No.118454

ショタ一刀のお祭巡り『いざ参らん、戦場へ』

MiTiさん

皆さんお待たせ?しました。
ショタ一刀シリーズの隠密&パワフルチビッ子トリオの話です。
弓兵、軍師達の話を完結させてから書けよという意見は無視させていただきます!
スマソン…

続きを表示

2010-01-14 01:28:53 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:8796   閲覧ユーザー数:6913

「それじゃぁね、これ!」

 

一刀が指名したのは…

シンボルマークなのか、某クラクションの鳴き声のダチョウが走った跡に出来た線の上に、

【超距離障害物競走】と書かれた項目。

 

その競技に参加しない者達は、一刀の希望であってもやはり納得はできず、

最後の抵抗にと一刀に説得に掛かろうとする。が…

 

それよりも早く、振り上げられた一刀の指の行き先をいち早く察知し、

一刀が指し示したのと同時に動く少女がいた。

 

「では、一刀くん。行きましょう!直ぐ行きましょう!今この瞬間に行きましょう!!」

 

と、いつの間に移動していたのか、一刀の直ぐ傍らに明命が立っていた。

 

他が声を掛ける間もなく、一刀が返事する間もなく、明命は一刀を抱き抱えると、

目にも留められぬ速さで移動し外に出た。窓から…

 

一部を除いて、他の者には突然一刀の姿が消えてしまったように思えたが、

 

「ミンメイお姉ちゃんスゴーイ!かべを走ってるーー……」

 

と、外から一刀の感嘆の声が聞こえて、慌てて窓から身を乗り出してみると、

一刀を抱えながら、垂直壁走りで壁を下りる明命の後姿が。

 

「全く、先走りおって…」

 

と、自分にも出来るとばかりに思春も窓から飛び出し、垂直壁走り。

 

「…っは!鈴々も競争に出るのだった!」

 

「ボクたちも急ごう、流琉!」

 

「うん!」

 

そして、その場に残っていた競争参加者も、思春が飛び出したのを見て我に帰り、

慌ててその場を後にする。

 

後には、あっという間すぎてもはや何も言うことができなかった面々が残されていた…

 

 

今回の話では、他とは違い5人と一緒に祭を回る話ではありません。

というのも、障害物競走がこことは別のかなり離れた場所で行われるのです。

なので、今回は、その道中の出来事の話になります。

 

 

『K A L』

 

一刀を連れ、競争参加者の5人はとある発着場に来ていた。

 

競争は街からかなり離れた場所で行われるために、

大体の参加者は前日から開催場所に移動している。

が、各々の事情により行けなかった者も出てくる。5人もそれに含まれる。

 

そういった人たちの為に、とある乗り物を手配されていた。

 

「「「おっきい(のだ、ね)!」」」

 

「噂には聞いていたが…聞くと見るとでは全く違うな…」

 

「そうですね~」

 

三国同盟が結ばれてから、存在については自然と耳に入ることはあっても、

実際に見るものはそれほど多くない。蜀に多々訪れる者くらいだ。

 

6人の目の前にいるのは数匹の象。

南蛮勢に紹介してもらい、何頭か連れてこれないかと頼んだ所、

その家族である美似達は快く了承してくれた。

 

この象は戦闘、物資運搬などの力仕事、その他多くのことに協力してくれている。

餌代、飼育管理代にちょっと金が掛かるが、象達がもたらす利益はそれを遥かに上回る。

 

そして、今回の移動にも象達が働いてくれる。

 

さて…普通象達で多人数を移動と言うならば、

象の背に人を乗せる、あるいは、乗客席を設けた車を象に引いてもらう、

と、大多数の人は考えるでしょう。

 

だが違う!

 

現代人ほどの象に関する知識を持つ者が、

目の前にいる象を見たら誰もが普通の象とちょっと違う点に直ぐに気がつくことがある。

それは…

 

「このゾウさん、お耳がすっごくおおきいね~」

 

この中で、本物の象に関する知識を持つ一刀が真っ先に指摘した点。

そう…その象達は…耳がデカイのだ。

どれ程かというと…身体:耳=1:3の割合。しかもそれが両耳。

 

この象達、美似によると…

昔生まれたての子象がくしゃみをした所、何故か耳が巨大化してしまい、

その耳が縮むことなく成長し、更にその象から生まれた象も同じように耳が大きくなったのだという。

更に驚くべきことに、この象は…飛べるのだ。

どういった骨格をしているのかは不明だが、その巨大な耳を、まるで鳥の翼のように羽ばたかせて。

 

数頭の空飛ぶ象による航空便、題して”Koihime Air Line”!!

まぁ、実際の名前は違うんですがあえてこの名前で…

正式名所は残念ながら決まっていません。スマソン…

 

 

やがて出発時間が来て、

6人とその他多数の客を乗せた新幹線の1車両程の大きさの客席車が、

一糸乱れぬ動きで耳を羽ばたかせながら走り出す象に引かれ、

ついに大空に向けて飛び立った!

 

 

『初めての空』

 

この世界に飛行機なんてものがあるはずもなく、

搭乗者は誰もが飛行初体験だ。

初めての空を飛ぶ体験に、客の反応は、

 

①周りに何も無い、眼下に広がる広大な大地、そんな空の光景にはしゃぐ者。

②↑の光景に、逆に怖がり怯える者。

③慣れない感覚に体調を崩す者。

④競争に備えて寝る者。

 

大きく分けると、この4タイプに分かれる。

 

そして、6人の反応はというと…

少々意外かと思われるが、

 

①一刀、鈴々、季衣、流琉

②明命

③思春

 

だった…

 

では、その様子を御覧いただきましょう。

 

 

『無邪気な者達』

 

まずは①の反応を見せる年少組。

 

そのはしゃぎっぷりは半端無く、他者の視線など何処吹く風。

 

「お~!見るのだ!あんなにたくさんの鳥が凄く近くに見えるのだ!」

「どこどこ!?」「ほんとだー!」「飛ぶ姿ってこんなんだったんだ~」

 

外を見て誰かが何かを発見すれば、自分も見ようとそこに駆け寄り、

 

「見て見てー!あれって街の近くにあった泉だよね?すごーい、ここからだと水溜りみたいだ」

「おー!」「本当に水溜りみたいなのだ!」「あれって結構大きかったと思うんだけどね」

 

空からでしか見られない光景を見つけては、他の客を押しのけて窓から身を乗り出し、

 

「あ、あれは!確か試作の限定品天界のお菓子”火照徒乳風(ポテトチップ)”!こんな所で売ってるなんて!?」

「ポテチ!?」「お兄ちゃんが考えたやつなのだ!」「ボクも食べる!流琉、買って食べてみよう!」

 

機内販売で珍しいモノを見ては、我先にと飛びつき、

 

「アイムキングオブザワールド!」

「「「ホーホホーウ!!」」」

 

甲板の先端に立ち両手を広げて前から吹く風を一身に受け、

それを危ないと指摘し止めるどころか、自分達も同じことをしだす。

 

他にも①の反応を見せるものは入るのだが、

4人ほど幼い者はここにはおらず、

皆自分の席で座りながら外の光景を楽しんでいる。

 

時折自分達の前を遮ってまで乗り出されることもあるのだが、

皆「無邪気だなぁ」や「若いねぇ」などと微笑ましく思い、

止めるつもりは無い。

 

流石に象に飛び移ろうとしたときは全員でもって止めたが…

 

 

『空の高所は呉の隠密をおびえさせる』

 

①の反応を見せる一刀達を抑えたほうがいいのではと思いつつも、

中々に止めに出ることが出来ないものがいた。

 

それは、②の反応を見せる明命だった。

 

隠密である明命は、壁・床・天上・屋根の上と、

あらゆる場所に隠れ潜み情報を得、

時には静かに音も無く敵を屠る。

 

ここで重要となるのは前者、あらゆる場所を行き来する点。

恐らく、明命(と思春)は他のものよりも高い位置をとって行動する。

だが、どれだけ高くとも、彼女にとっては問題の無い高さ。

受身を取るのも衝撃を殺すのも問題ない。

 

離陸から暫くは、①の者と同様、明命もはしゃいでいたのだが、

結構な高さまで上ったときに、ふと下を見てみると…

 

自分は助からない高さにいた。落ちたら死ぬこと確定な空に…

 

人は失敗から多くを学ぶといわれる。

明命も例に漏れず、あらゆる場所への移動術は幾重にも失敗し怪我をして学んだ。

故に、高さに対する危機感を誰よりも味わっているのだ。

 

てなわけで、なるべく外を見まいと、外に近付きまいとなるべく真ん中に位置する席で縮こまっていた。

到着するまでここで大人しくしていようと思う明命。だが…そうは行かせてくれなかった…

 

「ねぇねぇミンメイお姉ちゃん」

 

「はぅあ!なななんですか一刀くん!?」

 

ガチガチになっていた明命に一刀が声を掛けてくる。

 

「あのね、とって欲しいのがあるの…」

 

「えっと、それは鈴々さんや季衣さん、琉流さんでは無理なんですか?」

 

「うん、ダメだって。ミンメイお姉ちゃんなら大丈夫かもって言ってた」

 

「そ、そうですか…わかりました。何をとって欲しいんですか?」

 

「ひこうき!」

 

「ひこうき?」

 

「うん、お店でねひこうきのおもちゃがおいてあってね。

 つくって飛ばしてあそんでたんだ!」

 

「ふむふむ」

 

「そうしたらね…トンで行っちゃったの…」

 

「なるほど。それで、何処に飛んでいちゃったんですか?」

 

「この下」

 

「………………………………………え?」

 

二階建ての客室の、今明命がいるのは一階。

倉庫としての部屋は後ろのほうに固められているので、この下に階は無いはずだ。

となると残るは…

 

「…もしかして…外の下ですか…?」

 

「うん!」

 

一刀の満面の笑みと共に返された返答に明命は固まった。

何故そうなったかと言うと…

 ①売店で飛行機の模型が置いてあり作って遊んでいた

 ②飛ばして遊んでいると、勢い余って外に飛んでいってしまった

 ③慌てて周囲を探してみると、誰も空に飛行機のおもちゃを見つけられなかった

※④無くなったなら仕方ないと思ったが、一刀がポイ捨てはダメだと主張

 ⑤何処に消えたのか?客室の下に引っかかったのだと推測

 ⑥餅は餅屋、明命に頼もう

と言う感じだ。

 

無理です!!と拒否しようとしたが、視線を上げると、

そこには一刀が期待に眼を輝かせて明命を見ていた。

そして、周りを見てみると、いつの間にか年少組みに四方を囲まれていた。

 

この視線に抗えられることができず、明命は泣く泣く飛行機を取りに行った。

 

 

結果的に空の高所に対する恐怖を克服出来たとさ…

 

 

『水の上では…空の上では…』

 

さて、最後に見せますのは③の反応、体調を悪くしてしまった人、思春。

 

体調を悪くした原因は、簡単に言ってしまうと体質の問題です。

よくいますよね?バスに酔わないけど車に酔う人とか…

それと似たようなもので、普段船に乗りなれている思春は、

初めての空の感覚に不覚にも体調を崩してしまったのでした。

 

そして今、体調不良の彼女は、一階の奥のほうの寝台で寝ている。

二階建ての寝台で、一段目は他の者が使っていたため思春は二段目。

 

出発してから十数分で体調が悪くなり、更に数十分経った今は、

額に濡れた手拭を当てて休んでいる。

 

と、暫くそうしていると、思春は何やら視線を感じ、

そちらを見てみると…一刀が覗き込んでいた。

 

「…どうした?」

 

「シシュンお姉ちゃん、だいじょうぶ?」

 

一刀は鼻より上だけを見せながら問いかけてくる。

因みに今の一刀、寝台の手すりに手だけでぶら下がっている状態です。

そのせいか、顔や手がピクピクしています。

 

「かなり休んだから、今は大分ましになった。

 …それよりも、その体勢はきついだろう?

 私の心配はいいから早く降りろ」

 

「は~い~」

 

そう言いながら、一刀は頭を引っ込める。

鼻、眉間、額、頭部とだんだんと見えなくなり、ついに手が放され、

 

ツル、ドテ「わあぁ!?」

 

思春の見えないところですべる音とこける音が聞こえた。

 

「一刀っ!?」

 

布団を跳ね除け寝台から飛び降りると、

そこには前半身をびったりと床につけている一刀がいた。

 

抱き起こし自分のほうに向かせてみると、

一刀は鼻を赤くしていた。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「む~…おはながいたい…」

 

「…まぁ、この程度の高さと言えど受身も取らずにぶつけたのだからな」

 

「そういえば、お姉ちゃんは大丈夫なの?」

 

「なにがだ…」

 

「ねてなくて大丈夫?きもちわるくない?」

 

大丈夫だと言おうとして…指摘されて改めて体調の悪さ、

具体的に言うと酔いが覚めていない状態で、

軽くではあるが、頭を揺れ動かしてしまったためによる僅度のめまいを感じる。

 

そして、その一瞬の間を、未だ感知しておらず、むしろ悪化してしまったのでは、

と、解釈した一刀は再び思春を寝台に寝かせようとする。

 

断ろうとし立とうとするが、僅かに立ちくらみを起してしまい、

それを一刀は逃がさず問答無用で寝台に押しやった。

 

幸い、先ほどまで使っていた客がいなくなったので、

下の段の寝台で寝ることになった。で、寝ようとするんだが…

中々寝付けずにいた。真横で凝視してくる一刀によって…

 

「あ~、一刀…そんなに見つめられては寝られないのだが…」

 

「ダ~メ。お姉ちゃん、さっきむりしてうそついてたでしょ?

 そんなお姉ちゃんはボクが見てるの!」

 

と、逆らいがたい迫力をもって返された。

 

こうなっては、もう何を言っても引かないだろうと判断した思春は…無理やり寝ることに。

軽くではあるが酔っていたのが幸いし、寝入ることが出来た。

 

十数分後…

 

思春は身動きが取れずにいた。

 

「…何故…いつのまにこのような状況になっているのだ…?」

 

憮然としながらも、その顔は僅かに赤みを帯びている。

何故か…一刀が抱きついて寝ているからだ。

 

途中までは寝台の真横で座っていた一刀だったが、

ずっと同じ状態でいたために、いつしか眠くなってしまい、

目の前にある寝られる場所で寝てしまったのだ。

 

とにかくこの状況、思春は、ここで起してしまっては可哀想だと言い訳をつけ、

本心はもう少しこの状況、抱きつく一刀を堪能しようと決め、自分も寝るのだった。

 

数分後、明命にその光景を見られてしまい…起せなかったと言い訳するのだった。

顔を赤くしたまま…

 

 

『飛んでいるんじゃない…落ちているんだ…』

 

「お客様に申し上げます。当機はこれより目的地上空を通過後、

 旋回を繰り返し着陸いたします。そこで…

 一足先に降りたいという方の為に、ぱらしゅうとを用意しています」

 

客は乗務員の、スカイダイビングとパラシュートの説明に耳を傾ける。

ちゃんと使えば問題は無いといわれるが、

やはり単身生身で空に躍り出ると言うのは誰もが恐怖心を抱き、

希望者は中々出れ来なかった。

 

「そして、これに挑戦した人全員には挑戦賞として、

 天界料理店での最高級料理の優先食事券、

 上手く指定目標地点に着地できましたら金一封を差し上げます!」

 

その言葉に何人かが悩んだ。

天界料理店というのは、一刀の世界の料理を、

三国の料理が得意な将達が総力を結集し再現した料理を揃え、

人気は言わずもがな、予約でさえ一ヶ月先まで一杯な状態なのだ。

それが予約なしで行けるとなれば相当のものだろう。

 

が、いかに商品が魅力的であっても恐怖は拭えず、挑戦者は中々出ない。

 

その中で、一人だけやる気満々な者がいた。

 

「ボクやるー!」

 

一刀だ。乗客の中で唯一スカイダイビングの知識(イメージだけだが)を持ち、

それが出来ると思い、期待に瞳を輝かせている。

 

一刀が参加するとなれば他の5人も参加しないわけには行かなかった。

 

最終的に一刀達6人以外に挑戦者は、残念ながら出なかった。

 

 

6人は、それぞれ大人用・子供用・幼児用のパラシュートを背負い、

使い方の説明を聞き、何度も確認を行う。

 

やがて目的地上空に差し掛かり、その時がやってきた。

 

何も無い空、遥か下方の大地を見たところで5人が躊躇する中、

一刀だけは嬉々として出口に立つ。そして…

 

「スゥ~…ムゲンのかなたへ~ さぁ行くぞーー!!」(スル、ボテ

 

飛び立つ直前、両手を大きく広げ後ろまでそらし、

飛び込むような形に両手を動かしながら、一刀は空へ躍り出た。

 

飛び立つ所から落ちていく所までを見守っていた5人は、

やはり恐怖心は残り、ならば勢い良く行こうかと出口から数歩下がる。

 

「…あれ、これは?」

 

そこで、出口間近にポツンと置いてある何かの塊に明命が気付く。

確認してみると、それは幼児用のパラシュートであった。

 

パラシュートは乗る前に全員分全員用のものを係員が用意する。

そして客の中に幼児は一刀一人だけ。

つまり…一刀はノンパラシュートスカイダイブしたのだ!!

 

それに気付いた瞬間、

 

「「「「「一刀(くーーーーーーーーん)!?!?」」」」」

 

5人は一斉に空へ飛び出した。

 

 

最初に一刀を視界に捉え、抵抗による落下速度の調整法をものにした思春が、

猛烈な速度で一刀に追いすがる。

 

「一刀!!」

 

その叫びは辛うじて一刀に届き、一刀は後というより上に振り返り、

 

「あ、シシュンお姉ちゃーん!」

 

と、嬉しさ楽しさから一刀は両手足を大きく広げ振りはしゃぐ。

 

Q.スカイダイブ中にそんなことすればどうなるか?

A.抵抗が大きくなり落下速度が落ちます

 

猛加速する思春、急減速する一刀。

このままではかなりの衝撃を持って激突してしまうと思い、

思春は急制動を掛ける。

が、双方の速度は一瞬では変わらず、勢いそのまま二人は接触。

一刀の頭は、急制動の為に身体を大きく広げた思春の鳩尾にめり込んだ。

 

「グォフゥウッ!!?」

 

肺の中の空気が強制的に吐き出され、呼吸困難に陥り、

痛さにより蹲り、きりもみしながら思春は落下を続ける。

 

一方、クリティカルダメージを与えた一刀はそのまま上昇(厳密には落下しているが)を続けた。

接触(というより頭突)したときのダメージは、与える側であったために特に無く、

こちらもきりもみしているのだが、一刀はその状態を楽しみはしゃいでいた。

 

次に一刀に迫ったのはパワフルチビッ子トリオだ。

三人は、互いに背を向け合いながら一刀に向けて急速降下している。

いつもならこのように並んだら、二人がケンカ、一人が仲介に入るところだが、

今はそれ以上に一刀が危ないと、一刀のことだけを考えている。

 

やがて前後左右に不規則に回転する一刀が近付き、

 

「「「つ・か・ま・え・た(のだ)!!」」」

 

それぞれが片手を伸ばして、不規則に動く一刀を、彼の服の一部を捕まえる。

が、捕まえただけでは勢いを止めることができず、

一刀は三人を巻き込みながら上昇を続ける。

三人は、一刀に引っ張られるように上半身が上昇していく。

 

Q.細長いものの先端を真上に引っ張ったらどうなるか?

A.逆側が先端があった位置に向けて引っ張られる

 

これにより、三人は互いに引き寄せられ、

 

ゴツ!「「「イッターーーー!?」」」

 

互いに頭をぶつけ合う結果になってしまった。

 

頭を抑えて蹲る三人を後にして、一刀は更に上昇を続ける。

 

 

最後に残ったのは明命。出口においてあった一刀用のパラシュートに気づいた彼女は、

それを抱えながら飛び出した。

 

が、物を抱えながらのスカイダイブはかなり不安定で、

四人が抵抗を減らして高速落下するのに対し、

比較すると、身体を広げスピードを抑え、誰かが一刀を捉えたらすぐさま向かえるようにしていた。

 

が、結果、四人とも一刀を捉えられず、その本人はそのまま自分に向かってきていた。

これは好機と思い、明命は一刀に手を伸ばし、た所で突風が吹いた。

その所為で、一刀の軌道が明命を避けるようなものになってしまった。

慌てて振り返ると、全員の一番上に来てしまった一刀が、頭と両手を下に、

飛び込むような姿勢をとっていた。

 

「お姉ちゃんたち、まってよーーーーー!!」

 

取り残されたと思ってしまった一刀は急速落下を始めて、明命に迫る。

が、その軌道は、突風でずれたときと変わらず、明命が咄嗟に横にずれるも、

一歩間に合わず一刀は明命を掠って通過。

 

「一刀くっわぷ!?」

 

一刀を視界に納めながら振り返った明命の視界は、突如黒く染め上げられた。

呼ばれたのを聞き振り返った一刀が見たのは、

 

Q.髪が後に流れている状態で振り返るとどうなるか?

A.顔が髪で覆われます

 

風により目・口・鼻の輪郭をはっきりさせながら、自らの髪で顔を覆う明命だった。

その様はまるで、

 

「くくくく、くろいのっぺらもーーー!こーわーいーーー!?!?」

 

だった。怖さの余り、一刀は明命を押し上げる。

 

カチ)「え!?」

 

押されたダメージは無かったが、それ以上に気になることがあった。

音のしたところを見てみると…なんと、パラシュートを開く仕掛けが作動していた!

 

バサ!)「はうあああぁぁぁ・・・・・・……」

 

自分の意に反して開かれたパラシュートにより明命はそれ以上一刀捕獲戦に参加できなくなってしまった…

 

 

明命を後にした一刀はそのまま落下を続けるが、

 

「「「今度こそ、つ・か・ま・え・た(のだ)!!」」」

 

下方で次こそはと構えていたパワフルズにより、その落下は止められた。

 

一刀を捉えた三人は、一刀・季衣・鈴々・琉流の順で円を描くように並び、

隣同士で手を繋ぎ合う。

安定した所で、そろそろパラシュートを開こうと言うことになる。が…

 

「あれ?どうやって開くんだっけ?」

「んにゃ?動かす奴は何処なのだ?」

 

一刀を捉えるのに夢中になり季衣がど忘れし、

鈴々はダイブ中の動きで取っ手の位置がずれ分らなくなっていた。

 

「もぅ、季衣ったら。こうするの」

「リンリンお姉ちゃん、わきのところにずれてるよ」

 

琉流が両手を伸ばして手順を教え、

一刀に指摘され両手で各所をまさぐり取っ手を発見し、

三人はパラシュートを開くことが出来た。一刀を置いて…

 

「「「ぁあ!?」」」

 

と、気付くのも後の祭り。

パラシュートで落下が止まる三人を置いて、一刀は落下を続ける。

 

三人がどんどん離れていくのを見て、自分も開こうとして…やっと気付く。

自分がパラシュートを背負っていないことに…

 

ダイブを楽しんでいた一刀も流石にこれには慌て焦り、

最後の頼みの綱、未だ開いていない思春に追いすがる。

 

「シシュンお姉ちゃん!ボクたいへーん!?」

 

高速で思春に追いすがる一刀は、しかし、

思春の受け止める軌道から外れていた。

 

それを確認し、思春は位置をずらし、辛うじて一刀を捉えられる位置まで来た。

現状の唯一の捕獲法、足で一刀を挟み込むを実行。

結果、成功し一刀の頭を両太腿で挟み込むことが出来た。

 

「おふぇえふゃん!はいふぇんはいふぇん!ふぉふハハヒューホふぁふぁひーーー!?」

(訳:お姉ちゃん!大変大変!ボクパラシュートが無いーーー!?

 

頭を挟まれながら、先ほどの混乱が後を引き、ジタバタ暴れながら訴える。が…

 

「ンッ…く…わ、わかったかっ…い、今は大人しく、ぁあ!?///」

 

挟み込んだことで、一刀の口はなんと思春の秘所の眼前に来てしまい、

一刀は一言しゃべるごとに、下着越しではあるが息が吹きかけられ、

思春は顔を赤くするのであった。

 

 

何とか一刀を落ち着かせた後、思春は一刀を自分の胸に持ってきて、

片手で一刀を抱き、もう片方の手を広げて安定をとる。

 

「では、開くぞ?」

 

「うん!」

 

胸の形が変わらんばかりに一刀が強くしがみ付いてくるのを確認しながら、

思春はパラシュートを開く。

開いたときの急制動による衝撃の後、パラシュートはゆっくりと下降を始めた。

 

開いたときの衝撃で、再び一刀の口が先程と同じ位置に来てしまい、

思春が軽く悶えるというハプニングが起こったが、

その後は、一刀の位置を直して互いに抱き合いながら下降する。

 

そして、思春(+一刀)・季衣・鈴々・琉流・明命の順で無事着地することが出来た。

ちなみに、指定目標地点に着地することが出来たのは思春だけだった。

(下降コントロールを一刀がやりたいと言ってきたので、やらせてみた所ドンピシャだった)

 

やがてKALも着陸してきて超距離障害物競走の参加者も開催地に降り立つ。

 

 

そしていよいよ、”長”を通り越し”超”ともいえる距離の道を、

三国より集いし己の足に自信を持つものたちが、

数々の障害を乗り越えて、優勝と言う名の栄光を掴む戦いが、

始まる…

 

 

~解説~

 

『KAL』

書き始めた当初は”象に大人数が乗れる客室車を引かせる”だったんですが、

ふと居間に顔を出すと、外国語を教える母が教材にかの有名なディズニーの作品を観ていて、

ふと昔観ていたダ○ボを思い出して”空飛ぶ象に引かせて飛んでいく”

になりました!

こんなんありえないだろうと言う突込みに対しては…

こう言いましょう!「外史のご都合主義万歳!」

 

『初めての空』

これは…解説必要ありませんね…

 

『無邪気な者達』

ブッチャケましょう!ディカプリオネタを出したいだけでしたwww

自分が飛行機に初めて乗った時は窓から見える景色だけでも凄いはしゃいだものです。

というか…親が止めてはしゃぎまわるなんて出来ないですね。

この世界ならでわですね。ウン。

 

『空の高所は呉の隠密をおびえさせる』

実際空飛ばしてみたらどうなるかは分りませんが、

明命からは、何故か高い所に上って降りられなくなった猫を連想してしまいまして…

 

『水の上では…空の上では…』

こちらも、実際飛行機酔いを起すのかどうかは分りませんが…

とりあえず看病イベント的なものを書きたかったんですwww

 

『飛んでいるんじゃない…落ちているんだ…』

やっぱ空と言えばスカイダイビングでしょう!?

で、またしてもディズニーからネタ引っ張ってきました。

ダイブ中に関してはもう一つ、かな~り古いですが臼井先生の映画からも引っ張りました。

…わかる人いるかな…

 

 

~あとがき~

 

いかがでしたでしょうか?

 

今回書いてて改めて実感しましたよ。”外史のご都合主義”の便利さを…

 

なんだか思春がいい思いをしてる感じがありますが…

 

すません、このメンバーの中で一番好きなキャラでして。

 

因みに自分の中のランキングだと、

 

1.思春 2.明命 3.同列でパワフルズ

 

です。が、投稿する順番には関しません。

 

 

さて、次回はいよいよ競技編です。

 

あえて公表しなかった競技場所についてもわかるでしょう。

 

そして、開催場所を見れば誰もが”長”ではなく”超”であることに納得する…と思います…

 

 

相変わらず思いついては書いていくと言う、

 

気まぐれまっしぐらな為に次は何を投稿するかは未定ですがお楽しみに。

 

因みに進行状況ですが、

 

ショタ一刀:チェンジ:狼(SHUFFLE!):アルトネリコ=3:2:4:1

 

の割合で進んでいます…なんていうか、スマセン

 

思いついたら・考え付いたら書くのに対して、

 

ある程度話の流れを思いついていてそこに向かって書くのとだと、

 

どうしても後者の方が進んでしまいまして…

 

 

とにかく、先はまだまだ長いですが、完結に向け頑張ります。


 
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