはまた………面白い事になっておるのぉ」

 

現れたのは拠点にいるはずの凪と見覚えのない妙齢の女性。

 

「なんだぁ、テメエら!?」

 

「邪魔しないでよ~~~><」

 

「私と先輩の仲を阻むなら………コロスッ!!」

 

三人の反応はそれぞれ違うが基本は同じことを言っている。

 

『邪魔ヲスルナ』

 

「………助けてもらっておいてなんだが………こいつ等の狙いは俺でな……お前等じゃあまともに戦えば三秒で肉の塊に変わっちまう………とっとと逃げな」

 

「そんな身体で何を言っているんですか!?

 お役に立てるか解りませんが私も加勢します!」

 

「見かけだけで人のことを判断するのはいただけんな。儂も参加させてもらうぞ」

 

「………………………恋も」

 

「やれやれ………人の話を聞かない奴ばかりだ。しかし………なかなか愉快な多国籍軍になったなw」

 

なんだかんだ言っても味方が増えて少し嬉しい。ちょっとだけ元気が出てきたよw

しかし依然状況は不利………今の俺が10として全員の能力を数値化したら………

 

呂布:11 凪:5 妙齢の女:8

 

白髪:12 ニヤケ金髪:10 ピンク髪:16 金髪2:15

 

敵は全員こっちより強い奴等だが全員が狩りを楽しむ傾向がある。

明らかに格下の相手だから油断もするし本気も出していない。つけいる隙はある!

 

「どうしても闘うならお前等の相手は俺が指定させてもらう。

 凪は白髪、呂布は桃色の髪の女、あんたは向こうのにやけた金髪、俺はあの男だ」

 

「了解です!」

 

「………………………………わかった」

 

「まあ、いいじゃろう。あと儂の名は黄蓋じゃ」

 

「へえ、あんたが呉の宿将か………ならあてにさせてもらおう」

 

「いつまで喋くってんだよォッ!」

 

「僕の相手もしてよ~」

 

「邪魔者は全員コロス!」

 

「やれやれ………いつのまにか私も強制的に参加させられてしまいましたよ………」

 

全員が敵を認識する。そして人と怪物の八人による戦争が始まった。

 

「アッハハハハァ――――――ッ!!」

 

「ハアアアアァァ―――――ッ!」

 

白髪の少年は狂ったような笑い声を上げながらライフルから氣の杭型の弾丸を発射する。

明らかに神崎に放っていた弾丸より威力も連射速度も落ちていたがそれでも凪は自身の氣弾を放ち迎撃し、次いでくる弾丸を避けまた放つといった戦法でどうにか戦っている状況。

 

「――――――――ッぐう!」

 

「どうしたの?もっと僕を楽しませてよ。ほらほらほらァ―――――ッ!」

 

「くっ、舐めるなァ!!」

 

白髪の少年の砲撃の連射と同時に少年の方へ向かって私は跳んだ。

放たれた砲撃に対して両の手を顔の前で交差し、氣を巡らせ当たる面積を最小にして少年へと突っ込んだ。

 

「抜けた!!」

 

氣弾が肩や足をかすめていったが痛みも気にせず、氣弾を放ち無防備な少年へと自身の必殺技を打ち込もうとしたが………

 

「なに!?」

 

足に氣を集中させようとしたのに足へ氣が移動しない。

いや………それどころか氣を何かに消費されているかのように身体が重い。

 

「うんうん、君結構悪くないよw ただちょっと無用心だよ、ねッ!」

 

少年は氣弾を撃ち出していたカラクリを私の身体へなぎ払った。

 

「がっ、は!!?」

 

「………あ――あ………これで終わりか………ちょっとあっけないかな」

 

恐らくあばら骨が何本か折れたのだろう………氣を練ることもできずに直撃を受けてしまった。

 

「―――――――貴様、いったい………なにを………」

 

何故、突如氣を使うことができなくなったのか。

自分でも馬鹿げているとは思うがつい敵に尋ねてしまう。

 

「う~~ん。教えてあげてもいいんだけどね?とりあえず忘れてたから名乗らせてもらうよ。

 

 『僕の名はディートリッヒ。ヴォルフ・ディートリッヒ!

 

 特殊諜報改造部隊〝ペンタゴン〟序列第三位。 〝串刺し公〟の異名を持つ白騎士!』

 

 そして―――君が氣を使えないのはそれが僕の力だからさ………」

 

少年は先程までの雰囲気と変わって威厳ある声で高らかに名乗りを上げる。

 

「力………だと?」

 

「うん、そうだよw これが僕の力さ。

 僕は自分の半径十㍍くらいに入った存在の氣………生命力を吸い取ることができるんだ。

 だいたい不思議に思わなかったのかい?あれだけの質量の氣弾を連射して僕は疲れもせずピンピンしてる。

 それは気脈からエネルギーを吸い上げたり、その辺に転がってる死体や死にぞこないから氣を搾り取ってるからなんだよ。

 君が氣を使えないように感じるのは僕が君の氣を吸い取っているからなんだw」

 

少年は笑顔でそう答えた。

事実、少年の周りの死体や植物は木乃伊のように生命力を奪われ干からびている。

周りのものの生命力を吸い取るその姿を称するのならば〝吸血鬼〟と人は呼んだだろう。

なるほど………原理は解らないがそれならば氣を使えないのも納得がいく。

――――――――なら………

 

「そうか………教えてくれて、感謝するッ!」

 

「ッ!!」

 

私は全力で地面を踏み抜き、石つぶてを少年へ向けて放ち後方へ跳ぶ。

石つぶて自体に攻撃力は無いが少年の意識を逸らせることはできた。

 

「どうやら………貴様の力の射程から逃れてしまえば氣は使えるらしいな」

 

「へぇ~、君結構できるねw もうちょっと楽しめそうで少し嬉しいよ」

 

少年はいかにも楽しそうといったように笑う。

しかし先程の攻撃と吸収で大分体力を奪われた。

短期決戦が望ましいが………少年には近づくことができないうえ距離をとれば氣弾の連射で防戦一方………

 

「―――――しかし………退かない!!」

 

確かに勝機は見えないが………隊長が背中を預けてくれた。

それだけで退かずに戦い続ける理由には十分!

 

「いくぞ!!」

 

「へぇ、まだ来るんだ。いちおう忠告しておくけど、カミカゼだかなんだか知らないけど………

 気合で勝てるようなお優しいご都合主義はいつの時代も存在しないよ?」

 

「はぁぁぁぁ――――――――――!!!」

 

ヴォルフの言葉を意にもかいさず………彼女は少年へと踊りかかった。

しかしヴォルフの言うことももっともな話、気合で勝てるのならば誰も苦労はしない。

 

凪の特攻は所詮最後の悪あがきに過ぎない。

本来なら狙いを定めたヴォルフの光弾が凪を跡形も無く消し飛ばしただろう。

 

しかし命中するはずだった光弾は横から飛来した斬撃に逸らされ目標には当たらなかった。

 

そして絶対に退かないと決意を固めた彼女は血塗れの男の声にその身を退いた。

 

ヒュッ!

 

一瞬のうちに弓から矢が放たれ敵の脳天に撃ち込まれる。

しかしその矢は敵に当たる前に原型を留めぬ程に切り刻まれる。

 

「なんとも面妖な………」

 

相対する敵は無防備に立っているだけだがその直前で全ての矢が切り裂かれる。

今まで十数本の矢を放ったがその全てが直前で矢がうちおとされた。

しかし彼女はそのことに疑問は覚えても恐怖は感じなかった。

 

「やれやれ、いいかげん諦めてもらえませんかねぇ?

 私の目的はあくまで彼なのであなた方のことをどうこうするつもりはないのですが」

 

「それほどの殺気を出しておいてよく言うわい」

 

なぜこの男はこれほどの殺気を出しながらいっこうに闘おうとしないのか?

なぜこの男のもとに届く前に矢がうちおとされるのか?

 

「………………確かめてみるか」

 

矢に氣を通して再び男へ向けて放つ。その数十

 

「まだ無駄なことを繰り返すのですか?」

 

男はいかにもうんざりだというようにため息をついた。

しかし十本の矢のうち数本が失速して地面を砕き土煙を舞い上げる。すると………

 

「なるほど、それがおぬしの武器か……」

 

「………………まさかこんな方法で私の武器の正体を見極めるとは……」

 

舞い上がった土煙の一部分が何かを避けるように割れる。

 

そこにあったのは〝糸〟

それがこの男の武器。

 

「なるほど、認識を改めましょう。私はあなたの事を虫けら程度にしか見ていなかったのですが、なかなかどうして馬鹿にはできませんね………」

 

「ほう……ならば儂は虫けらから何になったんじゃ?」

 

「ドブネズミの親玉程度でしょうかねぇ……」

 

男がそう答えた瞬間、黄蓋の弓から再び矢が放たれるが当然のようにうちおとされる。

 

「おやおや、この程度の挑発に乗るとは修行が足りないのではないですか?」

 

「黙れ若造。お主に戦いの年季の違いというものを見せてくれよう!」

 

「ぜひ見せてもらいたいものです…………ねえッ!!」

 

「甘い!」

 

男が腕を振るうと同時に鋼糸が四方八方から鉄おも切り裂く糸が襲い掛かる。

それを黄蓋はバックステップで避けながら正確に矢で糸を切りつつも男にも矢を放つ。

 

「やりますねぇ……あなた程の猛者ならば名を名乗らないのは礼儀に反しますね。

 

『私はヴァルター。ヴァルター・ガーデルマン。

 

 特殊諜報改造部隊〝ペンタゴン〟の序列第四位。

 

 〝恐怖劇〟の異名を持つ〝ペンタゴン〟の参謀役』

 

 こうみえても神に仕える神父などという仕事も兼任しております………

 

 ですので……神に祈る意味などないことをあなたに教えてさし上げましょう!」

 

再びヴァルターが腕を振るえば糸の斬撃が黄蓋へ襲い掛かる。

しかし黄蓋は先程と同じように糸を切りヴァルターへ矢を放つ。

しかしヴァルターの元へ届く前に矢は切り裂かれる。

 

「なるほど……この程度ではあなたを討てませんか……ならば……これはどうですかァ!!」

 

ヴァルターの叫びと同時に糸が束ねられ太い縄のようになり数本の縄が地を抉りながら黄蓋へ向かう。

 

「なるほど……そうくるなら儂はこうじゃ!」

 

黄蓋はあえて糸の束を目の前までひきつけ氣を込めた矢を糸の頭に叩きつけて糸の軌道を逸らす。

 

「ははははははwなかなかやりますねぇ……いいです、よッ!!」

 

再び最初と同じように四方から黄蓋へ糸の斬撃を放つ。

 

「阿呆め。そう何度も同じ攻撃が―――――ッ!!?」

 

通用するか!と続けようとしたのだろうが突如黄蓋の右肩が切り裂かれた。

 

「馬鹿な……いったい何が………………」

 

黄蓋は突然のことに焦るが平静を装おうとする。

 

「あなたの善戦に敬意を表し、私の技の秘密を教えて教えて差し上げましょう。

 まあ、秘密と言っても実に単純なことなのですがね?

 私の氣は無色透明。なのでそれを鋼糸に纏わせれば糸は見えなくなる………いや……

 糸に限らず森羅万象あらゆる者を透明にすることができるのですよ」

 

「なるほど……それで糸が見えなかったのじゃな……」

 

「ええ、しかしタネが解ったところであなたはもう戦える状態では―――」

 

ヴァルターの言葉が途中で止まった。

勝ち誇り冷笑を浮かべたところで顔の横を矢が通り頬に赤い線が走った。

 

「油断大敵じゃな。それで、儂がなんじゃと?」

 

「――――――――――が…………」

 

「?」

 

「劣等の猿ふぜいがァ!この私の顔に傷をつけたなァ……

 貴様から殺して欲しいと懇願するほどに痛めつけてから殺してやるわァッ!!!」

 

男は怒りに呑まれ糸を纏い黄蓋に飛び掛る。

 

恐らく見えるだけでも数百、不可視の物もあわせれば千に届いただろう。

いかに黄蓋といえど可視、不可視の斬糸を全て切断、避ける事はできず激流に呑まれるだろう。

邪魔が入らなければ………………

 

「ッッ!!?」

 

黄蓋の斬糸が届く瞬間に黒色のいくつもの斬撃が糸を切断しヴァルターを弾いた。

 

「ヒャ――――ッハァ――――――ッ!!」

 

「……ふっ!」

 

ガキンッ!

 

奇声を上げながら氣を纏い弾丸のように呂布へ飛来する。

呂布でも既に視認することはできないが、武人の勘と攻撃の軌道を読んで女の攻撃を捌く。

 

「クソがぁ!このメス○タがぁ、先輩と私の邪魔すんなぁアアアアア!!」

 

「…………ッ!!」

 

女は少しづつ加速している為に呂布は徐々に女の動きについていけなくなる。

このままいけばいずれ女の攻撃は呂布の反応速度を超えて呂布を切り刻むだろう。

 

しかしそんなことは呂布も解っている。

当然女の動きを止めて仕留める術は身体で理解している。

 

女の攻撃はとにかく疾い。しかしその攻撃は弾丸と比喩したように直線の攻撃。

どれほど速くとも軌道さえ読めれば呂布の腕ならば斬ることは容易い。

今までは動きを見て次に来る軌道を読む練習期間、もう練習は十分できたのでそろそろ本番ですね。

 

「死ねっ!この○○○がっ!!」

 

「……………おまえ……うるさい」

 

飛来してくる女は正確に呂布の心臓を捉えている。

しかし呂布は飛来する女を方天画戟で迎撃する。

 

具体的に言うと地上から一㍍ぐらいのところで居合いの姿勢をとっているところを

呂布は方天画戟をゴルフのように下から上へ振り上げる。

 

「「―――――――ッ!!」」

 

呂布と女は互いに驚愕の表情を浮かべている。

女は自分の動きを捉えられたことに対して驚愕し、呂布は攻撃を防がれたことに驚愕する。

タイミングは完璧、威力も速さも申し分ない攻撃だった。

しかし女は居合いの体勢から下からくる方天画戟を防ぐ為咄嗟に鞘で戟を防いだ。

防いだとはいえ攻撃の構えをとっていた女は戟の威力を殺しきれずに吹き飛ぶ。

しかし予想外の反撃を受けて女の頭は冷え本来の戦い方をする切っ掛けとなった。

 

「なるほど、舐めてかかって勝てる人じゃなかったみたいですね………非礼をお詫びしましょう。

 そして名乗らせてもらいます。

 

 『私の名は 柊 乙女。

 

 特殊諜報改造部隊〝ペンタゴン〟の序列第五位。

 

 〝ジャック・ザ・リッパー〟の異名を持つ愛の伝道師です』

 

 生きてたら覚えておいてくださいね♪」

 

「ッ!!?」

 

乙女が言葉を終えると同時に呂布が回避行動をとり呂布の肩口から血が出る。

 

「あれ?外しちゃいましたね、急所を狙ったのに。ダメですよかわしちゃぁ」

 

「………………………なに、した?」

 

乙女が何をしたのかまるで理解できない。

剣は鞘に納まり、距離も十㍍は開いている、攻撃するにしても見えない訳がない。

 

「別になにもしてませんよ?

 ただ、疾く、鋭い………疾さでは先輩に劣りますけどそれでも誰にも負けない自信があります」

 

乙女が刀を抜き構えると同時に先程とは別人のような氣が放たれる。

笑顔ではあるが中身は先程のキレたものでもテンションの高いものでもない別のモノのようだ。

 

「いきますよ………」

 

呂布が言葉を聴き終える前に刀の切っ先が目の前に伸びていた。

ゆうに十㍍は距離が開いていたはずなのにその間合いを一瞬のうちに詰めてきた。

 

否、乙女はその場から動いていない。

 

刀が伸びたのだ。

伸びてくる刀は正確に呂布の喉を狙っている。

予想を超えた事態だが呂布は極めて冷静に目の前の刀を方天画戟で弾く。

しかし弾いたはずの刀が呂布の喉を掠めて通り過ぎていく。

 

「………く!?」

 

「惜しいですね………」

 

笑みを浮かべたまま乙女は刀を構えて距離を詰めてくる。

呂布も異常な攻撃を警戒して同じ速度で後退する。

あの伸びる刀は距離を保っていなければかわせないと考えたからだ。

 

そして乙女が刀を水平に振るった。

距離は遠く届くはずがない間合い、しかし刀が伸びて二人の距離を詰める。

呂布は動きを読んで上体を逸らしてかわすが動きが止まってしまう。

 

再び刀が伸びて呂布の喉へ襲い掛かる。

半呼吸のうちに四太刀。

三太刀までは身体を捻ってかわすが四太刀目が間に合わない。

咄嗟に方天画戟を喉の前に押し出し防御する。

――――――が、

 

「――――――!!?」

 

しかしまた呂布の防御をすり抜けて刀は首筋を切りつけていく。

 

「どうですか、おもしろいでしょう?

 私の力はなによりも疾く、鋭く、そして誰にも防げない。

 そろそろ終わりにしましょうか。あまり痛めつけても申し訳ないんで、ねっ!!」

 

刀が呂布の元へ伸びていく。

防御しても斬られ、避ければ即座に次の太刀が来る。

絶体絶命の状況を打破したのは呂布ではなく突如飛来した斬撃によるものだった。

 

「神崎ィ~、俺を選んでくれて嬉しい、ぜッ!」

 

「気持ち悪いこと言うんじゃ、ねえよッ!」

 

まずは牽制といったところか……互いに武器を使用せず素手でぶつかった。

既に致命傷を負っている神崎は力負けして後方へ吹っ飛ばされる。

 

「――――ぐうっ!舐めるな!」

 

「そうこなくっちゃなぁ……」

 

金髪の男は薄ら笑いを浮かべながら舌なめずりをする。

神崎は右手のギロチンを構え男は腕から爪を出す。

 

「――――シャッ!」

 

神崎は男に突撃しギロチンで首を刎ねようとする。

神速と呼ばれて然るべき速度の動きだったが男は容易く避けて神埼の鳩尾に肘を打ち込む。

そして神崎は十㍍ほど吹き飛ばされるが男は即座に神崎を追って走り出した。

 

「はははははははははは、どうした神崎ィ。手前ずいぶん弱くなったじゃねえかよォ!」

 

「好き勝手言ってんじゃ、ねえ!」

 

男は立ち上がった神崎に向かって爪を突き出すが……

 

「!?」

 

神崎は男の攻撃に合わせて懐に潜り込んだ。

攻撃した瞬間に屈まれて視界から神埼を見失い僅かに焦燥する。

そして男の懐にいた神崎は男の脇腹を斬りつけながら後方へ飛び退く。

 

「―――――――ッチ!浅かったか………」

 

「…………やればできるじゃねえか……」

 

男の傷は見た目こそ派手に血が出ているように見えるが実際は大したことは無かった。

しかしある程度のダメージを受けていながら男はむしろ神崎が自分に攻撃を当てたことを喜んでいた。

 

「そうこなくちゃぁ面白くねえよなぁ!

 こっからは俺もマジでいく、あっさり死んで萎えさせんじゃねえぞ!!」

 

男の取り出した武器は〝処刑刀〟これこそがこの男が本気で戦うときのみ使用する武器。

 

「URRYYYYYYYYYYYYYY!!」

 

俺は男が〝処刑刀〟を取り出すのを認識すると同時にギロチンから数十の斬撃を男え向けて射出した。

しかし男は無防備に斬撃を身体にうけるが傷一つつかないどころか血の一滴も流れない。

 

「おいおい、そんな眠たくなるような攻撃で俺が殺せるかよ」

 

男はいかにも不満そういいながら一歩一歩緩慢に俺の方へ歩いてくる。

 

「そうかい、なら……これはどうだよ!!」

 

俺は足で地面を思いっきり踏み抜いて土煙をあげ一瞬自身の姿を隠す。

そして今出せる全速力で男の前へ突進しギロチンでその腹を貫く。

 

――――――――だが

 

「なんだよ……………こんなもんかよ………」

 

頭上から落胆の声が響く。

俺のギロチンの刃は男の腹に一ミリも刺さっていなかった。

 

「くだらねえマネしてんじゃねえッ!!」

 

男が肩に担いでいた〝処刑刀〟を下の俺へ向かって振り下ろす。

一瞬呆然としていた為に俺はそれを避けきれずに左腕を抉られた。

俺は距離を取って中距離からの斬撃で攻めることにした。

 

「くらえ!無駄無駄無駄ァ―――――!」

 

「本当に無駄だなぁおい」

 

男は一直線に俺に向かって突進してくる。

氣の斬撃は男に当たってはいるがやはり男に傷一つつけることはできていない。

 

しかしそれでもいずれ限界も来ようと斬撃を放ち続ける。

正に乱れうち。前方から上空から下から縦横無尽に斬撃が男を襲う。

 

本来ならば一太刀で数人をまとめて切り裂く斬撃を前に男はまったく怯まない。

無防備に全ての斬撃を全身に受けながらも少しづつ神崎との間合いを詰めていく。

 

そして神崎の放つ百を超える斬撃が男へ命中すると同時に男の姿が消える。

 

「なに!?」

 

突然のことに驚愕する。

目の前の男が消失したことに対してだけではない

何故か自分の後ろから感じる気配に対してもだ。

 

「よお、お遊戯は終わりか?」

 

先程まで男の居た場所の地面には穴が開いている。

この男は斬撃によって舞い上がった粉塵を眼くらましに使い地面に穴を開け、地中を移動して来たのだ。

 

男の声と同時に俺は後ろを振り向くと同時にギロチンで斬り付けようとする。

しかしこいつは俺の攻撃を呼んで剣を持っていない方の拳でカウンターを放ってくる。

その一撃を全力で身体を捻り何とかかわし、そのまま回転して先ほど斬り付けた腹に蹴りを打ち込む。

 

結果、砕けたのは俺の足で奴にはダメージは無い。

間合いは取れたがそれは奴を吹き飛ばしたのではなく俺が退いたからだ。

こいつの全身に氣を巡らせての硬気功はデタラメに硬い。

 

素手での攻撃は効果なしどころか逆にこちらがダメージを負う。

ギロチンでの攻撃でもあの身体に傷一つつける事はできなかった。

俺の手持ちの攻撃手段で奴に傷をつけられそうなのはギロチンによる首への斬撃。

 

首を斬るために造られたギロチンが最大の効力をもたらすのは首への攻撃だ。

しかしこの男は一見無防備だが首への攻撃にのみ常に警戒している。

どうすればいい………………

 

「おいおい、本当にこんなもんかよ?全く興ざめもいいとこだ。

 お前、くだらねえ正義とかいうのに囚われてから弱くなったよな?」

 

「なに………俺が弱くなっただと……?」

 

「気づいてないなら重傷だな。

 お前が正義に傾倒した理由を言ってみな?」

 

「俺が正義を掲げる理由は悪を………」

 

「ストップ!そこまででいい。そんな上辺だけの答えなんざ聞きたくねえ。

 代わりに俺が言ってやる、お前はただ………………」

 

やめろ 止めろ ヤメロ ヤメテクレ

 

息が上がる 動悸が激しくなる 気分が悪い

 

その先をそれ以上言わないでくれ

 

「一人になるのが怖いだけだろ?」

 

「――――――――――」

 

頭の中が真っ白になった

 

「お前は俺が認めた完全完璧な人外だ。

 恐らくお前みたいな奴はこの世に二人といないだろう。

 そんなお前がただの人間と同じ輪に入れるわけがねえ」

 

       ヤメロ

 

「お前が正義を掲げてるのはただ仲間に入りたいだけだろ?

 『自分は正義の味方です』って公言して一般大衆に認められようとしてる」

 

   ヤメロ ヤメロ ヤメロ

 

「お笑いだなw

 お前は自分の意思では戦わず、誰かが悪だと言った奴しか相手にしない。

 つまりお前のやっていることはただの人気取り、一に取り入ってるだけだ」

 

ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ

 

「お前の正義は経過であって結果じゃない。

 悪を討つ為に戦うんじゃなく正義として人の輪に入る為に戦う。

 でも今回の戦いでずいぶん無関係な人間を殺したなぁ……

 おめでとう、今回のことでお前は正義じゃなくなったw これでお前は正真正銘、一匹の化物だ」

 

「ヤメロォ―――――――――――ッ!!」

 

「他者に否定されることを恐れ、化物の力を使うことを恐れて自分より劣る存在に尻尾振ってるような奴が俺に勝てるかよッ!!」

 

正気を失い俺は眼前の男に突撃した

そして男は〝処刑刀〟を俺に振り下ろした

 

ザシュッ!

 

いい音が俺の身体の中から聞こえた

剣は俺の肩から腹のあたりまでを切り裂いている。

 

「………ッ、ごふ」

 

吐血が止まらない

呂布にやられた傷とは比べ物にならない完璧な致命傷

 

剣が引き抜かれ見えたのは目の前の男の侮蔑の表情と戦う仲間の姿

 

仲間?

 

そうだ仲間だ

 

せめて仲間だけでも助けなくては………

 

でもどうやって?

―――――いや………知っている

自分は彼女等を助ける術を知っている

しかしあえて言うならやりたくない

それをこの場でやれば俺はもう人間ではいられない

しかしここで彼女等を見殺しにしても人間ではなくなる

なんというジレンマ………ならやってもやらなくても一緒だなw

 

「―――――GA-AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

咆哮とともに血を撒き散らしながら後方へ跳び

三人の仲間のもとにそれぞれ斬撃を放ち相手の攻撃を退ける

 

「全員………集まってくれ……今すぐだ!」

 

そう言って全員を集める

 

「お主………その傷は………」

 

「隊長!その怪我は大丈夫なのですか!!?」

 

「………………………大丈夫?」

 

「大丈夫に見えるなら医者に診てもらうことを勧める。

 頼みがある、この神崎士郎……一生に一度の頼みだ!」

 

「いったい………何を?」

 

「簡単だ………付近で戦っている連中全員を俺の半径百㍍以内からできるだけ遠ざけてほしい。

 その後でお前達もここからできるだけ離れるんだ」

 

「そんな!?そんなことができる訳ないじゃないですか!」

 

「そうじゃ。大体お主だけであやつ等と戦う気か?」

 

「…………………ダメ」

 

「死ぬつもりはない………別にここに残っても一向に構わない。だが――――――」

 

「死んでも知らんぞ?」

 

その瞬間、場の空気が一変した、具体的なことは何一つ解ってはいない

だが、圧倒的な死の気配を纏うその男はとてもじゃないが死にそうになかった

なによりもこの男の傍から一刻も早く離れたかった

 

「解った、お主がそう言うのなら儂は退こう」

 

「…………わかった」

 

「…………………………了解しました、隊長」

 

三人はこの場から退いた

 

そして再び一人で四人の〝怪物〟と対峙する

 

「………よく、見逃してくれたな……」

 

「……………まあ、あいつ等に興味はないからな」

 

「殺せなかったのはムカつくけど先輩といっしょなら……」

 

「どうせトドメさすところだったし別にいいよ」

 

「……………私は少し残念ですよ……あの劣等を殺せなかったのですから………

 まあいいでしょう、それでここに残ったということはようやく仲間になる決心でも……」

 

「あいにくお前等と組むぐらいなら死んだほうがマシだ。

 だが、死ぬのも仲間を見殺しにするのもごめんなので……………」

 

そろそろ俺の周りから全員、消えた頃か………

 

「俺は人間をやめるぞ!貴様等――――――ッ!!」

 

俺は懐から取り出したガンタイプの注射器を首筋に押し付け注入する。

 

「!? 不味い!皆さん、速く彼を!!」

 

「「「ハアアアアアァァァ―――――――――――――ッ!!!!」」」

 

「ギイイイィィィィイイイヤアアアァァァ―――――――――――――ッ!!!!!」

 

三人が例によって光弾、カマイタチ、処刑刀で俺にトドメをさそうとする。

しかしこれは普段の彼らを知る者からみれば非常に珍しい光景だ。

通常、彼らは楽しむ為に殺す。特に神埼に対しては全員が異常な執着をみせていた。

しかし今彼らは根源的な恐怖を神崎に覚え全力で殺す為に殺そうとしている。

しかし―――――――もはや遅すぎる!

 

「「「なにぃッ!!」」」

 

三人は一様に驚愕の声を上げる。なぜなら―――――

 

カマイタチは氣を纏った左手で防いだ。

処刑刀をギロチンで防いだ。

そして光弾は第三の手で防いだ。

 

俺の背中から数㍍の巨大な腕が生えて手のひらで光弾を受け止めていた。

その腕は氣で造った腕、人一人握れそうな巨大な手。

 

「三人いるなら腕が三本あればいいわけだよな?」

 

話している間にも俺の傷は傷口から煙を上げながら修復される。

 

「―――――――化物」

 

誰かが無意識にそう呟いた

 

三人を背中の腕で振り払う

 

「くらえッ、空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)!」

 

俺の目から光線のように体液が射出されヴォルフのライフルを切り裂く。

この技はとある吸血鬼が使っていた技で鋼鉄すら貫くことができる。

 

「あ~、僕のライフルが~Σ(゜Д゜;)」

 

「KWAHHHHHHHHHH!!」

 

傷は完璧に癒えた!

 

「これは不味い!皆さんいったん退きますよ!」

 

「先輩が……うう~、仕方ありませんね……」

 

「僕のライフル~~(つД`)・゜・」

 

「ほら、行きますよ!」

 

「僕の~~~~~~~~」

 

「俺は退く気はねえぜぇ?」

 

「琢磨さん!なにをやっているんですか?!」

 

「俺はこういうのを待ってたんだ。

 本気のあいつと全力で殺しあえるこの瞬間を!!」

 

「■■■■■■■■■■■■――――――――――――――――!!!!」

 

もはや人間の言葉すら話すことができなくなってきた。

 

「さあ、殺しあおうぜぇ化物!

 

 『俺は 鬼道 琢磨!

 

 特殊諜報改造部隊〝ペンタゴン〟の序列第二位!

 

 〝処刑刀〟の異名と鋼鉄の肉体を持つ鬼神だ!!』」

 

殺意の塊のような紅の氣を全身から放出し笑うその姿はまさに〝鬼〟

 

しかし目の前の理不尽の体現とも言える化物の前にその姿はあまりに矮小に見えた。

 

俺の身体から闇色………黒ではなく闇。光すら飲み込む闇色の氣が漏れ出す。

氣は俺の身体から上へ昇り俺の周りを円柱の柱状に包み込む。

 

しかしその柱はそのように見えるだけで決して柱状の氣ではない。

よく見ればそれは複数の薄い板状の物質が重なり合ったもの。

 

それはギロチンの刃

 

百では足りぬ、千では足りぬ、万を超えてようやく事足りる。

 

指定する射程は約百㍍、ギロチンへの指令はただ一つ『射程内の人間全てを切り刻め!』

 

その柱は見る者全ての心を奪った。

今、戦場には怒号も剣撃の音も響いていない(一部を除く)

誰もがこの非現実的な事象に意識を奪われ柱を見上げる。

そして誰もがこう思った。

 

 

『自分達はここで死ぬ』

 

 

その柱を見た者は絶対的な死の気配にさらされそう思った。

しかしこの場にいる将から一兵に至るまでの誰もが逃げる動作を取らない。

目の前に死を形にしたようなモノがあるというのに彼らはただ柱を見上げるばかり。

なぜなら誰もが理解しているからだ、アレからは決して逃れられない。

目の前まで竜巻が迫った状態と同じようにアレはもはや天災

どう足掻いたところで人の手で逃れることはできない、ゆえに誰もが無意識下で死を受け入れた。

 

しかしその柱が死をもたらすのは彼の指定した範囲の存在のみ。

今、彼の射程範囲にはたった一人の男しか残ってはいない。

 

ゆえに――――――――万を超える断罪の刃は一人の男へ降り注いだ。

 

「――――――――ぐぅううおおおおおォォォォォッ!!!」

 

鬼道は降り注ぐギロチンの刃を前に咆哮しながら処刑刀を振るった。

自身の身体が細切れになる姿を幻視しながらもその誇りゆえに彼は退くことはなく――――

―――――――――――――彼の身体は闇の仲へ消えた。

 

雨のように上空から堕ちてきたギロチンの刃の全てが地へ堕ち土煙があがる。

周りに動くものは一切ない。

まともにくらったのなら跡形も残らずこの世から消滅しているだろう。

そして少しづつ土煙がはれていく―――――そこには………

 

「………………………」

 

片膝をつき血まみれになりながらも五体満足でかろうじて行きをしている状態の鬼道がいた。

 

全くしぶとい奴だ………とっととトドメをさしてやろう!

そう考え、俺は鬼道の元へ疾走した。

 

しかしあと一歩というところで目の前に突如として現れた白装束によって阻まれた。

 

「■■■■■■――――――――ッ!(なんだ手前等、邪魔すんじゃねぇッ!)」

 

「………………………………………」

 

俺は壁のように前に並ぶ白装束をギロチンで叩き斬っていく。

白装束は語らず動かずただ肉の壁となって俺の動きを止める。

そうしている間に鬼道の後ろから糸が伸びてきて鬼道を絡めとり引っ張っていく。

 

「全く………想定外ですよ。

 話には聞いていましたが……まさかここまで人間離れしているとは………

 今日のところは引き分けということで手をうちましょう」

 

「■■■■■―――――ッ!(引き分けだと?ふざけるな!俺はまだ戦える!)」

 

そう言ってる間にも俺の身体は意志とは逆に片膝をつく。

 

「傷が治ったといっても流した血までは回復しないのでしょう?

 それに、そろそろ薬の効果もなくなる頃でしょうし……なによりもうすぐ董卓軍の敗北とともにこの戦争は終結します。

 まだ我々の存在を各勢力に知られるわけにはいかないのでこのあたりで失礼させてもらいます」

 

「最後に神崎殿、我々と一つゲームをしていただきたい。

 なあに、ごく簡単なゲームですよ。私はこれから何人かの刺客をあなたに送ります。

 あなたはそれらに殺されないようにしていただきたい。

 期限は〝魏〟〝呉〟〝蜀〟の戦いの終焉まで、勝者に与えられる褒賞は……

 敗北者を自由にする権利…………というのはいかがですかな?」

 

「…………それはつまり俺が負ければお前等に殺されようと仲間にされようと

 文句は言えないということか………」

 

「ご随意に…………それで返答はいかに?」

 

「いいだろう、受けてやる!

 そして覚えておくがいい、俺が勝利した際に望むのは…………」

 

「貴様等全員の命だ!」

 

「よろしい!

 幕は上がった!さあ、〝恐怖劇〟を始めよう!!」

 

その言葉とともに四人は空間に溶けるように消え、白装束たちもいつの間にか消えてなくなった。

全てが終わると同時に俺は意識を手放す――――――

 

「―――――――っと、まだやることが残ってたな………」

 

董卓をどうにかしないとな………呂布に聞いてみるか。

さて、呂布は………………あそこか。

 

神崎の作り出した柱に気をとられていた者たちは再び動き出したが既に勝敗は決しており董卓軍は敗走を始める者もいた。

そしてその先頭には二人の少女の姿があった。

 

「さあ、もうすぐ逃げ切れますぞ……って恋殿?」

 

「……………………………来る」

 

「恋殿?」

 

同時に馬で駆けている二人の前に何かが落ち、馬達が一斉に止まる。

 

「よお呂布、元気そうで何よりだ」

 

「なっ………何者なのですか!?」

 

「………………士郎」

 

「恋殿、こいつと知り合いなのですか!?」

 

「ああ、無駄話をする気はない。

 今回俺がここに来たのは他でもない、董卓のことだ」

 

『!!!!!!』

 

「俺はこれから洛陽に行って董卓を助けてこようと思う。

 しかし俺はあいにく董卓の顔を知らん、だから……董卓を知る者について来て貰いたい」

 

「だ、誰がそんな話を信じr――「解った」恋殿!?」

 

「よし、それではさっそく洛陽へ―――「………待って」……なんぞ?」

 

「…………華雄も」

 

「華雄?」

 

「………………華雄も連れてく」

 

「華雄って蜀の奴に討ち取られる寸前だぞ?もう無理だ」

 

「…………助けて」

 

「いや、助けてって………っていうか華雄を助けるなら張遼も―――」

 

「…………霞は強いから平気……でも……華雄は強いけど、弱い」

 

強いけど弱いとは……………哲学的なことを言う奴だ。

 

「………つまり華雄を助ければ大人しく俺と洛陽に行くと言うんだな?」

 

「………………………………………………………………………………(コクッ)」

 

「長えよ!…………まあいいや。とりあえず行ってくるから少し待ってろ!

 ああ~いや、やっぱりちょっとついて来てくれ。

 華琳さんのところに連れてくから………来たくなきゃ別にいいけど?」

 

「(フルフル)………………行く」

 

ちっちゃい方はもう何も言わなくなった。諦めたの?

 

場所を変えて蜀の陣地近く。

 

「にゃ――ッ!」

 

「く……っ、この程度で!」

 

「トドメなのだ!」

 

「しまっ―――――――!!?」

 

「にゃ?」

 

突如二人の間を一陣の黒い風が通り過ぎ、一瞬視界が遮られたかと思えばそこに華雄の姿は無くなっていた。

 

「貴様、何をする!離せ、離さんか!」

 

「うるさい小娘だ。当て身!」

 

「――――(ガクッ)」

 

「今のうちに簀巻きにしてしまおう。騒がれるとウザい」

 

さて、華雄は助けたから後は華琳さんに許可貰って呂布と一緒に洛陽だ。

 

 

「――――――と言う訳であと頼みました」

 

「解ったわ」

 

いろいろハショッたけどとにかく華琳さんは呂布を仲間にする為に以下の要求を呑むことになった。

 

・董卓達を助けること

・家族の動物達の保護

・金

 

まあ、どっかの毒舌軍師とチビ軍師がごちゃごちゃ言ってたが………

華琳さんと呂布の決定に逆らえるはずもなく説得?された。

ちなみに張遼も春蘭が仲間にしてきたようだ。もうすぐ董卓軍勢ぞろい。

そして俺は呂布と陳宮と一緒に先に洛陽に向かうことになった。(華雄は簀巻きになったままw)

 

そして洛陽にて逃走中の董卓と賈駆を発見した。

つり目に眼鏡の強気そうな女と儚げな印象の少女

呂布達には一応まわりを見張ってもらおうか?

 

「ミツケタゾ、トウタク。イッショ二キテモラウゾ」

 

なんとなくロボっぽい声で二人の前に現れてみた。

 

「ちょ、どこから入ったの!?護衛の者は何をやってたのよ!」

 

「護衛には口では言えないようなことをした後眠ってもらった。それで、君が董卓かね?」

 

「違う! ボクが董卓よ!」

 

「黙れ、眼鏡ちゃん。俺にはそんな嘘通じねえよ?とあるすじからの情報で顔はわれてるんだ」

 

「ぐっ……」

 

「私が董卓です」

 

「ちょ、月!?」

 

「お前が董卓か……いきなりだが捕まってもらいたい」

 

「それは……」

 

「そんなの出来るはずないでしょ! 月を守るためにはどこまで逃げるしかないんだから!」

 

「俺は別にかまわんぞ?

 どこまで逃げても連合は追ってくるだろうし、捕まれば殺される。

 しかし俺に捕まれば死んだことにして身を隠す裏工作に加え仲間との再会といった得点が満載」

 

「仲間って…………」

 

「呂布、張遼、華雄、陳宮の四名だ。全員我々が捕らえた。

 今なら多少不自由かもしれんがわりと生きてられるぞ?」

 

「そんなことをして何の得があるのよ?」

 

「いろいろ理由はあるんだが面倒だから言わない。

 あとお前ら生きたいのか死にたいのかはっきりしろ、このままいけばお前等確実にお陀仏だ。

 天文学的確率とはいえ助けてくれるっつてんだからついてくりゃいいだろうが。

 ついでにお前等にとある暴君の残した言葉を送ろう」

 

『素直にはいといえねえのか!!!!』

 

そのとき局地的な地震がおこったとか………震度三ぐらいの。

 

「「はい………」」

 

化物の怒声に二人とも思考を停止させたようだ。

そうそう、それでいいんだよ。素直に従ってればそれでいいんだ。

 

こうして二人………董卓軍の首脳陣が我々の仲間になった。

そして正気を取り戻した二人と呂布、張遼、陳宮から

真名である月、詠、恋、霞、音々音の名を預かった。

 

ちなみに放置されてた華雄だが色々事情があって真名を預けられないらしい。

そのことで春蘭とかと一悶着あったがそれはまた別の話。

 

連合が洛陽について董卓が死んだという噂が流れ、連合も解散しようかと言う頃。

天幕の外で俺は黄昏ていた。

 

「………………………………………(´・ω・`)」

 

「こんなところで何をしているの?」

 

野生の華琳さんが飛び出してきた!

 

「ああ………華琳さんですか………

 いや、実はですね?今回昔の仲間に会ったんですがそいつに言われたんですよ。

 『お前は孤独にならない為に〝正義〟って言葉を利用してる』ってね?

 実際その通りだ………正直私は正義なんてどうでもいい。

 ただ誰かに認めてほしくて………一人になりたくなかっただけなんですよ」

 

「そう………………」

 

華琳さんはなにも言わない

 

「今まで出会った誰もが私のことを化物と呼び恐怖しました。

 ………華琳さん、あなたはどうですか?私が恐ろしくはないのですか?」

 

私にこんなことを願う資格がない事ぐらい解ってる。

だが……それでも………どうか私を受け入れてください。

 

「………前に言ったはずよ。

 あなたは魏の客将で天の御遣いよ?手放す気はないわ」

 

本気ですか?

 

「しかし………私は化物ですよ?」

 

「たかが化物ぐらい使いこなせなくては大陸は統べられないわ」

 

私はここにいてもいいんですか?

 

「そのうち角とか生えてくるかも………」

 

「それはたいした問題じゃないわ」

 

私は人間じゃないんですよ?

 

「背中から腕とか生えるんですよ?」

 

「以外と便利そうじゃない」

 

この姿を見てもまだそんなことが言えるんですか?

 

「でも………………」

 

「ああもう!いい加減にしなさい!」

 

何故か華琳さんに抱き寄せられた。

 

「あなたは私の物よ。イヤだと言っても手放す気はないわ……」

 

フフ……ハハハ………ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

すばらしい!なんていい気分だ!何年か前に正義を掲げたが………これほどまでにッ!

絶好調のハレバレとした気分はなかったなぁ………

最高に『ハイ』って奴だアアアアァアハハハハハハハハハハハハハハハハハ

 

 

こうして私は本当の意味で魏の一員となった。

 

この後、正式に魏の将兼文官兼商人兼華琳さんの友人(恋人)になった。

 

どうも後ろの人です。

 

なんかずいぶん投稿が遅くなった気がします。

 

今回の話は一応山場になる予定の話だっただけに非常に自信のない話となりました。

長かったから誤字、脱字も普段より見逃しがちだったと思うので。

 

本当はもっといろいろやりたかったんですが妄想力の低さと語彙の無さにより想像とは違う作品になりました。

 

とくに難しかったのは凪、恋、祭とオリキャラ同士の戦いが難しかったですね。

いずれちゃんと戦わせる予定だったのでオリキャラが強すぎるのは不味いと思ったんですが結局強くなってしまいました。

やっぱオリキャラは難しいですねw

 

後、無念なのは最後の華琳さんとのからみです。

本当はもっと色々やりたかったんですが自分の語彙の無さに絶望し妄想を文章にできなかったのです。

 

ちなみにこの後、どんどん神埼が人間離れすることになります。

具体的に言うと口からレーザー出したり………

 

後は最後にこの後から恋姫には出なかった各武将(徐晃とか)が例の四人の刺客として

神崎に襲い掛かる予定なのですが若干の見せ場はあっても基本ザコキャラとして殺られることになります。

恋姫にいない武将が好きな人は見ないほうがいい気がします。

場合によっては一瞬で死ぬこともあるのでw

 

さて………では今回はこのへんで失礼します。

 

ではでは~w

 

 

 
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