No.115201

真・恋姫†無双 ~祭の日々~

rocketさん

はじめまして!
これから始まる外史は、分類としては魏√アフターとなります。
ひとつだけ注意事項としましては、このお話は祭さんが生き延びていたら、という外史ですので、
「バカヤロー!祭さんはあの死に様がいいんだよ!」という方は回れ右することをお勧めいたします。
それでもよい、という方はどうぞ。

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2009-12-29 20:03:45 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:11996   閲覧ユーザー数:9678

 

―――悔いはない。

 

勢いを増す業火の中、敵将に射られた矢が胸を刺していても。

 

―――嘆きはない。

 

愛しい教え子たちが、泣きそうな目をしていたとしても。

 

あの子らがいれば、我が祈りは残るだろうから。もう遠くなってしまったかつての日々に、共に駆けた彼の人の願いも、彼女たちの中で生き続けると信じているから。

「負けて…しまいましたなあ、策殿よ。…お前もがんばったのになあ、冥琳……。」

 

――だのに。悔いはないと、思っているのに。

 

「もう少し、だったのになあ…。儂がもう少し上手くやれば……。…いや…曹操めにかかれば同じか…?」

 

口から漏れるのは、紛れもない、悔恨の念ではあるまいか。

もう、あの子らの姿は見えない。この身は長江にたゆたう、多くの屍のひとつとなったから。

あの子らは、例え負けたとしても…心まで折れはしまい。あの子らは強い。この自分が鍛えてやったのだから。

……折れそうなのは、儂。情けなくも涙を目にため、今にも零さんとしているのは、呉にこの人ありとまで言われたはずの、儂。

 

親を亡くしたときも、夢を託した主が死ぬときも、背中を鞭で打たれようとも出なかった涙。

 

「……もう、会えんのじゃなあ…」

 

愛しい教え子たちの顔が、浮かんでは消えてゆく。

 

「―――…………………………………………………………………」

 

もう、熱いのか冷たいのかすら、わからない。

なにも…なにも、わからない。

 

ただ、残るのは。

愛しい子らにまた会いたいと、ただそれだけ…。

 

「うわ…また流れてきたぞ。ったく、上流で戦なんかしてくれるなよなあ」

「ん?……あれ、こいつ…」

「…!お、おい!おおい!生きている人がいたぞ!医者を呼んでくれ!まだ息があるんだ!」

 

「さようなら……愛していたよ、華琳…」

 

外史の突端が開かれる。

数多の者を巻き込んで、その物語は紡がれる。

 

彼と、

彼女が、

 

出会う日は、近い――。


 
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