No.118784

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 12話

虎子さん

キャラ崩壊があります。
お気をつけ下さい。

拙い文章ですが、よろしくお願いします。

2010-01-16 00:57:21 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:4787   閲覧ユーザー数:4027

~孫堅軍本陣 軍議用天幕~

 

豪臣と青蓮たちは孫堅軍に合流し、朔夜と思春以外は天幕に集まっていた。

 

「姓は紫堂、名は豪臣だ。字と真名は無い。あ、さっきの客将って言ったのは詭弁だから」

「「「・・・・・・」」」

別の天幕で、着替えを済ませた豪臣は自己紹介をした。

沈黙する面々。

しかし、青蓮は

「え?駄目なのですか?そのまま、我が軍に来てもらえると嬉しいのですが」

と、残念そうに言う。

「青蓮。まだ言っておるのか・・・」

祭は、溜息を吐く。

「え~!私は良いと思うわ!」

そんな祭の横で、ニヤニヤしながら雪蓮が言う。

祭が眉を顰める。

「策殿?・・・ずいぶんと態度が違いませぬか?」

「な~んかね。冷静になってみると、豪臣を取り入れるのも面白いかなーって!

 あ、豪臣って呼んでも良いでしょ?」

「あ、ああ・・・」

出会った時と、全く態度が違うので、豪臣は吃ってしまう。

「私は、孫策。字は伯符で真名は雪蓮よ。雪蓮って呼んでね!」

「分かったよ、雪蓮」

頷く豪臣。

「・・・ほお。真名まで教えるか」

雪蓮が真名を教えると、黙っていた冥琳が口を開く。

「雪蓮。それは、あなたの勘?」

「そうよ!」

笑顔で返す雪蓮。

「いいだろう。力は先程の戦いで見せてもらった。私も、雪蓮の勘に便乗してみよう」

冥琳は、フッ、と笑い、豪臣に向き直る。

「姓は周、名は瑜、字は公謹。そして、真名を冥琳と言う。よろしく頼むぞ、紫堂」

「いや~。よろしくされても、俺が困るんだが」

苦笑いする豪臣。

「俺は、青蓮から礼を受け取るためにやっただけだし」

「む!・・・礼とはなんじゃ?金か?」

礼という言葉に反応して、祭が聞いてくる。

「ああ。美味い飯を喰わせろ、だけど」

「「「・・・はぁ!?」」」

青蓮以外の皆が、間の抜けた声を上げる。

「お主・・・まさか、飯のためだけに戦っておったのか?」

「あん?悪いか?」

「「「・・・・・・」」」

真顔で返す豪臣に、面々はまた沈黙する。

そして

「ククククク・・・!良い!面白いやつじゃ!」

祭が顔と腹を押さえて笑い出す。

そんな様子に、豪臣は呆気に取られ、青蓮と雪蓮はニヤつき、冥琳は肩を下げた。

祭は

「うむ!お主のその眼とその言、気に入った!

 我が名は黄蓋。字は公覆。真名を祭と言う。先の非礼を詫びよう」

そう言って、軽く頭を下げ、そして、また笑った。

(まぁ・・・険悪な状況になるよりは良いか)

豪臣は、気にしてない、と笑顔を返した。

 

丁度自己紹介が終った時

「失礼します。甘寧です」

と、天幕の入口から声が掛る。

「入れ」

冥琳が答えると、思春が入って来た。その肩には朔夜が乗っている。

(ずっと乗ってるよな?何かあったんかな)

「我が軍の損害状況を報告します。死者が五千、重傷者が三千五百、軽傷者が三千五百。戦える者は八千です」

思春が淡々と報告する。

「そう。思春ちゃん、斥候からの報告はありましたか?」

「はい。蔡瑁軍の損害は死者、逃亡兵含め約一万。先の撤退後、城まで戻った様です」

「・・・蔡瑁って莫迦なの?」

報告を聞き、雪蓮は冥琳に尋ねる。

「莫迦なのだろうさ。まあ、現状では非常に助かるがな」

肩を竦めながら答える冥琳。

「そうじゃの。いくら損害が大きかったとはいえ、まだ倍の兵力が残っておるのじゃ。普通なら牽制のために、遠くへは行かんじゃろう」

「そうだな。で、いつ退却するんだ?」

「今、準備させています。もう、日が暮れます。闇と共に此処を去る予定です」

「そうか」

豪臣の問いに、青蓮が答える。

(さて、あのおっさんが、それを簡単に見逃してくれるか?)

報告などが続く中、豪臣が一人考えていた。

 

~孫堅軍本陣 陣の端~

 

日が落ち、会議が終了した後。

豪臣は、自分用に宛われた天幕ではなく、陣の隅っこで煙草を吹かしていた。

するとそこに、朔夜を乗せた思春がやった来た。

「此方に、居られましたか」

「ん。何かあったか?」

「朔夜殿をお連れしました」

「ああ、ありがとう。それにしても、朔夜殿って呼んでるんだ?」

(ただの虎に殿をつけるか?)

「はい。朔夜殿から紫堂殿の事については窺って居ります」

「なっ!朔夜、おま「うるさいですよ」・・・」

叱ろうとしたところで、朔夜に遮られる。

「あなたに言われたくありません。

確かに、あたしの不注意もありましたが、あなたの所為でもあるのです」

「はあ?」

豪臣は訳が分からなかった。

 

それから、豪臣と朔夜の問答が続いたとき

「あの・・・紫堂殿」

思春がおずおずと声を掛けてきた。

「ああ、悪い。無視してた訳じゃないんだけど。ハハ・・・

 あ、それと、敬語で話さなくて良いよ。肩が凝る」

「い、いえ、しかし・・・///」

先程から眼を合わさなかった思春が顔を上げ、豪臣と眼が合う。

「頼む」

そんな思春に、豪臣は眼を見詰めたままお願いする。

「わ、わかりま・・・わかった///」

「ん。ありがと」

「//////」

豪臣の笑顔に、思春は赤面し、豪臣は首を傾げる。

「風邪かな?なんて思っていたら噛み殺しますよ」

豪臣の肩に乗りながら、朔夜が呟く。

「ハハ。お、思ってません・・・よ?」

「・・・?」

顔を引きつらせる豪臣の様子に、今度は思春が首を傾げる。

「い、いや!何でも無い!え~と・・・ほら、此処に座りなよ」

豪臣は弁解しながら隣を勧める。

「い、いや、しかし///」

「嫌か?」

ブンブン、と否定する思春は

「し、失礼し・・・する///」

そう言って、豪臣の隣に座った。正座で。

豪臣は、隣で真っ赤になり、チラチラ見てくる思春を見て。

(面白くて可愛い子だな)

と、思春を観察しながら煙草を楽しんだ。

 

煙草を吸い終わり、三日月に溜まった灰を捨てていると一人の兵が走って来た。

「甘寧様。紫堂様。急ぎ、軍議用の天幕にお戻り下さい。孫堅様が至急伝えたいことがあると」

二人は顔を見合わせ

「「わかった」」

と、天幕に急いだ。

 

~孫堅軍本陣 軍議用天幕~

 

「失礼します」

「入るぞ」

二人が天幕に入ると、もう青蓮たちは揃っていた。

「ほぉ。紫堂と共に居ったのか。やるのぅ」

ニヤついて、思春に話しかける祭。

「な!やるとは何だ!やるとは///!」

「分かっておるぞ。なぁに、女として良い男の傍に居たいと思うことは当然じゃ」

「貴殿が私の何を///!「興覇、そこまでだ」・・・」

冥琳の声が二人を止める。

「黄蓋殿もです。今から軍議を行うのです。そんなことは後日、暇なときにでもして下さい」

「仕方ないのぅ。・・・して、何の用じゃ?」

祭は青蓮を見る。

「劉表軍が動いたわ。夜明けには此処に着くそうです」

「「「!!!」」」

「そして、敵兵数は二万。敵将は黄祖、副将は呂公だそうです」

青蓮の言葉に驚く面々。

そんな中、豪臣は思う。

(やっぱりか・・・あのおっさんが、こんなチャンスを逃すはずがない)

そう思っていると、青蓮は冥琳を見る。

「冥琳ちゃん。意見を聞かせてくれますか?」

「はい。敵は我々の予想よりも、かなり早い段階で軍を動かしました。

 そして、このままでは、今すぐ退却しても追いつかれます。誰かが残って殿(しんがり)を務めなくてはなりません」

「そう・・・私が動ければ良かったのですけど」

青蓮は申し訳無さそうに言う。

「何を言う。お主が万全の状態でも、殿など儂がさせん」

「そうよ、母様。母様を失ったら、孫家が潰れちゃうわ」

青蓮を慰めようとする祭と雪蓮。

 

そんな中、声を上げる者が居た。

「私が残ります」

思春だった。

 

「思春ちゃん?」

「文台様。殿を、この甘興覇にお命じ下さい。黄祖を、必ず止めてみせます」

そう言って、思春は臣下の礼を取る。

そんな、思春の態度を見た青蓮は頷く。

「・・・そう。なら甘ね「待った」・・・豪臣さん?」

「残るのは俺だけだ」

「「「「「!!!」」」」」

豪臣は、青蓮が命を下す前にそう言った。

すると、思春が慌てて声を掛けてくる。

「紫堂殿!何を考えて居られる!二万を相手に、たった一人で残るおつもりですか!?」

「甘寧。敬語敬語。さっき言っただろ?」

「話を逸らさないで頂きたい!死ぬおつもりですか!」

のほほんと答える豪臣の態度が気に入らなかったのか、怒鳴ってくる。

「ホントよ。豪臣。あなた死ぬ気?」

雪蓮も、信じられない、と聞いてくる。

「いーや。死ぬ気なんて、さらさら無いよ」

「何か、策があるのか?」

今度は冥琳が聞く。

「あ~。策って言うのかな?あのおっさんの性格を考えると、上手くいく確率は高いと思っている。別に一人でないといけない、って訳でも無い。ただ、少ない方が遣り易いことだ」

豪臣は、簡単な用事をやるだけ、といった感じで答える。

皆が沈黙する中、青蓮が口を開く。

「絶対に生きて帰って来れますか?」

「ああ。絶対だ」

ニッ、と笑う豪臣。

「母様。ここまで言ってるんだから、許可してみたら?」

「・・・そうじゃの。紫堂の実力は、策殿との戦いで見せてもらったしの」

賛同する雪蓮と祭。

青蓮は、冥琳を見る。冥琳は、頷いた。

「分かったわ。じゃ「お待ちください」・・・今度は思春ちゃん?」

青蓮は苦笑して、思春を見る。

「もう、紫堂殿が残ることには反対しません。ただ・・・」

「ただ?」

思春は一度眼を閉じ、そして青蓮の眼を見据えながら言った。

 

「私も残ります」

 

「私も残ります」

思春がそう言った後、青蓮以外は猛反対した。

残るということは、豪臣と思春の二人だけ、ということになる。豪臣の常人離れした力は皆知っているが、思春は違う。猛将ではあるが、豪臣の様に崖から飛び降りて無傷などというふざけた体では無い。

しかし

「絶対に残ります」

周りの者には眼を向けず、青蓮だけを見据えながら言った。

青蓮は、ハァ、と大きな溜息を吐き、豪臣に問う。

「豪臣さん。こう言ってますが・・・邪魔ですか?」

「はぁ?残すつもりか?」

豪臣は、呆れ顔で言う。

「本人が、こうも頑なな状態ですから・・・」

青蓮は申し訳なさそうに

「お願いします」

頭を下げた。

頭を下げられた豪臣は、頭を何度か掻き

「わかったよ。好きにしろ」

豪臣は、そう答えた。

そして、思春に向き直り、眼を見据えて言う。

「ただし、俺の指示には従ってもらうぞ」

思春は

「ぎょ、御意///」

赤面しながら答えた。

 

そんな様子を見ていた雪蓮が、祭に小声で話しかける。

「ねえ。思春って、あんなに女の子だったっけ?」

「じゃから、さっき儂が言ったじゃろぅ。女じゃと」

祭は、呆れ顔で答える。

「フフ。強敵ね」

横から冥琳が声を掛けてくる。

「ふん!私だって負けないわ!帰ってきたら・・・・・・」

小声で、今後の作戦を考える雪蓮。

それを見る祭と冥琳は、揃って肩を竦めた。

 

~山の麓~

 

【視点・思春】

どうしても、豪臣様を一人で残せなかった私は、陣の跡地に立っていた。

文台様たちが退却し、残されたのは、私と豪臣様、そして朔夜殿だけだ。

軍が見えなくなると、豪臣様はその場に座った。

辺りは暗く、灯りは月の光だけだ。

「甘寧も座れよ」

腰帯に挿してあった鉄の棒を抜きながら勧められた。

私が座ると

「なぁ?何で正座なんだ?」

と、豪臣様が聞いてきた。

「い、いえ。いつもそうです「敬語」・・・そうしている///」

「そっか」

私は、そう答えるしかなかった。

いつもは胡坐を搔くが、この方の前では、その恰好を見せたくなかった。

豪臣様は火種を棒の先に当てる。すると、煙が出てきた。

私は、不思議に思い尋ねることにした。

「紫堂殿。それは何だ?」

「ん?・・・ああ、煙管っていってな。タバコって草を燃やして煙を吸う道具だ」

「煙を?香の様なものか?」

「ん~・・・まぁ、心を落ち着かせる面では同じかな。体には悪いけど」

「?・・・体に悪いものを吸うのか?」

私がそう聞くと、豪臣様は苦笑いをした。

「ま、気にすんな。それよりも、だ」

「はい」

「戦のゴタゴタで忘れてたが・・・俺たちって、ちゃんと自己紹介してないよな?」

「あ・・・」

そう言えばそうだ。互いに名を知っていたため忘れていた。

私は、恥ずかしくなり赤面してしまう。

「勘違いじゃなかったな。じゃ、俺から。知ってるとは思うけど、紫堂豪臣だ。悪いが真名は無い」

「私の姓は甘、名は寧、字は興覇。真名を思春と言う。し、思春と呼んでくれ///」

何故か、噛んでしまう私。

「ん。よろしくな、思春」

そう言って、豪臣様は右手を差し出してきた。

(真名を呼んで頂けた・・・///)

「握手な」

真名を呼ばれて呆けていた私は、そう言われ、両手で豪臣の手を握った。

「よろしく・・・ひ、紫堂殿///」

名で呼ぶことが恥ずかしかった私は、姓で呼んでいた。

 

握った彼の手は、大きくて硬かった。

私は、いっそう顔が熱く感じた。

(本当に、私はどうしてしまったんだ///)

【視点・終】

 

【視点・豪臣】

俺は、手を握った後で気がついた。

思春は俺のことを苗字で呼んだ。しかも、敬称付きで。

「なぁ、思春」

「は、はい///」

「豪臣って呼んでくれないか?」

「///!!」

何故か、思春が驚いている。

「な、何故だ?周瑜殿や黄蓋殿は、紫堂と呼んでいる///」

(そう言えば、何でだろう・・・)

「思春には、そう呼んで欲しかっただけだよ」

「なっ///!!」

何故か、また驚き、そして俯く思春。

「それ、殺し文句ですよ、天然記念物」

肩に乗る朔夜が、俺の耳に囁く。

(殺し文句?どこがだ?)

心の中で首を捻っていると、思春が顔を上げた。

(何か、決意が漲ってる感じの眼だな)

「そ、その///・・・では、ひ、ひで・・・豪臣、様///」

「・・・・・・へ?」

ポカン、としてしまった。

(え?今、“様”って言った?俺のこと?何で?)

いきなりの“様”発言に、俺は、一瞬混乱してしまった。

「え~と・・・何で“様”///?」

「い、いけませんか///?後、出来れば敬語を使わせて、い、頂きたい///」

そう言って、頬を染め、上目遣いでお願いしてくる。

(いや、待て!何かデジャヴを感じるぞ、デジャヴューを///!

上目遣いでお願いって反則罰金もんだろ!審判、笛を吹け!笛を!

てか、可愛過ぎだ!何かメチャ可愛いぞ///!)

「い、いや・・・ヨロシクオネガイシマス///」

そう言って頭を下げる俺。

(何が、ヨロシクなんだぁぁ///!!)

俺は、頭を抱えたくなった。

【視点・終】

 

【視点・朔夜】

 

 

 

 

 

 

(そろそろ、殺していいですか?)

 

 

 

 

 

 

【視点・終】

 

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

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何か、順調過ぎて恐いです。でも、嬉しいです!

 

さて、作品の話ですが・・・

最近、心配事があるんです。

それは、これ以上、思春をデレさせると、豪臣が青蓮たちとチョメチョメな関係になった時にヤン化してしまう気が・・・後ろからグサ、とか・・・ねぇ?

ちなみに、朔夜の最後の台詞は、朔夜の“今”の気持ですよ?

 

まぁ、心配事は置いときましょう。コメント読ませて頂きました。読ませて頂くと、朔夜人化計画の推進派が多いようです。多分に考慮させて頂きます。

 

次回投稿は、早ければ18日。遅くとも19日終了までにと予定しています。

短いかも?しれません。

 

作品への要望・指摘・質問と共に、誤字脱字等ありましたら、どんどんコメント下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りにご登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 

 


 
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