No.119900

仮面ライダー×真・恋姫†無双 魏&呉  SS大戦2010

BLACKさん

この作品は仮面ライダー×仮面ライダーW&ディケイド MOVIE大戦2010の影響を受けて作られた作品です。
そのため、仮面ライダー×仮面ライダーW&ディケイド MOVIE大戦2010のネタバレを含む部分もございますのでご了承下さい。
なおこれは仮面ライダー×真・恋姫†無双の魏編と呉編の本編と繋がっているので、本編を読まないと分からない部分が存在します。その事についてもご了承下さい。
またオリジナルキャラもいることをご了承ください。

2010-01-22 09:13:33 投稿 / 全31ページ    総閲覧数:9203   閲覧ユーザー数:8072

 

 

 

 

 

 

                           仮面ライダー×真・恋姫†無双

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀がこの世界に帰ってきてから数ヶ月が経った。

 

「やっぱり俺にはこの世界の方があってるのかな~」

 

一刀は帰ってきても仮面ライダーとしての能力は失っていなかった。

その為に盗賊などの退治はいつも一刀が行っている。

と言っても三国同盟が成立してからは盗賊などの被害は大陸でも年に5回あるかないかである。

 

「しかし俺がいない間に良い国にしたんだな、華琳」

「当たり前でしょ。そう約束したんだから……」

 

一刀の隣には一刀が一番愛した少女、曹操。真名を華琳と言う少女が隣で座っている。

 

「でもこんなに平和だと何かやる事がない気もしないで怖いよ」

「あら、今日は非番なだけで警邏の仕事はしてるのでしょう?」

「そりゃあ、凪達と一緒に仕事してるさ」

 

一刀が華琳の横で寝転がる。その寝転がる芝はなかなか寝るのには中々言い感触である。

 

「華琳も寝てみたら? 結構感触良いぞ」

「そう? ……なら……」

 

華琳も一刀の横で寝転がる。

 

「一刀…」

「華琳…」

 

一刀と華琳の距離が縮まり、二人の唇が近づき、お互いのものに接触しようとしたとき……。

 

「大変です!」

 

突然、一人の兵士が華琳達の元にやって来て、華琳達は起き上がった。

 

「どうしたの?」

「五胡の軍勢が国境を越えてきました! その数は……百万です!」

 

その驚くべき数値に華琳は驚きを隠せない。

 

「華琳」

「わかってるわ。すぐに皆を集めなさい!」

「はい!」

 

兵士はすぐに魏の将達を集め、緊急会議が開かれるのであった。

 

 

 

 

 

仮面ライダー×真・恋姫†無双 魏編   完結編

 

 

 

 

 

 

華琳の召集を受けて、魏の将達は皆玉座の間に集まった。

 

「皆も聞いたとおり、五胡の者達が国境を越えてやってきたわ。その数は百万だそうよ」

「百万もですか!?」

 

その言葉に稟が驚くが、それは他の将も同じである。

 

「その事を聞いて、桃香や雪蓮の方もすぐに軍を編成して、一緒に迎え撃つ事にしたわ」

「しかし百万となりますと……」

「三国の全部の将を導入する必要があるわね」

 

風や桂花はかなり過酷の戦いになると予想する。

 

「では、この許昌は誰が守るんですか?」

「それは私の役目だ」

 

そこで玉座の間に現れた一人の男性。その男の名は司馬懿。字は仲達である。

 

「文官であるお前が守れるのか?」

「それは心外ですな。夏侯惇将軍。我が知略を見くびっているのですか?」

「別にそういうことは言っておらん」

「ならば信じてもらいたいものです」

 

と司馬懿は皮肉るように言う。この司馬懿と言う男は一刀が一度この世界からいなくなってから数週間後に華琳の元で使えるようになった軍師補である。

もっとも一刀が去る時、既に戦いの世は終わっていたので、軍師補と言っても内務仕事ばかりだったが…。

ちなみに一刀が司馬懿と対面したのは、華琳の所に帰ってきてから数日後である。

その時はこんな感じであった。

 

「姓は司馬、名は懿、字は仲達と申します」

「華琳から話は聞いてるよ。なかなかの頭の切れっぷりだってね」

「ええ、それは……」

「まあ、よろしくね」

「ええ……」

 

一刀はその時握手のために手を伸ばしたが、司馬懿はその手を受け取らなかった。

 

(…………)

 

一刀はこの時、司馬懿にある疑念を持ったが、戦乱の世でない以上問題ないだろうと割り切った。

話が今に戻るが、司馬懿はどことなくだが、他人を見下している。春蘭はそこが気に入らない。

桂花も春蘭の事は見下してると言うか毛嫌いしてるが、春蘭の強さなどは認めており、春蘭も桂花を毛嫌いしているが、桂花の知は認めている。

しかしこの司馬懿は違う。司馬懿は全ての人間を毛嫌いしてるだけでなく、全ての人間を見下している。それは華琳と一刀にも同じである。

でも司馬懿の知略は中々のものである。

 

「まあ司馬懿なら上手くやってくれるわよ。司馬懿、後の事はよろしく」

「お任せを……」

 

こうして魏軍は蜀軍と呉軍と合流し、五胡の侵略を阻止に向かった。一刀には一抹の不安を残して…。

 

 

五胡の侵略に一番近い西涼に三国の軍が集結した。

 

「さて、相手は百万の部隊」

「こちらも百万……」

「兵の数では互角ね」

 

華琳、桃香、雪蓮の三国のトップ三人が現状を見る。

 

「兵の数は互角ですが、相手は五胡」

「あいつらは馬に乗っての戦いが得意だからな…」

 

その五胡相手にいつも西涼で奮戦していた翠が意見を言う。

 

「馬に乗っての戦い、つまりは騎馬戦が多いってことね」

「となると、こちらは弓の数を増やした方がいいですね」

「いや、それは相手も見抜いてるとだろう」

 

呉の軍師の冥琳が意見を返した。

 

「どういうことですか? 冥琳様」

「相手は己の戦闘の型を知っているのだろう」

「あ、そうですか~、なら相手はその弓対策も出来てるってことですね~」

「そういうことだ」

「ではどうしましょう?」

 

雛里が困っていると朱里が意見を出す。

 

「なら、私が最近考えた連弩を使いましょう」

「連弩?」

 

朱里が連弩の説明をする。連弩は大きな弓にその大きさにあった矢を何本も填めて、そしてそれを放つと言うものである。

 

「でもこれは矢を補充するのに時間がかかるんです」

「だったらこんな方法があるぜ」

 

一刀が朱里にある提案をする。それは連弩の部隊を三つに分けて、撃ったらすぐにその三つの最後尾に並んで補充、

その間にすぐ後ろに並んでいた連弩部隊を前にして矢を放ち、そしてまた後ろと交代すると言う、某戦国武将が行ったとされる戦法を提案する。

 

「それはいいですね」

「まあその前に何か壁になるのを作って、矢が尽きたら、騎馬隊で突撃させるって寸法だけどね……」

「でもその間ってこちらの部隊が前に出せないじゃない?」

「まあそれが欠点だな。だがその問題は俺一人だけで解決できる」

「え?」

 

一刀がいつの間にか手にしていたカブトゼクターを皆に見せつける。

 

「カブトなら当たる直前にクロックアップして矢を避けれる。俺が前に出てるから皆は気にせずに矢を撃ってくれ。

それに当たったとしても対したカブトのあの体なら痛手にはならんよ」

 

一刀は笑ってみせる。

 

「隊長……」

「安心しろ、仮面ライダーがそんなのには負けないさ……」

 

不安がる凪に一刀が笑みを見せる。

 

「じゃあ、そういうことで宜しく。変身」

「Henshin」

 

一刀がベルトにカブトゼクターを装着し、仮面ライダーカブトマスクドフォームに変身する。

 

「それじゃあ……後でね」

 

一刀は乗ってきたバイクには乗らず、歩いて敵がいる方向をまっすぐ歩く。

一刀は戦場になるだろう場所に一人で立つ。

 

「……来い」

 

それから数分後、五胡の前線騎馬隊がやって来た。

 

「よし来たな」

 

一刀はカブトクナイガンを銃の形にして、射程内に入ってきた敵の馬の足を狙う。

その射程はかなりのもので相手はまだ一刀の姿をきちんと確認し切れてない状態での攻撃を受けたので少々焦りを見せたが、そのまま一刀の方に突っ込んできた。

一刀は可能な限りカブトクナイガンで敵を馬から落とし続け、敵がかなり近づいてきたとして、ゼクターホーンを一気に反対側に倒した。

 

「キャストオフ!」

「Cast Off」

 

音声と共に銀色の鎧は飛び散り、騎馬隊ははその飛び散った鎧を防ぎきれず自身や馬がダメージを受け、何騎か倒れた。

仮面ライダーカブト、ライダーフォームが姿を現した。

 

「Change Beetle」

「一刀さんのところに敵が集まりました」

「撃ってください!」

 

朱里の指示に従い、連弩隊は敵に向かって矢を放った。

一刀は矢が飛んでくるのを確認し、自分に矢がやってくるのを目視で確認した。

 

「クロックアップ」

「Clock up」

 

一刀がベルトの腰にあるクロックアップのスラップスイッチを押す。

そして一刀の動きは速くなり、敵と矢が止まっているように見える。

その間に一刀は敵を馬から思いっきり落としたりなどする。しかしそんな時でも一刀は相手に怪我はさせるが、死なないように馬から落としていた。

一刀はすぐに矢の射程から完全に離れてクロックアップが終わる。

 

「Clock over」

 

その音声と共に敵兵はかなりの数が馬から転げ落ち、乗り主のいなくなった馬は勝手に暴れたりして、敵は大混乱。

朱里達は連弩を使わなくてもよいと判断し、騎馬隊を前線に出した。

 

「さすが……だな……」

 

その中にカブトエクステンダーも混じっており、一刀もカブトエクステンダーに乗り騎馬隊の中に紛れ込んで敵に向かって突撃した。その先頭の将は凪である。

凪達は見事に五胡の兵達を倒していき、一刀(カブト)の脅威のクロックアップやカブトエクステンダーの前に五胡兵も恐怖し、撤退していく。

五胡兵は侵略は今の時期にやるべきではないと判断し、完全撤退の伝令を出した。

 

 

そんな五胡兵達の撤退路になにやら黒い人影が一人立っていて、その人影の前に何枚もの金色の壁が現れる。

それはまるでブレイドキングフォームのロイヤルストレートフラッシュに似ているが、絵柄が違う上に壁の枚数はキングフォームのそれ以上であった。

一刀はアギトの能力も持っていたため、その姿を確認してなかったが、危険を察知した。

 

「クロックアップ!」

「Clock up」

 

一刀はすぐに先頭にいる凪のところにまでバイクをよせ、そして凪のところに飛びつこうとした時…。

 

「Clock over」

 

クロックオーバーと同時にその黒い影はなにやら武器を構えて、何かエネルギー波を発射し、前の壁を突き抜けて、撤退する五胡兵だけでなく、それを追っていた三国軍の部隊も巻き込まれ、全員爆死した。

凪もそれに巻き込まれそうになるが間一髪、一刀が体を張って自分を馬から無理やり下ろしたため、自分は死なずにすんだが、爆発の勢いで一刀と共に転がる。

 

「くっ!」

「ぐわっ!?」

 

一刀は凪を強く抱きしめ、何とか受身は取るが、カブトエクステンダーは攻撃の直線状からギリギリ離れていたため、壊れなかったが横に引きずられた。

 

「なんだ、今のは? ……凪、大丈夫か?」

「隊長……なんとか無事です」

 

凪が一刀の体から離れる。一刀は爆風がやむのを待つ。

 

「ふん、やはり使えんな五胡兵どもめ」

 

爆風がやむとそこには黒い姿をしたものが……。

その姿は仮面ライダーディケイドそのものであるがディケイドと違い、全身の色が黒く、目も凶暴なものであった。

それに変身ツールのディケイドライバーも白ではなく、黒いものであった。

 

(だが時間稼ぎにはなってくれたのには感謝してやる)

「ディケイド……。いや、あいつは……まさか!?」

 

一刀は頭のどこかで見たことある姿だと認識する。

そのディケイドに似ている者の正体は仮面ライダーダークディケイド。ディケイドの悪の部分が具現化したものである。しかし……。

 

「しかもあの目は……激情態かよ!?」

 

ディケイドの激情態はかなり恐ろしい能力があり、通常のディケイドと違い、別の仮面ライダーにカメンライドしなくても別の仮面ライダーの能力や武器が使えるのだ。

 

「さすがに……まずいか…。凪、急いで俺から離れろ!」

「隊長…」

「いいから早く!」

「了解です!」

 

凪は急いで一刀から離れる。

ダークディケイドはあるカードを黒いディケイドライバーに差し込む。

 

「ファイナルアタックライド、ディディディディケイド!」

 

その音声は通常のディケイドライバーの音声よりもまがまがしいものである。

そしてダークディケイドの前に金色の壁が何枚も現れ、ダークディケイドは飛び上がり、それと同時に壁も宙に上がった。

 

「ディメッションキックが相手なら!」

「1,2,3」

 

一刀がゼクターのボタンを押して、ゼクターホーンを最初に位置に戻す。

 

「ライダーキック!」

「Rider Kick」

 

ゼクターホーンを再び倒し、ゼクターから右足にタキオン粒子がたまる。

 

「はあっ!!」

「……………!!!」

 

カブトの回し蹴りとダークディケイドの飛び蹴り。二つのライダーキックが激しくぶつかり合う!

その二つの威力は驚異的なものでその場で爆発が起こり、周りは一瞬白く発光した。

 

「な、何?」

「急ぐわよ!」

 

遠くで白く発効するのを見た華琳達は急いで一刀の元に馬を飛ばす。

 

「ぐわっ!」

「…………!!」

 

二人は蹴ったその場からかなり離れたところに吹き飛ばされ、一刀は変身が解けてしまった。

 

「くそ……」

「隊長!」

 

一刀が起き上がろうとするが、ダメージが思いのほか大きかったのか、中々起き上がれないでいた。

ダークディケイドも一刀と同じようだったが、ダークディケイドは起き上がった。

 

「まずい……」

 

一刀はすぐに変身できるアギトに変身しようとする。

ダークディケイドはあるカードを取り出し、ディケイドライバーに挿入した。

 

「アタックライド、クロックアップ」

 

クロックアップで自身を加速させる。しかしそれは一刀への攻撃のためでなく、自身がその場から離れるためのものであった。

 

「………ああっ……」

 

一刀は気が抜けたのか起き上がろうとした体は倒れる。

 

「隊長!」

 

凪が急いで一刀の元に駆け寄る。

 

「隊長! しっかりしてください!」

「一刀!」

 

急いで駆けつけた華琳が馬から下りて一刀の元に来る。

 

「一刀、大丈夫?」

「ああ、なんとかな……」

「でもこの爆発の後は何?」

 

蒲公英が一刀に聞く。

 

「まさか、爆発物を伏せていたのですか?」

「でもそれにしては……」

 

亜莎(呂蒙)が不審がる。爆発したにしては死体がないのだ。いくら吹き飛ぶとはいえ、そこに来た全員や馬の体が一つもないのは不自然である。

 

「ダークディケイドだ」

「え?」

「俺と同じ仮面ライダー……いや俺とは全く違う仮面ライダーが五胡兵と俺達の味方の兵を関係なくディメッションブラストを撃って全員を爆殺させたんだ。死体なんて残るわけがない……」

「他の仮面ライダー?」

「一刀さんの他にも仮面ライダーがいたのですか?」

 

風と稟が一刀に尋ねた。

 

「はい。私もこの目で見ました。あれは仮面ライダーと見るべきです」

「そいつは五胡と繋がってたみたいだ」

「と言うと?」

「あいつは爆殺させた後、五胡兵を使えない奴らと言ってた。繋がってないにしても利用してるのは確かだ……」

「……そうですか…」

「じゃあさっきの光は?」

「俺がその別の仮面ライダー…ダークディケイドのライダーキックとカブトのライダーキックをぶつけた時にできたもんだ。で……俺はこの有様さ……」

「そう……」

 

華琳が一刀の疲れきった体を強く抱きしめる。

 

「あいつが何者かはわからないが…気をつけてくれ。あいつは俺の変身できるブレイドやカブト、アギトの能力が使える。それに皆が知らない仮面ライダーの力も……」

「一刀…、今はそれ以上喋らないで。……今はゆっくり休んでなさい」

「……そうさせてもらう。…後、バイクは拾っといてくれ。側に転がってるはずだ……」

 

一刀はすぐに本陣に運ばれ、ベットに運ばれて一刀は深く眠る。

 

 

一刀は怪我こそしてないが、それでも体の疲労はあると医者に言われた。

 

「……一刀……」

 

華琳が傍らで眠る一刀を見る。

 

「曹操様! 大変です!」

「……どうしたの?」

 

兵士が急いで華琳の元に報告をする。

 

「許昌が占拠されました!」

「何ですって!?」

 

華琳は急いで緊急軍議に出た。

 

「華琳さん!」

「華琳、話は聞いた?」

「ええ、今聞いたわ。許昌を占拠されたと…」

「それだけじゃないわ。建業と成都も占拠されたのよ」

「……そう……」

 

華琳達が伝令の話を詳しく聞く。伝令の報告によると大量の謎のオレンジ色をした仮面ライダーの集団が攻めて来て、都にいた兵士達が奮闘したものの、結果は敗北。

そのオレンジ色の仮面ライダー集団の首領は黒い姿をした仮面ライダーとの事であった。

 

「で、その黒い仮面ライダーはどこにいるのかしら?」

「今は許昌にいるはずです」

「……そう…」

 

敵の首領は今、魏の都許昌にいる。その事実は華琳に静かに怒らせる。

 

「華琳様、五胡は完全撤退すると伝令を出してましたが……」

「ええ……でも……」

 

華琳が一刀の眠る幕を見る。今一刀は眠っていて動けない状態である。目を覚ますのは早くて一ヶ月後とのことである。

それまでにその敵仮面ライダーがここに攻めて来ないという保証はない。

緊急会議は答えを出せないまま終わった。それから三日後の夜。

 

「どこに行く気かしら? 一刀」

 

一刀が置いてあるブルースペイダーに乗ろうとしているのを後ろから華琳が声をかけて止める。

その華琳の周囲には他の魏の面々もいた。

 

「みんな、どうしたんだ?」

「どうしたやあらへん! 一刀!」

「隊長はほんまは寝てなあかんやで」

「隊長……」

「隊長~」

 

霞、真桜、凪、沙和が一刀を見る。

 

「大丈夫だって」

「大丈夫なわけないですよ!」

「あんたは本当は一ヶ月も目を覚まさないはずだったのよ!」

「お兄さん無理してますよね~?」

 

稟、桂花、風も一刀を見て止めに入る。

 

「あのな…。アギトは進化し続ける存在だ。アギトのその力のおかげで俺の体も本調子だよ」

「でも兄ちゃん…」

「最低一万の仮面ライダーがいるんですよ」

「一刀さん…」

「あんた死ぬ気じゃないわよね?」

「……一刀、ダメ」

「そうです! 身の程をわきまえるのです!」

 

季衣、流琉、月、詠、恋、ねねも必死に一刀を止める。

 

「相手はライオトルーパー。俺の変身するライダーよりも能力は低くても仮にも仮面ライダーだ。だったら仮面ライダーの俺が行くべきだろ」

「北郷……」

「北郷、お前という奴は……」

 

秋蘭と春蘭も一刀の身を案じる。

 

「一刀……」

 

華琳が一刀のところに近づく。

 

「華琳……」

 

そして一刀と華琳はお互い抱きつく。

 

「一刀……必ず生きて帰ってきてね」

「ああ……今度はきちんと約束してやる。俺は死なない。必ず生きて華琳の所に戻る」

 

一刀と華琳の体が離れ、一刀がブルースペイダーに乗り込み、許昌へと急ぐ。

 

(決着をつけるぞ。ダークディケイド!)

 

 

一刀が許昌の近くにまで来た。

 

「玉座の間にダークディケイドがいるんだな?」

「はい!」

 

何とか許昌から逃げれた斥候に確認を取る。

 

「わかった。気をつけてくれ」

「北郷様も……」

「ああ」

 

一刀はブレイバックルをつけた。

 

「それじゃあ!」

 

一刀はバイクを走らせ、一気に許昌の入り口に入ろうとするとライオトルーパーの集団が阻む。

 

「変身!」

「ターンアップ」

 

オリハルコンエレメントは目の前にいたライオトルーパー達を弾き、ブルースペイダーと共にくぐり抜けた一刀は仮面ライダーブレイドに変身した。

 

「ウェエエエエエエイ!」

 

一刀はブルースペイダーについてるラウズ機能でマッハのカードをラウズさせる。

 

「マッハ」

 

マッハがラウズされ、ブルースペイダーの速度は更に増し、ライオトルーパー達を次々引き飛ばした!

 

「ウェエエエエエエエエエエエエイ!!」

 

そして一刀とブルースペイダーは最後の防衛ラインを突破し、壁を突き抜けて、玉座の間の前へと着いた。

 

「着いたぜ…」

 

一刀は変身を解いて、玉座の間のへの扉を思いっきり開けた。

一刀はそのまま玉座へと歩く。一刀は顔を上げる。そこには……。

 

 

「司馬懿……」

「お久しぶりですな、北郷一刀殿」

 

いつも華琳が座っている玉座には司馬懿が座っていた。

 

「お前……」

「何か言いたそうですな。何が言いたいのですか?」

「司馬懿……お前だったんだな」

「はて? 私だったとはどういう……」

「ふっ」

 

一刀は鼻で笑った。

 

「とぼけるのも対外にしろ、ダークディケイド!」

「……ほう」

 

司馬懿はダークディケイドと言われて、大笑いをする。

 

「ふはははははははははっ!!」

「…………」

 

一刀はその様子を黙ってにらむ。

 

「いつ気がつきましたかな?」

「お前が五胡兵を使えないと言った時だ。お前の声はかなり覚えやすかったんでな。

それに現状で都を占拠して得するのはお前だけだ」

「ふはははははっ! 流石、この大陸を覆っていた動乱の最後の戦いを終わらせた天の御遣いと呼ばれた仮面ライダーだ」

「お前の目的はなんだ?」

「うん?」

「お前が得することはわかっていたが、何で得するのかはわかってない。

それにこんな事をする目的を知りたくてな」

「ふん、いいだろう」

 

司馬懿が体勢を整えなおして、一刀の質問に答える。

 

「私はこの世界の人間ではないのだ」

「何?」

「正確には私はこの世界を壊すために作られた存在だ」

「人形ってことか?」

「少々違うが、貴様から見ればそうなるかもな。だがそれは曹操とて同じだ」

「なんだと!?」

「貴様はこの世界が外史と呼ばれる世界だと知っているか?」

「外史?」

「知らないようだな。では教えてやろう。その前に正史について教えてやろう。

正史とはお前が元々いた世界。その世界では当然、曹操や劉備は男。時代の関係上孫策は既に死んで孫権が王位に就いている。貴様が知る三国志の物語そのものだ」

「………」

「そして外史とはその三国志の物語を基にして作られた別の世界の事だ」

「誰かが考えた物語が具現化して、異世界になったって訳か」

「ふん、そういうことだ」

「だが何でお前がこの世界を壊す?」

「簡単な事だ。この世界がそれを望んでいるからだ」

「何故だ?」

「外史は作られた世界だ。その外史を作った誰かがその物語を忘れれば、その外史は消える。だがそれとは別に外史そのものが存在したくないと思えばその外史は消える。

この外史そのものは自ら消えたいと思っているのだよ」

「……ちょっと待て、その話からするとお前がいなくてもこの世界は消えるはずだ。なのに何故お前を生み出す必要があった?」

「それはな……、貴様のせいだ北郷一刀!」

 

司馬懿が一刀を指で指す。

 

「俺のせいだと?」

「正確には管輅のせいだ」

「管輅?」

 

一刀は管輅という名前を聞いて、推測してみてある答えを導き出す。

 

(あいつのことか?)

 

 

一刀はあることを思い出す。それは自分が華琳の目の前から消えてすぐのことである。

一刀はどこかわからない空間へと立っていた。

 

「ここはどこだ? 俺は一体……」

「ここは世界の狭間です」

 

一刀の目の前に一人の少女が現れる。その少女は巫女服のような服であり、どことなく見た目は風を少し大人にして髪が黒いのだが、雰囲気は全然違っていた。手には月琴を持っていた。

 

「お前は?」

「世界を見るものだと言っておきましょう」

「俺はどうしてここにいる?」

「あなたがあの世界での役目を終えたからです」

 

少女が指差す方にはいくつもの地球があり、そのうちの一つが一刀と少女のところに引き寄せられるようにやって来て、その地球での様子がモニターのように映し出される。

その映像には自分が手渡した、ブレイバックルとラウズカードにラウズアブソーバー、それとカブトのライダーベルトを地面に落として泣き崩れる華琳の姿が映っていた。

 

「華琳!」

「あなたがいなくなったことで泣いてます」

「教えろ! どうやれば俺はあの世界に帰れる!?」

「帰る? あなたが帰る世界はあそこのはずですが…?」

 

少女がまた別の方向にあるいくつもある地球から一つ引き寄せて、見せる。

それは元々一刀が居た世界であった。

 

「及川…母さん……じいちゃん……皆……」

「あなたがいなくなったことを皆心配しているのですよ? そんな人達とまた一緒に暮らしたくないのですか?」

「………」

 

一刀は黙るが、既に答えは決まっていた。

 

「俺の答えは決まっている。俺は俺の帰りを待ってくれている華琳達の居た世界に帰る!」

「自分の本来の世界に帰りたくないのですか?」

「帰りたくないといえば嘘になる。だけどあの世界の華琳の元に帰りたくないと言ったら、もっと嘘になる!

仮面ライダーは約束を破らない。華琳にもそう言った。だが俺はそんな約束がなくても俺の帰りを待つ華琳の所に帰りたいんだ!」

「………そうですか……」

 

少女は少し考え込むように黙る。

 

「方法はないのか?」

「方法はありますが、私の力ではもうどうにもできません」

「何?」

「あなたがあの世界に戻るにはあなた自身を覚えてくれる人の強い思いと記憶、そしてあなたを写すものが必要です」

「俺を写す……」

 

一刀はすぐにはわからなかったが、少し考えてその救いがあることに気付く。

 

「なら俺は帰れる!」

「…そうですか」

「ああ、それと……」

「?」

「俺の元居た世界に手紙を送りたいんだ。何も残せずに帰らないのは嫌だから」

「…いいですよ。それくらいなら私に出来ます」

 

そして一刀は少女から紙と書くものを貸してもらい、手紙を書いた。その内容は…。

 

『俺はある遠い遠い場所で幸せに暮らしています。それはどこかは言いにくいというより考えられないところにいます。ですが心配しないで下さい。もう帰らないつもりなので学校には退学届けを出してください。

それと俺の寮部屋にあるものは自由にしてください。それじゃあ、お元気で…。    北郷一刀より』

「これでよし…それじゃあ、お願い」

「……わかりました」

 

手紙を受け取ると少女は姿を消し、一刀はしばらく色々な地球の世界を見る。

 

「あの世界は……」

 

一刀が一つの地球の様子を見る。

 

「あれは電王?」

 

一刀が見る地球には電王が見たこと無い兵隊たちと仮面ライダーの怪人と戦っている姿であった。

そこに敵の大将らしき人間二人が仮面ライダー(?)のようなものに変身して、電王と戦う。

 

「何であの世界に怪人が?」

「それはあの世界が生み出した産物です」

 

そこに先ほど姿を消した少女が再び姿を現した。

 

「あの世界の産物……」

「どうやらあそこの世界に行きたいようですね?」

「ああ、同じ仮面ライダーが苦戦してるんだ。仮面ライダーとして見過ごす事などできない!」

「そうですか……」

「俺をあの世界に少しでいい、行かせてくれないか?」

「少しでいいのでしたら……」

 

少女が月琴を鳴らすと一刀の体がどこかにテレポートするかのようにその場から姿を消し、一刀は先ほどまで自分が見ていた世界の地球にいた。

そして一刀はアギトに変身し、電王を助け、少女がその様子を見て、月琴を鳴らし、狭間の世界に連れ戻した。

 

「満足しましたか?」

「ああ……後の事はあの世界に来た俺で大丈夫だろ」

「あれが別の世界のあなただと分かってましたか」

「平行世界だろうが、自分は自分だ。あっちも気付いてただろうよ。……後は……」

 

一刀が自分を待つ華琳のいる世界の地球を見ようとすると……。

 

「うん? 体が……」

 

一刀の体が華琳の前から消えたように薄くなってきている。

 

「華琳、また会えそうだな」

 

そして一刀の体はその特殊空間から消え、一刀が気がついたら、最初に現れた荒野とよく似た荒野に立っていた。

 

「さてと、許昌まで行ってみるか……」

 

一刀はそれから許昌まで歩いていったのだ。

 

 

そして現在。

 

「管輅は本来この世界を壊すために生み出された存在。言わば私の先輩になる。だが奴はその使命に叛き、貴様をこの世界に召喚したのだ!」

「俺がこの世界に来た理由はそれだったのか…」

「そうだ! この世界の歴史を破壊すれば、この世界…外史は嫌でも存在し続けなければならなくなる。

そして奴はそれだけでなく、貴様に仮面ライダーの変身能力と道具も与えたのだ」

「そうかい」

 

一刀はようやく、最初にブレイバックルを拾った事や、カブトのライダーベルトを戦いの中で手に入れれた理由を知った。

管輅は一刀にこの外史の破壊者となって欲しかったのだ。そのために一刀を助けれるように陰で手助けしていたのだ。

 

「だが何故仮面ライダーだったんだ?」

「それはお前が強い思い入れがあったから奴は利用しただけだ」

「……まあな。だがお前も何で仮面ライダーの力を持ってる?」

「私はこの世界が作り出した存在だ。貴様の記憶を一部だが読むことは出来る。そして貴様が考える強いライダーを考えた結果……」

「仮面ライダーダークディケイド、しかも激情態バージョンってことか……」

「その通りだ」

 

司馬懿は玉座から立ち上がり、黒いディケイドライバーを取り出し、ベルトにして、バックルを開けた。

司馬懿は右手にダークディケイドが描かれたライダーカードを持つ。

 

「そして貴様を殺し、この外史をあるべき姿に戻す。無の世界にな!」

「そんな事俺がさせん! 俺はこの世界の破壊者だ! その無に還す事を破壊してやる!」

 

一刀はアギトバーニングの変身ポーズをとり、ベルトを出す。

 

「「変身!」」

「カメンライド、ダークディケイド!」

 

一刀がオルタリングの両腰に手を置くのと同時に司馬懿もライダーカードをディケイドライバーに挿入し、バックルを戻した。

その場に仮面ライダーアギトバーニングフォームと仮面ライダーダークディケイドが姿を現した。

 

「ふん!」

 

一刀はシャイニングカリバーを取り出し、それを天井に向かって投げ、天井を壊し、壊れた穴から太陽の光が刺し込み、バーニングフォームの体をシャイニングフォームの体に変えた。

 

「いくぞ!」

 

アギトとダークディケイドが激突する。

 

「はあっ!」

「たぁっ!」

 

一刀のパンチを司馬懿が受け止め、司馬懿のキックを一刀がキックで返す。

そして今度は司馬懿がパンチをして一刀はパンチで激突する。二人はそれから数分の間、肉弾戦を続ける。

しかし数分も肉弾戦を続けても二人ともこれと言った決定打を出せずにいた。

 

「はあ、はあ」

「ならこれでどうだ?」

 

司馬懿はカードを取り出す。

 

「アタックライド、クロックアップ」

 

クロックアップのカードにより、ダークディケイドはクロックアップして、アギトを襲う。

 

「ぐわっ! ぬあっ!」

 

クロックアップの速さは中々のものでアギトでも捉えることはできない

……わけではない。

 

「お前はアギトの無限に進化する力を見くびり過ぎだ!」

 

一刀が体勢を少し整えて、ダークディケイドが自分に向かってくるのを感覚で捉えた。

 

「そこだ!」

 

一刀の回し蹴りがダークディケイドに直撃した。

ダークディケイドはそのキックにより、転がった。

 

「カブトのライダーキックは体に染み込んでるんでね」

「おのれ……」

 

ダークディケイドが起き上がろうとすると自分の前にはアギトの紋章が三つ浮かび上がっており、一刀もキック体勢に入っていた。

 

「はあああああああ!!」

 

一刀が走り出し、ダークディケイドに向かってシャイニングライダーキックをぶつけようとする。

 

「はあああああああああああああ!!」

 

ダークディケイドはキックがぶつかる直前にライダーカードを取り出し、ディケイドドライバーに入れた。

 

「アタックライド、インビジブル」

 

カードが発動すると共にダークディケイドは姿を消し、シャイニングライダーキックはかわされた。

インビジブルのカードは姿を消すだけでなく、自分に当たる攻撃までも透けるのだ。

 

「くそ!」

 

一刀はアギトの感覚でダークディケイドを探す。

 

「ファイナルアタックライド、ディディディディケイド!」

 

一刀がその音声を捉えると、ダークディケイドがディメッションキックを自分の後ろ斜め上から放とうとしていた。

一刀はそれに気付き、急いでキックの体勢を取るが力が完全に溜まるのには間に合わない。

一刀は可能な限り溜めた力で先ほどと同じカブトのライダーキックの回し蹴りでディメッションキックとぶつけた。

二つのキックがぶつかり合い、その場で大爆発が起こり、玉座の間は完全に野外にされされた。

一刀はキックの直撃を受けなかったため、爆死する事は無かったが、その衝撃で後方に飛ばされ、変身が解除されてしまった。

ダークディケイドは少々バランスを崩す程度で、戦闘に支障は無い。

 

「ま、まずい……」

 

一刀は立ち上がろうとするが、思ったよりダメージがあるのか思うように起き上がれない。

 

「北郷一刀、死ね!」

 

ダークディケイドが立ち上がらせる余裕を与えないように一刀に向かって走る。

その時!

 

「どわぁ!」

 

 

ダークディケイドは何者かに横から跳び蹴りを食らわされ、横に転がった。

一刀は目を疑った。ダークディケイドを蹴ったのは自分と同じ姿をした青年であった。

 

「お前は……」

「俺はお前だ」

「ああ」

 

起き上がろうとする一刀の横にはダークディケイドを蹴った青年とは別の自分と同じ姿をした青年がいた。

その青年が一刀が起き上がるのを手伝い、一刀は立ち上がった。

 

「お前達が俺ってことは……。大体分かった」

 

一刀はなんとなく分かっていた。

そこに自分に外史を教えた少女がテレポートのように突然姿を現したのだ。

 

「やっぱりお前か……」

「管輅、貴様!」

 

起き上がったダークディケイドがその少女の名を叫ぶ。

 

「やっぱりお前が管輅か……」

「ええ…黙っててごめんなさいね」

「構わないさ。しかし……この俺達は?」

 

一刀が他にいる自分について管輅に聞く。

 

「あなたの危機を見て、流石にまずいと思い、この外史とかなりよく似た外史からあなたを連れてきたのです」

「そうか……」

「そこまでの力を使ったのか、貴様! 死ぬ気か!?」

 

ダークディケイドが管輅に言う。

 

「私の命など所詮はこの世界から作られた命。ならばこの世界を守るためならこの命、惜しくはありません」

「貴様……!」

「管輅」

 

一刀(この世界)が管輅の名前を呼んで、近づく。そして管輅に平手打ちをかました。

 

「………?」

「簡単に命を捨てようとするな!」

「その言葉、確か曹操にも言った言葉に似てますね」

「ああそうだ。管輅、お前が作られた命だろうが俺にはそんなの関係ない。

生まれた命なら、最期の最期まで必死に生き延びろ! 命は大事にするもんだ!」

「そうだな…」

「俺も同感だ」

 

別世界の一刀達も一刀の意見に賛成する。

 

「……わかりました。もしこのまま生きれるのでしたら、私はこの世界で最期まで生きる事にします」

「それは私を倒してからにするのだな」

「アタックライド、イリュージョン」

 

ダークディケイドが一刀と管輅が話している隙にライダーカード「イリュージョン」を使い、分身二人を作り出した。

 

「三対三ってわけか……」

「面白い」

「ああ」

 

この世界の一刀がアギトの変身ポーズを取り、先ほど生身でダークディケイドを蹴った一刀がカブトゼクターを取り、一刀を立ち上がらせた一刀がブレイバックルをベルトにして腰に巻きつけた。

 

「「「変身!!!」」」

 

その場にアギトバーニングフォーム、カブトライダーフォーム、ブレイドが降臨した。

アギトは日の光を浴びる。その間にカブトの横にはハイパーゼクターが姿を現し、スラップスイッチに自らから付き、ブレイドはアブソーバーにクイーンのカードを入れ、キングをラウズさせる。

 

「Hyper Cast Off」

「エボリューションキング」

 

日の光を浴び終え、アギトはシャイニングフォームに進化を遂げ、カブトはハイパーフォームに変身、ブレイドもキングフォームに変身した。

 

「Change Hyper Beetle」

「それがどうした!」

 

ダークディケイド三人がライドブッカーをソードモードにして一刀達に襲い掛かろうとする。

一刀達はシャイニングカリバー、パーフェクトゼクター、キングラウザーをそれぞれ持ち、ダークディケイドの攻撃を防ぐ。

 

「「「何!?」」」

 

ダークディケイドとしては不意をうったつもりだったが、全然不意打ちになっていなかった。

 

「「「はあっ!!!」」」

 

三人の一刀が自分達の目の前にいるダークディケイドを斬りつける。

 

「「「ぐわっ!!!」」」

「「「まだまだ!!!」」」

 

三人はダークディケイド達を何度も斬りつける。カブトやブレイドはともかく、先ほどまで戦っていて疲れているはずのアギトに変身した一刀の力は先ほどよりも力が増してるかのような攻撃であった。

ダークディケイド達は耐え切れず、後ろに転がり、ダメージが大きいためにイリュージョンの効果が切れ、ダークディケイドは一人に戻った。

 

「行くぜ!」

「ああ」

「俺もやってやるぜ!」

 

ブレイドの一刀がキングラウザーに5枚のカードを入れる。

 

「スペード10、ジャック、クイーン、キング、エース」「ロイヤルストレートフラッシュ」

 

キングラウザーの音声が終えると共にブレイドの一刀の前には挿入したカード5枚が壁のように現れた。

カブトに変身した一刀はハイパーゼクターのホーンを倒す。

 

「Maximum Rider Power」

「ハイパー……キック!」

「Rider Kick」

 

カブトの右足にタキシオン粒子が溜まっていく。

 

「はぁあああああああああああ!!」

 

アギトの一刀が力を溜め、動けなくなったダークディケイドの前にはアギトの紋章が三枚薄青く浮かび上がっていた。

 

「ほおっ!」

「はあっ!」

「たあっ!」

 

三人が高く飛び上がる。ブレイドのジャンプに合わせて、五枚の壁もついて行くように上に並ぶ。そしてブレイドはキングラウザーを何と自分の右足に付けた。

 

「はああああああああああああ!!!」

「でゃあああああああああああ!!!」

「ウェエエエエエエエエエエイ!!!」

 

三人のライダーキックが5枚のカードの壁と3つのアギトの紋章を突き破っていく。

そしてカードの壁と紋章を破っていった先にはダークディケイドがいる。

 

「ぐわああああああああああああ!!!」

 

ダークディケイドは大爆発を起した。しかし死んではいなかった。

ダークディケイドは一刀がさっき吹き飛んだ以上に後方に吹き飛ばされた。しかもまだ変身は解除されていない。

 

「おのれ……」

「これまでですね、司馬懿」

 

管輅がダークディケイドの司馬懿に近づこうとする。

 

「どうかな……」

 

司馬懿は笑うように言う。すると管輅の横からミサイルが飛んでくる。

 

「危ない!」

 

カブトの一刀がクナイガンで全部打ち落とし、ミサイルは爆発する。

その爆発で目がくらみ、皆が思わず目を瞑る。そして目を開けたとき、司馬懿はいつの間にかあったバイクに乗っていた。

 

「待て!」

「お前達の相手はこいつらだ!」

 

司馬懿がそう言うと、司馬懿への道を遮るかのようにサイドバッシャーが立ち塞がった。

 

「頼んだぞ……」

 

ダークディケイドがバイクを動かして逃げる。

一刀達はただ逃げる様子を見るしかなかった…わけではない。

 

「おい!」

「うん?」

 

ブレイドの一刀がアギトの一刀に言う。

 

「ここは俺達に任せて、お前は司馬懿を追え!」

「ああ、そうさせてもらう!」

 

アギトの一刀は遠慮なく決め、倒れているマシントルネイダーに乗り込み、ダークディケイド、司馬懿を追う。

 

「お前を倒すまでどこまでも追うぞ!」

 

アギトとマシントルネイダーが逃げるダークディケイドを追う!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              THE NEXT EPISODE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「幽霊?」」

 

現時点での呉の都、寿春城では新しく呉の王となった孫権こと蓮華と北郷一刀が斥候の報告を聞いた思春から報告を聞いていた。

 

「はい、斥候が魏の街でそのようなことを耳にしたとのことです」

「それは曹操の策略じゃないのかしら?」

「いえ、それが……」

「その話、蜀の方から帰ってきた斥候も同じような事を言ってるんです」

 

そこに明命もやってきた。

 

「明命……そちらもか」

「はい」

「どういうことかしら?」

「蜀の劉備も曹操と同じ事で悩まされているって事かな?」

「恐らくは……」

 

一刀は考える。

 

「う~ん、この騒動もしかしたら……」

「どうしたの一刀?」

「いや、もしかしたら呉にも来たりしてなと思って…」

「あまり不吉な事を言わないで下さい。一刀様」

 

一刀の予想は的中してしまう。呉の民達はどうやら死んだ家族を様々な場所で見たりしているとの情報を聞く。

そしてとある日、蓮華と冥琳が街を歩いていると……。

 

「え?」

「あれって……」

 

二人はある人物を見る。それは自分達の前で死んだはずの大事な女性。孫策こと雪蓮である。

 

「バカな!?」

「姉様!?」

 

二人はその雪蓮らしき人物を呼び止めようとするが、その人物は何も言わずにその場を去ろうとする。

 

「姉様!」

 

蓮華が追いかけようとして、冥琳が止めようとするが、蓮華は駆け出す。

蓮華は追いかけるが街の角でその見かけた人物がいなくなっていた。

 

「姉様……」

「蓮華様……帰りましょう」

「………ええ……」

 

その話は冥琳が一刀に話した。

 

「雪蓮が……」

「ああ、私はあれは幻覚か妖の術だと思ってる」

「………ところで雪蓮の墓には?」

「行ったさ。何の変わりはなかった」

「そうか………」

 

一刀はそれが魏や呉や蜀とは無関係の何者かの策略だと考えた。

 

「これ……なんかあるな……」

 

 

 

 

 

仮面ライダー×真・恋姫†無双 呉編  想いの継承者

 

 

 

 

 

 

それから数日後、一刀は街に出てその幽霊騒動の調査をはじめた。どうやら街の人達も同じようなものを見ているようだが、一刀はあることに気付いた。

 

「死んだ人を見ている人は多いけど……、複数じゃない」

 

その言葉の意味は死んだはずの家族の人を見る人は多いが、それは一人ずつと言う不可解なものであった。

 

「てことは何か……」

 

一刀が街をふらふらしていると、一刀の目の前に蓮華達が見た雪蓮らしき人物が現れる。

 

「雪蓮………」

「久しぶりね、一刀」

 

その雪蓮らしき人物は声をかけてきた。今まで死人が声をかけたという前例はなかった。

しかし一刀の前に現れた雪蓮は声をかけてきたのだ。

 

「ああ……と言いたいところだが、お前誰だ?」

「誰って、私は雪蓮よ」

「嘘をつくな」

 

一刀はキバットバット三世を手に持つ。

 

「お前が偽者だって事はわかってる」

「あら、私を疑うの?」

「悪いが俺は幽霊とか信じないんでな」

「ガブリ」

「変身」

 

一刀は仮面ライダーキバに変身した。

 

「お前の正体を暴いてやる!」

「あらあら、私が居ない内に随分荒れたのね」

 

そうすると雪蓮(?)は手に小さい何かを持つ。

 

「な、それは……」

「おいおい……」

「あの世から帰ってきたお土産よ」

「なんてものを……」

 

一刀とキバットは驚く。

 

雪蓮(?)が持っていたのはキバーラである。

 

「変身」

 

雪蓮(?)はその言葉と共に変身し、仮面ライダーキバーラに変身したのだ。

 

「手前……」

「一刀、あなたがどれだけ強くなったのか見せてもらうわよ」

「ここじゃ何だ……。場所を変えるぞ!」

 

キバが走り出して、キバーラがそれを追う。キバは街から自分達を離して、森の、それも川の上流部に連れて行った。

 

「てゃあ!」

「ふんっ!」

 

キバのパンチをキバーラは上手く受け止めて、キバーラサーベルでキバを斬りつける。

 

「うわっ!」

 

キバはなすすべなく斬りつけられる。今まではキバに変身した一刀と生身の雪蓮だったので、一刀の方が上だったが、雪蓮(?)が仮面ライダーに変身した事により、力が逆転した。

キバは攻撃しようとするもキバーラのサーベルで斬られ続ける。

 

「くそ! まずい」

「一刀、あなた本気でやる気あるの?」

「ああ、あるさ……」

「今のあなたじゃ、蓮華は任せられないわ」

 

するとキバーラはサーベルの力を溜める。

 

「悪いけど、死んでね」

 

サーベルから放たれたソニックスタッブがキバを襲い、キバはその時の爆発により川に流され、先にある滝から落ちた。

 

「うわぁぁぁぁああああああ!」

「………」

 

キバーラは変身を解く。

 

「じゃあね、一刀」

 

雪蓮(?)はその場から去った。

 

 

「一刀さん、遅いですね~」

 

一刀が出掛けてから一日が経ち、玉座の間では一刀が帰ってこないことを心配していた。

 

「蓮華様も居ませんね」

「蓮華様、いったいどちらに……」

 

実は蓮華は一刀が帰ってこない事に心配して、誰かに見られる前に一刀を探しに出て行ってしまったのだ。

 

「あらあら、蓮華もいないの?」

 

皆が聞き覚えのある声がする方に顔を向ける。そこに現れたの冥琳と蓮華、そして一刀が見た雪蓮である。

 

『雪蓮様!?』

「皆、元気にしてた?」

「雪蓮様! 本当に雪蓮様なのですか!?」

「本当に私よ。ところでだけどね……。私、死んでから考えたの」

「え?」

「雪蓮、それはどういう……」

 

すると雪蓮の後ろからなにやら人でも獣でもない人型の化け物が何体も出てきたのだ。

 

「え!?」

「雪蓮、これはどういうことだ!?」

 

冥琳は雪蓮(?)にどういう事か聞こうとするが、雪蓮(?)は何も言わずに玉座に座る。

 

「私がまた王に戻るだけよ。ただそれだけ……」

 

皆、雪蓮(?)の怖い雰囲気に従うしかなかった。

 

 

そんな事が呉の玉座の間で起こってから2時間後のことである。

滝から落ちて中流辺りにまで流された一刀。その一刀は今、陸に上がっている。

何故なら助けられたからだ。

 

「う、う~ん」

「一刀、大丈夫?」

 

一刀が気が付いて目を開ける。目を開けた先には蓮華とキバットが居た。

 

「蓮……華……」

「ようやく目を覚ましたようだな」

「大丈夫? 一刀」

「何とかな……」

 

一刀は何とか身体を起す。

 

「ここは……」

 

一刀は自分が居る場所を確認する。

そこは雪蓮と蓮華達の母、孫堅と雪蓮の墓がある川辺だった。

 

「蓮華、ここって…」

「ええ、私があなたを探してここを訪れた時、あなたが川で倒れていたのをキバットが引き上げているのを見て、私も引き上げるのを手伝って介抱したの」

「そうか……」

「でも一刀、どうしてあそこで倒れていたの?」

 

蓮華が一刀に事情を尋ねる。

 

「ああ、実は……」

 

一刀は自分が雪蓮らしき人物と戦った事を話して、その雪蓮は仮面ライダーに変身して自分はそれに負けて流されて来たのだと語った。

 

「そう……だったの……」

「雪蓮が仮面ライダーになれるはずがない。あれは人間じゃ変身できないものなんだ」

「人間じゃ変身出来ないって……」

「今まで黙ってたけど、俺は人間じゃないかもしれないんだ」

「それってどういう……」

「キバはファンガイア、ファイズはオルフェノクって言う怪人。つまりは人間じゃない存在じゃないと変身できないんだ。

キバの場合は人間が変身したら、変身し終えた直後に死ぬ。だが俺は何度やっても死ななかった。

でもそれだとおかしいんだ。クウガは人間じゃないと変身できない。いやあのクウガのベルト『アークル』は清い心を持った人間じゃないと付ける事さえできない」

「一刀……」

「だから俺は自分が何者かさえもわからないんだ!」

 

一刀は頭を抱えて塞ぎこむ。

 

「俺は……俺は……」

 

蓮華は塞ぎこむ一刀の頭を自分の胸に引き寄せる。

 

「蓮……華……」

「いいのよ、一刀……そんな事で悩まなくて……」

「そんな事……」

「そうなの、私にとっては……いえ、私達皆にとってそれは些細な事なの」

「些細な……」

「あなたが人間か、そうでないのかは関係ないの。あなたはあなたなんだから……」

「俺は俺……」

 

一刀はさっきから蓮華の言葉を復唱しているようにしか答えない。

 

「そう。そんなあなただから私は、あなたを好きになれたの」

「………」

「これからも……私の側に居て………」

「………ああ」

 

一刀はその場で涙を流す。

そして涙を拭いて蓮華と手をつないで雪蓮の墓の前に立つ。

 

「雪蓮……俺は、雪蓮との約束を守る」

 

一刀は思い出す。

雪蓮が刺客の放った毒矢により、命を奪われ、その命の灯火が消えようとした時、雪蓮とのやり取りを…。

あの時は、亞莎から呼び出しを貰って、すぐに雪蓮に元に向かったのだ。

 

 

「雪蓮!」

「お姉様!」

「遅いよ、二人とも!」

「すまない、小蓮。雪蓮は?」

「お姉ちゃん…一刀達が来たよ」

 

小蓮が雪蓮を呼ぶ。雪蓮は冥琳に抱きかかえられていた。

 

「待っていたわ、二人とも」

「悪い…具合は?」

「もう……そろそろ、かな。はは……母様の顔がちらついてるわ」

「もう喋るな!」

「そうは、ごほっ……いかないわよ……。蓮華……曹操は……?」

「はい……皆で力を合わせて追い払いましたよ」

「そう……これでひとまず安心ね……」

「ええ……だから姉様、約束通り、治療を受けてもらいますからね……?」

「ははっ、ごほっ……残念だけど、私、お医者さん、嫌いなのよね」

「知ってます。でも今日ばかりは私の言う事聞いてもらわないと……」

「相変わらず、真面目ね…ごほっ」

「姉様!?」

「だい、じょうぶ…それより、蓮華。一刀」

「何だ?」

「手を…」

 

雪蓮は蓮華と一刀の手を繋がせる。

 

「呉の未来は、あなたたち二人に掛かってる……。二人仲良く、協力しあって……呉の民を守っていきなさい……」

「はいっ!」

 

雪蓮は静かに目を閉じた。

 

「姉様!」

「お姉ちゃん!」

「めい……りん…」

「ここに居る。……どうした?」

 

雪蓮は再び目を開ける。

 

「シャオと二人をお願い…」

「分かっている」

「素っ気ないわね」

「性分だからな。……雪蓮」

「なに?」

「先に逝っておけ。…私もいつかそちらに逝く」

「うん…ずっとずっと……待ってる、からね」

「ええ。待っていなさい」

「うん……ゲホッ、ゲホッ! ぐっ……」

「姉様!」

「お姉ちゃん!」

「はは……もう…時間が無いみたい…」

「雪蓮!」

「一刀…楽しい……日々、だった、ね……」

「ああ…楽しかった! もっと楽しく笑いあっていたかったよ!」

「そうね……」

 

一刀は雪蓮との思い出を思い出す。

 

「さよ、なら……一刀。……蓮華を……頼むわよ。見守ってあげるから……」

 

雪蓮は目を閉じ、息を引き取った。

 

「しぇれーーーーーーーーーーーーーーーん!!」

 

 

その時の一刀は泣き叫んだ。そしてその約束を守ろうと言うのだ。

一刀は蓮華の手を強く握る。

 

「一刀……」

 

そんな時、突然後ろから何かが倒れる音が聞こえる。

二人は後ろを振り向く。そこにはボロボロになった明命がうつぶせに倒れていた。

 

「「明命!」」

 

二人が急いで明命の元に駆け寄る。

 

「明命、しっかりして!」

「脈とかは……大丈夫だけど、その怪我は……」

 

見たところ打撲以外の怪我は見当たらない。それでも少しばかりひどいものであった。

 

「明命、何があったんだ!?」

「実は……雪蓮様が……」

 

明命から事情を聞く二人。明命の話によると雪蓮らしき人物が玉座の間にやって来て、自分が再び呉の王になると宣言。

その後、呉の兵士達を皆、幽閉し、兵士達を見たことない怪人(話からして一刀はその怪人がゲルニュートだと気付く)と入れ替えて、そのことを将の皆に無理やり承諾させようとして、揉めて、その兵士達が祭達を押さえつけようとして、明命は思春の機転により、何とか一人だけ脱出できて、蓮華にその事を伝えに来たのだ。

 

「そうだったの……」

「あいつ……そんな事を……許さん!」

 

一刀は立ち上がって、明命を蓮華に任せようとする。

 

「蓮華、明命を頼む」

「一刀は?」

「俺はあの偽者と決着をつける」

「そう……一刀……気をつけてね」

「ああ!」

 

一刀は急いで城へと戻った。

 

 

一刀はゲルニュートの目をそらすためにあることをする。それは……。

 

「行け!」

 

一刀はファイズフォンでオートバジンを遠隔操作して、オートバジンをバトルモードにした。

そしてオートバジンから放たれる弾丸の嵐がゲルニュート達を襲う。

ゲルニュート達はオートバジンに完全に気を取られる。

 

「変身!」

 

一刀はクウガに変身し、ドラゴンフォームで屋根を飛び交い、オートバジンに敵を払いのけさせ、変身を解いて敵がいなくなった玉座の間の扉を思いっきり開ける。

 

「あら、一刀。生きてたのね」

「俺をその名で呼ぶな。偽者」

 

一刀の手にはキバットバット三世が握られていた。

 

「他の皆はどうした?」

「ちょっと他の部屋で寝ているだけよ。安心しなさい。死んではいないわよ」

「そうか……なら、決着を付けてやる」

「ええ、こちらもそのつもりよ」

 

雪蓮(?)は立ち上がっる。手にはキバーラがあった。

 

「「変身!」」

 

二人はその言葉とともにキバとキバーラに変身した。

そして二人は走り、正面からぶつかった。

 

「ふん、はあっ!」

 

キバの素手攻撃は一日前よりもキレがあり、その攻撃にキバーラは防戦一方であった。

 

「前より、キレがあるわね」

「当たり前だ。仮面ライダー舐めんなよ!」

「それは今の私も同じよ」

 

そう言うと、キバーラはサーベルを横にしていたのを縦にしてキバのパンチとキックをくらう。

しかしそれは考え合っての事。キバーラはキバの動きを捉えたとして、サーベルで斬り続ける。

キバはサーベルを受けるうちに後ろに吹き飛ぶ。

 

「ぐわあぁ!」

 

キバは後ろに吹き飛んで転がる。

 

「今度こそ、終わりにしてあげるわよ。一刀」

「どうかな……」

 

キバの腰にはキバットのベルトの上に、ファイズドライバーが巻かれていた。

 

「何!?」

「変身!」

「コンプリート」

 

既にファイズフォンの変身コマンドを入力していたため、すぐにドライバーに装着、キバの上からファイズに変身した。

一刀はアクセルメモリーをファイズフォンのプラットに挿入し、アクセルフォームにチェンジした。

 

「コンプリート」

 

ファイズアクセルフォームに姿を変え、すぐにファイズアクセルを起動させる。

 

「スタートアップ」

 

その音声によりファイズは高速を越える速さでキバーラを攻撃する。

 

「てゃあっ! どりゃぁ!」

 

ファイズアクセルのパンチとキックのラッシュがキバーラを襲い掛かる。

キバーラは防ぐすべなくただ殴られ、気が付くと自分の周りにはクリムゾンスマッシュの円錐状の赤い光のものが複数もあった。

 

「でゃああああああああああああ!!」

 

ファイズアクセルの多数のクリムゾンスマッシュがキバーラを襲いかかり、キバーラの身体を中心として爆発する。

 

「タイムアウト」「リフォメーション」

 

二つの音声と共にファイズはアクセルフォームから通常の状態に戻る。

ファイズが爆発したところを見る。そこからキバーラが転がってくるが、どうも様子がおかしかった。

 

「うん?」

 

キバーラの姿が映像が乱れるように乱れる。

 

「やっぱり……」

 

一刀の想像通りであった。キバーラの姿が乱れ終えると、そこに現れたのはカメレオンのような姿をした仮面ライダーであった。

 

「仮面ライダーベルデ。お前だったか……」

「……いつ気付いた……」

 

ベルデから発する声は男のものであった。

 

「最初っからだ。まあベルデのコピーベントかダミー・ドーパンドのどちらかまでは分からなかったけどな……」

「なるほど……」

「それに雪蓮はいつまでも俺達の心の中で生きてるんだ。お前のような偽者に騙せるかよ」

「そうか…」

「ただ……」

 

一刀は言葉を詰まらせる。

 

「コピーベントだとしても孫策に化けたきり使えないはずだが、何でキバーラのやつまで変身できた?」

「誰も一枚だけとは言って……ないぞ……」

 

その言葉を聞いて一刀はある事に気がついた。

 

「お前……バイザーはどこだ?」

 

そう、このベルデにはバイザーがなかったのだ。

ベルデのバイザー「バイオバイザー」が着いているのが普通だが、このベルデにはそのバイザーらしきものが見当たらないのだ。

 

「さあな……」

 

ベルデはアクセルクリムゾンスマッシュのダメージにより、爆発を起す。

しかしそのベルデの爆発と共に何か黒いものが浮き出てきた。

 

「あれは?」

 

その黒いものはどこかに飛んでいく。

 

「あれに何かありそうだな……」

 

一刀はファイズとキバの変身を解いて黒いものを追うためにそのまま行こうとする。一刀が玉座の間を出ると、そこには蓮華と明命がいた。

 

「蓮華……明命……」

「一刀……、行くの?」

「ああ、あの黒いのを追いかけないとまた同じ事が起こるかもしれないからな……」

「そう………一刀」

「何?」

「死なないで……」

「ああ、約束してやる。俺は死なない。生きて帰ってくるってな!」

 

一刀が蓮華の肩に手をやって、手を離すと走り出す。

 

「他の皆はどこかに監禁されてるみたいだから、助けといてね……」

 

一刀が去る様子をただ見ている蓮華。

 

「蓮華様……」

「一刀……約束よ」

 

 

一刀がオートバジンをビークルモードに戻してオートバジンに乗って、黒いものを追いかける。

そしてその黒いものが飛んでいった先はどこかの渓谷のようなところでそこにポツリと立ってある城に入っていった。

 

「ここか……」

 

一刀は見たこと無い場所なので、オートバジンを渓谷の入り口前に待機させ、一人で城の中に入っていった。

一刀がその城の玉座の間に行くと、そこには自分の身の丈よりもはるかに大きい椅子に座っている男が一人いた。その横にはバイオバイザーがあった。しかしその男の意識はないようだった。

しかしその男は黒いものが男の中に入っていくと、男は目を覚ますように一刀に対して話す。

 

「ここまで追ってきたか……」

「あの黒いのはお前の意識か?」

「そうだ……」

「お前、何者だ?」

「我が名は許貢」

「許貢……だと!?」

 

一刀はその名を何週間か前に聞いている。それは雪蓮を殺した刺客達が曹操に仕える前に仕えていた人間の名である。

しかしその刺客達は許貢が死んだために曹操のところに流れて、復讐のために雪蓮暗殺をしたのだ。

つまりは許貢が生きているはずが無いのだ。しかし目の前にいる男は許貢と名乗っている。

 

「お前が許貢だと…」

「そうだ」

「許貢は死んだ人間のはず……」

「それはお前達人間の思い込みだ」

「人間……という事はお前はもう人間じゃないと……」

「そうだ。我は人間を超える存在だ」

 

そこにキバットより少しだけ大きいコウモリが飛んでくる。

 

「それは……アークバット」

「そうだ。よく知ってるな」

「色々知識があるんでな……」

「流石は天の御遣いとされる仮面ライダーだな」

「お前……」

 

一刀達の周りの空気がさらにピリピリする。

 

「もしかして……貴様、そいつのお陰で生き返ったのか?」

「少し違うな。確かにこいつのお陰はある。こいつのお陰で本当なら死んでいた俺は死なずに済んだ。

そして私の部下は予想通り孫策を殺してくれた。まあ曹操に殺されるのは予想はしてなかったがな」

「お前か……」

「うん……」

「お前が孫策を……」

「ああ、私はあいつが嫌いだったのだよ。しかし私の体がこの力になじむのに時間が掛かる上に、少々面倒だったのでな……」

「許さん……」

「ふん、貴様如きに何が出来る?」

「お前を倒す事くらいは出来るさ。キバット!」

「よっしゃ!」

 

二人の腰にキバットとアークバットが装着される。

 

「「変身」」

 

一刀は仮面ライダーキバ、許貢は仮面ライダーアークに変身をした。

仮面ライダーアークは変身と同時に全長を伸ばす。その大きさはキバの大きさを一回りも二回りも大きい。

 

「ふん!」

 

アークが床を拳で叩き割り、二人は空いた床から地面にと落ちる。

 

 

キバは何とか受身を取るように着地。アークは何事も無いように地面に立つ。

 

「ふん!」

 

アークがその巨大な拳をキバに向けて振るう。キバはそれを避けるが、その避けた先にはアークの足があり、アークはキバを蹴り上げる。

 

「ぐわぁ!」

 

キバは蹴り上げられて壁に叩きつけられ、地面にひれ伏す。

 

「ふん!」

 

アークが再び拳をキバに振るう。キバはその攻撃をギリギリかわし、アークの股の下を潜り抜けて、アークの背中を蹴り上げながら、穴が開いてない地面の天井にぶら下がる。

アークがキバの方を振り向いた途端、キバはアークの顔に向かってパンチのラッシュを繰り出す。

しかしそのパンチのラッシュはアークにダメージを与えているのだが、強力な攻撃にはなっていなかった。

アークはキバに拳を振るい、キバはその攻撃を両手で防ぐ。

キバは攻撃により、天井から落とされ、後ろに吹き飛ばされる。

 

「ならば!」

「ウェイクアップ!」

 

キバが赤いウェイクアップフエッスルをキバットに差し込んで、右足の枷を解いて、ダークネスムーンブレイクと言うキバのライダーキックをアークに向けて当てようとするが、アークは足でそれを防いで、キバを弾く。

 

「くそ!」

「頼んだぜ、タッつぁん! タツロット!」

 

キバットにタツロットを呼ぶフエッスルをかませ、タツロットが飛んできて、キバの封印を解いて、キバはエンペラーフォームになる。

 

「それがどうした!?」

 

アークは自身の武器、アークトライデントという三叉槍を取り出し、キバに向けて振るうが、キバはそれを壁走りで避けていく。

キバを追うようにアークはアークトライデントを壁を壊しながら、振るが、キバは壁の途中で壁を蹴って、空中を後ろに回転しながら両足を前にしてキックを繰り出す。

 

「エンペラーーーーキーーーーック!!」

 

両足から繰り出されたライダーキックはアークを遥か後方に飛ばし、壁を粉砕し、洞窟みたいな場所から外に出て、渓谷の外の平原まで飛ばされる。

 

「おのれ……おのれ! おのれ!」

 

アークがある方向を見る。そこには昼間のはずなのに月が出ていた。

しかもその月は何やら邪悪な目が中心に張り付いて映し出されていた。

 

「まさか!」

「ウェイクアップ!」

 

アークバットに口に突然フエッスルが現れ、アークの胸の封印が解かれる。

 

「私に最後の力を!」

 

アークの胸の穴はブラックホールのようになっており、アークはその邪悪な目がある月を自分に近づける。月が近づいた事より、昼間の明るさが突然夜の暗さになる。

そしてその邪悪な目のものがアークの胸に入り込み、アークの背中からは蔦のような巨大な翼が広げられる。アークはレジェンドアークに強化したのだ。

その翼からさらに巨大な腕が二本出てきて、レジェンドアークはその巨大な腕でキバを襲う。

キバはその攻撃ギリギリかわす。

 

「ここじゃ、まずい!」

 

この場所は蓮華達のいるところからそこまで離れていない。

キバはまずいと判断してオートバジンに乗って、誰もいないところにアークをひきつけることにした。

 

「逃がさんぞ!」

 

アークは空を飛んで、キバを追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              THE NEXT EPISODE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダークディケイド司馬懿を追う、アギト一刀。

アギト一刀は司馬懿を追っている間に突然夜のような暗さになる事に不審がる。

 

「どういうことだ? 何で急に夜に?」

 

アギト一刀はその原因をマシントルネイダーで走りながら、辺りを見回す。

すると月が地球にかなり接近している事に気付く。

 

「何で月があんなに近くに……」

 

アギト一刀はこれが司馬懿のせいでは無いと言う事に気付いている。

そう考えていたら、その月の方角で、自分の近くにはでかく飛んでいる仮面ライダーを見る。

 

「あれは……!」

 

 

レジェンドアーク許貢を引きつけながら逃げる、キバ一刀。

 

「うん?」

 

オートバジンの音とそれを追うレジェンドアークの羽ばたきやレジェンドアークから繰り出される炎の爆発する音とは全く違う音。

その音はバイクが走る音である。

 

「オートバジンのバイクの音とは違うバイクの音……二台も聞こえる。それに一台は……近い!」

 

自分の走っている先に黒い仮面ライダーが黒いバイクに乗って走りすぎるのを見る。

 

「あの仮面ライダーは?」

 

キバ一刀が前の黒い仮面ライダーに気を取られていると後ろからレジェンドアークの放つ炎の弾が襲いかかる。

その炎の弾は自分達のギリギリ後ろに飛んで爆発した。

それはキバ一刀だけでなく、もう一人バイクに乗って自分の横に並んでいる仮面ライダーも避けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              二人の仮面ライダー、そして二人の北郷一刀は世界を超えて出会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は……キバ!」

「アギト!」

 

二人の一刀はバイクを走らせながら、それぞれの仮面ライダーに驚く。

 

「おいおい、次に会った俺はキバにも変身できるのか?」

「俺って事は……」

「ああ、予想してる通りだな。俺もお前も北郷一刀ってことだ」

「でも何で俺がもう一人……?」

「二人だけじゃないぞ。俺はさっき別の世界の俺を二人も会ったからな」

「別の世界……。平行世界か?」

「ああ、そうだ。お前は別の世界の俺ってことだ……」

「そうか……。で、お前は何でここに?」

「俺はダークディケイドを追って来たが……。お前、何かアークに追われてないか?」

「ああ……追われてると言うより引き付けてるだな。最初に居た場所だと他の皆を巻き込むからな……」

「そうか……だからあいつはお前と俺を狙っているのか」

 

二人の一刀が話している間にもアークはキバ一刀だけでなく、アギト一刀にも攻撃を加えていたのだ。

 

「さてと……俺は何となく嫌な予感がするのだけど……」

「何でだ?」

 

キバがアギトに聞く。

 

「俺は誰を追ってるって言った?」

「………あ!」

 

キバとアギトが後ろを振り向く。そこにはアークの所にバイクを飛ばしていたダークディケイド、司馬懿はレジェンドアークあることを企んでいた。

 

「何だ貴様!?」

「貴様、許貢だな。その身体と力をもらうぞ!」

 

司馬懿はあるカードを取り出し、黒いディケイドライバーに差し込む。

 

 

「ファイナルフォームライド、ディディディディケイド!」

 

その音声と共にダークディケイドはバイクから飛び降りる。それと同時にダークディケイドの体が巨大な黒いディケイドライバーに変化した。

 

「貴様! 何を!?」

 

レジェンドアークの許貢の腰に無理やり黒いディケイドライバーがメカバットの上に無理矢理張り付く。

 

「ぐぉおおおおおおおお!!」

 

空を飛んでいたレジェンドアークが黒いディケイドライバーが張り付いた途端に苦しむ出すように地面に落ちる。

 

「うおわっ!」

「おおっと!」

 

巨体が地面に落ちてきたので地面が揺れて二人の一刀は思わずバイクから落ちそうになる。

 

「とりあえず、降りた方が良いか」

「ああ……」

 

二人はバイクをとりあえず安全だろう場所に置いて、レジェンドアークに少し近づくが……。

 

「あれをやったって事は……」

「気をつけろ!」

 

レジェンドアークが立ち上がる。

レジェンドアークが立ち上がるとレジェンドアークの体は先ほどよりもさらに大きくなり、レジェンドアークの下から数枚のカードがレジェンドアークの体を回りながら上まで達する。

するとレジェンドアークの姿はダークディケイドのものに変化していた。

しかもそれはただのダークディケイドの変化ではない。その姿は仮面ライダーディケイドの強化フォームコンプリートフォームである。しかも激情態の顔のままである。

その姿はしいて言うな仮面ライダーダークディケイドコンプリートフォーム激情態ジャンボフォーメーションである。

 

「おい、あのディケイドの顔おかしいだろ!?」

「あれは激情態だ。全部のライダーの技が使えるから気をつけろ」

「技なんて使わなくても、あの大きさはかなりまずいだろ!」

 

キバ一刀がアギト一刀にツッコミを入れる。その間にもダークディケイドが一刀達に攻撃を仕掛ける。

 

「どうわぁっ!」

「うおっと!」

 

二人はダークディケイドのパンチをそれぞれ別方向に転がって避けた。

ダークディケイドは手を水平にしてそれを横に振る。

 

「「ぐわっ!」」

 

水平チョップまでは避けきれず、二人は攻撃を受けて後ろに吹き飛ぶ。

 

「とりあえず、どうにかしないと……」

「飛翔態になるのはいいがあの大きさ相手は……」

 

キバエンペラーは飛翔態と呼ばれる姿があり、巨大な敵を相手にするのに少々有効な手なのだが、アギトになれる一刀とではこの巨大なダークディケイドを倒すのは難しいと考える。

そんな時……!

 

 

突然汽笛が鳴り響く。

 

「この音は!?」

「あいつだ!」

 

二人がその汽笛の聞こえた空の方向を見る。

暗い空の一部が光の空間が現れ、そこから電車のレールが敷かれ、その敷かれたレールを走る電車、デンライナーがやって来た。

 

「デンライナーも来た!?」

「この世界に近い世界にあるデンライナー……あいつだ!」

 

アギト一刀にはそのデンライナーがある世界に覚えがあった。何故なら自分が助けに行った世界に在ったのだから……。

デンライナーがダークディケイドを攻撃し、ダークディケイドは思わず怯んで倒れる。

その隙を見てデンライナーが二人の一刀の前に下りて止まる。

そしてデンライナーの車両の扉が開き、そこから現れたのは……。

 

「俺、参上!」

 

デンライナーから現れたのは仮面ライダー電王ソードフォームであった。

しかもいつものモモタロスが決めるいつもの決め台詞とポーズを取る。

 

「電王って……お前、モモタロス?」

「いや違うぜ」

「こいつも俺だぞ」

「え!?」

 

アギト一刀の発言にキバ一刀に驚く。

 

「あれも俺?」

「ああ、俺はあいつの世界に行って、あいつを助けた事があるからな」

「事情は管輅って奴から聞いたぜ。それにあの時、俺を助けたのお前だってのも聞いたぜ」

 

電王一刀がデンライナーから降りて、アギト一刀に近寄る。

 

「ああ、そうだぜ」

「あの時の借りを返してやるよ」

「そいつは助かるな。この世界に来れたのも管輅のお陰か?」

「そうですよ」

 

するとそこに管輅が突然現れる。

 

「管輅……」

「この子が……」

「あの二人は?」

「大丈夫ですよ。二人ともあれを倒して無事に帰りました。それよりも司馬懿があの手段を使うとは思いませんでした。それに……まさか二つの世界が繋がるとは思いませんでした」

「二つの世界……?」

 

キバ一刀は何の話か少し分かっていない。

 

(あの様子だとまだ天下泰平までは行ってないんだな)

「申し訳ないですが、キバのあなたが知る事ではないです」

「そうか……」

「で、本来は繋がるはずなのない世界が繋がってるからやばいんだろ?」

「はい。このままでは両方の世界が崩壊して消滅します」

「なんだって!?」

 

キバ一刀が驚く。

 

「それを防ぐ方法は無いのか!?」

「その繋がる原因となった、司馬懿と許貢を倒してあの近づいている月を離すしかありません。

幸いにも司馬懿が許貢の体を乗っ取ってます。ですのであのダークディケイドを倒せば二つの世界の消滅は免れますが月の方は……」

「そうか……。なら問題ないな」

「じゃあ、さっさとやろうぜ」

「ああ!」

 

キバ一刀が左手に付いているタツロットのルーレットを何度も回す。そしてキバ飛翔態に変身する。

 

「さてと俺も行くぜ!」

 

電王一刀がケータロスを付けて、一気に型破りの超クライマックスフォームに変身する。その後すぐにデンライナーに乗り込む。

 

「俺も行くぞ!」

 

アギト一刀の呼び声と共にマシントルネイダーがアギト一刀の方に向かってきて、スライダーモードに変形する。

 

「ほっ!」

 

アギト一刀がマシントルネイダーに乗り、デンライナー、キバ飛翔態と共にダークディケイドに立ち向かう。

キバ飛翔態が口から炎を吐き、デンライナーの砲弾が発射、アギトはシャイニングカリバーでダークディケイドを傷つける。

ダークディケイドはデンライナーはともかくキバ飛翔態とアギトの的が小さいので、攻撃を当てようとしても中々当てられない。

三人の猛攻を受けているうちにダークディケイドはダメージを受けすぎてふらつき始める。

 

「舐めるな!」

 

ダークディケイドはあるカードを取り出し、ディケイドライバーに差し込む。

 

「アタックライド、オニビ」

 

鬼火の力で口から火を吹き、三人を自分から遠ざける。

 

「これで終わりだ」

 

ダークディケイドが新たなカードを取り出し、ディケイドライバーに差し込んだ。

 

「ファイナルアタックライド、ディディディディケイド!」

 

ディケイドの紋章が描かれた金色のカードの壁が何枚も現れてダークディケイドが跳んでいくのについていくように空に並ぶ。

 

「じゃあ、こっちも行くぜ!」

 

 

電王一刀がいつの間にかデンライナーの外に出ており、電王一刀がライダーパスをベルトに通す。

 

「フルチャージ」

 

フルチャージされたオーラエネルギーが電王一刀の右足に溜まっていく。

その横に飛翔態からエンペラーフォームに戻ったキバ一刀が降りて来て、タツロットのルーレットを回す。

 

「ウェイクアップ、フィーーーーーバーーーーーー!」

 

さらにその横にアギト一刀も降りて来て、力をため、ダークディケイドの方にその金色の壁以上の数のアギトの紋章を空に浮かばせる。

 

「はあああああああああああああああ!!」

「死ぬがいい! 北郷一刀!」

 

ダークディケイドジャンボコンプリートフォームのディメッションキックが三人の一刀目掛けて放たれる。

 

「ほっ!」

「はあっ!」

「でりゃあっ!」

 

三人が同時に前にジャンプして空中で一回転する。

 

「はあああああああああああああああああ!!!」

「でりゃあああああああああああああああ!!!」

「たあああああああああああああああああ!!!」

 

三人が上空から迫るダークディケイドに向かって三人の仮面ライダーのライダーキックをぶちかます。

ダークディケイドは金色の壁を全て突き破る直前に一刀達がアギトの紋章を全て突き破り、ダークディケイドの金色の壁を2枚ほど壊していき、ダークディケイドの蹴りにぶつける。

 

「ぬおあああああああああああああ!?!?!?」

 

ダークディケイドの体は巨体だが、そのディメッションキックの力は完全ではなく、完全な力以上のライダーキックをした三人の一刀のキックに押されていく。

 

「これが俺達の……俺達の超必殺技!」

「「「トリプルライダーーーーーーーーーーーキーーーーーーーーーーーック!!! (バーーーーーーーーーーーーーージョン!!!)」」」

 

叫びと共に三人のライダーキックは更に力を増して、ダークディケイドをキックの態勢のまま完全に押し出した。

 

「ぐおぉぉぉぉぉっぁぁあぁぁぁあああああああああ!!!!」

 

三人はそのままダークディケイドを押し出して、ダークディケイドはアークが近づけた月に叩きつけられ、月と共に押し出されていき、そのまま月と共に遥か彼方に飛んで行き、そして月のところで大爆発した。

月のダークディケイドが押し出された部分にはアギト、電王、キバの紋章がそれぞれクレーターとして刻み込まれた。

三人は宇宙に到達する直前にすでにダークディケイドから離れており、三人は地面に着地する。

 

「ふぅ~終わった~」

 

 

電王一刀が背を伸ばして、のびのびする。

 

「はい。司馬懿と許貢の脅威は完全に消えました」

 

管輅が三人の一刀のところにやってくる。

 

「直に二つの世界のつながりは無くなり、またそれぞれ一つの世界に戻ります。その前に……」

「ああ、俺か。本当は全然関係ないのにお前に連れてこられたからな。じゃあ帰りますか」

 

電王一刀はデンライナーに乗って、管輅の力を借りて自分の居た世界に帰っていった。

 

「さてと……」

 

アギト一刀は変身を解く。

 

「本当に俺だ」

 

キバ一刀も変身を解く。

 

「お前に一応言っておくぞ」

 

アギトだった一刀がキバであった一刀にアドバイスを送ろうとする。

 

「何?」

「この先、お前がこれから進む道になにがあっても、お前はお前が信じる道を進めば良い」

「………それが何か?」

「この言葉の意味をもう理解してるのか、それともまだ理解してないのかわからないが、俺が言えるのはそれだけだな」

「何でだ? お前は別の世界の俺なら……」

「別の世界の俺だからこそこれだけしか言えない。考えてみろ」

「……………」

 

キバであった一刀がその言葉の意味を考えていると……。

 

「一刀さん、そろそろ……」

 

電王の一刀を送り届けた管輅が戻って来て、アギトの一刀に話しかける。

 

「ああ、そうだな」

 

マシントルネイダーからブルースペイダーに戻ったバイクに乗ろうと一刀と管輅が乗り込もうとすると……。

 

「ちょっと待ってくれ!」

「何だ?」

「管輅って言ったよね。君」

「はい」

「俺がなんでキバやファイズ、クウガに変身できる理由を知ってるんじゃないのか?」

「それと俺が喋れなかったわけは?」

「………はい。知ってます」

 

管輅はキバ一刀とキバットに真実を話す。

 

「あなたにそれらの力を与えたのは私ですから……」

「なんだって!?」

「正確にはあなたをあの世界に送った私ですけどね…」

「どういうことだ?」

「私は色々な並行世界に干渉はある程度できますが、完全な干渉はこの人が居る世界にしか出来ません」

 

管輅がアギト一刀の方を見て言う。

 

「ですが、あなたが来た世界の私とこの私は記憶を共有できます。ですから、同一人物と言ってもあまりおかしくないでしょう」

「それで……俺になんでこの力を?」

「様々な世界のあなたが仮面ライダーの力を求めていたからです。

そこで私はあなたが行った世界に会う仮面ライダーとしてクウガ、ファイズ、キバの力を与えました。

ちなみにキバットは最初っから喋っていると何かしらゴタゴタが起きると思いまして…。

タツロットが来たら、喋れない封印を解けるようにしました。ちなみにタツロットも私が送りました」

「で、俺の場合は、アギト、ブレイド、カブトってことか……」

「それはわかったけど……俺は何者なんだ!? 人間でもオルフェノクでもファンガイアでもない俺は……」

 

キバ一刀がうつむくように言うと管輅は答えを与える。

 

「いいえ、あなたは人間ですよ。あの世界に送る直前に私があなたの体を……言っては悪いとは思いますが、改造人間みたいに改造しました……」

「じゃあ、俺は人間じゃ……」

「さっきも言ったようにあなたはただ仮面ライダーの力を使えるだけの普通の人間です。ファイズやキバ、クウガの力に耐えられるように遺伝子を少しいじっただけのただの人間です。それに………あなたはあなたです。それは二人の女性に言われているでしょう?」

「…………そうだったな。俺は人間だ!」

 

キバ一刀が何かを決心したかのようにすると……。

 

「一刀ーーーーーー!」

 

一刀を呼ぶ声が遠くから聞こえる。三人がその方を見ると、まだ遠くだが誰かが馬を走らせてこちらに来るのがわかる。

やって来ているのは蓮華であった。

 

「蓮華!」

(あれは孫権……俺が知ってるのと違って髪が短いな……。ということはこいつを拾ったのは孫策……。そしてこいつのあの時の悲しい目……。

なるほど……大体わかった)

 

アギトの一刀は自分がこのままいると絶対ややこしい事が起こると判断する。

 

「一刀さん、私達も戻らないと……」

「そうだな……」

 

アギトだった一刀がブルースペイダーを動かす。

 

「それじゃあな……」

「御機嫌よう」

 

管輅がキバだった一刀にお辞儀をする。

そしてアギト一刀がブルースペイダーを発進させて、その場を去る。キバだった一刀は二人が去る様子を見ていると管輅の力により、二人は姿を消した。

 

「帰ったか……」

「一刀!」

 

蓮華が馬から下りてキバ一刀に駆け寄る。

 

「蓮華……」

「一刀、さっきの二人は?」

「俺の………」

 

一刀は言葉を詰まらせるが、すぐに言葉を繋げる。

 

「俺の手助けをしてくれた人達だ……」

「そう……」

 

蓮華は笑うように納得する。

 

(じゃあな、別の世界の俺……)

 

 

 

仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010の主題歌『Stay the Ride Alive』が流れていると思ってください。

 

 

 

蓮華と一刀が馬とバイクを並べて一緒に帰ってくる。

しかも二人は嬉しそうな顔をしている。

その二人の様子を黙ってみる呉の重臣達。

 

「お姉ちゃん、今日は一刀を譲るね」

「北郷……今日だけだぞ」

 

二人の様子を見ている色々複雑な心を持つ小蓮と思春。

それから呉の重臣達は蓮華と一刀を心から迎える。

 

(雪蓮、俺はどんな困難が立ち塞がろうとも、俺は蓮華を守る。

約束もあるけど、そんなの関係なく守るよ)

 

一刀は呉の重臣達に囲まれながら、そう思った。

 

 

戦いから数日後経った魏の首都許昌で、夜で城の復興作業の現場にやって来て作業途中跡を見る一刀。そんな時に雪が降ってくる。

 

「雪か……」

「一刀……」

 

空から降ってくる雪を眺める一刀のところに華琳がやってくる。

 

「華琳……」

「空を眺めて何を考えてたの?」

「いや、少し前の戦いの事でな……」

「別の世界に居る一刀のこと?」

「ああ……」

 

一刀(華琳に拾われた方)は華琳に隠さずにこの前の戦いの経緯と結末を話したのだ。

 

「あいつは華琳とは違う奴……。多分、雪蓮に拾われたんだろうな」

「雪蓮にね……」

「あいつがこの先何を目指すかは分からない。だけど俺はそれで良いと思うんだ。世界には世界の進むべき道がある。

この世界は俺が来た事で色々変わった。ならあの世界も別の俺が来た事で変わったんだろうなって……。

だから俺は自分の信じる道を進めば良いって言っておいた」

「そう……一刀らしいわね」

「別の世界と言っても俺は俺だからな……。でもここに居る俺はいつまでも華琳と一緒に居るつもりだよ」

「一刀……」

 

二人はしばらくして抱き合う。互いの体温を感じあうくらいに……。

そして二人は互いの唇を重ね合わせた。

その二人の様子は上空の月が見ている。

 

 

 

その月にはアギト、電王、キバの紋章が刻み込まれていた。


 
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